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歴史的に、フェデラルファンドのような短期⾦利や⽶国債利回りの上昇は、不動産投資信託 REIT)への投資意欲の低下や株式に対する価格の劣後につながってきました。しかし、REIT は債券の代替物ではなく、⾦利が上昇しても⾃動的に価格が下がることはありません。⾦利の上 昇は、経済の成⻑を反映していることが多く、REITのキャッシュフロー(および価格)は、この成⻑ から恩恵を受けることになります。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------ 【要旨】 ⾦利上昇とREITをめぐる真実 ⾦利上昇に対するREITの当初の反応はネガティブ 実際には、REITは株式とほぼ同じペースで業績が成⻑ — REITの⻑期リターンは株式や債券をしのぐ 歴史的に、⾦利が落ち着いた後のREIT価格は大きく上昇 ⾦利上昇への備えもあり、REITの財務は改善が進捗 まとめ — REITは債券の代替物ではなく、経済成⻑の恩恵を受けうる⽴場 — REITのテナント需要は堅調で、稼働率は⾼く、賃料もおおむね上昇中 1 REITs: Bond proxy or barometer of economic growth? REIT:⾦利上昇の影響と⻑期実績 債券の代替物のように投資家に誤解されがちなREITだが、実際 には⾦利上昇の背景にある経済成⻑の恩恵を享受 20192クリス・フェイムズ インベスコ・リアル・エステート IREアソシエイト・ポートフォリオ・ マネジャー ポール・カーボ インベスコ・リアル・エステート IREポートフォリオ・マネジャー

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歴史的に、フェデラルファンドのような短期⾦利や⽶国債利回りの上昇は、不動産投資信託(REIT)への投資意欲の低下や株式に対する価格の劣後につながってきました。しかし、REITは債券の代替物ではなく、⾦利が上昇しても⾃動的に価格が下がることはありません。⾦利の上昇は、経済の成⻑を反映していることが多く、REITのキャッシュフロー(および価格)は、この成⻑から恩恵を受けることになります。

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------【要旨】 ⾦利上昇とREITをめぐる真実

— ⾦利上昇に対するREITの当初の反応はネガティブ— 実際には、REITは株式とほぼ同じペースで業績が成⻑— REITの⻑期リターンは株式や債券をしのぐ— 歴史的に、⾦利が落ち着いた後のREIT価格は大きく上昇— ⾦利上昇への備えもあり、REITの財務は改善が進捗

まとめ— REITは債券の代替物ではなく、経済成⻑の恩恵を受けうる⽴場— REITのテナント需要は堅調で、稼働率は⾼く、賃料もおおむね上昇中

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REITs: Bond proxy or barometer of economic growth?

REIT:⾦利上昇の影響と⻑期実績債券の代替物のように投資家に誤解されがちなREITだが、実際には⾦利上昇の背景にある経済成⻑の恩恵を享受2019年2月

クリス・フェイムズインベスコ・リアル・エステート(IRE)アソシエイト・ポートフォリオ・マネジャー

ポール・カーボインベスコ・リアル・エステート(IRE)ポートフォリオ・マネジャー

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⾦利上昇とREITをめぐる真実⾦利上昇に対するREITの当初の反応はネガティブ⾦利が上昇する場合、REIT価格の当初の反応としては下落しがちというパターンが観察されます。これは、投資家の多くがREITを債券の代替物と⾒なしており、REITへの投資を減らして株式にシフトするためと考えられます。

実際には、REITは株式とほぼ同じペースで業績が成⻑しかし、⾦利の上昇は往々にして経済が成⻑していることの証であり、不動産の需要増、物件の稼働率や賃料の上昇、REITのキャッシュフローの改善などにつながる可能性があります。私たちが現代REIT時代の始まりと⾒なしている1994年以降を振り返ると、⽶国REITの業績(キャッシュフロー)は平均で年率6.8%と、同7.5%の⽶国株式の⼀株当たり利益(EPS)とそれほど遜色ないペースで(かつ、⽶国株式のEPSよりもはるかに安定的に)成⻑してきました(図表1)。

図表1:株式と遜色のないREITの業績の伸び

出所:インベスコ・リアル・エステート、FTSE、Bloomberg、2018年12月末現在。⽶国REITはFTSE NAREIT All Equity REITs Index(キャッシュフローは⼀時的な特別損失・利益を除く)、⽶国株式はS&P500指数(毎年末時点の過去12カ月のトレーリングEPS)。いずれも2018年は未確定の予想ベース。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。インデックスに直接投資することはできません。

REITの⻑期リターンは株式や債券をしのぐ⻑期で⾒ると、この収益成⻑は同期間のリターンにも反映されており、⽶国REITのリターンは⽶国株式と⽶国債券の双方を上回っています(図表2)。

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図表2:株式と債券を上回っているREITの⻑期リターン

出所:インベスコ・リアル・エステート、FTSE、Bloomberg、Zephyr StyleADVISOR、データ期間:1994年12月31⽇〜2018年12月31⽇。⽶国REITはFTSE NAREIT AllEquity REITs Index、⽶国株式はS&P500指数、⽶国債券はBloomberg Barclays US Aggregate Bond Index。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。インデックスに直接投資することはできません。

歴史的に、⾦利が落ち着いた後のREIT価格は大きく上昇REITはこれまで好調なリターンを生み出してきましたが、短期的に⾒ると、⻑期⾦利の急上昇時には株式に劣後する傾向があることも特筆に値するでしょう。ただし、⾦利が落ち着くにつれて、REITのリターンは回復し、⽶国株式を上回る傾向があることも事実です(図表3)。

図表3:⾦利上昇後に良好なパフォーマンスを⽰す⽶国REIT

出所:インベスコ・リアル・エステートが、Lipper, ブルームバーグのデータを用いて作成、2018年12月末現在。1990年1月-2018年1月における⾦利上昇局⾯とは、同期間中に⽶国10年国債が50ベーシス以上上昇した期間(1990年1月〜3月、8月、1992年1月、10月〜11月、1994年2月〜6月、8月〜11月、1996年1月〜5月、1996年12月〜1997年3月、1999年1月〜2月、4月〜8月、1999年10月〜2000年1月、2001年3月〜6月、11月〜12月、2002年3月、10月〜11月、2003年6月〜8月、2004年4月〜5月、2005年9月〜10月、2006年1月〜6月、2008年4月〜5月、2009年1月〜2月、4月〜6月、12月、2010年9月〜2011年3月、2013年5月〜8月、2016年8月〜2017年1月)のことです。⽶国REITはFTSE NAREIT All Equity REITs Index 、⽶国株式はS&P500指数。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。インデックスに直接投資することはできません。

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⾦利上昇への備えもあり、REITの財務は改善が進捗さらに、⽶国の⾦融政策が正常化への道を歩んでいることを踏まえ、REITの経営陣が借り入れの満期を延⻑(図表4)し、レバレッジを削減(図5)することで、⾦利上昇に備えていることもわかります。

図表4:⽶国REITの返済期間は⻑期化 図表5:⽶国REITのレバレッジ削減

出所:(図表4、図表5ともに)インベスコ・リアル・エステート、NAREIT T-Tracker、REIT.COM、2018年12月末現在。⽶国REITはFTSE NAREIT All Equity REITsIndex。借入⾦の平均残存期間は、REITが借り入れている資⾦の平均的な返済期限です。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。インデックスに直接投資することはできません。

まとめREITは債券の代替物ではなく、経済成⻑の恩恵を受けうる⽴場⾦利が上昇する局⾯では、不動産のような資本集約的な企業に対する投資家⼼理が短期的に悪化することはやむをえないでしょう。しかし、その場合、「REITが債券の代替物ではなく、経済成⻑の恩恵を受けうる⽴場にある」という、より重要なことが⾒過ごされていると私たちは考えます。予想される⾦融政策のシフトや、貿易政策をめぐる情勢の進展、市場のリスク選好度などにより、短期的に価格の変動が大きくなる可能性はありますが、私たちは、ドルコスト平均法などの投資手法を用いる⻑期志向の忍耐強い投資家であれば、⾦利上昇による市場⼼理の悪化を投資機会ととらえることができると考えています。

REITのテナント需要は堅調で、稼働率は⾼く、業績は⾼水準を維持将来も、REITが過去25年と同じような好パフォーマンスとなるかどうかは⼀概には⾔えませんが、基本的にREITが堅調な経済から引き続き恩恵を受けられるであろうことは注目に値します。既に景気拡大が10年に及んでいる現在でも、テナント需要は堅調で、新規オフィスの供給は比較的抑制されており、稼働率は⾼く、賃料はほとんどの種類の物件で上昇しています。加えて、インフラストラクチャーやデータセンター、森林といった新しいタイプのREITは、伝統的な商業用不動産とは構造的に異なるサイクルの成⻑特性を⽰しています。これは現在の景気拡大の成熟度が⾼まっても、REIT全体の成⻑率上昇に貢献できる可能性が指摘できます。

インベスコ・アセット・マネジメント株式会社

⾦融商品取引業者 関東財務局⻑(⾦商)第306号加入協会 ⼀般社団法人投資信託協会

⼀般社団法人⽇本投資顧問業協会

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