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財務会計への情報評価アプローチ
ーDemskiの一般不可能性定理に依拠してー
上 田 晋 一
目 次
1.はじめに
2.情報評価アプローチに基づく会計情報システムの選択
3.意思決定有用性アプローチに対する問題提起
4. Demskiによる一般不可能性定理とその証明
5.理論的含意と展望
1.はじめに
財務会計の領域において,現在のところ米国で行われている理論形成の
大部分は,主として情報経済学あるいはその応用研究による経済分析に基
礎を置いたものとなっている1)。そのようなパラダイムともいうべき理論
研究の主流はいつ生じたものなのか,その発端まで遡っていくと,1970年
前後に大きな転換期があったことが判る2)。学説史的に見れば,そのよう
な転機は概ね次のようなプロセスを経て完遂されたものであった。まず,
一般に認められた会計原則(GAAP)を提案する立場から,アメリカ会計学
会(American Accounting Association:AAA)が1966年に『基礎的会計理論』(A
Statement of Basic Accounting Theory: ASOBAT)を公表した。このステートメ
ントは,従来の多くの会計理論が会計の役割を「測定プロセス」自体にあ
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ると捉えていたのに対して,会計の役割を利用者にとって有用な「情報」
の提供と捉える規範的立場を強く打ちだし,会計情報が具備すべき諸規準
を列挙したという点で画期的なものであった。 ASOBAT において典型的
なこのアプローチは,米国財務会計審議会(Financial AccountingStandards
Boards:FASB)が公表している概念ステートメント(Statements of Financial
AccountingConcepts)に継承されており,今日では「意思決定有用性アプロ
ーチ」と呼ばれている。一方,会計原則を勧告することから距離を置いた
分析的な研究においては, Felthamが1968年に発表した論文を契機として,
情報価値の測定3)を行うためのモデルを構築する試みが着手されていた。
Feltham[1968]のモデルでは,情報経済学の議論が援用され,期待効用
最大化原理を基調としながら4),ある情報システムから発信されるシグナ
ルが,意思決定者の主観的信念を改善するかどうかという点が重視されて
いる。そのような特徴を有するモデルを展開することによって情報価値の
測定を試みる一連の研究は,「情報評価アプローチ」として位置付けられ
る5)。意思決定有用性アプローチと情報評価アプローチは,利用者の意思
決定に対する役立ちという観点から会計の「情報」的側面を重視し,望ま
しい会計を模索するという点で共通していたが,両アプローチの具体的な
接点はどこにあるのか,依然として曖昧なままであった。また, Feltham
[1968]に端を発した情報評価アプローチは,当初,企業内部の経営意思
決定に役立つ会計情報の活用という文脈で展開されていたために,どちら
かといえば,管理会計領域の議論という印象を抱かせるものであった6)。
情報評価アプローチの枠組みを財務会計領域に導入し,さらに二つのアプ
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ローチの具体的な関係を明確にしたのは, Demskiが1973年に発表した
『規範的会計基準の一般不可能性』(The General Impossibilityof Normative
Accounting Standards)という論文であった7)。
本稿の目的は,情報経済学に基づく今日の財務会計研究の嚆矢となった
この論文を詳細にレビューし,その理論的含意を検討することにある。ま
た,その検討を通じて,意思決定有用性アプローチと情報評価アプローチ
の異同を明確にすることを副次的な狙いとしている。次節では,情報評価
アプローチにおいて展開される基本的モデルの枠組みについて検討する。
3節では,会計原則で採用されている意思決定有用性アプローチの特徴に
ついて述べ,これに対し情報評価アプローチの側から提起された問題を検
討する。4節では, Demski[1973]で主張された一般不可能性定理の内容
と,その証明について詳細に追跡する。5節では, Demski[1973]の理論
的含意を踏まえ,以降の財務会計研究がどのような方向に向かったかにつ
いて整理し,筆者がとりわけ重要であると考えるいくつかの論点について
簡潔に述べる。
2.情報評価アプローチに基づく会計情報システムの選択
本節では,情報評価アプローチの基本的な考え方を論ずる。最初に情報
評価アプローチの前提となる公理について検討し,次に,意思決定者によ
る会計情報システムの選択を記述するモデルについて検討する8)。
情報評価モデルでは,選択可能な会計情報システムの集合から,意思決
定者が自らの選好に基づいて最適な会計情報システムを選択するプロセス
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が記述される。このような記述を可能とするにはまず,意思決定者が,複
数の会計情報システムを選好の観点から順位化できるよう,前提を置かね
ばならない。 Demski[1973,1980]は,この前提に必要な公理として,合
理的選択理論の顕著な特徴である「完備性」(completeness)ならびに「推移
性」(transitivity)を置いている。
まず,要素が二つ以上ある選択可能な会計情報システムの集合を]Hと
し,意思決定者が任意の二つ会計情報システムη,η' EHの選択に直面す
る状況を想定する。完備性とは,意思決定者がηよりもずを選好するの
か。η1よりもηを選好するのか,それとも両者は無差別であるのかどう
かを確定できることを意味する。このような比較可能性は入手できるすべ
ての会計情報システムの組み合わせについて成立しなければならない。こ
の比較可能性は,「~と少なくとも同程度に良い」(is atleast as good as)と
いう二項関係Rで記述することができる。したがって,任意のη,Ti’ eH
について,完備性の公理では, t)Rt]’, ti’Rti,あるいは無差別である場合に
はそのどちらもが成立することが要求される。つまり, "nがη'よりも選
好されるならば, nRn'であって, Ti’Rriでない。
次に,意思決定者がTiRri’,WRti”が成立している任意の3つの会計情報
システムV,V',V" eHの選択に直面している状況を想定する。推移性と
は,この状況のもとでTiRn”が成立することを意味する。もし,推移性が
成立しないとすれば,無用な資源消費をもたらす結果となってしまう。つ
ま^, t)Rt)≒ri'RTi”であるが,TiRn”でない,という推移性が成立しない
状況では,例えば意思決定者はがからずに移行するために1万円を支
払い,ずからηに移行するためにもう1万円を支払い,ηからずに移
行するためにもう1万円を支払わなければならない。これでは,3万円支
払っても現状(status quo)が維持される結果となってしまう。 Demski
[1973]では,原価主義(historical cost)会計がカレントコスト(current cost)
会計と「少なくとも同程度に良い」会計であり,カレントコスト会計が物
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価水準調整原価(price leveladjustedhistoricalcost)会計と「少なくとも同程
度に良い」会計であると想定されるならば,この公理の下では,原価主義
会計は物価水準調整原価会計と「少なくとも同程度に良い」会計でなけれ
ばならない,という財務会計の例が挙げられている。
完備性ならびに推移性という公理は,複数の選択肢のうち,最も選好さ
れる少なくとも一つ選択する,という一般的な問題を有する様々な分野に
適用されている前提である。次に論ずる情報評価モデルも,これらの公理
を満たしている9)。つまり,完備性と推移性という性格を満たしつつ,意
思決定者の期待効用によって複数の会計情報システムを順位化できるよう,
モデルは構築されるのである。
そのようなモデルを構築するためには,まず,不確実性が存在する状況
における意思決定を記述する単純なモデルから始めねばならない。ここで
意思決定とは,選択可能な行為(action)の集合から,意思決定者が選好に
基づき,最適な行為を選択することである。行為の選択は,将来生起する
であろう状態(state)が不確実であるという条件の下で実施される。したが
って,意思決定者は将来生起する状態に対して,自らの信念に基づく確率
分布を見積もらねばならない。そのような主観的な確率に基づいて,意思
決定者は期待効用を最大化する特定の行為を選択することになる。このプ
ロセスをモデルで記述するためには,行為,状態,確率密度関数,成果,
効用関数という五つの要素が必須となる。そこで,これらの要素を次のよ
うに定義する。
a eA :意思決定者が選択できる行為の集合
s eS :将来生起する状態の集合
φ(s) :状態s∈Sの分布を表す離散型確率密度関数
x=P(S,α):行為α∈Aを選択し状態s∈sが生起した場合の成果
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U(x) :成果に対する意思決定者の効用関数
これらの要素は,意思決定者の過去の経験や現在の知覚を反映しているも
のとされる。つまり,意思決定者にとって全く無関連な行為案や状態は考
慮する必要がないと仮定される。したがって,Aならびにsは有限集合
である。
上で定義された要素を用いると,行為a∈Aを選択した場合の意思決
定者の期待効用は次の式で示される。
この関係に基づき,意思決定者の期待効用を最大にする最適行為をがと
定義すれば,最大期待効用は次の式で示される。
ここで,仮に状態s1が生起することが事前に判っているとする。この
場合,生起確率についてΦ(s1)=1という修正が行われる。このように,
将来どの状態が生起するのかが完全に判る,すなわち「完全情報」を得る
ことが可能ならば,意思決定者の期待効用は次の式で示すことができる。
しかしながら,意思決定者が完全情報を得ることは現実には不可能と考え
られる。したがって,意思決定者が,状態に対する確率的判断をある程度
改善できる「不完全情報」を追加的に入手できる場合が問題とされる。そ
のような確率的修正に役立つものとして挙げられるのが,情報システムと
しての会計に他ならない。
そこで,意思決定者が会計情報システムn G Hを最初に選択し,次に
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会計情報システムηからシグナルyEyがもたらされる,という状況が
想定される。 Demski[1973]では,会計情報システムTiGHは状態集合
Sを分割するという仮定が置かれている。すなわち,すべてのTlGHに
対し・μ/叫ニs・かつ・すべての!/ぷ∈}らに対し・!/∩ぜ=φとする゜
ここで,}らはすべてのTieYによる集合である。ただしΦ(y」η)>0
であり,yおよびSは有限であると仮定される。これらの仮定により,
会計情報システムとは,Sからyへの関数!j = r]{s)であるとみなすこと
が可能となる10)。
その上で,もし,シグナル!/を受信した後に行為α∈Aが採用され,
状態S∈Sが実際に得られたならば,この場合の成果はX = p(s,a,'n)
という関数で示される。 ηをこの関数の定義域に含めるのは,選択された
会計情報システムのコストを示すためとされる。また,関数ρ(・)は既知
とし,会計情報システムηからシグナル!/を受けたという条件付きで観
察される状態sの確率をΦ(S!'Y,V)と定義する11)。さらに,会計情報シ
ステムηを選択したという条件付きでシグナルyを受信する確率を
Φ(y I v)と定義する。
以上により,シグナル?/を受信したうえで,意思決定者の期待効用を
最大化する最適行為をぐと定義すれば,最大期待効用は次の式で示され
る。
次に,期待効用を最大化するような,最も選好される会計情報システムを
η*と定義すれば,これを選択することによって得られる期待効用は次の
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式で示される。
したがって,会計情報システムずを利用するコストよりベネフィットが
上回っていれば,意思決定者が得られる正味期待効用は次のように測定す
ることができる。
当然,この価値増分は,(3)式と(2)式の差,すなわちE*(U)-E(U■α*)
が上限となる。
また,二つの会計情報システムVh V2 EHの選好順序は,それぞれを
利用することから得られる期待効用の大小関係で記述できる。すなわち,
以上,情報評価アプローチの基本的な枠組みを検討した。これまでの検
討から解るように,このアプローチでは,情報は意思決定者の信念Φ(s)
と選好U(x)の観点から評価されるべきと考えられている。そのような枠
内において,会計情報の役割とは,将来生起する状態に対する意思決定者
の確率的信念を修正し,したがって期待効用を改善することができるか否
か,という一点にある。そのプロセスを厳密にモデル化することによって,
意思決定者が会計情報を利用することの価値を期待効用という形で定量的
に把握することが企図されていた。
一方,利用者の意思決定への役立ちという視点は,規範的な会計原則に
おいても採用されている。米国では,ASOBAT(AAA[1966D以降,現在
までそうした観点から会計原則が設定されてきている。次節では,
ASOBATを中心とする会計原則が採用したアプローチに対して,情報評
価アプローチの側が提起した問題を検討する。
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3。意思決定有用性アプローチに対する問題提起
周知のように,ASOBATでは,会計の役割は利用者の意思決定に有用
な情報の提供にあると明言されている。今日では一般的となったこの見解
を,あるべき会計ルールの設定を目的とする規範的な会計原則が初めて公
式に打ち出したという意味において,ASOBATは当時としては画期的な
ものであった。そこでは,会計情報の有用性を判断するための諸規準が挙
げられており,それらに照らし合わせた上で,報告する情報は取捨選択さ
れるべきであるという見解が述べられている。この考え方は,今日,意思
決定有用性アプローチと呼ばれており, FASBの概念ステートメントに
踏襲されている。意思決定有用性アプローチと情報評価アプローチは,い
かなる点で方法を異にするのだろうか。その点を検討するため,本節では,
まずASOBATの出現によって生じた会計原則の意思決定有用性アプロー
チヘの転換を観ることにより,このアプローチの特徴を確認する。次に,
情報評価アプローチの提唱者達が意思決定有用性アプローチに対し提起し
た問題について検討する。
会計をどのように捉えるのかに関して,旧来,すなわちASOBATが出
現する以前において支配的であった見解はどのようなものであったのだろ
うか。一つの例として,アメリカ公認会計士協会(AICPA)による調査研
究の一環として1961年に公表されたMoonitzの『基本的会計公準論』を
挙げることができる。そこでは,会計を次のように定義している。
会計の機能とは,(1)特定のエンティティによって保有されている資源
を測定すること,(2)これらのエンティティに対する請求権ならびに持
分権を反映させること,(3)これらの資源,請求権,および持分権の変
動を測定すること,(4)特定の期間にその変動を配分すること,(5)以上
の点について,共通事項としての貨幣数値で表現することである
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(Moonitz[1961], p. 23]o
上では,会計とは,測定プロセス自体であるとの理解が示されている。ま
た,同じくAICPAから翌1962年に公表されたSprouseとMoonitzによ
る『企業会計原則試案』においては,次のように会計のスチュワードシッ
プ機能を強調する考え方が披瀝されている。
会計は,経営者がその委託を受けている資源を有効かつ生産的に統制
し管理するために必要な包括的で信頼し得る資料の大部分を提供する
ものである。会計は,また,経営者が,所有主,債権者,政府ならび
にその他の正当な利害関係者に報告する責任を果たすために必要な資
料を提供するものである(Sprouse=Moonitz[1962],邦訳111貢]。
これらに対して,ASOBATは,会計を「情報の利用者が判断や意思決
定を行うにあたって,事情に精通した上でそれが出来るように,経済的情
報を識別し,測定し,伝達するプロセスである」(AAA [1966],p. 1)と定義
した上で次のように明記し,従来の考え方を大きく転換させた。
会計情報は,当該エンティティの内部および外部において様々な立場
で活動する人々にとって,有用なものでなければならない。会計情報
は,目的の設定,意思決定,もしくは目的達成のための資源の指揮な
らびに統制に有用でなければならない。情報の効用は,利用者にとっ
て関心事である実際の状態に関する不確実性を減少できることにある。
当委員会の思うところでは,次に提案するような会計情報基準を遵守
すれば,このような不確実性は著しく減少する結果となるだろう
(AAA[1966], p.8]。
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このパラグラフを読めば解る通り,ASOBATでは,会計情報の役割を
利用者の意思決定に対する有用性にあると断定している。しかも,その有
用性は状態の不確実性を軽減することにあるとしている点が注目される。
この点に限って言えば,前節で論じた情報評価アプローチと全く同様であ
る。異なるのは,ASOBATでは,不確実性を減少させるために会計情報
が遵守すべき基本的な規準が勧告されている点である。規準とは]1)目
的適合性(Relevance),(2)検証可能性(Verifiability), (3)普遍性(Freedom
from bias),(4)数量化可能性(Quantifiability)の四つとされる12)。これら諸
規準について,ASOBATではさらに次のように述べられている。
これらの基準は,潜在的な会計情報を評価する際に活用されなければ
ならない規準(criteria)を提供する。それらの規準は,あるデータを会
計情報として含めるのか,それとも排除するのかを判断する基礎を成
す。総合的に考えて,これらの規準に十分合致しないならば,そのよ
うな情報は受け入れることができない。一方,これらの規準を十分に
満たす経済的データは,報告にあたって考慮すべき会計資料であるこ
とを示している(AAA[1966, p. 8])。
上記のような,会計情報を評価するためにある種の規準を設定するとい
うアプローチは,今日, FASBの概念ステートメントに継承されている。
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概念ステートメント第1号では,営利企業における財務報告の目的は,
「現在および将来の投資者,債権者およびその他の情報利用者が,合理的
な投資,与信およびこれに類する意思決定を行う上で有用な情報を提供」
(FASB [1978],par.34)することにあると規定されている。その上で,第2
号において,当該目的を達成するための「会計情報の質的特徴」(qualitative
characteristicsof accountinginformation)として,目的適合性と信頼性が大き
く採りあげられている。これらの質的特徴に基づいて,「有用な会計情報
と有用でない会計情報が区別」(FASB[1980],par.1]されるわけである。
以上のように,意思決定有用性アプローチにおいては,利用者の意思決
定への役立ちこそが最高の会計規範とされている。したがって,報告され
るべき資産・負債あるいはその他の経済的事象の測定値は,有用性の判断
規準に照らし合わせ,可変的であってよいと考えられている13)。 Moonitz
[1961]やSprouse=Moonitz[1962]では,会計の測定プロセス自体とスチ
ュワードシップ機能が強調されていたことを鑑みれば,非常に対照的なア
プローチとなっている。意思決定有用性アプローチの採用は,その意味で
会計原則に大きな転換をもたらしたといってよいだろう。だだし,前節で
検討した情報評価アプローチと異なり,意思決定有用性アプローチでは,
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規準という質的な要件で望ましい会計情報を判断することが企図されてい
る。情報評価アプローチの提唱者達は,このアプローチをどのように捉え
ていたのであろうか。
Feltham[1972]は,ASOBATで提案されているような諸規準は直感に
訴えるものがあり,多くの状況に適用できるかもしれないが,規準は漠然
かつ不明瞭とならざるを得ないため,意思決定者による会計情報システム
やEHの選択をより困難にさせる可能性があると指摘している。また,
情報評価を目的としたモデルを厳密に作成するにはコストがかがるため,
これらの諸規準をモデルのサロゲートとして活用するのが望ましいかもし
れないが,それらが良いサロゲートなのか確証を得られないと述べている。
他方, Demski[1973]は,最も選好される会計情報システムを選択する
場合に規準に依存しようとすれば,情報評価アプローチとは異なる方法に
ならざるを得ない,と主張する。意思決定有用性アプローチは,望ましい
会計情報システムを選択することが目的である点で情報評価アプローチと
共通しているが,その選択方法は,成果に対する意思決定者の主観的信念
や選好に依存せず,むしろ会計情報システムそれ自体の外的特性(extrinsic
properties)に依存するとされる。したがって,これらの規準に基づいて会
計情報システムを選択するアプローチを記述する一つの方法は,意思決定
者の信念や選好に関係なく,それぞれの会計情報システムが有する「質」
を規準が反映していると考えてみることとされる。
このような意思決定有用性アプローチの考え方をモデル化するために,
Demski[1973]は,規準とは,TiRn’である場合のみmirj)≧m(η')が成立
するような,Hから実数直線へ変換する関数mを定義するものと見なし
ている。つまり,規準を,各々の会計情報システムを順位付けるための仮
の数値を提供する関数とみなしているわけである。そのようにして,規準
は,意思決定者が最も選好する会計情報システムを選択するために活用さ
れるのである。ただし,この関数の定義域はHそれ自体に限定され,意
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思決定者の選好および信念とは何ら関係を持たないことに注意する必要が
ある。
ここで, Demski[1973]では根本的な疑問が提起されている。すなわち,
そのような関数m(・)は果して存在するのだろうか,という疑問である。
換言すれば,諸規準のみを用いて,会計情報システムの選択肢の中から,
意思決定者に最大期待効用をもたらすものを選択することは,そもそも可
能であるのか,という問題提起である。その答えは,一般的に否とならざ
るを得ない,というものであった。つまり, Demski[1973]においては,
ASOBAT以降,会計原則が採用することになる意思決定有用性アプロー
チは否定されたわけである。さらに,そのような否定的帰結は情報評価ア
プローチの枠内で導かれたという点が重要である。次節では,この「一般
不可能性定理」と呼ばれる帰結とその証明について詳細に検討する。
4. Demskiによる一般不可能性定理とその証明
本節では,一般的に,意思決定者の信念および選好を考慮することなく,
最も選好される会計情報システムを選択できるような規準の集合は存在し
ない,というDemski[1973]の主張を検討する。まず,この一般不可能
性定理と呼ばれる帰結の内容を確認した上で,その数学的証明を追うこと
にする。
まず,I人の個人を示す添字集合をi=I,・‥,I・として,その各々が
期待効用最大者(サベージ合理的)であると仮定する。次に,個人iが行
為を選択する問題は,状態集合Si,行為集合Ai,成果関数pi(・),効用関
数Ui(・),そして確率密度関数Φi(・)により記述される。その場合,次の
ような否定的帰結が導かれている(Demski[1973, p.721])。
定理:添字f=し‥jをサベージ合理的な情報利用者とする。さら
に,m(・)を,個人および個人の選択問題から独立した,情報システ
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ムの集合から実数直線への写像であると定義する。すべての個人およ
び選択問題に対し,ならびに,任意の情報システムの組み合わせη,
ずに対し,E(Ui]η)≧E(Ui■ガ)が成立することの必要十分条件
がm(η)≧mW)であるような,情報の質を測定するm(・)は存在し
ない。
上の定理は,期待効用最大化原理を基礎とする限り,意思決定者の選好
・信念に従って,複数の会計情報システムを常に順位化できるような規準
の集合は,どのようなものであれ存在しない,という主張を述べたもので
ある。言い換えれば,利用者は期待効用を最大にする会計情報システムの
選択に当たり,一般的には,規範的な会計原則から提供される規準に依存
できない,ということである。それでは,この定理はどのようにして証明
されるのであろうか。 Demski[1973]では,不可能性定理の証明には「精
度の補題」(a finenessLemma)が用いられている。したがって,最初にこの
補題の内容と証明を検討しなければならない。
さて,仮に,ηから発信されるどのシグナルもη'から発信されるシグ
ナルに完全に含まれているならば, "nはずと「少なくとも同程度の精度
がある」(is at least as fine as)と表現できる。別の言い方をすれば, T)から
発信されたシグナルから, riから発信されたシグナルを構築することが可
能である場合, ηはη'と少なくとも同程度に精度がある14)。 Demski
[1973]が挙げている例では,人的資産価値を資本化した利益測定システ
ムは,現状の利益測定システムと同程度に精度がある。なぜなら,前者の
測定システムから得られた知識があれば,後者の測定システムを構築でき
るからである15)。ゆえに, ηがずと少なくとも同程度に精度があれば, η
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はη'が伝えるすべて,あるいはそれ以上を利用者に伝えてくれると考え
られる。
そこで,精度の観点から,「コストのかからない」(costless)会計情報シ
ステムの組み合わせn'およびがを考える。「コストのかからない」とは,
p{s,a,'n)がずならびにがと独立であることを意味している。その場合,
意思決定者の選好と会計情報システムの精度とを関連づける次の補題が導
かれている(Demski[1973, p. 722])・
補題:η'とずがコストのかからない情報システムであることを与件
として, η/がずと少なくとも同程度に精度があるならば,その必要
十分条件は,すべてのg=1,…,/およびすべての選択問題に対し,
E(U]ず)≧E(Ui■η〃)が成立することである
証明:最初に,ずはずと少なくとも同程度に精度があると仮定する。
添字iを省略すると,各々の会計情報システムからもたらされるシグナ
ルの確率分布には次の関係が成立している。
(5)式にこの関係を代入し,いくつかの変形を施せば,精度の補題は証明さ
れる(Demski [1973],p.722)。
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このようにして,二つの会計情報システムにコストのかからないことを
与件とすれば,ずががと少なくとも同程度に精度があることは,E(U|
ザ)≧E(U|)の必要条件であることが証明されるのである。
次に,すべての意思決定者および任意の選択問題に対してE(U■η/)
≧E(Uげ)を仮定する。さらに,ずはずと少なくとも同程度には精度
が「ない」と仮定した上で,背理法を展開する。S ={1,2,3,4}であり,
かつ_ ゛nlおよびがによりもたらされる分割がそれぞれ, {{1,3},{2,4}}
および{{1,2},{3,4}}であるという,精度の点で不完全なケースを考え
てみる。すべてのα∈Aに対し, ≫(1,α)=p(3,a),かつ, p(2,a) =
P(4,a)となっていれば,ある時はE(Uげ)>E(Uげ)が成立するこ
ともある。しかし,すべてのα∈Aに対し, ≫(1,α)=p(2,a),かつ,
p(3,a)=p(4,a)となっていれば,ある時にはE(Uげ)>E(Uげ)が
成立することもある。しかし,このようなことは仮定と矛盾する。ゆえに,
η/はη″と同程度に精度がなければならない。したがって,η'ががと少
なくとも同程度に精度があることは,E(yげ)≧E(U|が)であること
の十分条件となる。よって,「ずはがと少なくとも同程度に精度がある」
く≒⇒「E(yげ)≧E(Uげ)」が成立する。(証明終わり)
以上のように,精度の補題が証明されたので,次にDemski[1973]で
行われている不可能性定理の証明を検討する。
証明:一般不可能性定理は否定の定理であるため,証明には反証例を挙
げるだけで良いとされる。精度の補題によれば, riおよびずにはコスト
のかからないことを与件として,£(びげ)≧£(び|が)がすべての意思
決定者ならびにすべての行為選択問題に対し成立するためには, riがず
と少なくとも同程度に精度があることが必要十分条件とされる。したがっ
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て,このケースにおいては,会計情報システムは精度に従って順位化され
ねばならない。しかし,背理法で用いた二つの分割を見れば解る通り,二
つの情報システムは精度の点で不完全な関係にあるのが一般的だと考えら
れる。つまり,すべての会計情報システムが精度に関し比較可能性を有し
ているわけではない。よって,意思決定者の選好・信念は関係と関係なく,
複数の会計情報システムを順位化できるような,規準に要求される関数
m(・)は存在不可能である。(証明終わり)
以上見た通り,会計原則が提案する種々の規準を用いても,会計情報シ
ステムの選択肢が精度において比較不可能であるため,意思決定者の期待
効用の観点からは,望ましい会計情報を常に提供できるわけではないこと
が証明された。この帰結を受け, Demski[1973]では,会計情報システム
の選択に規準を用いることが「一般的に」不可能であるならば,理論研究
に求められるのは,それら諸規準が上手く作用するような具体的な状況を
特定化することである,との提言がなされている。
5.理論的含意と展望
ASOBATを始めとする意思決定有用性アプローチでは,意思決定に有
用な情報を提供するために,ある種の「規準」が必要と考えられている。
一方,情報評価アプローチでは,会計情報の有用性とは,あくまで意思決
定者の期待効用の観点から評価されるべきものである。後者の枠内におい
て,複数の会計情報システムの中から意思決定者の期待効用を最大化する
ものを特定化できるのは,それらが「精度」の点で完全に比較可能である
場合に限られる。しかし,そのような比較を可能とする状態の分割を,選
択肢が常にもたらす訳ではない。したがって,いかなる規範的な「規準」
を用いようとも,期待効用を基礎とする限り,一般的には会計情報システ
ムを順位化することは不可能であり,よって,意思決定に有用な会計情報
を提供することは出来ない。以上がDemski[1973]による一般不可能性
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定理の含意である。
この否定的帰結は,ASOBATに代表されるような,会計原則が採用す
る意思決定有用性アプローチに対し,強い疑問を投げかけることとなった。
会計原則が列挙する諸基準には相応の意義があるとする立場からすれば,
このような帰結を受け入れ難いのは当然である。そのため,一般不可能性
定理は,規範的会計原則の意義を巡って,学会における喧しい論争を惹き
起こす契機となった16)。ただ,会計原則の現状を見る限りでは,この問題
は明確な形で決着していないように思える。3節で検討したように,
FASBが公表する一連の個別的な会計ルールが従うべき規範は,概念ス
テートメントに置かれている。そして,概念ステートメントには,会計清
報の質的特徴を示すいくつかの規準が挙げられており,それらに基づいて
情報の有用性が判断されるのであった。つまり,実際の会計ルール設定の
場において,規準に依拠する意思決定有用性アプローチは未だ放棄されて
いない。
他方, Demski[1973]で展開されたモデル自体の問題点も指摘できる。
4節で検討したように,「精度の補題」の証明では,会計情報システムを
利用するコストは無視されていた。このような仮定では,二つの会計情報
システム,例えばLIFOとFIFOのどちらを選択すればよいかという問
題に会計原則が直面した場合,もし「両者を同時に開示する方針」が選択
肢に含まれていれば,それを行うだけで,精度の高い情報が達成される可
能性がある17)。また,会計情報システムの集合Hの要素が精度に関して
比較不可能であれば,期待効用の比較も不可能となるため,そもそも情報
評価アプローチ自体が,会計情報システムの選択肢を比較する枠組みを提
供できないことになる。したがって,このアプローチは高々,情報を受信
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する場合と受信しない場合の効用比較を記述するに過ぎなくなる。
さらには,採用された経済学的方法論に関する疑問も存在する。会計情
報を選択する基礎を意思決定者の期待効用に置くとしても,そもそも期待
効用測定を実現的にどのように実施すればよいのであろうか。もちろん,
期待効用は序数概念であるため,量的に把握できるものではない。したが
って,会計原則が情報評価アプローチを採用するには,期待効用測定を巡
る実務上の問題が当初より障碍になるとの指摘もある(AAA [1977],邦訳
80貢)。このような効用概念を会計に適用する方法論の是非についても,
議論の余地があろう。
上述のような問題点はあるものの,しかし,あくまでDemski[1973]
の置いた仮定の枠内においては,一般不可能性定理は反駁の余地はないも
のである。この理論的含意を踏まえるならば,現実においても,会計情報
利用の対するコスト・べネフィットを勘案せず,規準だけを頼りにして,
意思決定に有用な会計ルールを断定することはできない,と思われる。そ
の傍証として,例えば, FASBの概念ステートメントにおいても,会計
情報の質的特徴を制約する一般的条件として,情報利用のベネフィットが
コストを上回るという点が挙げられている(FASB [1980],par,83)。そうで
あるならば,たとえ会計情報システム利用の効用比較は一般的に困難であ
るとしても,少なくとも限られた局面で会計情報のコスト・べネフィット
を把握する研究は,会計ルールの設定に対し政策的含意を提供できるので
はなかろうか。
その角度からみると,意思決定者の選好と信念を基礎として情報のコス
ト・べネフィットを測定し,よって会計原則の提案する諸基準が機能する
具体的な状況を特定化せよ,というDemski[1973]で提起された課題は,
今日において益々重要となっている。その課題に対処するためには,本稿
で検討したような単純な情報評価アプローチでは明らかに限界がある。事
実, Demski[1973]が情報評価アプローチを財務会計の分野に適用して以
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降,個人の選好に基づくコスト・べネフィットの観点から望ましい会計情
報を模索する理論研究が急速に展開し,情報経済学に基づく一連の会計理
論を形成するに至っている。それらの研究では, Demski[1973]の限界を
踏まえ,会計情報が活用される具体的な状況の分析に重点が置かれている。
具体的には, (1)複数の意思決定者を考慮した場合の会計情報の価値,(2)
意思決定者と情報評価者の分離,(3)組織化された市場における会計情
報の役割,という三点がとりわけ重要な研究領域と考えられてきた。最後
に,これらの論点を簡潔に整理したい。
最初の論点は,意思決定者が同質的である場合と,異質である場合とに
区別して検討されている18)。前者の場合,意思決定者間の競争が問題とな
る。ある意思決定者の行為が他の意思決定者の行為に影響を与えるような
「戦略的な状況」を考慮する場合,ある情報システムを一方が選択すると,
他方の期待効用にネガティブな影響を与えることがあるかもしれない。こ
のようなケースにおいては,意思決定者は情報の獲得を行わないという選
択をしても,現状維持を図ることは出来ない。したがって,個人の最適な
会計情報システムの選択はより複雑なモデルで記述されねばならないだろ
う。後者,すなわち異質な情報利用者が存在する状況における会計情報シ
ステムの選択は,情報の私的価値ではなく社会的価値が問題とされる。な
ぜならば,利用者に情報獲得のインセンティブがある限り,ある会計情報
システムから別の会計情報システムに変更することが,ある情報利用者グ
ループの厚生を高める一方で,他のグループの厚生を損なう結果をもたら
すからである19)。つまり,情報利用者グループ間において富の再分配をも
たらすことなく,望ましい会計情報システムをただ一つ選択することは出
来ないため,会計ルールの決定は社会的選択という性格を帯びざるを得な
い20)。したがって,ある会計情報システムの選択により,利用者間にどの
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ようなトレードオフが生ずるのかを特定化することが,この場合の課題と
されよう。
第二の論点は,意思決定者と情報評価者を分離した場合の会計情報シス
テムの選択である。本橋で検討した情報評価アプローチは,意思決定者と
情報評価者が同一であるという単純なケースを取り扱っており,どちらか
といえば,意思決定者として潜在的な投資家を想定し,彼らのための情報
提供が重要視されていた。しかし,これらを分離することによって,会計
情報システムが有する別の機能に焦点を当てることが出来る。つまり,情
報評価者をプリンシパルとしての株主,意思決定者をエージェントとして
の経営者と見立てることにより,スチュワードシップ目的での会計情報シ
ステムの選択を分析することが可能となる21)。伝統的に財務会計では,会
計の役割として意思決定情報提供機能とスチュワードシップ機能の対立が
論じられてきたが22)情報評価アプローチを応用したプリンシパル・エー
ジェントモデルを活用することにより,後者の観点からも最適な会計情報
システムの選択を論ずることが可能になると思われる23)。
第三の論点は,組織化された市場における会計情報の活用に関する問題
である。このような状況においては,利用可能な会計情報システムの集合
Hからηを選択する,という本橋で検討したモデルとは異なる分析を用
いなければならないだろう。そこでは,意思決定者の行為集合は,整備さ
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![Page 23: -197- · 2008. 7. 23. · AccountingConcepts)に継承されており,今日では「意思決定有用性アプロ ーチ」と呼ばれている。一方,会計原則を勧告することから距離を置いた](https://reader035.vdocuments.mx/reader035/viewer/2022081617/604d20529b094e5af040a3c6/html5/thumbnails/23.jpg)
れた市場における証券売買という「取引」として把握される。なぜならば,
証券市場のような組織化された市場では,取引される証券の価格に情報が
影響を与え,その価格変動が意思決定者の選択する行為に影響を与えるか
らである。逆に,市場が情報に関して「効率的」であるならば,価格から
ある程度の情報内容を推定することが可能となる。このような情報に関し
て効率的な市場における会計情報システムの役割について,分析的に研究
する余地が残されている24)。
以上の観点から,望ましい会計ルールを考えるという財務会計の課題に
対し,情報経済学に基づく理論研究はどのような貢献をもたらしてきたの
だろうか。本橋ではその検討を行うための出発点となる議論を行った。上
記の点に関して立ち入った検討は後日を期することにしたい。
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![Page 24: -197- · 2008. 7. 23. · AccountingConcepts)に継承されており,今日では「意思決定有用性アプロ ーチ」と呼ばれている。一方,会計原則を勧告することから距離を置いた](https://reader035.vdocuments.mx/reader035/viewer/2022081617/604d20529b094e5af040a3c6/html5/thumbnails/24.jpg)
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![Page 25: -197- · 2008. 7. 23. · AccountingConcepts)に継承されており,今日では「意思決定有用性アプロ ーチ」と呼ばれている。一方,会計原則を勧告することから距離を置いた](https://reader035.vdocuments.mx/reader035/viewer/2022081617/604d20529b094e5af040a3c6/html5/thumbnails/25.jpg)
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