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多元計算解学 NEWS LETTER 第 11 号 多元計算解学 News Letter 2018/08 特集 国際シンポジウム開催 多元計算解剖学の創成に向けて 東京大学本郷キャンパス工学 2 号館 1 213 大講堂にて、 文部科学省科学研究費補助金新 学術領域研究「多元計算解剖学」 の第四回多元計算解剖学国際シ ンポジウムが 2018 年 3 月 1 日、 2 日の日程で開催されました。今 回は最終年度直前のシンポジウ ムとして、これまでの成果をど うまとめていくかという点に関 して議論が行われました。参加 者数は、初日が 120 名、二日目 が 93 名でした。 初日 初日は、橋爪領域代表による 概 要 に 続 き 、 Sheffield 大 学 の Marco Viceconti 教授による特別 講 演 「 Predicting hip fracture: there and back again」が行われ ました。骨粗鬆症患者における 股関節骨折のリスクを予測する ための患者固有モデル構築技術、 治療最適化のためのマルチスケ ール・確率論的シミュレータ等 についてご講演いただきました。 オーラルセッションにおいて は、今年初めての試みとして、 本新学術領域研究での成果を、 脳、胸部、腹部、筋骨格、一生 涯、モデルのための数理手法と いう 6 つのパートに分け、多数あ るプロジェクトの成果を一つの ストーリーとして説明しました。 初日のオーラルセッションでは、 脳の多元計算解剖モデリング、 多元計算解剖モデリングのため の数理手法、筋骨格の多元計算 解剖モデリング、一生涯の多元 計算解剖モデリングについて発 表がありました。 オーラルセッション後は例年 通り A01、A02 の計画班と公募班 による研究成果報告について、 ショートプレゼンとポスター会 場によるポスター発表がなされ ました。会場では、発表者と諮 問委員や参加者との間で熱心な 議論が行われました。 初日の発表終了後、東京大学 病院入院棟 15 階にあるブルーク レール精養軒にて懇親会が行わ れました。この日は、1 年の中で も珍しく、スカイツリーと満月 が近くに見られる日で、美しい 夜景を背景に、参加者間の交流 が行われました。 二日目 二日目はまず、Auckland 大学 の Peter Hunter 教授による特別 講演「Bond Graphs and Finite Elements for the Physiome Pro- ject」が行われました。本講演で Hunter 教 授 が 進 め て い る 第4回 多元計算解剖学国際シンポジウム開催

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Page 1: ニュースレターwiki.tagen-compana.org/mediawiki/images/6/6a/Tagen...多元計算解学 第NEWS LETTER 1 号 Physiome プロジェクトにおける 計算解剖学モデルについて紹介

多元計算解学 NEWS LETTER 第 11 号

多元計算解学

News Letter

2018/08

特集 国際シンポジウム開催 多元計算解剖学の創成に向けて

東京大学本郷キャンパス工学

部 2 号館 1 階 213 大講堂にて、

文部科学省科学研究費補助金新

学術領域研究「多元計算解剖学」

の第四回多元計算解剖学国際シ

ンポジウムが 2018 年 3 月 1 日、

2 日の日程で開催されました。今

回は最終年度直前のシンポジウ

ムとして、これまでの成果をど

うまとめていくかという点に関

して議論が行われました。参加

者数は、初日が 120 名、二日目

が 93 名でした。

初日

初日は、橋爪領域代表による

概要に続き、Sheffield 大学の

Marco Viceconti 教授による特別

講演「 Predicting hip fracture:

there and back again」が行われ

ました。骨粗鬆症患者における

股関節骨折のリスクを予測する

ための患者固有モデル構築技術、

治療最適化のためのマルチスケ

ール・確率論的シミュレータ等

についてご講演いただきました。

オーラルセッションにおいて

は、今年初めての試みとして、

本新学術領域研究での成果を、

脳、胸部、腹部、筋骨格、一生

涯、モデルのための数理手法と

いう6つのパートに分け、多数あ

るプロジェクトの成果を一つの

ストーリーとして説明しました。

初日のオーラルセッションでは、

脳の多元計算解剖モデリング、

多元計算解剖モデリングのため

の数理手法、筋骨格の多元計算

解剖モデリング、一生涯の多元

計算解剖モデリングについて発

表がありました。

オーラルセッション後は例年

通りA01、A02の計画班と公募班

による研究成果報告について、

ショートプレゼンとポスター会

場によるポスター発表がなされ

ました。会場では、発表者と諮

問委員や参加者との間で熱心な

議論が行われました。

初日の発表終了後、東京大学

病院入院棟 15 階にあるブルーク

レール精養軒にて懇親会が行わ

れました。この日は、1 年の中で

も珍しく、スカイツリーと満月

が近くに見られる日で、美しい

夜景を背景に、参加者間の交流

が行われました。

二日目

二日目はまず、Auckland 大学

の Peter Hunter 教授による特別

講演「Bond Graphs and Finite

Elements for the Physiome Pro-

ject」が行われました。本講演で

は Hunter 教授が進めている

第4回

多元計算解剖学国際シンポジウム開催

Page 2: ニュースレターwiki.tagen-compana.org/mediawiki/images/6/6a/Tagen...多元計算解学 第NEWS LETTER 1 号 Physiome プロジェクトにおける 計算解剖学モデルについて紹介

多元計算解学 NEWS LETTER 第 11 号

Physiome プロジェクトにおける

計算解剖学モデルについて紹介

されました。本プロジェクトで

は組織レベルでの構造と機能と

の関係がモデル化されており、

さらに、身体、臓器、組織およ

び細胞の空間スケールで密接に

リンクされたデータとモデルを

表示する Web ポータルについて

も紹介されました。多くの参加

者から熱心な質疑がなされ、興

味の高さが伺えました。

特別講演の後は、残りのオー

ラルセッションとして、胸部臓

器の多元計算解剖モデリング、

腹部臓器の多元計算解剖モデリ

ング、について発表がありまし

た。その後、A03 の計画班と公

募班による活動報告として、シ

ョートプレゼンテーションおよ

びポスター発表がなされました。

すべての研究グループによる活

動報告の後は、計画班代表によ

り「多元計算解剖学プロジェク

トの最終目標は?」というタイ

トルでパネル討論がなされまし

た。特に AI や、Physiome プロ

ジェクトと多元計算解剖学との

関係について熱心な議論がなさ

れました。その後、WG 報告が

なされ、引き続いて諮問委員に

よる講評をいただきました。特

に今年は脳、胸部、腹部、筋骨

格、一生涯、モデルのための数

理手法というストーリー軸でこ

れまでの成果を報告したことが

大変好評でした。最後には橋爪

領域代表によるまとめの言葉を

いただき、最終年度へ向け、気

を引き締める気持ちをもって、

シンポジウムを終了しました。

二日間のシンポジウムを成功裏

に終えることができました。こ

れも東京大学大学院工学系研究

科佐久間研究室のスタッフ・学

生一同のおかげです。誌面をお

借りしまして改めてお礼申し上

げます。

写真 1 会場の様子 写真 2 橋爪領域代表による発表

写真 3 特別講演(Marco Viceconti 教授) 写真4 特別講演(Peter Hunter 教授)

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多元計算解学 NEWS LETTER 第 11 号

写真 5 ポスターセッションの様子 写真 6 パネルディスカッション

写真 7 懇親会の様子

執筆 東京女子医科大学 小林英津子

編集 事務局補佐 松岩