iot時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技...

28
© 2015 IBM Corporation IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技術によって最適化される設備保全 日本アイ・ビー・エム株式会社 東京研究所・ビジネス開発 藤江 義啓 インフラ・イノベーション研究会 第27回講演会

Upload: others

Post on 30-Aug-2020

2 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation

IoT時代に価値を産み出す数理科学~高度な分析技術によって最適化される設備保全

日本アイ・ビー・エム株式会社東京研究所・ビジネス開発

藤江 義啓

インフラ・イノベーション研究会 第27回講演会

Page 2: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation1

本⽇の内容

予知保全の実現に向けて

センサーデータ分析による異常検知

検査データ分析による設備劣化予測

社会インフラ保全に向けて

Page 3: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation2

設備保全における成熟度モデル

Source: Gartner

事後保全

予防保全

状態監視保全

予知保全イベント発⽣全企業の9割以上がこのステージに残留定修タイミングで修繕

イベント発⽣ITによるルール発⾒、PDCAサイクル構築が効果IoT の領域

Page 4: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation3

状態監視保全・予知保全により得られるメリット

保守業務の効率化に貢献設備・施設の資産管理効率化、運用安全性、環境維持の能力を高める為に予測分析手法を適用設備・施設の稼働率を高めるために故障発生や保守すべきタイミングを予測するために予測分析技法を適用

設備の稼動率向上に貢献設備・機器にたいして故障や保守が必要となる時期を予測予防保守作業を実施してアップタイムを最大化し、混乱と高コストとなる突然のダウンタイムを最小化

運転コストの低減の実現運転データを分析することで、環境規制など、さまざまな制約条件を満たしたうえで効率の良いオペレーション方法を予測。

稼動中の設備からのデータを分析することで故障を予測、予防保守や部品手配の最適化、設備の稼働率向上を実現します。さらに運転データの分析により、効率よい運転の支援を実現します。

Page 5: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2014 IBM Corporation

異常検知エンジン

(ANACONDA)

予測分析ソリューション(PMQ / Predictive Maintenance

& Quality)

4

対策実施対策検討原因特定原因究明異常検知

異常の早期発⾒ 保全実施

①設備異常の早期検知

②データ分析による原因究明

③リスク判断による原因特定と共有

統合資産管理システム(Maximo)

IBM基礎研究所による独⾃解析モデル

• 操業条件、経年劣化、保全履歴などのデータ分析による原因特定

• 原因分析と特定ノウハウの共有

予知保全の実現を⽀えるIBMソフトウェア

• 設備台帳・保全履歴・部品在庫管理• ワークオーダーのための⼈とモノ、

部品の発注管理

Page 6: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2014 IBM Corporation5

予知保全の実現を⽀える予測分析技術

設備情報

使用環境

故障・保全履歴

センサーデータ

相関分析故障リスクモデル

コスト計画

信頼性予測

故障パターン

季節時間要因 操業制約条件

保全計画

異常検知予測モデル保全

スケジューリング

定期点検ワークオーダー

点検・保全ワークオーダー

過去の故障保全履歴、使用環境などを分析し、様々な制約条件を満たす形で保全計画の策定を実現します。さらに最新の異常検知技術により、設備の停止を未然に防ぎます。

ログデータ(スタティック) 故障予測・故障分析 保全計画策定

モニタリングデータ(ダイナミック)

Page 7: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation6

予知保全の実現に向けて

センサーデータ分析による異常検知

検査データ分析による設備劣化予測

社会インフラ保全に向けて

Page 8: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2014 IBM Corporation7

センサーデータを活⽤したIBM異常検知エンジンの概要

実データでよくある特徴

サイズが大きい

• 時間軸方向

• 時系列の数

相関がある

• 時間軸方向

• 異なる時系列間

動的である

• ノイズ不可避

異種混合的である

• 圧力、温度、速度、加速度、、、

業種を問わず、物理センサー値の監視は技術的に困難な課題が山積しています

Page 9: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2014 IBM Corporation8

センサーデータを活⽤したIBM異常検知エンジンの概要異常検知は、多数の変数がダイナミックに変動するような場合、⾮常に困難な問題となります。

はずれ値の概念は明確はずれ値を検知する確⽴された⼿法が存在

はずれ値の特徴は⾃明でない₋ パターン認識のような処理が必要

異常は複数の変数の組み合わせで起こる確⽴された⼿法が存在しない

はずれ値

time

valu

e

単純な状況: 単⼀の変数、限定された変動

現実の状況: 多変数、⼤きなノイズ、ダイナミックな変動

?

Page 10: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2014 IBM Corporation9

センサーデータを活⽤したIBM異常検知エンジンの概要IBM Anomaly Analyzer for Correlational Data(ANACONDA)(*)の特徴は機械学習を使⽤した、相関関係のモデル化により⾼精度での異常検出を実現します。

IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの⼿法変数値そのものではなく、変数同⼠の関係を監視する

正常稼動時において、変数間の依存関係のパターンをデータから⾃動学習

• 「スパース構造学習」を⽤いることで、ノイズに頑強でかつ⾼精度の依存パターンの同定を可能に

それを現時点での観測値と照合し、系の異常を判定

異常の際は、個々のセンサーの異常度を計算することで、異常部位同定に有⽤

DBに蓄積された正常時データ

学習された確率分布

監視時データ

異常度計算モデル ・・・

各変数の異常度

(* 以後本資料ではIBM異常検知エンジンとします)

Page 11: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2014 IBM Corporation10

モデル構築・異常判定の実施イメージ

モデル構築フェーズで正常状態を表す依存関係グラフを計算しておき、運⽤時に直近のグラフと⽐較します。

時々刻々と変化するセンサー値

………

1.事前に、⼤量の正常データから、変数間の依存関係グラフを計算しておく

2.直近のセンサー値の依存関係グラフを計算する

蓄積された⼤量の正常データ

3.⼆つのグラフを⽐較する

モデル構築フェーズ

運⽤フェーズ

Page 12: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2012 IBM Corporation2013 IBM Corporation11

センサーデータ解析 適⽤事例

船舶の遠隔状態診断

• 船舶エンジンの異常の兆候を自動判別

• 専門家に頼らずに判別モデルを自動で構築する

鉄道車両状態監視

• 車軸の温度をモニタリングし、異常を早期検出

• 従来手法より数倍高い検出能力を実証

センサー健全性検査

• 自動車設計開発時に取得される試作車の測定系の正しさを自動チェック

• 設計開発の工数短縮への有用性を確認

船舶、運輸、エネルギー、自動車、など、広い業種での適用事例があります。

自動車生産ラインの品質監視

• 溶接時に出る閃光のスペクトルを分析し、良・不良を瞬時に判別

• ほぼ100%の判別精度を達成

自動車組立工の作業ミス監視

• 作業員の身体につけた地磁気センサーを元に、動作異常を識別

• 実データを使った検証で良好な精度を確認

設備状態監視

• 重機械に設置された100以上のセンサーを監視

• 人の目で判別が困難な異常の早期検知に成功

Page 13: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation12

• 熟練の技術者をほとんど使わずに異常検知モデルを構築

• 機器の状態診断や故障の未然防止。機器の状態に基づくメンテナンス期間の延伸

• 船舶の安全な運航と保守費用低減を両立

大型船

インターネットで振動など機器分析のデータを送信

整備部門

異常を検知、修理を依頼

エンジン部にセンサー設置

船舶保守管理クラウド

振動等のデータ

船主、管理会社、保守会社等

「船舶保守管理システム」

実船にセンサー搭載・検証(DU社LC-A)センサーデータ解析による異常検知機能 (IHIMU社保有の経験、データおよびIBM東京基礎研究所データ解析技術)

海上の設備保全効率向上(Maximo)

回線が繋がっていない状況でもシステム利用可能(IBM Worklight)

課題

航海中のトラブルを防ぐために船内搭載機器の状態把握や保守管理を適切に行うことが必要

大型船の整備技術者の高齢化と後継者不足

ソリューション

効果

LC-A : Lifecycle AdministratorDU : 株式会社ディーゼルユナイテッドIHIMU : 株式会社 アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド

事例: ⽇本海事協会様の船舶保守クラウドを構築

Page 14: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation13

線形予測モデル

モデルを生成

センサー2

線形予測モデル

モデルを生成

センサー2

事例: ⽇本海事協会様の船舶保守クラウドを構築

線形予測モデル

異常検知モデル

センサー1 0

2

4

6

8

10

12

14

16

averagedef_MET14001_1_judg.csv

averagedef_MET14001_2_judg.csv

averagedef_MET14001_3_judg.csv

averagedef_MET14001_4_judg.csv

averagedef_MET14001_5_judg.csv

averagedef_MET14001_6_judg.csv

inoutdef_TBLMET140020101_judg

.csv_TBLMET140030101_judg.csv

_judg.csv

tblmep1

50020001_judg.csv

tblmep1

70030001_judg.csv

tblmer100090001_judg.csv

tblmer160010001_judg.csv

tblmer170010001_judg.csv

tblmes1

60010001_judg.csv

tblmes1

60020101_judg.csv

tblmet110050001_judg.csv

tblmet140060101_judg.csv

0

2

4

6

8

10

12

14

16

averagedef_MET14001_1_judg.csv

averagedef_MET14001_2_judg.csv

averagedef_MET14001_3_judg.csv

averagedef_MET14001_4_judg.csv

averagedef_MET14001_5_judg.csv

averagedef_MET14001_6_judg.csv

inoutdef_TBLMET140020101_judg

.csv_TBLMET140030101_judg.csv

_judg.csv

tblmep150020001_judg.csv

tblmep170030001_judg.csv

tblmer100090001_judg.csv

tblmer160010001_judg.csv

tblmer170010001_judg.csv

tblmes160010001_judg.csv

tblmes160020101_judg.csv

tblmet110050001_judg.csv

tblmet140060101_judg.csv

0

2

4

6

8

10

12

14

16

averagedef_MET14001_1_judg.csv

averagedef_MET14001_2_judg.csv

averagedef_MET14001_3_judg.csv

averagedef_MET14001_4_judg.csv

averagedef_MET14001_5_judg.csv

averagedef_MET14001_6_judg.csv

inoutdef_TBLMET140020101_judg

.csv_TBLMET140030101_judg.csv

_judg.csv

tblmep150020001_judg.csv

tblmep170030001_judg.csv

tblmer100090001_judg.csv

tblmer160010001_judg.csv

tblmer170010001_judg.csv

tblmes160010001_judg.csv

tblmes160020101_judg.csv

tblmet110050001_judg.csv

tblmet140060101_judg.csv

0

2

4

6

8

10

12

14

16

averagedef_MET14001_1_judg.csv

averagedef_MET14001_2_judg.csv

averagedef_MET14001_3_judg.csv

averagedef_MET14001_4_judg.csv

averagedef_MET14001_5_judg.csv

averagedef_MET14001_6_judg.csv

inoutdef_TBLMET140020101_judg

.csv_TBLMET140030101_judg.csv

_judg.csv

tblmep1

50020001_judg.csv

tblmep1

70030001_judg.csv

tblmer100090001_judg.csv

tblmer160010001_judg.csv

tblmer170010001_judg.csv

tblmes1

60010001_judg.csv

tblmes1

60020101_judg.csv

tblmet110050001_judg.csv

tblmet140060101_judg.csv

時刻0

時刻3時刻2

時刻1

異常度スコア

センサーセンサーセンサーセンサーセンサー1

船上のデータ

各センサーに対して、

最も適合するモデルを自動選択モデルに含まれる係数を自動学習

大量の正常データ

センサーセンサーセンサーセンサーセンサー1

線形予測モデル

モデルを生成

センサー1

・・・非線形

予測モデル

モデルを生成

センサー2

※ ある程度の分量の異常データが利用可能な場合、モデルの精度・確度をさらに上げることが可能

異常

運用時: 船上で、各センサーを時々刻々と計測し、異常時に警報を上げる

モデルの構築時: 陸上で、大量にある正常データを用いて、「異常検知モデル」を構築しておく。

Page 15: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation14

予知保全の実現に向けて

センサーデータ分析による異常検知

検査データ分析による設備劣化予測

社会インフラ保全に向けて

Page 16: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation15

• データからの知⾒導出

• 分析結果をわかりやすい形で現場にフィードバック

• インタラクティブダッシュボード

• 迅速な意思決定のサポート

IBM Predictive Maintenance and Quality

資産効率の最適化Asset Performance Asset Maintenance分析業務プロセス統合

Process Integration

意思決定/対策適⽤5

Cognos BI

アラート/レコメンデーション(ナレッジ蓄積・活⽤)4

SPSS Decision Management

データ収集・統合機能(構造化/⾮構造化/ストリーミン

グ)

WebSphere Message Broker

1

詳細調査/原因究明3

データ解析機能2

SPSS Modeler/Statistics

最新のテクノロジーでご提供する「分析の基幹システム」=PMQ

データ統合から高度な解析、可視化、意思決定、ビジネス価値創出まで、End-to-Endで繋ぐ「分析の基幹システム」

Page 17: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2014 IBM Corporation16

プロジェクトの背景、課題:

近年、製油所、石油コンビナートにおいて設備の老朽化による事故やトラブルが多発しており、石油の安定供給にも支障が出ることが懸念される事態となっている。これまで製油所の現場では、高い技術をもったエンジニアが人間の経験や勘、ノウハウを駆使して製油所コンビナートの安全性を維持してきたが、設備の複雑化、老朽化の進展により、これまでのやり方では十分な対応が難しくなっている。

プロジェクトの目的、狙い:

この事業では、製油所内のデータ活用による、新しい操業トラブル防止方法を確立することを目的とし、そのために必要となる、製油所内の設備データ、履歴情報、検査データ、各種ログ、テキストデータ等のビッグデータを活用したデータ解析・分析・評価を行う。また、その結果を踏まえ国内製油所におけるビッグデータ活用による新たな安定操業対策方法を提案する。なお、このプロジェクトには、大手石油会社2社の製油所が参加し、データを提供する。

• IBM としても、PAO 手法を製油所に本格適用する世界で初めてのプロジェクト

製油所の各種データを解析することにより、事故・トラブルの予兆を把握、予測する

• JPECの下、IBMのPAO手法を用いて、製油所の事故・トラブルの予兆を把握する実証プロジェクトを実施

IBM のPAO 手法

Temperature

Air Quality

Humidity

Traffic

AssetLocation

Weather

Hazard

Environmental Factors

MFG SpecsUsage Data

Asset Monitoring

Process Control

Work Order History Activity LogsAsset Lifecycle

History

エネ庁の製油所ビッグデータ実証事業の取組み• 資源エネルギー庁/JPEC(石油エネルギー技術センター)の調査事業

Page 18: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation17

製油所ビッグデータ実証事業 データ解析対象テーマ

テーマ 内容

オンサイト配管の内面腐食解析

オンサイト配管における内面腐食・漏洩等の異常発生場所の予測

オフサイト配管の外面腐食解析

オフサイト配管における外面腐食・漏洩等の異常発生場所の予測

回転機の異常解析 障害の真因がわかることと、今後の運用面の知見が得られること

クーリングタワーの全体系解析

クーリングタワー装置の温度変動に関する、全体的な原因解析及び予測

平成26年度石油精製環境分析・情報提供事業ビッグデータ解析手法による製油所安定操業対策に関する調査報告書より抜粋

Page 19: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation

「オンサイト配管内⾯腐⾷テーマ」の解析作業

Pipe InspectionData

配管劣化予測モデル

Y = f(X1, X2, X3, …) Cleansed Data

1. ⽣データを⽤いて初期解析モデルを構築 2. 解析モデル結果から

データクレンジングを実施

3. 再度解析を実施4. 2と3を繰り返し

IBMチーム(数理解析)

⽇揮プラントイノベーション(JPI)チーム(配管保全)

IBMとJPIが双⽅の強みを発揮してプロジェクトを推進

ファクタースクリーニング

No. Consequent Antecedent Support % Confidence %1 LT CR (0.1-0.2mm/y) Sch = Sch.80 and 測定部位 = パイプ 19.063 80.834

2 LT CR (0.1-0.2mm/y) 測定部位 = エルボ and 材質分類 = 炭素鋼 15.023 79.399

3 LT CR (0.1-0.2mm/y) Sch = Sch.80 and 材質分類 = 炭素鋼 28.476 79.396

4 LT CR (0.1-0.2mm/y) 足場工事 = N and 材質分類 = 炭素鋼 12.852 78.261

5 LT CR (0.1-0.2mm/y) 保温保冷 = H and 測定部位 = パイプ 13.303 76.575

6 LT CR (0.1-0.2mm/y) 測定部位 = エルボ and 外装材 = H 10.015 76.395

7 LT CR (0.1-0.2mm/y) 保温保冷 = H and 外装材 = H 20.202 75.532

8 LT CR (0.1-0.2mm/y) Sch = Sch.80 and 外装材 = H 13.067 75.164

9 LT CR (0.1-0.2mm/y) 保温保冷 = H and 材質分類 = 炭素鋼 18.074 74.673

No. Consequent Antecedent Support % Confidence %1 LT CR (0.1-0.2mm/y) Sch = Sch.80 and 測定部位 = パイプ 19.063 80.834

2 LT CR (0.1-0.2mm/y) 測定部位 = エルボ and 材質分類 = 炭素鋼 15.023 79.399

3 LT CR (0.1-0.2mm/y) Sch = Sch.80 and 材質分類 = 炭素鋼 28.476 79.396

4 LT CR (0.1-0.2mm/y) 足場工事 = N and 材質分類 = 炭素鋼 12.852 78.261

5 LT CR (0.1-0.2mm/y) 保温保冷 = H and 測定部位 = パイプ 13.303 76.575

6 LT CR (0.1-0.2mm/y) 測定部位 = エルボ and 外装材 = H 10.015 76.395

7 LT CR (0.1-0.2mm/y) 保温保冷 = H and 外装材 = H 20.202 75.532

8 LT CR (0.1-0.2mm/y) Sch = Sch.80 and 外装材 = H 13.067 75.164

9 LT CR (0.1-0.2mm/y) 保温保冷 = H and 材質分類 = 炭素鋼 18.074 74.673

アソシエーションルール

18

Page 20: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2014 IBM Corporation

データ解析の流れ(課題設定、データ準備、モデル構築の繰返し)

解析プロセス 作業内容

1 課題定義 状況・ビジネス理解、課題設定

2 データの理解 分析プラン、利⽤可能データリストアップ、データ同⼠の関係性理解、データ項⽬の意味理解

3 データの準備 データ収集・チェック、データクレンジング、基礎集計・クロス集計

4 データ加⼯ 変数作成(説明/⽬的)、データマート構築

5 データ分別 データ分割(学習/検証)/サンプリング

6 モデル作成 ⽬的に応じた⼿法・アルゴリズムの選定、モデル作成/変数選択

7 モデル評価 統計観点から⾒た評価(モデルの精度・頑健性の評価)、ビジネス⽬標からみた結果評価

8改善施策の提案

分析結果の可視化、知⾒抽出、改善効果の把握、分析結果に基づく改善施策の提案

9 効果検証 改善施策の設計、改善施策の効果検証/PDCAサイクルマネジメント

先ず課題の理解と設定が前提。それに沿ったデータの収集

データ解析のための加⼯作業は必須作業。データを「使えるもの」にする

モデルはいろいろな視点・⼿法・切り⼝から何度も作成、⽐較を繰り返す。課題の理解と設定に⽴ち戻ることもある

モデルと業務プロセスを統合する

19

Page 21: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2014 IBM Corporation

データマイニング・解析ツール IBM SPSS IBM SPSS は、全世界で28万⼈、国内で3万⼈が利⽤する統計解析ソフトのスタンダード。使いやすさと機能を両⽴し、あらゆる分析業務に対応。需要予測など、多種多様な解析機能を備え、予測ロジックの作成・修正なども可能。 また、企業あるいは事業部での解析プラットフォームとしてご使⽤いただけるスケーラビリティを備えた製品群

1.⾼度な分析要件を満たす豊富な多変量解析⼿法をサポート

2.数値予測、判別予測、分類などの様々な予測ニーズに対応した予測モデルを作成可能

3.データ読込み、加⼯、集計、グラフ作成など分析に必要な機能を搭載

4.分析結果をMicrosoft OfficeドキュメントやHTML、PDF形式で出⼒ならびにDBMSへの書き込みが可能

5.分析ジョブをバッチスケジュール設定することで、必要な分析を⾃動更新可能

6.カスタムダイアログビルダーを利⽤して、オリジナル分析テンプレートの開発が可能

SPSSの特徴

20

Page 22: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

モデリングや解析のための統計⼿法(アルゴリズム)を部品装備

IBM SPSS データ解析、モデル構築のワークベンチ

データ収集・チェック、クレンジング

変数作成、データマート、データ分割、サンプリング、ルール抽出

アルゴリズム選定、モデル作成、変数選択、修正

21

Page 23: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation

解析モデルの詳細

選定数理モデル Neural Network

入力要素 以下の12要素(各要素の重要度は下図を参照)腐食系統、使用年数、Schedule、腐食形態、サイズ、腐食種類、運転温度、測定方位分類、測定部位、部位(内面)、流体分類、材質分類

中間層 ※解析ツール内部で管理している

指標 長期腐食指標 (Long Term Corrosion Index) = 減肉量 / (使用年数* 初期肉厚)

データ補填 各測定データに対して長期腐食率を再計算している

Trainingデータ A1製油所 常圧蒸留装置の中からRandomに80%データを抽出

クライテリア 初期肉厚 != 999 and 測定日!= NULL長期腐食率の3σ極値を除外初期肉厚≧測定肉厚 (長期腐食率が0以上と同義)使用年数>5

件数 10,160件

Testingデータ A1製油所常圧蒸留装置の残り20%データ

クライテリア (同一条件)

件数 2,537件

腐⾷系統使⽤年数運転温度測定⽅位分類腐⾷形態Schedule腐⾷種類サイズ流体分類測定部位部位(内⾯)材質分類

22

Page 24: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation

解析におけるデータ整備作業の重要性

データ項目名

整備作業内容 実施理由

一次解析 二次解析(a) 二次解析(b) 二次解析(c) 再解析

(解析対象全項目)

NULLまたはブランクのとき、Defaultと入力

(そのまま) (そのまま) (そのまま) (そのまま)

初期肉厚 999のデータを除外 (そのまま) (そのまま) (そのまま) (そのまま)

測定日 NULLのデータを除外 (そのまま) (そのまま) (そのまま) (そのまま)

長期腐食率 ・3σ極値を除外・長期腐食率 > 0.05

(そのまま) ・3σ極値を除外・長期腐食率 > 0

(そのまま) (そのまま)

材質名称 材質分類として再分類

(そのまま) (そのまま) (そのまま) (そのまま)

測定方位 測定方位が1つのデータのみを抽出

(そのまま) N/E/W/Sなどに再分類

(そのまま) (そのまま)

腐食系統 二次解析用の対象製油所6系統のみ再分類

他の製油所の6系統について再分類

(そのまま) 追加3系統を含む9系統を再分類

(そのまま)

サイズ “B”表記に統一 (そのまま) (そのまま) (そのまま)

運転温度 100度ごとのグループに集約

10度ごとのグループに集約

(そのまま) (そのまま)

使用年数 0.5年ごとのグループに集約

・0.5年ごとのグループに集約・使用年数5年以上のみ

5年以下の若い配管

は腐食率のバラツキが大きかったため

流体名称 流体分類として再分類

バラバラな表記を統一

23

Page 25: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation

配管の使⽤年数と腐⾷率の傾向

• 以下の図は配管の使⽤年数と腐⾷率の傾向を⽰しており、使⽤年数と腐⾷率には⾮線形の関係が存在• 設備診断⽀援システムのデータを以下の条件でフィルタリングして、傾向を調べる

対象データ:・装置:A1製油所、常圧蒸留装置・測定値が存在しているレコード・⻑期腐⾷率が存在しているレコード・⻑期腐⾷率≧0 かつ 3σ極値除外・初期⾁厚≠999

24

Page 26: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation25

予知保全の実現に向けて

センサーデータ分析による異常検知

検査データ分析による設備劣化予測

社会インフラ保全に向けて

Page 27: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation26

社会インフラの保全に向けて

インフラの保全履歴および設計データの整備(スタティックデータ)設備・施設の資産管理に関する保全履歴および改修を反映した図面の整備

インフラのセンシング、検査技術の開発(ダイナミックデータ)設備・機器にたいしてセンシング、検査データの収集技術開発

データの収集手法の開発(M2M・クラウド技術の活用)低コストでデータを収集し利活用できるインフラ技術開発

データの評価分析技術の開発(分析モデル)収集したデータから価値ある洞察を得ることができる技術開発

重要インフラ、老朽化インフラにおける、劣化・損傷に起因する重大事故をなくし、安心して暮らせる社会を実現するためには以下の課題を解く必要があると考えます。

Page 28: IoT時代に価値を産み出す数理科学 ~高度な分析技 …advanced-infra.sakura.ne.jp/sblo_files/advanced-infra/...IBM Anomaly Analyzer for Correlational Dataの 法 変数値そのものではなく、変数同

© 2015 IBM Corporation27