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アフガニスタン国 地雷探知器開発研究計画に係る基礎研究 報告書 平成 15 年 9 月 国際協力事業団無償資金協力部 無償計 JR 03-242

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Page 1: JICA - アフガニスタン国 地雷探知器開発研究計画に …産省事業」という)に参加者している研究者を中心に実施した2。調査対象者を表1-1

アフガニスタン国

地雷探知器開発研究計画に係る基礎研究

報告書

平成 15 年 9 月

国際協力事業団無償資金協力部

無償計

JR

03-242

Page 2: JICA - アフガニスタン国 地雷探知器開発研究計画に …産省事業」という)に参加者している研究者を中心に実施した2。調査対象者を表1-1

目次 第1章 調査の目的と内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1-1 調査の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1-2 調査の内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第2章 研究支援無償への提言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

2-1 アフガニスタンにおける新探知技術へのニーズ ・・・・・・・・・・・・・・・4 2-2 本邦研究者の研究支援無償へのニーズ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 2-3 研究支援無償に活用可能なリソース ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

2-3-1 日本国内のリソース ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 2-3-2 アフガニスタン国内のリソース・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

2-4 研究支援無償実施上の留意点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 第3章 研究支援無償の実施体制案 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

3-1 基本的な考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 3-2 関係者とその役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 3-3 開発者に求められる要件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 3-4 開発者の選定方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 3-5 必要な事業費 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 第4章 地雷探知技術の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11

4-1 地雷処理の一般的な流れ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 4-2 地雷探知・除去技術・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

4-2-1 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 4-2-2 技術各論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

第5章 国内ヒアリング調査および現地調査の結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

5-1 国内ヒアリング調査の結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 5-2 現地調査の結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 第6章 地雷探知器の評価基準および作業手順 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29

6-1 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 6-2 アフガニスタンにおける評価基準・作業手順 ・・・・・・・・・・・・・・・ 29

6-2-1 技術・探知器の評価基準 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 6-2-2 地雷探知作業手順 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

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第 1章 調査の目的と内容

1-1 調査の目的

近年我が国は、途上国、特にアフガニスタン国(以下「ア国」という)の地雷処理1活動

に我が国の優れた技術を活用することを目的として、本邦の研究機関における地雷処理技

術の開発を支援する事業を行っている。文部科学省や経済産業省は、傘下の事業体の補助

金事業を通じた支援を、外務省は研究支援無償等の政府開発援助(Official Development Assistance: ODA)を通じた支援を行っている。 地雷処理機材(地雷探知器、地雷除去機)の開発においては、現場の状況(地勢・植生、

技術レベル)を踏まえて機材を開発し、その後に実証試験を行いつつ、改良を加えること

が必要とされている。我が国外務省は、研究支援無償を通じて、現地での調査や実証試験

に必要な経費(渡航費、滞在費、機材輸送費等)の支援を行う方針で、平成 14年度には「対ア国地雷除去機開発研究計画」を実施し、本邦の開発団体とア国関係者の共同作業による

対人地雷除去機の開発を支援している。 今般我が国外務省は、研究支援無償「地雷探知器開発研究計画」を通じて、地雷の探知

技術・機材の開発を支援することを決定した。この計画では、我が国の地雷探知器開発機

関(企業、大学等)が、ア国の地雷埋設現場において実施する実証試験等のための経費等

が支弁される予定である。 外務省は、本計画の実施方法の検討や概算事業費算定に関する調査を事業団に指示した。

しかし、我が国の地雷探知技術・機材開発状況等に関する情報は皆無であり、研究支援無

償の対象となりうる技術や実証試験の内容等も不明である。 従って、通常の事前の調査に代えて本基礎研究にて、我が国の地雷探知技術・機材の開

発状況についての基礎的情報を入手・整理する。その上で研究支援無償実施の可能性およ

び実施方法等の検討を行うこととした。 1-2.調査の内容 本基礎研究では、日本国内の地雷探知技術開発者(民間企業・大学の研究者)に対して

探知機材・装置の開発状況、実用化の見通し等についてアンケートやヒアリング調査を実

施した。次にア国での現地調査を行い(平成 15年 6月 21日~27日)、調査結果に基づいて研究支援無償の実施方法等について検討した。 我が国の地雷探知技術開発団体の数は多く、全てを調査対象とすることは不可能であ

るため、ヒアリング調査は、文部科学省の「人道的観点からの対人地雷の探知・除去活

動を支援するセンシング技術、アクセス・制御技術の研究開発」事業(以下「文科省事

業」という)および経済産業省の「課題設定型産業技術開発費助成金」事業(以下「経

1 本編では土中の地雷を探し出すことを「探知」、地雷を取り除くことを「除去」、探知から除去にいたる一連の作業を「処理」と定義する。

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産省事業」という)に参加者している研究者を中心に実施した2。調査対象者を表 1-1に、文科、経産両省の事業の研究概要を表 1-2、1-3に示す。

表 1-1 アンケート・ヒアリング調査対象者(15名)(五十音順) 氏  名 所   属 職  位 参加事業荒井 郁男 電気通信大学電気通信学部電子工学科 教 授 文科省井口 哲 名古屋大学工学研究所 教 授 文科省池上 友博 ㈱タダノ技術研究所 所 長 -糸崎 秀夫 独立行政法人 物質・材料研究機構 ディレクター 文科省井上 義高 ジオ・サーチ㈱調査部 専門部長 文科省牛島 恵輔 九州大学大学院工学研究科地球資源システム工学専攻 教 授 -河村 量介 川崎重工業㈱営業推進部プロジェクト室 参 与 経産省久保田 兼士 フジテコム㈱技術開発センター 所 長 -検見崎 徹 三井造船㈱メカトロシステム営業部 課 長 経産省佐藤 源之 東北大学北東アジア研究センター 教 授 文科省杉本 末雄 立命館大学理工学部電気電子工学科 教 授 文科省都甲 潔 九州大学大学院システム情報科学研究所 教 授 文科省野波 健蔵 千葉大学工学部電子機械工学科 教 授 文科省広瀬 茂男 東京工業大学大学院理工学研究科 教 授 文科省藤原 雅弘 ㈱コス 代表取締役 経産省吉川 潔 京都大学エネルギー理工学研究所 教 授 文科省

表 1-2 文部科学省事業の研究概要

センシング技術(1)研究代表者 所属機関名 所属・役職 研究課題名佐藤 源之 東北大学 東北アジア研究センター教授 地雷検知用ウエアラブル・SAR-GPRの開発荒井 郁男 電気通信大学 電気通信学部電子工学科教授 反射波と透過波の複合受信による地雷探査レーダの開発杉本 末雄 立命館大学 理工学部電気電子工学科教授 UWB地中レーダによる超高感度地雷探知技術の確立センシング技術(2)研究代表者 所属機関名 所属・役職 研究課題名吉川 潔 京都大学 エネルギー理工学研究所所長 超小型放電型中性子源による地雷探知技術の開発井口 哲夫 名古屋大学 工学研究科教授 地雷探査用高度化即発ガンマ線分析システムの開発都甲 潔 九州大学 大学院システム情報科学研究科 教授 爆薬分子を超高感度で認識するバイオセンサの開発糸崎 秀夫 独立行政法人

物質・材料研究機構超伝道材料研究センターディレクター SQUID-NQR地雷化学物質探知技術開発

アクセス・制御技術研究代表者 所属機関名 所属・役職 研究課題名池上 友博 株式会社タダノ 技術研究所所長 地雷の探知ユニットのアクセス用機械の研究開発広瀬 茂男 東京工業大学 大学院理工学研究科教授 バギー車両・遠隔操作アームなどによる地雷探知除去支援

システムの開発センシング技術とアクセス・制御技術を合わせた技術研究代表者 所属機関名 所属・役職 研究課題名福田 敏夫 名古屋大学 大学院工学研究科マイクロシステム工学

専攻教授環境適応型高性能対人地雷探知システムの研究開発

野波 健蔵 千葉大学 工学部電子機械工学科教授 地雷探知ロボットと無人処理車による地雷除去支援井上 義高 ジオ・サーチ株式会社 調査部 専門部長 (未舗装)道路に埋設された地雷探知システムの研究開発

出典)科学技術振興財団

2 「事業参加者」よりも「事業への応募者」を対象とすることが望ましいが、応募者の情報は非開示であるため、調査対象外とした。

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表 1-3 経済産業省事業の研究概要

出典)新エネルギー・産業技術総合開発機構

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第 2章 研究支援無償への提言 2-1 アフガニスタンにおける新探知技術へのニーズ 現在のところ、地雷探知技術の中心は金属探知技術であり、ア国においても同様である。

ア国では、イタリアの Ceia社の探知器が、デファクトスタンダードになりつつあり、ア国で地雷処理を行っている NGOも既存の探知器を同社の探知器に置き換えつつある(表 2-1参照)。将来的には、Minelab社、Vallon社の探知器も導入される可能性もある(第 6章参照)。 他方で金属探知器は、精度向上に伴う作業効率の低下という問題を抱えている。数個の

地雷を処理するために 1 万個以上の金属片を除去しなければならない状況も存在するといわれる3。ア国では、推定 1,000万個以上もの地雷を 10年間で全て処理することとなっているが、そのためには、地雷のみを的確に探知できる探知器を導入し、作業の効率性を向上

させることが重要である。 UNMACA4やNGOも地雷探知器の性能向上が必要と考えているが、100%の探知精度ま

では求めていない。彼らとしては、地雷原を特定する「地雷原調査」の効率性を向上させ

ることを希望しており、最終的には、人手(金属探知)と地雷犬による確認が必要と考え

ている。従って、地雷探知器としては、地雷のみを的確に探知し、シンプルな構造で維持

管理がしやすく、かつ低価格な機器の開発を望んでいる5。

表 2-1 NGOの金属探知器利用状況

機種名 メーカー名 生産国使用中機材数

使用停止中機材数

MIL-D1,1EA, Ver3.30 CEIA イタリア 427 0GA-72 CD (Magnetic locator)Schonstedt アメリカ 56 0AN 19/2 Schiebel オーストリア 0 543Vallon - ドイツ 0 4White - イギリス 0 6

MIL-D1,1EA, Ver3.30 CEIA イタリア 206 15GA-72 CD (Magnetic locator

2

)Schonstedt アメリカ 50 0Large Loop Ebinger ドイツ 13 2AN 19/2 Schiebel オーストリア (148) 92

MIL-D1,1EA, Ver3.30 CEIA イタリア 90 0

Afghan Technical Consultant

Demining Agency for Afghanistan

Danish Demining Group

出典)調査票回答

3 三菱総合研究所ホームページ(http://www.mri.co.jp/COLUMN/TODAY/TOYOSHIMA/2002/0409TD.html) 4 United Nations Mine Action Center for Afghanistan 5 「平成 14年度汎用技術実態調査報告書(対人地雷処理装置の導入に係る基準等調査)」(平成 15年 3月 ㈱三菱総合研究所、経済産業省委託事業)

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2-2 本邦研究者の研究支援無償へのニーズ 今回の調査の結果、研究者は探知器の研究開発における現地実証試験の必要性を認めて

いる。他方で、資金不足、治安問題、現地機関とのコネクション不足等を大きな阻害要因

と考えてもおり、特に大学等の公的な研究機関においては、資金不足の問題が大きな足枷

となっていることも考えられる。 ㈱コスのように、海外の現場で何度も実証試験を行った研究機関は稀であり、大部分の

研究機関は、防衛庁の施設や独自の実験室等で擬似的な実証試験に取り組んでいるに過ぎ

ない。しかし、実際の地雷埋設地の環境(土壌、気候、地勢等)を日本で再現することは

不可能であり、試験結果の信頼性も限定的とならざるを得ない。 研究支援無償による今回の計画は、資金援助のみならず日本・ア国双方の公的機関のサ

ポートも受けられるため、地雷探知器を開発している研究者にとって非常に有益といえる。

ヒアリングの結果においても、今回の計画に対する研究者の期待が高いことも確認できて

おり、将来的なニーズは大きいと思われる。 2-3 研究支援無償に活用可能なリソース 2-3-1 日本国内のリソース 我が国では、今回調査対象とした研究機関以外にも、大学等の多数の研究機関において

地雷探知技術の開発が進められているが、開発状況は様々である。今回調査した㈱コスの

ように、カンボジア等で数度の実証試験を行っている機関から、理論研究に着手したばか

りの研究者まで千差万別であるが、一般論としては、現時点で実証試験に投入可能なレベ

ルの探知器を完成させている研究機関は少ないと推測される。今回の調査の結果によれば、

現時点で実証試験に投入可能な機材を開発しているのは 6団体程度であった(第 5章参照)。 従って、今回の計画において、プロトタイプの完成等を参加要件とする場合には、応募

可能な研究機関の数は限られると思われる。しかし、近い将来、特に文科省や経産省の研

究事業が終了する平成 17年度以降には、実証試験に投入可能な機器を開発している研究機関の数も増加するものと考えられる。

表 2-2 試作機完成予定時期 研究/開発機関 センサータイプ 形状 試作機完成予定時期

㈱コス GPR+金属探知器 携帯型 H15年9月頃三井造船㈱ GPR+金属探知器 携帯型 H16年3月頃ジオ・サーチ㈱ GPR 携帯型 H16年1月頃千葉大学 GPR+金属探知器 車輌搭載型 H16年5月頃川崎重工㈱

GPR+金属探知器+赤外線カメラ等

車輌搭載型 H16年3月頃九州大学 比抵抗電気探査 携帯型 3ヶ月程度で製作可能

出典)ヒアリング結果

2-3-2 アフガニスタン国内のリソース 本計画のカウンターパート機関としては、UNMACAや NGOが適当と考えられる。

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UNMACAは、平成 14年度研究支援無償「対アフガニスタン地雷除去機開発研究計画」 におけるア国側の代表機関であり、地雷処理の技術開発に関するノウハウのみならず研 究支援無償の手続等にも通じていると思われる。 また、UNMACAを通じてMCPA6やMETA7をはじめとするNGOの協力を取り付け ることは可能であり、地雷除去作業員の手配や試験サイト確保の問題もないと考えられ る。

2-4 研究支援無償実施上の留意点 (1) 支援対象技術 我が国の地雷探知技術の研究においては、純粋な地雷探知技術から応用技術(アクセ

ス、制御技術との融合)までの幅広い分野が対象となっている(第 4 章参照)。しかし、研究支援無償にてこれら全ての分野の機器を支援対象とすることは、将来の実用化の可

能性や予算上の制約を踏まえれば現実的ではないと考えられる。 ア国の場合、UNMACAやNGOは、シンプルで低価格な探知器の開発を希望しており、

また、我が国としても、早期の実用化が期待できる機器への支援を重点的に行っている。

こうした点を踏まえて、支援対象分野・機器を選定する必要があると思われる。

(2) 機器の性能評価基準の整理 実証試験においては、各研究者が各々必要とする試験を行い、問題点や課題を抽出す

ることが原則である。研究機関は、実証試験の結果を踏まえて、機器を改良することと

なる。 他方、ア国側としては、将来の実用化の場合も考えて、統一的な手続と評価基準に則

って各機器の性能を評価することが必要となる。 UNMACAやNGOは探知器に求める要件として、「地雷のみを的確に探知できること」、

「シンプルな構造であること」、「安価であること」等の漠然とした意見は持っているも

のの、数値化した評価基準等を整備している訳ではない。今回の調査を通じて、ア国側

に整理する必要があることを説明したものの、現時点で成果は出ていない。 従って、本計画を実施する場合には、少なくとも研究者を公募する前の段階までに評

価基準を整理しておく必要があると思われる。

6 Mine Clearance and Planning Agency 7 Monitoring Evaluation and Training Agency

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第 3章 研究支援無償の実施体制案 3-1 基本的な考え方 調査結果に基づいて、研究支援無償による我が国地雷探知器開発支援(以下「プロジェ

クト」という)について、①現地事前調査、②機材の開発・改良、③現地実証試験・評価

の各段階を組み込むことを考え、表 3-1、図 3-1に示すプロジェクト実施案を作成した。 先ず、我が国の開発者(後述の選定プロセスを経て選定される)は、ア国に技術者を派

遣して現地の自然条件、技術員のレベル等の情報を収集するとともに、現地の技術者から

アドバイス等をうける。 開発者は、収集した情報を基に機材の開発・改良を行い、次に機材を現地に持ち込み、

定められた試験方法に基づいて実証試験を行い、最終的な評価を下す。

表 3-1 実施スケジュール案 必要期間 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

事前の準備プロジェクトの公示開発者の選定 ▼開発者による現地調査機材製作ア国技術者の確認 ▼現地試験準備(打合せ、機材輸送等)ア国実証試験実証試験の評価 ▼事後の整理

3-2 関係者とその役割 (1)ア国側関係者 ア国政府内で地雷対策活動を所管する組織は、大統領府災害対策庁地雷除去局であるが、

実質的な業務は UNMACAへ移管されている。 ① 災害対策庁(Office of Disaster Preparedness: ODP) ア国側の実施機関として、プロジェクト実施の全責任を負う。 ② UNMACA

UNMACAは、ア国の地雷処理活動全般を統括する国連機関で、プロジェクトにおける最も重要な組織である。ODPの委託を受けて、プロジェクトの全般を取り仕切り、災害庁や関係NGOおよび実施代理機関(後述)との連絡・調整業務を行う。また、選定委員の派遣や試験方法・評価基準の整理等を行う。

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ア国政府

UNMACA

NGOs実施代理機関

開発者

アフガニスタン地雷埋設地帯

現地試験

実施代理契約

公募・プロポーザル提出

製作・輸送・現地試験

・技術サポート・用地提供等

総合管理

・技術サポート等

請求・支払い

相互調整

委員会

評価

評価結果報告技術者派遣等

図3-1 実施体制図案

③ NGO UNMACAの指示の下、本邦開発者に対する情報提供、技術者派遣、現地実証試験サイトの提供等を担当する。また、METAは、UNMACAとともに実証試験の方法、評価基準を策定し、それに基づいて各機材の評価を行う。 なお、プロジェクトに協力するNGOは、現地調査の際のUNMACA、NGOおよび本邦開発者による協議を経て決定される。 1) 日本側関係者 ① 外務省 プロジェクト資金の供与を行うとともに、必要な実施促進業務を行う。

② 実施代理機関 ア国政府(災害庁)との実施代理契約に基づき、ア国政府の代理人としてプロジェ

クト全体を監理する組織。ア国関係者や本邦開発者との連絡調整、本邦開発者の選定

やプロジェクト実施経費(後述)支払いに必要な諸々の業務を担当する。 ODPの実施能力を踏まえれば、プロジェクトの円滑な実施、ア国側負担の軽減のためには必要と思われる。

③ 開発者 地雷探知器を開発し、実証試験を行う。日本の民間企業や研究機関等の中から、公

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募を経て選定される。 3-3 開発者に求められる要件 本案に基づいて研究支援無償が実施される場合、本邦開発者に求められる最低限 の資格要件は、次のとおりと考えられる。 (1)定められた期限内で探知器を製作し、かつ現地実証試験まで参加可能な技術的、

経営的能力を有する日本の法人、研究機関等であること。 (2)有能な技術者が複数在籍しており、当該技術者を長期に亘ってア国に派遣するこ

とが可能なこと。 3-4 開発者の選定方法 我が国の補助金事業等では、参加希望者から提出されるプロポーザルを評価し、優れ

た提案を行った者を補助対象とすることがある。この場合、有識者等からなる委員会が

設置され、同委員会が評価を下すことが一般的である。 本プロジェクトの開発者選定においても、この方式を踏襲することが合理的と考えら

れ、公示および委員会による評価というプロセスを経ることで、公平性、透明性を確保

しつつ、能力の高い開発者を選定することが可能と思われる。 具体的な選定過程は次のとおり。 ① ア国政府から任命された複数の有識者等を委員とする選定委員会を設置する。 ② プロジェクトの公示 ③ 参加希望者からのプロポーザル提出 ④ 選定委員会によるプロポーザルの評価 ⑤ 選定委員会からア国政府への評価結果報告 ⑥ ア国政府による開発者の決定と通知 ア国政府は、プロポーザルの記載要領や評価基準等の必要事項を公示前に決定してお

く必要がある。

3-5 必要な事業費 調査結果や類似案件(平成14年度「対ア国地雷除去機開発研究計画」)を参考に、本プロジェクトに必要な事業費を検討した(図3-2参照)。 ① プロジェクト実施経費 本邦開発者が、現地調査や実証試験等を行うために必要とする経費(旅費、宿泊費、

機材輸送費等)である。なお、研究支援無償の趣旨を踏まえ、機材開発費は含まれ

ないこととする。 精算払い方式にて支払われるため、実施代理機関による精算確定を経て、開発者が

必要とした金額または上限額のうち、安価な金額が支払われる。

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② プロジェクト管理経費 開発者選定に必要な経費、ア国 NGO関係者への対価等から構成される

③ 実施代理機関への報酬(実施監理費)

図 3-2 事業費の構成案 また、1機材あたりの概算の事業費(案)は、下表のとおりと考えられる。今回の調査結果

表 3-2 概算事業費(案)

プロジェクト実施経費

プロジェクト管理経費実施監理費

交換部品、消耗品、翻訳費、工具

内陸輸送費、梱包費、船積諸掛、海上輸送費、現地港湾費、内陸輸送費、輸送保険料

技術者旅費、車両借上げ、通訳費、通信費、運搬費、維持修理費、燃料費、油脂費、機材(トレーラー等)レンタル料、報告書作成費

アフガン側選考委員の旅費、滞在費日本側選考委員の交通費・謝金、開発団体の現地調査旅費公募事務経費(広告費、書類作成費、会議費

人件費、医療費、食事手当「ア」国側技術者の工場検査立会旅費

医薬品費、厚生品費、燃料費、車両維持修理費、車両レンタル料、車両登録費(除去機関)機材費、車両・機材維持修理費、機材運搬費、報告書作成費(モニタリング機関)

上限があり精算を行う経費

事業費 プロジェクト管理経費

人件費

試験協力機関経費運営費

現地活動費

公募経費

実施監理費

物品費

プロジェクト実施経費 輸送費

(第 5 章参照)を踏まえて、支援対象機材としては、純粋な地雷探知器と複合型(車両搭載型等)を想定している。

地雷探知器 14.78複合型地雷探知器 35.89

5.9516.31

金額(百万円)区分

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第 4章 地雷探知技術の概要

-1 地雷処理の一般的な流れ スはほぼ定型化している。各段階の作業手順等は、基本的

図 4-1 地雷処理のプロセス

(1)地雷原特定(レベル 1サーベイ) )を対象に、地雷埋設の疑いがある地域

(2

潅木や山積する瓦礫等を除去し、整地する作業。カンボジアや

機や対爆装甲を施

4 地雷探知および除去のプロセ

に国連等が定めたガイドラインに沿うものの、具体的な手続は各現場でそれぞれ決定され

るのが一般的である。図 4-1に典型的な作業フローと作業内容を示す。

地雷原特定

(レベル1サーベイ)

地雷除去・処理

除去確認(精査)(レベル3サーベイ)

地雷探知(概査)(レベル2サーベイ)

植生除去・整地

・現場ヒアリング ・文書調査 等

・マニュアル処理 ・地雷除去機での破砕

金属探知器での探査

金属探知器での探査

・潅木除去機での伐採・大型重機による整地

作業フロー 作業内容

比較的広範囲な地域(数km2以内

Suspected Area: SA)を抽出するための調査。戦闘記録や地雷埋設地図、地雷被害者の発生状況調査、地元住民からの聞き取り調査等が行われる。 )植生除去・整地

地雷原に繁茂する

ベトナム等の東南アジアの地雷原においては、植生除去が地雷処理に関する総業務

量の 70%を占めるといわれている。他方、中央アジアなどの乾燥した地域の国においては、植生除去の必要はないものの、瓦礫等の処理が必要である。ア国におい

ては、紛争で発生した瓦礫の除去が大きな問題となっている。 植生および瓦礫の除去作業には、建設機械を改良した潅木除去

した建設機械等が用いられている。

11

Page 14: JICA - アフガニスタン国 地雷探知器開発研究計画に …産省事業」という)に参加者している研究者を中心に実施した2。調査対象者を表1-1

(3

雷を探知し、マーキングする。

地点において、地雷処理作業員が地雷を確認または摘出する作業。

(5 イ) れたかを確認する作業。作業内容は(3)と同じ

-2 地雷探知・除去技術

必要とされる技術は、「センシング技術」、「アクセス技術」および「制御技術」

は、レベル 1~3のサーベイに用いられる地雷探知技術であるが、各レベ

地雷原を区分することであるため、戦闘記録や

する技術が求め

等、既存の車両が対応できない

は自律的に制御す

-2-2 技術各論 られているセンシング技術、アクセス技術および制御技術の概要は以下

)地雷除去(レベル 2サーベイ) 金属探知器や地雷犬等を用いて地

(4)地雷除去・処理 マーキングされた

シャベルや刷毛、金属棒等が用いられる。地雷は原位置で爆破されるか、移設されて

まとめて爆破処理される。 )除去確認(レベル 3サーベ

当該地域の地雷が、完全に除去さ

である。

44-2-1 概要 地雷探知に

に大別される。 センシング技術

ルに応じて技術および探知精度は違う。 レベル 1 サーベイの目的は、地雷原と非地雷埋設地図、地雷被害者の発生状況等の比較的精度の低い情報に基づいて実施されて

おり、通常探知器等の機器は使用されない。他方で、安全性の向上と作業の効率化を目

的として、人工衛星や飛行体(飛行機、気球等)からのリモートセンシングを利用した

広域探知技術の開発が進められているが、実用化には至っていない。 他方、レベル 2および 3サーベイにおいては、埋設地雷を 100%探知られる。現在のところ、金属探知器や地雷探知犬の探知精度や作業性を上回る技術はな

い。しかし、地雷探知器の主流である金属探知器は、地雷とは関係のない金属への反応

による作業効率の低下という問題を抱えている。また、地雷犬も長時間の作業には耐え

られない。こうした点を踏まえて、地雷のみを的確に探知する技術・機器の開発が現時

点での最大の目標であり、我が国を含む先進各国においてレーダーやバイオセンサー技

術(後述)を活用した機器の開発が進められている。 アクセス技術の開発では、傾斜地や不整地、灌漑地域

地域へのアクセスが可能な軽車両やロボット等の開発が進められている。遠隔制御また

は自律稼動が可能で、小型かつ機動性の高い機器が望まれている。 制御技術は、地雷探知センサーや車両、ロボット等を遠隔操作もしく

るための技術で、アクセス技術と同じく我が国の優位性が高い分野といわれる。 4 現在開発が進め

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のとおり。 (1) センシング技術

属探知) あり、金属と土壌等の非金属の電気伝導度の差異を計

)地中レーダー技術(GPR: Ground Penetrating Radar)

元々は地中の空洞探知等

の最大の長所は、金属および非金属双方の地雷の探知が可能なことである。他

属探知技術との

3)比抵抗技術

源探知や遺跡発掘等に使われていた技術で、地雷と土壌との電気伝導

1)電磁誘導技術(金

現在の地雷探知技術の主流で

して地雷を探知する。携帯性に優れ、かつ低価格な金属探知器が開発されている。 金属探知技術は成熟技術であり、我が国の産業界においても非破壊検査等に利用さ

れている。しかし、地雷探知用の金属探知器に限れば、我が国の開発実績は皆無であ

り、オーストラリアやオーストリアの企業の探知器が事実上の世界標準となっている。 金属探知器の精度は極めて高く、プラスチック地雷(金属使用量 1g以下)の探知も可能である。しかし、探知精度の向上に伴って、地雷とは関係ない微小な金属片や土

壌の鉄分等にまで反応してしまうため、作業効率が低下するという問題がある。

次世代の地雷探知技術として開発が進められている技術。

に利用されていた技術で、地中に向けて電磁波(300MHz~30GHz)を照射し、埋設物からの反射波を解析し、画像(抽象図形)化することにより地雷を探知する方法で

ある。 GPR方、高い周波数の電磁波を用いると画像の分解能は向上するが、土中での減衰が大き

くなるため探知深度は浅くなる。また、地雷と周囲の土壌の誘電率の差が大きいほど

探知能力は向上するが、双方の誘電率は一部重複することもあり、その場合は探知が

困難となる。更に地表面の凹凸や土壌の不均質性が大きい場合は電磁波の乱反射が発

生し、地雷からの反射を区別することが難しくなる等の課題も多い。 従って、GPR 単体での地雷探知器の開発は困難といわれており、金併用(センサーフュージョン)による複合センサー技術の開発も進められている。

従来、鉱物資

度の違いに着目したセンシング技術である。大地に電流を流した場合に地表面に形成

される電位分布を測定して見掛け比抵抗値(電気伝導度の逆数)を求め、地中の比抵

抗異常体を探知する。金属、プラスチック、土壌の電気伝導度は夫々違うため、金属

およびプラスチック地雷双方を探知できる。最近は膨大な測点をコンピュータ制御で

自動測定し、非線形最小 2乗法を用いて測定結果に最もフィットする 2次元あるいは 3次元の比抵抗分布を求めることも可能となっている。

13

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4)超音波技術(Ultrasonic Imaging) を画像化することにより地雷を特定する技術

土壌における伝導性が高いため、水中の物体 に

)赤外線センサー技術(Infrared Imaging)

の熱放出量の差異を感知する。 は探

6)バイオセンサー技術 生物材料(微生物、酵素、抗体、細胞等)の優れた分子認識

クロバランス(QCM:Quartz Crystal

luene)に

超音波(20kHz~)に対する反射波あり、原理はGPRと同じである。 超音波は、粘性土壌や含水量の多い

対する探知能力は高いものの、地面の整地状況等に影響を受けやすく、複雑な地

形での探知は困難である。従って、超音波技術のみを用いた研究開発には限界があ

るとされている。

赤外線カメラやセンサーにより地雷と土壌

広域探知が可能であるものの、地雷と土壌の熱放出量の差異が小さい場合に

精度が極端に落ちる(特に日中)。また、探知可能深度が10~15cmと浅い。 赤外線探知技術は、産業技術分野で幅広く利用されており、日本の技術水準は

に高い。しかし、成熟技術であることに加え、上述した欠点もあるため、金属探

知器や地中レーダー等と組み合わせた複合センサー技術の開発が進められている。

バイオセンサーとは、

能力を活用した計測デバイスである。基盤に固定化された生物材料が、特定の物質を

認識したときに発生する物理的・化学的変化をトランスデューサーにより電気信号に

変換して出力する。酵素センサーや微生物センサー等があり、一部実用化されている。 トランスデューサーには、主に光学系と質量系のものがある。光量を検出するトラ

ンスデューサーには、表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)がよく使われている。基盤表面に固定された抗体にビームを照射すると表面プラズモン

(固体表面に発生するプラズマ)が発生する。ビームの照射角により表面プラズモン

の強度も変わり、共鳴によって最強となる角度を求めることができる。この変化によ

り試料中の抗原量を測定することができる。 また、質量変化の検出には、水晶振動子マイ

Microbalance)が用いられている。振動子の電極表面に反応物質を固定し、それが化学変化を起こす際の重量変化を振動子の発振周波数の変化を通して探知する。 地雷探知においては、微量ながらも蒸発している火薬中の TNT(Tri Nitro To反応する生体物質が利用される。この技術は、地雷のおおよその埋設地点を探知す

るためのものであり、埋設地点や深度を特定することは出来ないため、他の地雷探知

技術(金属探知や GPR等)との併用も考えられている。

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表 4-1 各分析機器の比較表

SPRセンサ QCMセンサ ガスセンサGCMS

(ガスクロマトグラフィー)

検出原理SPR(表面プラズモン共鳴)を利用した屈折率変化

QCM(水晶振動子)の固有振動数変化

酸化物半導体の電気抵抗変化 移動速度の違いによる物質分離と質量分析

検出感度 10pg(ピコグラム) 1ng(ナノグラム) 1ug(マイクログラム) 10ppb~1ppt

単位 1g = 1,000,000,000,000pg 1g = 1,000,000,000ng 1g = 1,000,000ug1ppb = 10億分の1の濃度1ppt = 1兆分の1の濃度

解析時間 3分 3分 1分 20分携帯性 大 大 大 小価格 安価 安価 安価 非常に高価

検出・識別方法 抗原抗体反応 抗原抗体反応非選択的

(特定物質への選択性なし)アフィニティー法と

質量分析 出典)爆薬分子を超高感度で認識するバイオセンサーの開発 九州大学

7)核磁気共鳴法(NMR: Nuclear Magnetic Resonance)

る。このエネルギー格差

磁気共鳴を探知する技術の開発が進め

)熱中性子励起技術(TNA: Thermal Neutron Activation)

ron-inducted Prompt

捕獲すると励起状態に達して複合核

線のスペクトル分析、強度分析を通じて元素と含有量を特定

薬中の窒素を高精度で探知することが可能であるが、探知

2) アクセス技術

アクセス技術 ことを目的として、地雷探知センサーを搭載した飛行

強磁場中の原子核内には2つのエネルギー状態が存在す相当する電磁波を原子核に照射すると共鳴現象が発生して電磁波は吸収される。

この現象を核磁気共鳴といい、その現象を探知する方法を核磁気共鳴法という。核

磁気共鳴を利用した映像診断法は核磁気共鳴診断法と呼ばれ、医療現場ではX線技術と並ぶ映像化法として利用されている。 地雷探知においては、TNT 中の窒素の核れている。原理的には極めて高い精度での地雷探知が可能であるが、大型の強磁

場発生装置が必要であるため、実用化の目途は立っていない。

熱中性子励起技術は、中性子即発ガンマ線分析(PGA:NeutGamma-ray Analysis)等の名称でも呼ばれる。 原子核は、熱中性子等の低エネルギー中性子を

形成する。この複合核は、即発γ線(捕獲γ線)を放出し、放射性核種や安定核種

になる。生成核種が放射性の場合には、さらに壊変粒子(α・β粒子等)とγ線を放

出して安定核種になる。 TNAは、放出されるγる技術である。水素(H)、ホウ素(B)、窒素(N)、珪素(Si)、りん(P)、硫黄(S)等の分析が可能である。 地雷探知においては、爆

能深度が浅く(約 10cm程度)、必要な機器の開発も進んでいないことから、実用化には至っていない。

1)飛行物体による

レベル 2 サーベイに使用する

15

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)車両アクセス技術

載させることが可能な小型車両の開発が進められている。対戦

3)歩行機械によるアクセス技術 狭隘な場所、植生がある区域にアクセスするための

(3) 制御技術

探知・除去技術の開発のコンセプトは、遠隔制御・自律制御型の機材に

ーや除去装置等を制御する技術、およびそ

体を超低空(数 m以下)で飛行させる技術が開発されている。現在は農薬散布用の小型ヘリコプターや飛行船をベースとした機器の開発が進められている。また、遠隔

操作や自律制御、ナビゲーション技術の開発も進んでいる。

探知器や除去機を搭

地雷に触雷する危険性が高い重機ではアクセスできない区画においては、軽車両は

有効である。また、機動性も高いため、インフラが不十分な地域や不整地へのアクセ

スにおいても重機より優れている。また、コスト面での比較優位性もある。大学や重

機メーカー等が様々な車両の開発に取り組んでいる。

小型車両ではアクセスできない

技術として、歩行ロボットの研究開発も進められている。我が国のロボット技術の水

準は極めて高く、大学等においてクモ型ロボット(千葉大学工学部等)等の開発が進

められている。

現在の地雷

より作業を「無人化」することである。 前述の車両やロボット等に加えてセンサ

れらを一括して制御する技術の開発が進められている。

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第5章 国内ヒアリング調査および現地調査の結果

1 国内ヒアリング調査の結果 電子工学科(荒井 郁男教授)

あり、約 20年前に地中

の複合受信による地雷探知レーダー」の開発に取り

2)名古屋大学工学研究科(井口 哲夫教授)

地で研究が進められ

20cmの深さの 30g程度の地雷まで探知・位

知器本体に加えて制御装置、データ解析装置、電源装置等が必要であり、

、地面の起伏の影響を受けにくい

予定時期は 2005年度後半になるとのこ

5-(1)電気通信大学電気通信学部

荒井教授は、我が国の地中探知レーダー開発における先駆者で

レーダーの研究に着手し、その後 4~5年で地中埋設物の有無を確認する技術を開発した。 現在は探知能力を高める研究を行っており、地下約 10m程度まで確認できる遺跡探知の技術の開発に取り組んでいる。 文科省事業では、「反射波と透過波

組んでいる。20 個程の小型探知レーダーを高密度で並べて使用する方法(アレイ方式)を採用し、地雷の分布状況を精密に映像化する技術を研究しているが、実験室レベルの

研究にとどまっており、実用化の目途は立っていない。

爆薬中の窒素に中性子を衝突させた際に発生する即発二次γ線の分析(中性子即発γ

線)により地雷の探知と位置同定を行う研究に取り組んでいる。 γ線分析技術は、空港での手荷物検査への応用を目指して世界各

いたが、地雷探知に応用する上では、中性子の発生強度の不足およびγ線探知器の検

出感度と信号対ノイズ比の不足が課題となっていた。しかし、コンパクトな加速器中性

子源として、従来型の約 10倍の発生強度をもつ中性子発生管が開発されるとともに、高感度かつ高機能(エネルギーおよび入射方向探知)γ線検出器も開発されつつあり、技

術的課題は徐々に解決に向かっている。 同教授が研究している機材は、計算上、地下

置同定することが可能である。また、10分間で 1m×1mの領域を探知することを目標としている。 約 150kgの探システムの総重量は約 400kgにもなる。また、放射線遮蔽壁付の重機も必要となるため、 可搬性の点では解決すべき課題もあると思われる。 γ線分析技術は、即発γ線の高い物質透過性により

ものの、土壌成分により探知能力が変化する。例えば、塩分濃度が高い土壌における探

知能力は低くなる(地雷探知に必要な熱中性子が塩素原子に捕獲されるため)が、逆に

金属探知器や地中レーダーが苦手とする含水量の高い土壌での探知能力は高い。この他、

装置を地面に近づける程検出効率は向上する(埋設地雷を見込む立体角が増すため)等、

装置の幾何学的配置に影響される側面もある。 現在の計画によれば、プロトタイプ装置の完成

とである。

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(3)物質・材料研究機構超伝導材料研究センター(糸崎 秀夫ディレクター) で検出

ずみ

(4)ジオ・サーチ㈱(井上 義高調査部専門部長) ら GPR を用いた地雷探知器の開発

であり、カンボジ

る地雷の映像化

出典)国内調査票回答

(5)九州大学大学院工学研究科(牛島 恵輔教授) 牛島教授他 3 名の九州大学の教授は、NGO「九州大学地雷探知グループ(Kyushu

リコプター、飛行船による空中物理

ラジオ波(MHz帯)を爆薬に照射した際に生じる核四極共鳴を超高感度磁束計し、地雷の探知・位置同定を行う方法を研究している。TNT 火薬は、0.7MHz で共鳴することが判明しており、その他の火薬も 0.7~5MHzの間で共鳴するといわれる。 この技術は、他の技術と比較して爆発物自体の認識探知能力が高い。原理は実証

あり、実用化研究の段階にある。

同社は空洞探知装置等を開発しており、1995 年かに取り組んでいる。1998年からは、日本 IBM、オムロンとの共同開発に着手するとともに、NGO「人道目的の地雷除去支援の会」の活動を支援している。 GPRセンサーを搭載した対人地雷探知器「マインアイ」を開発済み アやタイでの地雷原における実証試験を行いつつ改良を進めている。マインアイの開発

コンセプトは次のとおり。 ① 合成開口処理技術8によ

② 土壌、気候、地形による影響の最小化 ③ 金属探知器と同等の携帯性、操作性の確

図 3-1 マインアイ

University Mine Action Group)」を組織し、①無人ヘ探知、②大型地雷除去機による地雷除去、③地上での高精度物理探知(比抵抗測定技術)

8人工衛星や軍事用偵察機等に使用されている探知技術。従来の技術よりも分解能力等が優れている。

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の 3段階アプローチによる地雷処理システムの開発に取り組んでいる。 第 1 段階の空中探知においては、超小型の無人飛行船や既存の自律飛行型ヘリコプターに磁気傾度計、サーモカメラ、電波高度計、GPS(Geographic Positioning System)装置等

(30分)で作成することを目的とし

般に地雷探知機器を

同社は、平成 4 年に地雷探知・除去技術の開発に着手し、経産省事業には、遠隔制御

させるとともに、合成開口処理技

的に停止してマーキングを行う機能もある。更に GPSを使って

,500m2/時)を目指して改良に取り組んでいる。機材の写真を図 5-3に示す。

を搭載し、広範囲(1km2)の調査地域の地雷(主に対戦車地雷)を探知し、地雷分布の

デジタルマップを作成する。第 2 段階では、作成した電子地図の情報に基づいて地雷除去機(農業用耕転機)により地雷埋没深度(地下 30cm程度)までの地層を掘削し、ドラムカッターで地雷を破砕し、振動フルイで選別しながら完全に除去する。第 3段階では、図 5-2「マルチチャンネル電気探知装置」(特許取得済)を用いて最終確認を行う。この装置は、

釣竿式電気探知センサー(Mine Fishing)と解析装置からなる。システムの基本原理は比抵抗探知技術と同じであるが、複数の探知手法の中から当該地域の状況(土質、地形)に

最適なプログラムを選択することができ、金属地雷、プラスチック地雷、木製地雷等の 3次元画像(地雷分布図)をパソコン上に映像化する。 この探知器は、比較的狭い調査範囲(100m2程度)の埋設地雷の個数、種類(金属、プラ

スチック)、位置等を詳細に記録した地雷マップを短時間

ている。探知精度は、センサー電極の間隔に依存するが、曳航式(ジオトモグラフィセ

ンサー)の連続測定を行うことで 100%の探知が可能とされている。 本機器の操作法は、基本的に魚釣りと同様で特殊な技術を要しないため、探知精度が作

業員の技術レベルの影響を受けにくいという特徴がある。しかし、一

いて地雷除去作業を行う場合には、まず作業員が物理探知技術を修得する必要がある。

牛島教授からは、世界各地の地雷探知・除去作業を安全に実施するために、地雷探知に関

する事前の技術研修(1ヶ月程度)が不可欠であるという意見が出された。 (6)川崎重工業㈱(川村 量介 営業推進部プロジェクト部参与)

型の地雷探知車両の開発を目的として参加している。 総重量 8.5トンの車両には、6組(チャンネル)の GPRと磁気センサー(金属探知器)が搭載されている。STC 処理等により探知能力を向上術及びニューラルネットワークを用いて識別率を向上させている。また、紫外線カメラ

や可視カメラにより撒布地雷を探知・監視する等、マルチセンサー方式による探知能力

の向上を図っている。 同機は耐爆性にも優れ、対人地雷を踏破することも可能である。また、対戦車地雷を

探知した場合には、自動

調査対象地域の地雷分布図を作成することも可能であり、極めて多様な機能が付与され

ている。 現在は、探知深度の向上(目標:対人地雷 30cm、対戦車地雷 50cm)、処理速度の向上(目標:1

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(7)フ

同社

三井

竿 3.9m投竿 多芯ケーブル

取り組

試作

8)三

電所埋

同社

発にお

強い

知が可

テムの

同社

ドベク

式で

してい

機材

(マ サ

コネクター

天秤おもり

測定制御部

ノート型 PC

電極系 インセン

図 5-2 マルチチャンネル電気探知装置 出典)国内調査票回答

ジテコム㈱技術開発センター(久保田 兼士 所長) は産業用探知器のメーカーであり、そのノウハウを活かして地雷探知器の開発に

方式)の 2種類の探知器

メカトロシステム営業部課長) 造船は、平成元年に地中レーダーの開発・販売事業を開始し、道路空洞探知、発

金属探知技術と深部探知

ーの配置形式は、交差または並列配置

んでいる。車両搭載型と携帯型(パルスインダクション

機を完成させている。

井造船㈱(検見崎 徹

設管調査、トンネル調査、漏水調査等の実績をもつ。 は経産省事業に参加して、携帯型の複合地雷探知器の開発に取り組んでいる。開

ける目標は、①センサーフュージョン(浅部探知に強い

GPRの組み合せ)により探知精度を向上させること(深度 30cm迄の全地雷の探能)、②画像の質および視認性の向上を図ること、③操作性と携帯性に優れたシス

開発(総重量 1kg以下)の 3つである。 の地雷探知技術の特徴の 1つは、3個のレーダーを円形に配置する「3素子 3モートルレーダー」である。通常、探知レーダ

あるが、地層や地表面からの反射波の影響を低減させるため円形配置形式を採用

る。 の開発は進んでおり、16年度初頭には試作機が完成する予定である。

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図 5 雷除去機

遠隔操縦システム

ベース車両: 歩道用除雪機

耐爆性・耐弾性構造

地雷マーキング装置

散布地雷等 監視装置

センサ保持機構

罠線

ピックアップ

埋設地雷等探知装置(複合センサ、

6

チャンネル)

寸法 :長さ 6.85mx 幅 1.85mx高さ 3.32m 重量:8.5t

性能 :(1) 度) :最大 1500m2/h(@1km/h)

(2 対戦車地雷及び不発弾:深さ 50cm 以浅まで確実に探知、

対人地雷:深さ 30cm 以浅まで探知可能

(3 1.5m

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-3 川崎重工地

探知効率(速

)探知性能 :

)探知幅 :

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図 5-4 三井造船携帯型地雷探知器完成予想図 出典)国内調査票回答

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(9)東北大学東北アジア研究センター(佐藤 源之教授) 佐藤教授は、地下電磁波計測手法の開発や地中レーダーの開発と応用に取り でお

り、文科省事業の研究課題は「地雷探知用ウェアラブル・SAR-GPRの開発」である SAR: Synthesized Aperture Rader合成開口レーダー)。 センサーは、アレイ状に並べた 5 対(送受信の計 10 枚)のレーダーを縦横 1c 間隔

で移動させ、反射波を合成開口レーダーと同じ原理で多点観測する方式である。当面の

課題は、レーダーの制御と地面の凹凸による乱反射の影響の最小化であり、ロボット制

御等の導入を考えている。 また、既成の信号処理機の改良も行っており、1m2の処理を 10分程度で完了させるこ

とを目的としている。

図 5-5 出典)

(10)立命館大学理工学部電気電子工学科(杉本

杉本教授は、信号処理技術,画像計測と解析,音声認識,画像修復(ノイズの除去,

)等についての研究と計算処理アルゴリズムの開発を行っている。地雷探知術としては、超広帯域無線(Ultra Wide Band: UWB)を用いた地中レーダーによる超高感度探知技術の開発に取り組んでいる。

通常、物体は全ての電波に反応する訳ではなく、固有の波長の電波に対してのみ

波を返す。従って、プラスチックや金属等の異なる物質の地雷を探知するためには、複

数の周波数帯の音波を発信する必要がある。GPR では波長可変型の機器の開発が進められているが、対応可能な帯域には限界がある。

UWBシステムの基本原理は GPRと同じであるが、複数帯域の電波を一度に照射して、

ぼけの修復

センサー部分拡大図 http://cobalt.cneas.tohoku.ac.jp/users/sato/newpage19.htm

末雄教授)

組ん

m

反射

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最先端の高感度デジタル信号処理技術にて反射波を処理する点に特徴がある。つまり、

理技術も必要となる。

開発を打ち切るとのことであった。 (11)九州大学大学院システム情報科学研究科(都甲 潔教授) 都甲教授は、1990年に味覚センサーの開発に着手し、1993年に世界初の味覚認識装置を開発した。現在は、この味覚センサーの原理を応用し、SPRセンサーと TNT爆薬への抗原抗体反応を組み合わせた「超高感度爆薬検出センサー(犬の電子鼻:Electric Dog Nose)」の開発を進めており、地雷探知や空港での手荷物検査等に応用することを目的としている。 現在は抗原抗体反応を利用した SPRセンサーの開発に取り組んでおり、①TNT-タンパク質複合体抗原の作成、②抗体の作成、③金薄膜への抗体の固定、④金薄膜への抗原の

固定、⑤競合法および競合阻害法による測定の研究を行っている。 実験室レベルでは、SPRセンサーによる TNT等の爆薬の検出に成功しており、今後は

爆薬臭気を濃縮してサンプリングする方法の開発に取り組む予定である。 (12)千葉大学工学部電子機械工学科(野波 健蔵教授) 富士重工業㈱、コス㈱とともに地雷探知センサーと地雷除去用の多機能マニピュレー

ターを搭載した小型車両の開 。コスは、アレイ型地雷

探知センサーのハード部分の開

ルゴリズム(ソフト部分)とマニピュレーターの開発を担当している。 破砕ブレーカー、エア

車両は、全て遠隔操作が可能であり、作業員

数的に発生させた高周波群(10GHzクラス)を 1万回/秒の割合で照射し、膨大な数の反射波の中から地雷に関係すると思われるものだけを抽出して画像化することができる。

UWBの電波は極めて微弱であるため、特殊な信号処同技術は、理論的には確立されており、レーダーのアンテナ開発や画像・信号処理に

必要な LSI チップの開発についても、総額 1.5 億円程度にて製作可能との見通しであった。しかしながら、文科省事業の予算縮小により 16年度以降の予算確保がなされないため、杉本教授は同システムの

発に取り組んでいる(図 5-6参照)発、富士重工業は車両の開発、千葉大学は地雷探知のア

多機能マニピュレーターには、地雷探知センサーに加えて土壌

ーハンマー、4指ハンド等の対人地雷除去用の各種ツールが搭載されており、人間に代わって地雷を探知・除去することが可能である。また、小型車両は、タイヤまたはキャタ

ピラー駆動が可能で、山岳部や傾斜地での作業にも対応できる構造となっている。 地雷センサーやマニピュレーターおよび

安全確保にも配慮されている。

24

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また除

覚を自分

マニピ

の搬送し

ダ レ方向制御シリンダ

13)東

地雷除

というマ

マイン

ある。除

向上する

みといえ

アーム用シリン

アーム ーダー/マニピュレータ

ハンマ方向制御 シリンダ

ブーム

ブーム用シリンダ 電動ハンマ

アレイ型セン

25

去作業員は、カバー越しの目視に加えて、マニ

の手で直接的に感じることができるため、精緻

ュレーターのプロトタイプは完成しており、さら

やすいタイプにしたモデルもほぼ完成しており

京工業大学大学院理工学研究科(広瀬 茂男教

去作業の危険性を低減させることを目的として

ニピュレーターを利用した地雷探知・除去支援シ

ハンドは原子炉関連施設で使用されている「マ

去作業員は、埋設地点から 1.5~2m 程離れて地。機器の遠隔制御により除去作業を「無人化」

る。

マニピュレータ

ェンジャー用シリンダ

図 5-6 完成予想図

車輌寸法: 全長 : 2040mm 車幅 : 1630 mm 車高 : 1490mm 重量 : 1.5~1.8ton

性が

ピュレーターが地雷に触れる感

な作業にも対応できる。 にこれを軽量化して 10kg以下、ほとんど実用機に近いものと

授)

出典)国内調査票回答

、マインハンド(Mine Hand)ステムを開発している(図 5-7)。ジックハンド」のようなもので

雷を除去できるため、安全

する研究とは一線を画す取り組

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なっている。なおこれ以外に、遠隔制御方式のバギー型車両にマニピュレーターを搭載

した遠隔操作型地雷探知プロダーも並行して開発している

図 5-7 マインハンド

出典)http://www-robot.mes.titech.ac.jp/robot/demine.html

(14)㈱ 代表取締役)

コスは、平成 10 年頃からGPRと金属探知器を組合せた技術を使った地雷探知器の開発に取り組 シオンαPROシリーズ」の実用化に成功している。カンボジ

アのC ne Action Center)での実用化実証試験の結果を踏まえて様々な改良を行っており、今回の調査対象者の中では最も進んだ研究開発活動を行って

いる。 現在は、センシオンシリーズの改良 の開発に

前者は経産省事業で採用されており、後者は文科省事業の千葉大学野波教授の研究の中

で進められている。 る。第一世代である「セン

業では、ア国での使用を前提として、同国の気温差や土質の変化、地面の

コス(藤原 雅弘

んでおり、「セン

MAC(Cambodia Mi

とアレイ型地雷探知器 取り組んでいる。

センシオンシリーズは、第三世代までの開発が終了してい

シオンαPROⅠ」は、GPR技術を基本に「超小型で軽量かつ多機能な地雷探知器の開発」という目的の下に開発された。第二世代では、金属探知技術とGPR技術を組み合わせて探知深度および精度を向上させている。最新の「センシオンαPROⅢ」では、CMACが要求する性能基準を満足するため、GPRの精度向上と小型・軽量化(全電子部品をハイブリットIC化)に取り組み、CMACの最終テストに合格している。

NEDOの事凹凸に対応可能なソフトウェアを開発し、センシオンαPROⅣに搭載することを計画して

いる。

26

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図 5-8 センシオンαpro

出典)国内調査票回答

文科 の地雷探知器に搭載する「アレイ型地

雷探知センサー」の開発に取り組んでいる。センサーは、センシオン搭載の 5個の GPRセンサーを並列に配列し、その外周に金属探知器を配置した複合センサーである。 このセンサーの特徴は、1スキャンの探知範囲が 5倍になるとともに、電波強度の増加

に伴って探知性能が向上することである。ハード部分は既に完成しており、現在は 3 次元表示用のソフトウェアの開発に取り組んでいる。

(15)京都大学エネルギー理工学研究所(吉川 潔教授) 吉川教授は、核融合による中性子発生装置(中性子発生源)の開発に取り組んでおり、 これまでにガン治療や非破壊検査等に応用されている。文科省事 研究課題は

型放電型中性子源による地雷探知技術の開発」であり、超小型核融合装置(直径約

のステンレス製球形真空容器)で発生させた中性子を地面に向けて照射し、反射された

中性子量を測定することで地雷の有無を判定する技術を開発している。 ま 性子の照射を受けた物質が発する特定のγ線 定し、爆薬の種類および地

雷の種類を同定することも目指している。 この技術は核融合を伴うため、放射線の人体への影響が懸念される。しかし、システ

ムによる被爆量は、10m離れて年間 40週作業した場合約 0.2ミリシーベルトであり、これは、我が国の法定規制値である 20ミリシーベルトの 100分の 1と安全面での問題も解

複合型地雷探知センサ

SH4 CPU

信号処理 ユニット

表示操作装置

省事業では、千葉大学等との共同で車両型

業の 、「超小

20cm

た、中 を測

27

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決されている。 核融合中性子による地雷探知技術の原理は理論的に確立されているが、まだ実験室レ

ベルの段階で更なるブレークスルーが必要であるが、3年後を目途に現地実証試験を行うことを考えている。

5-2 現地調査の結果 ア国の ODP、UNMACAに対して、国内ヒアリング調査の結果、事業実施体制の検討結果等を説明した結果、基本的な了解を得た。 他方、ODP、UNMACA および関係 NGO に対して、実証試験実施の際に必要となる、①地雷探知器に求める性能基準、②現地実証試験で評価すべき項目や評価基準の有無等を

質問した。 ①についてア側は、「金属と非金属を的確に判別できること」、「操作・維持管理が容易な

こと」等の定性的な希望を持っているが、数値基準等の定量的なものは持っていない。 ②についても、先の金属探知機の試験の経験を参考とする考えはあるものの、明確な評

価基準は持っていない。機器に求める性能が不明な現状では、当然のこととも言える。 研究支援無償実施の際には、このような基準の明確化が必要になるので、ア側に対して、

事業が実施される場合には、事前に整理するよう申し入れた。

28

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第 器の評価基準および作業手順 6-

においては、各参加者が自由に試験を行い、性能確認や問題点の

洗い しを行うことが原則であるが、他方で、客観的な評価基準に基づいて機器の性能を

的な作業手順に従って機材を使用することも重要である。

m: ITEP)や EC標準化委員会により標準化

MAS)により国際地雷対策基準(International Mine Action Standard: IMAS)

業手順を示す。 なお、地雷除去技術・機器の性能判定基準については、「平成 14 年度汎用技術実態調査告書(対人地雷処理装置の導入に係る基準等調査)」(平成 15年 3月 ㈱三菱総合研究所、済産業省委託事業)に詳しく記載されている。

-2 アフガニスタンにおける評価基準・作業手順 -2-1 技術・探知器の評価基準 ア国においては、NGOにより多数の地雷探知器(金属探知器)が使用されているが、機の性能等を客観的に評価する基準等はない。従って、研究支援無償の実証試験において、

器の評価を行う場合には、それらの基準をア国政府、UNMACA、NGO が事前に準備す必要がある。 他方、02年にア国が我が国の無償資金協力により 1,700台の金属探知器を調達した際に、国連主導にてア国およびカナダ国内で計 13種類の試験が実施され、最終的に 3社 3機の金属探知器が選定されている。 当該試験は、将来、国連が金属探知器を調達する際の参考とすることを目的として試行

に導入されたものであり、新しい地雷探知技術や機器の評価までを想定していない。し

し、基本的な考え方や試験内容を研究支援無償における技術・機器の評価に応用するこ

は可能と考えられるため、その概略を調査した。

6章 地雷探知

1 概要 地雷探知器の実証試験

評価し、然る後に統一

地雷探知技術・探知器の評価基準については、国際技術試験・評価プログラム

(International Test and Evaluation Prograが進められているものの、世界的な統一基準を策定するまでには至っていない。 他方、地雷処理作業手順については、国連地雷対策機関(United Nations Mine Action

Service: UNが策定され、標準化が進められている。しかしながら、IMASも法的拘束力を有しておらず、飽くまでも「手引き書(Guidance)」という位置づけにある。従って、地雷埋設国は、IMASを基に国別基準(National Standards)を策定し、現場の地雷処理機関(NGO等)は、この国別基準に基づいて標準手続き(Standard of Procedures: SOP)等を定めることが奨されている。つまり、各地雷処理機関独自のローカル・ルールの下に作業が進められてい

るのが実情といえる。表 6-1にア国NGOのAREA9、DDG10の作

66

gy Conservation in Afghanistan

10 Danish Demining Group 9 Agency for Rehabilitation and Ener

2929
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段階 項目 手法 AREA DDG

準備

マーキング

サイニング

トリップワイアー(罠線)の探査2名で行動する。探査方向を確認し、地雷埋設等疑わしい場所から40cm以上離れて120cm長のベーススティックを置く

目視、触手による探査である。植生によるが、ベースステックから腹這いもしくは膝をついた状態から40cmから120cmを隅々まで目視し、手袋を外しゆっくりとトリップワイヤーフイラーもしくは素手で慎重に植生、トリップワイヤ、UXO等から外す。

植生の除去30cmの植生を排除するスティックを先に置いたベースステックの中央から入れ植生を除く

一度、30cmのステックを入れるベースステックから40cmを以上を1本の手は、植生を握り、もう1本は鎌や鋸等で5cm以下に切り、隣接した除去エリアに移動する。新しい探査時には地雷除去員の背後に回る。

ベースステックからステックラインを境に半分に探査エリアが分けられる。それぞれは、プロッダ-60cmx30cmに分け、プロッダの入針角度は表層から30度で2本の指で保持され入針深さは7cmである。1つの手は、安全な地表に置き、プロッダーのガイドとし、地雷除去作業員の体重をも支える。もう一方の手はプロッダ-を均一な動きを行い、必要以上の力を与えない。表層が乾いている場合、水を散布し表層を柔らかくすることは可能である。

地雷除去作業員は、地雷除去場所まで耐被弾性服等を装着し戻る。地雷除去作業員の作業体勢はかがんだ体勢もしくは腹這いである。腹這いは地雷除去作業員の安全性が高いと一般的であるが現地の風習上、かがむ作業体勢が好まれる。もっとも安全で実践的な体勢については丘、岩場、その他の状況に合わせることが必要である。

プロッダ-に物体が触れない場合、ベースステックを30cm前方に移動する。

プロッダ-作業は、2つの三角マークの中心点の後ろ側30cmについて始める。プロッダ-は三角マークの底辺全長の地表に30度の角度で静かに挿入する。三角マークを外す。地雷除去作業員はプロッダ-による探知位置を右から左もしくは左から右へ交差させる。プロッダ-は2cmの直線ライン幅の中で1cmこねる形でプロッドする。深さは5cm、もしくは物体の抵抗を感ずるまで、すなはち金属探知機の反応があった金属片まで行う。プロッディングはやさしく行う。地面に対し行う。乾期には散水によって湿気や柔らかさをもたせることで作業を容易

プロッダが物体に接触した場合、小シャベルによって物体の10cm後方を20cmの幅で掘削する。掘削するときは、小シャベルをゆっくり土砂を取り除き、圧力を下方へかけない。土砂は地表から7cm掘削される。土砂の掘削は物体が地雷、UXOであると確認できる最小限に留める。

プロッダ-によって地雷もしくは金属の位置と大きさを確認し小シャベルによって土砂の掘削を行う。物体の後ろ側10cmを掘削。小シャベルは片手に持ち静かに土砂を物体から剥離させる。土砂は小シャベルの下方への圧力を防ぐためプロッディグ深さにあわせる。土砂を最低10cm除去しプロッディングと掘削を10cmに到達するまでおこなう。地雷もしくはUXOの確認が取れたら速やかにチームリーダーに連絡を行い無線等で他の除去員に注意喚起を促す。チームリーダーは除去についての全ての責任を負う。地雷除去作業員及びセクションリーダーは

金属探知機は金属反応の少ない場所で使用される。アネックスA,B,Cに金属探知機測定を参照。以下の一連の作業を繰り返す。

金属探知機は高感度な条件で使用する。

探査前に1回の除去完了地で5cmの非鉄金属片でグランドテストを行う。探知機の反応微調整を行う。

サーチヘッドをベースステック前で地表から5cmでスイ-プさせる。スイ-プ速度は0.5m/sで探査幅は1mとサーチ2個分の幅を行う(サーチヘッド1回はオーバーラップ)。

3回のスイ-プを地雷原に設置したベースステックの全長で行い1回はレーンの外側、探知機のサーチヘッドの幅をスイ-プする。

3回のスイ-プを地雷原に設置したベースステックの全長で行い10cmのオーバーラップを幅をスイ-プする。

エーベンジャー(金属探知機)は、1回目と2回目のスイ-プではベースステックにたいし正しい角度を保持する

3回目は、ベースステックと並行に反転させる。

探知機のサーチヘッドの中心はクリアランスステックをそれぞれの場所をスイ-プする。ヘッドは5cm以上表層から離し、15秒/スイ-プ(距離にして1.2m/スイ-プ)。3回のスイ-プはシグナルが発した地点に戻る前に終了すること。

シグナルが発生した位置はx(エックス)型スイープ方式でピンポイントで金属片を探査する。

X(エックス)方式による探知で小さな反応や近接で大きな反応の埋設物の中心を決定する。2つの三角表示器を中心点に30cmに渡り置く。探知音が2箇所にわたり発生した場合、プロッディングをその幅で行う。地雷除去作業員は、プロッダ-による調査・探知を行う。これらは、小さい反応地点もしくは大きな反応を探知したエッジの15cm後ろから行う。UNOを発見した場合、作業を中止しコーンとレーンをUNOの端から地上15cmに設置する。チームリーダに無線等で連絡し、全メンバーにも連絡する。探知したものが薬きょう、金属片、スクラ

もし、金属探知機からシグナルがない場合、ベースステックを30cm前方へ移動させる。金属探知機からシグナルがない場合、ベースステックをサーチヘッド分の13cm前方へ移動させる。

金属探知機からピンポイントシグナルが発せられると、プロッダ-による物体の大きさ確認が行われる。プロッディングは物体の10cm後方から幅20cmについて行う。プロッダは前述のマニュアル操作と同じ。

金属探知機の感度は10分間隔で確認する。探知機の異常サインがあった場合、速やに作業を停止する。バッテリー発光ダイオードとアラームが鳴ったときはバッテリーを交換する。誤表示:バッテリーが正常でサーチヘッドが大型金属の遠くでも探知音が鳴り止まない場合、配線とサーチヘッドの不具合である。表示スイッチは深刻な故障の際は自動的にオフとなる。電子干渉:複数の探知機を3メーター以下近づけるとヘッドホンから速やかに干渉音が聞こえるであろう。

金属片がプロッダ-によって確認できない場合、深く埋設された地雷か銃弾、薬きょうの可能性がある。しかし、小シャベルによる土砂に掘削は行う必要がある。深く埋設された物体の確認にはチームリーダの判断による。7cm以上の掘削前には、最初にプロッダ-による地域チェックが必要である。

速やかな対応

地雷除去作業員がトリップワイヤーを発見した場合、直ちに除去活動を止め、無線等でチームリーダー等に知らせる。チームリーダーはトリップワイヤーの両端が外された事を確認する責任をもつ。通常、トリップワイヤーと並行の1m幅レーンを除去しワイヤーエンドを50cm以内にもってこない。トリップワイヤ除去中は地雷除去作業員の避難を喚起する。

除去焼却・破壊・廃棄

表6-1 地雷探査手続の事例

25

探査技能(金属探知機使用)疑わしい表層の上を2から3回表層と水平に動かし、金属反応があれば、プロッダ-により同様な作業を行う

探査技能(プロッダ-使用)ベースステックから40Cm以上離したところをプロッディングする。なにか物体にプロッダ-が接触すれば小シャベルで掘り起こす

探査

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(1)参加団体 書類審査に合格した 7社 7機種が試験に参加した。

社名 機種名

ではない。 他方、ア国における試験は、探知器の性能評価をおこなうためのものであり、大きく 4

) る試験

量の金属成分を含む土壌での探知試験(カブール)

ララバード)

① Ceia (イタリア) Model MIL-D1 (version 3.30) ② Ebinger (ドイツ) Model 420 GC ③ Foerster (ドイツ) Model MINEX2FD 4.500 ④ Guartel (英国) Model MD-8 ⑤ Minelab (オーストラリア) Model F1A4 ⑥ Schiebel (オーストリア) Model ATMID ⑦ Vallon (ドイツ) Model VMH 2.1

(④以外の探知器の性能については、「平成 14 年度汎用技術実態調査報告書」に詳しく記載されている。) (2)テスト日程 1)2002年 2月 17日~22日:カナダ国サーフィールド防衛研究所11

2)2002年 3月 6日~18日:ア国国カブール市、ジャララバード 3)試験の概要と結果 サーフィールド研究所における 4 種類の試験は、探知器の基本的な性能を把握するために実施されたもので、合否や点数をつける試験

種類に分類することができる。(カッコ内は試験地

① 合格が義務づけられてい

Test1:締め固めた土壌における探知試験(ジャララバード) ② 3種のうち 2種類の合格が義務づけられる試験

Test2:金属成分を含まない土壌での探知試験(カブール) Test3:多Test4:湿った土壌での探知試験(カブール市内保水池) ③ 合否判定のみの試験(選定基準とはならない)

Test5:電波影響度試験(ジャTest6:電波影響度試験(カブール) ④ 探知器の基本情報収集のための試験(選定基準とはならない) Test7:大気内探知能力確認試験(ジャララバード)

11 カナダでは、軍事目的のための地雷探知技術の研究開発は、カナダ国防局のひとつであるDRDC (Defense Research and Development Canada)が担当し、人道的地雷地雷探知技術の研究開発は、CCMAT (The Canadian Center for Mine

、DRDC傘下の組織であるが、カナダにおける地雷探知Action Technologies)が担当している。サーフィールド研究所は 技術開発の中心組織である。

30

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Test8:地雷群(2個)認識試験(小型地雷) 雷)

えて、「 持管理の容易

さ」の 1 点、7点 トポイントが加算され、総合

判定が下された。なお、試験は現地地雷探知作業員の協力を得て実施された。 1 (version 3.30)」が納

入 金属探知器も国連認定の

合格 合格 合格 合格 探知可 探知可 探知可 7 4 3

3

lon 合格 合格 合格 合格 合格 合格 探知可 探知可 探知可 1 0 1

Schiebel 合格 不合格 不合格 不合格 合 合格 探知可 探知可 探知可 0 0 1

Fo 0 4 3

Ebinge 不合格 探知可 探知可 探知可 0 0 1

テストの種類 メリットポイント

Test9:地雷群(2個)認識試験(小型地雷と大型地 これら 9種の技術試験の結果に加 探知性能」、「使いやすさ」、「維

3点について、それぞれ 0 、3点のメリッ

試験の結果は下表のとおりで、今回は Ceia社の「Model MIL-Dされることとなった。しかし、Minelab社および Vallon社の器として認定された。

表 6-2 テスト結果

Test 1 Test 2 Test 3 Test 4 Test 5 Test 6 Test 7 Test 8 Test 9 探知性能 使いやすさ 維持管理

Ceia 合格 合格

Minelab 合格 不合格 合格 合格 合格 合格 探知可 探知可 探知可 4 0

Val

erster 不合格 合格 不合格 合格 合格 合格 探知可 探知可 探知可

Guartel 不合格 不合格 不合格 不合格 合格 合格 探知可 探知可 探知可 0 2 3

r 不合格 不合格 不合格 合格 合格

(4

1)

Te 物質以外の金属が存

離をおいて設置する。次に探知器 離してゆき、探知器が反応しなくなっ

を 1mmピッチで近づけてゆき、探知器が反 知能力を比較して

Test B:化学的に不活性な土壌(砂)における探知能力を確認する試験。探知対象物の

)試験の詳細 サーフィールド研究所における試験 st A:大気中での金属探知能力を確認する試験。対象となる金属

在しない空間において行われる。 先ず探知器の探知部分と探知対象を一定の距

を左右に移動させながら 1mmピッチでた距離を記録する。最後に探知器

応した距離を記録する(同様のテストをア国でも実施し、探

いる)。

埋設深度を増加させてゆき、探知器が反応しなくなる深度を記録する。 Test C:鉄分を多量に含むカンボジアのラテライト土における探知能力を確認する試験。

31

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方法は Test Bと同じである。 T 認する試験。

験手続

埋められた地雷を確実に探知することが最低条件であり、探

知できない探知器は、技術的欠陥があると看做される。

Test2:熟練の現地作業員による探知能力確認試験。作業員が、15個の1m2の正方形 に分割された区画に埋設された 22個の地雷を探知する。地雷の種類は、作業員からのヒアリング結果に基づいており、埋設深度も様々である。事前に埋設

場所、深度、地雷の種類は記録されている。 各作業員は、探知前に独自に探知器の感度補正を行い、反応を確認した場合に

はその中央に目印を置く。作業結果は全て評価シートに記録され、最終的に探

知されなかった埋設物の数が記録される。 Test3:Test2と同様の試験であるが、地雷の他に金属成分を含んだレンガや瓦礫が散

布されており、作業員による感度補正が必要である。

Test4:Test2と同様の試験を湿潤土壌にて行う。探知器も水に濡れた状態におかれているため、作業員による大幅な感度補正が必要である。

を確認する試験。地上 6mに高電圧送電線が

た TS-50型地雷(金属含有量が低い)を

Test6:T

T

認 動さ

est D:金属の棒に近接して置かれた対象物の探知能力を確 )アフガニスタンにおける試験 Test1:金属探知器の最大探知能力を確認する試験。通常の地雷埋設環境下(金属含有

量が多く、締め固められた土壌)において、通常の地雷と国際標準試

(International Test Operation Procedure: ITOP)の模擬地雷を探知する。今回は、ジャララバード近郊のMETAの施設で行われた。 地下 11cm以深に

Test5:探知器の電磁波干渉に対する耐性

通っている地点に埋設された地雷を探知する。全ての機材が、電磁波の影響を

受けることなく地下 4cmに埋設され探知することができた。

est6と同様の電磁波耐性試験を 30,000kwの発電機付近で行う。発電機から約 8m離れた地点の地下 6cmに埋設された地雷を探知する。

est7:ITOPに定められた I、GおよびM型模擬地雷に対する大気中での探知能力を確 する試験。1m2に金属が存在しない空間で行われる。模擬地雷を左右に移

せながら探知器から離してゆき、探知器が全く反応しなくなる距離を記録する。

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次に模擬地雷を左右に移動させながら探知器に接近させ、完全に反応する(左

地雷を適格に識別・探知する能力を確認する試験。

雷を置いた後、左右双方から探知器を近づける。地雷の間隔を徐々に狭めてゆ

Test9:T TM-57型地雷と大型

で金属製の TS-50型地雷が使用される。試験開始時の地雷の間隔は 1.5mで、

その他にも

員に対して行われ、定量化できない評価項目についてのチェックも行われている。

6-2-2 地雷ア国の地雷 (General Survey)、地原調査(Technical Survey)、除去作業 (Clearance)、そして評価・認証(Estimation)の

全ての作業 が、全国地雷調査およ

び地雷原調査はMCPA、評価・認証はMETAのみが行うことができる。

研究報告書」 割愛し、地雷探知・

除去作業の流れについて記述する。 (1)全国地

全国地雷

ア国全土から収集された情報に基づいて、旧軍人(正規軍、ゲリラ等含む)や住民に対

してヒアリングが行われ、地雷が埋設されていると考えられる地域(Suspected Area: Sされる。 の活動地域、時期

を調整して指示を出している。

る。通常

この絞込

右双方)距離を記録する。

Test8:近接して埋設された 2個の地下1cmに TS-50型地雷を埋設し、50cm離れたところにある溝に P4-AP型地

、探知器が各地雷を判別できなくなるまで行う。次に、徐々に間隔を広げな

ら同じ作業を繰り返し、2個の地雷の間隔を記録する。

est8と同様の試験であるが、小型で金属含有量の少ない

TS-50型地雷を移動させながら試験を行う。

、感度補正の容易さや機器の組み立てやすさ等に関する 20項目の質問が作業

探知作業手順 処理手続は、IMASの規定に則っており、全国地雷調査

4工程を経て完了する。 は、UNMACAの指示の下で NGOにより行われている

ア国の地雷処理体制や各 NGO の概要等は、「アフガニスタン国地雷対策支援に係る基礎(平成 15年 4月国際協力事業団編)に詳しいので本編では

雷調査および地雷原調査 調査および地雷原調査は、MCPAにより実施されている。全国地雷調査では、

A)が抽出される。この調査の後に地雷原調査が行われ、調査結果は UNMACAに報告UNMACA は、MCPA からの報告に基づいて、傘下の NGO

地雷原調査とは、SAにおいて地雷原と非地雷原の境界線を明確にするための調査であ調査後には、地雷除去の対象となる区域は、SA の 80~85%程に縮小される。み作業は「Area Reduction」と呼ばれる。地雷原調査は、IMASおよび UNMACA

33

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の基準に

Step1: 度の長方形の区画を隣接して 2 箇所設定する。(No.1,No.2)。これが 1サイクル分の作業エリアとなる。

Step3: Step4: 反応が確認された場

合は、手作業で物体を確認し、地雷の場合にはそのタイプ・種類を確認する。

Step6: mであるが、方向が変わる場所で

は 2m間隔で置き、TP (Turning Point)と明記する。また、RP (Reference Point、

けれ ばならない。

地域を次の 3種類に分類し、調査結果とともに UNMACAに

地雷が発見されておらず、地雷の事故も発生していないが、周辺

ない地域

る。NGOは、各々SOPを作成しているが、UNMACA、各 NGO の SOP を整理統合して、ア国用の地雷除去作業の SOP を策定すべく作業

づいて、既定の SOP に則った作業が行われているかを

従って作成された手続に基づいて実施されており、概略は次のとおりである。

SA の中に、50 m×8 m 程

Step2:No.1 およびNo.2 夫々の区画において探知犬による探知を行う。調査は各区域の左端から開始され、2m間隔で右に進む。探知犬には 8mのロープが付けられており、1クールで 32m2(16m2×2)探知が完了する。 探知犬が反応した場合、当該地域をマークし、他の探知犬で再度チェックする。

Step3でマークした地点を金属探知器でチェックする。金属

Step5:1~4の作業を 25回(50m/2m)繰り返し、1サイクルの作業が完了する。 地雷原と非地雷原の境界を示す石を設置する。赤石は地雷原、白石は安全地帯

の境界線を意味する。石と石との間隔は原則 5

基準点)、 BM(Bench Mark)、SP (Starting Point) も表示する。RP石は 50m 離れた場所から、BM、SP石は 15m離れた場所から確認できる大きさでな

Step7:地雷原調査対象報告する。 カテゴリーA:地雷が発見された、または地雷による事故が発生した地域 カテゴリーB:

住民の不安が大きい地域。 カテゴリーC:地雷が発見されておらず、地域住民も使用してい

(2)地雷除去作業 NGOにより地雷が除去・爆破されは

を進めている。

3)評価・認証 META は、地雷除去作業そのものの品質管理 QM(Quality Management)を行う唯一の NGOである。QMは、除去作業の手続の正確性を評価する QA(Quality Assurance)と最終的な地雷の除去状況を確認する QC(Quality Control)からなる。

QA では、チェックリストに基確認・評価する。QCでは、作業完了区域内のある区画において、探知犬や探知器による地雷の除去状況の最終確認・評価を行う。

34

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rea tion(地を確定する調査

A Reduc雷探知除去活動の作業範囲

地雷原 (Mine Field)

疑わしい地域(Suspected Area)

Technical Survey

拡大図

Survey Area No.1 Survey Area No.28m

2m2m

50m 50m

図 6-1 地雷原調査(Technical Survey) の実施例

地雷が見つかった場所をつなぐ。→チームリーダーが地安全地帯の境

雷原と界を画

定する。

地雷の見つからなかった地域地雷が見つかった場所線をつないだ境界

SP

Cleared Area(Reducted Area)安全地域

地雷原 (Mine Field)

35