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-伊丹十三の第一回監督作品である。

2初め「佑助たちの秋」という題名

で書かれたが、製作日程上、初夏

の話になったのでこの題名は使え

ず、なかば自棄気味で「お葬式」

と名づけられた。縁起をかつぐ興

行界では、この題名に二の足を踏

む者も多かったが、映画の仕上が

ふりを見るや、一転して「よい題名

だ」との評価に転じた。

3昨年九月、伊丹夫人、宮本信子の

父君が亡くなった。その際葬儀を

主宰した伊丹は「ニれはまるで映

画だ」と感じ、わけても火葬場で

夫人と並んで煙の出る煙突を見上

げた時には「小津安二郎の映画の

中へ入ってしまった」ような感動

を覚えたとい・ヲ。

4脚本は今年の一月に約一週間で書

き上げられた。

5この脚本にいち早く興味令持った

伊丹の年来の友人岡田裕

(NCP

社長「家族ゲiム」)が製作面で

の協力を、玉置泰(一六タルト常

務)が資金面での協力を約し、か

くして四月、映画は早くも製作体

制に入ったのである。

6キャステ

fンタは五月一杯かけて

慎重に進められた。これは「キャ

スティングは演出の仕事の半分」

とい・ヲ伊丹の信条によるものであ

。、また、俳優出身の伊丹が「自

分の尊敬できる俳優だけ」をキャ

ステfングしたせいでもある。因

みに伊丹の父親、伊丹万作の言葉

に「百の演技指導も、一つの打っ

てつけの配役にはかなわない」と

いうのがある。

7最初に決まったのは当然のことな

がら宮本信子。次に山崎努が「こ

れはチエホフだ」と叫んで参加。

大滝秀治、菅井きんも「無条件で

出ます」と出演を快諾、キャステ

4ングの中心の四本の柱ができあ

がった。このあと奥村公延、友里

千賀子、横山道代、西川ひかる、

それに、八十八歳の香川良介を筆

頭に吉川満子、田中春男、藤原釜

足などオールド・ファンに懐しい

顔ぶれも揃い、笠智衆、津川雅彦、

小林薫に続いて、難航したマネー

ジャー役に財津一郎、葬儀屋に江

戸家猫八が加。、且取後に高瀬春奈

が決定して、は六月二日、湯

河原にある伊丹邸を舞台にクラン

ク・インしたのである。

8監督が新人であるため、スタッフ

はベテランが選ばれた。カメラの

前回米造(「家族ゲ!ム」「メイン

テl

マ」)を中心に、照明・加藤

松作、録音・信岡実、美術・徳田

博らが集結。そして編集には日本

フィルムエデfタl界の一方の雄

である鈴木眺(「南極物語」「愛情

物語」)それに、音楽には現代の日

本を代表する作曲家の一人である

湯浅譲二(「悪霊島」)が加って、

いかにも「大人の鑑賞に耐える」

映画らしい、質の高いスタッフに

なった。なお映画の中のモノクロ

ーム部分の撮影は、写真家の浅井

慎平が担当している。

9伊丹監督のクランク・インの弁。

「私の目的はただ一つ。映画らし

い映画を作。たい、ただそれだけ

です。この作品の中では、葬式と

いうふるさとの儀式の中に突然

投げこまれた都会人たちの滑稽

にして悲惨な混乱ぶのを涙と笑

いのうちに錨きたい。幸い脚本は

評判よく、また最高のキャステ4

ング、最高のスタッフ編成ができ

たので監督としてはみんなの仕

事ぶちをただ眺めていればよい

のではないか」

日この言葉とは裏腹に、伊丹の演出

は想像力ゆたかに、かつ厳密をき

わめ、実数三十五日の撮影期聞を

スタッフ、キャストを引っ張って、火

の玉の如く燃え続けたのである。

日この映画は、突然肉親の死に見舞

われた俳優夫婦が、慌てふためき

ながらも、人々の助けを借

0

て、

なんとか無事お葬式を出し終る

までのにして出な三日

聞を描いたものであるから格別

「あらすじ」のようなものは必要

あるまい。以下、試写室で拾った

声をストーリー順に並べて「争

b

すじ」に替えよう。

-死令予期した老人がきフスへ向

かう。死って孤独なんだなあと思

った。(大学生幻才)

・宮本信子さんの千鶴子が父の死

を知らされるところ、人生の残酷

さがよく出ていた(書店店員

M才)

・千鶴子が巨大な芸者になって

出てくるけど、どういうトリック

なのだろうか(中学生日才)

1・佑助一家が車で伊豆へ向かうシ

γ

ン。日本映画が遂に到達した、

最も美しく出鱈目なカ

l

チェス

つホルノ映画監督お才)

-商売柄映画の中の死体には興

味を持っていますが、奥村公延氏

の死体は本当に死んでいるみた

いだった。日本映画史に残る死体

です(葬儀社経営ω才)

-お棺が階段を運び上げられる

ところはヒッチコックみたいだっ

た。俺なら絡が落っこちて死体が

転がふり出し、それをちょうど走っ

τきた車が様くというふうに作る

ね(タモリ、-アνビタ

νント初才)

・猫八さんの眼鏡が面白かった

(イワキ眼鏡店勤務総才)

-冠婚葬祭入門の

VTR

が出て

くるが、挨拶の仕方がよくわか。

勉強になった。若い人に見てもら

いたい映画だ(会社社長ω才)

-モノクロ、サイレントの部分、

パヅハのアリアが美しくて泣いた。

全部これで作ってほしかった(コ

ピーライターお才)

-高瀬春奈のパンティにびっくち

した(スタイリスト幻才)

-高瀬春奈のお尻にびっくちした

(小学生7才)

-それにしても山崎努はなんて

うまいんだろう(小田急沿線主婦

別才)

-財津さんが輝れてひっく0かえ

るところが面白かった(巨人ファ

ンM才)

-棺に釘を打つところでは映画館

中がシ!ンとなった。凄いシ!ン

だ(高校生口才)

-霊枢車って美しいのね(女子大

生却才)

-霊枢車がぐいぐいと迫ってくる

とニろは悪魔的だ(桐生市在住浪

人幻才)

-お棺がかまどに入ってゆくとこ

ろが凄いと思った(フリーカメラ

マン幻才)

-ドカンとガスがつくところが凄

いと思った(ガス嫌いの主婦お才)

・菅井きんさんが長い挨拶をす

るシl

ン、感動で全身に烏肌が立

った(大滝秀治・俳優"才)

・すべてを許して佑助を見上げる

千鶴子のアップが素晴らしい。宮

本信子は菩薩だ(シナリオライタ

ー切才)

-こんな映画の作。方もあるん

ですねえ、ショックでした(映画

評論家紛才)

ロでは最後に伊丹監督からのメッ

セi

ジ「おいしい御馳走のような

映画を作ちました。みなさん、温

いうちにど・ヲぞ!」

日ではまた映画館で会いましょう。

ハイハl

イ。

東口伊勢丹男の新館隣 f つE今、 |

子ヲヲトル新宿 m特.

オ岩長ドrrI吉祥寺議|

南口百ミニニーツ館前 MI_~トル池袋 ..

国電有楽町駅中央口銀座側 ttlll••有楽シネマ ..ハチ公口道玄坂[DE前 tlnD_渋谷文化 mal|

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