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HP Data Protector software製品に関する情報は http://www.hp.com/jp/storage

記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。 記載事項は2008年7月現在のものです。本カタログに記載された内容は、予告なく変更されることがあります。© Copyright 2008 Hewlett-Packard Development Company,L.P.

日本ヒューレット・パッカード株式会社 〒102-0076 東京都千代田区五番町7番地

JST08605-01

本カタログは、環境に配慮した用紙と植物性大豆油インキを使用しています。

HP Data Protector software ガイド

200807版

・はじめに 4・新機能 5

1.バックアップとData Protector 6・Data Protector について 7

・バックアップと復元の概要 11

・Data Protector アーキテクチャ 13

・企業規模 18

・メディア管理 22

・バックアップ・デバイス 23

・ユーザ・インタフェース 24

・Data Protectorのセットアップ作業の概要 26

2.バックアップ方針の策定 28・この章の内容 29

・バックアップ方針の策定 30

・性能に関する概要と計画上の注意点 35

・セキュリティの設計 42

・フルバックアップと増分バックアップ 47

・データのバックアップ 55

・自動または無人処理 65

・バックアップ・データの複製 67

2

目次

目次

・データの復元 70

・障害復旧 74

3.Data Protector 構成およびサポート情報 78・ソフトウェアのライセンス 79

・ソフトウェアのライセンス サマリスライド 92

・標準保証とアップグレードオプション 93

・アップグレード/教育スライド 94

・配付メディアと資料 95

・ハードウェアサポート 97

・ソフトウェアの前提 セルマネージャの要件 98

・アプリケーションプラットフォーム 100

・構成例 102

目次

3

はじめに

4

はじめにHP Data Protector softwareは、ディスクまたはテープを使用した、高性能なバックアップおよびリカバ

リを自動化するソフトウェアです。距離に制限はなく、24時間×365日の継続的な業務を可能にし、

HPのストレージハードウェアおよび管理ソリューションとシームレスに統合することができます。

Data Protector softwareは他社のソリューションと比較して非常に低いコストで革新的な機能を提供

し、同時に柔軟性と拡張性を備えています。Data Protector softwareは、日々進化を続けるHPのソフ

トウェア・ポートフォリオに不可欠なコンポーネントであり、単一のベンダからハードウェア、ソフトウ

ェア、および実績のあるサービスの提供を受けることができるという、他にはない利点があります。

簡単なインストール、日常的なタスクの自動化、ライセンスの集中管理などの機能を備えるData

Protector softwareを使用すれば、コストを削減してデータセンターの複雑さを低減することができま

す。

新機能

5

Data Protector ver.6.0 新機能・機密性の高い情報を保護するために、テープおよびバックアップ・ディスクに保存されたデータは

AES(Advanced Encryption Standard)の256ビットを使用して暗号化されるため、業界規定および

政府規制に準拠することができます。

・VMwareの統合バックアップをサポートします。仮想サーバ環境で、自動化された高性能なバック

アップ/リカバリ・ソリューションが実現します。このソフトウェアは、VMware環境における重要な

アプリケーションの可用性の向上、ESXサーバの負荷の最適化などを行い、バックアップ/リカバリ

の簡素化と中央管理を実現します。ご使用の仮想化ソリューションにおいて、信頼性の高い安定し

たデータ保護ツールとなります。

・オンライン・バックアップのデータベースサポートが拡張されました。HP Data Protectorは主要な

データベースおよびアプリケーションと統合され、アプリケーション対応のバックアップ/リストア

を実現します。今回、Exchange 2007、Windows 2003(X64)環境のOracle、およびWindows

(X64)環境のSAPとも統合されるようになりました。

・ディザスタリカバリのプラットフォーム・サポートが拡張され、Data Protector softwareのみに統合

される6つの異なるベアメタル・ディザスタリカバリ方式のいずれかによってシステムがリカバリさ

れるようになりました。これらの方式では、CD、DVD、またはテープからの起動が可能であり、簡

単な画面上の指示にしたがって容易に配備できます。

・ゼロ・ダウンタイム・バックアップおよびインスタント・リカバリは、24時間×7日間のアプリケーシ

ョン可用性に対するニーズを満たす最新のHP StorageWorks XP24000ディスクアレイおよび

Command View EVAソフトウェアをサポートするようになりました。

・SharePoint Server環境を保護するMicrosoft SharePoint Serverのオンライン・バックアップおよびリ

ストアを行います。オンライン・バックアップは、データベースをシャットダウンすることなく実行

でき、高い性能をフルに活用できるため、バックアップの頻度を上げ、データボリュームをより大

きくすることができます。データを簡単にリカバリできるため、情報にアクセスしやすくなり、ユー

ザの生産性に影響を与えることなく必要なデータを入手できます。

・主要なオペレーティング・システム、アプリケーション、データベース、ドライブ、ライブラリ、また

はディスクアレイのすべてを広範囲にわたってサポートしており、独自の変化の激しいインフラス

トラクチャが持つさまざまな要件を満たすソリューションの構築に役立ちます。詳しくは、最新の

サポート・マトリクスを参照してください。

1 バックアップとData Protector

Data Protectorについて

1. バックアップとData Protector

7

Data ProtectorについてHP Data Protector softwareは、急速に増加するビジネス・データに対して、信頼性の高いデータ保護

と優れたアクセス容易性を提供する、バックアップ・ソリューションです。Data Protectorは、特に全社

レベルでの管理作業や分散環境に適した、包括的なバックアップ機能および復元機能を提供します。

Data Protectorの主要な特徴の一覧を以下に示します。

・ 拡張性と柔軟性に優れたアーキテクチャ

Data Protectorは、単一のシステムを使用する環境から、複数のサイト上に何千ものシステムが存在

するような環境に至るまで、さまざまな状況で使用できます。Data Protectorではネットワーク・コン

ポーネントの概念が採用されているため、バックアップ基盤を構成する各コンポーネントは、希望

する構成に応じてさまざまなトポロジー内に自由に配置できます。

また、バックアップ基盤をセットアップするためのバックアップ・オプションと選択肢が豊富に用意

されているため、必要に応じて、事実上どのような形ででも実装することが可能です。さらに、Data

Protectorでは、合成バックアップやディスク・ステージングなどの、バックアップ分野の高度な概念

を利用することができます。

・ 中央管理の容易性

Data Protectorでは、操作性に優れたグラフィック・ユーザ・インタフェース(GUI)を使用して、中心

となる1つのシステムから、バックアップ環境全体を管理できます。このGUIを複数のシステム上に

インストールしておくと、複数の管理者がそれぞれローカルにインストールされたコンソールから

Data Protectorにアクセスできるようになり、管理作業が容易になります。さらに中心となる1つのシ

ステムから、複数のバックアップ環境を管理することも可能です。また、Data Protectorにはコマンド

ライン・インタフェースも用意されているので、スクリプトを使用してData Protectorを管理すること

もできます。

・ 優れたバックアップ性能

Data Protectorを使用すると、数百ものバックアップ・デバイスに同時にバックアップすることができ

ます。また、大容量ライブラリ内のハイエンド・デバイスもサポートされます。さらに、ローカル・バ

ックアップ、ネットワーク・バックアップ、オンライン・バックアップ、ディスク イメージ・バックアップ、

合成バックアップ、オブジェクト・ミラーリングを伴うバックアップ、並列データ・ストリームの組み

込みサポートなど、多様なバックアップがサポートされるため、ユーザ要件に最適なバックアップを

実行できます。

Data Protectorについて

8

・ 混合環境のサポート

Data Protectorは異機種環境をサポートしており、大部分の機能はUNIXプラットフォームとWindows

プラットフォームで共通です。UNIXとWindowsのCell Managerからは、サポート対象のクライアン

ト・プラットフォームのすべて(UNIX、Windows、およびNovell NetWare)を制御できます。Data

Protector ユーザ・インタフェースを使用すると、各サポート対象プラットフォーム上のすべてのData

Protector機能にアクセスできます。

・ 混合環境におけるインストールの容易性

インストール・サーバの存在は、インストール作業およびアップグレード作業を容易にします。UNIX

クライアントをリモートでインストールするには、UNIX用インストール・サーバが必要です。また、

Windows クライアントをリモートでインストールするには、Windows用インストール・サーバが必

要です。リモート・インストールは、Data Protector GUIがインストールされていれば、どのクライア

ントからでも実行できます。インストール・サーバのプラットフォームとしてサポートされているプ

ラットフォームの一覧は、『HP Data Protector Software Product Announcements ソフトウェア・ノート

およびリファレンス』を参照してください。

・ 高可用性のサポート

Data Protectorは、24時間継続されるビジネス運用にも対応しています。今日のようにビジネス環境

が全世界的に分散している状況では、全社レベルの情報資源および顧客サービス・アプリケーショ

ンは、24時間連続で使用される可能性があります。Data Protectorでは、以下の機能を実現すること

により、高可用性への要求に対応しています。

―クラスタとの統合によりフェイルセーフ・オペレーションを確実に実行し、仮想ノードのバック

アップにも対応。サポート対象クラスタの一覧は、『HP Data Protector Software Product

Announcementsソフトウェア・ノートおよびリファレンス』を参照してください。

― クラスタ上でData Protector Cell Manager自体の実行が可能。

―一般に使用されている、すべてのオンライン・データベースのアプリケーション・プログラミン

グ・インタフェース(API)をサポート。

― HP StorageWorks Disk Array XP、HP StorageWorks Virtual Array、HP StorageWorks Enterprise

Virtual Arrayなどの、高度な高可用性ソリューションとの統合が可能。

Data Protectorについて

1. バックアップとData Protector

9

―WindowsおよびUNIXの各プラットフォーム上で、さまざまな障害復旧機能を提供。

―バックアップの実行中および実行後にバックアップ・データを複製するためのメソッドを提供。こ

の機能により、バックアップのフォールト・トレランスの強化やデータの二重化が容易になりま

す。

・ 復元の容易性

Data Protectorでは、どのシステムのどのファイルが、どのメディア上に保存されているかをトラッキ

ングするための内部データベースが用意されています。システム上の任意の部分を復元する場合、

目的のファイルやディレクトリを簡単に一覧することができます。その結果、復元するデータにすば

やく簡単にアクセスできます。

・ 自動または無人処理

Data Protectorでは、内部データベースを使用して、Data Protector メディアに関する情報と、それぞ

れのメディア上に保存されているデータに関する情報を管理しています。Data Protectorには高度な

メディア管理機能が備わっています。例えば、あるバックアップ・データをいつまで復元可能な状態

で保持する必要があるかといった点や、どのメディアがバックアップ用として(再)利用可能かと

いった点をトラッキングしています。

また、大容量ライブラリをサポートしているため、数日間あるいは数週間にわたって、オペレータが

介入しない状態で処理を継続することも可能です(自動メディア交換)。

さらに、Data Protectorでは、新しいディスクがシステムに接続された場合、自動的にそのディスクを

検出して(ディスク・ディスカバリ)、バックアップすることもできます。この機能を使用すると、バッ

クアップ構成情報を手動で調整する必要がなくなります。

・ サービス管理

Data Protectorは、バックアップ管理と復元管理のためのソリューションとしては初めてサービス管

理機能をサポートしました。Application Response Management(ARM)、およびData Source

Integration(DSI)の統合により、システムの管理および設計に必要なデータが提供されるため、サー

ビスレベル管理(SLM)およびサービスレベル契約(SLA)の概念が強力にサポートされます。

このDSIの統合により、スクリプトおよび構成ファイルのセットが提供されるため、ユーザはData

Protectorのレポート機能を使用して、レポートの仕様を追加する場合の指定方法を調べることがで

きます。

Data Protectorについて

10

・ モニタリング、レポート、および通知機能

Webを使用する優れたレポート機能および通知機能が用意されているため、バックアップ状態の

チェックや、活動中のバックアップ動作のモニタリング、レポートのカスタマイズなどを簡単に実行

できます。レポートは、Data Protector GUIを使用して作成したり、UNIXまたはWindowsを実行して

いるシステム上でomnirptコマンドを使用して生成したりすることもできます。さらに、Javaベースの

オンライン生成Webレポートを使用することもできます。

またレポートは、特定の時間に生成されるように設定しておくこともできれば、バックアップ・セッ

ションの最後やマウント要求時など、事前設定した特定のイベント発生時に生成させることも可能で

す。

・ オンライン・データベース・アプリケーションとの統合

Data Protectorは、Microsoft Exchange Server、Microsoft SQL Server、Oracle、Informix Server、SAP

R/3、Lotus Notes/Domino Server、IBM DB2 UDB、およびSybaseのデータベース・オブジェクトに対

するオンライン・バックアップ機能を備えています。個々のオペレーティング・システムでサポート

されているバージョンの一覧は、『HP Data Protector Software Product Announcements ソフトウェア

ノートおよびリファレンス』を参照してください。

・ その他の製品との統合

さらにData Protectorは、EMC Symmetrix、Microsoft Cluster Server、MC/ServiceGuardをはじめと

する製品との統合も可能です。

これらの統合機能や、最新のプラットフォームおよび統合サポート情報など、Data Protector機能の詳

細については、以下のHP Data Protector softwareのホームページでご確認ください。

http://www.hp.com/support/manuals

バックアップと復元の概要

1. バックアップとData Protector

11

バックアップと復元の概要この項では、バックアップと復元についてそれぞれの基礎的な概念を説明します。

バックアップとはバックアップとは、バックアップ・メディア上にデータのコピーを作成するプロセスのことです。

作成したコピーは、オリジナル・データの破壊や破損に備えて保管しておきます。

バックアップを最も抽象化すると、図1-1のような形になります。

図1-1 バックアップ・プロセス

通常ソースとなるのは、ファイル、ディレクトリ、データベース、アプリケーションなど、ディスク上の

データです。作成したバックアップを障害復旧用として使用する場合は、一貫性のある形でバック

アップ・データを作成することが大切です。

バックアップ・アプリケーションとは、バックアップ先に実際にデータをコピーするソフトウェアのこと

です。またバックアップ先とは、テープドライブのような、バックアップ・デバイスを指します。これら

のデバイス内のメディアにデータのコピーが書き込まれます。

復元とは復元とは、バックアップ・コピーから、オリジナルのデータを再作成するプロセスのことです。

このプロセスは、事前準備、実際のデータの復元、およびデータを実際に使用するための何らかの事

後処理の3段階に分けることができます。

バックアップ プロセス ソース

バックアップ先

バックアップと復元の概要

12

図1-2 復元プロセス

復元プロセスのソースはバックアップ・コピーです。また復元アプリケーションとは、復元先に実際に

データを書き込むソフトウェアのことです。復元先は通常、オリジナル・データの書き込み先となる

ディスクです。

ネットワーク環境のバックアップネットワーク環境のバックアップでは、データはネットワークを介して、バックアップ対象のシステム

から、バックアップ・デバイスが接続されているシステム上のメディアに送信されて保存されます。

図1-3 ネットワーク・バックアップ

ネットワーク環境のバックアップを実現するには、次の機能を備えたアプリケーションが必要です。

・ バックアップ・デバイスを、ネットワーク内の任意のシステムに接続できること。

これにより、コスト削減を目的として、ローカル・バックアップ(大容量データを格納したシステム用)

とネットワーク・バックアップの両方を実行することが可能となります。

・ 任意のネットワーク・パスに、バックアップ・データフローを経路指定できること。

・ データ量またはネットワーク・トラフィックが原因でLAN転送の効率が悪い場合は、バックアップ

データの転送経路をLANからSANに変更できること。

・ 任意のシステムからバックアップ活動を管理できること。

・ IT管理の枠組みに統合できること。

・ さまざまなタイプのバックアップ対象システムをサポートできること。

復元プロセス 復元先

ソース

バックアップ対象 システム

データをメディアへ 書き込むシステム

ネットワーク

Data Protector アーキテクチャ

1. バックアップとData Protector

13

Data Protector アーキテクチャData Protector セル(図1-4参照)とは、1つのCell Managerと、複数のクライアント・システムおよび

デバイスで構成されるネットワーク環境を指します。Cell Managerは中央の制御ポイントであり、

Data Protector ソフトウェアのインストール先となります。Data Protector ソフトウェアのインストール

が終了したら、バックアップ対象となる各システムを追加していきます。

これらのシステムは、セルの構成要素である、Data Protector クライアント・システムとなります。

Data Protectorを使用してファイルのバックアップを実行すると、これらのファイルはバックアップ・デ

バイス内のメディアに保存されます。

バックアップしたファイルに関する情報は、Data Protector 内部データベース(IDB)内で管理されるた

め、ブラウザを使用して、システム全体、あるいは特定のファイルのみを簡単に復元できます。

Data Protectorを使用するとバックアップ作業および復元作業が容易になります。Data Protector ユー

ザ・インタフェースを使うと、即時(対話型)バックアップが実行可能です。また、あらかじめスケ

ジュール設定されたバックアップを無人状態で実行することもできます。

図1-4 Data Protector セル(物理的な構成図と論理的な構成図)

注記 GUIとCell Managerは、UNIXとWindowsの各オペレーティング・システムでそれぞれ実行でき

ます。両方を同じオペレーティング・システム上で実行する必要はありません。個々のData

Protector コンポーネントでサポートされているオペレーティング・システムの一覧は、『HP

Data Protector Software Product Announcements ソフトウェア・ノートおよびリファレンス』を

参照してください。

HP-UX

HP-UX

HP-UX

IDB

IDB

GUI

GUI

GUI

Cell Manager

Cell Manager

Windows

Windows

SolarisSolaris

DA

DA

DA

DA

MA

MA

MA

DA

DA

ライブラリ

ドライブ

セル バックアップ 方針

バックアップ デバイス

クライアント システム

メディア プール

メディア

ライブラリ

Data Protector アーキテクチャ

14

Cell ManagerCell Managerは、セル内のメイン・システムです。Cell Managerは以下の働きをします。

・ セル全体を一元管理できます。

・ IDBを保持します。

IDBには、バックアップに要した時間、メディアID、セッションIDなど、バックアップに関する詳細情報

が保存されます。

・ Data Protectorのコア・ソフトウェアを実行します。

・ Session Managerを実行します。このSession Managerは、バックアップ・セッションや復元セッショ

ンの開始および停止を行うほか、セッションに関する情報をIDBに書き込む働きをします。

バックアップ対象システムファイルシステムのバックアップ元となるクライアント・システムには、Data ProtectorのDisk Agent

(DA)をインストールする必要があります。Disk AgentはBackup Agentとも呼ばれます。また、オンラ

イン・データベース統合をバックアップするには、Application Agentをインストールしてください。以

降の説明では、両方のエージェントを指して、Disk Agentと呼んでいます。Disk Agentは、システム上

のディスクからデータを読み取ってMedia Agentに渡したり、Media Agentから受け取ったデータを

ディスクに書き込んだりする働きをします。また、Disk AgentをCell Manager上にもインストールする

ことで、Cell Manager上のデータや、Data Protectorの構成情報、IDBなどのバックアップも可能にな

ります。

バックアップ・デバイスを接続したシステムバックアップ・デバイスを接続したクライアント・システムには、Data Protector Media Agent(MA)を

インストールする必要があります。このようなシステムは、ドライブ・サーバとも呼ばれます。バック

アップ デバイスは、Cell Managerだけでなく、どのシステムにでも接続できます。Media Agentは、デ

バイス内のメディアからデータを読み取ってDisk Agentに渡したり、Disk Agentから受け取ったデータ

をメディアに書き込んだりする働きをします。

ユーザ・インタフェースをインストールしたシステムData Protectorは、Data Protector グラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)をインストールしたシ

ステムであれば、ネットワーク上のどのシステムからでも管理できます。そのため、例えばCell

Manager システムはコンピュータ・ルームに設置しておき、Data Protectorの管理はユーザのデスク

トップから実行することも可能です。

Data Protector アーキテクチャ

1. バックアップとData Protector

15

インストール・サーバインストール・サーバでは、特定アーキテクチャ用のData Protector ソフトウェア・パッケージのリポ

ジトリが保持されています。デフォルトでは、Cell Managerが同時にインストール・サーバになります。

なお混合環境の場合は、少なくとも2台のインストール・サーバが必要です(UNIX システム用に1台

と、Windowsシステム用に1台)。

セル内の処理図1-5に示すとおり、バックアップ・セッションおよび復元セッションは、Data Protector Cell Manager

により制御され、これらのセッション内でバックアップおよび復元に必要なすべての処理が実行さ

れます。

図1-5 バックアップ処理および復元処理

ドライブ

(ドライブ・サーバ) (Backup Agent)(Application Agent)

ネットワーク

データ

Cell Manager

MA = Media AgentDA = Disk Agent

IDB

MADA

制御 制御

クライアント・システム クライアント システム

Data Protector アーキテクチャ

16

バックアップ・セッション

バックアップ・セッションとは

図1-6に示すバックアップ・セッションとは、記憶メディア上にデータのコピーを作成するプロセスを

指します。バックアップ・セッションは、オペレータがData Protector ユーザ・インタフェースを使って

対話式に開始することも、Data Protector スケジューラにより自動的に開始させることも可能です。

バックアップの仕組み

バックアップの実行時には、バックアップ用Session Manager プロセスが、Media AgentとDisk Agent

をそれぞれ1つまたは複数開始して、セッションを制御し、生成されたメッセージをIDBに書き込みます。

データはDisk Agentによって読み取られた後、Media Agentに渡されてメディア内に保存されます。

図1-6 バックアップ・セッション

通常のバックアップ・セッションは、図1-6に示したよりも複雑なものになります。通常は複数のDisk

Agentによって複数のディスクから並列にデータが読み取られ、1つまたは複数のMedia Agentにその

データが渡されます。

復元セッション

復元セッションとは

図1-7に示すように、復元セッションとは、以前に作成しておいたバックアップ・データをディスク上に

復元するプロセスを指します。復元セッションは、オペレータがData Protector ユーザ・インタフェー

スを使って対話式に開始します。

DA MAネットワーク

ドライブ

クライアント・システム クライアント・システム

Data Protector アーキテクチャ

1. バックアップとData Protector

17

バックアップの仕組み

以前に作成したバックアップから復元するファイルを選択した後、実際の復元処理を起動します。復

元時には、復元Session Manager プロセスが、必要なMedia AgentとDisk Agent(それぞれ1つまたは

複数)を開始して、セッションを制御し、進捗状況を示すメッセージをIDBに書き込みます。データは

Media Agentによって読み取られた後、Disk Agentに渡されてディスクに書き込まれます。

図1-7 復元セッション

DA MAネットワーク

ドライブ

クライアント・システム クライアント・システム

企業規模

18

企業環境

企業環境とは

図1-8に示すように、一般に企業のネットワーク環境は、さまざまなベンダ製品を含む多数のシステム

で構成されており、各種オペレーティング・システムが使用されています。また、これらのシステムが、

時間帯の異なるさまざまな地域に配置されていることもあります。これらのシステムは、さまざまな

通信速度のLANまたはWAN ネットワークによって相互に接続されています。

導入が必要となる場合

このマニュアルで説明するソリューションは、地理的に離れている複数のサイトに共通のバックアップ

方針を適用する必要がある場合に使用できます。また、同一サイトのすべての部門でバックアップ・デ

バイスのセットを共有する場合にも使用できます。

図1-8 世界規模のData Protector企業環境

制御 MoMGUI

セル

MoM セル

制御

制御

セル

セル

企業規模

1. バックアップとData Protector

19

このような異機種環境のバックアップを構成し管理することは、通常、大変複雑な作業になりますが、

Data Protector機能を使用すると容易に実行できます。Manager of Managers(MoM)の詳細は、次ペ

ージの「MoM」を参照してください。

環境内を複数セルに分割する大規模な環境は、以下のような理由により、複数のセルに分割した方がよいことがあります。

分割が必要となる場合

・ 地理的な場所に基づくシステムのグループ化

・ 論理的な区分に基づくシステムのグループ化(部門別など)

・ 特定のシステム間の低速なネットワーク接続

・ 性能の向上

・ 管理業務の分割

環境構築時の注意点については、後述の「バックアップ方針の策定」を参照してください。

Data Protectorsでは、複数のセルを一元管理できます。

図1-9 複数セルを一元管理

GUI

セル 1

セル 2

セル 3

企業規模

20

MoMData Protectorには、複数セルに分かれた大規模環境を管理するために、Manager-of-Managers

(MoM)と呼ばれる機能が用意されています。このMoM機能を使用すると、複数のセルをMoM環境

と呼ばれる1つの大きな単位にまとめて、一元管理することができます(図1-9参照)。MoMは、バック

アップ環境が拡張されても、これに自在に対応できます。

また新しいセルの追加や、既存セルの分割も自由です。

MoM環境では、個々のData Protector セルと中央のMoM セルとを、信頼性が高いネットワークで接

続する必要はありません。これは、長距離接続を介して送信されるのは制御情報だけであり、バック

アップ作業そのものはそれぞれのData Protector セル内でローカルに行われるためです。ただしこれ

は各セルが、それぞれ個別のメディア管理データベースを所有していることが前提になります。

図1-10 Manager-of-Managers環境

Manager-of-Managersは、以下の機能を提供します。

・ 集中型のライセンス・リポジトリ

ライセンス管理を容易にするための機能です。これは任意選択の機能であり、非常に大規模な環境

の場合には有用です。

CellManager

CellManager

バックアップ 方針 バックアップ

方針

集中型 ライセンス

バックアップ デバイス

バックアップ デバイス

バックアップ ライブラリ

クライアント システム クライアント

システム

メディア メディア

集中型管理

企業レポート

CDB CDB

CMMDBMoMセル

セル

企業規模

1. バックアップとData Protector

21

・ CMMDB(Centralized Media Management Database: 集中型メディア管理データベース)

CMMDBを使うと、1つのMoM環境に含まれる複数のセル間で、デバイスとメディアを共有できま

す。つまり、CMMDBを使っているあるセル内のデバイスに、同じCMMDBを使っている別のセルか

らアクセスできます。CMMDBを使う場合は、このデータベースをMoM セル内に配置しなければ

なりません。またMoM セルとその他のData Protector セルとの間に、信頼性の高いネットワーク接

続が必要になります。CMMDBは、メディア管理データベースを一元管理するための任意選択の機

能である点に注意してください。

・ ライブラリの共有

CMMDBを使用すると、1つの環境内の複数セル間で、ハイエンド・デバイスを共有できます。その

ため、例えばあるセルから、別のセル内のシステムに接続された複数デバイスを制御できるロボテ

ィクスを使用することも可能です。Disk AgentからMedia Agentへのデータパスも、セルの境界に

制約されません。

・ 企業レポート

Data ProtectorのManager-of-Managersを使用すると、セル単位のレポートだけでなく、全社レベル

のレポートも生成できます。

メディア管理

22

メディア管理Data Protectorには強力なメディア管理機能が備わっており、次に示すような方法で、それぞれの環境

内にある多数のメディアを簡単に効率よく管理できます。

メディア管理機能・ 個々のメディアは、メディア・プールと呼ばれる論理グループにまとめることができます。そのため

各メディアを個別に取り扱うのではなく、大容量のメディア・セットとしてまとめて管理できます。

・ Data Protectorでは、個々のメディアと、そのメディアの状態がすべてトラッキングされています(デ

ータ保護の有効期限、バックアップ時にそのメディアを使用できるかどうか、各メディアにバックア

ップされている情報に関するカタログ情報など)。

・ 完全な自動処理が可能です。Data Protectorでは、ライブラリ・デバイス内に十分なメディアを用意し

ておくと、メディア管理機能により、オペレータによる介入操作を必要とせずにバックアップ・セッ

ションを自動実行できます。

・ メディアの自動交換方針を設定しておくと、バックアップ用のメディア交換を手動で行う必要がなく

なります。

・ バーコードを使用する大容量のライブラリ・デバイスおよびサイロ・デバイスで使われるバーコード

の認識およびサポートが可能です。

・ 大容量ライブラリ・デバイスおよびサイロ・デバイス内に存在する、Data Protectorが使用する全メ

ディアに対する認識、トラッキング、ブラウズ、および操作が可能です。

・ メディアに関する情報を中央で一元管理し、複数のData Protector セル間でこの情報を共有でき

ます。

・ メディア上のデータの追加コピーを、対話式で、または自動的に作成することができます。

・ メディア・ボールティング(安全な場所でのメディアの保管機能)がサポートされています。

メディア・プールとはData Protectorでは、多数のメディアを管理するためにメディア・プールを使用します。メディア・プー

ルとは、使用方針(プロパティ)が共通であり、かつ物理タイプが同じであるメディアの論理的な集ま

りのことです。メディアの使用方針は、メディア上に保存されているデータに応じて決定します。メデ

ィア・プールの構造やサイズ、プール内に保存するデータのタイプなどは、ユーザが自由に設定でき

ます。

デバイス構成時には、デフォルトのメディア・プールが指定されます。バックアップ仕様の中でメディ

アプールを指定しなければ、このデフォルトのメディア・プールが使用されます。

バックアップ・デバイス

1. バックアップとData Protector

23

バックアップ・デバイスData Protectorでは各デバイスを、デフォルト・プールなどの使用プロパティが個々に定義された物理

デバイスとして、定義およびモデリングします。

このようなデバイス概念の使用や、バックアップ仕様などにより、Data Protectorではデバイスとその

使用方針を容易にかつ柔軟に構成することができます。バックアップ・デバイスの定義は、メディア管

理データベース内に保存されています。

図1-11 バックアップ仕様、デバイス、およびメディア・プールの関連

図1-11は、バックアップ仕様、デバイス、およびメディア・プールの関連を示したものです。各デバイ

スは、バックアップ仕様の中で指定されています。各デバイスはメディア・プールとリンクされていま

すが、このメディア・プールはバックアップ仕様内で変更することも可能です。例えば上図のバック

アップ仕様2は、デフォルト・プールではなくDept_Xプールを参照しています。

Data Protectorは、多種多様なデバイスをサポートしています。詳細は、『HP Data Protector Software

Product Announcementsソフトウェア・ノート およびリファレンス』を参照してください。

バックアップ仕様1

デバイス プール

プール

デフォルト プール

デバイス A

オブジェクト

ディスク 1

ディスク 2

バックアップ仕様2 デバイス プール

デフォルト プール

デバイス Aオブジェクト

ディスク 1

ディスク 2

プール

Dept_X Dept_X

ユーザ・インタフェース

24

ユーザ・インタフェースData Protectorでは、グラフィカル・ユーザ・インタフェースを使用して、すべての構成作業および管理

作業を簡単に実行できます。Data Protector GUIは、UNIXプラットフォーム上のX11/Motif、および

Windows プラットフォーム上で実行可能です。さらにUNIXとWindowsのいずれのプラットフォーム

でも、コマンドライン・インタフェースを使用できます。

Data Protectorのアーキテクチャ上、Data Protector ユーザ・インタフェースは非常に柔軟な形でイン

ストールして使用することができます。このユーザ・インタフェースは、必ずしもCell Manager シス

テム上で使用する必要はなく、ユーザのデスクトップ・システム上にインストールすることも可能です。

図1-12に示すように、このユーザ・インタフェースを使用すると、HP-UX、Solaris、Windowsのいずれ

のCell Managerを使っているData Protector セルであっても、特に意識することなく管理できます。

図1-12 Data Protector ユーザ・インタフェースの使用

ヒント 一般に、混合環境では、環境内の複数のシステム上にData Protector ユーザ・インタフェース

をインストールしておき、複数のシステムからData Protectorにアクセスできるようにしてお

く方が便利です。

ネットワーク

GUI

Windows

GUI

HP-UX

IDB

Cell Manager

ユーザ・インタフェース

1. バックアップとData Protector

25

Data Protector GUI図1-13に示すとおり、Data Protector GUIは、以下に示す機能を備えた使い易い強力なインタフェー

スです。

・ 結果タブでは、すべての構成ウィザード、プロパティ、およびリストを使用できます。

・Windows環境で実行されるMicrosoft SQL Server、Microsoft Exchange Server、SAP R/3、Oracle8

などや、UNIX環境で実行されるSAP R/3、Oracle8、Informix Serverなどのオンライン・データベー

ス・アプリケーションのバックアップを簡単に構成して管理できます。

・ ヘルプ・トピックと呼ばれる包括的なオンライン・ヘルプ・システムおよびヘルプ・ナビゲータと呼

ばれる、状況依存のヘルプが用意されています。

図1-13 Data Protector GUI

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Data Protectorのセットアップ作業の概要

26

Data Protectorのセットアップ作業の概要この項では、Data Protectorのバックアップ環境をセットアップするためのさまざまな手順について簡

単に説明します。環境の規模と複雑さによっては、必ずしも以下のすべての手順を実行する必要はあ

りません。

1. ネットワークと組織構造を分析して、バックアップする必要があるシステムを決定します。

2. Microsoft Exchange、Oracle、IBM DB2 UDB、SAP R/3など、バックアップする必要がある特別な

アプリケーションおよびデータベースがあるかどうかを確認します。Data Protectorには、これらの

製品に特化した統合機能が備わっています。

3. Data Protector セルの構成について、以下のような点を決定します。

・ Cell Managerとなるシステム

・ ユーザ・インタフェースをインストールするシステム

・ バックアップ方法(ローカル・バックアップまたはネットワーク・バックアップ)

・ バックアップ・デバイスおよびライブラリを制御するシステム

・ 接続の種類(LANまたはSAN、あるいはその両方)

4. 決定したセットアップ方法に合わせて、必要なData Protector ライセンスを購入します。ライセンス

を購入すると、インストールに必要なパスワードを入手できます。

別のやり方として、一時パスワードを使用してData Protectorを操作することも可能です。

ただし、このパスワードはインストール後60日間のみ有効です。詳細については、『HP Data

Protector software インストール および ライセンス ガイド』を参照してください。

5. セキュリティ面を検討します。

・ セキュリティ上、注意すべき点を分析します。『HP Data Protector software インストール および

ライセンス ガイド』を参照してください。

・ 構成の必要なユーザ・グループを検討します。

6. バックアップ構造を決定します。

・ どのようなメディア・プールを定義し、どのように使用するか。

・ どのデバイスをどのように使用するか。

Data Protectorのセットアップ作業の概要

1. バックアップとData Protector

27

・ 各バックアップ・データのコピーはそれぞれいくつ必要か。

・ いくつのバックアップ仕様を作成し、どのようにグループ化するか。

・ ディスクへのバックアップを計画している場合、合成バックアップやディスク・ステージングなど

のアドバンスト・バックアップ戦略を検討する。

7. Data Protector環境をインストールして構成します。

・ Data Protector Cell Manager システムをインストールし、Data Protectorのユーザ・インタフェー

スを使用して、他のシステムにもData Protectorコンポーネントを配布します。

・ 各デバイス(テープドライブ)を、そのデバイスを制御するシステムに接続します。

・ バックアップ・デバイスを構成します。

・ メディア プールを構成し、メディアを用意します。

・ バックアップ仕様を作成します。IDB用のバックアップ仕様も必要です。

・ 必要に応じてレポートを構成します。

8. 次のような作業について、その方法を確認しておきます。

・ バックアップの失敗への対処

・ 復元処理の実行

・ バックアップ・データのコピーとメディアのボールティング

・ 障害復旧の準備

・ IDBの保守

2 バックアップ方針の策定

この章の内容

2. バックアップ方針の策定

29

この章の内容この章では、バックアップ方針の策定方法について説明します。 ここでは、Data Protector セルの設

計や、性能、およびセキュリティ上の注意点について取り上げるほか、データのバックアップと復元の

方法についても説明します。また、基本的なバックアップのタイプ、自動バックアップ操作、および障

害復旧方法についても紹介します。

この章の構成は以下のとおりです。

―「バックアップ方針の策定」

―「性能に関する概要と計画上の注意点」

―「セキュリティの設計」

―「フル・バックアップと増分バックアップ」

―「データのバックアップ」

―「自動または無人処理」

―「バックアップ・データの複製」

―「データの復元」

―「障害復旧」

バックアップ方針の策定

30

バックアップ方針の策定Data Protectorの構成および管理は容易ですが、多数の異なるクライアント・システムを使用する大規

模な環境で、大容量のデータをバックアップするような場合には、事前に適切な設計を行っておくこ

とが大切になります。設計段階を確実に行っておくことで、以降の構成作業が容易になります。

バックアップ方針の策定とはバックアップ方針の策定手順は、以下のとおりです。

1. データのバックアップ頻度や、バックアップ・データを別のメディア・セットに追加コピーする必要

があるかどうかなど、バックアップに関する要件と制約事項を明らかにします。

2. ネットワークやバックアップ・デバイスにおける定常データ転送速度など、バックアップ・ソリュー

ションに影響を与える要因を明らかにします。 これらの要因は、Data Protectorの構成方法や実

行するバックアップの種類(ネットワーク経由のバックアップやダイレクト・バックアップなど)の

選択に影響する可能性があります。例えばディスクにバックアップすると、合成バックアップやデ

ィスク・ステージングなどのアドバンスト・バックアップ戦略の利点を活用することができます。

3. バックアップ方針を構築する準備として、実行するバックアップの構想と、その実装方法を明らか

にします。

この項では、準備段階で行うべき作業の詳細について説明します。また、このマニュアルの以降の部

分では、バックアップ・ソリューションの構築に役立つ重要な情報および注意点について説明していま

す。

バックアップ方針における要件の明確化バックアップ方針の目的と制約事項を明らかにするため、以下の点を検討してください。

・ 各自の組織におけるバックアップと復元の方針

組織によっては、データの保管および保存に関する方針が既に確立されていることがあります。新

たに構築するバックアップ方針は、こうした方針に従ったものでなければなりません。

・ バックアップするデータのタイプ

ネットワーク内に存在するすべてのデータ・タイプをリストアップします(ユーザ・ファイル、システム

ファイル、Web サーバ、大容量リレーショナル・データベースなど)。

バックアップ方針の策定

2. バックアップ方針の策定

31

・ 復旧までに許される最大ダウンタイム

どれくらいのダウンタイムが許されるかは、バックアップ用のネットワーク基盤および装置に必要な

予算に大きく影響します。そのため各データ・タイプについて、復旧までのダウンタイムが最大どれ

くらいまで許されるか、つまりバックアップ・データから復元するまでの間、どれくらいの時間その

データを使用できなくても構わないかを明らかにしておきます。例えば、ユーザ・ファイルは2日以

内に復元できればよいが、大容量データベース内のビジネスデータは2時間以内に復旧しなければ

ならない、といった状況が考えられます。

復旧までの時間は、主として、メディアにアクセスするための時間と、ディスク上に実際にデータを

復元するための時間に分かれます。完全なシステム復旧を行う場合は、より多くの手順が必要とな

るため、さらに多くの時間がかかります。詳細については、後述の「障害復旧」を参照してください。

・ 各タイプのデータの保管期間

各タイプのデータについて、そのデータをどれくらいの期間保管する必要があるかを検討しておき

ます。例えば、ユーザ・ファイルは3週間だけ保管すればよいが、従業員に関する情報は5年間保管

するのが妥当である、といったことが考えられます。

・ バックアップ・データを保存したメディアの保管方法

安全な外部の保管場所(ボールト)を使用するのであれば、各タイプのデータ毎に、そのデータを保

存したメディアをどれくらいの期間、ボールトに保管するべきかを検討しておきます。例えば、ユー

ザ・ファイルをボールトに保存する必要はないが、発注情報は5年間保管しておき、2年後には各メ

ディアを検証しなければならないといったことが考えられます。

・ バックアップ時にデータを書き込むメディア・セットの総数

重要なデータは、バックアップ時に複数のメディア・セットに書き込むことを検討してください。こ

れによりバックアップのフォールト・トレランスが向上し、複数の場所に分けてのボールティングも

可能になります。ただし、オブジェクト・ミラーリングを行うと、バックアップにかかる時間はそれだ

け長くなります。

・ バックアップするデータの総量

各データ タイプごとに、データ総量を見積もっておきます。データ総量は、バックアップに要する

時間に大きく影響します。またデータ総量の見積もりは、バックアップに必要なデバイスおよびメ

ディアを選択するうえでも重要です。

バックアップ方針の策定

32

・ データ総量の将来における増加率

各データ・タイプごとに、将来におけるデータ増加率を見積もります。データ増加率を見積もってお

くと、将来も有効に機能するバックアップ・ソリューションを構築できます。例えば、100人の従業員

を新たに採用する計画がある場合には、ユーザ・データとクライアントシステム・データの総量もそ

れだけ増加するはずです。

・ バックアップに要する時間

それぞれのバックアップ処理に要する時間を見積もります。 この値は、データの利用可能時間に直

接影響を与えます。例えば、ユーザ・ファイルについては、そのユーザが使用していないときには、

いつでもバックアップを実行できますが、トランザクション・データベースについては、バック

アップ可能な時間帯が数時間程度しかないことが予想されます。

またバックアップに要する時間は、実行するバックアップのタイプ、つまりフル・バックアップを実行

するか、増分バックアップを実行するかによっても異なります。 詳細については、後述の「フル・バ

ックアップと増分バックアップ」を参照してください。さらにData Protectorでは、一般に使われてい

る大部分のオンライン・データベース・アプリケーションに対してバックアップを実行することもで

きます。詳細については、『HP Data Protector software インテグレーション・ガイド』を参照してくだ

さい。

ディスクにバックアップする場合は、合成バックアップとディスク ステージングを活用することがで

きます。これらの高度なバックアップ戦略により、バックアップに要する時間を大幅に短縮できます。

詳細については、関連するホワイトペーパーを参照してください。

非常に高速で大容量のディスクを比較的速度の遅いデバイスにバックアップする場合は、複数の

Disk Agentを同時に使用して1つのハード ディスクをバックアップすることを検討してください。同

一のディスクに対して複数のDisk Agentを起動すると、バックアップ速度が著しく向上します。

さらに、大量のデータをバックアップする必要があり、バックアップに使用できる時間も限られてい

る場合は、ダイレクト・バックアップの使用も検討してください。ダイレクト・バックアップを使用す

るとSANの速度を活用し、ネットワーク・トラフィックを減少させ、バックアップ・サーバーがボトル

ネックとなるのを回避できます。

・ バックアップを実行する頻度

各データ タイプごとに、どれくらいの頻度でバックアップする必要があるかを確認しておきます。

例えば、ユーザの作業ファイルは1日に1回バックアップし、システム データは週に1回だけバックア

ップし、一部のデータベース・トランザクションについては1日に2回バックアップするといった方法

が考えられます。

バックアップ方針の策定

2. バックアップ方針の策定

33

バックアップ方針に影響する各種の要因バックアップ方針の実装方法は、さまざまな要因を考慮して決定する必要があります。以下の要因を

把握してからバックアップ方針を策定してください。

・ 各企業におけるバックアップおよび保存に対する方針と要件

・ 各企業におけるセキュリティに対する方針と要件

・ 物理的なネットワーク構成

・ 企業の各サイトで使用できるコンピュータ資源および人的資源

バックアップ方針を構築する準備バックアップ方針を構築するには、以下の点を明らかにする必要があります。

・ 各企業にとってのシステム可用性(およびバックアップ)の重要度

―災害に備えてバックアップ データを遠隔地に保存する必要はあるか。

―ビジネスの継続運用レベルはどの程度か。

ここでは、すべての重要なクライアント システムの復旧および復元計画も検討する必要があり

ます。

―バックアップ・データのセキュリティ

構内への不法侵入に対する防御策の必要性を意味します。関連するすべてのデータを不正アクセ

スから保護するための、物理的なアクセス防止策と電子的なパスワードによる保護策を含みます。

・ バックアップするデータの種類

企業データの種類をリストアップし、バックアップ仕様の中でこれらのデータをどのように組み合

わせるかを、バックアップが可能な時間枠も考慮して検討します。 企業データは、企業のビジネス

データ、企業のリソース データ、プロジェクト・データ、個人データなどに分類でき、データの種類

別に個別の要件が存在します。

・ バックアップ方針の実装

―バックアップの実行方法とバックアップ・オプションの選択

フル・バックアップと増分バックアップの頻度を決定します。 また使用するバックアップ・オプシ

ョンを選択し、バックアップ・データを永続的に保護するかどうかや、バックアップ・メディアを警

備会社に保存するかどうかを決定します。

バックアップ方針の策定

34

―クライアント・システムをグループ化して、バックアップ仕様にまとめる方法

バックアップ仕様をどのようにグループ化すればよいかを検討します。部門、データの種類、

バックアップの頻度などに基づく分類が考えられます。

―バックアップのスケジュール方法

時差実行方式の採用を検討します。この方式ではネットワーク負荷、デバイス負荷、およびバック

アップ可能な時間枠に関する問題を回避するために、クライアント(バックアップ仕様)ごとに日

を変えてフル・バックアップが作成されます。

―メディア上のデータとバックアップ関連情報の保護期間をどのように設定するか。

以前のバックアップ・データを新しいデータで上書きできないように、一定期間保護するかどう

かを検討します。この保護策はデータ保護と呼ばれ、セッション・ベースで実行されます。

バックアップ・バージョンに関する情報、バックアップされたファイルやディレクトリの数、データ

ベースに保存されているメッセージなどを、カタログ・データベース内に保存しておく期間を決

定します。カタログ保護期間内であれば、バックアップ・データに簡単にアクセスできます。

・ デバイスの構成

バックアップに使用するデバイスと、それらのデバイスを接続するクライアント・システムを決定しま

す。大量のデータを所有するクライアント・システムにバックアップ・デバイスを接続すると、多くのデ

ータをネットワークを介さずにローカルにバックアップできるため、バックアップ速度が向上します。

バックアップするデータ量が多い場合は、以下の点を検討してください。

―ライブラリ・デバイスの使用も検討してください。

―ディスクベースのデバイスへのバックアップを検討してください。ディスクへのバックアップでは、

他の利点に加えて、バックアップに必要な時間が短縮され、合成バックアップやディスク・ステー

ジングなど高度なバックアップ戦略の利点を活用できます。

―ライブラリ・デバイスをFibre Channel ブリッジ経由でSANに接続して、ダイレクト・バックアップ

を実行できるようにシステムを構成することを検討してください。これは、ネットワークによって

バックアップ速度が遅くなる場合のソリューションです。

・ メディア管理

使用するメディアの種類、メディアをメディア・プールにグループ化する方法、およびメディア上に

オブジェクトを配置する方法を決定します。

各バックアップ方針におけるメディアの使用方法を定義します。

・ボールティング

メディアを安全な場所(ボールト)に一定期間保管するかどうかを決定します。バックアップの実行

中または実行後に保管用の複製を作成するかどうかも検討してください。

・ バックアップ管理者とオペレータ

記憶装置の管理や操作に必要なユーザ権限を決定します。

性能に関する概要と計画上の注意点

2. バックアップ方針の策定

35

性能に関する概要と計画上の注意点基幹業務を行っている環境では、データベースが破壊されていたりディスクがクラッシュした場合の

データ復元に必要な時間を最短に抑えることが最も重要な要件となります。そのためには、バック

アップ性能について理解し、的確なバックアップ計画をたてることが、非常に重要です。さまざまな

ネットワークに接続されている、プラットフォームが異なるさまざまなクライアント・システムや、大容

量データベースのバックアップにかかる時間を最適化するには、かなりの工夫が必要になります。

以下では、バックアップ性能に影響を与える最も一般的な要因について、簡単に紹介していきます。

これは、性能については非常にさまざまな要素が考えられるため、すべてのユーザ要件に適した具

体的な推奨構成をここで紹介することはできないためです。

インフラストラクチャインフラストラクチャは、バックアップおよび復元の性能に、大きく影響します。特に重要となるのが、

データ パスの並列化と高速な装置の使用です。

ネットワーク・バックアップとローカル・バックアップ

ネットワーク経由でデータを送信する場合、送信自体が新たなオーバーヘッドとなるため、ネットワー

クが性能を左右する要素となります。Data Protectorでは状況により、以下に示すとおりデータ・スト

リームの処理方法が異なります。

ネットワークのデータ・ストリーム

ディスク→送信元システムのメモリ→ネットワーク→送信先システムのメモリ→デバイス

ローカルのデータ・ストリーム

ディスク→メモリ→デバイス

最大限の性能を得るには、大量のデータ・ストリームを処理できるローカル・バックアップ構成を使用

してください。

ネットワーク・バックアップまたはサーバ・バックアップとダイレクト・バックアップ

ネットワークおよびサーバ経由でデータを送信する場合は、新たなオーバーヘッドが生じるため、

ネットワークやサーバによっても性能が左右されます。Data Protectorでは状況により、以下に示すよ

うにデータ・ストリームの処理方法が異なります。

性能に関する概要と計画上の注意点

36

ネットワークのデータ・ストリーム

ディスク→送信元システムのメモリ→ネットワーク→送信先システムのメモリ→デバイス

ダイレクト・データストリーム

ディスク→デバイス

最大限の性能を得るには、大量のデータ・ストリームについてはダイレクト・バックアップ構成を使用

してください。

デバイス

デバイスの性能

デバイスの種類とモデルは、デバイスがテープへデータを書き込む(またはテープからデータを読み

取る)速度の面で、性能に影響を与えます。

データ転送速度は、ハードウェア圧縮が使用されているかどうかによっても異なります。 可能な圧縮

率は、バックアップされるデータの性質によって異なります。多くの場合、高速デバイスをハードウェ

ア圧縮オプションをオンにして使用することにより、性能が向上します。 ただし、このように性能を向

上できるのはデバイスのストリーミングが行われている場合に限ります。

バックアップ・デバイスでは、バックアップ・セッションの最初と最後に、メディアの巻き戻し、マウン

トやアンマウントなどの操作に所定の時間が必要となります。

ライブラリは、多数のメディアに高速かつ自動でアクセスできるので、さらに利点があります。

バックアップ時に、新しいメディアまたは再使用可能なメディアをロードし、復元時に、復元対象の

データを含むメディアに迅速にアクセスする必要があります。

ディスクベースのデバイスは、メディアのマウントやアンマウントの必要がないため、従来のデバイス

に比べてデータへのアクセスが高速です。 このため、バックアップと復元に必要な時間が短縮され

ます。 また、ディスクベースのデバイスでは合成バックアップやディスク ステージングなどのアドバ

ンスト・バックアップ戦略の利点を活用することができ、バックアップと復元の時間がさらに短縮され

ます。

デバイス以外の高性能ハードウェア

コンピュータ・システムの性能

コンピュータ・システム自体の速度は、性能に直接影響を与えます。バックアップ中のシステムでは、

ディスクの読み取りやソフトウェアによる圧縮などに伴う負荷が発生します。

性能に関する概要と計画上の注意点

2. バックアップ方針の策定

37

ディスクの読取り速度とCPU使用率は、I/O性能やネットワークの種類と同様、システムの重要な性能

基準となります。

高度なパフォーマンス構成

Data Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ・ソリューションは、アプリケーションのダウンタイム

またはバックアップ・モード・タイムを短縮する手段を提供するとともに、ネットワークバックアップ・

デバイスの代わりにローカル接続のバックアップ・デバイスを使用することで、ネットワークのオーバ

ーヘッドを減少させます。 アプリケーション・ダウンタイムまたはバックアップ・モード・タイムは、デ

ータの複製を作成するために必要な時間に制限されます。このデータの複製は、その後、バックアッ

プ・システム上のローカル接続されたデバイスにバックアップされます。

ゼロ・ダウンタイム・バックアップの詳細については、『HP Data Protector software ゼロ・ダウンタイム

バックアップ・コンセプトガイド』を参照してください。

ハードウェアを並行して使用する

複数のデータ・パスを並行して使用することは、性能を向上させる上で基本的かつ効率的な方法で

す。 ネットワークのインフラストラクチャもこれに含まれます。 この方法は、以下の状況で用いられ

た場合に、性能向上をもたらします。

並行使用が有効な場合

・ 複数のクライアント・システムをローカルに、つまりディスクとそれに関連するデバイスを同一クラ

イアント・システムに接続した状態でバックアップできる場合。

・ 複数のクライアント・システムをネットワーク経由でバックアップできる場合。この場合、ネットワー

ク上のデータ経路を設定して、データ・パスが重複しないようにすることが必要です。そうでなけれ

ば、性能が低下します。

・ 複数のオブジェクト(ディスク)を1つまたは複数の(テープ)デバイスにバックアップできる場合。

・ 複数のXCOPY エンジンを使用して、オブジェクト(ディスクまたはファイル)を複数の(テープ)デバ

イスに直接バックアップできる場合。

・ クライアント・システム間で複数の専用ネットワーク・リンクを使用できる場合。 例えば、system_A

にバックアップ対象のオブジェクト(ディスク)が6個あり、system_Bに高速テープ デバイスが3台あ

る場合は、system_Aとsystem_Bとの間で3つのネットワーク・リンクをバックアップ専用にします。

性能に関する概要と計画上の注意点

38

・ 負荷調整

これはData Protectorの機能であり、どのオブジェクト(ディスク)をどのデバイスにバックアップする

かがData Protectorによって動的に決定されます。特に、動的環境において多数のファイルシステム

をバックアップする場合は、この機能をオンに設定してください。

ただし、特定のオブジェクトがどのメディアに書き込まれるかは予測できません。

バックアップと復元の構成どのようなインフラストラクチャが設定されている場合でも、最大の性能を得るためにはそれを効率

的に使用しなければなりません。Data Protectorには高い柔軟性が備わっているため、使用環境と希

望するバックアップ/復元の実施方法に合わせることができます。

ソフトウェア圧縮

ソフトウェア圧縮は、ディスクからデータが読み込まれる際に、クライアントのCPUによって実行され

ます。これにより、ネットワーク経由で送信されるデータの量が低減されますが、クライアントでは大

量のCPUリソースが必要となります。

デフォルトでは、ソフトウェア圧縮は使用不可能に設定されています。ソフトウェア圧縮は、処理速度

の遅いネットワーク経由で多数のマシンをバックアップする場合にのみ使用してください。これによ

り、データが圧縮された後ネットワークへ送信されます。ソフトウェア圧縮を使用した場合は必ず、

ハードウェア圧縮を使用不可能にしてください。これは、データの圧縮を二重に行うと、逆にデータ

のサイズが大きくなるためです。

ハードウェア圧縮

ハードウェア圧縮はデバイスによって実行されます。 デバイスはドライブ・サーバから元のデータを

受信し、受信したデータを圧縮モードでメディアに書き込みます。ハードウェア圧縮により、テープに

書き込まれるデータの量が低減されるので、テープドライブのデータ受信速度が向上します。

デフォルトでは、ハードウェア圧縮は使用可能に設定されています。ハードウェア圧縮を使用可能に

設定するには、HP-UX システムではハードウェア圧縮デバイスファイルを選択し、Windows システム

ではデバイス構成時にハードウェア圧縮オプションを選択します。ハードウェア圧縮を使用するかど

うかは、慎重に決定してください。 これは、圧縮モードで書き込まれたメディアは、非圧縮モードの

デバイスで読み取ることができず、非圧縮モードで書き込まれたメディアは、圧縮モードのデバイス

で読み取ることができないためです。

性能に関する概要と計画上の注意点

2. バックアップ方針の策定

39

フル・バックアップと増分バックアップ

性能を向上させるための基本的な方法は、バックアップされるデータの量を減らすことです。 フル

バックアップ、および増分バックアップは、慎重に設定してください。注意すべき点は、すべてのクラ

イアント・システムのフル・バックアップを同時に実行する必要はないということです。

ディスクにバックアップする場合、合成バックアップやディスク・ステージングなどのアドバンスト・バ

ックアップ戦略の利点を活用することができます。

ディスク・イメージ・バックアップとファイルシステム・バックアップ

従来は、ファイルシステムをバックアップするよりも、ディスク・イメージ(raw ボリューム)のバック

アップを実行する方が効率的でした。このことは現在でも、負荷の大きいシステムを使用する場合や、

ディスクに容量の小さいファイルが多数散在している場合などに当てはまります。

ただし、一般的には、ファイルシステム・バックアップの使用をお勧めします。

メディアへのオブジェクトの配布

以下に、Data Protectorのバックアップ構成におけるオブジェクトとメディアの対応付けの例を示し

ます。

・ 1つのオブジェクト(ディスク)を1つのメディアに格納。

この方法の利点は、オブジェクトとオブジェクトが格納されるメディアとの関係が固定されている

点です。 この場合、復元プロセスの実行時には、特定の1つのメディアだけにアクセスすればよい

ことになります。

一方、ネットワーク・バックアップを行う場合にこの方法を使用すると、ネットワークが原因で性能が

制限されるため、デバイス・ストリームを維持できない可能性があります。

・ 多数のオブジェクトを複数のメディアに格納。1つのメディアには複数のオブジェクトが保存される

が、1つのオブジェクトは必ず1つのデバイスで処理されます。

この方法の利点としては、特にネットワーク構成内で使用する場合に、バックアップ時のデータ・ス

トリームを柔軟に構成できるため、性能を最適化できる点が挙げられます。

この方法は、それぞれのデバイスがストリームを維持するのに十分なデータを得ることが可能であ

るということを前提としています。これは、各デバイスは複数ソースのデータを並列に受け取るこ

とができるためです。

一方、この方法の問題点として、1つのオブジェクトだけを復元する場合に、それ以外のオブジェク

トのデータをスキップしなければならない点が挙げられます。 さらに、どのメディアにどのオブジ

ェクトのデータが格納されるかを、正確に予測することはできません。

性能に関する概要と計画上の注意点

40

ディスク性能Data Protectorでバックアップ対象となるデータはすべて、システム内のディスク上に存在しています。

そのため、ディスクの性能は、バックアップ性能に直接影響を及ぼします。ディスクは、本質的には

シーケンシャルなデバイスです。つまり、ディスクに対するデータの読み書きは自由に行えますが、両

方を同時に実行することはできません。同様に、同時に読み込みまたは書き込みできるデータ・スト

リームは1つだけです。Data Protectorは、ファイルシステムを順にバックアップしていくことにより、

ディスクヘッドの動きを低減させています。復元時においても、ファイルシステムは順に復元されてい

きます。

ただしオペレーティング・システムによっては、アクセスしたデータをいったんキャッシュ・メモリ内に

格納することがあるため、上記の問題が、はっきりとした形では表れないこともあります。

ディスクの断片化

ディスク上のデータは、ファイルやディレクトリをブラウズした場合に示される論理的な順番では保存

されておらず、実際には物理ディスク全体に小さなブロックの形で分散しています。 そのため、ファ

イルを読み書きする場合、ディスクヘッドはディスク領域全体を移動しなければなりません。 ただし

この処理は、各オペレーティング・システムによって異なります。

ヒント バックアップは、あまり断片化されていない大容量ファイルの場合に最も効率よく実行され

ます。

圧縮

ディスク上のデータが圧縮されている場合、Windows オペレーティング・システムでは、ネットワー

クを介してデータを送信する前に、そのデータをまず展開します。 そのため、実際のバックアップ速

度が低下し、CPUリソースも消費されます。

ディスク・イメージ・バックアップ

Data Protectorでは、UNIX ディスクのディスク・イメージ・バックアップも可能です。ディスクイメージ

バックアップの場合は、ファイルシステム構造は無視されて、ディスク全体のイメージがそのままバッ

クアップされます。この場合は、ディスクヘッドはディスク上を直線的に移動していきます。そのため、

ディスクのイメージ・バックアップは、ファイルシステム・バックアップに比べて処理時間がかなり短縮

されます。

性能に関する概要と計画上の注意点

2. バックアップ方針の策定

41

SAN性能大量のデータを1つのセッションでバックアップする場合は、データ転送にかなりの時間が必要にな

ります。これは、(LAN、ローカル、またはSAN)接続を介してデータをバックアップ・デバイスに送信

するのにかかる時間です。

オンライン・データベース・アプリケーションの性能Oracle、SAP R/3、Sybase、Informix Serverなどのデータベースやアプリケーションをバックアップす

る場合、バックアップの性能は、対象となるアプリケーションにも依存します。データベース・オンラ

イン・バックアップとは、データベース・アプリケーションをオンライン状態のままバックアップする

ための機能です。この機能はデータベースの稼動時間を最大化するのに役立ちますが、バックアップ

中はアプリケーションの性能に影響が出る可能性があります。Data Protectorは、一般に使われること

が多い各種のオンライン・データベース・アプリケーションと統合して、バックアップを効率よく実行

できます。

Data Protectorとさまざまなアプリケーションとの統合や、バックアップ性能を向上させるテクニック

については、『HP Data Protector software インテグレーション・ガイド』を参照してください。

バックアップ性能を向上させる方法については、これらのオンライン・データベース・アプリケーショ

ンに同梱されているドキュメント類も参照してください。

セキュリティの設計

42

セキュリティの設計バックアップ環境の構築時には、セキュリティ面にも考慮してください。セキュリティ計画を慎重に

検討し、実装し、更新することにより、データに対する不法なアクセスや、複製、改変などを防止で

きます。

セキュリティとは

バックアップにおけるセキュリティ対策では、通常、以下の点を検討する必要があります。

・ バックアップ・アプリケーション(Data Protector)の管理および操作を実行する権限を誰に与えるか。

・ クライアント・システムおよびバックアップ・メディアに対する物理的なアクセス権を誰に与えるか。

・ データを復元する権限を誰に与えるか。

・ バックアップ・データに関する情報をブラウズする権限を誰に与えるか。

Data Protectorには、これらの問題に対する、セキュリティ・ソリューションが用意されています。

Data Protectorのセキュリティ機能

Data Protectorおよびバックアップ・データへのアクセスは、以下の機能に基づいて制御されます。各

項目については、以下の項で詳しく説明していきます。

・ セル

・ Data Protector ユーザ・アカウント

・ Data Protector ユーザ・グループ

・ Data Protector ユーザ権限

・ バックアップ・データのブラウズおよびアクセス権

セキュリティの設計

2. バックアップ方針の策定

43

セル

セッションの開始

Data Protectorのセキュリティは、セル単位に制御されます。Data ProtectorのManager-of-Managers

機能を使用していない場合には、バックアップ・セッションおよび復元セッションは、Cell Managerか

らしか開始できません。そのため、あるセル内のユーザが、別のローカル・セル内のデータをバック

アップしたり復元したりすることは、できないようになっています。

特定のCell Managerからのアクセス

さらにData Protectorでは、クライアント・システムにアクセスできるCell Managerを、明示的に構成

できます(信頼されるピアの構成など)。

実行前および実行後スクリプトの制限

セキュリティ対策として、実行前/実行後スクリプトに対して、さまざまなレベルの制限を設定できま

す。これらのスクリプトを任意に使用すると、クライアント・システム側でバックアップ前に何らかの

準備作業を行うことが可能になります(例えば整合性のとれたバックアップを作成するために、アプ

リケーションを終了させるなど)。

Data Protectorのユーザ・アカウント

Data Protector ユーザ・アカウント

Data Protectorの機能を使用するためには、管理作業を行う場合であっても、個人的なデータを復元

するだけの場合であっても、必ずData Protectorのユーザ・アカウントを取得しておかなければなりま

せん。このユーザ・アカウントは、Data Protectorおよびバックアップ・データに対する不正アクセスの

防止に役立っています。

ユーザ・アカウントの設定者

ユーザ・アカウントは管理者が作成し、作成時にはユーザのログオン名、そのユーザがログオンに使

用できるシステム、および所属するData Protector ユーザ・グループのメンバーシップが指定されま

す。このメンバーシップにより、所属するユーザの権限が決められます。

セキュリティの設計

44

アカウント・チェックのタイミング

ユーザ権限のチェックは、ユーザがData Protector ユーザ・インタフェースを起動した時点で、Data

Protectorにより実行されます。また、ユーザが特定のタスクを実行したときにも、ユーザ権限のチェッ

クが行われます。

Data Protector ユーザ・グループ

ユーザ・グループとは

新しいユーザ・アカウントの作成時には、そのユーザが所属するユーザ・グループも指定されます。

個々のユーザ・グループに対しては、それぞれ複数のData Protector ユーザ権限が与えられています。

グループのメンバーとなったユーザは、そのグループのユーザ権限が与えられます。

ユーザ・グループが必要な理由

Data Protectorのユーザ・グループを使用すると、ユーザ構成作業が容易になります。管理者は、個々

のユーザを、各自が使用するData Protector機能に基づいて、いくつかのグループにまとめておきます。

これらのグループに対して、例えば、[end user]グループのメンバーには、個人データを

ローカル・システム上に復元する権限のみを与え、一方[operators]グループのメンバーには、バック

アップの開始およびモニタリングを行う権限を与えるが、バックアップの作成は許可しない、といっ

た設定が可能です。

Data Protector ユーザ権限

ユーザ権限とは

Data Protectorのユーザ権限とは、各ユーザがData Protectorを使って実行できる処理を定義するもの

です。ユーザ権限は、個々のユーザ単位にではなく、Data Protectorのユーザ・グループ単位で与えら

れます。あるユーザ・グループに追加されたユーザには、そのユーザ・グループに割り当てられてい

るユーザ権限が自動的に与えられます。

セキュリティの設計

2. バックアップ方針の策定

45

ユーザ権限が必要な理由

Data Protectorのユーザおよびユーザ・グループ機能は柔軟性が高く、管理者は特定のData Protector

機能を使用できるユーザを明示的に定義できます。あるデータをバックアップおよび復元することは、

本質的にはそのデータのコピーを作成するのと同じことです。そのためData Protector のユーザ権限

は慎重に適用するようにしてください。

バックアップ・データの表示データのバックアップを作成することは、そのデータの新しいコピーを作成することを意味します。

そのため機密情報を取り扱うときには、オリジナルのデータだけでなく、バックアップ・コピーに対す

るアクセス権も制限する必要があります。

他のユーザからデータを隠す

バックアップの構成時には、そのデータを誰でも復元できるようにするか(public)、またはバックアッ

プ・データのオーナーしか復元できないようにするか(private)を指定できます。オーナーとは、その

バックアップを構成し、バックアップ・セッションを開始(あるいはスケジュール設定)したユーザを指

します。バックアップ・オーナーの詳細については、「誰がバックアップ・セッションを所有するのか」を

参照してください。

データの暗号化オープン・システムおよび公共ネットワークの普及により、大規模な企業環境では、データ・セキュリ

ティ対策が欠かせないものとなっています。Data Protectorでは、ファイルシステムおよびディスク・イ

メージのデータを判読できないような形に暗号化することも可能です。データの暗号化は、ネットワ

ークを介したデータ転送前、およびメディアへの書き込み前に実行されます。

Data Protector ver.6.0の新機能により、テープおよびバックアップ・ディスクに保存されたデータは

AES(Advanced Encryption Standard)の256ビットを使用して暗号化されるため、業界規定および政

府規制に準拠することができます。

セキュリティの設計

46

誰がバックアップ・セッションを所有するのか

バックアップ所有権とは

バックアップ仕様を作成したData Protector ユーザは、実行中のバックアップ・セッションおよび作成

されるメディア・セットのオーナーになります。この所有権はData Protector ユーザに対するものであ

り、各システム(プラットフォーム)のユーザに対するものではないことに注意してください。そのため、

バックアップ・セッションは、必ずしもオーナーのユーザ名では実行されていません。

バックアップを開始できるユーザ

各ユーザは、自分が作成したバックアップ仕様しか実行できません。そのため、バックアップ管理者

がバックアップ仕様を作成した場合には、他のユーザはこのバックアップ仕様に基づくバックアップ

を開始することができません。バックアップ・オーナーを変更すると、新しいオーナーは、実際には所

有していないデータへのアクセスや復元も可能になる点に注意してください。

バックアップ所有権と復元

バックアップ所有権は、データの復元時にも影響します。[private]/[public]オプションが[private]に

設定されている場合には、そのメディア セット内に保存されているデータは、メディア セットのオー

ナーまたは管理者しか見ることができません。

フルバックアップと増分バックアップ

2. バックアップ方針の策定

47

フルバックアップと増分バックアップData Protectorのファイルシステム・バックアップには、フルバックアップと増分バックアップの2種類

があります。

フルバックアップを実行すると、バックアップ対象として選択されたすべてのファイルがファイルシス

テムにバックアップされます。一方、増分バックアップの場合には、前回のフルバックアップ時または

増分バックアップ時以降に更新されたファイルのみがバックアップされます。以下では、使用するバ

ックアップ・タイプの選択方法と、選択結果がバックアップ方針に及ぼす影響について説明します。

表2-4 フルバックアップと増分バックアップの比較

Data Protectorでは、オンライン・データベース・アプリケーションの増分バックアップも可能です。た

だし処理内容の詳細は、各アプリケーションによって異なります。例えばSybaseでは、この種のバッ

クアップはトランザクション・バックアップと呼ばれ、最後のバックアップ以降に変更されたトランザ

クション・ログのみがバックアップされます。

リソース

デバイスの操作

復元

IDBへの影響

フルバックアップ

増分バックアップより完了

までの時間が長く、必要と

するメディア容量が大きい

単一ドライブを持つスタン

ドアロン・デバイスを使用

する場合、バックアップが

単一メディアに収まらない

場合は手動でメディアを交

換する必要がある

シンプルで速い復元が

可能

IDB内に占めるスペースが

大きい

増分バックアップ

前回のバックアップからの

変更のみをバックアップす

るため、必要とする時間と

メディア容量が小さい

バックアップに追加メディ

アが必要となることは少

ない

必要となるメディア数が多

いため、復元にかかる時間

が長い

IDB内に占めるスペースが

小さい

フルバックアップと増分バックアップ

48

増分バックアップの概念は、ロギングレベルの概念とは無関係である点に注意してください。

ロギング・レベルとは、IDBに書き込まれる詳細情報の量を定義するためのものです。

注記 Data Protectorのアプリケーション用統合機能を使用すると、さらにさまざまな種類のバック

アップが可能になります(ダイレクト・バックアップ、スプリットミラー・バックアップ、スナップ

ショット・バックアップ、データムーバ・バックアップなど)。詳細は、『HP Data Protector

software インテグレーション・ガイド』を参照してください。

フルバックアップフルバックアップの場合には、前回のバックアップより後に更新されたファイルがない場合でも、選択

されたファイルがすべてバックアップされます。

合成バックアップ

合成バックアップは、通常のフルバックアップを実行する必要のない高度なバックアップ ソリューシ

ョンです。フルバックアップを実行する代わりに増分バックアップが実行され、その後にフルバックア

ップとマージされて、新規の合成フルバックアップとなります。

増分バックアップ増分バックアップの場合には、まだ保護期限が切れていないファイルのうち、前回の(フルまたは増分)

バックアップより後に更新されたファイルのみがバックアップされます。オブジェクトの増分バックア

ップを実行するには、同一のクライアント名、マウント・ポイント、および説明を指定して作成された、

そのオブジェクトのフルバックアップが事前に存在している必要があります。

増分バックアップは、最後のフルバックアップに依存します。保護されたフルバックアップがない場合

に増分バックアップを指定すると、代わりにフルバックアップが実行されます。

従来の増分バックアップ

バックアップ・オブジェクトに対する増分バックアップの開始時には、まずバックアップ・オブジェクト

内のツリーと、そのオブジェクトの有効な復元チェーン内のツリーが比較されます。前回のバックア

ップより後にバックアップ・オブジェクト内の追加のディレクトリがバックアップ対象として選択され

た場合や、同じバックアップ・オブジェクトに対してツリー指定が異なるバックアップ仕様が複数存在

する場合など、ツリーが一致していない場合には、フルバックアップが自動的に実行されます。 この

仕組みにより、前回の当該バックアップより後に変更されたすべてのファイルが確実にバックアップ

されます。

フルバックアップと増分バックアップ

2. バックアップ方針の策定

49

従来の増分バックアップでは、前回のバックアップからファイルが変更されたかどうかを判断する主

な条件として、ファイルの更新時刻が使用されます。しかしファイルが名称変更されたり、新しい場所

に移動されたり、属性のいくつかが変更された場合は、更新時刻は変更されません。

したがって、従来の増分バックアップではファイルが常にバックアップされるとは限りません。

このようなファイルは、次のフルバックアップでバックアップされます。

拡張増分バックアップ

拡張増分バックアップでは、名称変更や移動が行われたファイルや、特定の属性が変更されたファイ

ルも、確実に検出されてバックアップされます。

また、拡張増分バックアップでは、バックアップ対象として選択されたツリーの一部が変更された際

に、バックアップ・オブジェクト全体が不必要にフルバックアップされることがなくなります。 例えば、

前回のバックアップより後に追加されたディレクトリがバックアップ対象として選択された場合は、そ

のディレクトリ(ツリー)のフルバックアップが実行されますが、その他のディレクトリついては増分バ

ックアップが実行されます。

拡張増分バックアップの使用は、合成バックアップの前提条件となります。

増分バックアップの種類

Data Protectorで実行できる増分バックアップには以下の種類があります。

増分 単純な増分バックアップは、図2-5に示すとおり、まだ保護期限が切れていない最後のバ

ックアップ(フルバックアップ、またはいずれかのレベルの増分バックアップ)をベースと

して行われます。

増分1~9 複数レベル増分バックアップは、図2-6に示すとおり、まだ保護期限が切れていない、1

つ下のレベルの前回の複数レベル増分バックアップをベースとして行われます。例えば

増分1バックアップを実行すると、前回のフルバックアップ時より後に更新された、すべ

てのデータが保存されます。また、増分5バックアップを実行すると、前回の増分4バッ

クアップより後に更新されたすべてのデータが保存されます(増分4バックアップが存在

する場合)。増分1~9バックアップでは、既存の増分バックアップは参照されません。

フルバックアップと増分バックアップ

50

Z図2-5 増分バックアップ

図2-6 複数レベル増分バックアップ

表2-5に、さまざまなバックアップ・タイプの実行時の相対的な参照関係を示します。詳細な説明につ

いては、次ページの『表2-5の見方』および『例』を参照してください。

フル

増分 増分 増分 増分

増分1

増分

フル

日時

フル

増分

フル

日時

増分3

増分2増分2

増分1増分1

増分1

フルバックアップと増分バックアップ

2. バックアップ方針の策定

51

表2-5 バックアップ実行時の相対的参照関係

1 フル ← 増分1

2 フル ← ← ← 増分2

3 フル ← 増分1 ← 増分2

4 フル ← 増分

5 フル ← 増分1 ← 増分

6 フル ← 増分1 ← 増分2 ← 増分

7 フル ← 増分1 ← 増分 ← 増分

8 フル ← 増分1 ← 増分3

9 フル ← 増分1 ← 増分2 ← 増分3

10 フル ← ← ← 増分2 ← 増分3

11 フル ← ← ← ← ← 増分3

表2-5の見方

・ 表2-5の各行は互いに関係性はなく、異なる状況を示します。

・ バックアップの経過時間は、右から左に増加します。したがって左端が一番古く、右端が最新のバッ

クアップになります。

・ フルと増分Xは、同じ所有者の保護期限内のオブジェクトを表します。保護されていない既存の増

分Xは復元に使用できますが、それより後のバックアップ実行時の参照には考慮されません。

・ 2行目では、フルで保護期間内のバックアップが実行され、増分2が実行中です。増分1がないため、

バックアップは増分1として実行されます。

・ 5行目には、フルバックアップと増分1があり、別の増分バックアップが実行中です。Data Protector

では、現在実行中のバックアップにおいて、前回の増分増分1が参照されます。

・ 8行目では増分3が増分2として実行され、11行目では増分3が増分1として実行されます。

フルバックアップと増分バックアップ

52

復元時の注意点最新のデータを復元するには、前回のフルバックアップが格納されたメディアと、それ以降に実行さ

れた増分バックアップが格納されたメディアが必要です。そのため、増分バックアップの回数が多け

れば多いほど、必要となるメディアの数も増加します。スタンドアロン・デバイスを使用している場合

には、この点が問題となって、復元処理に時間がかかってしまいます。

図2-7に示す簡易バックアップおよび複数レベルの増分バックアップを実行した場合、フルバック

アップとそれ以降に作成された増分バックアップの、合計5つのメディア・セットにアクセスする必要

があります。この場合、メディア上で必要とされるスペースは少なくなりますが、復元作業は複雑にな

ります。必要となる一連のメディア・セットは、復元チェーンとも呼ばれます。

ヒント Data Protectorの[増分のみ追加可能(Appendable on Incrementals Only)]オプションを使う

と、フルバックアップと、同じバックアップ仕様内の増分バックアップが同一のメディア・セッ

ト内に保存されます。

フルバックアップと増分バックアップ

2. バックアップ方針の策定

53

図2-8は、もう1つの一般的な増分バックアップの実行方法を示したものです。この方法では、メディア

上で必要となるスぺースは多少増加します。この方法では、特定の時点までの復元処理を行うのに、2

つのメディア・セットしか必要ありません。またこの復元方法の場合には、復元する状態の時刻を変更

しない限り、以前に作成された増分1メディア・セットに依存する必要がない点に注目してください。

図2-7 簡易および複数レベルの増分バックアップからの復元時に必要となるメディア

フル

復元時刻

復元に必要なメディア・セット

バックアップ日時

増分1

増分2

増分 増分

フルバックアップと増分バックアップ

54

図2-8 複数レベルの増分バックアップからの復元時に必要となるメディア

復元に必要なフルバックアップと増分バックアップが、必要時にすべて揃っているようにするには、デ

ータ保護を適切に設定しなければならない点に注意してください。データ保護が適切に設定されて

いないと、復元チェーンが切れる可能性があります。

フル

復元時刻

復元に必要なメディア・セット

バックアップ日時

増分1増分1

増分1増分1

データのバックアップ

2. バックアップ方針の策定

55

データのバックアップデータのバックアップ手順は、以下のとおりです(場合によっては、一部の手順のみが必要となりま

す)。

・ どのクライアント・システムからどのファイルをバックアップするのかを選択します(ソースデータ

の選択)。

・ どこにバックアップするのかを選択します(バックアップ先の選択)。

・ 同一データを別のメディア・セットにも書き込むかどうかを選択します(ミラー作成の選択)。

・ バックアップ方法を選択します(バックアップ・オプションの選択)。

・ 自動処理が行われるよう、バックアップをスケジュール設定します。

バックアップ仕様では、これらの項目をすべて指定できます。

図2-9 バックアップ・セッション

UNIX:/home

UNIX:/etc

PC d:

クライアント 2

オブジェクト:データのソース

バックアップ・セッション マネージャ

バックアップ仕様

オブジェクト:データの選択 デバイス:  バックアップ先の       選択 オプション: 方法の選択

デバイス

メディア

ドライブ 1

ドライブ 2

// /

データのバックアップ

56

指定した時間になると、バックアップ仕様に基づいて、バックアップ・セッションがData Protectorによ

って開始されます。ソースデータはバックアップ対象オブジェクト(UNIX システム上のファイルシス

テム、またはWindows システム上のディスクドライブ)を一覧形式で指定したものであり、バックアッ

プ先は指定した(テープ)デバイスとなります。バックアップ・セッションの実行時には、指定したオブ

ジェクトが読み取られ、ネットワークを介してデータが転送され、デバイス内のメディアに書き込まれ

ます。バックアップ仕様では、使用するデバイスも指定します。このときメディア・プールも指定でき

ますが、指定しなければ、デフォルトのメディア・プールが使用されます。

バックアップ仕様では、1つのディスクをスタンドアロンのDATドライブにバックアップするといった

単純な設定もできれば、40台の大規模サーバを、8台のドライブを搭載したLTOテープライブラリに

バックアップするといった複雑な設定も可能です。

バックアップ仕様の作成

バックアップ仕様とは

バックアップ仕様を作成しておくと、実行スケジュール、使用するデバイス、バックアップ・タイプ、バ

ックアップ・セッション・オプションなど、バックアップ上の特徴が共通する複数のオブジェクトを、ひ

とつのグループにまとめて処理することができます。

バックアップ仕様の作成方法

バックアップ仕様の構成には、Data Protector ユーザ・インタフェースを使用します。バックアップ仕

様内では、バックアップする対象や作成するミラーの数、バックアップに使用するメディアやデバイス

を指定する他に、特定のバックアップ動作を指定することも可能です。ほとんどの場合は、Data

Protectorに用意されたデフォルトのバックアップ動作をそのまま使用できますが、Data Protectorの

バックアップ・オプションを使用すると、バックアップ動作のカスタマイズも可能です。

Data Protectorでは、対象となるクライアントに接続されているすべてのディスクをバックアップ時に

検出して、バックアップすることも可能です。

データのバックアップ

2. バックアップ方針の策定

57

バックアップ・オブジェクトの選択

バックアップ・オブジェクトとは

Data Protectorでは、同一ディスク・ボリューム(ローカル・ディスクまたはマウント・ポイント)上で選択

されたすべてのバックアップ対象を含むバックアップ単位を、バックアップ・オブジェクトと呼びます。

バックアップ対象には、任意の数のファイルやディレクトリ、または、ディスク全体あるいはマウント

ポイント全体を選択できます。さらに、バックアップ・オブジェクトはデータベース・エンティティやデ

ィスク・イメージ(raw ディスク)を選択することもできます。

バックアップ・オブジェクトは以下のように定義されています。

・ クライアント名:バックアップ・オブジェクトが存在するData Protector クライアントのホスト名です。

・ マウント・ポイント:バックアップ・オブジェクトの存在するクライアント上のディレクトリ構造内で、

そのバックアップ・オブジェクトへアクセスするためのポイントです(Windows上のドライブまたは

UNIX上のマウント・ポイント)。

・ 説明:クライアント名とマウント ポイントの指定が同一のバックアップ オブジェクトを一意に定義

する働きをします。

・ 種類:ファイルシステムやOracleなどのバックアップ・オブジェクトの種類。

バックアップ・オブジェクトの定義方法を知っておくことは、増分バックアップの仕組みを理解するう

えで大切です。例えば、バックアップ・オブジェクトの説明を変更すると、そのオブジェクトは新しい

バックアップ・オブジェクトであるとみなされて、増分バックアップではなくフルバックアップが自動

的に実行されます。

バックアップ・オプションの例

個々のバックアップ・オブジェクトに対するバックアップ動作をカスタマイズするには、各オブジェクト

に対してバックアップ・オプションを指定します。指定できるバックアップ・オプションの例を、以下に

示します。

・ IDBに記録するログ情報のレベル

Data Protectorでは、ファイルやディレクトリについてどの程度の詳細情報をIDBに記録するかを4つ

のレベルから選択できます。

―[すべてログに記録(Log All)]

―[ファイル・レベルまでログに記録(Log Files)]

データのバックアップ

58

―[ディレクトリ・レベルまでログに記録(Log Directories)]

―[ログなし(No Log)]

保存する詳細情報のレベルを変更すると、復元時にData Protectorのユーザ・インタフェースを

使ってファイルをブラウズする機能が影響を受けることに注意してください。

・ 自動負荷調整

指定リストに基づくデバイスの動的割り当て。

Data Protectorにより、どのオブジェクト(ディスク)をどのデバイスでバックアップするかが動的に決

定されます。

・ 実行前スクリプトと実行後スクリプト

一貫性のあるバックアップを作成するための、クライアント側での準備作業に使用。

バックアップから除外するディレクトリの指定や、特定のディレクトリのみのバックアップも可能です。

また後から追加されたディスクもバックアップできます。 このようにバックアップは自由に構成でき、

動的な設定も可能です。

バックアップ・セッション

バックアップ・セッションとは

バックアップ・セッションとは、クライアント・システム上のデータを、メディアにバックアップするプロ

セスを指します。バックアップ・セッションは、常にCell Manager システム上で実行されます。バック

アップ処理を始めるとバックアップ・セッションが開始され、バックアップ仕様に基づいて処理が進め

られます。

バックアップ・セッション中は、デフォルト動作、またはカスタマイズされた動作に基づいて、データが

バックアップされます。

データのバックアップ

2. バックアップ方針の策定

59

オブジェクト・ミラー

オブジェクト・ミラーとは

オブジェクト・ミラーとは、バックアップ・セッション中に作成される、バックアップ・オブジェクトの追

加コピーです。各オブジェクトについてミラーを作成するかどうかは、バックアップ仕様の中で定義

できます。ミラーは複数個作成することもできます。オブジェクト・ミラーを作成すると、バックアップ

のフォールト・トレランスが向上し、複数の場所に分けてのボールティングも可能になります。ただし、

バックアップ・セッション中にオブジェクト・ミラーを作成すると、バックアップにかかる時間はそれだ

け長くなります。詳細は、後述の「オブジェクト・ミラーの作成」を参照してください。

メディア・セット

メディア・セットとは

バックアップ・セッションが終了すると、メディア、またはメディア・セット上にバックアップ・データが

生成されています。各バックアップ・セッションで作成されるメディアの総数は、バックアップ中にオ

ブジェクト・ミラーを作成するかどうかによって異なります。プール使用方針によっては、複数のセッ

ションで同一のメディアを共有することも可能です。一方、データを復元するときには、どのメディア

を使用すればよいのかがわからなければなりません。Data Protectorでは、この情報をカタログ・デー

タベース内で管理しています。

バックアップの種類とバックアップのスケジュール設定スケジュール設定方針とは、データをバックアップするタイミングと、実行するバックアップのタイプ

(フルバックアップまたは増分バックアップ)を定義したもので、フルバックアップと増分バックアップ

の違いについて考慮する必要があります。詳細は、表2-4を参照してください。

スケジュール・バックアップを構成するときには、フルバックアップと増分バックアップを組み合わせ

ることができます。例えば、日曜日にフルバックアップを実行し、平日に毎日増分バックアップを行う

ことができます。大量データのバックアップを行いながらも、フルバックアップの大量データによる

ピークを避けるためには、時差を用いたアプローチを採用します。

データのバックアップ

60

スケジュール設定、バックアップ構成、およびセッション

バックアップ構成

バックアップをスケジュール設定すると、そのバックアップ仕様内に指定されているすべてのオブジ

ェクトが、スケジュールされたそのバックアップ・セッション内でバックアップされます。

単独のまたは定期的に実行されるスケジュール形式のバックアップについては、それぞれバックアッ

プの種類(フルまたは増分)、ネットワーク負荷、およびバックアップ保護オプションを指定できます。

また、スプリットミラー・バックアップまたはスナップショット・バックアップで、ディスクへのZDBまた

はディスク+テープへのZDB(インスタント・リカバリに対応)を実行する場合は、スプリット・ミラー/

スナップショット バックアップ・オプションを指定します。スプリットミラー・バックアップおよびスナ

ップショット・バックアップについては、バックアップの種類は無視されて、必ずフル バックアップが

実行されます。

1つのバックアップ仕様内で、ディスクへのZDBとディスク+テープへのZDBの処理を両方ともスケジ

ュール設定したり、単独のまたは定期的に実行される個々のスケジュール形式のバックアップに対し

て、それぞれ異なるデータ保護期間を指定したりすることも可能です。

バックアップ・セッション

バックアップ・セッションが開始されると、Data Protectorでは、デバイスなどの必要なリソースの割り

当てを試みます。いずれかのリソースが使用できない場合には、セッションは待ち行列に入れられま

す。待ち行列に入れられたセッションについては、一定時間が経過するまでリソースの再割り当てが

試みられます。この時間がタイムアウトです。タイムアウトまでの時間はユーザが変更できます。タイ

ムアウトになってもリソースがまだ使用できない場合は、そのセッションは中止されます。

バックアップ性能の最適化

Cell Managerの負荷を最適化するため、Data Protectorでは、デフォルトでは5つのバックアップ・セッ

ションが同時に開始されます。これ以上のセッションが同時にスケジュール設定された場合には、処

理できないセッションは待ち行列に入れられて、他のセッションの終了後に開始されます。

データのバックアップ

2. バックアップ方針の策定

61

スケジュール設定のヒントとテクニック以下では、バックアップ世代、データ保護、およびカタログ保護の概念について、バックアップ・スケ

ジュール例を使ってわかりやすく説明するとともに、効率的なスケジュール設定のためのヒントを示

します。

バックアップに適した時間帯

通常、バックアップ処理は、ユーザ活動の最も少ない時間帯(通常は夜間)に実行されるようスケジュ

ール設定します。フルバックアップは時間がかかるため、週末に実行するようスケジュールを設定し

てください。

またフルバックアップは、クライアントごと(バックアップ仕様ごと)に、日を変えて実行する方がよい

場合もあります。詳細については下記の「フルバックアップの時差実行」を参照してください。

注記 Data Protectorでは、デバイス使用率の観点から捉えた、バックアップ可能な時間帯を示すレポ

ートを生成できます。このレポートを使用すると、目的のデバイスが、既存のバックアップによ

り占有される可能性が低い時間帯を選択できます。

フルバックアップの時差実行

全システムのフルバックアップを同じ日に実行すると、ネットワーク負荷やバックアップ可能な時間帯

に関して、問題が発生する可能性があります。この問題を防ぐには、フルバックアップに対して「時差

実行方式」を採用します。

表2-6 時差実行方式

system_grp_a

system_grp_b

system_grp_c

フル

増分1

増分1

増分1

フル

増分1

増分1

増分1

フル

...

...

...

...

データのバックアップ

62

復元のための最適化

スケジュール設定方針と、フルバックアップおよび増分バックアップをどのように組み合わせるかは、

対象となるデータの復元処理にかかる時間に大きく影響します。以下に3つの例を使って、この点を

説明します。

ポイント・イン・タイム復元を行うには、ベースとなるフルバックアップと、目的の時点までに行われ

たすべての増分バックアップが必要になります。通常、フルバックアップと増分バックアップは、同一

メディア上には格納されていないため、フルバックアップと各増分バックアップが格納されたメディ

アをそれぞれ用意しなければなりません。

例1

図2-10は、フルバックアップと簡易増分バックアップに基づくスケジュール設定方針を示したもので

す。

図2-10 フルバックアップと1日1回の簡易増分バックアップを実行

この方針では、前日から更新されたデータのみがバックアップされるため、バックアップに必要なメ

ディア・スペースと時間は減少します。 ただし、例えば木曜日のバックアップからファイルを復元する

ような場合には、フルバックアップと木曜日までの増分バックアップが必要になるため、合計5つのメ

ディア・セットが必要です。復元処理は複雑になり時間もかかります。

フル

土 土 月 月 火 火 水 木 金

ポイント・イン・タイム 復元

復元に必要な メディア・セット

バックアップの 曜日

増分 増分 増分 増分 増分 増分

フル

増分

2. バックアップ方針の策定

63

データのバックアップ

例2

図2-11は、フルバックアップとレベル1増分バックアップに基づくスケジュール設定方針を示したもの

です。

図2-11 フルバックアップと1日1回のレベル1増分バックアップを実行

この方針では、毎日、前回のフルバックアップ以降に更新されたデータがバックアップされるため、

バックアップに必要なメディア・スペースと時間は多少増加します。ただし、例えば木曜日のバックア

ップからファイルを復元するには、フルバックアップと木曜日の増分バックアップしか必要ないため、

合計2つのメディア・セットのみが必要となります。そのため復元処理が簡単になり、処理時間も大幅

に短縮されます。

フル

土 土月 月火 火水 木 金

ポイント・イン・タイム復元

復元に必要なメディア セット

バックアップの曜日

増分1増分1

増分1増分1

増分1増分1

フル

増分1

データのバックアップ

64

例3

環境と要件によっては、前述の2つの方法を組み合わせた形が最適である場合も考えられます。

例えば、以下に示すスケジュール設定方針を設定できます。

図2-12 フルバックアップと複数タイプの増分バックアップを実行

この方針は、週末にはあまりデータ更新が行われない点を考慮しています。データのバックアップは、

バックアップ性能を最適化するために、簡易増分バックアップと、増分1の(差分)バックアップを組み

合わせた形で行われます。この場合、例えば木曜日のバックアップからファイルを復元するには、フル

バックアップと2番目の増分1バックアップの合計2つのメディア・セットのみを用意すればよいことに

なります。

フル

土 土月 月火 火水 木 金

ポイント・イン・タイム復元

復元に必要なメディア セット

バックアップの曜日

増分 増分

増分1

増分

増分1増分1

フル

増分

2. バックアップ方針の策定

65

自動または無人処理

自動または無人処理バックアップ・プロセスに関する操作やオペレータの作業を軽減するために、Data Protectorでは、営

業時間外に無人バックアップ、つまり自動バックアップを実行できます。以下では、スケジュール設定

方針の設定方法や、設定した方針がバックアップ動作に与える影響について説明するほか、スケジュ

ール設定方針の設定例もいくつか紹介しています。 ここでは、単一のバックアップを無人状態で実行

する方法ではなく、主として数日から数週間の長期にわたって、無人状態でバックアップを実行する

方法について説明します。

無人バックアップの注意点Data Protectorでは、バックアップを簡単にスケジュール設定できます。スケジュール設定方針をどの

ように設定すれば効率がよくなるかは、それぞれの環境によって異なるため、最適なスケジュール設

定方針を設定するには、以下のような事前調査が必要になります。

・ システム使用率とユーザ活動が最小になるのはいつか。

通常は夜間であるため、大部分のバックアップは夜間に実行するようスケジュール設定することに

なります。Data Protectorでは、バックアップに使用されているデバイスのレポートを作成できます。

・ どのようなタイプのデータが存在しており、各データのバックアップはどれくらいの頻度で行う必

要があるか。

ユーザ・ファイル、取引情報、データベースのような、頻繁に更新され、かつ企業にとって重要な情

報については、規則的にバックアップしなければなりません。一方、プログラム・ファイルのような

あまり変化しない、システム固有のデータについては、それほど頻繁にバックアップする必要はあり

ません。

・ 復元処理の容易性は、どの程度重要か。

フルバックアップおよび増分バックアップのスケジュール方法によっては、最新バージョンのファイ

ルを復元するときに、フルバックアップが格納されたメディアと増分バックアップが格納されたメデ

ィアの両方が必要になります。この場合、自動ライブラリ・デバイスを持っていなければ、復元処理

に時間がかかったり、手動によるメディア交換が必要になる可能性があります。

・ バックアップするデータの量はどの程度か。

フルバックアップは増分バックアップよりも時間がかかります。また一般にバックアップ処理は、限

られた時間枠内で実行する必要があります。

自動または無人処理

66

・ どれくらいの量のメディアが必要か。

メディア交換方針を決定します。ここでは、ライブラリ内に十分な数のメディアを用意しておくこと

により、バックアップ時に手動でメディア交換を行わずに済ませる方法について説明しています。

・ マウント・プロンプトにどのように対応するか。

ライブラリを使用するかどうかを決定します。ライブラリを使用すると、自動処理が可能となります。

これは、Data Protectorから、すべてのメディア、または大部分のメディアに対するアクセスが可能と

なり、メディアを手動で処理する必要がほとんどなくなるためです。

データ量が非常に多く、1台のライブラリでは対処しきれない場合は、ライブラリの追加も検討する

必要があります。

・ デバイスが使用できない場合の対応をどうするか。

バックアップ仕様の作成時には、動的な負荷調整またはデバイス・チェーンを指定して、複数のデバ

イスを使用できるようにしておいてください。こうすることで、あるデバイスがオンになっていなか

ったり、デバイスが接続されているシステムが作動していないなどの原因で、バックアップに失敗す

ることがなくなります。

・ すべてのデータのバックアップにはどれくらいの時間が必要か。

バックアップ作業は、ネットワークの使用率が低く、ユーザがシステムを使用しない時間帯に実行し

なければなりません。そのため、バックアップのスケジュール設定を適切に行って、バックアップに

よるネットワーク負荷を分散させ、バックアップ・セッションの効率を最大化することが大切になり

ます。場合によっては、時差実行方式の採用も検討してください。大量データをバックアップする必

要があり、バックアップ・ウィンドウに問題が表示される場合、ディスクベース・デバイスへのバック

アップと、合成バックアップやディスク・ステージングなどのアドバンスト・バックアップ戦略を検討

してください。

・ バックアップ実行前に、実行中アプリケーションへの対処は必要か。

多くのアプリケーションでは、ファイルが開かれたままになっている場合、一貫性のない形でバック

アップが作成される可能性があります。実行前スクリプトおよび実行後スクリプトを使用して、アプ

リケーションの状態とバックアップ処理とを同期させることにより、この状況を防止できます。

バックアップ・データの複製

2. バックアップ方針の策定

67

バックアップ・データの複製バックアップ・データを複製することには、さまざまなメリットがあります。データをコピーすると、デ

ータの安全性や可用性が向上し、また運用面での利便性も高まります。

Data Protectorには、バックアップ・データの複製メソッドとして、オブジェクトのコピー、オブジェクト

ミラー、メディア・コピーの3つの機能が用意されています。これらの機能の主な特徴に関して、表2-7

にまとめます。

表2-7 Data Protectorのデータ複製メソッド

a. 複製先に使用できるのは、未フォーマットのメディア、空のメディア、または保護期限の切れたメデ

ィアに限られます。複製の終了後は、複製元メディアと複製先メディアの双方とも、データの追加

書き込みはできなくなります。

複製の対象

複製のタイミング

複製元と複製先の

メディアの種類

複製元と複製先の

メディアのサイズ

複製先メディアへ

の追加書き込み

作成される内容

オブジェクト・コピー

1つまたは複数のバック

アップ・セッションで作成

される異なるオブジェク

ト・バージョンの任意の

組み合わせ

バックアップ終了後の任

意のタイミング

同じでなくてよい

同じでなくてよい

はい

選択したオブジェクトの

バージョンを含むメディア

オブジェクト・ミラー

1つのバックアップ・セッ

ションで作成されるオブ

ジェクトのセット

バックアップ中

同じでなくてよい

同じでなくてよい

はい

選択したオブジェクトの

バージョンを含むメディア

メディア・コピー

メディア全体

バックアップ終了後の

任意のタイミング

同じであることが必要

同じであることが必要

不可a

複製元と完全に同じ

内容のメディア

バックアップ・データの複製

68

オブジェクト・コピーの作成

オブジェクト・コピーとは

Data Protectorには、選択したオブジェクト・バージョンを特定のメディア・セットにコピーするための、

オブジェクト・コピー機能が用意されています。この機能を使用すると、コピー元として、1つまたは複

数のバックアップ・セッションまたはオブジェクト集約セッションで作成される複数のオブジェクト

バージョンを選択できます。オブジェクトコピー・セッションでは、コピー元メディアから読み取られた

データが転送されて、コピー先メディアに書き込まれます。

オブジェクトコピー・セッションが終了すると、指定したオブジェクト・バージョンのコピーを格納した

メディア・セットが完成しています。

図2-13は、特定の日時にバックアップしたデータが、その後にどのようにコピーされるかを示してい

ます。この図に示すように、バックアップ・データが格納されているメディアから任意のバックアップ

オブジェクトをコピーすることも、また、オブジェクト コピーが格納されているメディアから任意のバ

ックアップ・オブジェクトをさらにコピーすることも可能です。

図2-13 オブジェクト・コピーの概念

オブジェクト Aバージョン1-1-1

オブジェクト Bバージョン2-2-1

オブジェクト Bバージョン2-1

オブジェクト Bバージョン2-2

オブジェクト Bバージョン2

オブジェクト Aバージョン2

オブジェクト Aバージョン2-1

オブジェクト Bバージョン2-2-2

オブジェクト Aバージョン1-1

オブジェクト Aバージョン1

オブジェクト Bバージョン1

オブジェクト Bバージョン1-1 オブジェクト B

バージョン1-2 オブジェクト・コピー

バックアップ

バックアップ実施日

オブジェクト・コピー

特定時点

01.01.2004 01.02.2004 01.03.2004 01.04.2004

バックアップ・データの複製

2. バックアップ方針の策定

69

ディスク・ステージング

ディスク・ステージングとは、データを複数の段階(ステージ)に分けてバックアップすることにより、

バックアップや復元の性能向上、バックアップ・データの保管コストの削減、復元時のデータの可用性

やアクセス容易性の強化を図ろうとする考え方に基づいた手法です。

この手法によるバックアップは、ある種類のメディアにデータをバックアップする段階と、バックアッ

プしたデータをさらに別の種類のメディアにコピーする段階に分けて行います。最初の段階では、高

性能でアクセスも容易ではあるが容量に限りがあるメディア(システム・ディスクなど)にデータをバ

ックアップします。通常バックアップしたデータは、復元に使用される可能性が最も高いバックアップ

後の一定期間のみ、アクセスが容易なこれらのメディア上に保管しておきます。一定期間が経過した

データは、オブジェクト・コピー機能を使用して、性能やアクセス容易性に劣るものの容量が大きいメ

ディアに移して保管します。図2-16を参照。

図2-16 ディスク・ステージングの概念

ディスク・ステージングを使用すると、サイズの小さい多数のオブジェクトをテープに頻繁にバックア

ップする必要もなくなります。そのようなバックアップでは、メディアをいちいちロードおよびアンロ

ードしなければならないため、作業に手間がかかります。ディスク・ステージングは、バックアップ時

間の短縮やメディア劣化の軽減を図るうえでも有効です。

元ディスク

ハードディスク

データの高可用性は不要

ステージ I

ステージ II

復元先

バックアップ

オブジェクトコピー

ターゲット メディア(DAT、LTO など)

復元が必要 復元

データの復元

70

データの復元データ復元方針は、各企業の全体的なバックアップ方針における本質的なポイントとなります。

以下の事項を考慮した上で方針を策定してください。

・ ファイルのバックアップと復元は、本質的にはファイルのコピーと同じことです。 そのため、機密デ

ータを復元する権限は、権限のあるユーザにのみ与えるよう注意しなければなりません。

・ 権限を与えられていないユーザが、他のユーザのファイルを復元できないことを確認します。

この項では、Data Protectorを使った復元方針の実行例を説明します。ファイルシステム・データは復

元オブジェクトまたは復元セッションをブラウズすることによって復元できます。デフォルトでは、デ

ータは元の場所に復元されます。ただしデータの復元先には、任意の場所を指定できます。

復元に要する時間データが喪失すると、復元が終了するまでは、そのデータにアクセスできなくなります。通常、ユー

ザが日常業務を行えるように、データを復元する作業はできるだけ短時間で終了しなければなりま

せん。そのため、特定のデータの復元に要する時間をあらかじめ予測しておくことが大切になります。

復元に要する時間に対する影響

復元に要する時間は、以下に示すようなさまざまな要因によっても影響されます。

・ 復元するデータの量。この点は、以下のすべての要因にも直接影響を与えます。

・ フルバックアップと増分バックアップの組み合わせ方。 詳細については、「フルバックアップと増分

バックアップ」を参照してください。

・ バックアップに使用したメディアとデバイス。

・ ネットワークおよびシステムの速度。 詳細については、「性能に関する概要と計画上の注意点」を参

照してください。

・ 復元するアプリケーションの種類(Oracle データベース・ファイルなど)。詳細については、各自の

環境に適した『HP Data Protector software インテグレーション・ガイド』を参照してください。

データの復元

2. バックアップ方針の策定

71

・ 並列復元の使用。データのバックアップ方法によっては、単一の読み取り操作で、複数のオブジェ

クトを同時に復元できます。

・ 復元するデータを選択する際の速度と容易さは、バックアップに使用したログ・レベル設定とカタ

ログ保護期間により異なります。

メディア・セットの選択復元するオブジェクト・バージョンが複数のメディア・セット上にある場合は、それらがData Protector

のいずれかの複製メソッドで作成されている限り、どのメディア・セットを使って復元処理を行っても

構いません。デフォルトでは、使用するメディア・セットはData Protectorにより自動的に選択されます。

メディア位置の優先順位を設定しておくと、このメディア・セットの自動選択をある程度まで制御でき

ます。統合オブジェクトを復元する場合を除き、復元に使用するメディア・セットを手動で選択するこ

とも可能です。

復元チェーンの選択

合成バックアップを使用する場合、同時点におけるオブジェクトについて、復元チェーンが複数存在

することがあります。デフォルトでは、Data Protectorによって、最も有用な復元チェーンが選択され、

その復元チェーンの中で最も適切なメディアが選択されます。

メディア・セットの選択アルゴリズム

デフォルトでは、可用性と品質に最も優れたメディア・セットが自動的に選択されます。例えば、一部

のメディアが存在しなくなっていたり不良であったりするメディア・セットは選択されず、オブジェクト

の完結状態やメディア・セットの位置などが比較されます。ライブラリ内に格納されたメディアセット

は、スタンドアロン・デバイス内のメディア・セットよりも先に使用されます。

メディア位置の優先順位

メディア位置の優先順位を設定しておくと、メディア・セットの自動選択をある程度まで制御できます。

複数の場所に分けてデータを保管している場合には、この設定が重要な意味を持ちます。メディアを

複数の場所に保管している場合は、特定の復元処理に対して、どの保管場所を優先するかを指定でき

ます。複数のメディアセットが選択条件に合致した場合、優先順位の最も高いメディア・セットが選択

されます。

メディアの保管場所に対する優先順位は、全体レベルで設定することも、復元セッションごとに設定

することも可能です。

データの復元

72

復元する権限をオペレータにのみ付与一般的な復元方針では、専任のバックアップ・オペレータ、またはネットワーク管理者にのみ、ファイ

ル復元および障害復旧を実行する権限が与えられます。

この方針が適している場合

この方針は、以下の場合に適用します。

・ 大規模なネットワーク環境で、復元作業を担当する専任オペレータが存在する場合。

・ 一般のエンドユーザが、ファイルの復元に必要なコンピュータ知識を持っていない場合。

取り扱いに注意が必要なデータの復元時には、オペレータの信頼性が求められます。

必要な作業

この方針を実施するには、以下の作業が必要になります。

・ 他のユーザのデータを復元できるバックアップ・オペレータまたはネットワーク管理者を、Data

Protectorのoperators ユーザ・グループまたはadmin ユーザ・グループに追加します。

その他のユーザ・グループに、新たなユーザ(自分のシステムを復元できるユーザなど)を追加する

必要はありません。

・ インストール時に、エンドユーザのシステム上に、Data Protector ユーザ・インタフェースをインスト

ールしないよう注意します。Disk Agentをインストールして、Data Protectorでこれらのシステムをバ

ックアップできるようにします。

・ 復元要求に対する対処方針を決定しておきます。 この中では、エンドユーザがファイル復元を要求

する場合の手順も明確にしておく必要があります(例えば復元処理の請求には必ず電子メールを使

い、オペレータが目的のファイルを見つけてエンドユーザのシステム上に復元するために必要とな

る情報を、すべてこのメール内に記入する、など)。またエンドユーザに、ファイルが復元されたこ

とを知らせる方法も、取り決めておく必要があります。

データの復元

2. バックアップ方針の策定

73

復元する権限をエンドユーザにも付与もう1つの復元方針として、すべてのエンドユーザあるいは特定のエンドユーザに、自分のデータを

復元する権限を与える方法もあります。この場合は、セキュリティ面がより強化され、またバックアッ

プ オペレータが多数の復元操作を実行する必要もなくなります。

この方針が適している場合

この方針は、以下の場合に適用します。

・ エンドユーザが、復元の取り扱いに必要な知識を持っている場合。 場合によってはユーザ向けに、

基本的なバックアップの概念や復元操作に関するトレーニングを実施する必要があります。

・ ライブラリ・バックアップ・デバイスを使用しており、この中に、最新のバックアップ・データを格納

したメディアを用意しておける場合。デフォルトでは、Data Protectorのend user ユーザ・グループ

のメンバーは、メディアに対するマウント要求に応答できません。そのためマウント要求が発行さ

れた場合には、バックアップ・オペレータの手助けが必要になります。大容量ライブラリを使用する

と、この問題の発生を防止できます。

必要な作業

この方針を実施するには、以下の作業が必要になります。

・ Data Protectorのend users ユーザ・グループに、自分自身のデータを復元できるエンドユーザを追

加します。 セキュリティ面を強化するために、これらのユーザがData Protectorへのアクセスに使用

できるシステムを制限することも可能です。

・ エンドユーザが使用するシステム上に、Data Protector ユーザ・インタフェースをインストールしま

す。Data Protectorでは、ユーザ権限が自動的にチェックされるため、エンドユーザについては復元

処理のみが許可されます。

・ エンドユーザ・システムのバックアップ構成時に、Data Protectorのpublic オプションをオンにして、

エンドユーザがバックアップ・データを使用できるようにしておく必要があります。

障害復旧

74

障害復旧この項では、さまざまな障害復旧の概念について簡単に説明します。詳細な障害復旧の概念、計画、

準備および手順については、『HP Data Protector software障害復旧ガイド』で説明します。

コンピュータ障害とは、人的エラー、ハードウェアまたはソフトウェアの障害、自然災害などにより、

コンピュータ・システムがブート不可能な状態になるイベントを指します。通常このような状況が発

生した場合は、システムのブート・パーティションやシステム・パーティションが使用不能になっている

ため、標準的な復元作業を開始する前に、まず環境を復旧しなければなりません。このためには、ブ

ート・パーティションの再作成や再フォーマット、環境を定義するすべての構成情報を含めたオペレー

ティング・システムの再構築などを実行する必要があります。 最初にこの作業を完了しておかなけれ

ば、その他のユーザ・データを復旧できません。

コンピュータ障害が発生した後のシステム(ターゲット・システム)は、通常ブート不可能な状態にな

っており、Data Protectorの障害復旧は、このシステムを元のシステム構成に戻すことを目的としてい

ます。クラッシュしたシステムとは異なり、ターゲット・システムの場合は、障害が発生したハードウェ

アはすべて交換されています。

障害の発生は常に重大な問題ですが、以下の要因は状況をさらに深刻化します。

・ システムをできる限り迅速かつ効率的にオンライン状態に戻す必要がある。

・ 管理者が障害復旧手順に不慣れである。

・ 復旧を実行する担当者が、基礎的なシステム知識しか持っていない。

障害復旧は複雑な作業であり、事前に広範囲にわたる計画と準備を行っておく必要があります。

障害に対する準備作業、および障害からの復旧作業については、明確に定義された詳細な作業手順

を作成しておかなければなりません。

障害復旧プロセスは4つのフェーズに分けられます。

1. 障害復旧を成功させるには、それ以前にフェーズ0(計画および準備フェーズ)を実行しておくこと

が重要です。

注意 障害が発生してから障害復旧の準備をしても遅すぎます。

障害復旧

2. バックアップ方針の策定

75

2. フェーズ1ではDR OSをインストールして構成します。通常このフェーズにはブート・パーティショ

ンの再作成や再フォーマットも含まれますが、これは、障害発生時には、システムのブート・パーテ

ィションやシステム・パーティションが使用不可能なケースが多く、通常の復旧処理を開始する前

に環境の復旧が必要になるためです。

3. 環境を定義するすべての構成情報を含めたオペレーティング・システムとData Protectorを元の状

態に復元する作業は、フェーズ2で実行します。

4. フェーズ2までの作業が完了して初めて、アプリケーション・データやユーザ・データの復元(フェ

ーズ3)が可能になります。迅速かつ効率的な復旧を確実に行うには、明確に定義された詳細な作

業手順を作成しておく必要があります。

障害復旧方法

Data Protectorは、以下の障害復旧手法をサポートしています。

・ 手動による障害復旧

これは基本的で非常に柔軟な障害復旧手法です。この方法では最初にDR OSをインストールして構

成する必要があります。次に、Data Protectorを使ってデータを復元し(オペレーティングシステム・

ファイルを含む)、現在のオペレーティングシステム・ファイルを、復元したオペレーティングシステ

ム・ファイルで置き換えます。

・ 自動障害復旧

自動システム復旧(ASR)はWindows システム上の自動システムで、障害発生時にディスクをオリジ

ナルの状態に再構成(または、新しいディスクがオリジナルのものより大きい場合、パーティション

をサイズ変更)します。つまり、ASRはData Protector ディスク、ネットワーク、テープ、およびファイル

システムへのアクセスを行うアクティブなDR OSをインストールするData Protectorのdrstart.exe コ

マンドを実行可能にします。

・ ディスク・デリバリによる障害復旧

Windows クライアントの場合は、クラッシュしたシステム上のディスク(またはディスクが物理的に損

傷している場合は交換用のディスク)を、ホスティング・システムに一時的に接続します。復元が終了

したら、このディスクを障害が発生したシステムに接続し直してブートできます。UNIX システムの場

合は、最小限のオペレーティング・システム、ネットワーク機能、およびData Protector エージェントが

インストールされた補助ディスクを使用して、ディスク・デリバリによる障害復旧を実行します。

障害復旧

76

・ 拡張自動障害復旧(EADR)

拡張自動障害復旧(EADR)では、Windows クライアント用とCell Manager用の完全自動化された

Data Protector復旧手法により、ユーザの操作が最小限に抑えられます。システムは、障害復旧CD

ISO イメージからブートされます。復元時にはData Protectorにより自動的にDR OSのインストール

と構成、ディスクのフォーマットとパーティションの作成が行われ、最後に元のシステムがData

Protectorとともにバックアップ時と同じ状態に復旧されます。

・ ワンボタン・ディザスタリカバリ(OBDR)とは、Windows クライアントおよびCell Manager向けの

高度に自動化されたData Protector復旧方法であり、ユーザの介入は最小限で済みます。システムは

OBDR テープからブートされ、自動的に復旧されます。

個々のオペレーティング・システムでサポートされる障害復旧手法のリストについては、『HP Data

Protector Software Product Announcements ソフトウェア・ノート および リファレンス』のサポート一

覧か以下のWebサイトを参照してください。

http://www.hp.com/support/manuals

その他の障害復旧方法この項では、Data Protectorを使った障害復旧の概念と、他社製品の障害復旧の概念を比較します。

ここでは、Data Protector以外の復旧方法について簡単に紹介します。主な復旧方法としては、以下の

2つが挙げられます。

オペレーティング・システムのベンダが提供する復旧方法

大多数のベンダは、それぞれ独自の復旧方法を提供していますが、通常、復元時は、以下の手順が必

要となります。

1. オペレーティング・システムを1からインストールし直します。

2. アプリケーションを再インストールします。

3. アプリケーション・データを復元します。

この場合、障害前の状態を再構築するには、オペレーティング・システムやアプリケーションに対して、

手動によるさまざまな再構成やカスタマイズが必要になります。このような作業では、統合されたツ

ールではなく、個別のさまざまなツールを使用することになるため、非常に複雑で、時間がかかり、

間違いも起こりやすくなります。 この方法では、オペレーティング・システム、アプリケーション、これ

らの構成情報などに関するバックアップ・データが、ひとまとまりのセットとして利用されることはあ

りません。

障害復旧

2. バックアップ方針の策定

77

他社製ツールを使った復旧(Windowsの場合)

通常これらのソフトウェアでは、すばやい復元処理を可能にするために、システム・パーティションの

スナップショットを提供する何らかの特殊なツールが使われています。この方法を使用する場合の一

般的な手順は、以下のとおりです。

1.システム・パーティションを復元します(他社製ツールを使用)。

2. 必要に応じて、標準的なバックアップ・ツールを使用して、その他のパーティションを復元します

(一般的には選択的な復元が可能)。

復元時にはこのように、2つの異なるバックアップ・セットに対して、それぞれ個別のツールを使用し

た作業が必要になることは明らかです。 これを定期的に行うことは困難です。特に大規模な組織で

この方法を実行する場合には、2種類のツールから生成される多数のデータを、複数バージョン(週

ごとのバックアップなど)管理しなければならないため、管理作業の負荷が非常に大きくなってしま

います。

一方、Data Protectorは、複数のプラットフォームにまたがる包括的で強力な企業向けソリューション

であり、バックアップや復元の機能を持ち、クラスタ化にも対応しているため、高速かつ効率的に障

害復旧を実行できます。Data Protectorには、大規模な組織のシステム管理を支援するための、集中

管理や復元を容易にする機能、高可用性のサポート、モニタリング、レポート、通知などの機能が備わ

っています。

3 Data Protector 構成およびサポート情報

ソフトウェアのライセンス

79

3. Data Protector 構成およびサポート情報

ソフトウェアのライセンスData Protector softwareの製品構造は、機能およびパフォーマンスに基づいています。

インストールされるドライブ・ライセンスが多いほど、より多くのテープドライブを並列バックアップ

に使用できるので、バックアップの実行が高速になります。製品構造はモジュール式であり、柔軟性

に優れています。お客様は、固有の環境要件に最適なData Protector softwareの機能を提供するライ

センスを注文できます。Data Protector softwareの製品構造とライセンスは、主に次の3つのカテゴリ

から構成されています。

1. スターターパック:管理サーバ(セルマネージャ)は、HP-UX、Windows、Solaris、Linuxでサポー

トされています。

2.ドライブ拡張(ドライブ1台)用の追加のテープドライブ・ライセンス。

3. Data Protectorの機能拡張:以下の機能拡張ライセンスは、インスタンス(システム、ライブラリ、テ

ラバイト)ごとに1件ずつ必要です。データベースとアプリケーションのオンライン・バックアップ、

61以上のメディアスロットを持つライブラリ、マネージャ・オブ・マネージャ機能、オープンファイ

ル・バックアップ、インスタント・リカバリ、NDMP、およびゼロ・ダウンタイム・バックアップ。

注:UNIX製品ライセンスは、UNIX、Windows、およびNovell NetWare プラットフォーム上で動作し、

プラットフォームに関係なく機能を提供します。Windows製品ライセンスは、Windows、Novell

NetWareおよびLinux プラットフォームでのみ動作します。ライセンスパスワードはセルマネージ

ャに結びつけられ、Data Protector セル全体に対して有効です。クライアントは、ファイルシステム

またはディスク・イメージ・バックアップの場合、ライセンスを必要としません。

ソフトウェアのライセンス

80

ステップ1 - スターターパック

注:製品をデータで送付するE-deliveryにつきましては、日本での展開を準備中です。

製品名 HP Data Protectorスターターパック

説明 製品番号 E-Delivery製品番号

ライセンスおよびDVD

Data Protector セルマネージャ SAN/HP-UX(DVD) B6951AA

Data Protector セルマネージャ Solaris(DVD) B6951DA

Data Protector セルマネージャWindows(DVD) B6961AA

Data Protector セルマネージャ Linux(DVD) B6961DA

ライセンスのみ

Data Protector セルマネージャ SAN/HP-UX 使用権のみ B6951BA B6951BAE

Data Protector セルマネージャ Solaris 使用権のみ B6951CA B6951CAE

Data Protector セルマネージャWindows 使用権のみ B6961BA B6961BAE

Data Protector セルマネージャ Linux 使用権のみ B6961CA B6961CAE

メディアのみ

Data Protector DVD メディアキット(日本語版、英語版共通) B6960MA B6960MAE

Data Protector CD メディアキット(日本語版、英語版共通) B6960MB B6960MBE

マニュアルのみ

HP OpenView Storage Data Protector 基本マニュアル(英語版) B6960LA

HP OpenView Storage Data Protector 基本マニュアル(日本語版) B6960LJ

スターターパックに含まれるライセンスは、次のとおりです。

・指定プラットフォーム上の1つのセルマネージャ

・任意のプラットフォーム上の無制限数のバックアップ・エージェント

・1件のドライブ・ライセンス(B6951xxはB6953AAを1個、B6961xxはB6963AAを1個含んでいま

す)

・メディア管理機能

・最大60スロットのライブラリ

・システム・ディザスタリカバリ・オプション

・高度なレポート機能(Data ProtectorのGUI、およびWeb経由)

・SAN サポート(HP-UX、Solarisのセルマネージャに含まれる)

・HP OpenViewへの統合によるサービス中心の管理

メディア:Data Protector 6.0は、2枚組のDVDで提供されます。CDでの提供を希望されるお客様のた

めに、CD15枚組のCD メディア・キット(B6960MB)も用意されています。

ソフトウェアのライセンス

81

3. Data Protector 構成およびサポート情報

マニュアル:すべてのマニュアルは、DVD、CD、およびHPのWebサイトhttp://www.hp.com/(英語)

からデータ形式で参照できます。印刷マニュアルは、基本マニュアルおよび機能拡張マニュアルとし

て注文できます。

注:ライセンスおよびDVDを含むスターターパックを注文された場合は、DVD、ライセンス証書、およ

び『Getting Started Guide』が含まれるDVDケースをお届けします。それ以外の印刷マニュアルは

含まれていません。DVDまたはHPのWebサイトhttp://www.hp.com/(英語)でPDF形式のマニュ

アルを参照できます。

ソフトウェアのライセンス

82

ステップ2 -ドライブとライブラリの拡張ライセンスHP Data Protectorドライブ使用権

説明 製品番号 E-Delivery製品番号

Data Protector 追加ドライブ使用権 UNIX, SAN, NAS B6953AA B6953AAE

UNIX システム、NAS デバイス、またはSANに直接接続されたバックアップ・ドライブ1台分、もしく

はサーバレスバックアップ用に使用されるバックアップ・ドライブ1台分の使用ライセンス(LTU)が含

まれます。

HP MPEシステムとOpenVMSシステムに接続されたドライブには、このライセンスが必要です。

このLTUは、NDMP(Network Appliance Filer、EMC Celerra File Serverなど)を介して管理されるNAS

システムや、Data Protector専用のDevice Server(Media Agent)を必要とするNAS システム(HP

StorageWorks NAS 8000など)にも必要です。

注:OpenVMSシステムでは、HPのTCP/IP スタックは必須です。Multi-netはサポートしていません。

標準のData Protector Device Server(Media Agent)を実行できるWindows、NetWare、または標準

Linux搭載のNAS システムにのみ、Data Protector 追加ドライブ使用権 Windows, NetWare, Linux

(B6963AA)が必要です。

HP Data Protectorドライブ使用権

説明 製品番号 E-delivery製品番号

Data Protector 追加ドライブ使用権Windows, NetWare, Linux B6963AA B6963AAE

Windows、NetWare、またはLinux(インテル)システムに直接接続された追加バックアップ・ドライブ

1台分の使用ライセンス(LTU)が含まれます。

このライセンスは、標準のData Protector Media Agentを実行できるWindows、NetWare、または

Linux搭載のNAS デバイスに接続されたドライブに有効です。

Data Protectorで構成するドライブ数と同じ数のライセンスが必要です。すべてのドライブが同時に使

用できるようにするため、構成されているドライブの合計数になります。

サポートされるドライブについて詳しくは、HPのWebサイトhttp://www.hp.com/go/dataprotector

(英語)にある仕様の下のHP Data Protectorのサポートマトリクスを参照してください。

ソフトウェアのライセンス

83

3. Data Protector 構成およびサポート情報

HP Data Protectorライブラリ使用権

説明 製品番号 E-Delivery製品番号

Data Protector 61-250 スロット ライブラリ使用権 B6957BA B6957BAE

Data Protector スロット数無制限ライブラリ使用権 B6958BA B6958BAE

Data Protector スロット数無制限ライブラリへのアップグレード B6958CA B6958CAE

1つのData Protector セル内でテープライブラリを管理するためのLTUが含まれています。ライブラリ

ごとに1件のライセンスが必要です。

・ACSLSを使用するSTK サイロとDASを使用するGRAU/EMASS ライブラリ・システムには、ライセ

ンスB6958BAが必要です。

・複数のセルがライブラリを共有している場合は、セルごとにマネージャ・オブ・マネージャ使用権

が必要です。

・このライセンスは、論理スロット数ではなく、ライブラリ内の物理スロット数に合わせる必要が

あります。

サポートされるライブラリについて詳しくは、HPのWebサイトht tp://www.hp.com/go/

dataprotector(英語)にあるData Protectorプラットフォームおよびインテグレーション・マトリクスを

参照してください。

84

ソフトウェアのライセンス

ステップ3 - 機能拡張HP Data Protector オンライン・バックアップ使用権

説明 製品番号 E-Delivery製品番号

Data Protector オンライン・バックアップ使用権 UNIX B6955BA B6955BAE

Data Protector オンライン・バックアップ使用権Windows, Linux B6965BA B6965BAE

指定プラットフォームで動作するデータベースおよびアプリケーションのオンライン・バックアップを

実行するためのLTUが含まれています。

・アプリケーションが1台のサーバの複数のパーティションで実行される場合は、このLTUはパーテ

ィションごとに必要です。

・クラスタ環境では、クラスタに参加しているシステムごとに1件のLTUが必要です。

・ゼロ・ダウンタイム・バックアップ(ZDB)には、オンライン・バックアップ使用権が必要です。

・Windows 2003 ファイルシステムのスナップショット機能VSS(Volume Shadow Copy Service)に

は不要です。ただし、オペレーティング・システムの一部でないデータベースのオンライン・バック

アップには、このオンライン・バックアップ使用権が必要です。システム構成バックアップには、オ

ンライン・バックアップ使用権は必要ありません。

・Microsoft Exchange ServerのシングルメールボックスのバックアップにはこのLTUが必要です。

・HP OpenView Network Node Managerのオンライン・バックアップにはこのLTUは不要です。

サポートされるデータベースについては、HPのWebサイトhttp://www.hp.com/go/dataprotector

(英語)にあるData Protectorのサポートマトリクスを参照してください。

HP Data Protector 5.x オープンファイル・バックアップ使用権

説明 製品番号 E-Delivery製品番号

Data Protector オープンファイル・バックアップ 1サーバ使用権 BA153AA BA153AAE

Data Protector オープンファイル・バックアップ 10サーバ使用権 BA153BA BA153BAE

Data Protector オープンファイル・バックアップ 5ワークステーション使用権 BA154AA BA154AAE

Data Protector オープンファイル・バックアップ 1エンタープライズサーバ使用権 BA155AA BA155AAE

Data Protector オープンファイル・バックアップ メディア BA152AA BA152AAE

Data Protectorのインテグレーション・マトリクスに記載されていないアプリケーション、データベー

ス、および電子メールファイル(例えば、Microsoft Outlookの.pstファイル)のオープンファイル・バッ

クアップを実行するためのLTUが含まれています。

このソフトウェアは、Data Protector スターターパックのDVDに含まれていますが、BA152AA(オー

プンファイル・バックアップCDを含む)で、別途注文することもできます。

サポートされる構成については、HPのWebサイトhttp://www.hp.com/go/dataprotector(英語)にあ

るData Protectorのサポートマトリクスを参照してください。

ソフトウェアのライセンス

85

3. Data Protector 構成およびサポート情報

HP Data Protector 暗号化使用権

説明 製品番号 E-Delivery製品番号

Data Protector 暗号化拡張 1サーバ BB618AA BB618AAE

Data Protector 暗号化拡張 10サーバ BB618BA BB618BAE

HP Data Protector software クライアント・サーバ/ワークステーション1台分、または10台分のデータ

をすべて暗号化するためのLTUおよびメディアが含まれます。暗号化を設定するHP Data Protector ク

ライアント(エージェント)1台に付き1つ必要です。

HP Data Protector マネージャ・オブ・マネージャ使用権

説明 製品番号 E-Delivery製品番号

Data Protector マネージャ・オブ・マネージャ使用権 UNIX B6956AA B6956AAE

Data Protector マネージャ・オブ・マネージャ使用権Windows B6966AA B6966AAE

Data Protectorをマネージャ・オブ・マネージャ環境で使用するために必要なLTUが含まれています。

セル・マネージャの台数分必要です。

このライセンスは、複数のData Protector セル間でテープライブラリを共有する際に有効です。複数

の支店の集中バックアップ管理に理想的なソリューションです。

ソフトウェアのライセンス

86

HP Data Protector アドバンスト・バックアップ使用権

説明 製品番号 E-Delivery製品番号

Data Protector アドバンスト・バックアップ 1TB 使用権 B7038AA B7038AAE

Data Protector アドバンスト・バックアップ 10TB 使用権 B7038BA B7038BAE

Data Protector アドバンスト・バックアップ 100TB 使用権 B7038CA B7038CAE

バックアップに使用するディスクストレージのテラバイト(TB)数に合わせたLTUが含まれています。

使用するバックアップ・ディスク・ストレージとは、バックアップ・データによって使用される領域であ

り、Data Protector内部データベースがバックアップしたデータ、バックアップ・コピーおよびミラー・

コピーとみなしている領域です。

・RAID オーバーヘッドが除外されるため、使用する容量は物理容量と異なります。

・ディスク・ストレージへのバックアップは、複数のディスクアレイに分散させることができます。

・この使用権では、ドライブおよびライブラリLTUは必要ありません。ドライブおよびライブラリ・

ライセンスは、ファイル・デバイスに必要ですが、ディスクへのアドバンスト・バックアップには必

要ありません。同様に、ディスクへのアドバンスト・バックアップは、ドライブおよびライブラリラ

イセンスでは利用できません。

・仮想テープライブラリの非圧縮時使用可能容量には、Data Protectorの内部データベースに従っ

て、保護されたバックアップ、およびバックアップ・コピーとミラーが保存されます。このライセ

ンスは、ドライブ/ライブラリ・ライセンスの代わりに、仮想テープライブラリ(VTL)に使用できま

す。

・ディスクへのバックアップ機能がWindowsとUNIXのいずれのシステム上で実行されるかを考慮

する必要はありません。

・Data Protectorファイル・ライブラリにバックアップするには、このライセンスが必要です。

・仮想フルバックアップまたは合成フルバックアップを実行する場合にも、このライセンスが必要

です。

87

3. Data Protector 構成およびサポート情報ソフトウェアのライセンス

HP Data Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ(ZDB)使用権

説明 製品番号 E-Delivery製品番号

Data Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ HP XP 1TB 使用権 B7023CA B7023CAE

Data Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ HP XP 10TB 使用権 B7023DA B7023DAE

Data Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ HP EVA/VA 1TB 使用権 B7025CA B7025CAE

Data Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ HP EVA/VA 10TB 使用権 B7025DA B7025DAE

Data Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ EMC Symmetrix 1TB 使用権 B6959CA B6959CAE

Data Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ EMC Symmetrix 10TB 使用権 B6959DA B6959DAE

次のいずれかを使用して、ゼロ・ダウンタイム・バックアップ(ZDB)によって保護されるディスクアレイ

の、ディスク容量テラバイト(TB)数に合わせたLTUが含まれています。

・HP Business Copy XP/EVA

・HP Continuous Access XP

・EMC TimeFinder

・EMC SRDF

使用するディスク容量は、ゼロ・ダウンタイム・バックアップまたはインスタント・リカバリの対象とな

るディスクアレイ・タイプ上のすべてのプライマリ・ボリュームの総容量です(プライマリ・ボリューム

は、オリジナルの商用データボリュームです)。この容量は、これらのボリュームの使用可能な総容量

を表し、設定されたLDEV サイズに対応しています。データ保護のために使用されるセカンダリ・ボリ

ューム、ミラー、スナップショットが使用する容量については、Data Protectorのライセンスは不要で

す。

・RAID オーバーヘッドは除外されるため、RAID構成を考慮する必要はありません。

・オンライン・バックアップLTU(B6955BA、B6965BA)が必要です。

Windows 2003 ファイルシステムのスナップショット機能VSS(Volume Shadow copy Service)には不

要です。ただし、ハードウェア・プロバイダを介したバックアップには、このZDB使用権が必要です。例

えば、HP ディスクアレイ・プロバイダを介した、ファイルシステム・スナップショット、Microsoft

Exchange ServerおよびMicrosoft SQL Serverのバックアップなどです。

88

ソフトウェアのライセンス

HP Data Protector インスタント・リカバリ使用権

説明 製品番号 E-Delivery製品番号

Data Protector インスタント・リカバリ HP XP 1TB 使用権 B7026CA B7026CAE

Data Protector インスタント・リカバリ HP XP 10TB 使用権 B7026DA B7026DAE

Data Protector インスタント・リカバリ HP EVA/VA 1TB 使用権 B7028AA B7028AAE

Data Protector インスタント・リカバリ HP EVA/VA 10TB 使用権 B7028DA B7028DAE

指定されたディスクアレイのインスタント・リカバリに必要なディスク容量のテラバイト(TB)数に合わ

せたLTUが含まれています。

Data Protectorの「インスタント・リカバリ」は、数時間かけてテープから復旧する場合と異なり、1つま

たは複数の復旧ディスクからTB単位のデータを数分で復旧できます。

使用するディスク容量は、ゼロ・ダウンタイム・バックアップ(ZDB)またはインスタント・リカバリ(IR)

の対象となるディスクアレイ上のすべてのボリュームの総容量です(プライマリ・ボリュームは、オリ

ジナルの商用データボリュームです)。この容量は、これらのボリュームの使用可能な総容量を表し、

設定されたLDEV サイズに対応しています。データ保護のために使用されるセカンダリ・ボリューム、

ミラー、スナップショットが使用する容量については、Data Protectorのライセンスは不要です。

・RAID オーバーヘッドは除外されるため、RAID構成は考慮する必要はありません。

対応する数量のゼロ・ダウンタイム・バックアップLTUと、サーバ台数分のオンライン・バックアップ

LTUが必要です。

HP Data Protector NDMP ダイレクト・バックアップ使用権

説明 製品番号 E-Delivery製品番号

Data Protector NDMP ダイレクト・バックアップ 1TB 使用権 B7022BA B7022BAE

Data Protector NDMP ダイレクト・バックアップ 10TB 使用権 B7022DA B7022DAE

1台のNDMP サーバ上の指定されたテラバイト(TB)数をバックアップするためのLTUが含まれていま

す。

NDMPを使用してバックアップされるFiler(例えば、Network Appliance FilerまたはEMC Celerra ファ

イルサーバ)について、使用するディスク容量の1TBごとに1件が必要です。

使用するディスク容量は、NDMPを使用してバックアップされるFilerのすべてのボリュームの総容量

です。この容量は、これらのボリュームの使用可能な総容量を表し、設定されたLDEV サイズに対応し

ています。

ソフトウェアのライセンス

89

3. Data Protector 構成およびサポート情報

HP Data Protector 機能拡張マニュアル

説明 製品番号

Data Protector 機能拡張マニュアル(英語版) B6960EA

Data Protector 機能拡張マニュアル(日本語版) B6960EJ

すべてのマニュアルは、DVD、CD、およびHPのWeb サイトhttp://www.hp.com/(英語)からデータ

形式で参照できます。

印刷マニュアルは、標準マニュアルおよび機能拡張マニュアルとして注文できます。機能拡張マニュ

アルには、以下の印刷マニュアルが含まれます

・『Integration Guide for Microsoft Applications』

・『Integration Guide for Oracle and SAP』

・『Integration Guide for IBM Applications』

・『Integration Guide for Sybase, Network Node Manager, and Network』

・『Data Management Protocol』

・『ZDB Integration Guide』

・『ZDB Concepts Guide』

・『ZDB Admin Guide』

・『Integration Guide for OpenView Service Information Portal and OpenView Reporter』

・『Integration Guide for HP OpenView 7.1x, 7.2x for Windows』

・『Integration Guide for HP OpenView Operations for UNIX』

・『Integration Guide for HP OpenView Operations 7.5x for Windows, OpenView Operations for

UNIX, Product Announcements, Software Notes, and References』

・『Data Protector Media Operations User's Guide』

・『Data Protector Media Operations Product Announcements, Software Notes, and References』

ソフトウェアのライセンス

90

シングル・サーバ版HP Data Protector シングル・サーバ版

説明 製品番号 E-Delivery製品番号

LTUおよびDVD

Data Protectorシングル・サーバ版 HP-UX(DVD) B7020AA

Data Protectorシングル・サーバ版 Solaris(DVD) B7020DA

Data Protectorシングル・サーバ版Windows(DVD) B7030AA

LTUのみ

Data Protectorシングル・サーバ版 HP-UX 使用権のみ B7020BA B7020BAE

Data Protectorシングル・サーバ版 Solaris 使用権のみ B7020CA B7020CAE

Data Protectorシングル・サーバ版Windows 使用権のみ B7030BA B7030BAE

スターターパックへのアップグレード

Data Protectorシングル・サーバ版 B7021AA B7021AAE

スターターパックへのアップグレード HP-UX(DVD)

Data Protectorシングル・サーバ版 B7021DA B7021DAE

スターターパックへのアップグレード Solaris(DVD)

Data Protectorシングル・サーバ版 B7031AA B7031AAE

スターターパックへのアップグレードWindows(DVD)

ライセンス:シングル・サーバ版のLTUには、指定されたプラットフォームの1台のサーバをバックアッ

プするライセンスが含まれています。UNIX ワークステーションやWindows ワークステーションの台

数は無制限です。

バックアップ・ドライブ1台用で、最大10スロットのオートチェンジャ/ライブラリを管理できます。

スターターパックへのアップグレード:シングル・サーバ版またはData Protector ExpressからData

Protector スターターパックに移行するためのLTUが含まれています。

次の機能を取得するためには、シングルサーバ版をスターターパックにアップグレードする必要があ

ります。

・2台以上のサーバのバックアップ

・追加のバックアップ・ドライブ

・10スロットを超えるオートローダ/ライブラリを管理する機能

・システム・ディザスタリカバリ

・高度なレポート機能(Data ProtectorのGUI、およびWeb経由)

・SAN サポート(HP-UXおよびSolaris用の管理サーバによる)

・OpenViewへの統合によるサービス中心の管理

スターターパックへのアップグレードLTUを注文するには、シングル・サーバ版LTUが必要です。

ソフトウェアのライセンス

91

3. Data Protector 構成およびサポート情報

メディア:Data Protector 6.0は、2枚組のDVDで提供されます。CDでの提供を希望されるお客様のた

めに、CD15枚組のCD メディア・キット(B6960MB)も用意されています。

マニュアル:すべてのマニュアルは、DVD、CD、およびHPのWebサイトhttp://www.hp.com/(英語)

からデータ形式で参照できます。印刷マニュアルは、基本マニュアルおよび機能拡張マニュアルとし

て注文できます。基本マニュアルには、以下の印刷マニュアルが含まれます。

・『Concepts Guide』

・『Installations & Licensing Guide』

・『Troubleshooting Guide』

・『Disaster Recovery Guide』

・『Product Announcements, Software Notes, and References』

92

ソフトウェアのライセンス サマリスライド

HP Data Protector 6.0 製品番号サマリ1.スターターパック(obligatory)使用権およびDVD 1x セル・マネージャ印刷マニュアル 1x 使用権のみ 1x セル・マネージャDVDs set Includes 2 DVDs CDs set(DVDs suggested) Includes 15 CDs

all platforms

B6960LA

B6960MAB6960MB

WindowsB6961AA

B6961BA

LinuxB6961DA

B6961CA

HP-UXB6951AA

B6951BA

SolarisB6951DA

B6951CA

シングルサーバ版LTU & media/LTU onlymigration to Starter Pack

WindowsB7030AA/BA

B7031AA

HP-UXB7020AA/BA

B7021AA

SolarisB7020DA/CA

B7021DA

2.ドライブ、ライブラリ拡張追加ドライブ使用権 1xドライブライブラリ使用権(スロット)1x 61-250/無制限

1x upgr. to unlimited slots

all platforms

B6957BA/B6958BAB6958CA

Windows, NetWare, LinuxB6963AA

SAN, UNIX, NASB6953AA

3. 機能拡張印刷マニュアル 1xオンライン・バックアップ 1x system 暗号化拡張使用権 1x 1/10-server マネージャ・オブ・マネージャ 1x system アドバンスト・バックアップ 1x TB/10x TB/100x TB オープンファイル・ 1x enterprise serverバックアップ 1x 1-server/1x10-servers

5x workstationsCD only

ゼロ・ダウンタイム LTU 1x TB /10x TBインスタント・リカバリ LTU 1x TB /10x TBDirect Backup LTU 1x TB /10x TB

all platformsB6960EA

BB618AA/BA

B7038AA/BA/CABA155AA

BA153AA/BABA154AABA152AA

NDMP

B7022BA/DA

HP XPB7023CA/DAB7026CA/DAB7027AA/DA

HP EVAB7025CA/DAB7028AA/DA

EMCB6959CA/DA

Windows & Linux

B6965BA

B6966AA

UNIX

B6955BA

B6956AA

93

3. Data Protector 構成およびサポート情報標準保証とアップグレードオプション

3. Data Protector 構成およびサポート情報

標準保証ソフトウェア・サポート:ソフトウェア製品のメディアに関する物理的不良の場合、配送日から90日以

内のみ無償交換

*1 サービス受付時間:月曜日~金曜日 祝祭日および年末年始(12/30~1/3)を除く、8:45~17:30

保証アップグレード・オプションHPは、ハードウェア製品、ソフトウェア製品のインストールを迅速かつ確実に行うHP Care Pack イン

ストレーション・サービス、稼動時間を最大限に延長しROIを向上させるためにハードウェア製品の標

準保証期間やサービスレベルをアップグレードするHP Care Pack ハードウェア・サービス、ソフトウ

ェア製品に対する技術支援サービス、ライセンス更新サービス、メディアおよびマニュアル更新サー

ビス等のHP Care Packソフトウェア・サービスをご用意しております。

HP Care Pack 型番(HP Data Protector用)製品名 製品番号 サポートバンドData Protector セルマネージャ SAN/HP-UX(DVD) B6951AA 3Q4Data Protector セルマネージャ Solaris(DVD) B6951DA 3Q4Data Protector セルマネージャWindows(DVD) B6961AA 3BJData Protector セルマネージャ Linux(DVD) B6961DA 3BJData Protector DVD メディアキット(日本語版、英語版共通) B6960MA 699Data Protector 追加ドライブ使用権 UNIX, SAN, NAS B6953AA 3JAData Protector 追加ドライブ使用権Windows, NetWare, Linux B6963AA 77FData Protector 61-250スロット ライブラリ使用権 B6957BA 3RRData Protector スロット数無制限 ライブラリ使用権 B6958BA 4XPData Protector スロット数無制限ライブラリへのアップグレード B6958CA 3RRData Protector オンライン・バックアップ使用権 UNIX B6955BA 77GData Protector オンライン・バックアップ使用権Windows, Linux B6965BA 8X2Data Protector オープンファイル・バックアップ 1サーバ使用権 BA153AA 3BBData Protector オープンファイル・バックアップ 10サーバ使用権 BA153BA 3QCData Protector オープンファイル・バックアップ 5ワークステーション使用権 BA154AA 3AYData Protector オープンファイル・バックアップ 1エンタープライズサーバ使用権 BA155AA 3BJData Protector オープンファイル・バックアップ メディア BA152AA 699Data Protector マネージャ・オブ・マネージャ使用権 UNIX B6956AA 3JAData Protector マネージャ・オブ・マネージャ使用権Windows B6966AA 8X2Data Protector アドバンスト・バックアップ 1TB 使用権 B7038AA 4XNData Protector アドバンスト・バックアップ 10TB 使用権 B7038BA 4XPData Protector アドバンスト・バックアップ 100TB 使用権 B7038CA 77BData Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ HP XP 1TB 使用権 B7023CA 3QCData Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ HP XP 10TB 使用権 B7023DA 3WWData Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ HP EVA/VA 1TB 使用権 B7025CA 3FPData Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ HP EVA/VA 10TB 使用権 B7025DA 77CData Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ EMC Symmetrix 1TB 使用権 B6959CA 3QCData Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップ EMC Symmetrix 10TB 使用権 B6959DA 3WWData Protector インスタント・リカバリ HP XP 1TB 使用権 B7026CA 3FPData Protector インスタント・リカバリ HP XP 10TB 使用権 B7026DA 77CData Protector インスタント・リカバリ HP EVA/VA 1TB 使用権 B7028AA 8WRData Protector インスタント・リカバリ HP EVA/VA 10TB 使用権 B7028DA 3RRData Protector NDMP ダイレクト・バックアップ 1TB 使用権 B7022BA 4XNData Protector NDMP ダイレクト・バックアップ 10TB 使用権 B7022DA 4XPData Protectorシングルサーバ版 HP-UX ENG B7020AA 7RPData Protectorシングルサーバ版 HP-UX LTUのみ B7020BA 7RN

94

アップグレード/教育スライド

アップグレード前身であるData Protector A.05.00、A.05.10、およびA.05.50からData Protector A.06.00へのアッ

プグレード手順は、『HP OpenView Storage Data Protector Installation and Licensing Guide』で説明さ

れています。さらに前のバージョンからアップグレードするには、まず、Data Protector A.05.00にアッ

プグレードしてから、さらに、『HP OpenView Storage Data Protector Installation and Licensing Guide』

の手順に従って、Data Protector A.06.00にアップグレードします。

Solarisでは、Data Protector A.05.00、A.05.10、およびA.05.50からData Protector A.06.00へ1ステ

ップでアップグレードを実行することができます。HP-UX 10.20から11.x、OmniBack IIからData

Protectorの両方をアップグレードする場合は、まず、OmniBack IIを削除し、オペレーティング・システ

ムをアップグレードし、次に、Data Protector A.06.00をインストールする必要があります。

HP Data Protector software 教育コース

HP Data Protector software(前編)

U1610S 3日間

Data Protectorを使用して、業務データのバックアップをする管理者、技術サポート、システム・インテ

グレータの方向け。バージョン 6.0対応。バックアップや復元、メディア管理やインストールについて

も解説します。Data Protectorの必須知識を身につけることができます。

HP Data Protector software(後編)

U1610S2 2日間

Data Protectorを使用して、業務データのより高度なバックアップをする管理者、技術サポート、シス

テム・インテグレータの方向け。新バージョンで実装されたオブジェクト集約機能や内部データベー

スなどの知識を身につけることができます。イベント通知やセキュリティ機能についても解説します。

製品名 製品番号 サポートバンドData Protectorシングルサーバ版Solaris LTUのみ B7020CA 7RNData Protectorシングルサーバ版 Solaris E B7020DA 7RNData Protectorシングルサーバ版Win ENG B7030AA 7R8Data Protectorシングルサーバ版Win LTUのみ B7030BA 7QZData Protectorシングルサーバ版アップグレード HP-UX B7021AA 7RQData Protectorシングルサーバ版アップグレード Solaris B7021DA 7RQData Protectorシングルサーバ版アップグレードWin B7031AA 7RC

HPストレージ製品に関するサービスの詳細については、HPのWebサイトhttp://www.hp.com/jp/storage_serviceをご覧ください。

95

3. Data Protector 構成およびサポート情報配布メディアと資料

3. Data Protector 構成およびサポート情報

配布メディアDVD

資料HP Data Protector softwareのマニュアルは、印刷フォーマットとPDF フォーマットで提供されています。

PDF ファイルをインストールするには、Data Protector Softwareのセットアップ手順中に、Windowsでは

User Interface コンポーネント、UNIXではOB2-DOCS コンポーネントを選択します。マニュアルは、

Windowsでは<Data_Protector_home>¥docsディレクトリ、UNIXでは/opt/omni/doc/C/ディレクトリ

にインストールされます。Data Protector Softwareのサポートマトリクスは、これらのディレクトリ内の

サブディレクトリ、support_matricesにあります。また、PDF フォーマットのマニュアルは、HPのWebサイ

トhttp://ovweb.external.hp.com/lpe/doc_serv/(英語)から入手できます。

印刷マニュアル

HP Data Protectorの印刷マニュアルセット(基本マニュアルおよび機能拡張マニュアル)には、以下のマ

ニュアルが含まれています。

『HP OpenView Storage Data Protector Installation and Licensing Guide』

オペレーティング・システムおよびご使用の環境のアーキテクチャを考慮したData Protector Software

のインストール手順を説明したマニュアルです。また、Data Protectorのアップグレード手順や、ご使用

の環境に適したライセンスの取得方法についても説明しています。

『HP OpenView Storage Data Protector Concepts Guide』

Data Protectorの概念と、Data Protectorの動作の仕組みに関する背景について説明したマニュアルで

す。タスク指向のオンラインヘルプとして使用することを意図しています。

『HP OpenView Storage Data Protector Disaster Recovery Guide』

Data Protectorを使用したディザスタリカバリの計画方法や準備、および実行手順について説明したマ

ニュアルです。

『HP OpenView Storage Data Protector Troubleshooting Guide』

Data Protectorの使用中に問題が発生した場合のトラブルシューティング方法について説明したマニュ

アルです。一般的な問題と、それらの問題の解決方法が紹介されています。

『HP OpenView Storage Data Protector Integration Guide』

Data Protectorをさまざまなデータベースおよびアプリケーションのバックアップおよびリカバリ用に

設定する場合の手順および使用法について説明したマニュアルです。このマニュアルには以下の4種

類があります。

配布メディアと資料

96

『HP OpenView Storage Data Protector Zero Downtime Backup Concepts Guide』

Data Protector ゼロ・ダウンタイム・バックアップおよびインスタント・リカバリの概念と、Data Protector

のゼロ・ダウンタイム・バックアップ環境における動作の仕組みに関する背景について説明したマニュ

アルです。タスク指向の『HP OpenView Storage Data Protector Zero Downtime Backup

Administrator's Guide』および『HP OpenView Storage Data Protector Zero Downtime Backup

Integration Guide』と併せて使用することを意図しています。

『HP OpenView Storage Data Protector Zero Downtime Backup Administrator's Guide』

Data ProtectorをHP StorageWorks Virtual Array、HP StorageWorks Enterprise Virtual Array、EMC

Symmetrix Remote Data Facility and TimeFinder、およびHP StorageWorks Disk Array XPと統合する

場合の統合手順および使用法について説明したマニュアルです。

バックアップ管理者およびオペレータを対象とし、ファイルシステムおよびディスクイメージのゼロ・ダ

ウンタイム・バックアップ、インスタント・リカバリ、およびリカバリについて説明しています。

『HP OpenView Storage Data Protector Zero Downtime Backup Integration Guide』

Data Protectorを使用してOracle、SAP R/3、Microsoft Exchange Server、およびMicrosoft SQL Server

データベースのゼロ・ダウンタイム・バックアップ、インスタント・リカバリ、および標準的なリカバリを

行うための設定方法および使用法について説明したマニュアルです。

『HP OpenView Storage Data Protector Integration Guide for HP OpenView』

Data ProtectorをHP OpenView Service Information Portal、HP OpenView Service Desk、およびHP

OpenView Reporterと統合する場合のインストール、設定手順、および使用法について説明したマニュ

アルです。バックアップ管理者を対象とし、Data Protectorサービス管理にOpenView アプリケーション

を使用する方法について説明しています。

ハードウェア・サポート

97

3. Data Protector 構成およびサポート情報

ハードウェア・サポート・HP-UX、Windows、Solaris、Tru64、OpenVMS、NetWare、Linux、AIX、およびその他のオペレー

ティング環境を含む、広範囲の環境をサポート

・HP StorageWorks XP/EVA、およびEMC Symmetrix ディスクアレイにおけるZDB(ゼロ・ダウンタ

イム・バックアップ)およびIR(インスタント・リカバリ)のサポート

・ディスクへのバックアップは、サーバのオペレーティング・システムがサポートするすべてのスト

レージをサポート

・HP StorageWorks テープライブラリ、StorageTek、ADIC、IBMなど

・HP Data Protector sof twareのサポートマトリクスについて詳しくは、HPのWebサイト

http://www.hp.com/go/dataprotector(英語)を参照してください。

HP-UX

HP-UX

HP-UX

IDB

GUI

Cell Manager

Windows

Windows

SolarisSolaris

DA

DA

DA

DA

MA

MA

MA

DA

DA

ライブラリ

ドライブ

ライブラリ

ソフトウェアの前提 セルマネージャの要件

98

ソフトウェアの前提条件

セル・マネージャの要件

Data Protectorのセッション・マネージャは、NFS タイプとしてマウントされたファイルシステム上の

IDBをサポートしていません。

HP-UX(PA-RISC)11.0、11.11、11.23およびHP-UX(IA64)11.23を使用しているシステムの場合

セル・マネージャは、以下の最小要件を満たす必要があります。

・セル・マネージャのプロセス当たりのソフトファイル制限は1024以上

・256MBのRAM(512MBを推奨)

・並列バックアップ・セッションごとに40MB(必須)とデータ・セグメント・サイズ当たり5~8MBのRAM。

例えば、60の並列バックアップ・セッションを実行したい場合、3GBとデータ・セグメント用の

512MBのRAMが必要になります。

・240MBのディスク容量と、バックアップ予定のデータの約2%のディスク容量(IDBが使用)

・カーネル・パラメータを以下のように変更することをおすすめします。

o maxdsiz(最大データ・セグメント・サイズ)を134217728バイト(128MB)以上に設定

o semmnu(セマフォアンドゥ構造体の数)を256以上に設定

oこれらの変更内容を確定させたら、カーネルを再コンパイルし、マシンを再起動してくださ

い。

Windows Server 2003(32ビット)およびWindows 2003(64ビットx86_64)を使用しているシステムの場合

セル・マネージャは、以下の最小要件を満たす必要があります。

・256MBのRAM(512MBを推奨)。並列バックアップ・セッションごとに40MBが必要です。例えば、

60の並列バックアップ・セッションを実行したい場合、3GBのRAMが必要になります。

・190MBのディスク容量と、バックアップ予定のデータの約2%のディスク容量(IDBが使用)

・インストールするパッケージの中で最大容量のものの2倍+5MBのシステム・ドライブの空き容

・Microsoft Internet Explorer 5.x以上

Windows 2000/XPを使用しているシステムの場合

セル・マネージャは、以下の最小要件を満たす必要があります。

・256MBのRAM(512MBを推奨)。並列バックアップ・セッションごとに40MBが必要です。例えば、

60の並列バックアップ・セッションを実行したい場合、3GBのRAM が必要になります。

・Windows 2000(Service Pack 3以上)

・Windows XP Professional(Service Pack 1)

・190MBのディスク容量と、バックアップ予定のデータの約2%のディスク容量(IDBが使用)

・インストールするパッケージの中で最大容量のものの2倍+5MBのシステム・ドライブの空き容量

・Microsoft Internet Explorer 5.x以上

ソフトウェアの前提 セルマネージャの要件

99

3. Data Protector 構成およびサポート情報

Redhat Enterprise Linux(RHEL)4.0(64 ビット)(x64)およびSuSE Linux EnterpriseServer 9(64 ビットx86_64)を

使用しているシステムの場合

セル・マネージャは、以下の最小要件を満たす必要があります。

・256MBのRAM(512MBを推奨)。並列バックアップ・セッションごとに40MBとデータ・セグメン

ト・サイズ当たり5~8MBのRAM。例えば、60の並列バックアップ・セッションを実行したい場合、

3GBのRAMと512MBのデータセグメントが必要になります。

・240MBのディスク容量と、バックアップ予定のデータの約2%のディスク容量(IDBが使用)

Solaris 8/9/10を使用しているシステムの場合

セル・マネージャは、以下の最小要件を満たす必要があります。

・256MB のRAM(512MBを推奨)

・並列バックアップ・セッションごとに40MB(必須)とデータ・セグメント・サイズ当たり5~8MBの

RAM。例えば、60の並列バックアップ・セッションを実行したい場合、3GBとデータセグメント用の

512MBのRAMが必要になります。

・240MBのディスク容量と、バックアップ予定のデータの約2%のディスク容量(IDBが使用)

・以下のカーネル・パラメータの値をおすすめします。

o SEMMNI(システム全体の最大セマフォセット数)=100

o SEMMNS(システム上の最大セマフォ数)=256

o カーネルの変更を有効にするために、システムを再起動する必要があります。

100

アプリケーションプラットフォーム

アプリケーション・プラットフォーム

バックアップ・エージェント

Windows 2000/XP HE/XP/XP 64 ビット、Windows 2003/2003(64 ビット)、Novell NetWare、HP-

UX、HP MPE/iX、Sun Solaris、Linux Red Hat/SUSE/Debian、United Linux、IBM AIX、SGI IRIX、SNI

SINIX、SCO OpenServer、SCO UnixWare、HP Tru64 UNIX、OpenVMS

以下により、上記以外のオペレーティング・システムをサポート

・NFS/共有ディスク、CIFS

・NDMP バックアップ:

o Network Applianceファイラ o HP NAS 8000

o EMC Celerra o HP Storage Server NAS

アプリケーション・エージェント

・Oracle®、Informix、Sybase、Microsoft SQL Server、Microsoft Exchange Server、SAP、SAP

DB/MaxDB、Baan IV、Lotus Notes、Solid データベース、DB2、VMware

・バックアップ・デバイス・サーバ - ロボット機構制御付き(共有テープライブラリを含む、テープド

ライブとテープライブラリ・システムの制御用)

・Windows 2000/XP/XP(64 ビット)/2003/2003(64 ビット)、HP-UX、Sun Solaris、Novell

NetWare、Linux Red Hat/SUSE/Debian、MPE/iX、OpenVMS

・バックアップ・デバイス・サーバ - ロボット機構制御なし(テープドライブとの直接接続用。上記と

は別のメディア・エージェントがライブラリ・ロボット機構を制御する共有テープライブラリで使

用可能)

・ IBM AIX、SNI SINIX、SCO OpenServer

高可用性アプリケーション

・クラスタ:Microsoft® Cluster Server、HP MC/Serviceguard、VERITAS Cluster、Tru64 Cluster、

Novell Netware Cluster、OpenVMS Cluster、HP EFS Clustered Gatway

・ゼロ・ダウンタイム・バックアップ:HP Business Copy XPおよびContinuous Access XP、HP

Business Copy EVAおよびHP-UX Campus Cluster for HP Virual Array(Continuous Accessなど)、

EMC TimeFinderおよびEMC SRDF、HP CA EVA

・ インスタント・リカバリ:HP Disk Array XP、EVA

アプリケーションプラットフォーム

101

3. Data Protector 構成およびサポート情報

管理プラットフォーム

管理システム

・Windows ・Sun Solaris

・HP-UX ・Linux

マネージャオブマネージャ

・Windows ・Sun Solaris

・HP-UX ・Linux

サポートされるバックアップ・デバイス

サポートされるテクノロジ

・DDS、DLT、DLT1、Super DLT、QIC/Travan、光磁気、Mammoth M2、Eliant、IBM 3590(Magstar)、

STK 9840、STK 9940、AIT、LTO Ultrium

・以下のメーカ製品の各種のスタンドアロン・バックアップ・デバイス、オートチェンジャ、ライブラ

リシステム、サイロ:Hewlett-Packard、Compaq、StorageTek、Sony、Dell、Seagate、ADIC、ATL、

Spectralogical、Exabyte、Quantum、Breece Hill、Overland Data、その他

・ワン・ボタン・ディザスタリカバリ

ストレージ・ネットワーキング

サポートされるテクノロジ

・SANのストレージ構成

・ iSCSI(TPC/IP経由のSCSI)、FCIP(IP経由のFC)、iFCP(インターネットFCプロトコル)

最新のプラットフォーム、統合、クラスタ、デバイスサポートなどについて詳しくは、HPのWebサイト

http://www.hp.com/go/dataprotector(英語)を参照してください。

構成例

102

Data Protector 6.0

スターターパック構成例

ライセンス構成例

CellManager

Windows

HP-UX

Windows

Tape

All backup agents are for free

HP-UXWindows

Windows

Tape

HP-UX

HP-UX

HP-UX

CellManager

ライセンス数 製品番号 製品

1 B6961AA セル・マネージャWindows

ライセンス数 製品番号 製品

1 B6951AA セル・マネージャ SAN/HP-UX

11 B6953AA 追加ドライブ使用権 UNIX、SAN、NAS

4 B6963AA追加ドライブ使用権

Windows、NetWare、Linux

Data Protector 6.0

ドライブ拡張構成例

構成例

103

3. Data Protector 構成およびサポート情報

Data Protector 6.0

テープライブラリ構成例―直接接続(DAS)

Library10 drives326 slots

Library4 drives198 slots

Windows

Windows

HP-UX

CellManager

Library10 drives326 slots

SAN

Library4 drives198 slots

SAN

Windows

HP-UX

HP-UX

CellManager

ライセンス数 製品番号 製品

1 B6961AA セル・マネージャWindows

9 B6963AA追加ドライブ使用権

Windows、NetWare、Linux

4 B6953AA 追加ドライブ使用権 UNIX、SAN、NAS

1 B6957BA 61-250 スロット・ライブラリ使用権

1 B6958BA スロット無制限ライブラリ使用権

ライセンス数 製品番号 製品

1 B6951AA セル・マネージャ SAN/HP-UX

13 B6953AA 追加ドライブ使用権 UNIX、SAN、NAS

1 B6958BA スロット無制限ライブラリ使用権

1 B6957BA 61-250 スロット・ライブラリ使用権

Data Protector 6.0

テープライブラリ構成例― SAN接続

構成例

104

Data Protector 6.0

オンライン・バックアップ構成例

Informix、Sybase

Oracle、SAP R/3

SQL Server、 ExchangeServer

ExchangeServer

Oracle、 SAP R/3

ClusterSAP R/3

Windows

HP-UX

HP-UX

HP-UX Tape

TapeTape

Tape

SharedLibrary198 slots

営業部門

開発部門

データ センター

Cell Managerfor HP-UX

Cell Managerfor Windows

Cell Managerfor Windows

支社

支社

Cell Managerfor HP-UX

Cell Managerfor Solaris

Central Site

ライセンス数 製品番号 製品

1 B6951AA セル・マネージャ SAN/HP-UX

3 B6953AA 追加ドライブ使用権 UNIX、SAN、NAS

3 B6963AA追加ドライブ使用権

Windows、NetWare、Linux

4 B6955BA オンライン・バックアップ使用権 UNIX

3 B6965BAオンライン・バックアップ使用権

Windows、Linux

ライセンス数 製品番号 製品

3 B6956AA マネージャ・オブ・マネージャ使用権 UNIX

2 B6966AA マネージャ・オブ・マネージャ使用権Windows

2 B6957BA 61-250 スロット・ライブラリ使用権

Data Protector 6.0

マネージャ・オブ・マネージャ構成例

構成例

105

3. Data Protector 構成およびサポート情報

Cell Manager

Disk Agents

MediaAgents

LAN

2.5 TB論理容量

Windows

Windows

Windows

Windows

HP-UX

Data Protector 6.0 Advanced Backup to Disk

ディスクバックアップ構成例(ファイルライブラリ)

MediaAgents

Disk & MediaAgents

2.5 TB論理容量

VLSシリーズ

SAN

CellManager

WindowsHP-UX

HP-UX

HP-UX

ライセンス数 製品番号 製品

3 B7038AA アドバンスト・バックアップ 1TB使用権

●セル・マネージャや追加ドライブを除く、ディスク関連ライセンスとして

ライセンス数 製品番号 製品

3 B7038AA アドバンスト・バックアップ 1TB使用権

●セル・マネージャや追加ドライブを除く、ディスク関連ライセンスとして

Data Protector 6.0 Advanced Backup to Disk

ディスクバックアップ構成例(仮想テープライブラリ)

構成例

106

Data Protector 6.0

ゼロ・ダウンタイム・バックアップ構成例

productionsystem

Disk & Media Agent

LAN

CellManager

800 GBused disk

space capacity

800 GBnot relevantfor backup

SITE A

SITE B

XP XP

WindowsWindows

Windows

productionsystem

Disk & Media Agent

LAN

CellManager

T-0

T

T-1 T-2

800 GBused disk space capacity

Windows

Windows Windows

XP

ライセンス数 製品番号 製品

1 B7023CAゼロ・ダウンタイム・バックアップ使用権

HP XP 1TB使用権

●セル・マネージャや追加ドライブを除く、ディスク関連ライセンスとして●サーバ台数分のオンライン・バックアップ使用権が必要になります。

ライセンス数 製品番号 製品

1 B7026CA インスタント・リカバリHP XP 1TB使用権

●セル・マネージャや追加ドライブを除く、ディスク関連ライセンスとして●サーバ台数分のオンライン・バックアップ使用権が必要になります。●対応する容量のゼロ・ダウンタイム・バックアップ使用権が必要になります。

Data Protector 6.0

インスタント・リカバリ構成例

memo

107

memo

108

HP Data Protector software製品に関する情報は http://www.hp.com/jp/storage

記載されている会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。 記載事項は2008年7月現在のものです。本カタログに記載された内容は、予告なく変更されることがあります。© Copyright 2008 Hewlett-Packard Development Company,L.P.

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JST08605-01

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