npo法人の経営状況に関する実態調査Ⅰ 調査の目的と実施要領 1 調査目的...

19
調査の目的と実施要領 調査結果 代表者の属性 活動の概要 収支と財務の状況 活動の意義と評価基準 NPO法人の経営状況 経営上の課題と求められる支援策 まとめ 2012 2 16 日本政策金融公庫 NPO法人の経営状況に関する実態調査 <問い合わせ先> 日本政策金融公庫 総合研究所 小企業研究第1グループ TEL 0332701687 担当 藤井、村上

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Page 1: NPO法人の経営状況に関する実態調査Ⅰ 調査の目的と実施要領 1 調査目的 近年、社会が抱えるさまざまな課題の解決に取り組む特定非営利活動法人(以下「NPO法人」)が存在感を増している。1998年の特定非営利

Ⅰ 調査の目的と実施要領

Ⅱ 調査結果

1 代表者の属性

2 活動の概要

3 収支と財務の状況

4 活動の意義と評価基準

5 NPO法人の経営状況

6 経営上の課題と求められる支援策

Ⅲ まとめ

2012 年 2 月 16 日

日本政策金融公庫

総 合 研 究 所

NPO法人の経営状況に関する実態調査

<問い合わせ先>

日本政策金融公庫 総合研究所

小企業研究第1グループ

TEL 03-3270-1687

担当 藤井、村上

Page 2: NPO法人の経営状況に関する実態調査Ⅰ 調査の目的と実施要領 1 調査目的 近年、社会が抱えるさまざまな課題の解決に取り組む特定非営利活動法人(以下「NPO法人」)が存在感を増している。1998年の特定非営利

Ⅰ 調査の目的と実施要領

1 調査目的

 近年、社会が抱えるさまざまな課題の解決に取り組む特定非営利活動法人(以下「NPO法人」)が存在感を増している。1998年の特定非営利

活動促進法の施行以来、認証法人数は13年間で4万法人を超えた。株式会社や有限会社に比べればまだ少数派に過ぎないものの、全体の法人企

業数の減少が続くなかで、その伸びは注目に値する。

 しかしながら、10年あまりの歴史しかないNPO法人の実態は、いまだ十分に把握されているとは言い難い。そこで、NPO法人の特徴や存在意

義を明らかにするため、当調査を実施した。

2 実施要領

(1)調査時点 2011年9月

(2)調査対象 特定非営利活動促進法に基づき、所轄庁より認証を受けているNPO法人15,000法人

(3)調査方法     調査票の送付・回収ともに郵送、無記名

(4)有効回答数 3,491件(回収率23.3%)

回答法人の登記時期 <参考>NPO法人の年間認証数の推移

資料:内閣府ホームページ

1,176

1,980

2,491

3,748

5,3975,481

5,074

5,600

4,153

3,628

3,544

3,5683,712

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

1999 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11

(法人数)

(年)

156 187

234

278

426 433 439

515

341

248

202

26 6

0

100

200

300

400

500

600

1999 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11

(法人数)

平均業歴:80カ月

(年)

2011年末時点の

NPO法人数 44,291法人

1

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Ⅱ 調査結果

1 代表者の属性~営利企業に比べてシニア層や女性の代表者が多い~

図-1 代表者の肩書き 図-3 代表者の年齢

資料:総務省「就業構造基本調査」(2007年)(営利企業)

(注)代表者とは、組織の運営方針を決めるうえで中心となっている人。 (注)営利企業は、自営業主(内職者を除く)と会社などの役員の合計。

図-2 法人設立時から代表者だったか 図-4 代表者の性別

資料:図-3に同じ。

(注)図-3に同じ。

○ 代表者(組織の運営方針を決めるうえで中心となっている人)の肩書きをみると、「代表理事(理事長)」が93.3%を占めている(図-1)。

○ 現在の代表者のうち、法人設立時から代表者だった人は66.7%であり、33.3%は法人設立以降に代表者が交代している(図-2)。

○ 代表者の年齢をみると、60歳以上が64.9%を占めており、営利企業の水準(43.4%)を上回る(図-3)。

○ 代表者の性別をみると、「男性」が70.5%、「女性」が29.5%となった。「女性」の割合は、営利企業(23.3%)よりも高い(図-4)。

93.3

3.9

1.8 1.0 (単位:%)

代表理事

(理事長)

その他

事務局長

他の役員

66.7

33.3

(単位:%)

代表者だった

代表者では

なかった

3.6

13.3

8.8

16.4

22.7

26.8

38.4

25.7

26.5

17.7

NPO法人

(n=3,369)

<参考>

営利企業

平均値:62.2歳

中央値:63.0歳

39歳以下40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上

70.5

76.7

29.5

23.3

NPO法人

(n=3,443)

<参考>

営利企業

(単位:%)

(単位:%)男性 女性

64.9

43.4

(n=3,443)

(n=3,445)

2

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~代表者の半数が他の職業と兼務~

図-5 代表者の兼務状況

表-1 代表者が兼務している職業 表-2 代表者の前職(単位:%) (単位:%)

(注)1 小企業は従業者19人以下、中小企業は20~299人、大企業は300人以上

    とした。

  2 パート・アルバイト等には、派遣社員や契約社員を含む。

合計(n=1,629) 100.0

合計(n=1,682)

10.7

その他

会社や団体の常勤役員

小企業

専業主婦・主夫

正社員(管理職以外)

パート・アルバイト等

家族従業員

学生 0.6

勤務者

61.7

大学・高校等の教員

6.4

8.1

1.0

0.2

1.4

経営者・

個人事業主

11.7

42.2

13.1

13.9

8.8 中小企業

21.0

15.0

10.9

正社員(管理職)

大企業

勤務者

正社員(管理職)

1.0

会社や団体の常勤役員

正社員(管理職以外)

規模不明

経営者・

個人事業主

小企業

中小企業

大企業

規模不明 1.5

34.8

46.1

その他

14.2

7.5

3.7

5.8

0.9

10.1

パート・アルバイト等

家族従業員

大学・高校等の教員

0.7

7.7

100.0

○ 代表者の兼務状況をみると、「兼務している」が48.2%と、約半数に上る(図-5)。

○ 兼務している職業のなかでは、「経営者・個人事業主」の割合が46.1%と最も高く、その大半が小企業や中小企業の経営者である(表-1)。

○ 一方、兼務していない代表者の前職をみると、「正社員(管理職)」が21.0%と最も多かった。ただ、「専業主婦・主夫」が13.1%に上るほか、

「経営者・個人事業主」(10.7%)や「大学・高校等の教員」(7.7%)、「パート・アルバイト等」(6.4%)も一部にみられる(表-2)。

48.2 51.8 全 体

(n=3,470)

(単位:%)兼務している 兼務していない

3

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2 活動の概要~医療、福祉の分野での活動が最も多い~

図-6 前身の組織の有無と活動開始時期 表-3 活動分野 (単位:%)

(注)1 前身の組織とは、現在と同じ目的をもった任意団体などの組織のことと定義した。

  2 活動開始時期は、前身組織がある法人のみ集計。

図-7 活動分野の数

(注)活動分野は複数回答。主たる活動分野は、活動分野のなかから主たるものを一つ選んで

  もらったもの。

まちづくりの推進を図る活動

職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動

消費者の保護を図る活動

36.5

16.4

11.6

30.7

48.6

9.5

9.1

国際協力の活動

社会教育の推進を図る活動

主たる活動分野(n=3,399)

保健、医療又は福祉の増進を図る活動

子どもの健全育成を図る活動

学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動

8.3

経済活動の活性化を図る活動

7.5

2.7

2.6

2.4

1.9

人権の擁護又は平和の推進を図る活動

男女共同参画社会の形成の促進を図る活動

地域安全活動

科学技術の振興を図る活動

災害救援活動

環境の保全を図る活動

合 計

特定非営利活動を行う団体の運営又は活動に関する 連絡、助言又は援助の活動

活動分野(n=3,491)

62.0

38.3

25.2

23.2

10.4

8.2 情報化社会の発展を図る活動

17.4 1.8

12.1

7.7

3.9

1.7

0.8

0.8

0.7

0.7

0.6

0.3

100.0

8.7

5.0

6.2

323.5

○ 前身の組織があった法人は63.6%に上り、そのうち76.1%が90年以降に活動を開始している(図-6)。

○ 活動分野をみると、複数の分野を挙げる法人は72.1%に上る。主たる活動分野については、「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」が48.6%

と約半数を占め、「子どもの健全育成を図る活動」が9.5%、「学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動」が9.1%と続く(図-7、表-3)。

63.6 36.4 全 体

(n=3,411)

11.3 12.6 13.8 24.7 29.6 8.1 前身組織あり

(n=2,138)

あり

(単位:%)

なし

1979年以前80年代

90~94年 95~99年 2000~04年 05年以降

27.9 20.2 38.0 12.0 1.8 全 体

(n=3,491)

(単位:%)

1分野 2分野 3~5分野 6~10分野

11~17分野

76.1

72.1

<活動開始時期>

4

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~法人設立時に比べて職員数は増加~

図-8 職員数(1法人当たり) 図-9 ボランティア数

(注)通常月における平均的な活動参加者数。イベント来場者や観客を除く。

図-10 会員数

(注)1 代表者(組織の運営方針を決めるうえで中心になっている人)は含まない。 (注)1 正会員とは、法人の構成員(総会で議決権をもつ人)のこと。

    有給常勤職員には常勤役員を含む。   2 非正会員とは、正会員以外に各法人が定めた、活動を支援する人のこと(賛助会員、

  2 <  >内の数値は、構成比(単位:%)。     ジュニア会員等)。

○ 現在の職員数(1法人当たり)は平均11.9人である。その構成をみると、「無給常勤職員」が6.1%、「無給非常勤職員」が28.0%で、合計34.1%

が無給だった(図-8)。

○ 1法人当たりの職員数を法人設立時と現在で比較すると、平均7.2人から11.9人へと増加している。なかでも、「有給常勤職員」と「有給非常

勤職員」を合わせた有給職員は3.6人から7.8人へと倍増しており、NPO法人は多くの雇用機会を生み出しているといえる。

○ ボランティア数をみると、61.2%の法人で1人以上のボランティアが活動している。また、正会員と非正会員を合わせた会員総数をみると、

48.8%が50人以上の会員を抱えている。NPO法人の活動には、職員以外にも多くの人が参画していることがうかがえる(図-9、10)。

3.2

1.5

4.6

2.1

0.7

0.7

3.3

2.8

0

2

4

6

8

10

12

現 在

(n=3,365)

設立時

(n=3,279)

有給常勤職員

有給非常勤職員

無給常勤職員

無給非常勤職員

(人)

平均値:7.2人

中央値:4.0人

職員総数平均値:11.9人

中央値: 7.0人

2.7

4.1

56.6

20.7

33.2

9.2

27.8

31.5

13.6

38.0

26.3

15.6

10.8

4.9

5.0

会員総数

(n=3,391)

正会員

(n=3,391)

非正会員

(n=3,401)

9人以下10~19人 20~49人 50~299人 300人以上

(単位:%)

平均値:230.5人

中央値: 47.0人

平均値:107.1人

中央値: 27.0人

平均値:123.2人

中央値: 4.0人

<27.3>

<38.6>

<6.1>

<28.0>

<21.3>

<28.7>

<10.5>

<39.5>

7.8

<65.9>

3.6

<50.0>

4.0

<34.1>

3.6

<50.0>

48.8

38.8 18.2 11.5 13.2 18.3 全 体

(n=3,413)

(単位:%)

平均値:30.0人

中央値: 3.0人

0人 1~4人 5~9人

10~19人20人以上

61.2

5

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3 収支と財務の状況~約25%が収入500万円未満~

図-11 収入総額の分布

(注)1 2010年度(2010年4月から2011年3月までに決算を迎えた期)について尋ねたもの。以下同じ。

  2 収入総額には、特定非営利活動以外の事業(「その他の事業」)にかかる収入を含む。

○ 収入総額(企業会計上の「売上高」に相当)の平均値は3,349万円となった。中央値は1,430万円、最頻値は「100万円以上200万円未満」(6.3%)

であり、500万円未満が24.9%、1,000万円未満が41.0%を占めるなど、左に偏った分布となっている。一方、1億円以上の収入を上げる法人も

7.1%とわずかながらみられる(図-11)。

6.3

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

100

万円未満

100

万円以上20

0

万円未満

200

万円以上30

0

万円未満

300

万円以上40

0

万円未満

400

万円以上50

0

万円未満

500

万円以上60

0

万円未満

600

万円以上70

0

万円未満

700

万円以上80

0

万円未満

800

万円以上90

0

万円未満

900

万円以上1,

000

万円未満

1,00

0

万円以上1,1

00

万円未満

1,10

0

万円以上1,2

00

万円未満

1,20

0

万円以上1,3

00

万円未満

1,30

0

万円以上1,4

00

万円未満

1,40

0

万円以上1,5

00

万円未満

1,90

0

万円以上2,0

00

万円未満

2,40

0

万円以上2,5

00

万円未満

2,90

0

万円以上3,0

00

万円未満

3,40

0

万円以上3,5

00

万円未満

3,90

0

万円以上4,0

00

万円未満

4,00

0

万円以上5,0

00

万円未満

5,00

0

万円以上6,0

00

万円未満

6,00

0

万円以上7,0

00

万円未満

7,00

0

万円以上8,0

00

万円未満

8,00

0

万円以上9,0

00

万円未満

9,00

0

万円以上1億円未満

1億円以上1億1,

000

万円未満

1億1,0

00

万円以上1億2

,000

万円未満

1億2,0

00

万円以上1億3

,000

万円未満

1億3,0

00

万円以上1億4

,000

万円未満

1億4,0

00

万円以上1億5

,000

万円未満

1億5,0

00

万円以上1億6

,000

万円未満

1億6,0

00

万円以上1億7

,000

万円未満

1億7,0

00

万円以上1億8

,000

万円未満

1億8,0

00

万円以上1億9

,000

万円未満

1億9,0

00

万円以上2億円未満

2億円以上

(%) 500万円 1,000万円 1億円

500万円未満

24.9%

1,000万円未満

41.0% 1億円以上

7.1%

合 計 3,367法人

平 均 値 3,349万円

中 央 値 1,430万円

標準偏差 6,128万円

1,430万円

中央値4,000万円

4,000万円以上

24.3%

3,349万円

平均値

6

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~7割近くが黒字~

図-12 収入総額の内訳(1法人当たり) 図-13 経常収支の状況

(注)特定非営利活動以外の事業(「その他の事業」)にかかる収支も含む。

図-14 正味財産の分布

(注)1 収入総額の内訳に回答のあった法人のみ集計。

  2 <  >内の数値は収入総額に占める構成比(単位:%)。 (注)正味財産は、資産合計から負債合計を差し引いたもの。

0

10

20

30

40

50

60

70

▲1,000

万円未満

▲1,000

万円以上

▲500

万円未満

▲500

万円以上

0円未満

0円以上

500

万円未満

500

万円以上

1,00

0

万円未満

1,00

0

万円以上

1,50

0

万円未満

1,50

0

万円以上

2,00

0

万円未満

2,00

0

万円以上

2,50

0

万円未満

2,50

0

万円以上

3,00

0

万円未満

3,00

0

万円以上

3,50

0

万円未満

3,50

0

万円以上

4,00

0

万円未満

4,00

0

万円以上

4,50

0

万円未満

4,50

0

万円以上

5,00

0

万円未満

5,00

0

万円以上

(%)

合 計 3,136法人

平 均 値 891万円

中 央 値 185万円

標準偏差 3,201万円0円未満

15.0%

67.5 32.5 全 体

(n=3,009)

黒字 赤字

○ 収入源は、「自主事業」や「委託事業」など対価性のある事業性収入、「会費」や「寄附金」など対価性のない非事業性収入、受取利息や雑収入など

「その他の収入」に分かれる。1法人当たりの平均額をみると、事業性収入が2,949万円と、収入総額の89.9%を占める。内訳では、「自主事業」が

1,225万円(収入総額の37.3%)で最も大きく、「行政からの委託事業」の877万円(26.7%)がこれに続く(図-12)。

○ 経常収支(企業会計上の「税引前当期利益」に相当)をみると、67.5%が黒字を確保している(図-13)。

○ 正味財産(企業会計上の「自己資本」に相当)の平均値は891万円、中央値は185万円となった。債務超過に当たる「0円未満」は15.0%、「1,000万

円未満」は77.6%を占めている(図-14)。

136

138

469

877

129

1,225

248

57

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

全 体

(n=3,313)

(万円)

会費・入会金 <4.2>

寄附金・協賛金 <4.2>

補助金・助成金 <14.3>

行政からの委託事業

<26.7>

民間からの委託事業

<3.9>

自主事業 <37.3>

特定非営利活動

以外の事業収入 <7.6>

その他の収入 <1.7>

(単位:%)

計 3,280

事業性収入 <89.9>

平均値:274万円

中央値: 40万円

平均値:2,949万円

中央値:1,118万円

非事業性収入 <8.4>

1,000万円未満

77.6%

0円 1,000万円

7

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~金融機関からの借入残高がある法人は1割未満~

図-15 借入残高の有無 図-16 借入残高の分布

(1)金融機関

(2)金融機関以外

(注)2010年度決算期末時点で借入残高があった法人のみ集計。

9.6

90.4 62.5

11.7 9.0

4.3

12.4

82.7

8.6

3.8 1.4

3.4

0

20

40

60

80

100

1,000万円未満 1,000万円以上

2,000万円未満

2,000万円以上

3,000万円未満

3,000万円以上

4,000万円未満

4,000万円以上

(%)

金融機関(n=299)

金融機関以外(n=707)

(単位:%)あり

なし

○ 2010年度末における借入残高の有無についてみると、金融機関からの借入残高がある法人は9.6%、金融機関以外からの借入残高がある法人

は22.7%だった(図-15)。

○ 借入残高がある法人について借入残高の分布をみると、金融機関、金融機関以外ともに、「1,000万円未満」が大半を占めている(図-16)。

22.7

77.3

(単位:%)あり

なし

(n=3,367)

(n=3,254)

8

Page 10: NPO法人の経営状況に関する実態調査Ⅰ 調査の目的と実施要領 1 調査目的 近年、社会が抱えるさまざまな課題の解決に取り組む特定非営利活動法人(以下「NPO法人」)が存在感を増している。1998年の特定非営利

~融資を申し込まない最大の理由は、「事業収入や寄附等で必要な資金を調達できる」から~

図-17 金融機関に融資を申し込まない理由

(注)法人設立時から現在までに金融機関に融資を申し込んだことがないと回答した法人(全体の80.2%)に尋ねたもの。

31.2

21.1

16.1 15.5

4.4 3.1

1.9 1.9 1.3 3.4

0

10

20

30

40

事業収入や寄附等で

必要な資金を調達できる

金融機関から借入をしてまで

事業を維持・拡大しようとは

思わない

そもそも資金を必要と

していない

代表者や役員等からの

借入で間に合う

NPO法人が利用できる

融資制度があるとは

知らなかった

融資を申し込んでも

断られると思った

手続きが面倒である

担保・保証人や金利などの

条件が合わない

法人内部で合意が

得られない

その他

(%)

(n=2,514)

○ 法人設立時から現在まで金融機関に融資を申し込んだことがない法人について、その理由を尋ねたところ、「事業収入や寄附等で必要な資金

を調達できる」が31.2%と最も多く、次いで「金融機関から借入をしてまで事業を維持・拡大しようとは思わない」が21.1%、「そもそも資金を必

要としていない」が16.1%となった(図-17)。

9

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4 活動の意義と評価基準~「行政が対応しきれない分野」で活動~

図-18 活動開始の動機(複数回答) 図-19 果たしている役割

○ 活動を始めた動機をみると、「社会の役に立つ仕事がしたかったから」が71.0%と、最も多い。次いで「社会や地域と関わりをもちたかったか

ら」が44.8%、「仕事の経験・知識や資格を活かしたかったから」が31.2%となっている(図-18)。

○ 果たしている役割をみると、「行政が対応しきれないサービスを提供する役割」が36.1%と最も多く、「社会や地域の課題の解決に取り組む役

割」(31.8%)、「市民の社会参加を促進する役割」(13.1%)と続く。「特になし」は3.1%にとどまっており、大半のNPO法人が社会において何

らかの役割を果たしていると考えている(図-19)。

71.0

44.8

31.2

12.5

10.6

7.0

4.7

15.8

0 10 20 30 40 50 60 70 80

社会の役に立つ仕事が

したかったから

社会や地域と関わりを

もちたかったから

仕事の経験・知識や資格を

活かしたかったから

自分の技術やアイデアを

事業化したかったから

既存のNPO法人の理念や

活動に触発されたから

趣味や特技を活かし

たかったから

自由に仕事がした

かったから

その他

(%)

36.1

31.8

13.1

6.1

5.0

1.3

0.2

3.2

3.1

0 10 20 30 40

行政が対応しきれない

サービスを提供する役割

社会や地域の課題の解決に

取り組む役割

市民の社会参加を

促進する役割

民間が対応しきれない

サービスを提供する役割

公共サービスの質を

向上させる役割

行政に対して政策を

提言する役割

行政施策を監視・

評価する役割

その他

特になし

(%)

(n=3,367) (n=2,883)

10

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~営利企業とは異なる基準によりパフォーマンスを評価~

図-20 ミッション(使命)の達成状況 図-21 ミッション達成度の評価基準(複数回答)

7.8

75.1

15.1

2.1

39.6

30.1

28.5

21.0

9.7

5.9

39.1

16.2

4.3

15.3

0 10 20 30 40 50

サービスなどを提供した

受益者の数

収入金額

活動(イベント等)の回数

会員の数

ボランティアの数

寄附してくれた人の数

数値化できない質的な基準

第三者機関による評価

その他

特に基準はない

(単位:%)十分に達成している

ある程度は達成している

あまり達成

していない

ほとんど達成

していない

(%)

○ 現時点におけるミッション(使命)の達成状況をみると、82.8%が「達成」と評価している(図-20)。

○ ミッション達成度の評価基準をみると、「サービスなどを提供した受益者の数」(39.6%)や「収入金額」(30.1%)などといった量的基準だけ

でなく、「数値化できない質的な基準」(39.1%)を挙げた法人も多くみられる(図-21)。

達成 82.8

量的基準

質的基準

自己評価

第三者評価

(n=3,422)

(n=3,414)

11

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5 NPO法人の経営状況(1)事業性収入の規模に影響を与える要因 ~活動分野などによって事業性収入の規模は異なる~

表-4 主たる活動分野(事業性収入規模別) (単位:%)

(注)事業性収入を中央値(1,118万円)以上か中央値未満かで分けた。

図-22 収入総額の増減(事業性収入規模別) 図-23 代表者の兼務状況(事業性収入規模別)

(注)最近3年間の、特定非営利活動以外の事業(「その他の事業」)を含めた

  収入総額の増減。

事業性収入・大(n=1,622)

事業性収入・小(n=1,606)

学術、

文化、

芸術又は

スポー

ツの振興を図る

活動

環境の保全を図る活動

まちづくりの推進を図

る活動

職業能力の開発又は雇

用機会の拡充を支援す

る活動

子どもの健全育成を図

る活動

2.8

社会教育の推進を図る

活動

特定非営利活動を行う

団体の運営又は活動に

関する連絡、

助言又は

援助の活動

経済活動の活性化を図

る活動

国際協力の活動

保健、

医療又は福祉の

増進を図る活動

34.7 2.4

62.1

3.610.3 2.9

1.56.74.1 4.9

10.211.5

2.1

1.7

男女共同参画社会の形

成の促進を図る活動

地域安全活動

0.3 0.5

1.4 1.11.912.6 2.7

8.8

災害救援活動

2.0 1.5

情報化社会の発展を図

る活動

人権の擁護又は平和の

推進を図る活動

0.21.5

消費者の保護を図る活

1.1

0.3

0.9 0.3

科学技術の振興を図る

活動

0.2

0.7

0.4

○ 事業性収入の規模別に主たる活動分野をみると、収入規模の大きい法人は「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」の割合が相対的に高く、

収入規模の小さい法人は「学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動」「まちづくりの推進を図る活動」「環境の保全を図る活動」の割合

が相対的に高い(表-4)。

○ 最近3年間の収入総額の増減をみると、収入規模の大きい法人のほうが「増加傾向」の割合は高い(図-22)。

○ 代表者の兼務状況をみると、収入規模の大きい法人のほうが収入規模の小さい法人よりも「兼務している」割合は低い(図-23)。

54.8

41.7

45.2

58.3

事業性収入・小

(n=1,640)

事業性収入・大

(n=1,654)

(単位:%)

兼務している 兼務していない

21.9

45.4

48.9

41.1

29.2

13.5

事業性収入・小

(n=1,594)

事業性収入・大

(n=1,613)

(単位:%)

増加傾向 横ばい 減少傾向

12

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(2)事業性収入の規模が小さい法人の存立基盤 ~無給職員の働きが活動継続に寄与~

図-24 職員数(事業性収入規模別)

(1)有給職員 (2)無給職員

(注)有給職員、無給職員ともに、常勤職員と非常勤職員を合計したもの。

35.6

68.0

27.4

17.6

15.8

6.6

14.6

4.8

6.6

2.9

事業性収入・小

(n=1,601)

事業性収入・大

(n=1,596)

(単位:%)

0人 1~4人 5~9人 10~19人

20人以上

○ 職員の人数をみると、事業性収入の規模の小さい法人は、収入規模の大きい法人に比べて有給職員の人数が少ない反面、無給職員の人数が

多い。収益基盤の弱さを、非金銭的な労働力がカバーすることで活動を継続している様子がうかがえる(図-24)。

44.1

10.4

37.4

25.9

10.4

25.1

5.6

21.1

2.6

17.5

事業性収入・小

(n=1,601)

事業性収入・大

(n=1,596)

(単位:%)

0人 1~4人 5~9人

10~19人

20人以上

平均値: 3.0人

中央値: 1.0人

平均値:12.8人

中央値: 7.0人

平均値:5.8人

中央値:2.0人

平均値:2.3人

中央値:0.0人

13

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(3)ミッション達成度に影響を与える要因 ~人脈、マネジメント能力などがミッション達成のカギ~

図-25 ボランティア数(ミッション達成度別) 図-26 会員やボランティアの満足度(ミッション達成度別)

(注)図-9に同じ。 (注)「会員もボランティアもいない」法人は集計から除外。

37.6

42.7

17.4

22.2

11.6

11.6

13.7

11.8

19.7

11.6

ミッション

達成

(n=2,768)

ミッション

非達成

(n=576)

(単位:%)

0人 1~4人

5~9人

10~19人 20人以上

9.2

2.3

83.2

53.7

6.9

39.2

0.7

4.8

ミッション

達成

(n=2,740)

ミッション

非達成

(n=561)

(単位:%)

十分に与えている

ある程度は与えている

ほとんど与えていない

あまり与えていない

平均値:33.4人

中央値: 3.0人

平均値:16.8人

中央値: 2.0人

○ ボランティアの人数をみると、ミッションを達成している法人のほうが、達成していない法人よりも人数が多い。また、会員やボランティ

アの満足度をみると、ミッションを達成している法人のほうが、達成していない法人よりも、満足度は高い傾向にある。会員やボランティア

の満足度を高め、支援を集めることが、ミッションの達成度を高めると考えられる(図-25、26)。

14

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表-5 他のNPO法人に比べて優れていると思う点(ミッション達成度別、複数回答)

(単位:%)

ミッション達成(n=2,800)

ミッション非達成(n=578)

66.2

3.8

11.87.055.3 24.4 16.4

4.5

5.4

3.8 2.8

8.5

8.7

11.5

41.3 10.9 13.5

12.1

55.7 5.5

その他

特になし

23.0

4.3

専門知識

人 脈

マネジメント能力

技術力

製品やサー

ビスの企画力

会員等の獲得能力

資金調達能力

営業力

PR能力

○ 他のNPO法人と比べて優れていると思う点をみると、ミッションを達成している法人のほうが、達成していない法人に比べて、大半の能力

において上回っている。とりわけ、「専門知識」のほか、「人脈」「マネジメント能力」「会員等の獲得能力」など、支援者を引きつけ、活動への参

加を促すことに役立つ能力で、その差が大きい(表-5)。

15

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6 経営上の課題と求められる支援策~最大の課題は収入の確保~

図-27 活動を行ううえで苦労している点(複数回答)

表-6 活動を行ううえで苦労している点(ミッション達成度別、複数回答) (単位:%)

61.3 39.3

事業収入の確保

その他

19.3

16.7 4.5 1.8

組織のマネジメ

ント

対外的なPR

職員・ボラン

ティ

アの育成

職員・ボラン

ティ

アのやる気

を高めること

活動時間の確保

設備の確保

36.0

活動環境 組織運営

10.1 27.8 24.8

38.8

特になし

収入の確保

15.8

事業報告書の

作成

行政や地域との

連携

職員・ボラン

ティ

アの確保

活動場所の確保

採算・資金繰り 人 材

37.4

入金までの資金

繰り

会費・寄附の

確保

補助金・助成金

の確保

38.6

金融機関からの

借入

採算性の確保

12.6 3.9

27.2 17.9 1.0

20.0 16.1

24.513.6 34.017.16.2 37.1 23.8 18.672.6 46.4 43.8 45.7 1.7

ミッション達成(n=2,802) 35.4 14.3

ミッション非達成(n=580)

63.2

40.3 37.1 39.6

17.0

4.8

37.3 35.7

20.5 15.0 13.3 10.7

28.8 24.8

17.2 16.2

1.8 3.5

0

10

20

30

40

50

60

70

80

事業収入の確保

補助金・助成金

の確保

会費・寄附の

確保

採算性の確保

入金までの資金

繰り

金融機関からの

借入

職員・ボラン

ティアの育成

職員・ボラン

ティアの確保

職員・ボラン

ティアのやる気

を高めること

活動場所の確保

設備の確保

活動時間の確保

行政や地域との

連携

組織のマネジ

メント

対外的なPR

事業報告書の

作成

その他

特になし

収入の確保 77.7 採算・資金繰り 46.7 人 材 56.4 活動環境 28.8 組織運営 53.5(%)(n=3,455)

○ 活動を行ううえで苦労している点をみると、「事業収入の確保」が63.2%と最も多い。ほかにも「補助金・助成金の確保」(40.3%)や「会費・

寄附の確保」(37.1%)を挙げる法人は多く、収入をいかに確保するかが、NPO法人にとって最大の課題であるといえる(図-27)。

○ これをミッションの達成度別に比較すると、ミッションを達成していない法人のほうが、抱えている課題は総じて多い(表-6)。

16

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~今後増やしていきたい収入源は自主事業~

図-28 今後の活動規模に対する考え 表-7 今後増やしていきたい収入源(ミッション達成度別)    (ミッション達成度別) (単位:%)

ミッション達成(n=2,520)

ミッション非達成(n=520)

表-8 必要な公的支援策(ミッション達成度別、三つまでの複数回答)(単位:%)

4.7

寄附金・協賛金

補助金・助成金

会費・入会金

民間からの委託事業

その他の収入

融資・保証制度の拡充

仕事機会の仲介

特定非営利活動以外の

事業収入

人材紹介

0.6

3.8 0.7

7.337.5 4.0

その他

補助金・助成金の拡充

委託事業の拡充

認定NPOの要件緩和

34.7

税制や法律に関する相

談、

情報提供

16.7 14.4

自主事業

行政からの委託事業

特になし

地域住民との交流機会

の提供

11.5 11.2 12.7

22.3

13.0

42.7 20.2 23.2 16.4

5.6

活動場所、

設備の提供

21.0

11.2

15.2

2.29.4 5.4

13.9 10.6 19.0

14.3

3.711.1

13.8 12.6 12.364.9ミッション達成(n=2,770)

ミッション非達成(n=574) 66.2

44.0

59.4

64.0

39.2

31.7

1.5

4.3

ミッション

達成

(n=2,812)

ミッション

非達成

(n=584)

○ 今後の活動規模についての考えをみると、ミッションの達成度にかかわらず、「拡大したい」法人が過半を占めている(図-28)。

○ 今後増やしていきたい収入源をみると、ミッションの達成度にかかわらず、「自主事業」の割合が最も高く、次いで「寄附金・協賛金」と

なっている(表-7)。

○ 必要な公的支援策をみると、ミッションの達成度にかかわらず、「補助金・助成金の拡充」の割合が最も高く、次いで「委託事業の拡充」

となった(表-8)。

拡大したい 現状維持

縮小したい

(単位:%)

17

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Ⅲ まとめ

○ NPO法人の代表者は営利企業に比べて60歳以上のシニア層や女性が多く、活動を始めた動機は「社会の役に立つ仕事がしたい」や「社会

や地域と関わりをもちたい」などが多い。NPO法人は、営利企業とは異なるタイプの起業家の苗床であるといえる。また、法人設立時と

比べて有給職員の数が増加している。

○ NPO法人は、行政が対応しきれないサービスを提供したり、社会や地域の課題の解決に取り組んだりするなど、一般的な営利企業とは

異なる役割を果たしている。そのため、活動のパフォーマンスを評価する際は、事業性収入の規模といった営利企業で用いられる基準のほ

か、ミッションの達成度といったNPO法人ならではの基準を併せて用いる必要がある。

○ 事業性収入の規模の小さい法人は、無給職員を経営資源に加えることによって、収益基盤の弱さをカバーしている。

○ 人脈やマネジメント能力などに優れる法人は、ミッションの達成度が高い傾向にある。その背景には、これらの能力が会員やボランティ

アをはじめとする支援者の満足度を高め、活動への参加を促すことに役立っている点があると思われる。

○ NPO法人の収入規模は総じて小さく、収入の確保が最大の課題となっている。今後事業を拡大していくためには、NPO法人自身が自

主事業など独自の収入源を確保するとともに、行政が事業委託などによって活動を側面から支援していくことが重要である。

18