geb読書会 第2回 「無伴奏アキレスのためのソナタ 」
TRANSCRIPT
前回までのあらすじ
形式システムの紹介
● MUシステムとpqシステム○ 形だけによる「生成規則」を使って、「公理」から「定理」を作る。
● 決定手続き○ ある「定理」みたいなものがあった時、それが本当に「定理」か確かめる手続き。
○ 「公理」からボトムアップで目的の「定理」に向かうか、
○ 目的の「定理」からトップダウンでより小さな「定理」に分解し、「公理」に戻れることを確認する。
● 同型対応により意味が獲得される
○ 形式システムは現実世界などとは独立だが、解釈され同型対応を見つけられることで「意味が吹き
込まれる」。
G
Gödel
E
Escher
B
Bach
ゲーデル, エッシャー, バッハ
あるいは不思議の環
Gödel, Escher, Bach: An Eternal Golden Braid
第2回
「無伴奏アキレスのためのソナタ」
図と地
● tqシステム
○ pqシステムと似た、乗算を表す形式システム。
○ 乗算を元に、合成数を定義できる。
○ 合成数「ではないもの」として素数を定義できる。
■ 「図」である合成数の「地」として定義できる。
● 「筆記的」と「再記的」
○ 「筆記的」とは、手で描いていける「図」のこと。
■ 「地」については何も言えない。
○ 「再記的」とは、「地」も「図」になるような「図」のこと。
「地」を「図」として描けるか?
● 素数についてはできる。⇨DNDシステム
● しかし、形式システム一般に対してはそうではない!
「再帰的に加算であるが、再帰的ではない集合が存在する」
● 「地」を「図」として捉えられない形式システムが存在する。○ 正しい定理を言い尽くせない。
○ 誤った定理を否定し尽くせない。
● しかも、役に立つような形式システムほどそうである!
無矛盾性と完全性
● 無矛盾性とは、矛盾した定理が形式システムから出てこないこと。
● だが、そもそも矛盾とは何か?
● 矛盾は、解釈された結果の意味の世界で発生する!○ 一見矛盾しているように見えても、解釈を修正することで無矛盾性は回復される。
○ 非ユークリッド幾何学参照。
● 完全性とは、正しい定理がすべて形式システムで作れること。○ 形式的に合っていて、しかも意味としても「正しい」文字列がすべて公理から作れること。
ゲーデルの不完全性定理
● 数論を表現できるほど強力な形式システムであれば、
● 正しいが、公理から辿り着けない定理が存在する。⇨不完全性
● 「記号とその解釈の間にズレがある」
● 「そのシステムはそのような解釈を正当化する力がない」
不完全性定理についてはこれからの章でどんどんやります!
再帰性
● 先ほどの「再帰的集合」「再帰的」とはまた別の概念であることに注意!
● 大雑把に言って、木構造のことです。○ プログラミングの世界では非常によく使う。
■ 処理の呼び出し・戻りの順序関係。
■ フォルダー構造。
● スタックを使った押し込み(プッシュ)・取り出し(ポップ)○ 再帰性のあるものは、だいたいスタックで扱えます。
自分自身を含むループ
● 内部に自分自身を含むような構造が定義できる。○ フォルダーの中にフォルダーがあり、その中にさらにフォルダーがある。
○ だけど、いつかは子のないファイルにたどり着くので、無限に続くことはない。
■ ファイルの存在⇨「底入れ」
○ 自然言語もそうなっている。
● 再帰性があると、予測不能な振る舞いが生じる。○ フィボナッチ数
○ 物理法則
○ G図
● しかも、そういった予測不能性は「美しい」!
「適度に複雑な再帰的システムはどんな予定されたパタンからも逃れられるくらい強力であるらしい」
「そして、これこそ知性の要件の一つではなかろうか?」