fisheries oceanography 水産海洋学 286-4101...
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2008/4/22
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Fisheries Oceanography水産海洋学
水産生物・海洋学分野
西 隆一郎
水産海洋学シラバス担当者; 西 隆一郎(水産学部水産生物海洋学分野)
連絡先; ℡ 286-4101 Email; [email protected]
目的; 海洋における流れと波浪、生物環境、沿岸域の物理環境、そして、沿岸漁業にとり重要な内陸からの物質循環など、海洋生態系・水産生態系にとり必要な水圏物理環境の基礎を講義する。
•ガイダンス、海洋学とは?•世界の海洋と海底地形•世界の海流と海洋大循環•鹿児島の沿岸環境•海の朝夕と潮流•海の波(風波の発生と統計的性質)•海の波(津波の特性と海洋災害)•沿岸域の安全利用と海浜流台風 高潮と沿岸域気象災害•台風・高潮と沿岸域気象災害
•エルニ-ニョ現象とレジ-ムシフト•地球温暖化と海水準上昇•サンゴ礁海域の保全•ウミガメの生態と保護•山地/河川/沿岸域(海)での物質循環•海象観測法•期末試験
海洋学(oceanography)は自然科学の一分野
であり、海洋を研究する学問である。地球を対象とした地球科学の一分野として、海棲生物やプレートテクトニクス、海流などの海洋の諸現象・変動を様々な自然科学的側面からとらえる。海洋のどの性質を主に解析するかによって 海洋物理学・海洋化学・生物海洋学・よって、海洋物理学・海洋化学・生物海洋学・海洋地質学などの主要分野に分けられる。
水産海洋学:一般の海洋学と内容はかなり近接している。海洋生物の有効利用(漁獲)を前提とした研究姿勢にあるため、生物種については有用生物、海域としては現在利用されている漁場を研究対象とすることが多い。
主要分野:海洋化学 : 海水の化学的性質やその分布・変動を研究対象とした学問。
生物海洋学(海洋生物学) : 海棲生物(動植物プランクトン、魚類等)の生態などを研究対象とした学問。
海洋地質学 : プレ トテクトニクスなど海洋底の地質学海洋地質学 : プレートテクトニクスなど海洋底の地質学的性質や変動を研究対象とした学問。
海洋物理学 : 海洋の物理的な性質や変動(海流、潮汐など)を研究対象とした学問。海面を通して接している大気との相互作用が重視されるため気象学との関連も深い。地球温暖化のような気候変動現象の解析にも関わっている。
海洋学史
海洋についての研究は早くギリシア時代から行われていたが、科学としての形をとるほどにはならなかった。19世
紀になって航海の安全を図るため、船員が海上の気象や、海水温、海流などの観測を行って、航海日誌に書き入れ航海の参考とするようになった。1872年~1876年にチャレンジャー号による海洋観測が行われ、これによって海洋学は始めて学問としての形を整えた。1893年から1896年学は始めて学問としての形を整えた。1893年から1896年
にはナンセンによる北極探検が行われ、その観測結果よりエクマンが吹走流理論を確立した。
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海洋学史海洋研究が盛んになるにつれて、これらの研究を国際的に共同に行う必要が生まれて1900年国際海洋開発委員会がコペンハーゲンを本部として設立される。その後各国による南極観測、探検が盛んとなるが、第一次世界大戦中は戦争に加わらなかったノルウェー以外のほとんどの国では海洋観測はとま てしま た 戦のほとんどの国では海洋観測はとまってしまった。戦後、ドイツの観測船メテオール、アメリカのカーネギー号、アトランティス号、ノーチラス号が各所で観測を行う。第二次世界大戦中は海洋研究は主に軍事上の立場から行われていた。とくに潜水艦作戦のための海中音波の伝播など水中の音響関係の研究が著しく発展した。
日本の海洋研究はイギリス、フランスなどに比べおよそ一世紀遅れて、1870年に始めて海軍で水路作業が実施され、翌年に水路部が創設され、海洋観測が始まった。やがて先進国の事業を取り入れて次第に盛んとなり、太平洋の西半分の南北に渡る大掛かりな観測を行うようになった。1925年には音響測深を取り入れた。日本をめぐ
海洋学史
る海流の様子を、はっきりとさせるため1883年中央気象台の和田雄治が初めて海流瓶を流して、日本のまわりの海流を明らかにして、親潮、黒潮の様子がはっきりした。その後和田は1913~1917年にかけてさらに大規模な調査を行い、その結果は1922年に「日本環海海流調査業績」として出版された。
水産関係では1893年水産調査所が新設され、まもなく廃
止されたが水産局の中に水産調査課ができて、岸上鎌吉、北原多作、岡村金太郎らがいろいろな仕事をした。1920年に岡田武松を台長として神戸海洋気象台が創設
され、航海者、漁業者、気象関係者のために海洋研究を行い、物理学的、生物学的な海洋研究が始まった。1929年には農林省に水産試験場ができた 1932年から数年
海洋学史
年には農林省に水産試験場ができた。1932年から数年にわたって宇田道隆などの指導によって、全国都道府県の水産試験場と協力して、数十隻の調査船により同時に海洋の一斉調査を行った。この当時の日本の海洋観測量は世界的なものであった。1941年に日本海洋学会ができ、終戦後は海軍水路部は運輸省に移った。
地球表面の約7割は水で覆われ、水のほとんどは海水である。
位置 淡水湖 河川水地下水浅
地下水深
土壌水 氷河 大気 塩水湖 海洋
存在比(%)
0.009 0.0001 0.31 0.31 0.005 2.15 0.001 0.008 97.2
Japan Sea
East China Sea Pacific Ocean
Trade Wind
Jet Stream
Jet Stream
Clockwise circulation and counter clockwise circulation
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Oyashio (Kuril) current
Tsushima current
Cold current
T i
Japan
Kuroshio currentWarm current
Philippines
Taiwan
Plate tectonics
Continental plate
Ocean plate
Earthquake, Tsunami
Blue planet; 70% water surface
Diversity of ocean topography, active plate
S=1600,000,000km2
V=723,700,000km3
have=4280mhmax=11,022m
Pacific OceanWind waves; Sea and SwellOcean wave breaking (120°, 1/7)H=f(F,D,V)
F; Fetch, D; Duration, V; Velocity
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Tanh(x) = 1; x>>1 (Deep water)=tanh(x) x; transition zone= x; x<<1 (Shallow water)
C=L/T
Coast, nearshore, offshore
Fresh water
Grand banksLabrador and Gulf stream
Kuroshio and Oyashiocurrent
Off of PeruUpwelling
Q:年平均流(漂)砂量
砂防 Qm
砂防ダム
水利ダム
河川 Qr
↓ Qdis
= Qr - Q
d
⇒ Qc ( Q
dis × α
ef )≈
海岸(沿岸漂砂量), αef:有効漂砂量係数
Qoff
= Qdis - Qc
沖合いへの細砂成分流出
砂採取 Qrd
河口
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bbsbsbg xHaaCHQ )2cos2sin()( 21
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∂∂θθ −=
山地(Qmount)→Qin 砂防ダム Qout→QB,in河 川
(水利ダム)
(=(1-α)Qout)(E) (B)
( =(1-β)QB,out
)
河口部(海岸入口)QB,out→QA,in
(A)
QA,out=Qdis
浚渫;Qrd( =α・Q
B,out)浚渫;Q
sd( =β・Q
out)植生緑化効果; γQ
m
α; 河川浚渫係数
Qoff
Qc
12
Qc
12
β; 砂防浚渫係数γ; 植生緑化係数
⎥⎥⎥
⎦
⎤
⎢⎢⎢
⎣
⎡
⎟⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜⎜
⎝
⎛−++
⎟⎟
⎠
⎞
⎜⎜
⎝
⎛+
=Δ
ΔΔ +
+
+
VQVt
QQQV
ttV Aininin
in
At
t
eA
tt
t
eA
t ˆ̂21ˆ̂ˆ̂
ˆ̂12 ,
1
1
,
1
⎥⎥⎦
⎤
⎢⎢⎣
⎡
⎭⎬⎫
⎩⎨⎧ +−+
⎭⎬⎫
⎩⎨⎧ −−
×⎪⎭
⎪⎬⎫
⎪⎩
⎪⎨⎧−=
2
2
2
2
2
2
2)(exp
2)(exp
2exp
)(2),,(
zz
yzy
zHzH
yU
QzyxC
σσ
σσσπ
Pacific Ocean
East China Sea
A-P関係式の模式図
A; インレット(感潮狭口)の断面積
P; タイダルプリズム
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10000
100000
onal
are
a (m
2 )
Japan China U.S.A. New Zealand Vietnam India
106 107 108 109
100
1000
Cro
ss s
ectio
Tidal prism (m3)
図-7 各国のインレットデ-タの関係
1000
10000
100000
ctional
are
a (m
2 )
A = 1.75×10-4P0.952
P = 9116A1.054
106 107 108 109
100
1000
Cro
ss s
ec
Tidal prism (m3)
Inlet data for this project A =
R = 0.94
図-8 本研究における汎用インレットA-P関係
Please carefully observe a photograph below and find a marine animal ?
Question 1
Dr. R. NishiEngineers and scientists need capability to find something different and new in nature !
A baby sea turtle is coming out from sandy beach and will across the Pacific Ocean!
Ans. 1
Dr. R. Nishi
What kind of marine animal is in this photograph?
Question 2
Dr. R. Nishi
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Ans.2; Marine turtle after a nesting (loggerhead)
Dr. R. Nishi
What kind of marine creature is in this photograph?
Question 3
Dr. R. Nishi
Ans. 3; Hermit crab
Dr. R. Nishi
What kind of marine species caused this damage ?
Question 4
Dr. R. Nishi
Ans.4 ; ‘Habu’ Jellyfish(Chiropsalmus quadrigatus)
Dr. R. Nishi
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Fisheries Oceanography水産海洋学
水産生物・海洋学分野
西 隆一郎
海洋学(oceanography)は自然科学の一分野
であり、海洋を研究する学問である。地球を対象とした地球科学の一分野として、海棲生物やプレートテクトニクス、海流などの海洋の諸現象・変動を様々な自然科学的側面からとらえる。海洋のどの性質を主に解析するかによって 海洋物理学・海洋化学・生物海洋学・よって、海洋物理学・海洋化学・生物海洋学・海洋地質学などの主要分野に分けられる。
水産海洋学:一般の海洋学と内容はかなり近接している。海洋生物の有効利用(漁獲)を前提とした研究姿勢にあるため、生物種については有用生物、海域としては現在利用されている漁場を研究対象とすることが多い。
海洋学史
海洋についての研究は早くギリシア時代から行われていたが、科学としての形をとるほどにはならなかった。19世
紀になって航海の安全を図るため、船員が海上の気象や、海水温、海流などの観測を行って、航海日誌に書き入れ航海の参考とするようになった。1872年~1876年にチャレンジャー号による海洋観測が行われ、これによって海洋学は始めて学問としての形を整えた。1893年から1896年学は始めて学問としての形を整えた。1893年から1896年
にはナンセンによる北極探検が行われ、その観測結果よりエクマンが吹走流理論を確立した。
海洋学史海洋研究が盛んになるにつれて、これらの研究を国際的に共同に行う必要が生まれて1900年国際海洋開発委員会がコペンハーゲンを本部として設立される。その後各国による南極観測、探検が盛んとなるが、第一次世界大戦中は戦争に加わらなかったノルウェー以外のほとんどの国では海洋観測はとま てしま た 戦のほとんどの国では海洋観測はとまってしまった。戦後、ドイツの観測船メテオール、アメリカのカーネギー号、アトランティス号、ノーチラス号が各所で観測を行う。第二次世界大戦中は海洋研究は主に軍事上の立場から行われていた。とくに潜水艦作戦のための海中音波の伝播など水中の音響関係の研究が著しく発展した。
日本の海洋研究はイギリス、フランスなどに比べおよそ一世紀遅れて、1870年に始めて海軍で水路作業が実施され、翌年に水路部が創設され、海洋観測が始まった。やがて先進国の事業を取り入れて次第に盛んとなり、太平洋の西半分の南北に渡る大掛かりな観測を行うようになった。1925年には音響測深を取り入れた。日本をめぐ
海洋学史
る海流の様子を、はっきりとさせるため1883年中央気象台の和田雄治が初めて海流瓶を流して、日本のまわりの海流を明らかにして、親潮、黒潮の様子がはっきりした。その後和田は1913~1917年にかけてさらに大規模な調査を行い、その結果は1922年に「日本環海海流調査業績」として出版された。
水産関係では1893年水産調査所が新設され、まもなく廃
止されたが水産局の中に水産調査課ができて、岸上鎌吉、北原多作、岡村金太郎らがいろいろな仕事をした。1920年に岡田武松を台長として神戸海洋気象台が創設
され、航海者、漁業者、気象関係者のために海洋研究を行い、物理学的、生物学的な海洋研究が始まった。1929年には農林省に水産試験場ができた 1932年から数年
海洋学史
年には農林省に水産試験場ができた。1932年から数年にわたって宇田道隆などの指導によって、全国都道府県の水産試験場と協力して、数十隻の調査船により同時に海洋の一斉調査を行った。この当時の日本の海洋観測量は世界的なものであった。1941年に日本海洋学会ができ、終戦後は海軍水路部は運輸省に移った。