mktg04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

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1 商学部標準科目 マーケティング #04 #04 マーケティング戦略の策定と実行(2) 2回目は、事業単位の戦略計画とマーケティング計画の立 案方法とその成果測定について理解めます 一橋大学大学院商学研究科 松井 1 案方法とその成果測定について理解めます#matsuimktg2010 目次 ■マーケティングと顧客価値 企業戦略計画および事業部戦略計画 企業戦略計画および事業部戦略計画 ■ 事業単位の戦略計画 ■ 製品計画:マーケティング計画の性質と内容 2

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Page 1: Mktg04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

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商学部標準科目マーケティング

#04 #04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

2回目は、事業単位の戦略計画とマーケティング計画の立案方法とその成果測定について理解を深めます

一橋大学大学院商学研究科

松井 剛

1

案方法とその成果測定について理解を深めます。

#matsuimktg2010

目次

■マーケティングと顧客価値

■企業の戦略計画および事業部の戦略計画■企業の戦略計画および事業部の戦略計画

■事業単位の戦略計画

■製品計画:マーケティング計画の性質と内容

2

Page 2: Mktg04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

2

■事業単位の戦略計画

企業レベル

事業部

事業

単位

事業

単位

事業部

事業

単位

事業

単位

製品

製品

製品

製品

製品

製品

製品

製品

3

SWOT分析

内部環境Strengths Weaknesses- -

ある事業を採り上げて「SWOT分析」を行っ

て それがなぜ成功を

4

--

--

外部環境Opportunities Threats---

---

て、それがなぜ成功を収めているのか、あるいは失敗に終わったのかを説明しなさい。その際には以下の表を使いなさい。

Page 3: Mktg04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

3

SWOT分析:外部環境分析

マーケティング機会:購買者のニーズと関心が存在し

内部環境Strengths Weaknesses---

---

外部環境Opportunities Threats---

---

ており、こうしたニーズを満たして利益を上げられる可能性が高い分野

マーケティング機会の源泉

不足しているものを供給すること

既存の製品ないしサービスを新しい方法や優れた方法で供給すること

1 問題検出法(Detection Method):消費者に提案を求める方法1. 問題検出法(Detection Method) 消費者に提案を求める方法

2. 理想法(Ideal Method):消費者にその製品やサービスの理想的な形を創造してもらう方法

3. 消費連鎖法(Consumption Chain Method):消費者に製品の入手から利用し廃棄するまでの段階を図にしてもらう方法

まったく新しい製品やサービスを供給すること 5

SWOT分析:外部環境分析市場機会分析(MARKETOPPORTUNITYANALYSIS)

魅力度と成功確率からなるマトリックス

内部環境Strengths Weaknesses---

---

外部環境Opportunities Threats---

---

テレビ照明機器会社の架空例

6

Page 4: Mktg04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

4

SWOT分析:外部環境分析

環境上の脅威:不利なトレンドや変化によって引き起こされる難局と 防衛的 ケ グ活動がなされなければ 売上や利益

内部環境Strengths Weaknesses---

---

外部環境Opportunities Threats---

---

のこと。防衛的マーケティング活動がなされなければ、売上や利益の低下をもたらす

深刻度と発生確率からなるマトリックス

7

SWOT分析:内部環境分析

強み/弱み分析のためのチェックリスト

マ ケティング(企業の評判 市場シ ア 顧客満足 顧客維持 製品

内部環境Strengths Weaknesses---

---

外部環境Opportunities Threats---

---

1. マーケティング(企業の評判、市場シェア、顧客満足、顧客維持、製品品質、サービス品質、価格の有効性、流通の有効性、プロモーションの有効性、セールス・フォースの有用性、革新性の有効性、地域的カバレッジ)

2. ファイナンス(資本コストと資金調達力、キャッシュフロー、財務の安定性)

3. 製造(設備、規模の経済性、生産能力、従業員の能力、納期通りに製造する能力、製造技術)

4 組織(長期的視野のある有用なリーダー 意欲的な従業員 起業家精神4. 組織(長期的視野のある有用なリ ダ 、意欲的な従業員、起業家精神、柔軟性もしくは機動性)

以上についてパフォーマンスと重要度から評価

パフォーマンス(非常に強い、やや強い、どちらでもない、やや弱い、非常に弱い)

重要度(高、中、低) 8

Page 5: Mktg04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

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目標設定

目標:規模と時間が規定された具体的な目的を指す

満たすべき条件

1. ( も重要なものから層でないものまで)階層的に配列されていなければならない

2. できる限り数値で表さなければならない

3. 現実的でなければならない

4. 一貫性がなければならない9

戦略策定

戦略:目標を達成するためのゲーム・プラン

3つの基本戦略

全体的コスト・リーダーシップ1. 全体的コスト・リーダーシップ

2. 差別化

3. 集中

戦略グループ:移動障壁

パートナー・リレーションシップ・マネジメント10

Page 6: Mktg04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

6

3つの基本戦略(ポーター)

顧客から特異性

戦略の優位性

差別化コスト・

リーダーシップ

集 中

顧客から特異性が認められる

低コスト地位

業界全体

特定セグメント

戦略ターゲッ

11

集 中特定セグメントのみ

出所:マイケル・E ・ポーター (1995) 『競争の戦略』(新版)ダイヤモンド社.

プログラムの作成と実行

7S:戦略はマネジメントの優れた企業が示す7つの要素のひとつに過ぎない

ハード:Strategy, Structure, and Systemsgy, , yソフト

Style:従業員が同じ考え方と行動様式を共有している

Skill: 従業員が企業の戦略を実行するのに必要な専門技術を持っている

Staff: 企業が優れた人材を採用し、十分に訓練し、適した仕事を任せている

Shared Value:従業員の道標となる価値観を共有している 12

出所:トム・ピーターズ, ロバート・ウォーターマン (2003)『エクセレント・カンパニー』英知出版.

Page 7: Mktg04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

7

フィードバックとコントロール

ひとつだけ確かなこと:市場は変化する

市場の変化は7Sの変化よりも早い

→環境と企業の適合性が低下

→効率性は維持しているが有効性が低下

効率性(Efficiency):物事を適切に進める

有効性(Effectiveness):正しいことを行う13

■製品計画:マーケティング計画の性質と内容

企業レベル

事業部

事業

単位

事業

単位

事業部

事業

単位

事業

単位

マーケティング計画:マーケターが市場を研究した結果を要約し、企業がマーケティング目的に到達するための計画を記した文書

戦略レベル:標的市場と提供する価値提案を設定する

製品

製品

製品

製品

製品

製品

製品

製品

戦略レ ル:標的市場と提供する価値提案を設定する

戦術レベル:マーケティング・プログラムと計画対象機関の資金配分を具体的に述べる

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Page 8: Mktg04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

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マーケティングの成果測定

4つの方法

1 売上分析1. 売上分析

2. 市場シェア分析

3. 売上高マーケティング比率分析

4. 財務分析

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売上分析

売上差異分析(Sales‐Variance Analysis):売上目標と実

績のギャップから生じるに至った様々な要因を比較する績のギャップから生じるに至った様々な要因を比較する分析

目標:単価1ドル×4,000個=4,000ドル

実績:単価0.8ドル×3,000個= 2,400ドル

この違いは価格引き下げのせい?販売数量不審によるせい?

価格引き下げによる差異=( ドル 0 8ドル)×3 000個 = 600ドル 37 5%

→3分の2が数量目標を達成できないことに起因

→販売目標を達成できなかった理由を検討 16

価格引き下げによる差異=(1ドルー0.8ドル)×3,000個 = 600ドル 37.5%

数量不審による差異=1ドル×(4,000個ー3,000個)= 1,000ドル 62.5%

1,600ドル 100.0%

Page 9: Mktg04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

9

市場シェア分析

3つの市場シェア

1 全体市場シェア(Overall Market Share)1. 全体市場シェア(Overall Market Share)=自社の売上/市場全体の売上

2. 対象市場シェア(Served Market Share)=自社の売上/対象市場全体の売上

対象市場(Served Market):自社の製品を購入する能力と意思のある消費者

3. 相対的市場シェア(Relative Market Share)=自社の売上/リーダー企業の売上

17

市場シェア分析の注意点

外的要因がすべの企業へ同様に影響するとは限らない

例:喫煙の有害な影響に関するアメリカ公衆衛生局局長の報告はたばこの総売上だけを低下させたが、各社への影響の程度は異なった

企業の業績は、全企業の業績の平均との比較で判断すべきであるとは限らないるとは限らない

競合企業の業績との比較で判断すべき

新規参入があると、既存の全企業の市場シェアが低下する場合がある

例えば市場シェアが低下しても、他社よりも事業内容の質が悪いとは限らない

新規参入企業が自社固有の市場にどこまでだけ期を与えたかを見るべき

市場シェアの原因が利益を伸ばすために意図的に仕組まれる場合もある

例えば、経営者が利益を上げるために、収益性の低い顧客や製品を見限る場合

市場シェアは、小さな原因で変動する場合にある

例:大口の取引が月の 終日に発生するか、翌月の初日に発生するか

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Page 10: Mktg04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

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売上高マーケティング費比率分析(MARKETING EXPENSE‐TO‐SALES ANALYSIS)

無駄遣いを防ぐ上での重要な尺度

例:ある企業における同比率=30%

セールス・フォース人件費比率 15%

広告費比率 5%

販売促進費比率 6%

マーケティング・リサーチ比率 1%

販売管理費比率 3%

19

売上高マーケティング費比率分析の例

8

10

12

14

売上高広

上限

望ましいレベル

下限

0

2

4

6

8

6 8 6

広告費比率

20

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16期間

15期に変動幅の上限を超えた!(1)偶発的な現象?(2)広告費をコントロールできなくなっている?

8期から14期にかけて6期連続同比率が上昇。その確率は1/64(=1/2の6乗)。15期をまたず原因を調査すべき

Page 11: Mktg04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

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財務分析図2‐6:純資産利益率の財務モデル(P. 45)

純利益 純利益 総資産純利益

純資産=

純利益

総資産×

総資産

純資産

=純利益

純売上高×

純売上高

総資産×

総資産

純資産

総資産利益率(ROA)

財務レバレッジ

純資産利益率(ROE)

21

純売上高 総資産 純資産

財務レバレッジ

総資産回転率

売上高利益率(ROS)

売上高↑コスト↓

売上高↑資産(在庫、売掛金)↓

■単純化された損益計算書(ドル)

売上高 60,000 売上原価 39,000

収益性分析例:芝刈り機事業

職能別経費の明確化

各マーケティング要素への職能別経費配分

マーケティング要素別の損益計算書の作成

売上原価 39,000 粗利益 21,000 

経費給与 9,300 賃借料 3,000 消耗品費 3,500 

15,800 純利益 5,200 

22

純利益 ,

■通常経費の職能別経費への配分(ドル)

通常経費 合計 販売 広告 梱包・配送 請求・集金給与 9,300  5,100  1,200  1,400  1,600 賃借料 3,000  400  2,000  600 消耗品費 3,500  400  1,500  1,400  200 

15,800  5,500  3,100  4,800  2,400 

Page 12: Mktg04 マーケティング戦略の策定と実行(2)

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収益性分析例:芝刈り機事業

職能別経費の明確化

各マーケティング要素への職能別経費配分

マーケティング要素別の損益計算書の作成

■職能別経費を各チャネルに配分する根拠(ドル)職能 経費 各 配分 根 ( )

チャネルタイプ 販売 広告 梱包・配送 請求・集金金物店 200  50  50  50 園芸用品店 65  20  21  21 百貨店 10  30  9  9 

275  100  80  80 

職能 経費

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職能別経費 5,500  3,100  4,800  2,400 ÷単位数 275  100  80  80 単位当たり経費 20  31  60  30 

収益性分析例:芝刈り機事業

職能別経費の明確化

各マーケティング要素への職能別経費配分

マーケティング要素別の損益計算書の作成

■チャネル別の損益計算書(ドル)

金物店 園芸用品店 百貨店 企業全体売上高 30,000  10,000  20,000  60,000 売上高 , , , ,売上原価 19,500  6,500  13,000  39,000 粗利益 10,500  3,500  7,000  21,000 

経費販売(訪問1回当たり20ドル) 4,000  1,300  200  5,500 広告(1回当たり31ドル) 1,550  620  930  3,100 梱包・配送(注文1回当たり60ドル) 3,000  1,260  540  4,800 請求(注文1回当たり30ドル) 1,500  630  270  2,400 

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総経費 10,050  3,810  1,940  5,800 純利益または損失 450  (310) 5,060  5,200 

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収益性分析に基づく改善

園芸用品店を切る前に考える問題

消費者はどの程度、ブランドよりも小売店のタイプによって購入を決めているのか?

3チャネルの重要性について市場の動向はどうなっているのか?

3チャネルに向けた自社のマーケティング戦略はどの程度有効なのか?

5つの代替案

1. 小口注文の処理に特別料金を請求

2. 園芸用品店と金物店に対して、これまで以上にプロモーション支援を行う援を行う

3. 園芸用品店と金物店に対する訪問回数と広告量を削減する

4. チャネルそのものを切るのではなく、各チャネル内の も収益性の低い小売店との取引をやめる

5. 何もしない 25