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902 2010 年1月1・11 年頭所感 全国厚生農業協同組合連合会経営管理委員会会長 川井田幸一 . 年頭所感 厚生労働大臣 長妻 ................................ 年頭所感 厚生労働省健康局長 上田 博三......................... 10 年頭所感 厚生労働省医政局長 阿曽沼 慎司....................... 12 年頭所感 厚生労働省老健局長 宮島 俊彦 ........................ 15 平成 22 年度政府予算案、過去最大の 92 2,292 億円 ................ 厚生労働省分は 9.5%増の 27 5,561 億円 17 ネットで 0.19%引き上げ、10 年ぶりのプラス改定 ................... 平成 22 年度診療報酬改定率 18 平成 22 年度税制改正大綱決定 ..................................... 事業税非課税措置は存続 19 通信員だより 生活の質の向上がポイント医師・看護師による公開講座―第5回ファミリー医学講座「前立腺肥大症について」― (伊勢原協同病院) 20 JA長野県保健・福祉推進大会開催(JA長野厚生連) 21 東京ディズニーリゾートの皆さんが病棟を訪問 (鹿教湯三才山リハビリテーションセンター三才山病院) 22 お知らせ ◇会議日程 23 全国厚生農業協同組合連合会 100-6827 東京都千代田区大手町 1-3-1 JAビル TEL(033212-8000 FAX(033212-8008 -Mail: [email protected](監理室) http://www.ja-zenkouren.or.jp 編集責任者 幹男 JA全厚連情報 (毎月 1日・11 日・21 発行) JA全厚連

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Page 1: JA全厚連情報JA全厚連情報 902 2010年1月1・11日 2 歳プロジェクト」への参加・協力、JAと厚生連の連携による健診事業の取り 組みを推進することとしております。

№902 2010年1月1・11日

目 次

□ 年頭所感 全国厚生農業協同組合連合会経営管理委員会会長 川井田幸一 . 1

□ 年頭所感 厚生労働大臣 長妻 昭 ................................ 3

□ 年頭所感 厚生労働省健康局長 上田 博三 ......................... 10

□ 年頭所感 厚生労働省医政局長 阿曽沼 慎司 ....................... 12

□ 年頭所感 厚生労働省老健局長 宮島 俊彦 ........................ 15

□ 平成 22年度政府予算案、過去最大の 92兆 2,292億円 ................

厚生労働省分は 9.5%増の 27兆 5,561億円

17

□ ネットで 0.19%引き上げ、10年ぶりのプラス改定 ...................

平成 22年度診療報酬改定率

18

□ 平成 22年度税制改正大綱決定 .....................................

事業税非課税措置は存続

19

通信員だより

生活の質の向上がポイント医師・看護師による公開講座―第5回ファミリー医学講座「前立腺肥大症について」―

(伊勢原協同病院) 20

JA長野県保健・福祉推進大会開催(JA長野厚生連) 21

東京ディズニーリゾートの皆さんが病棟を訪問

(鹿教湯三才山リハビリテーションセンター三才山病院) 22

お知らせ

◇会議日程 23

全国厚生農業協同組合連合会

〒100-6827 東京都千代田区大手町 1-3-1 JAビル

TEL(03)3212-8000 FAX(03)3212-8008

E-Mail: [email protected](監理室)

http://www.ja-zenkouren.or.jp 編集責任者 瀧 幹男

JA全厚連情報

(毎月 1日・11日・21日 発行)

JA全厚連

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JA全厚連情報 №902 2010年1月1・11日

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年 頭 所 感

全国厚生農業協同組合連合会

経営管理委員会会長 川井田 幸 一

新年明けましておめでとうございます。

JAの厚生事業に日頃よりご理解とご協力を賜って

おります組合員・地域住民の皆様方に厚く御礼申し上

げますとともに、今後のJA厚生事業につきまして、

年頭にあたり所信の一端を述べさせていただきます。

我々厚生連は「健康で安心して暮らせる農山村社会の構築」を目指して事業

活動に取り組んでおります。しかしながら、尐子・高齢社会の急速な進展と社

会環境の構造変化、デフレの進展による雇用環境の悪化等によって、生活の維

持がますます厳しくなっております。

さらに、農山村地域では過疎化、後継者不足や耕作放棄地の拡大、農業生産

額や農業者の農業所得の減尐、地域経済の格差拡大や農村経済の疲弊が顕著と

なり、「地域で元気に暮らすこと」が困難となっております。

また、国の医療制度改革によってもたらされた医師不足、看護師不足によっ

て地域医療が崩壊しかねない状況となっています。

病院の経営環境は、平成 20年まで4回連続の診療報酬引き下げによる経営の

悪化、景気低迷による受診抑制、医師・看護師不足による病棟閉鎖や外来機能

の縮小等により、今年度も赤字決算が見込まれています。

本会はこうした厳しい情勢を克服しJA厚生事業の推進を期するため、昨年

開催されました第 25 回JA全国大会決議の着実な実践と事業環境の急激な変

化に的確に対応すべく、平成 22年度を初年度とする本会第6次3か年計画を策

定し、積極的に事業展開を図ることとしております。

その事業展開の第一は、「地域で選ばれる病院・施設作りとサービスの高度化」

です。具体的には、地元行政、医師会等との連携により、地域医療を守る仕組

みづくりの支援や、地域における医療資源・機能を活用した地域医療連携の構

築を促進することや、組合員・地域住民の健康寿命を創造する「健康寿命 100

年 頭 所 感

2010

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歳プロジェクト」への参加・協力、JAと厚生連の連携による健診事業の取り

組みを推進することとしております。

第二は、「厳しい経営環境に対する厚生連経営改善策の強化」です。具体的に

は、経営継続の困難性が高い厚生連に対し、抜本的な再建が図られるようその

支援・指導に取り組むことや、医師等の安定確保に向けた取り組み強化、厚生

連の医療資材コスト削減への支援強化、さらには病院・施設の運営及び管理を

将来担う経営管理者層の計画的育成を図っていくこととしております。

第三は、「JA厚生事業に適した事業実施条件整備への取り組み」です。具体

的には、厚生連の経営の安定化を図るため、関係団体等と連携して診療報酬・

介護報酬の適正化対策、消費税等税制改正運動等に取り組むとともに、JAグ

ループ内をはじめ自治体や他の医療機関等と連携し厚生事業の基盤整備等組織

対策に取り組んでいくこととしております。

本会は、厳しい社会環境の中、経営の健全化を図りながら、組合員・地域住

民の皆様の健康を守り、地域で信頼されるJA厚生事業と豊かな地域社会の構

築を目指して、これからも保健・医療・高齢者福祉事業の充実に努めてまいり

ますので、皆様方のより一層のご理解とご協力を賜りますよう、宜しくお願い

申し上げる次第であります。

皆様方のご多幸をお祈り申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきま

す。

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年 頭 所 感

厚生労働大臣 長妻 昭

平成 22年の新春を迎え、心よりお慶び申し上げます。本年も何とぞよろしく

お願い申し上げます。

昨年は、国民の皆様からの歴史的な審判により政権交代が実現しました。と

りわけ厚生労働行政に対する国民の皆様の期待は非常に高いものがあります。

私は厚生労働省の代表という立場であると同時に、国民の皆様から厚生労働

省を指導・監督するよう送りこまれた立場であると自覚しております。

私自身、謙虚に国民の皆様の声を聞いて、生活者の立場に立った信用できる

厚生労働省を創り上げる決意を新たにし、新年に挑む決意を述べさせていただ

きます。

国家の礎(いしずえ)は、二つの保障です。安全保障、そして社会保障です。

憲法で言えば安全保障は九条、社会保障は二十五条に基本的規定があります。

憲法二十五条にはこうあります。

「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」

国が国民の最低限の生活を保障することをうたっています。

しかし、実際には、具体的に最低限度の生活とは何か、という最低生活基準、

ナショナルミニマムが各分野においてきちんと定められておりません。

さらに、実際に、最低限の生活を守る行政が実行されているのか、その検証

も不十分だと考えます。

昨年末に「ナショナルミニマム研究会」を設置し、今後、ナショナルミニマ

ムを保障する基準作りに取り組んでまいります。

厚生労働省に不足している能力は大きくは三つあると感じます。

実態把握能力、制度改善能力、コミュニケーション能力です。これらの能力

を向上することに全力で取り組みます。

例えば、新しい社会保障の制度や仕組みを作っても、それが本当に狙い通り

機能するのか。実態を把握しなければ、制度は上滑りしてしまいます。

世界と比べて日本はどのような状況なのか。誰がどこで、なぜ困っているの

年 頭 所 感

2010

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かなど厚生労働行政に何が不足しているのかを正確につかむことも重要です。

これが実態把握能力です。

新しい制度も一度作ったら、作りっぱなしにするのでなく、不断の改善努力

を続けなければなりません。民間では当たり前のアフターサービスの考え方で

す。これが制度改善能力です。

厚生労働省は国民の皆様の身近な行政を担当している役所です。それだけに、

誰が読んでも分かる通知など的確な情報発信を心がけなければなりません。こ

れがコミュニケーション能力です。

これまでの厚生労働行政については、年金記録問題や保険料の浪費問題をは

じめ、国民の信頼を失墜させる問題がありました。

天下り団体への過剰な補助金の交付や不要不急の事業など、税金の使用にお

いて正すべき課題も見受けられます。

私は、これまでの厚生労働行政の中にある問題の解決に取り組むと同時に、

体質改善にも努めてまいります。

そのためには、官僚に任せっきりにするのではなく、政治主導が重要です。

大臣、副大臣、大臣政務官の政務三役のチームが、改革意欲に富んだ職員と

力を合わせて、様々な課題に取り組む所存です。

就任以降、天下り法人や内部留保率が著しく高い公益法人に対する補助金等

の削減などにより浪費削減に取り組みました。

この他、調達を一括購入とするなど行政経費の節約や、独立行政法人への天

下りの見直しや浪費削減に取り組んでいます。

厚生労働省の役所文化を変える第一歩としては、昨年 10月から厚生労働省職

員の人事評価基準を変えました。

各省庁共通に行われる改正国家公務員法に基づく人事評価制度の実施に当た

って、厚生労働省独自の評価を導入しました。

特に「コスト意識・ムダ排除」や「制度改善に当たってのアフターサービス

の考え方の導入」、「国民の生命・財産にかかわる事案の情報収集・公開」の視

点に着目した業務目標を事務次官以下の職員に立てさせ、半期ごとに業績を評

価します。

国民目線の評価と省内の評価が一致するような人事評価基準とすることを狙

いとしています。

今般の新型インフルエンザにつきましては、昨年4月の発生以降、健康危機

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管理上の重大な問題として、重症者や死亡者の発生をできる限り減らすための

ワクチン接種事業や患者の急激な増加に対応するための医療体制の整備等、政

府一丸となって対策に取り組んでいるところです。

本年も、国民の皆様の安心を第一に考え、万全の対策に努めてまいります。

現在、我が国は、急速に尐子化が進行し、人口減尐が進んでいます。これは、

経済産業や社会保障の問題にとどまらず、国や社会の存立基盤に関わる問題で

あります。

急速に進行する尐子化への対策につきましては、子ども一人ひとりの育ちを

社会全体で応援し、安心して出産し子どもが育てられる社会をつくるため、子

ども手当の創設に向けて速やかに検討を進め、平成 22年度からの支給に向け最

善を尽くしてまいります。

また、保育所の待機児童の解消に向けて、保育所整備に早急に取り組むとと

もに、平成 22年4月から法定化される「保育ママ」の増員に努めてまいります。

さらに、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略に沿って働き方の改革によ

る仕事と生活の調和の実現と、多様な働き方に対応した保育サービスなど子育

て支援基盤の充実を「車の両輪」として尐子化対策の取組を進めてまいります。

貧困の問題については、昨年、厚生労働省として初めて我が国の相対的貧困

率を示したところであり、今後、その改善に取り組んでまいります。

障害のある方が当たり前に地域で暮らし、地域の一員としてともに生活でき

る社会をつくるため、「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、

利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくります。今後、当事者等関

係者の皆様の御意見も十分に伺いながら検討を進めてまいります。

後期高齢者医療制度につきましては、昨年 11月に廃止後の新たな制度につい

て検討するための会議を私の下に設置しました。今後、高齢者をはじめ様々な

関係者の御意見を伺いながら、政権一期4年の中で、国民の皆様の納得と信頼

が得られる新たな制度への移行を実現するため、具体的な制度設計の議論を進

めてまいります。

国民皆保険の基盤となる国民健康保険や協会けんぽは、昨今の不況の影響に

より財政状況が非常に厳しくなっており、これらの保険者の財政基盤の強化を

図るための法律案を通常国会に提出してまいります。

医療再生では、医師等の人材確保、救急医療・周産期医療の体制の確保など、

国民に質の高い医療サービスを安定的に提供できるよう、医療提供体制の整

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備・強化に取り組んでまいります。

介護保険制度につきましては、今年で制度創設 10年を迎え、老後の安心を支

える仕組みとして定着してきております。今後、一層の高齢化の進展が見込ま

れる中、介護を担う人材の確保と介護サービス基盤の整備が喫緊の課題であり

ます。

このため、介護職員処遇改善交付金の積極的な活用による介護職員の処遇改

善や、介護拠点の緊急整備を進めてまいります。

また、介護を必要とする高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を送れるよ

う、医療・介護のみならず、配食・見守り・緊急時対応といった地域生活支援

サービスや住まいを含めた多様なサービスを連動して提供する地域包括ケアシ

ステムの構築を目指してまいります。

年金につきましては、まずは、公的年金制度に対する国民の信頼を回復する

ことが何よりも急務であり、「消えた年金」問題については、「国家プロジェク

ト」と位置づけ、予算、人員を投入して取り組んでまいります。

民間有識者による「年金記録回復委員会」のお知恵も聞きながら速やかに記

録訂正するなどの取組を進め、国民の皆様の信頼回復に向け、全力を尽くして

まいります。

日本年金機構がこの1月から発足いたしました。同機構については、民間か

らも 1,000人以上の方を中途採用し、能力と実績による人事管理を行うことと

し、国民のニーズに応じたきめ細やかなサービス向上に努力してまいります。

本機構が、厚生労働省と緊密に協力して、年金記録問題に着実に取り組み、

国民に信頼される組織となるよう、全力で取り組んでまいります。

同時に、雇用の流動化など時代にあった、透明で分かりやすい年金制度とす

るため、平成 25年に新たな年金制度の法律を成立させるべく、具体的な制度設

計に向けた検討を進めてまいります。

援護行政につきましては、戦没者の遺骨収集や慰霊事業、戦傷病者、戦没者

遺族等に対する支援、中国残留邦人等に対する支援策をきめ細やかに実施して

まいります。

完全失業率と有効求人倍率は、ともに昨年過去最悪の水準に達し、その後も

雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあります。失業率の改善は生産の回復

に遅れる傾向があることなどを考慮すると、雇用失業情勢は引き続き厳しい状

況が続くことが懸念されます。

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このため、政府を挙げて雇用の確保に取り組むため、鳩山総理を本部長とす

る緊急雇用対策本部を設置し、「緊急雇用対策」を昨年 10月 23 日に策定し、12

月8日には雇用を柱の一つとする「明日の安心と成長のための緊急経済対策」

がとりまとめられました。

まずは、本対策に基づき、労働者の雇用維持、新卒者の就職支援、再就職支

援、生活保障など、雇用の安定・拡大に向けた対策を講じてまいります。

特に、雇用保険を受給できない方に対する第二のセーフティネットとして、

職業訓練の実施と訓練期間中の生活保障を行っていますが、「求職者支援制度」

として、平成 23年度から恒久化してまいります。併せて公共職業訓練の充実を

図ってまいります。

雇用保険制度につきましては、非正規労働者への適用拡大などを行い、雇用

のセーフティネットを強化します。

労働者派遣制度につきましては、派遣労働者の雇用の安定や待遇の改善等を

図るため、通常国会へ改正法案の提出を目指し、取り組んでまいります。

障害者雇用対策につきましては、障害者雇用率制度を柱として、さらなる障

害者の雇用促進を図るため、障害者一人ひとりの特性を踏まえた雇用支援、中

小企業に対する雇用促進等の取組を進めてまいります。

高齢者雇用対策につきましては、「希望者全員が 65歳まで働ける企業」や「70

歳まで働ける企業」の実現に向けた取組等により、意欲と能力のある限り、い

くつになっても働ける社会の実現に向けた環境整備に取り組んでまいります。

最低賃金につきましては、まじめに働いている人が生計を立てられるように

するため、労使関係者との調整を行いつつ、引上げに向けた取組を進めてまい

ります。

また、ワークライフバランスと均等待遇につきましては、有期労働契約の在

り方も含め、検討を進めていくとともに、過労死や過労自殺などを防ぎ、労働

災害をなくすため、企業におけるメンタルヘルス対策の推進、長時間労働の抑

制等に取り組んでまいります。

以上のような施策の実施につきまして、労使の皆様との相互理解と信頼の下

に行政を推進してまいります。

今後とも安定した労使関係を維持・構築していくため、様々な機会を通じて、

労使の意思疎通、合意形成の促進に努めてまいります。

国民生活の安全と安心を確保するため、様々な疾病に対する対策を講じるこ

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とも重要です。

まず、薬害肝炎の反省に立ち、安全対策の充実・強化など医薬品等による健

康被害の再発防止のための取組を進めるとともに、昨年成立した「肝炎対策基

本法」に基づき、インターフェロン治療に係る医療費助成を柱とした「新しい

肝炎総合対策」のさらなる推進に向け、取り組んでまいります。

医薬品・医療機器につきましては、有効で安全な医薬品・医療機器をより早

く国民の皆様に提供できるよう、承認審査の迅速化等(いわゆるドラッグラグ・

デバイスラグの解消)、未承認薬・適応外薬の解消に積極的に取り組むとともに、

関係省庁と連携し、研究開発の促進、治験の活性化、先端医療開発特区を推進

してまいります。

国内でワクチンを確保できる体制の構築、献血等の血液事業や医療機関にお

ける血液製剤の適正使用の推進に取り組むほか、薬物乱用対策として、取締り

の強化とともに、啓発活動を推進します。

さらに、医療の担い手として薬剤師の資質向上をより一層図るとともに、昨

年6月に施行された新しい医薬品販売制度をより一層周知します。

臓器移植につきましては、昨年、「臓器の移植に関する法律」の改正が行われ

たところであり、改正法の円滑な施行に向け、万全を期してまいります。

また、全ての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするため、

生活習慣病の着実な予防に取り組んでまいります。がん対策につきましては、

「がん対策基本法」の基本理念にのっとり、がんの総合的・計画的な対策を推

進するとともに、難病研究や難病患者の医療費助成など、引き続き取り組んで

まいります。

原爆被爆者対策につきましては、昨年成立した「原爆症認定集団訴訟の原告

に係る問題の解決のための基金に対する補助に関する法律」の円滑な施行に努

めるとともに、原爆症認定制度の在り方について、幅広い観点から総合的に検

討を進めてまいります。

このほか、生活衛生関係営業の振興を通じた衛生水準の維持向上に努めると

ともに水道行政においては、全ての国民が安心できる安全な水道水の安定供給

の確保に取り組んでまいります。

食品の安全につきましては、科学的知見に基づき、輸入食品の監視体制の強

化やBSE対策の推進を図るとともに、問題事案発生時には、昨年設置された

消費者庁等関係行政機関と連携しつつ迅速に対応するなど、国民の健康の保護

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を図るために全力を尽くしてまいります。

以上、厚生労働行政には、このほかにも多くの課題が山積しております。

私としては、多くの国民から信頼を失った厚生労働行政について、関係者一

丸となって、業務の見直しや改善に取り組み、国民の皆様から信頼される厚生

労働行政へと立て直しを進めてまいります。

国民の皆様の一層の御理解と御協力をお願い申し上げ、新年の挨拶とさせて

いただきます。

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年 頭 所 感

厚生労働省健康局長 上田 博三

新年を迎え、謹んで年頭の御祝辞を申し上げます。

まず始めに、日頃から健康行政に対して格段の御理解と御協力を賜り、改め

て厚く御礼申し上げます。

健康局の行政は、人が生きていく上で最も重要な健康、生命に関わるもので

あり、大きな責任と使命を常に実感しています。このため、生活習慣病の予防

に地道に取り組む一方、健康危機には迅速な対応に全力を尽くしてまいります。

昨年4月に発生いたしました新型インフルエンザにつきましては、発生直後

から情報収集や国民への情報提供、医療体制の整備等を行うとともに、今回の

新型インフルエンザは季節性インフルエンザと類似する点が多いことを踏ま

え、適宜対策の見直しを行い、実情に合わせた対応を講じてきたところです。

その一環として、昨年、新型インフルエンザ予防接種による健康被害を救済す

るための給付を行うこと等を内容とする「新型インフルエンザ予防接種による

健康被害の救済等に関する特別措置法」が成立したところです。今後も、地方

公共団体や関係機関との緊密な連携・協力、国民の皆様への情報提供等を徹底

し、対策を進めてまいります。

また、結核対策の充実や、予防接種行政の抜本的な見直しなど、感染症対策

を一層強化してまいります。

肝炎対策につきましては、昨年成立した「肝炎対策基本法」に基づき、イン

ターフェロン治療に係る医療費助成や検診など早期発見・早期治療の促進、治

療水準の向上に向けた取組など、総合的な対策を図ってまいります。

難病対策につきましては、難病研究や難病患者の医療費助成などについて引

き続き取り組んでまいります。

さらに、ハンセン病対策につきましては、「ハンセン病問題の解決促進に関す

る法律」に基づき、患者・元患者の方々の福祉の増進、名誉回復、ハンセン病

及びハンセン病対策の歴史に関する正しい知識の普及啓発等を推進します。ま

た、エイズにつきましては、感染者の方々の人権に十分配慮しつつ、普及啓発、

年 頭 所 感

2010

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検査・相談体制の充実、医療提供体制の整備等を図ってまいります。

このほか、総合的・体系的なリウマチ・アレルギー対策を推進していくほか、

腎疾患対策の一層の推進に取り組んでまいります。また、慢性疾患対策の更な

る充実を図るために、慢性閉塞性肺疾患等の慢性痛対策のあり方について検討

を深めてまいります。

臓器移植につきましては、昨年、「臓器の移植に関する法律」の改正が行われ、

小児からの臓器提供及び親族への臓器の優先提供の意思表示が可能となること

等が新たに盛り込まれたところであり、その円滑な施行に向け、実施体制の整

備や新制度の普及啓発に努めてまいります。また、造血幹細胞移植につきまし

ては、骨髄バンクのドナー登録者の一層の拡大を図るとともに、安全でより移

植に適したさい帯血の確保に向けて取り組んでまいります。

また、我が国においては生活習慣病が増加しています。このため、「健康日本

21」に基づく取組を推進し、適度な運動、健全な食生活、禁煙を柱とする国民

的な運動を展開しています。また、医療保険者による特定健診・保健指導と併

せて、生活習慣病対策を強力に進めてまいります。

現在、国民の死因の第1位を占めるがんへの対策につきましては、患者の方々

の声を踏まえつつ、「がん対策基本法」の基本理念にのっとり、放射線療法及び

化学療法の推進、治療の初期段階からの緩和ケアの実施、がん登録の推進に重

点を置き、総合的・計画的な対策を推進します。

さらに、原爆被爆者対策につきましては、昨年成立した「原爆症認定集団訴

訟の原告に係る問題の解決のための基金に対する補助に関する法律」の円滑な

施行に努めるとともに、原爆症認定制度の在り方について、幅広い観点から総

合的に検討を行ってまいります。

生活衛生関係営業につきましては、株式会社日本政策金融公庫における融資

に支障を来すことのないよう万全の対応を講ずるとともに、生活衛生同業組合

の活動に対する支援、生活衛生営業指導センターの経営指導体制の強化など、

生活衛生関係営業の一層の振興発展に努めてまいります。

また、水道関係の施策につきましては、災害、危機管理対策等の充実、強化

を図るとともに、「水道ビジョン」に掲げられた施策の一層の推進等を図ってま

いります。

最後に、本年も皆様の健康行政に対する一層の御理解と御協力を御願い申し

上げまして、私の新年の挨拶とさせていただきます。

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JA全厚連情報 №902 2010年1月1・11日

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年 頭 所 感

厚生労働省医政局長 阿曽沼 慎司

謹んで新春の御挨拶を申し上げます。

平成 22年の年頭に当たり、日頃から医療行政に多大なる御理解と御協力を賜

っております皆様方に改めて御礼を申し上げますとともに、所信の一端を申し

述べさせていただきます。

我が国の医療提供体制は、国民皆保険制度とフリーアクセスの下で、国民が

必要な医療を受けることができるよう整備が進められ、その結果、世界最高水

準の平均寿命や高い保健医療水準を実現するなど、国民の健康を確保するため

の重要な基盤となっています。

一方で、急速な高齢化の進行、医療技術の急速な進歩への対応、国民の意識

の変化など、医療を取り巻く環境は大きく変化しております。また、医療現場

では、地域における医師の偏在や産婦人科・小児科を中心とした医師不足、救

急医療・周産期医療に対する不安があります。地域で必要な医療を受けられな

いという不安を解消し、国民に質の高い医療サービスを安定的に提供できるよ

う、医療提供体制を整備強化することが課題となっています。

医師確保については、医師数について増員する方向で施策を実施してきてお

り、来年度の医学部定員についても、本年度に続き、更なる増員を行うことと

しております。また、地域や診療科における医師の偏在の解消のための取組を

進めているところであり、引き続き、地域医療の確保・充実に向け必要な取組

に努めていきます。

救急医療・周産期医療の充実を図るため、重篤な救急患者を 24時間受け入れ

る救命救急センター、地域の周産期医療の中核となる総合周産期母子医療セン

ター等への支援、救急医療や周産期医療を担う医師の勤務環境の改善等に取り

組んでまいります。

また、各都道府県に地域医療再生基金を設置し、都道府県が策定する地域医

療再生計画に基づく地域の医師確保、救急医療の強化等の取組への支援を通じ

年 頭 所 感

2010

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て、医療提供体制の再建に取り組んでまいります。

医療の質の向上や効率化を図るためには、医療関係職種がそれぞれの専門性

を高め、適切な業務分担を推進することが重要です。このため、現在、「チーム

医療の推進に関する検討会」を開催し、現場の方の御意見を伺いながら、具体

策について検討を進めているところです。また、医師の資質の向上を図るとと

もに医師不足への対応を行うため、昨年5月に、医師臨床研修制度の見直しを

行ったところであり、引き続き、基本的な診療能力を修得でき、研修医のキャ

リア形成につながる研修が実施されるよう努めてまいります。

医療の高度化等、看護を取り巻く状況も変化しており、看護職員の質の向上

と確保に向け、将来を見据えた具体的な施策を推進する必要があります。この

ため、看護職員の確保、新人看護職員研修の実施体制の整備、看護教育の内容

に関する具体的な検討を進めてまいります。あわせて、助産師の活用にも積極

的に取り組んでまいります。また、EPA(経済連携協定)に基づく外国人看

護師候補者に対する支援策の充実を図ります。

歯科保健医療分野では、歯科医師の資質向上を図る観点から、歯科医師臨床

研修制度の見直しを進めており、多様な研修機会の確保等、地域歯科医療に関

する研修内容の充実に努めてまいります。また、8020運動等を通じて検診や保

健指導等の充実を図るとともに、医療連携に基づく在宅歯科医療の推進に取り

組んでまいります。

国立高度専門医療センターについては、本年4月1日の独立行政法人への移

行を間近に控えております。独立行政法人化のメリットを最大限発揮し、大学

や民間との積極的な人材交流やガバナンスの強化等を行い、各センターのミッ

ションを達成できる組織となるよう円滑な移行に向けた準備を進めてまいりま

す。

医薬品産業・医療機器産業については、国民の保健医療水準の向上に資する

とともに、我が国を担うリーディング産業として期待されています。国として

も医薬品・医療機器産業の国際競争力を強化するとともに、研究開発の環境整

備や審査の迅速化・効率化、新薬の適切な評価など研究から上市に至る過程へ

の一貫した支援を着実に推進してまいります。後発医薬品についても「後発医

薬品の安心使用促進プログラム」を進めてまいります。

「先端医療開発特区」、いわゆる「スーパー特区」については、研究費による

支援を開始し、3年後の成果に結びつけられるよう、今後も最先端の再生医療、

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医薬品・医療機器の開発促進を図ってまいります。

さらに、患者・医師双方が最先端の医薬品等にアクセスしやすくするために

策定された「新たな治験活性化五カ年計画」については、中間見直しを踏まえ、

質の高い治験・臨床研究の一層の効率化・迅速化のための環境整備を進めると

ともに、国際的な治験・臨床研究を企画・立案し日本発のイノベーションを創

出していくためのグローバル臨床研究拠点の整備についても支援してまいりま

す。

本年も医療行政に一層の御理解、御支援を賜りますようお願い申し上げます

とともに、皆様にとりまして本年が実り多き一年とならんことを祈念いたしま

して、新年の挨拶とさせていただきます。

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年 頭 所 感

厚生労働省老健局長 宮島 俊彦

平成 22年の新春を迎え、心よりお慶び申し上げます。年の初めに当たり、皆

様から平素より高齢者介護・福祉行政の推進に格別の御理解と御協力をいただい

ておりますことに、改めて厚く御礼申し上げます。

今年は介護保険制度が導入されてから 10年目を迎えます。この間に介護サー

ビスの利用者は在宅サービスを中心に倍増し、老後の安心を迎える仕組みとして

定着いたしました。介護保険制度の、介護を必要とする高齢者に必要なサービス

を提供するという役割が一層重要となってまいります。この役割を果たすために

は、関係者の努力を賜ってこそ、このような成果を得ることができるものと考え

ております。

さて、今後の一層の高齢化が進展する中で、介護人材の確保と介護サービス基

盤の拡充、持続可能な介護保険制度の構築、そして地域包括ケアシステムの構築

が必要であると考えております。

介護人材の確保に関しましては、平成 21年度補正予算において介護職員一人

あたり平均月額 1.5 万円の賃金引き上げに相当する介護職員処遇改善交付金を創

設したところであります。本交付金をより一層活用していただくため、事務手続

きの簡素化や周知徹底を行っているところでありますが、さらに本年はキャリア

パス要件を追加し、介護職の人が将来に展望を持てる処遇の実現に向けて邁進し

てまいります。

また、今後、重度の要介護高齢者が増加していく中で、介護を必要とする高齢

者に対する住まいの確保を含めた介護サービス基盤の整備が重要であります。平

成 21年度補正予算において、介護拠点の緊急整備のための基金を各都道府県に

創設し、平成 21年度から平成 23年度の3年度内で 16万床の整備を進めること

としております。さらに国交省と連携の上、ケア付きの高齢者の住まいを確保し

ていき、従来を上回るスピードで介護基盤の整備を進めてまいりたいと考えてお

ります。

年 頭 所 感

2010

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介護保険財政に関しましては、制度創設時に 3.6兆円であった給付費が現在

7.7兆円となっているところであります。また、介護保険料は全国平均で 4,160

円となっております。2025 年には、65歳以上の方が全人口の 30%を超えると予

想されており、介護費用も社会保障国民会議の統計によると、19兆円から 24兆

円にもなると見込まれております。こうしたことを踏まえつつ、国民の保険料の

負担の水準にも留意しながら、持続可能な制度の構築を図ってまいりたいと考え

ております。

また、これから認知症高齢者や一人暮らし高齢者が増加するとともに、都市部

における高齢化の進展が予想されていますが、介護を必要とする高齢者が住み慣

れた地域で自立した生活を送れるよう、医療・介護のみならず、配食・見守り・

緊急時対応といった地域生活支援サービスや住まいを含めた多様なサービスを

連動して提供する地域包括ケアシステムの構築が必要であると考えております。

この構築については、地域における介護ニーズや課題の把握をする必要があり、

地域に合ったサービス提供体制を関係各位の御協力を賜りながら構築してまい

りたいと考えております。

これらの課題への対応については、第5期介護保険事業計画が始まる平成 24

年度に向けて議論する中で、関係者の皆様と一緒に検討を進めてまいりたいと考

えております。本年も引き続き皆様方の御理解と御協力を賜りますよう御願い申

し上げるとともに、本年の皆様方の御健勝と御多幸をお祈り申し上げまして、新

年の御挨拶とさせていただきます。

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平成 22年度政府予算案、過去最大の 92兆 2,292億円

厚生労働省分は 9.5%増の 27兆 5,561億円

政府は、12 月 25 日の臨時閣議で平成 22年度予算案を決定した。政府全体の

予算案の歳出総額は過去最大の 92兆 2,292億円(平成 21年度予算比 4.2%増)

で、概算要求段階での 95兆 381億円からは約2兆 7,000億円圧縮された。この

うち、厚生労働省の予算額は 27兆 5,561 億円(同 9.5%増)で、社会保障関係

費は同 9.8%増の 27 兆 793億円、10年ぶりにネットでプラスとなる診療報酬改

定の財源には同 4.6%増の9兆 4,043億円が計上された。

主な頄目として、救急医療・周産期医療の充実に向けた新規事業では、新生

児集中治療室(NICU)などに長期入院している小児の在宅移行促進策とし

て1億 1,000万円、受け入れ困難な救急患者を確実に受け入れるための空床確

保に対する支援や、診療所医師が二次救急機関で休日・夜間の診療支援をする

場合の財政支援など二次救急体制の充実に6億 8,000万円、超急性期の小児救

命救急を担う「小児救命救急センター(仮称)」の支援に3億 1,000万円など

が盛り込まれた。このほか救急関連では、ドクターヘリの導入促進事業の充実

に 28億円などが計上された。

医師確保・医療人材確保対策等の推進には 370 億円(平成 21 年度予算比

21.4%減)が計上された。このうち、休日・夜間の救急、分娩、新生児医療を

担う勤務医への手当の支援や、臨床研修修了後の専門研修で産科などを選択し

た医師の処遇改善に取り組む医療機関への支援などに 80億円、女性医師の離職

防止・復職支援に 25 億円、看護職員の離職防止・復職支援に 23億円、医療事

故における死因究明、産科医療補償制度の円滑な運用に3億 7,000万円が計上

された。

雇用対策関連では、介護労働者等の確保・定着への対策に 248億円(平成 21

年度予算比 11.2%増)、再就職・能力開発対策として介護・福祉、医療、情報

通信等の分野における能力開発の推進に 405億円(同 20.9%増)などが計上さ

れた。

このほか、新型インフルエンザ対策に 116億円(同 19.4%減)、がん対策の

推進に 316億円(同 33.3%増)、難病・移植・生活習慣病対策として 2,228億

円(同 36.5%増)が計上された。

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ネットで 0.19%引き上げ、10年ぶりのプラス改定

平成 22年度診療報酬改定率

政府はこのほど、平成 22 年度の診療報酬改定率をネット(全体)で 0.19%

引き上げることを決定した。ネットでプラス改定は 10年ぶりとなる。

このうち、診療報酬本体は 1.55%の引き上げ、各科の改定率では医科が

1.74%の引き上げで、入院・外来別の改定率は、入院は 3.03%の引き上げ、外

来は 0.31%の引き上げとなった。また、歯科では 2.09%引き上げ、調剤では

0.52%の引き上げとなった。

一方、薬価・材料価格は 1.36%引き下げで、薬価の改定率は 1.23%の引き下

げ(薬価ベース 5.75%の引き下げ)、材料価格の改定率は 0.13%の引き下げと

なった。

平成 22年度の医療費を 36.5兆円とすると、本体部分のプラス財源は約 5,700

億円で薬価と材料価格の引き下げで得た約 5,000億円を回すほか、純粋なプラ

ス改定財源として約 700億円(国費は約 160億円)を本体部分に充てる。さら

に、医科には約 4,800 億円が充てられることになり、入院が約 4,400億円、外

来が約 400億円を配分することとなった。

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平成 22年度税制改正大綱決定

事業税非課税措置は存続

政府は 12月 22日の閣議で「平成 22年度税制改正大綱」を決定した。

それによると、医療関係では、医療機関の社会保険診療報酬にかかる事業税

(地方税)の非課税措置が平成 22年度は存続することが盛り込まれたが、「来

年1年間真摯に議論し、結論を得る」との文言が盛り込まれ、引き続き議論が

されることとなった。

このほか、医療計画上の医療連携体制に基づいて周産期医療を担う医療機関

の開設者が取得する周産期医療施設の用に供する不動産に係る不動産取得税

(地方税)について、課税対象から除く特例措置が、6年間延長する間に3段

階に分けて軽減率が引き下げられることとなった。控除される額は、平成 22

年4月1日から平成 25年3月 31日までの取得については当該不動産の価格の

2分の1、平成 25年4月1日から平成 27 年3月 31日までの取得については当

該不動産の価格の3分の1、平成 27年4月1日から平成 28年3月 31日までの

取得については当該不動産の価格の6分の1に相当する額となる。

また、消費税については、三党連立政権合意において、「現行の消費税5%

は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、

歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない」との方針を示

しており、消費税のあり方については、今後、社会保障制度の抜本改革の検討

などと併せて検討するとしている。

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生活の質の向上がポイント

医師・看護師による公開講座―第5回ファミリー医学講座「前立腺肥大症について」―

(伊勢原協同病院)

JA神奈川県厚生連・伊勢原協同病院(別所隆院長)では、病気と医療につ

いてわかりやすく解説し、病気の治療や予防について知識を深めてもらうため

に、地域の皆さんを対象にした公開講座を開催しています。

10月 24日(土)には、平成 21年度第5回目のファミリー医学講座を開催しま

した。第5回目は、泌尿器科診療部長の田野口仁先生が「前立腺肥大症につい

て」と題した講演で、当日の飛び込み参加者を含めて、35名の参加がありまし

た。

田野口部長は、ファミリー医学講座のために作成したパワーポイントの資料

を使い、「前立腺肥大症の診断方法」「薬物療法」「手術方法」を説明しまし

た。手術治療の紹介では、当院で行われた手術内容を動画で紹介しました。

質疑応答では、「そのまま、ほうっておいたらどうなるの?」「受診の目安

は?」などの質問があり、田野口部長からは、「排尿回数にこだわるのではな

く、まず、日常生活の質(クオリティーオブライフ)にどれだけ影響している

かが重要であり、自分での一日の尿量をチェックし記録をとっておくと、専門

の医師も診断の目安になる」と伝え

ました。参加者は熱心にメモをとっ

ていました。

参加者からは、「今日の講座を受

けて安心した」「田野口先生のお話

を聞かせて頂いて、前立腺の内容が

よくわかりました」といった、感想

をいただきました。

(八木清崇通信員)

質疑応答の様子

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JA長野県保健・福祉推進大会開催

(JA長野厚生連)

JA長野県保健福祉推進委員会とJA長野県厚生部会は 11 月 13日、安曇野

市のスイス村「サンモリッツ」で、「いきいきと安心して暮らせる地域づくり~

地産地消を考える~」をテーマに、

JA長野県保健・福祉推進大会を開

きました。長野県、市町村やJA関

係者など約 210 人が参加しました。

大会では、料理研究家の横山タカ

子氏が地元の旬の食材を使った料理

の大切さについて話したほか、長野

県農政部農業政策課農産物マーケテ

ィング室の浦山宏一室長とJA塩尻

市女性部の竹下静江部長がそれぞれの地産地消の取り組みについて紹介しまし

た。

また、佐久総合病院健康管理部の前島文夫部長が心血管病の予防について、

食と生活習慣病の観点から話をしました。

「“健康生活と食”を考える」と題したシンポジウムでは、食事は旬の食材を

選べば代謝に良く体が冷えない、運動は仲間をつくって行えば持続できる可能

性が高くなるなどの議論が行われま

した。

参加者からは「食は命の源であり、

食育は次世代対策にもつながる大切

なこと。もう一度食を見直す活動を

していきたい」「日常生活の送り方を

見直し、仕事に追われた生活を振り

返りたい」などの感想が寄せられま

した。

(西澤早織通信員)

4人のシンポジスト

昼食後には竹下部長の指導で手ぬぐい体操を行いました

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東京ディズニーリゾートの皆さんが病棟を訪問

(鹿教湯三才山リハビリテーションセンター三才山病院)

JA長野厚生連・鹿教湯三才山リハビリテーションセンター三才山病院(黒

岩靖院長代行)に 12 月7日、東京ディズニーリゾートから親善大使の岡本真紀

子さんとミッキーマウス、ミニー

マウスが訪れました。

同リゾートを運営するオリエン

タルランドの福祉活動の一環。筋

ジストロフィーなどの患者さんを

受け入れる指定療養介護事業所で

は、10数人の患者さんがミッキー

とミニーを出迎えました。

ミッキーとミニーが、音楽に合

わせてダンスを披露したり、一人

ひとりと握手をしたり写真撮影を

したりすると、患者さんはうれし

そうな笑顔を見せていました。

永井久子看護部長は「普段は厳

しい顔をしている人も今日は素晴

らしい笑顔になっている」と話し

ました。

(西澤早織通信員)

ミッキーとミニーの楽しいダンス

患者さん一人ひとりと握手をしました

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□会議日程

平成22年

1月22日(金) 理事会 13時30分から(東京・大手町・JAビル27階「全厚連会議室」)

1月28日(木) 厚生連常勤役員・参事会議 13時から(東京・ホテルイースト21 3階「永代」)

2月 9日(火) 厚生連会長会議 11時から(東京・浅草ビューホテル4階「飛翔」)

2月17日(水) 理事会 15時30分から(東京・大手町・JAビル27階「全厚連会議室」)

2月18日(木) 経営管理委員会 10時30分から(東京・大手町・JAビル27階「全厚連会議室」)

3月 4日(木) 臨時総会 11時から(東京・浅草ビューホテル3階「祥雲」)

3月24日(水) 理事会 15時から(東京・大手町・JAビル27階「全厚連会議室」)