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日本消化器病学会 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン Copyright (c) THE JAPANESE SOCIETY OF GASTROENTEROLOGY. All rights reserved.

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日本消化器病学会

胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン

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日本消化器病学会胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン作

成・評価委員会は,胃食道逆流症(GERD)診療ガイドラインの

内容については責任を負うが,実際の臨床行為の結果について

は各担当医が負うべきである.

胃食道逆流症(GERD)診療ガイドラインの内容は,一般論と

して臨床現場の意思決定を支援するものであり,医療訴訟等の

資料となるものではない.

日本消化器病学会 2009 年 9 月 7 日

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日本消化器病学会ガイドラインの刊行にあたって

日本消化器病学会では,2005 年に跡見理事長(当時)の発議により,Evidence-Based Medicine

(EBM)の手法に則ってガイドラインの作成を行うことが決定された.この決定を受けて,理事長諮問委員会として発足したガイドライン委員会を私が担当することとなった.学会主導のガイドラインの対象疾患としては,(1)これまでガイドラインが作成されていない疾患,(2)日常臨床で診療する機会の多い疾患を重視することとし,財団評議員に対するアンケート調査の結果,多数意見となった胃食道逆流症(GERD),消化性潰瘍,炎症性腸疾患(クローン病),肝硬変,胆石症,慢性膵炎の 6疾患をガイドライン作成対象と決定した.各疾患のガイドライン作成には,各疾患を専門とする担当学会理事に作成委員,評価委員の選任を依頼した.この際,関連学会にも委員の推薦を要請し,少なくとも 1名は関連学会からの推薦委員が作成あるいは評価委員会に加わるよう配慮した.各疾患ガイドライン委員会には作成委員会と評価委員会を設け,Peer Review方式によって,作成された原案を客観的,中立的に評価し,質的に高めるよう配慮した.いくつかの疾患については,大所,高所から疾患概念や治療の歴史などに関する貴重な助言を頂くため,指導的立場におられる大家の方々にオブザーバーとして参加をお願いした.また,ガイドラインが多領域にわたることから,全体としての統一性を保つ必要性と,作成過程における様々な課題に対する認識を共有しそれらを解決していくために,各 6疾患の担当理事(責任者),作成委員長,評価委員長,ならびに外部有識者からなる統括委員会を設置し,意思統一と全体の調整を行うこととした.このような準備作業を経て,2006 年日本消化器病学会総会(大槻眞会長)の際に第 1回のガイド

ライン委員会を開催し,文献検索範囲,文献採用基準,エビデンスレベル,勧告の強さ(推奨グレード)など EBMの手法の統一性についての合意と,クリニカルクエスチョン(CQ)の設定など基本的な枠組みが合意され,作成作業が開始された.作成作業開始後は,消化器病学会総会・大会で中間報告,最終報告案を提示して学会員から様々

な意見を聴取して細部を修正し,最終案を学会ホームページに掲載して広くパブリックコメントを求め,再修正したものを完成版とした.このような公開と意見聴取手続きを踏むことによって,完成までに 3年余りを要したため当初の文献検索範囲を 2007 年まで延長し,勧告の強さのグレードもMinds(案)から消化器病学会独自のものに変更された.また,ガイドライン作成における利益相反(Conflict of Interest:COI)が社会的な問題となったこともあり,消化器病学会での利益相反委員会の設立や規範の策定を待たず,EBM専門家から提案された基準に基づいてガイドライン委員の COIを公開することとした.各ガイドラインは,エビデンスの集積の程度や,各疾患の包含する問題も異なり,一部の疾患ではこれまでに作られた EBM手法に基づかないガイドラインやコンセンサスの再検討を必要としたことから,進捗状況に大きな差異が生じた.しかし,最終的にはこれらの課題はすべて克服され,6疾患のガイドラインが 10 月から順次刊行され本学会会員に配布される運びになった.

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消化器病学会ガイドラインは,2007 年までのエビデンスを専門医が体系的に検索,吟味,評価したうえで作成された信頼度の高いものであるが,あくまでガイドラインは最適な臨床判断を医師が行う場合の手助けとして活用していただけることを意図して作られたものであり,患者に一律に盲目的に適用することは厳に戒めなければならない.医学の進歩は日進月歩であり,ガイドライン出版の校正過程でも,2008 年以降の新たなエビデンスが発表されていることがすでに指摘されている.同時に,ガイドラインを臨床現場で使用した際には,疑問点や改善が必要な箇所に気付かれることもあると思われる.3~5年後に予定されるガイドラインの改訂に際しての貴重なデータとするため,新たなエビデンスについてのご指摘や,ガイドラインに対する問題提起,疑問点等を学会ホームページ上のパブリックコメント欄に是非ご投稿をお願いしたい.今回のガイドラインを作成する過程で,我が国のエビデンスの構築が必要な多くの問題が明らかにされてきた.今後は,学会が主導して必要なエビデンスを創造していく活動も必要であろう.また学会作成ガイドラインは,卒後教育や専門医試験に取り入れ,学会員の知識レベルの向上や標準化に役立てていくことも求められる.医師向けのガイドラインの出版後には市民向けのガイドラインも刊行される予定であり,市民向け公開講座等に活用されることが望ましい.このように,6疾患に及ぶ消化器病学会ガイドラインの作成は,ガイドラインという基軸に沿って学会の教育や啓発活動が整理体系化されていく効果や,新たな取り組み課題が明示され,それを解決するための学会活動の更なる活性化や会員の意識改革に大きく貢献する極めて有意義な事業となったと考えている.

EBMは臨床医学を継続的に変革していくための運動であり,日本消化器病学会は今回のガイドラインの刊行にとどまらず,引き続き EBMに基づいた医療の実践を推進し,医療者,市民,社会にその果実が還元されるように努力を続けたいと考えている.最後に,6疾患のガイドライン作りに多大なご尽力を頂いた委員会の担当理事(責任者),作成ならびに評価委員の方々,学識経験者,学会やパブリックコメントで貴重なご意見を頂いた方々ならびに学会事務局の方々に深甚な感謝の意を捧げるとともに,そのイニシアチブを取られた跡見前理事長のご英断に心からの敬意を表したい.また,ガイドライン出版にあたり,膨大な作業を献身的に行ってこられた南江堂出版部の方々に厚く御礼申し上げる.

2009 年 8月日本消化器病学会ガイドライン委員会委員長

日本消化器病学会理事長

菅野健太郎

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委員長 菅野健太郎 自治医科大学消化器内科委 員 井廻 道夫 昭和大学第二内科学

上野 文昭 大船中央病院大槻  眞 産業医科大学名誉教授木下 芳一 島根大学第二内科税所 宏光 化学療法研究所附属病院坂本 長逸 日本医科大学消化器内科下瀬川 徹 東北大学消化器病態学白鳥 敬子 東京女子医科大学消化器内科田妻  進 広島大学病院総合内科・総合診療科千葉  勉 京都大学消化器内科坪内 博仁 鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学中山 健夫 京都大学健康情報学二村 雄次 愛知県がんセンター日比 紀文 慶應義塾大学内科福井  博 奈良県立医科大学第三内科本郷 道夫 東北大学病院総合診療部松井 敏幸 福岡大学筑紫病院消化器科森實 敏夫 神奈川歯科大学内科山口直比古 東邦大学医学メディアセンター吉田 雅博 化学療法研究所附属病院人工透析・一般外科芳野 純治 藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院内科

統括委員会一覧

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胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン委員会

責任者 千葉  勉 京都大学消化器内科

作成委員長 木下 芳一 島根大学第二内科副委員長 藤本 一眞 佐賀大学内科委 員 城  卓志 名古屋市立大学消化器・代謝内科

三輪 洋人 兵庫医科大学内科学上部消化管科蘆田  潔 大阪府済生会中津病院消化器内科草野 元康 群馬大学光学医療診療部河野 辰幸 東京医科歯科大学食道・胃外科大原 秀一 東北労災病院消化器内科岩切 勝彦 日本医科大学消化器内科羽生 泰樹 大阪府済生会野江病院消化器科柏木 秀幸 東京慈恵会医科大学消化管外科

文献検索 山口直比古 東邦大学医学メディアセンター諏訪部直子 杏林大学医学図書館

評価委員長 本郷 道夫 東北大学総合診療部副委員長 神津 照雄 千葉大学光学医療診療部委 員 樋口 和秀 大阪医科大学第二内科

星原 芳雄 経済産業省診療所春間  賢 川崎医科大学食道胃腸内科

作成協力者 岩切 龍一 佐賀大学光学医療診療部片岡 洋望 名古屋市立大学第一内科神谷  武 名古屋市立大学第一内科河村  修 群馬大学病態制御内科小池 智幸 東北大学消化器内科下山 康之 群馬大学光学医療診療部名越 淳人 群馬大学病態制御内科古田 賢司 島根大学第二内科保坂 浩子 群馬大学病態制御内科堀  和敏 兵庫医科大学内視鏡センター前田 正毅 群馬大学病態制御内科茂木 文孝 群馬県健康つくり財団和田 恒哉 名古屋市立大学第一内科

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前 文

1980 年代から世界的に GERDに対する関心が高まり,日本人の中でも GERD/逆流性食道炎の増加が指摘されている.日本消化器病学会ガイドライン策定委員会では食道領域のガイドラインとして「逆流性食道炎」のガイドラインを策定することを目指して学会担当理事・千葉 勉(京都大学),策定委員会委員長・木下芳一(島根大学),評価委員会委員長・本郷道夫(東北大学)を中心として作業を始めることとなった.作業委員には消化器病学会からの委員だけではなく消化管学会および食道学会からも委員が参加して作業を行った.当初,このグループで対象とする疾患名は「逆流性食道炎」であったが,国際的には胃食道逆

流(gastroesophageal reflux:GER)によって起こる病態は内視鏡的に確認される食道炎の有無に関係なく胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)として統括されている.1988 年に最初の世界的コンセンサス(Genval Workshop)1)が策定され,2006 年にMontreal Definition 2)

として世界的コンセンサスの再構築が行われた.アジア太平洋地域でも Asian-Pacific Consensus

が 2004 年に策定され 3),2008 年には改訂が行われている 4).米国においては American College

of Gastroenterology(ACG)が 1995 年に ACG Guidelineを策定し 5),1999 年 6)および 2005 年 7)

と,すでに 3度目の改訂を行っている.いずれも逆流性食道炎ではなく GERDの病名で策定されており,日本においても GERDを病名としてガイドラインを策定することになった.

GERは食事による影響が少なくない病態であり,日本人の食生活が欧米化したとはいえ,欧米人の食生活とはまた大きく異なることも事実である.そのような民族的,社会・文化的な要因の違いが GERD発症に少なからぬ影響を与えることを考慮すると,日本人のためのガイドライン策定には,日本人を対象に検討されたエビデンスが必要であることは異論を挟む余地がない.そのような発想のもとに,そして最新の国際的コンセンサスとして発表されたMontreal Definitionの考え方を取り入れてガイドライン策定が行われた.そのため,今回の作業では,「日本人の」という冠が付いたものを重要と位置づけ,場合によっては欧米の報告と日本の報告との違いを確認した.また,日本の臨床環境では,欧米と比して内視鏡検査へのハードルが低いこと,そして逆にpHモニタリングのような機能検査へのハードルが高いことを勘案し,実際の臨床での対応の仕方を合わせて検討することとした.薬剤の使用に関しても,日本の臨床で使用が認められる用量あるいは適応症を勘案し,しかしながら GERDの病態に適したエビデンスに基づく適切な治療法についての考えを呈示した.

1)Dent J, Brun J, Fendrick AM, et al, on behalf of the Genval Workshop Group. An evidence-based appraisal of reflux disease management the Genval Workshop Report. Gut 1998 ; 44

(Suppl 2) : S1-S162)Vakil N, van Zanten SV, Kahrilas P, et al, Global Consensus Group. The Montreal definition

and classification of gastroesophageal reflux disease : a global evidence-based consensus.Am J Gastroenterol 2006 ; 101 : 1900-1920

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3) Fock KM, Talley N, Hunt R, et al. Report of the Asia-Pacific consensus on the managementof gastroesophageal reflux disease. J Gastroenterol Hepatol 2004 ; 19 : 357-367

4) Fock KM, Talley NJ, Fass R, et al. Asia-Pacific consensus on the management of gastroe-sophageal reflux disease : update. J Gastroenterol Hepatol 2008 ; 23 : 8-22

5)DeVault KR, Castell DO. Guidelines for the diagnosis and treatment of gastroesophagealreflux disease : Practice Parameters Committee of the American College of Gastroenterology.Arch Intern Med 1995 ; 155 : 2165-2173

6)DeVault KR, Castell DO. Updated guidelines for the diagnosis and treatment of gastroe-sophageal reflux disease : The Practice Parameters Committee of the American College ofGastroenterology. Am J Gastroenterol 1999 ; 94 : 1434-1442

7)DeVault KR, Castell DO. Updated guidelines for the diagnosis and treatment of gastroe-sophageal reflux disease : American College of Gastroenterology Am J Gastroenterol 2005 ;100 : 190-200

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本ガイドラインの作成は日本消化器病学会の統一ガイドラインとして「消化性潰瘍」,「炎症性腸疾患(クローン病)」,「慢性膵炎」,「胆石症」,「肝硬変」のガイドラインとともに,2006 年 4 月に行われた日本消化器病学会ガイドライン統括委員会において,①ガイドラインを作成すること,② GERDのガイドラインの担当理事を京都大学の千葉 勉,評価委員会の委員長を東北大学の本郷道夫,作成委員会の委員長を島根大学の木下芳一とすること,③さらにそれぞれの委員会の委員が発表されたことに始まる.この時点で日本消化器病学会の作成するガイドラインは文献(エビデンス)に基づいたものとすること,対象疾患の患者の 60~70%程度がガイドラインで推奨されている診療を受ければ良好な結果が得られるような診療情報を提供するものであることが説明された.2006 年 5月に担当理事,評価・作成委員長による打ち合わせを行ったあとに,8月に作成・評価合同委員会を開き,ガイドラインの作成コンセプト,作成・評価についての説明,確認を行った.その後,作成委員会において,ガイドライン作成の基本となるクリニカルクエスチョン(CQ)の作成を行った.第一次の CQ案では,GERDの疫学に関する CQが 8項目,病態が 9項目,診断が 33 項目,内科治療が 4項目,外科治療が 13 項目,食道外症状が 10 項目であった.その後,作成委員会内で検討を重ね,10 月に疫学 9項目,病態 10 項目,診断 28 項目,内科的治療 12 項目,外科的治療 13 項目,食道外症状 10 項目の CQを含む作成委員会としての最終案を評価委員会において検討した.さらに検討を重ね CQは疫学 5項目,病態 9項目,診断 10 項目,内科的治療 8項目,外科的治療 6項目,胃切後食道炎 9項目,食道外症状 6項目となり,これを最終 CQ

とした.2007 年 5 月より疫学・病態については,藤本一眞,城 卓志,岩切勝彦,診断については三輪洋人,草野元康,内科的治療については蘆田 潔,羽生泰樹,外科的治療・胃切後食道炎については河野辰幸,柏木秀幸,食道外症状については大原秀一,木下芳一の各作成委員が主に担当し,文献を検索,検索された論文の抄録を参考に論文を選択・発注し,各論文の日本消化器病学会で統一された様式に従った構造化抄録の作成と,これに基づいた論文の評価を行った.これをもとに各 CQに対するステートメント案とステートメントのエビデンスレベルの決定,治療に関する部分においては推奨度の決定を行った.2008 年 2 月にはステートメント案,エビデンスレベル案,推奨度案を評価委員会において検討した.さらに,その後に作成委員会,評価委員会合同でステートメントおよびエビデンスレベルと推奨度の修正,フローチャートの作成を行った.この過程で,学会会員の意見を取り入れるため,日本消化器病学会において合計 3回の作成過程の発表,報告を行った.特に 2008 年 10 月の日本消化器病学会大会においては CQ,ステートメント案,その根拠となった文献の検索式と検索された論文の一覧,エビデンスレベルと推奨度案の全てを示し,意見の聴取を行った.このあとに,ステートメントの解説文章を作成し,様式を日本消化器病学会で統一されたもの

に変更し,全学会会員の意見を聴取するべく学会ホームページへ掲載された.学会ホームページ

胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン作成の手順

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に掲載された GERDガイドライン(案)に対して 3件の意見が寄せられたため,これに対応した修正を行ったあとに日本消化器病学会の「胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン」として出版することとなった.

2009 年 9月日本消化器病学会胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン作成委員長

木下 芳一

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xii

グレード 内容

A行うよう強く勧められる 高いレベルの根拠があり,その便益は害,負担,費用に勝り,臨床的に有用性が 明らかである.

B

行うよう勧められる 1)中程度レベルの根拠があり,その便益は害,負担,費用に勝り,臨床的に有  用と考えられる. 2)高いレベルの根拠があるが,その臨床的な有用性は高くはない.   (一部の人にはかなり有効かもしれないが,誰でも効果が期待できるわけで    はない) 3)低いレベルの根拠のみである *が,臨床現場ではすでに定着し,その有用性  が明らかである.   (*生命に直接関係する介入や,RCTが行われにくい状況などの理由による)

C1

行うほうがよい 1)低いレベルの根拠のみであるが,その便益は害,負担,費用に勝り,臨床的  には有用と考えられる. 2)便益と害の双方の根拠があるが,臨床的には有用と考えられる. 3)中程度レベルの根拠があるが,その臨床的な有用性は高くはない.   (一部の人には有効な場合もあるが,その割合は高くない)

C2行わないほうがよい 1)低いレベルの根拠のみであり,その便益は害,負担,費用に劣り,臨床的に  は有用でないと考えられる. 2)便益と害の双方の根拠があるが,臨床的には有用でないと考えられる.

D 行わないよう勧められる 無効性あるいは害を示す根拠がある.

(Minds 診療ガイドライン作成の手引き 2007,p43「1)Minds 推奨グレード」より改変)

推奨グレード

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xiii

Ⅰ システマティックレビュー/RCTのメタアナリシス

Ⅱ 1つ以上のランダム化比較試験による

Ⅲ 非ランダム化比較試験による

Ⅳa 分析疫学的研究(コホート研究)

Ⅳb 分析疫学的研究(症例対照研究,横断研究)

Ⅴ 記述研究(症例報告やケース・シリーズ)

Ⅵ 患者データに基づかない,専門委員会や専門家個人の意見

(Minds 診療ガイドライン作成の手引き 2007 より改変)

文献のエビデンスレベル

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xiv

日本消化器病学会ガイドライン統括委員の利益相反に関して日本消化器病学会ガイドライン委員会では,ガイドライン統括委員と企業との経済的な関係につき,下記の基準で,各委員から利益相反状況の申告を得た.申告された企業名を下記に示す(対象期間は 2008 年 1 月 1日から同年12 月 31 日).企業名は 2009 年 9 月現在の名称とした.中立の立場にある出版社や非営利団体は含まれない.

統括委員はすべて,診療ガイドラインの内容と作成法について,医療・医学の専門家として科学的・医学的な公正さを保証し,患者のアウトカム,Quality of lifeの向上を第一として作業を行った.利益相反の扱いは,国内外で議論が進行中であり,今後,適宜,方針・様式を見直すものである.

胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン作成・評価委員の利益相反に関して日本消化器病学会ガイドライン委員会では,胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン作成・評価委員と診療ガイドライン対象疾患に関連する企業との経済的な関係につき,下記の基準で,各委員から利益相反状況の申告を得た.申告された企業名を下記に示す(対象期間は 2008 年 1 月 1日から同年 12 月 31 日).企業名は 2009 年 9 月現在の名称とした.中立の立場にある出版社や非営利団体は含まれない.

作成・評価委員はすべて,診療ガイドラインの内容について,医療・医学の専門家,そして消化器病学の専門医として科学的・医学的な公正さを保証し,患者のアウトカム,Quality of lifeの向上を第一として作業を行った.利益相反の扱いは,国内外で議論が進行中であり,今後,適宜,方針・様式を見直すものである.

統括委員について下記の内容で申告を求めた。1.日本消化器病学会診療ガイドラインに関係し,委員または委員と生計を一にする扶養家族が個人として何らかの報酬 を得た企業・団体  役員・顧問職(100 万円以上),株(100 万円以上または全株式の 5%以上保有),特許等使用料(100 万円以上),  講演料等(100 万円以上),原稿料等(100 万円以上),研究費(個人名義 200 万円以上),その他の報酬(100 万円以上)2.日本消化器病学会診療ガイドラインに関係し,委員の所属部門と産学連携活動(治験は除外)を行っている企業・団体  寄付講座(200 万円以上),共同研究・受託研究(200 万円以上),実施許諾・権利譲渡(200 万円以上),奨学寄付金(200  万円以上)

表 統括委員と企業との経済的な関係(五十音順)委員または委員と生計を一にする扶養家族が個人として何らかの報酬を得た企業・団体

味の素ファルマ株式会社,アステラス製薬株式会社,アストラゼネカ株式会社,エーザイ株式会社,大塚製薬株式会社,杏林製薬株式会社,シェリング・プラウ株式会社,武田薬品工業株式会社,田辺三菱製薬株式会社,中外製薬株式会社,日本イーライリリー株式会社,明治製菓株式会社

委員の所属部門と産学連携活動(治験は除外)を行っている企業・団体

旭化成クラレメディカル株式会社,味の素ファルマ株式会社,アステラス製薬株式会社,アストラゼネカ株式会社,エーザイ株式会社,大塚製薬株式会社,大塚製薬工場株式会社,杏林製薬株式会社,シェリング・プラウ株式会社,大日本住友製薬株式会社,大鵬薬品工業株式会社,武田薬品工業株式会社,田辺三菱製薬株式会社,中外製薬株式会社,日本製薬株式会社,日本べーリンガーインゲルハイム株式会社,バイエル薬品株式会社,ファイザー株式会社,ユーシービージャパン株式会社

評価・作成委員について下記の内容で申告を求めた。1.診療ガイドライン対象疾患に関係し,委員または委員と生計を一にする扶養家族が個人として何らかの報酬を得た企業・ 団体  役員・顧問職(100 万円以上),株(100 万円以上または全株式の 5%以上保有),特許等使用料(100 万円以上),  講演料等(100 万円以上),原稿料等(100 万円以上),研究費(個人名義 200 万円以上),その他の報酬(100 万円以上)2.診療ガイドライン対象疾患に関係し,委員の所属部門と産学連携活動(治験は除外)を行っている企業・団体  寄付講座(200 万円以上),共同研究・受託研究(200 万円以上),実施許諾・権利譲渡(200 万円以上),奨学寄付金(200  万円以上)

表 作成・評価委員と企業との経済的な関係(五十音順)委員または委員と生計を一にする扶養家族が個人として何らかの報酬を得た企業・団体

アステラス製薬株式会社,アストラゼネカ株式会社,エーザイ株式会社,武田薬品工業株式会社委員の所属部門と産学連携活動(治験は除外)を行っている企業・団体

味の素株式会社,アステラス製薬株式会社,アストラゼネカ株式会社,エーザイ株式会社,大塚製薬株式会社,大日本住友製薬株式会社,武田薬品工業株式会社,株式会社ツムラ

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1.疫 学(1)有病率(2)GERD患者の身体的特徴と合併症

2.病 態(1)GERDの定義(2)世界との比較(3)胃食道逆流の要因(4)胃食道逆流によって起こる粘膜傷害以外の影響(5)Barrett 食道

3.診 断(1)自覚症状の評価(2)内視鏡診断(3)逆流現象の評価(4)Barrett 食道の診断

4.内科的治療(1)治療の目的(2)治療手段

5.外科的治療(1)外科的治療適応対象の基準(2)外科的治療の効果

6.上部消化管術後食道炎(1)定 義(2)要 因(3)術後食道炎の病態評価(4)術後食道炎の治療(5)術後食道炎の長期経過と合併症

7.食道外症状(1)非心臓性胸痛(2)慢性咳嗽(3)咽喉頭症状(4)喘 息(5)睡眠障害(6)その他の食道外症状

本ガイドラインの構成

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フローチャート

状 態

検査 /判断

治療介入

矢印の向き↓:肯定あるいは効果あり←:否定あるいは効果なし

【フローチャート記載の原則】

● 患者の病的状態,検査での判断,治療介入をそれぞれ色と形で分けて,診断と治療の経過を見やすくした.検査あるいは治療介入で,肯定的結果あるいは治療有効性が確認されたときに下向きの矢印で,否定的結果あるいは治療の有効性が確認されないときには横向きの矢印で全体の流れを提示した.

【治療フローチャートの要点】

● GERDの初期治療はプロトンポンプ阻害薬(PPI)とする.●治療効果の判定の目安は4週および8週とするが,この期間についてはエビデンスが十分であるとはいえない.

●治療経過中の内視鏡検査の頻度あるいは必要性は一概に決定はできないので,担当医の判断に委ねることとして,フローチャートには記載しないこととした.

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フローチャート

xvii

【GERD治療のフローチャート】

GERDを疑う症状

PPI内視鏡検査

内視鏡検査を先に行う場合 治療を先に行う場合

薬剤の漸減または中止

症状持続

症状再発

グレードA(p54)

非びらん性GERDびらん性GERD

PPIグレードA(p54)

他疾患

薬剤の投与量・投与方法の変更

症状持続

症状改善症状改善

長期管理グレードA(p54)

グレードB(p54)

症状持続

手術療法 維持療法 オンデマンド療法 薬剤の漸減または中止

グレードB(p55)

グレードC1(p64)

他疾患

症pHモニタリングなどによる病態評価

逆流の証明

● 推奨グレードとステートメント記載ページを併記した.● GERDを疑う症状があった患者に対して,内視鏡検査設備を持たないGPでも初期治療が可能なように,定型症状のみで初期治療が行えるフローチャートとした.初期治療はPPI を第一選択とした.

●なお,無症状の重症びらん性食道炎患者がいることは事実であり(p32),合併症予防の観点から治療対象とするべきである(p44)が,治療対象とするべき内視鏡的重症度の設定,および治療効果についてのCQが設定されず,無症状のびらん性食道炎に対する治療についてはフローチャートではあえて示していない.

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xviii

フローチャート

【PPI による治療を先に行った場合】

GERDを疑う症状

PPI内視鏡検査などによる他疾患の除外

薬剤の漸減または中止

症状持続

症状再発

GERD

PPI

他疾患

薬剤の投与量・投与方法の変更

症状持続

症状改善症状改善

長期管理

手術療法 維持療法 オンデマンド療法 薬剤の漸減または中止

他疾患

逆流の証明

PPI 投与後のため,びらん性,非びらん性の

区別は困難

この内視鏡検査は他の検査も含めて他疾患の除外の診断

症状持続症pHモニタリングなどによる病態評価

● この場合,PPI 投与にかかわらず症状持続したもの,あるいは薬剤の漸減もしくは中止で症状再発した場合に内視鏡検査を行うが,その時の内視鏡所見からはPPI による粘膜傷害が治癒している可能性もあるため,「GERD治療のフローチャート」で提示したびらん性GERDおよび非びらん性GERDの区別はできないので単にGERDと記載した.この内視鏡検査の意義は,他疾患を除外することが大きな目的となる.

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フローチャート

xix

【内視鏡検査を先に行う場合】

内視鏡検査

非びらん性GERDびらん性GERD

PPI

他疾患

薬剤の投与量・投与方法の変更

症状持続

症状改善症状改善

長期管理

手術療法 維持療法 オンデマンド療法 薬剤の漸減または中止

他疾患

逆流の証明

GERDを疑う症状

びらん性,非びらん性の区別による PPI の投与量の判断は

必ずしも一様ではない

症状持続症pHモニタリングなどによる病態評価

● 内視鏡検査の前にPPI 治療を行わないので,内視鏡検査ではびらん性GERDと非びらん性GERDを区別し,さらに他疾患の除外を行うことが可能となる.

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1.疫 学……………………………………………………………………………………1

(1)有病率 ………………………………………………………………………………………………2CQ 1-01 日本人の GERDの有病率はどれくらいか? ………………………………………2CQ 1-02 日本人の GERDの有病率は増加しているか? ……………………………………2

(2)GERD患者の身体的特徴と合併症 ………………………………………………………………5CQ 1-03 GERDの有病率は過体重者に多いか? ……………………………………………5CQ 1-04 GERDは食道裂孔ヘルニアを合併するか? ………………………………………7CQ 1-05 狭窄,出血,Barrett食道の合併頻度はどうか? …………………………………9

2.病 態 …………………………………………………………………………………11

(1)GERDの定義………………………………………………………………………………………12CQ 2-01 GERDとは胃内容物の逆流により臨床症状や合併症を生じた病態の総称で

あるか?………………………………………………………………………………12CQ 2-02 GERDの食道粘膜傷害の主な原因は胃酸曝露であるか?………………………12CQ 2-03 酸以外の逆流が GERDの原因となるか?…………………………………………12CQ 2-04 食道の胃酸曝露の原因は胃内容物の逆流と食道運動異常であるか? …………12CQ 2-05 食道への胃酸逆流の原因は一過性の下部食道括約筋弛緩と食道裂孔ヘルニア

であるか?……………………………………………………………………………12(2)世界との比較………………………………………………………………………………………15

CQ 2-06 H. pylori感染で GERDの有病率は低下するか?…………………………………15(3)胃食道逆流の要因…………………………………………………………………………………17

CQ 2-07 激しい肉体運動は GERDの誘発因子になるか?…………………………………17(4)胃食道逆流によって起こる粘膜傷害以外の影響………………………………………………19

CQ 2-08 逆流性食道炎(びらん性 GERD)とNERD(非びらん性 GERD)の病態は異なるか?…………………………………………………………………………………19

(5)Barrett 食道 ………………………………………………………………………………………22CQ 2-09 GERDは Barrett食道の原因になるか? …………………………………………22

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クリニカルクエスチョン一覧

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3.診 断 …………………………………………………………………………………25

(1)自覚症状の評価……………………………………………………………………………………26CQ 3-01 胸やけ症状は患者に正しく理解されているか? …………………………………26CQ 3-02 酸逆流により食道外症状のみが出現する GERD患者はいるか?………………28CQ 3-03 自己記入式アンケートで GERDは診断できるのか?……………………………30CQ 3-04 内視鏡的粘膜傷害の程度は症状と相関するか? …………………………………32CQ 3-05 PPIテストの意義は何か? …………………………………………………………34

(2)内視鏡診断…………………………………………………………………………………………36CQ 3-06 逆流性食道炎(びらん性 GERD)の分類には日本でもロサンゼルス分類を用い

るべきか?……………………………………………………………………………36CQ 3-07 minimal changeは逆流性食道炎(びらん性 GERD)として取り扱うべきか? …36

(3)逆流現象の評価……………………………………………………………………………………38CQ 3-08 24 時間 pHモニタリング検査の GERD診療での位置づけは何か? …………38

(4)Barrett 食道の診断 ………………………………………………………………………………40CQ 3-09 Barrett食道の定義は?………………………………………………………………40CQ 3-10 Barrett食道の診断には組織学的所見の裏づけが必要か?………………………40

4.内科的治療 ……………………………………………………………………………43

(1)治療の目的…………………………………………………………………………………………44CQ 4-01 GERD治療の目的(目標)は何か? ………………………………………………44

(2)治療手段……………………………………………………………………………………………47CQ 4-02 生活習慣の改善・変更は GERDの治療に有効か?………………………………47CQ 4-03 アルギン酸塩,制酸薬,OTC薬は GERDの治療に有効か? …………………49CQ 4-04 酸分泌抑制薬は GERDの治療に有効か?…………………………………………51CQ 4-05 PPIは GERDの第一選択薬か?……………………………………………………54CQ 4-06 常用量の PPIで治療ができない場合はどうするか?……………………………54CQ 4-07 GERDの長期治療戦略は何か? 維持療法,間欠療法,オンデマンド療法,

ステップダウン療法はどう使い分けるか?………………………………………54CQ 4-08 GERD治療薬の長期維持療法は安全か?…………………………………………54

5.外科的治療 ……………………………………………………………………………63

(1)外科的治療適応対象の基準………………………………………………………………………64CQ 5-01 どのような病態が外科的治療の適応となるか? …………………………………64

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(2)外科的治療の効果…………………………………………………………………………………66CQ 5-02 逆流防止手術の長期成績は PPI治療や内視鏡的治療と同等以上か?…………66CQ 5-03 外科的治療は PPI治療や内視鏡的治療よりも費用対効果比が良好か?………68CQ 5-04 逆流防止手術の成績は外科医の経験と技能に左右されるか? …………………70CQ 5-05 開腹手術に比べ腹腔鏡手術は有用か? ……………………………………………72CQ 5-06 Nissen法と Toupet法のどちらが優れているのか? ……………………………74CQ 5-07 GERDに対する内視鏡的治療は有効か?…………………………………………76

6.上部消化管術後食道炎 ………………………………………………………………79

(1)定 義………………………………………………………………………………………………80CQ 6-01 術後食道炎の原因となる食道粘膜傷害性を持つ逆流内容物は何か? …………80

(2)要 因………………………………………………………………………………………………82CQ 6-02 術後食道炎の発生に影響する要因は何か? ………………………………………82

(3)術後食道炎の病態評価……………………………………………………………………………85CQ 6-03 術後逆流性食道炎(びらん性 GERD)の病態評価の診断に有用なものは何か?……………………………………………………………………………………………………85

CQ 6-04 術後逆流性食道炎(びらん性 GERD)に特有な病理組織像はあるか? ………85(4)術後食道炎の治療…………………………………………………………………………………87

CQ 6-05 術後食道炎の治療に有用な薬剤はあるか? ………………………………………87CQ 6-06 術後食道炎の治療に生活指導は有用か? …………………………………………89

(5)術後食道炎の長期経過と合併症…………………………………………………………………90CQ 6-07 術後食道炎の自然経過はどうなるか? ……………………………………………90CQ 6-08 術後食道炎で Barrett食道は生じるか? …………………………………………92

7.食道外症状 ……………………………………………………………………………95

(1)非心臓性胸痛………………………………………………………………………………………96CQ 7-01 GERDにより虚血性心疾患と見分けのつかない胸痛が生じることがあるか?……………………………………………………………………………………………………96

(2)慢性咳嗽……………………………………………………………………………………………99CQ 7-02 GERDにより慢性咳嗽が生じることがあるか?…………………………………99

(3)咽喉頭症状 ………………………………………………………………………………………102CQ 7-03 GERDにより慢性咽喉頭炎(自覚症状のみも含む)が生じることがあるか?……………………………………………………………………………………………………102

(4)喘 息 ……………………………………………………………………………………………104CQ 7-04 GERDにより喘息が生じることがあるか? ……………………………………104

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(5)睡眠障害 …………………………………………………………………………………………109CQ 7-05 GERDにより睡眠障害が生じることがあるか? ………………………………109

(6)その他の食道外症状 ……………………………………………………………………………111CQ 7-06 GERDによりその他の食道外症状が生じることがあるか? …………………111

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EGJ esophago-gastric junction 食道胃接合部GERD gastroesophageal reflux disease 胃食道逆流症H. pylori Helicobacter pylori ヘリコバクターピロリH2RA histamine 2 receptor antagonist H2 受容体拮抗薬LES lower esophageal sphincter 下部食道括約筋LSBE long segment Barrett’s esophagus

NCCP non-cardiac chest pain 非心臓性胸痛NERD non-erosive reflux disease 非びらん性胃食道逆流症NSAIDs nonsteroidal anti-inflammatory drug 非ステロイド抗炎症薬OSAS obstructive sleep apnea syndrome 閉塞性睡眠時無呼吸症候群PPI proton pump inhibitor プロトンポンプ阻害薬QOL quality of life 生活の質RCT randomized controlled trial 無作為化比較試験SCE specialized columnar epithelium 特殊円柱上皮SCJ squamo-columnar junction 扁平・円柱上皮境界SSBE short segment Barrett’s esophagus

略語一覧

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