バッテリードライブ dcパワーアンプ...

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バッテリードライブ DCパワーアンプ

作成レポート

2012年 10月 8日

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目次

1. 基本方針 ................................................................................................................................. 4

2. 重要部品の入手確認と代替品の検討 ....................................................................................... 5

3. 仕様、回路構成検討 ............................................................................................................... 6

3.1. 筺体 ........................................................................................................................................ 6

3.2. 電源 ........................................................................................................................................ 6

3.3. パワーアンプ部 ...................................................................................................................... 6

3.4. 保護回路-電源制御回路、DC検出部 .................................................................................... 7

3.5. バッテリーチェック ............................................................................................................... 7

4. 設計 ........................................................................................................................................ 8

4.1. パワーアンプ基板の部品配置、パターン設計 ......................................................................... 8

4.2. 保護回路-制御部の部品配置、パターン設計 ......................................................................... 9

4.3. 保護回路-DC検出部 .......................................................................................................... 10

4.4. バッテリーチェック基板 ...................................................................................................... 10

4.5. 筺体設計 ............................................................................................................................... 11

4.6. パワーオンディレイ回路と電源 On/Offスイッチ ................................................................. 13

5. 作成 ...................................................................................................................................... 14

5.1. FET/トランジスタの選別..................................................................................................... 14

5.2. バッテリーチェック基板 ...................................................................................................... 17

5.3. 保護回路-制御部 ................................................................................................................. 17

5.4. 保護回路-DC検出部 ............................................................................................................ 17

5.5. パワーアンプ基板 ................................................................................................................. 18

5.6. 放熱器................................................................................................................................... 20

5.7. 筺体_リアパネル ................................................................................................................... 20

5.8. 筺体加工/組上げ ................................................................................................................. 21

5.9. バッテリー(電源部) .......................................................................................................... 22

5.10. 確認と調整 ..................................................................................................................... 23

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5.11. フロントパネル加工 ....................................................................................................... 25

5.12. 最終調整 ........................................................................................................................ 26

6. ヒアリング ........................................................................................................................... 27

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1. 基本方針

小出力で、電気代があまりかからなく、保護回路を搭載したパワーアンプを作りたかったので、MJ無

線と実験の 2010年 8月号と 9月号に連載された DCアンプシリーズ No.209バッテリードライブ DCパワ

ーアンプ(以下、No.209 DCパワーアンプと記す)の作成を開始した。しかし、常用機とする為に、トラ

ンスで電源供給する形としているので、バッテリー駆動の実力がわからない。素晴らしい音がすること

は間違いない。なので、音のリファレンス機として、バッテリー使用のパワーアンプを別途作成するこ

とにした。

半導体は、2SD218や 2SC1161など、キーパーツは揃えられないが、極力メタルキャン式のトランジスタ

を使用して作成することにする。

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2. 重要部品の入手確認と代替品の検討

キーパーツが入手できないとアンプとして完成させることはできない。以下は、MJ 無線と実験誌に掲載

された記事で使用・指定されている部品のうち、キーパーツについて、入手の確認と、代替品の検討、

それらの部品の購入状況を示している。まだ販売されている部品の中で代替となる部品を入手した。

ネットオークションで部品入手はしたくない。

◎印:指定部品は製造されており、問題なく入手できた部品。

○印:指定部品を入手したが、製造中止か中止予定、もしくは製造状態が不明の部品。

△印:指定部品の後継、改良型を入手した部品。もしくは、同等スペックの部品を代替品として入手。

▽印:指定部品ではなく、定数や耐圧などが同じ部品を購入。

または、誌面ではどの様な部品を使ったのか不明な部品で推定する相当品を入手した部品

×印:指定部品は、入手困難、もしくは入手不可能で、相当品、代替品を入手した部品。

(1)4Ω用パワーアンプ

入手 名称 説明

× 2SD218 代替品として指定されている 2SD188,2SD388 も入手困難。代替として、

NECの 2SD180 を使用する事にする。

○ TO3用絶縁マイカ- これを買い忘れると大変

× 2SC1161

誌面で代替として紹介されている 2SC959,2SC960だって入手できない。

代替として NEC 2SD297 を使用する。

→購入した 2SD297に hFEが極端に低い素子が含まれており、追加購入。

また、別途、NECの 2SD79 と東芝の 2SC503-GRを購入。

○ 2SA606 (2SA607) まだ入手できるが高価。ペア選別品を入手。

○ 2SK117BL ペア品購入。東芝から 2010年 7月に「新規設計非推奨」とし扱われること

がアナウンスされた。2011年 10月現在「生産終了予定品」となっている。

Miniパッケージの 2SK184でもスペックは同じで代替可能。

○ 2SJ103BL

購入。東芝から 2010年 7月に「新規設計非推奨」とし扱われることがアナ

ウンスされ、2011年 10月現在「生産終了予定」となっている。Miniパッケー

ジの 2SJ105でもスペックは同じで代替可能。

○ 2SC2240 東芝の製品。2011年 10月現在「生産終了予定品」となっている。

× 200D5A

誌面にはメーカの記載が無いが石塚電子の製品。石塚電子は、2011年 3

月に社名を石塚電子株式会社から SEMITEC株式会社へ社名を変更した

との事。SEMITECホームページの製品一覧には掲載されていないので、

現在は製造されていないと思われる。200D5Aではなく 200D5 を入手。

○ HBR5066X スタンレーのLED(RED)

× ダイオード

1S1588

製造中止品で入手困難。手持ちを使用。なお、ルネサスの 1S2076A を代

替品として購入し、ストックしている。

▽ 双信電機SEコンデンサ SEは高くて手が出ないので、同じ双信電機のDMコンデンサを購入。

◎ ニッセイAPSコンデンサ 一時生産停止で入手できなくなったが、工場再稼働で入手可となった。

▽ スケルトン抵抗,板抵抗 使い慣れているタクマン電子の金属皮膜抵抗 REY50FX を使う。

◎ MPC74 福島双葉の製品。セメント抵抗ではなく、金属板抵抗である。

◎ 半固定抵抗 TM-7P コパル(正式社名は、日本電産コパル電子株式会社)の製品。ホームペー

ジには、半固定抵抗できなく、トリマポテンショメータと記載されている。

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3. 仕様、回路構成検討

3.1. 筺体

電源制御部をパワーアンプ用筺体に組み込み統合するが、それでもトランスや電解コンデンサが無いの

で筺体は小型サイズで済む。筺体は、タカチの UC32-5-22AAが使用できるか検討する。

3.2. 電源

電源には 7.5Vのリチウムイオン電池ではなく、単3型ニッケル水素電池を使用することにする。従って、

電源電圧は公称値では+16.8V,±14.4Vになる。ただ、満充電の時+19.6V, ±16.8Vになるので、各部分

の定数は変更しないでそのままとする。

3.3. パワーアンプ部

AC による定電圧回路を使用していると、当然のことながら電源の変動は微少である。そこで、トランス

を使用したパワーアンプは、2段目の定電流回路の定電圧を 2.4Vのツェナーダイオードで作り、3KΩの

抵抗でツェナーに 5mA の電流を供給した。しかし、使用するにつれ電源電圧が変動するバッテリーでの

電源供給の場合、抵抗では電流値が変動してしまう。その点、No.209 DCパワーアンプの回路は、初段の

定電流回路を利用してダイオードに電流を供給しているので、電源電圧の変動には影響されない。バッ

テリーでの電源供給の場合は、こちらの方式の方が断然よい。出力が低下するが、低電圧でも回路定数

の変更なしで動作する。従って、アンプ部の回路構成はオリジナルの4Ω用の回路からLEDと定電流

回路の ON/OFF 用スイッチを省略した回路とすることにする。トランジスタは、二段目には 2SA606 を使

用。ドライバー段は 2SC1161の代替として同じ NECの 2SD297を使う。終段は、2SD218の代替として、NEC

の 2SD180を使用する。

4Ω用パワーアンプ部の回路はMJ無線と実験 2010年 9月号

No.209 DCパワーアンプの記事を参照のこと

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3.4. 保護回路-電源制御回路、DC 検出部

No.209 DCパワーアンプの電源制御回路に使用されている TC4011BPは、最大定格 20Vまで補償されてい

るが、なんとなく不安なのでツェナーを使って 6.2Vに電源を制限する。

3.5. バッテリーチェック

バッテリーチェックは、No.209 DC パワーアンプでは、PNP トランジスタの 2SA798 を使用した回路であ

るが、今回は NPN トランジスタの 2SC2259 を使用して作成する。なお、ここに使用するトランジスタは

金田氏の誌面では必ず指定されているが実は何でも良いと思う。私は、過去にも、2SA1015、2SA970、

2SC1815、2SC2240を使った事がある。

オリジナルの電源制御回路および DC 検出部の回路は MJ 無線と実験 2010 年 8 月号 No.209 DC

パワーアンプの記事を参照のこと

オリジナルのバッテリーチェッ

ク回路はMJ無線と実験 2010年

8月号 No.209 DCパワーアンプの

記事を参照のこと

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4. 設計

4.1. パワーアンプ基板の部品配置、パターン設計

基板は ICB-93SGを使用することにした。机上で作成しただけのパターンなので、実パーツをのせて修正

して行く。

部品面

パターン面

1.5KΩ

620Ω

1.5KΩ

330pF

120Ω

0.22Ω

150Ω

120Ω

50Ω

Tr1

430Ω

100Ω

510Ω

0.22Ω

1KΩ

1KΩ

22KΩ

22KΩ

510Ω

150Ω

1.2KΩ

1.2KΩ

50Ω

270Ω

270Ω

330Ω

620Ω

Tr2

Tr3

Tr4 Tr5

Tr6

Tr7

Tr12

Tr13

10μF

0.1μF

0.1μF

820KΩ

E

E-IN

IN

+17.5V サーミスタ

+15V

C B E

OUT

C B E

-15V

Volへ

3.9KΩ

サーミスタ

E

E-IN

IN

+17.5V サーミスタ

+15V

C B E

OUT

C B E

-15V

Volへ

サーミスタ

Tr11

Tr

10

C

B

E

E

B

C

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4.2. 保護回路-制御部の部品配置、パターン設計

保護回路の制御部の FET(2SJ217/2SK2554)は筺体に取り付けて放熱することにする。この為、保護回路

の制御部基板の FET のリード線を取り付ける基板を別に作り、パターン面を上に部品面を下にして取り

付ける。また、高さのある 2.2μFの電解コンデンサが筺体に接しない様に横にして取り付ける。

【部品側】 【パターン側】

基板パターン面

FET

筺体 or内部シャーシ

FETの取り付け方法

制御部基板

A:Anode K:Cathode

A

K

緑 HBO5066X

K

A 黄

SW

+Vout

+15V

DET E

-Vin

-15V

-Vout

-15V

+Vin

+15V

NSPB500S

A

K

黄 緑

Protetor

S G D G S D K2554 J217

Tr5

G

Tr6

Tr3

Tr2

Tr4

Tr1

S D G S D K2554

HBO5066X

K

A

SW

J217

+Vin

+15V

DET E

1.1KΩ

820Ω

2.2μF

TC4011BP

D1

D2

D3

150KΩ

15KΩ

15KΩ

10KΩ

10KΩ

9.1KΩ

9.1KΩ

-Vin

-15V

-Vout

-15V

+Vout

+15V

Protetor

青色 LED

43.5

SW

150KΩ

SW

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4.3. 保護回路-DC検出部

保護回路のDC検出部については、2つの基板に分割し、左右のパワーアンプ基板に近い位置に配置し、

出力ラインの引き回しが少しでも短くなるように配慮する。

L-ch用基板(部品面) R-ch用基板(部品面)

R-ch用基板(パターン面) L-ch用基板(パターン面)

4.4. バッテリーチェック基板

E

DET Tr2 10μF

150KΩ

OutPut

L-ch

Tr1

22KΩ

HZ6C2

HBR5066X

22KΩ

6.2KΩ

1.2KΩ

A

K

A

K

B C E C B

A K

K

A A:Anode K:Cathode

DET 10μF

OutPut

L-ch 150KΩ

Tr1

Tr2 DET Tr4

Tr5 30KΩ

10μF

150KΩ

150KΩ

OutPut

R-ch

-15V

Tr3 15KΩ

DET Tr4

Tr5 30KΩ

10μF

150KΩ

E

OutPut

R-ch

-15V

150KΩ

Tr3 15KΩ

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4.5. 筺体設計

(1) 内部配置

出力段トランジスタ

誌面において出力段トランジスタは、側板(本来の前面パネル)に取り付けている。しかし、UC 型ケ

ースでは、それは出来ないので、L型のアルミ板を放熱器とし、筺体内部の両サイドに取り付ける。

アルミ板の高さは 40mmとする。

パワーアンプ基板

筺体の外側に出力を向け、中央に入力側を向ける。No.209 DCパワーアンプの記事と同じ配置である。

保護回路-制御部

筺体内の中央に配置する。これも No.209 DCパワーアンプの記事と同じ配置である。

保護回路-DC検出部

保護回路のDC検出部については、2つの基板に分割した。左右のパワーアンプの出力に近い位置に

配置する。

バッテリーチェック

中央前面パネル側に配置する。

以上の検討からタカチの UC32-5-22AAによる内部配置を以下に示す。

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(2) 前面パネル

電源 SW、電源 LED、DC検出 LED、ボリュームを配置する。

(3) リアパネル

リアパネルは、スピーカ端子と入力、電源関係を配置する。

(4) パワートランジスタの放熱器

パワートランジスタは、L型アルミ材を放熱器として使用して取り付ける。ただ、筺体のサイズにあっ

た 20mm×40mm、厚さ 3tのL型アルミ材がなかなかみつからず、40mm×40mm、厚さ 3tのアルミ材をカッ

トして使用しようと思っていたが、その矢先、偶然、目にとまり購入した。

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4.6. パワーオンディレイ回路と電源 On/Offスイッチ

電源 On/Off時のノイズ除去の為、保護回路の電源制御部に AC電源対応版で採用したパワーオンディレ

イ回路を付ける事にした。しかし、AC電源対応版作成の際、検証した通り、バッテリー電源では電源 SW

が ONの状態でキャノンコネクタを抜いた場合、電源 Off後、直ちに電源 Onした場合などには対応でき

ずノイズが出る。対応できるのは、電源 SWの On時、電源 Off後、十分時間をおき、電解コンデンサが

放電しきった状態で、電源 SWを Onした場合。キャノンコネクタを電源 SWが ONの状態で差し込んだ場

合である。

部品面

パターン面

470KΩ

470KΩ

+Vin -Vin

Tr6

C1815

K2554 G側

9.1KΩ

Tr1

100μF

J217 G側

9.1KΩ

GND

47KΩ 47KΩ

47KΩ 47KΩ

100μF

A1015

+Vin -Vin

Tr1 J217 G側

9.1KΩ

Tr6 K2554 G側

9.1KΩ

GND

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5. 作成

5.1. FET/トランジスタの選別

パワーアンプ初段差動回路の 2SK117-BL はペア品を購入する方が安上がりなのでペア品を購入。2段目

についても、2SA606のペア品を購入した。

定電流回路用の 2SJ103も測定の指定は無いが、左右両 chを揃える為、ペア品を

購入したいところだ。ただ、こちらは手持ちがある為、右図の回路にて RS=0Ω

として IDSS を測定し、測定・選別した。なお、回路図にある 620Ωは、取り付

けてから調整するのではなく、ID=2mA(100Ωの電圧降下が 0.2V)となる時の抵

抗 RSの電圧降下を測定し、それを ID=2mAで割って抵抗値を求めて、市販品で近

い値の抵抗を購入する。こうすれば、いちいち抵抗を取り換えて調整する必要が

無く、無駄にならない。また、IDSSが 6~7mAである必要も無い。

2段目の定電流回路の 2SC2240、ドライバー段の 2SD297(2SC1161の代替品)も揃っている方が望ましい。

2SC2240は、下記左側の NPNトランジスタの測定回路にて測定した。

2SD297は No.209 DCパワーアンプの記事に記載されている

[図 22]半導体の測定回路の抵抗とボリュームを 27KΩ

+100KΩとして、ベース電流を 70μA から 333μA まで変化

出来る測定回路とした。No.209 DCパワーアンプの記事の回

路でドライバー段のエミッタ抵抗に 3.86mA(=0.579V÷150

Ω)を流している様なので、2SD297の Icを約 3.8mAに設定

して hFEを測定した。予想した事だが、hFE=45前後と小さくパワートランジスタ並。1つは hFE=19とと

んでもなく小さい値。最初、壊してしまったと思ったくらいだ。いくらなんでも、50%以上ずれていては

使用できない。追加購入しても、hFE=40 以上は保障されないので、別途、ペア品として販売されている

NECの 2SD79と東芝の 2SC503-GRも購入。どうしても駄目であれば、メタルキャンではなくなってしまう

が、実績のある 2SC3421-Yを使う。

2SD297測定結果

No. hFE IB 10Ω降下電圧 Ic ロット

1 48.16 78.9μA 38.0mV 3.8mA L8XE

2 44.29 85.8μA 38.0mV 3.8mA L8XE

3 44.24 85.9μA 38.0mV 3.8mA M56E

4 18.55 204.9μA 38.0mV 3.8mA K01C

MJ無線と実験 2010 年 9 月号 No.209

DCパワーアンプの記事中の

[図 22]半導体の測定回路

を参照のこと

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出力段に使用する 2SD180についても、No.209 DCパワーアンプの記事に記載されている[図 22]半導体

の測定回路に従って測定した。ただ、[図 22]に従い Icを 65mAにすると、2SD180がほんのり熱くなり

Ic が増加し続けて測定にならない。そこで、Ic=10mA で測定した。4個のみの所有なので、値がかなり

ばらついている。左右アンプの増幅度のアンバランスは、ボリュームで調整することにする。

2SD180測定結果

No. hFE IB 10Ω降下電圧 Ic ロット

1 40.13 249.2μA 100.0mV 10.00mA M37C

2 35.31 283.2μA 100.0mV 10.00mA M37C

3 28.89 346.2μA 100.0mV 10.00mA M37C

4 34.4 290.7μA 100.0mV 10.00mA M37C

組み合わせは、1と 2、3と 4をペアとする。差が大きいが仕方が無い。

なお、Ic=65mAで測定すると正確に測れていないが、順に hFE=75,70,58,65となっている。

2SC793 では、4 個追加したら同じような hFE のばらつき傾向のデバイスが入手できたので、うまいこと

特性の揃った組み合わせを作る事ができた。今回、それを期待して(淡い期待)もう 4個、2SD180と 2SD297

をネット注文してしまった。あ~あ。無駄使い。

トランジスタが届いたので、まず、2SD297 から測定。特に指定しなかったが全て同一ロット(M56E)を

送ってくれた。結果は下記の通りで、大変良く揃っている。ペアとしては、1(L8XE)と 5(M56E)、8(M56E)

と 3(M56E)、2(L8XE)と 6(M56E)を組み合わせ、7(M56E)と 4(KO1C)はペアを作れなかった。

2SD297測定結果(No.1~No.4は初回購入分の再測定、No.5~No.8は追加購入分)

No. hFE IB 10Ω降下電圧 Ic ロット

1 48.41 78.5μA 38.0mV 3.8mA L8XE

2 44.71 85.0μA 38.0mV 3.8mA L8XE

3 44.76 84.9μA 38.0mV 3.8mA M56E

4 18.77 202.5μA 38.0mV 3.8mA K01C

5 46.80 81.2μA 38.0mV 3.8mA M56E

6 44.71 85.0μA 38.0mV 3.8mA M56E

7 43.33 87.7μA 38.0mV 3.8mA M56E

8 45.35 83.8μA 38.0mV 3.8mA M56E

ちなみに、2SD79のペアは、2組購入して hFEが 44と 47、2SC503-GRのペアは、4組購入して 154が 2組

と 153が 1組、158が 1組であった。2SD79と 2SC503-GRは、2SC959,2SC960の代替として取っておく事

にし、今回本機には 2SD297を 2SC1161の代替として 8(M56E)と 3(M56E)、2(L8XE)と 6(M56E)を組み合わ

せを使用する事にした。

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2SD180 についても追加分を含め、再測定を行ったが、そう都合よくは行かなかった。期待通り同じよう

なばらつきでペアは組むことができたのだが、ペア間の hFE差がおおきい。低い hFEのペア(平均 66.65)

から比べると、高い hFE のペア(平均 74.67)は 112%と 12%の開きがある。本機の場合、やはり、左右

ch 個別のボリュームが必須の様だ。それとも、帰還抵抗を調整して最初からゲインを合わせ込もうか。

使いながら方針を決めて対応する事にする。ペアは、下表から 5と 7、1と 6のペアを使用することにし

た。

なお、測定は Ic=65mA として実施。この為、発熱するので、手間であるが1つ1つ放熱器に装着して測

定を行った。

2SD180測定結果(No.1~No.4は初回購入分の再測定、No.5~No.8は追加購入分)

再測定 前回測定

No. hFE IB 10Ω

降下電圧 Ic ロット hFE IB

10Ω

降下電圧 Ic

8 81.35 799μA 650mV 65.0mA M37C

5 74.80 869μA 650mV 65.0mA M37C

7 74.54 872μA 650mV 65.0mA M37C

1 66.84 974μA 651mV 65.1mA M37C 40.13 249.2μA 100.0mV 10.00mA

6 66.46 978μA 650mV 65.0mA M37C

4 61.90 1050μA 650mV 65.0mA M37C 34.4 290.7μA 100.0mV 10.00mA

2 55.51 1171μA 650mV 65.0mA M37C 35.31 283.2μA 100.0mV 10.00mA

3 54.30 1197μA 650mV 65.0mA M37C 28.89 346.2μA 100.0mV 10.00mA

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17

5.2. バッテリーチェック基板

バッテリーチェック基板は、

前の超多機能アナログ&デ

ジタルシステムの作成で使

わなくなったものを流用。

抵抗の付け替えを行った。

使用した抵抗は種類がごち

ゃごちゃ。

5.3. 保護回路-制御部

この保護回路は、ツェ

ナーで 6.2V電源を作

りロジック回路を動作

させる。MOS-FETは、

筺体に取り付け放熱器

として使用する。

なお、No.209の保護回路の制御部の回路に基づいて基板を作成する場合は、以下のパターンとする。

【部品側】 【パターン側】

5.4. 保護回路-DC検出部

DC検出部は、左右両 ch出力端子に近づけ、出力ラインの引き回しを最短とする為分割。

A:Anode K:Cathode

A

K

緑 HBO5066X

A

K

SW

+Vout

+15V

DET E

-Vin

-15V

-Vout

-15V

+Vin

+15V NSPB50

0S

A

K

黄 緑

Protetor

S G D G S D K2554 J217

Tr5

G

Tr6

Tr3

Tr2

Tr4

Tr1

S D G S D K2554

HBO5066X

A

K

SW

J217

+Vin

+15V

DET E

1.3KΩ

2.2μF

TC4011BP

D1

D2

150KΩ

15KΩ

15KΩ

51KΩ

51KΩ

9.1KΩ

9.1KΩ

-Vin

-15V

-Vout

-15V

+Vout

+15V

Protetor

青色 LED

43.5

SW

150KΩ

SW

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5.5. パワーアンプ基板

ドライバーに使用するトランジスタが決まったので、パワーアンプ基板を作成した。まず、2SA606 の熱

結合であるが、No.209 DCパワーアンプの記事では、接着剤アラルダイトで接合している。しかし、私は

貴重な石を接着したくなかったので、放熱器を取り付けて熱結合した。もちろん間にマイラー板を挟ん

で絶縁し、熱伝導を良くする為にシリコングリスを塗布してある。この為、2段目周辺の基板パターン

を変更している。また、ドライバー段のトランジスタのコレクタへの配線を No.209 DC パワーアンプの

記事では、直にケースにはんだ付けしている。その方が音が良いかもしれないが、ケースに直にはんだ

付けしたくなかったので、ラグ板に 1mmφのすずメッキ線を取り付け、他のベース、エミッタと同じよう

にコレクタもリード線の形で引き出し取り付けた。

写真は、位相補正用の 330pF のコンデンサを買い忘れたので未実装状態。また、サーミスタ部も確認が

必要なので未実装である。

サーミスタ部と位相補正コンデンサは未実装

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部品面

パターン面

1.5KΩ

620Ω

1.5KΩ

330pF

120Ω

0.22Ω

150Ω

120Ω

50Ω

Tr1

430Ω

100Ω

510Ω

0.22Ω

1KΩ

1KΩ

22KΩ

22KΩ

510Ω

150Ω

1.2KΩ

1.2KΩ

50Ω 27

270Ω

330Ω

620Ω

Tr2

Tr3

Tr4 Tr5

Tr6

Tr7

Tr12

Tr13

10μF

0.1μF

0.1μF

820KΩ

E

E-IN

IN

+17.5V サーミスタ

+15V

C B E

OUT

C B E

-15V

Volへ

3.9KΩ

サーミスタ

E

E-IN

IN

+17.5V サーミスタ

+15V

C B E

OUT

C B E

-15V

Volへ

サーミスタ

Tr11

Tr

10

C

B

E

E

B

C

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20

5.6. 放熱器

今回使用するタカチの UC32-5-22AA では、No.209 DC パワーアンプの記事で採用されているタカチの

OS49-20-33BX とは違い、筺体の側面にパワートランジスタを取り付ける事ができない。そこで、L型ア

ルミアングル 20×40mm、3tを放熱器として使用した。サーミスタは、アラルダイト等のエポキシ系の接

着剤で直接トランジスタに固定することは止め、サーミスタだけをトランジスタへの接触面を残してエ

ポキシ系の接着剤で覆った。その際、トランジスタへの接触の反対側の面には 4mmビスのワッシャーを 2

個重ね、抑え金具で確実に固定出来るようにしている。抑え金具は、文房具の書類クリップを加工して

作成した。また、トランジスタとの接触面には熱伝導を良くする為にシリコングリスを塗布している。

サーミスタのリード線には耐熱ガラスチューブを取り付けた。

5.7. 筺体_リアパネル

両端にスピーカ端子、中央に電源用キャノンコネクター、その中間に入力端子を配置する。回転止めの

溝は、小型の丸やすり、平やすりで削りだした。

部品を仮付けした状態。

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21

5.8. 筺体加工/組上げ

放熱器(L型アングル)は、奥行き方向の中央に配置。サーミスタや小型 1L2Pラグ板が思った以上に筺

体に接近した。1~2ミリしか間隔が無い。基板は、バッテリーチェック基板を除いて、奥行き方向にフ

ロント及びリアパネルとの距離が均等となる様に配置した。加工は、穴あけ箇所も少なく容易。ゴム足

は、筺体の外周から縦(奥行き)35mm、横む 45mm内側の位置に張り付けた。フロントパネルがカタカタ

音がすると安っぽいので筺体付属のパネルは化粧パネルとして使用することにし、実際に部品を取り付

け固定するのは 20mm×40mm、2mm厚のL型アングルにとした。

保護回路の制御部の MOS-FET(2SJ217と 2SK2554)は、筺体にマウントして、筺体を放熱器代わりに使用す

る予定であったが、先に作成した AC電源対応版において発熱が殆ど無い事が判明した為、筺体への取り

付けは取り止めとし、基板に直接装着することにした。しかし、大電流が流れる部分なので、念には念

を入れて MOS-FETそれぞれに小型の放熱器を取り付けた。また、MOS-FETの足に直接結線すると配線が込

み入る為、基板を大きくして再作成している。

筺体内の配線は、±15Vライン、出力とそのアースに 30芯のモガミ 2515を使用し、その他の部分には、

19芯のモガミ 2514を使用した。パワートランジスタの接続は、コレクタとエミッタには赤か橙色と緑色

のモガミ 2515、ベースへは黄色モガミ 2514を使用した。入力のシールド線には、モガミ 2520を使用し

た。なお、±15Vの電源の配線は仮接続とし、ヒューズホルダーを装着した。

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5.9. バッテリー(電源部)

本機は、メインシステムとして使用する目的ではなく、

音のリファレンス機として使用するつもりなので、長時

間使用の予定は無い。従って、電池には 1.2Vのニッケ

ル水素電池を使用する事にする。長時間聞きたくなった

ら、リチウム電池の導入や、別筺体で電源を作成する事

を考える。

バッテリーボックスは他のバッテリードライブの機器

と共用とした。さらに、電池 2個の電池ボックス MD-2G

にはキャノンコネクターを(お金がかかるので)使用し

ていない。

供給電圧は、定格では、+16.8V(1.2V×14),±14.4V(1.2V

×12)だが、満充電の時は、1本あたり 1.4V位になるの

で、+19.6V(1.4×14), ±16.8V(1.4V×12)になる、

この回路は、No.209 DCパワーアンプの記事の電源部の筺体に該当する部分であるが、実態は4PWのハ

ーモニカ端子3個だけ。従って、このままで済ませるか、何かの筺体に入れようか迷っている。配線は、

圧着端子が無くなってしまったので、ラグ板で取り付けたが、これで十分だ。

電源部の接続 パワーアンプ部筺体側電源コネクタ

蛇足だが、ソーラーパネル等から充電すれば話は別だが、バッテリーの使用は省エネではない。なぜな

ら、充電で供給する電気エネルギーを 100%蓄える事ができないからだ。バッテリーが有効なのはピーク

シフトだ。電力消費量が高くない時間帯の電力を蓄え、電力消費量が高い時間帯に蓄えた電力を使えば、

ピーク時の電力消費抑制に貢献できる。

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5.10. 確認と調整

まず、±15Vのラインに取り付けたヒューズを全て取り外し、電源を On してヒューズまでの電源が正し

く供給されるか確認する。続いて、電源 On/Off 時の遅延回路が正しく動作するかどうか確認。On時は、

5 秒ぐらい遅延して On となり、問題なし。しかし、Off 時も当然のことだが同じ時間かかってしまう。

やはり、470KΩとパラに放電用のダイオードを付けた方が良さそうだ。ダイオードを裏付けし、もう一

度確認。今度は2秒ぐらいで offするようになった。

続いて、サーミスタのパラ接続の抵抗 430Ωを仮付けし、Io 調整用の半固定を左いっぱいに回りきり、

両 chの入力ショート、スピーカ端子にはダミーロードを接続、DC検出は外した状態で片 chだけヒュー

ズを入れ、電源 Onし Ioを確認した。この時点では流れていないのが正しい。Io調整用の半固定抵抗を

慎重に回してゆき、1 回転半のところで、Io が流れ始めた。このままゆっくりとボリュームを回してゆ

くと 65mAに設定する事が出来た。本機の場合は、シリーズの抵抗をいれるなどの工夫は不要の様である。。

なお、この測定・調整時の室温は 32℃であった。この後、エアコンを付け、室温を 30℃にした時、Ioは

87mAとなった。冬場では 20℃以下になるであろうから、やはり、サーミスタ回路の抵抗を調整する必要

がある。ただ、今は、オリジナル回路通り 430Ωのままとする事にした

そして、ボリュームを縛り込みと発振による Ioが異常に流れる現象が発生しない事を確認。発振は起こ

らず問題なかった。発振するかしないかは、トータルゲイン、特にドライバー段に使用するトランジス

タの増幅率によるものではないか。本機は hFEが 50以下の 2SD297であるが、発振した AC電源対応版の

2SC3421は 150以上ある。また、ネット上で発振したと報告のある回路や基板をみると、2SC959や 2SC960

が使用されている。これも hFE が 150 はあるはずだ。おそらく No.209 DC パワーアンプの記事で使用さ

れている 2SC1161の hFEも 100を下回っているのではないかと思う。

Voをざっと調整し、制御部の DET端子を GNDに接触させて保護回路が動作するか確認。DC検出回路も

誌面の方法に従って確認した。

ところで、この確認の段階で気付いたのだが、No.209 DCパワーアンプの記事ではパワートランジスタの

コレクタ(ケース)に圧着端子をネジでとめて取り付けしている。しかし、本機はリード端子側から引

き出して実装した。AC 電源対応版も同じだ。何故この様にしたかと言うと、昔からそうしていて、そう

するものだと思い込んでいたから。今になって紙面を見て気がついた。考えてみれば、ネジを介して接

続し、電流を流すなんて音が悪くなるに決まっている。音の違いを確認して見たいが、今は完成優先。

後でどのくらい違うかゆっくり検証したいと思う。こういう事も楽しみの一つだ。

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その後、Ioを時間をかけて測定してみた。測定は、テ

スター2個と温度計付き時計を用い、3台並べて30

秒ごとにデジカメで写真を撮り、一通り測定が完了し

た後で、画像を見ながらデータを Excel に転記すると

いう方法で行った。

結果は、下記グラフに示す通り、本機は、AC 対応版と異なり No.209 DC パワーアンプの誌面に記述され

ている Io の変化の傾向と似ている。電源導入時は、48mA から始まり、徐々に増加して行き、15 分ほど

で安定状態に達した。しかし、測定中に室内温度が 0.8℃上昇変化した影響か、減少に転じている。サー

ミスタの抵抗値は 30分ほどで定常状態に落ち着いているので、サーミスタ以外の要素で減少しているよ

うだ。また 50 分程度経過後は、サーミスタの僅かな変化で Io が変動しているので、感度(調整量)が

高すぎるのではないかと考えている。使用上問題にはならないだろうが、まだまだ、ここは調整が必要

なようだ。

125

130

135

140

145

150

155

160

165

170

30

35

40

45

50

55

60

65

70

75

80

0:00:00

0:02:30

0:05:00

0:07:30

0:10:00

0:12:30

0:15:00

0:17:30

0:20:00

0:22:30

0:26:00

0:28:30

0:31:00

0:33:30

0:36:00

0:39:30

0:42:00

0:44:30

0:47:00

0:49:30

0:52:00

0:54:30

0:57:00

0:59:30

1:02:00

1:04:30

1:07:00

1:09:30

ΩIo

Io(mA) サーミスタ

30.6

30.8

31

31.2

31.4

31.6

31.8

32

30

35

40

45

50

55

60

65

70

75

80

0:00:00

0:02:30

0:05:00

0:07:30

0:10:00

0:12:30

0:15:00

0:17:30

0:20:00

0:22:30

0:26:00

0:28:30

0:31:00

0:33:30

0:36:00

0:39:30

0:42:00

0:44:30

0:47:00

0:49:30

0:52:00

0:54:30

0:57:00

0:59:30

1:02:00

1:04:30

1:07:00

1:09:30

室温

Io

Io(mA) 室温

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25

5.11. フロントパネル加工

フロントパネルにレタリングを行った。レタリング文字も最近入手出来なくなってきたので、何か代わ

りになる物は無いかと探しているが良いものがなかなか見つからない。最近、テプラで転写シールが売

られている事を知り、早速試して見た。テープは、文字はとてもきれいに反転された文字が出来、これ

はいけそうと思ったが、いざ、こすりつけてみると全く転写できない。元々、紙への転写を想定してい

るようなので、紙にも行ってみたが、これすらできない。なにこれ!商品として機能が成り立っていな

いじゃない。ちゃんと転写出来れば、自在にレタリング出来そうだがとても残念。

今回は、手持ちのサンハヤトのレタリングシートで文字を入れた。

下側は、No.213超多機能アナログ&デジタル再生システム(イコライザーアンプ未搭載)

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5.12. 最終調整

ヒューズを外し、線材の長さを整えて再配線して出力 Voを念入りに調整し、さあ完成ということで、メ

インシステムのスピーカに繋いで、夜遅かったので、アンプの入力を絞り込んで音出ししながら、プリ

アンプの出力を MONOにして、左右の音量差、音が中央に定位するかの確認を行った。この後、電源を Off

したところ、ボツと大きな音がスピーカから出た。えっ?・・・。なんで?

事前の確認では Off 時のノイズは出ていない。その時との違いは、ボリュームを絞ったか絞らなかった

だけ。試しにボリュームを Maxにして電源 On/Off。ノイズは出ない。なんだろう?

対策として、帰還抵抗 3.9KΩに位相補正コンデンサ CNFとして 5pFを付けてみたところ、電源 Off時のノ

イズは発生し無くなった。やはり、ボリュームを絞ることで帰還量が増加し発振していたのだ。ところ

で、この対策として双信のディップマイカを購入したので、わずか 5pF なのに1つ 350 円弱。2個で約

700円の出費。昔(年寄りの口癖)は、安価な円盤状のセラミックコンデンサがあったのでいろいろと試

せたが、今は小容量のコンデンサとなると、ディップマイカや SEぐらいしかない。

ふっ-とひと息ついて、おもむろに電源 SW ON したところ、今度は、パワーONディレイ回路による遅延

後、パワートランジスタに電源を供給開始するところで、ノイズが発生するようになってしまった。こ

ちらは、ボリュームの設定位置に関係なく必ず発生する。電源電圧を調べて見たところ、+側が 1.4V程

足りない。充電して再度測ったところ、まだ 1.4V足りない。そこで、電池の電圧を1つ1つ測定してみ

た。発見!。1つの電池が全く電圧が出ていなかったのだ。電池が壊れるなんて初めてだ。早速、新た

にニッケル水素電池を買い足し、再度 ON/OFFを確認したところ ON時のノイズも発生しなくなった。

2つの問題が潜在していたのでなかなか原因がつかめなかったが、無事解決でき、すっきりした。

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朝方、室温が 22℃だったので、この気温での Ioを測定した。サーミスタのパラ抵抗は 430Ωで、31℃の

時から Io調整用のボリュームは動かしていない。測定結果をグラフにすると、以下の様になる。グラフ

を見て驚いた。31℃の時と傾向が全く違う。電源投入後、Io=280mAから始まり、急激に減少して 3分程

度で安定状態になり、徐々に減少して行く。これは、AC 電源対応版の時と同じだ。室温が高い時は、Io

が上昇して行き安定するが、低い時は、逆に減少して安定する今回の様な結果になる事がわかった。

サーミスタは、30分程度で安定するので、30分経過以降のサーミスタの抵抗平均値を電圧降下から求め

ると 180Ωとなる。この状態で、430Ωにボリュームをパラ接続し、65mAになる様に調整した。このサー

ミスタ、430Ω、ボリュームがパラに接続された状態の電圧降下は 248.5mV。31℃の時の Io=65mA流すた

めの電圧降下は 236mVで、この時のサーミスタの抵抗値は 140Ωなので、双方の要件を満たす様に初段の

サーミスタにパラに接続する抵抗値と、サーミスタとパラ接続抵抗値にシリーズに接続する抵抗の値を

決めれば、22℃~31℃の間の Ioの値が 65mAとなる。

検討の結果、サーミスタとのパラ接続抵抗=120Ω、シリアル接続する抵抗=51Ωとすることにした。こ

の値の時 25℃で Io=90mA程度となったので、半固定で 65mAに調整すべきところだが、この値のままで使

用することにし、最後に Voを調整して完成とした。

6. ヒアリング

ニッケル水素電池でも申し分ない期待した通りの素晴らしい音だ。電池で鳴らすのはウォークマンやラ

ジカセぐらいという常識が根底から崩された。次は、リチウム電池の購入や、AC電源対応の筺体の作成

を行い、長時間使用できるようにしたいと考えている。

100

120

140

160

180

200

220

240

260

30

80

130

180

230

280

330

0:00:00

0:02:30

0:05:00

0:07:30

0:10:00

0:12:30

0:15:00

0:17:30

0:20:00

0:22:30

0:25:00

0:27:30

0:30:00

0:32:30

0:35:00

0:37:30

0:40:00

0:42:30

0:45:00

0:47:30

0:50:00

0:52:30

0:55:00

0:57:30

1:00:00

1:02:30

1:05:00

1:07:30

1:10:00

ΩIo

Io(mA) サーミスタ

21.8

21.9

22

22.1

22.2

22.3

22.4

22.5

30

80

130

180

230

280

330

0:00:00

0:02:30

0:05:00

0:07:30

0:10:00

0:12:30

0:15:00

0:17:30

0:20:00

0:22:30

0:25:00

0:27:30

0:30:00

0:32:30

0:35:00

0:37:30

0:40:00

0:42:30

0:45:00

0:47:30

0:50:00

0:52:30

0:55:00

0:57:30

1:00:00

1:02:30

1:05:00

1:07:30

1:10:00

室温

Io

Io(mA) 室温

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85

抵抗(Ω)

サーミスタの検出温度(℃)

単独 430Ωパラ 120Ω+追加

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補足 Io測定結果

2012年 11月 23日 室温 16.8℃~16.9℃ パラ抵抗 120Ω シリーズ抵抗 51Ω

考察

気温が 22℃の時は 15分程度でサーミスタが定常状態になったが、17℃の時は、1時間かってもまだ定常

状態と言えない状況。ただ、Ioは 15分程度で安定となった。但し、サーミスタ、Ioが安定状態になっ

た以降も Ioは短時間で微妙に変動している。サーミスタのパラ抵抗の値を小さくしてサーミスタの変動

が Ioに与える影響度合いを小さくしたにも関わらず変動の大きさに変化が見られない事から、サーミス

タ以外の別の要因からの影響があると思われるが現段階では特定できていない。

230

240

250

260

270

280

290

300

310

320

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

0:00:00

0:02:00

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0:10:00

0:12:00

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0:16:00

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0:25:00

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0:37:00

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0:42:00

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0:48:00

0:50:00

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1:00:00

ΩIomA

時:分:秒

サーミスタの変化に対するIoの変化(室温17℃)

Io(mA) サーミスタ

16.7

16.8

16.9

17

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

0:00:00

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0:14:00

0:16:00

0:18:00

0:20:00

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1:00:00

室温

IomA

時:分:秒

室温の変化に対するIoの変化

Io(mA) 室温