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(1/3) 本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資 料に掲載された意見は作成日における判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、 安全性等について保障するものではありません。著作権、知的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並びに Morningstar.Inc に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。 Morningstar Equity Research Report 2014.4.8 4化合物の開発に集中、株価材料はNASH治療薬の進ちょく 米国カリフォルニア州に本社を置く創薬ベンチャー 株価 投資単位 時価総額 年初来高値 年初来安値 PER(予) 215(4/7) 10050.0億円 (4/7) 295(14/1/14) 193(14/2/4) (4/7) メディシノバ・インク (4875・JASDAQ) ■13年12月期はマイルストン受領で上ブレ 13 年 12 月期の連結業績(米国会計基準)は、売上高 が 6,003 千ドル、営業損益が 4,021 千ドルの赤字となっ た。事前予想の売上高650千ドル、営業損益9,921千 ドルの赤字から売上高は上ブレ、営業赤字幅は縮小した。 13年12月下期に予定していた中国JVとのMN-221の ライセンス契約に伴う一時金 650 千ドルのライセンス 契約には至らなかったが、仏医薬大手サノフィグループ のジェンザイム社に導出していた遺伝子治療技術のマイ ルストン 6,000 千ドルを受領したことが要因。同マイル ストン契約の内容が不明なことから、いつ、どの程度の 収入が得られるかは予測できないものの、ジェンザイム による遺伝子治療治験は今後も継続が見込まれるため、追 加のマイルストン受領の可能性は残る。 ■開発化合物を4つに限定 同社はこれまでコアとノンコア開発品を合わせ合計 8 つの低分子化合物の開発を進めてきたが、今後はMN- 166(イブジラスト)、MN-221(ベドラドリン)、MN- 001(ティペルカスト)、MN-029(デニブリン)の4 化合物の開発に注力する。これら 4 つの化合物で 9 つの 適応症臨床治験を実施中、実施済または準備中。開発 品を絞り込むことで収益化につながる可能性が高まる 点はポジティブ。注目はMN-166の多発性硬化症を適 応症とした臨床治験の動向。13 年 9 月からフェーズ 2b 臨床治験を米国で開始、NIH(米国立衛生研究所)が 11,700千ドルの費用を拠出するなど公的機関の後押 しもある。現治験には 1 ~ 2 年程度の期間が必要だが、 MN-166は他の適応症ながら日本ですでに320万人以 上に処方されるなど安全性が高く、期待は大きい。 ■株価はNASH治療薬の進ちょくに敏感 もう1つの開発薬 MN-001 の NASH(非アルコール性 脂肪性肝炎)を適応とした治験の動向には株価が敏感に 反応しそうだ。良好な前臨床試験の結果を受け、会社 はフェーズ 2a 臨床治験を 14 年下期から開始する予定。 NASH の患者数は米国で 850 万人以上いる一方、有効な 治療薬はなく、市場の関心が高まっている。MN-001は、 過去に気管支喘息などを適応とするフェーズ 2 臨床試験ま で終了した経緯から、NASH を適応とする臨床治験へ優位 に働くと見られ、この点は市場が過小評価している可能 性が高い。 同社はパートナーなしで 1 億円程度を拠出し、 14 年下期から半年程度かけてフェーズ 2a 治験を行う予 定。その後フェーズ 2b 治験には追加の開発資金獲得が 必要になると見られ、導出や助成金の獲得が予想され る。投資判断は「BUY」継続。市場の関心が高い NASH 開発を手掛ける米競合他社の時価総額と比較し、メディ シノバにはMN-001の他、MN-166など有望な開発品 があることから出遅れ感が強いと判断、想定株価レンジ を 400 ~ 600 円に引き上げる。 (宮本 裕之) 業績動向 売上高 (千ドル) 前年比 (%) 営業利益 (千ドル) 前年比 (%) 経常利益 (千ドル) 前年比 (%) 当期純利益 (千ドル) 前年比 (%) EPS(ドル) 12 年 12 月期 実績 802 - -10,945 赤縮 -10,950 赤縮 -10,961 赤縮 -0.66 13 年 12 月期 実績 6,003 648.5 -4,021 赤縮 -4,024 赤縮 -4,029 赤縮 -0.19 14 年 12 月期 会社予想 0 - -9,094 赤拡 -9,094 赤拡 -9,094 赤拡 -0.38 MS 予想 0 - -9,094 赤拡 -9,094 赤拡 -9,094 赤拡 -0.38 15 年 12 月期 MS 予想 15,000 - 5,000 黒転 5,000 黒転 5,000 黒転 0.21 (4/7時点) 投資判断(4/7) BUY 継続 ※米国NASDAQ市場にも上場(銘柄コード:MNOV) 想定株価レンジ 400~ 600200 300 400 500 600 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 26週線 26週線 13週線 13週線 13週平均線 13週平均線 出来高 出来高 193 193 539 539 13週移動平均線 26週移動平均線 出来高(13週平均) 223226415,877

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Page 1: Morningstar Equity Research Report 2014.4.8 メ …...Morningstar Equity Research Report 2014.4.8 メディシノバ・インク (4875・JASDAQ) リスク要因 当社は、設立当初から多額の純損失を計上、13年

(1/3)本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見は作成日における判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではありません。著作権、知的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並びに Morningstar.Inc に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。

Morningstar Equity Research Report 2014.4.8

4化合物の開発に集中、株価材料はNASH治療薬の進ちょく

米国カリフォルニア州に本社を置く創薬ベンチャー

株価 投資単位 時価総額 年初来高値 年初来安値 PER(予)

215円(4/7)

100株 50.0億円(4/7)

295円(14/1/14)

193円(14/2/4)

ー(4/7)

メディシノバ・インク (4875・JASDAQ)

■13年12月期はマイルストン受領で上ブレ

13年12月期の連結業績(米国会計基準)は、売上高が6,003千ドル、営業損益が4,021千ドルの赤字となった。事前予想の売上高650千ドル、営業損益9,921千ドルの赤字から売上高は上ブレ、営業赤字幅は縮小した。13年12月下期に予定していた中国JVとのMN-221のライセンス契約に伴う一時金650千ドルのライセンス契約には至らなかったが、仏医薬大手サノフィグループのジェンザイム社に導出していた遺伝子治療技術のマイルストン6,000千ドルを受領したことが要因。同マイルストン契約の内容が不明なことから、いつ、どの程度の収入が得られるかは予測できないものの、ジェンザイムによる遺伝子治療治験は今後も継続が見込まれるため、追加のマイルストン受領の可能性は残る。

■開発化合物を4つに限定

同社はこれまでコアとノンコア開発品を合わせ合計8つの低分子化合物の開発を進めてきたが、今後はMN-166(イブジラスト)、MN-221(ベドラドリン)、MN-001(ティペルカスト)、MN-029(デニブリン)の4化合物の開発に注力する。これら4つの化合物で9つの適応症臨床治験を実施中、実施済または準備中。開発品を絞り込むことで収益化につながる可能性が高まる点はポジティブ。注目はMN-166の多発性硬化症を適応症とした臨床治験の動向。13年9月からフェーズ2b臨床治験を米国で開始、NIH(米国立衛生研究所)が11,700千ドルの費用を拠出するなど公的機関の後押しもある。現治験には1~ 2年程度の期間が必要だが、MN-166は他の適応症ながら日本ですでに320万人以上に処方されるなど安全性が高く、期待は大きい。

■株価はNASH治療薬の進ちょくに敏感

もう1つの開発薬MN-001のNASH(非アルコール性

脂肪性肝炎)を適応とした治験の動向には株価が敏感に反応しそうだ。良好な前臨床試験の結果を受け、会社はフェーズ2a臨床治験を14年下期から開始する予定。NASHの患者数は米国で850万人以上いる一方、有効な治療薬はなく、市場の関心が高まっている。MN-001は、過去に気管支喘息などを適応とするフェーズ2臨床試験まで終了した経緯から、NASHを適応とする臨床治験へ優位に働くと見られ、この点は市場が過小評価している可能性が高い。同社はパートナーなしで1億円程度を拠出し、14年下期から半年程度かけてフェーズ2a治験を行う予定。その後フェーズ2b治験には追加の開発資金獲得が必要になると見られ、導出や助成金の獲得が予想される。投資判断は「BUY」継続。市場の関心が高いNASH開発を手掛ける米競合他社の時価総額と比較し、メディシノバにはMN-001の他、MN-166など有望な開発品があることから出遅れ感が強いと判断、想定株価レンジを400~ 600円に引き上げる。                  (宮本 裕之)

業績動向売上高

(千ドル)前年比(%)

営業利益(千ドル)

前年比(%)

経常利益(千ドル)

前年比(%)

当期純利益(千ドル)

前年比(%) EPS(ドル)

12 年 12 月期 実績 802 - -10,945 赤縮 -10,950 赤縮 -10,961 赤縮 -0.66

13 年 12 月期 実績 6,003 648.5 -4,021 赤縮 -4,024 赤縮 -4,029 赤縮 -0.19

14 年 12 月期会社予想 0 - -9,094 赤拡 -9,094 赤拡 -9,094 赤拡 -0.38

MS 予想 0 - -9,094 赤拡 -9,094 赤拡 -9,094 赤拡 -0.38

15 年 12 月期 MS予想 15,000 - 5,000 黒転 5,000 黒転 5,000 黒転 0.21

(4/7時点)

投資判断(4/7)

BUY 継続※米国NASDAQ市場にも上場(銘柄コード:MNOV)

想定株価レンジ 400円~ 600円

3百万株

200

300

400

500

600

5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4

26週線26週線13週線13週線

13週平均線13週平均線 出来高出来高

193193

539539

13週移動平均線 26週移動平均線 出来高(13週平均)

223円 226円 415,877株

Page 2: Morningstar Equity Research Report 2014.4.8 メ …...Morningstar Equity Research Report 2014.4.8 メディシノバ・インク (4875・JASDAQ) リスク要因 当社は、設立当初から多額の純損失を計上、13年

本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見は作成日における判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではありません。著作権、知的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並びに Morningstar.Inc に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。 (2/3)

Morningstar Equity Research Report 2014.4.8

メディシノバ・インク (4875・JASDAQ)

リスク要因

当社は、設立当初から多額の純損失を計上、13年12月期の純損失は4.0百万ドル。設立当初から同期末まで301.4百万ドルの累積欠損を計上(含む非現金株式報酬費用)している。今後数年間についても、開発継続に伴い損失拡大の恐れがある。また、開発薬のMN-221については臨床試験を継続するために資金が必要な状況で、提携先を確保できなければ臨床試験を完了できない可能性がある。13年12月31日時点の現金及び現金同等物は6.7百万ドル、運転資金は13.9百万ドル。14年3月31日の現金は13.8百万ドルと見込まれ、15年6月30日までの運転資金はカバーしている。

■ 会社概要

主に日本の製薬会社から画期的な新薬となる可能性を持つ医薬品候補をライセンス導入し、市場規模の大きな欧米を主なターゲットとして医薬品を開発している。本社は米国カリフォルニア州。欧米における医薬品開発の経験とノウハウを駆使して、動物レベルでの安全性・有効性が実証された医薬品候補に対し、人に投与した場合の安全性・有効性を実証する臨床試験を実施。医薬品候補の付加価値向上を図った上で、他の製薬会社へのライセンス導出や、収益性の高い自社販売を図っている。これまではノンコア・コア開発品を合わせ、計8つの低分子化合物の開発を進めてきたが、14年3月に開発プログラムを全面的に見直し、今後は多発性硬化症・薬物依存・神経因性疼痛の治療薬MN-166、気管支喘息急性発作・COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療薬MN-221、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)を適応とするMN-001、悪性腫瘍向けMN-029の開発に資源を集中する。なお、当社株式はJASDAQと米NASDAQの両方に上場しており、その株価もほぼ連動している。

■ 事業環境と展望

同社が前臨床試験で良好な結果を得たNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)を適応とするMN-001のポテンシャルは大きい。NASHの患者数は米国で850万人、日本で100~ 300万人いるとされており、現在、有効な治療薬は存在しない。米国ではNASHの治療薬を開発しているインターセプト・ファーマシューティカルズ(ICPT)やガレクチン・セラピューティクス(GALT)がNASDAQに上場。インターセプトは11年3月、大日本住友製薬(4506)とNASHなどを適応とするINT747の日本および中国における独占的な開発・製造・販売権のライセンス契約を締結、一時金として大日住薬から1,500万ドルを受領し、さらに開発の進展に応じた成功報酬や販売開始後のロイヤルティ支払いも受け取る可能性がある。インターセプトは14年1月にINT747のフェーズ2治験において良好な結果が出たことから早期に試験を完了したと発表、インターセプトはもちろん、NASH関連株が一斉高となった経緯がある。

■ 株主優待なし

■ 配当の状況

1株当たり配当金

中間期末 期末 年間

12年12月期 実績 - 0.00ドル 0.00ドル

13年12月期 実績 - 0.00ドル 0.00ドル

14年12月期 会社予想 - 0.00ドル 0.00ドル

株主還元

最新のポートフォリオ

NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)とは

出所:会社資料、各資料からモーニングスター作成

開発コード/化合物名開発コード/化合物名

(オリジネーター)(オリジネーター)適応症適応症 フェーズフェーズ11 フェーズフェーズ22 フェーズフェーズ33

MN-166 /イブジラスト(キョーリン製薬株式会社)

多発性硬化症進行型多発性硬化症

依存症

メタンフェタミン(覚醒剤)

オピオイド(麻薬)

アルコール

マリファナ(大麻)

疼痛

MN-221 /ベドラドリン(キッセイ薬品工業株式会社)

気管支喘息急性発作

MN-001 /ティペルカスト(キョーリン製薬株式会社)

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)

MN-029 /デニブリン(Angiogene Pharmaceutical Ltd.) 悪性腫瘍

開発コード/化合物名(オリジネーター)

適応症 フェーズ1 フェーズ2 フェーズ3

MN - 166 /イブジラスト(キョーリン製薬株式会社)

多発性硬化症進行型多発性硬化症

依存症

メタンフェタミン(覚醒剤)

オピオイド(麻薬)

アルコール

マリファナ(大麻)

疼痛慢性薬剤誘発性頭痛

MN - 221 /ベドラドリン(キッセイ薬品工業株式会社)

気管支喘息急性発作

MN - 001/ティペルカスト(キョーリン製薬株式会社)

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH )

MN - 029 /デニブリン( Angiogene Pharmaceutical Ltd.) 悪性腫瘍

NASH (Non-alcoholic steatohepatitis)●肝細胞へのダメージがある脂肪肝●肝臓に不可逆的変性をおこし、肝硬変、肝不全の最も多い疾患☞米国で850万人以上の患者

■NASHが進行すると肝硬変や肝がんに

単純性脂肪肝(NAFL)

肝炎(NASH)

肝硬変

肝がん

肥満 糖尿病 脂質異常症 高血圧症

NAFLD

(非アルコール性脂肪性肝疾患)

(4/7時点)

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本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見は作成日における判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではありません。著作権、知的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並びに Morningstar.Inc に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。 (3/3)

Morningstar Equity Research Report 2014.4.8

モーニングスター株式会社 調査分析部 株式分析室  アナリスト 宮本裕之 03-6229-0810 [email protected]

メディシノバ・インク (4875・JASDAQ)

メディシノバ(4875・JASDAQ)

そーせいグループ(4565・マザーズ)

ラクオリア創薬(4579・JASDAQ)

基本事項

株価 215円 2,594円 539円

投資単位 100株 100株 100株

最低投資金額 21,500円 259,400円 53,900円

決算月 12月 3月 12月

株価指標

PER(予) - - -

PBR(実) 1.9倍 5.1倍 1.3倍配当利回り(予) - - -

成長性

売上高成長率(予) - 7.3% 31.6%営業利益成長率(予) 赤拡 赤拡 赤縮

EPS成長率(予) - - -

収益性

売上高営業利益率(予) - - -

自己資本当期純利益率(実) -20.0% -10.3% -20.1%

総資産経常利益率(実) -16.4% -11.1% -30.0%

財務安定性

自己資本比率(実) 86.1% 89.7% 85.9%デット・エクイティ・レシオ(実) 0.0% 0.0% 0.0%流動比率(実) 3123.7% 924.0% 1873.0%

競合他社比較(赤太字は競合他社に比べ優位な数値)

■ 成長性

13年12月期の営業収益は6,003千ドル(前期営業収益は803千ドル)。ジェンザイム社に導出していた遺伝子治療技術のマイルストン6,000千ドルを受領したことで収益が大きく伸びた。今後もマイルストン収入には期待できるものの、契約内容などは不明で、いつ、どの程度の収入が得られるか予測は困難。会社計画の14年12月予想売上高は0で、期中のマイルストン収入や開発薬の導出などは想定されていない。多発性硬化症を適応とするMN-166に何らかの導出の可能性はあり得るが、モーニングスターは現時点で会社予想を踏襲する。14年12月下期から自社でフェーズ2a治験を開始する予定のNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)を適応としたMN-001は、フェーズ2bに進む段階で何らかの開発資金が必要になると見られることから15年12月期にはパートナーシップ締結による1,500万ドルの収入を予想する。

■ 収益性

13年12月期の営業損益は4,021千ドルの赤字(前期実績は10,945千ドルの赤字)と、競合他社も含め営業赤字が続いており、今期予想も赤字のため、収益性の指標にほとんど意味がない状況となっている。13年12月の営業赤字幅は前期から大幅に縮小したものの、これはマイルストン収入による一過性の要因。ただ、研究開発費と一般管理費を合計した13年12月期の営業費用は10,024千ドルと前期の11,748千ドルから縮小。14年12月期も営業費用の減少が想定されている。今後、導出活動などによる収益計上があれば、収益性の面でも一定の水準が期待できそうだ。

■ 財務安定性

13年12月期の自己資本比率は86.1%。競合と比較しても大差ない水準。有利子負債はなく、デット・エクイティ・レシオや流動比率からは、財務安定性に不安はない。現金及び現金同等物の残高は2014年3月31日で13.8百万ドルが見込まれており、2015年6月30日までの運転資金を確保、当面の資金繰りに問題はなさそうだ。

(4/7時点)

競合企業としては、創薬ベンチャーの中から、業態面を考慮し、そーせいグループと、ラクオリア創薬を選定した。

Page 4: Morningstar Equity Research Report 2014.4.8 メ …...Morningstar Equity Research Report 2014.4.8 メディシノバ・インク (4875・JASDAQ) リスク要因 当社は、設立当初から多額の純損失を計上、13年

本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見は作成日における判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではありません。著作権、知的所有権等一切の権利はモーニングスター株式会社並びに Morningstar.Inc に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。

モーニングスター・エクイティ・リサーチレポートの読み方

(1)第三者機関として中立的な立場を重視 モーニングスター・エクイティ・リサーチレポートは、モーニングスターが位置する中立的な第三者としての立場を重要視し、客観的な比較・評価情報の提供に努めています。モーニングスターがカバーする全銘柄に対し、アナリスト個人の見解に加え、複数のアナリストから成る銘柄評価委員会の意見を反映し、投資判断・想定株価レンジ・業績予想を決定しています。

(2)カバー銘柄のユニバース カバー銘柄は下記対象銘柄から銘柄評価委員会が選出しています。

【銘柄選定基準】 ● アナリストのカバー率が低い国内新興市場上場銘柄 ● 個人投資家からの人気が高い銘柄(各オンライン証券

のデータを参考) ● 時価総額を考慮(50 億円程度以上を目安) ● 整理、監理銘柄や継続疑義、債務超過銘柄を除く

(3)3 段階の投資判断 カバー銘柄に対する投資判断は、モーニングスターの各アナリストによる調査・取材・分析を基に銘柄評価委員会の協議を経て決定しています。下記の基準を基に 3 段階(最上位から「BUY」(強気)、「HOLD」(中立)、「SELL」(弱気))で予測しています。

BUY (強気): 今後、半年間の株価推移が現値水準を15%以上上回ると予測される場合

HOLD (中立): 今後、半年間の株価推移が現値水準の-15%~+ 15%にとどまると予測される場合

SELL (弱気): 今後、半年間の株価推移が現値水準を15%以上下回ると予測される場合

 モーニングスターでは業績見通しや財務状況、株価の値動きなどに関する見解の変更により、機動的に投資判断を変更します。ただし、影響力のある、新しい情報が明らかとなり、判断に時間を要する場合には投資判断を「Under Review」(保留)とする場合があります。また、取引時間中の投資判断の変更は行いません。アナリストが退職した場合などは投資判断をいったん「Suspension」(停止)とする可能性があります。

(4)中期的な想定株価レンジ 向こう半年間で想定される株価のレンジを示します。株価指標などを用いた適正株価水準のほか、チャートのフシ目や直近の高値・安値、トレンドライン、移動平均線などテクニカル面や価格帯別出来高なども考慮して、中期的な上値メド、下値メドを決定しています。

■ アナリストコメント  直近の業績動向や事業環境について、取材に基づいた評価をコメントしています。投資判断の根拠や業績予想に対する見方、今後の事業展望などを記載し、株式投資をするうえで最も重要な情報を掲載しています。また、読みやすさを考慮してテーマごとに 2 ~ 4 つのパラグラフにまとめているほか、重要なポイントを太字で強調しております。

■ 業績動向  通期決算の実績 2 期分と会社予想、およびモーニングスターの独自予想を今期、来期の 2 期分掲載しております。各銘柄への取材に加え、四半期毎での過去の業績傾向やセグメント毎での分析に基づいて業績数値を予測しています。

■ 会社概要  各銘柄がどのようなビジネスを展開しているのか、どこに収益源があるのかなどを詳しく解説するほか、今後どの事業に力を入れていくのか、中期的にはどのような事業展開を図っていくのかなどの中期的な見通しも取材を踏まえて掲載します。

■ 事業環境と展望  各銘柄が属する業界について、足元の状況や将来の成長性などの観点から解説します。競合他社への取材も実施することで業界全体を多方面から捉えるほか、業界団体のデータなど具体的な数値も掲載します。

■ リスク要因  各銘柄が有するリスクを解説します。事業面でのリスクに加え、業績面や財務面、株式市場独自のリスクなども考慮して様々な角度から見たリスクを示します。

■ 成長性  今期会社計画の売上高成長率、営業利益成長率、EPS 成長率を競合他社と比較するほか、過去の経緯や主力事業の成長力などを評価します。

■ 収益性  今期会社計画の売上高営業利益率と前期実績の自己資本当期純利益率、総資産経常利益率を競合他社と比較するほか、過去からの収益性の変動などを評価します。

■ 財務安定性  前期実績の自己資本比率、デット・エクイティ・レシオ(=有利子負債/ 自己資本× 100)、流動比率(=流動資産 / 流動負債× 100)を競合他社と比較するほか、現預金やキャッシュフローなどの観点から財務安定性を評価します。

項目説明

特 徴