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広報こまつ[2017.43 2 NEXT10年ビジョン 仙叟屋敷ならびに玄庵開庵20周年 仙叟屋敷ならびに玄庵開庵20周年 特集 千 少庵 宗左 初代 二代 三代 宗守 四男 四代 仙叟 三男 次男 長男 加賀 前田家三代 加賀 前田家三代 前田家へ 仕官 前田家へ 仕官 三千家成立 仙叟までの系図 芦城公園の中にある茶室「仙叟屋敷ならびに玄庵」。 これまで多くの皆さんに利用され、茶道文化に触れる場として親しまれてきました。 小松の茶道文化の広まりのルーツとは……その歴史をひも解きます。 芦城公園の中にある茶室「仙叟屋敷ならびに玄庵」。 これまで多くの皆さんに利用され、茶道文化に触れる場として親しまれてきました。 小松の茶道文化の広まりのルーツとは……その歴史をひも解きます。 小松 がる こころ 小松 がる こころ 特集 小松がるこころ 小松がるこころ 前田利常 前田利常 千 利休 前田利家 加賀 前田家初代 前田利長 加賀 前田家二代 りきゅう しょうあん 千 宗旦 茶道裏千家十五代・前家元 ユネスコ親善大使 / 小松市名誉市民 16 17 ▲仙叟宗室没後300年を記念して十五代・前家元か ら寄贈いただいた茶室「玄庵」。 そうたん 宗室 宗室 そうしつ そうしゅ そう 宗拙 そうせつ ※裏千家では仙叟以後、代々の家元は「宗室」の名を継いでいます。 ※利家と利長は利休に 茶を学ばれたと 言われている。 ※利家と利長は利休に 茶を学ばれたと 言われている。

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広報こまつ[2017.4]3 2

NEXT10年ビジョン

仙叟屋敷ならびに玄庵開庵20周年仙叟屋敷ならびに玄庵開庵20周年特集

千 少庵

宗左

初代

二代

三代

宗守

四男

四代

仙叟 三男 次男 長男加賀前田家三代加賀前田家三代

前田家へ仕官前田家へ仕官

三千家成立

武者小路千家

表千家

裏千家

仙叟までの系図松の茶道の始まりを語る上で

重要な人物が、仙叟宗室と加

賀前田家三代前田利常公です。

 その2人を結び付けたのが仙叟の

父・千宗旦です。

  茶道の大成者・千利休亡き後の茶

道界は「大名茶」と呼ばれる武家の茶

が中心でした。利休の侘び茶を受け継

いでいた千家三代・宗旦には当時利

休の茶風を慕う多くの大名家から招

請がありましたが、自身は仕官する

ことを拒み、代わりに子供達を大名

家へ仕えさせる努力を惜しまなかっ

たといいます。

 その結果、各地に千家茶道が伝え

られ、宗旦の四男で後に裏千家の流

祖となる仙叟も、加賀前田家に仕官

することとなります。

芦城公園の中にある茶室「仙叟屋敷ならびに玄庵」。これまで多くの皆さんに利用され、茶道文化に触れる場として親しまれてきました。小松の茶道文化の広まりのルーツとは……その歴史をひも解きます。

芦城公園の中にある茶室「仙叟屋敷ならびに玄庵」。これまで多くの皆さんに利用され、茶道文化に触れる場として親しまれてきました。小松の茶道文化の広まりのルーツとは……その歴史をひも解きます。

小松に広がる茶の湯のこころ小松に広がる茶の湯のこころ

特集 小松に広がる茶の湯のこころ小松に広がる茶の湯のこころ

千家茶道の再興…

仙叟の父・宗旦の努力

 

前田利常前田利常

千 利休前田利家

加賀前田家初代

前田利長

加賀前田家二代

りきゅう

しょうあん

千 宗旦

 加賀前田家三代利常公に出仕

した裏千家四代仙叟宗室の屋敷

跡に、茶室「玄庵」が設けられて

今年で早や二十周年になり有り

難いことと心より感謝しており

ます。 

開庵の折には、記念講演や茶

会を催し、多くの方にご参会い

ただき御先祖さまへの御礼も果

たせたかなあと感じておりまし

た。その後の二十年間で「微妙会」

をはじめ、市民茶会や催事など

で多くの方々に十二分に利用さ

れているとのことを仄聞し、茶

道文化の普及にお役にたってい

ること嬉しく存じております。

 仙叟居士が茶道茶具奉行とし

て利常公に召し抱えられ、金沢

から小松城に出仕することにな

ったのは三十歳のときでありま

した。その後は京都から大樋長

左衛門を同行して大樋焼を開窯

させたり、宮崎寒雉に釜の指導

をするなど、加賀文化への発展

に大きく貢献したのでございま

す。そればかりでなく裏千家歴

代と加賀との関係は幕末まで続

きました。

 開庵二十周年記念の本年を礎

として今後この玄庵が教養と心

の文化交流の場として、さらな

る発展がなされることを心より

念じて、御祝いと御礼を申しま

す。

茶室「玄庵」開庵二十周年を祝す

千玄室さんから小松市へメッセージをいただきました

茶道裏千家十五代・前家元ユネスコ親善大使 / 小松市名誉市民

裏千家の流祖・仙叟宗室と

前田利常公との出会い

賀前田家初代利家公や二代利

長公は、利休から茶を学んで

いたと言われ、前田家は代々茶の湯

をたしなんでいました。

 利常公も同様に、江戸では小堀遠州、

金沢では金森宗和を師匠として茶を

楽しんでいたと言われています。

 1639(寛永16)年、利常公は藩

主の地位を長子の光高公に譲り、そ

の翌年小松城に隠居しました。そして、

1652(慶安5)年に仙叟を召し抱

えます。

 仙叟は、利休の孫である宗旦の四

男として1622(元和8)年に生ま

れました。一時期、医師を志してい

ましたが、父・宗旦のもとで茶人と

して修行を行い、その後利常公に同

行し、加賀にやってきました。

 仙叟は、150石を与えられ、小

松城の三の丸(現在の芦城公園)に屋

敷と二畳敷の茶室を賜りました。そ

して同時期に、利常公は小松城の葭

島に2つの茶室を設けます。

 ここに、今日の小松の茶道隆盛の

第一歩がしるされたのです。

▶宗旦方円之図写

 仙叟筆

 江戸時代17世紀

(個人蔵)

宗旦が書いた図を仙叟が写したもの。

▲仙叟宗室没後300年を記念して十五代・前家元から寄贈いただいた茶室「玄庵」。

そうたん

宗室宗室そうしつ

そうしゅそう さ

そくぶん

 じ

みやざきかん

おおひちょう

 え

もん

宗拙そうせつ

※裏千家では仙叟以後、代々の家元は「宗室」の名を継いでいます。

※利家と利長は利休に茶を学ばれたと言われている。

※利家と利長は利休に茶を学ばれたと言われている。

こぼりえんしゅう

みつたか

よし

じま

かなもりそう

特集 小松に広がる茶の湯のこころ小松に広がる茶の湯のこころ

広報こまつ[2017.4]

NEXT10年ビジョン

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【主な参考文献】

新修小松市史資料編12

 芸術工芸…

小松市

仙叟宗室居士の遺芳…

今日庵

仙叟宗室(人と茶の湯)…

県立美術館、茶道資料館

前田利常と仙叟宗室…北野勝次

百万石の大名展…

県立美術館

ここに紹介した資料・作

品は、本陣記念美術館特別展

で紹介されます。

和敬

清寂 開

庵20周年記念

本陣記念美術館特別展

つながる茶の心

仙叟から小松人へ

 前田利常公と仙叟から始まり、今日の小松の茶道発展につながる事跡

を資料や美術工芸品を通して紹介します。

 期

 4月21日金〜6月11日日

ところ

 本陣記念美術館

開館時間

 9時〜17時(入館は16時30分まで)

入館料

 300円(高校生以下無料)

休館日

 月曜日(祝日の場合は翌日)

◎ギャラリートーク

 学芸員による展示品の解説を行います。

とき

 4月22日(土)、23日(日)、5月28日(日)

いずれも11時〜、14時〜

松に茶道茶具奉行として出仕

した仙叟は、利常公が小松城

内で66歳の生涯を閉じるまで仕えま

した。仙叟はその間、家臣はもとよ

り城に出入りする商人や、町役をし

ていた町人にも茶道を教えました。

 仙叟が小松の町人と交流していた

ことを物語る茶杓「ヲソラク」が今に

残っています。仙叟自らが削ったこ

の茶杓は、小松の町人で文化人であ

った越前屋七郎右衛門に贈られたも

のです。銘には「おそらく二度と会う

ことはないだろう」という惜別の気持

ちが込められており「一度の機会を互

いに誠意を込めて尽くせよ」という茶

会の心得である「一期一会」につなが

◀竹茶杓

 銘ヲソラク

 仙叟

 江戸時代17世紀(個人蔵)

仙叟屋敷ならびに玄庵開庵20周年記念

  〜仙叟居士ゆかりの地で茶の湯文化にふれる〜

とき

 4月22日(土)13時〜14時30分

ところ

 こまつ芸術劇場うらら大ホ

ール

講師

 茶道裏千家十五代・前家元

 

千玄室

演題

 御先祖の御かげ

 宮本三郎画伯の風景画とともに茶

会をお楽しみください。

とき

 4月22日(土) 午前の部:9

時〜12時、午後の部:15時〜17時

ところ

 宮本三郎美術館

受付

 絵本館ホール夢の本棚

演奏

 岩谷香里(チェンバロ)

料金

 1000円(当日券1500円)

販売場所

 こまつ芸術劇場うらら

 

☎20・5501、チケットぴあ(P

コード634‐

793)ほか

 

 小松瓦や小松畳など、お茶室で使

用されている匠の技を紹介します。

とき

 4月22日(土)、23日(日)

ところ

 こまつ芸術劇場うらら催事

場 利常公から始まるこまつの茶の湯

の歴史ロマンに迫ります。

とき

 4月22日(土)、23日(日)

ところ

 こまつ芸術劇場うらら市民

ギャラリー

 20周年を迎えたお茶室を茶庭から

ご覧いただけます。

とき

 4月22日(土)9時〜12時、23

日(日)10時〜15時

ところ

 仙叟屋敷ならびに玄庵

問い合わせ

 本陣記念美術館

 ☎22・3384

◎こまつ匠の技

〜伝統の美と技を

次代に紡ぐ〜

◎こまつ茶の湯物語

〜今、三百六十年の時を超えて〜

受け継がれる茶の湯のこころ

◀仙叟屋敷でのお茶会の様子

、、、、

ちゃしゃく

えちぜん

しちろう

 も

 ん

さわもりはんすい

▲源氏物語五十四帖香の図(扁額)沢守半翠 ほか1924(大正13)年(小松天満宮蔵)源氏香之図棗を分かち合った54人の小松の茶人の名が記されている。

▶沢守半翠制作の茶道具

(個人蔵)大正〜昭和前期

道は釜や茶碗、掛け軸などの

「工芸・美術」、茶庭や茶花か

ら感じる「生命力・季節感」、そして客

人をもてなす「道徳心」など様々な文

化や精神が融合しており、まさに「総

合芸術」と言えます。こうして日本の

伝統美を一度に堪能できるのが茶道

の魅力の一つです。  仙

叟屋敷ならびに玄庵を開庵当初から利用いただいている小松

裏千家茶道会の皆さんに茶道の魅力を伺いました。

 「小さい頃から茶道に触れることで、

相手を思いやり、感謝する心が自然と

身に着きます。流派を問わず気軽に利

用できる仙叟屋敷ならびに玄庵で、今

後もたくさんの方に茶道に親しんで

ほしいです」と語るのは小松市茶道協

会会長の岩谷宗美さん。小松に息づく

茶の湯のこころはこれからも受け継

がれていきます。

▶小松裏千家茶道会の皆さん

▲源氏香之図棗 橋姫(左)篝火(右)1923(大正12)年(各個人蔵)半翠が発案し、54個の棗を当時茶をたしなんでいた54人の同志で分け合った。

同時開催展

記念講演・茶会共通チケット

茶庭一般公開

特別記念講演

記念茶会

町人にも普及した茶道文化

る思いが伝わってきます。

 金沢の茶人が記した茶会記には、

茶会が小松で催された記録があり、

その中には越前屋七郎右衛門の名前

があります。このことから、仙叟を

介し、小松でも茶の湯が町人にまで

広まっていたことがうかがえます。

 明治、大正期になると小松を代表

する数寄者、沢守半翠を中心に、小

松の茶道文化は更に発展しました。

 こうして利常公と仙叟により小松

城下に茶の湯が広まって以来、小松

の茶道は絶えることなく受け継がれ

てきました。そのことはまた、茶の

心と小松人の風雅を愛する心もつな

いできたと言えます。

小茶

特集に関する問い合わせ

 文化創造課

 ☎24・8130