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無帰還 15W パワーアンプ

作成レポート

2018 年 12 月 2 日

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目次

基本方針 ............................................................................................................................... - 3 -

検討 ...................................................................................................................................... - 4 -

部品の再利用 ................................................................................................................. - 4 -

シールド対策の範囲 ....................................................................................................... - 4 -

出力 ............................................................................................................................... - 4 -

パワートランス .............................................................................................................. - 4 -

使用する回路 ................................................................................................................. - 5 -

重要部品の入手確認と代替品の検討 ..................................................................................... - 6 -

実装設計 ............................................................................................................................... - 7 -

アンプ回路への供給電源 ................................................................................................ - 7 -

筐体の候補 ..................................................................................................................... - 8 -

基板のパターン図と筐体の高さ検討 .............................................................................. - 8 -

内部配置と筐体の決定 ................................................................................................... - 9 -

筐体フロントパネルとリアパネルの設計 ..................................................................... - 10 -

整流回路基板 ............................................................................................................... - 10 -

放熱器の加工図 ............................................................................................................ - 11 -

製作 .................................................................................................................................... - 12 -

放熱器と基板取付用アルミ板の加工 ............................................................................ - 12 -

出力段、ドライバー段用トランジスタの測定 .............................................................. - 12 -

FET の選別 ................................................................................................................... - 15 -

基板の作成 ................................................................................................................... - 16 -

アンプブロックの作成 ................................................................................................. - 17 -

リアパネル加工 ............................................................................................................ - 18 -

フロントパネル加工 ..................................................................................................... - 18 -

内部シャーシ―加工 ..................................................................................................... - 19 -

内部シャーシの組み上げ .............................................................................................. - 21 -

パワートランジスタの再測定 ..................................................................................... - 21 -

筐体内部配線 ............................................................................................................. - 21 -

調整・動作確認 .................................................................................................................. - 24 -

ヒアリング ......................................................................................................................... - 25 -

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基本方針

無線と実験の 2016年 4月号から 6月号に 3回連載で掲載された安井章氏の無帰還 15Wパワーアンプの

記事を見ていて、過去に作成したアンプのパーツが利用できないかと考え始めた。早いもので、アンプ作

りを再開して 2018年 11月で 10年になる。そこで、引っ張り出したのは、1974年 7月、今(2018年 6月)

から 40 数年前に作成した 30W のパワーアンプ。パワートランジスタに 2SA663-Y/2SC793-Y、ドライバー

に 2SA606/2SC959が使われている。これらの半導体を蘇らせよう。ただ、残念ながらパワートランスは磁

気シールド無しのタンゴ PB-80。磁気シールド付きの PB-80Sだったらよかったのだが。

なお、2016年 4,5,6月号の記事だけでなく、過去に発表された下記記事も参考にして作成を行う。

2015年 7,8,9月号 MOS-FET 20Wパワーアンプ

2012年 11月号、12月号 全段位相重視の安定化電源搭載 モノーラル 45Wパワーアンプ

2011年 12月号 17W×2半導体パワーアンプ

2009年 5月号 無帰還 15Wパワーアンプ

2018年 6月 23日

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検討

部品の再利用

過去作成のアンプから再利用することにした部品は、パワートランジスタの 2SA663-Y/2SC793-Y。ドラ

イバー用の 2SA606/2SC959 は、2SA606 の刻印が L7YE。2SC959 の刻印が KA4X となっていてランク違いの

様な気がする。測定済みのコンプリメンタリーペアを購入したのだろうか。当時の自分聞いても答えは

無し。測定して使用できるか判断する。トランスの PB-80 は、2016 年 4,5,6 月号の記事の徹底したシー

ルド対策を考えると採用を控えたほうが良いと判断した。

ところで、昔作った基板見ると、トランジスタの足は切らずにそのままの長さ、半固定抵抗はどデカい

し、初段は差動回路であろうが熱結合してないし、スゲーなこれ。

シールド対策の範囲

無帰還 15W パワーアンプでは、抵抗 1 本に至るまでノイズ対策が施されている。今回、パワートラン

ジスタはメタルキャンタイプなので、ケースはコレクターが接続されていることから銅箔を巻き付けて

シールドすることはできない。シールドについては、チャレンジする様に記事に書かれているが、対策と

未対策2通り作ってどの程度の違いがあるのか確認したいと考えている。まずは未対策版を作成する。

未対策版の音質は、2011年 12月号もしくは、2009年 5月号のパワーアンプのレベルとなるだろう。

出力

出力 15W というパワーの大きさだが、これまで、金田式のバッテリードライブなど、出力 10W クラス

のパワーアンプを作成して使用しているが、我が家ではこれで十分で、これ以上の出力は必要ない。落合

氏の MOS-FETの 100Wのパワーアンプは出力が大きすぎる。

パワートランス

無帰還 15Wパワーアンプに使用されているケース US-260LHは小型である。しかし、なにも小さく纏め

る必要はないので、大きめのケースに大きい容量のトランスを入れて電源供給に余裕を持たせたい。過

去購入したトランスが PB-80Sではなかったのは返す返すも残念だが、余裕のあるトランスを用意したい。

PB-80Sのスペックは、1次側 100V,105V、2次側 25V-22.5V-20V-0V-20V-22.5V-25V(2.6A DC±1.5A)、24V-

0V-24V(0.18A DC±0.1A)、6.3V(0.6A)である。PB-80Sの下位モデルの PB-40Sは、AB級 15W~25W用とう

たわれている。こちらのスペックは、1次側 100V,105V、2次側 19V-17.5V-16V-0V-16V-17.5V-19V(2.3A

DC±1.2A)、24V-0V-24V(0.18A DC±0.1A)、6.3V(0.6A)である。

記事にも 24V2A のトランスが望ましいと記載されているのと、無帰還 15W パワーアンプの回路図を見

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てみると、出力段には±16V、前段には±24V(最終的に±22V)を供給しているので、どちらかというと、

PB-40Sの方がスペック的に合っている。ただ、PB-40Sはもう製造・販売されていないので、株式会社フ

ェニックスに特注する事にした。スペックは、1次側 AC100V、2 次側 16V-0V-16V(2A),24V-0V-

24V(0.25A),9V-0V(0.2A)×2 とする。9V-0V(0.2A)×2 は、EQアンプや DACへの電源供給用として予備

として入れるが、今回は使用しない。

なお、AC24V を整流すると 34V(=24×√2=33.941)になるので、平滑コンデンサは 50V を使用する。耐

圧 35Vのコンデンサを使用するのは、マージンが無く危険だ。家庭に引き込まれている AC電源は、電信

柱の変圧器から 110Vで出力されている。34V(=24×√2=33.941)の 110%アップの電圧は 35.6Vとなり、設

計上安全を考える必要がある。

我が家の ACを測定したところ 102.9Vだった。

使用する回路

使用する回路は、MJ 無線と実験の 2016 年 5 月号の図 2 対象 2 段パワーアンプ回路図の回路。MJ 無線

と実験の 2016 年 6 月号の図 1 で、24V のツェナーダイオードが 22V に変更されたのと、出力段の電源の

コンデンサが 0.1µFから 33µF に変更されている。ダイオードは 24Vのままとし、出力段の電源のコンデ

ンサの 0.1µFから 33µF への変更だけ反映させる。

オリジナル回路の電源は、前段も出力段も同一になっているが、前段と出力段を別に供給することにす

る。パワーアンプ回路の±V1には、±33.9Vを供給し、±V2には、±22.6Vを供給する。これにより、出

力段用の平滑用コンデンサは、耐圧の低い製品を使用できるようになり選択の幅が広がる。

その他、図 3の電源供給回路は、後述の様に変更を加えて使用する。

図 11のスピーカー保護回路は、そのまま使用する。

図 1 の結線図は、電源供給部分が異なるが基本は同じ。

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重要部品の入手確認と代替品の検討

ディスクリートの部品が殆ど製造中止になった今、まず行うことは、将来、入手できなくなる可能性が

あり、代替品、相当品では性能を満足できない、あるいは、アンプが作成できなくなってしまう様なキー

パーツを今、入手しておくことである。作成するのはいつになってもよい。キーパーツがあればいつかは

作成できる。家族にガラクタ集めなどと言われても、とにかく手元に所有しておくことが重要だ。

印:指定部品は製造されており、問題なく入手できた部品。

印:指定部品を入手したが、製造中止か中止予定、もしくは製造状態が不明の部品。

印:指定部品の後継、改良型を入手した部品。

印:指定部品ではなく、定数やスペックが同等または最大定格を満足する部品を購入。

×印:指定部品は、入手困難、もしくは入手不可能で、相当品、代替品を入手した部品。

入手 名称 説明

パワートランジスタ

サンケン

2SA1860/2SC4880

データシートから、記事の 2SC4880 は 2SC4886 の誤りだと思われる。

2SA1860/2SC4886 は Pc=80W で、同等品は、2SA1940/2SC5197。

今回は Pc=60W でメタルキャンの 2SA663-Y/2SC793-Yを使用する。

サンケン

2SB1647/2SD2560

定電圧回路のパワートランジスタ。記事には、MOS-FETの利用も可能と記載

されている。過去の製作記事では、2SJ200/2SK1529 が使用されている。

〇 ドライバー

2SA1358/2SC3421

メーカーのホームページに代替品として、TTA004B/TTC004B が指定されて

いる。今回、20A606/2SC959 が使用できるのであれば使用したい。

〇 2SA1360/2SC3423 ペア メーカーのホームページに代替品の指定がない。

2SA992/2SC1845 入手できないわけではないが、手持ちで同等の 2SA970/2SC2240 があるの

で、こちらを使用する。

〇 2SJ103/2SK246 ペア

2SJ103-GR/2SK246-GRのペア測定品を購入。但し、IDSSが 4mA 以上であ

ることが必要。代替品はちょっと見つからない。既に生産中止になっている

が、2SJ105/2SK330 がパッケージ違い(ミニパッケージ)の同等品。

〇 2SK117-GR 他の素子同様、販売するお店が限定され、入手しづらくなっている。

代替品は、2SK184(ミニパッケージ)、2SK209(チップ部品)

2SA1015/2SC1815 ミニパッケージの同等品 2SA1048/2SC2458 を使用する

24V,22V,16V,9V ツェナー

意外に入手しづらいのがリードタイプのツェーナーダイオード。

24V から 22V に変更されているが、トランスの容量があるので、変更はしな

い。手持ちの HZ24-2-Eを使用する。

22V は、HZ22-1(20.9V~21.9V:Iz=2mA)、HZ22-2(21.6V~22.6V:Iz=2mA)と

RD22EB2(20.76V~21.65V:Iz=5mA)と B3(21.22V~22.09V:Iz=5mA)を入手。

16V は、RD16EB3(15.79V~16.50V:Iz=10mA)を入手

9V は、RD9.1EB2(8.61V~8.99V:Iz=20mA)、HZ9C2-E(9.1V~9.5V:Iz=5mA)、

02Z9.1A(8.6V~9.6V:Iz=6mA)を入手

トランス PT-5Y117 回路の前段と出力段に個別に電源を供給することにする。

トランスは、(株)フェニックスに特注した。

平滑用コンデンサ

10,000µF/35V

筐体スペースに余裕を持たせ、出力段に 22,000µF/50V の電解コンデンサ、

又は 12,000µF/35V のコンデンサ×2 を使用する。

また、電圧増幅段には 4,700µF/50V の電解コンデンサを使用する。

0.1Ω2W 0.1Ω5W の福島双葉製の抵抗を入手

1/2W タクマン 入手済み。愛用してきた抵抗だがいつも購入させていただいていたお店のホ

ームページに「取り扱い中止・在庫限り」の掲示有。

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実装設計

アンプ回路への供給電源

注文したトランスの注文時の仕様を間違えてしまい、ひと回り大きなトランスが納入されてしまった

が、問題ないのでそのまま使用する。

トランスの仕様は、入力1次側 AC100V、2次側とサイズは下記。

予定: 16V-0V-16V(2A), 24V-0V-24V(0.25A), 9V-0V(0.2A)×2, 124(W)×94(D)×56(H)

実際: 16V-0V-16V(2.2A), 24V-0V-24V(0.2A), 9V-0V(0.2A)×2, 124(W)×106(D)×62(H)

実は、このトランスの注文仕様を書く時、タンゴの PB-40Sのスペックを見ていた。この結果、予定と

違ってしまったようだ。

タンゴの PB-40Sのスペックは、下記である。

19V-17.5V-16V-0V-16V-17.5V-19V(2.3A), 24V-0V-24V(0.18A), 6.3V-0V(0.6A)

MJ無線と実験の 2016年 5月号の図 3電源基板回路図を下図のように変更して実装する。

平滑コンデンサは、希望スペックに近いもので手持ちの製品を使用する。

記事の回路には、10KΩ のブリーダー抵抗が付けられているが、この抵抗に流れる電流は記事で使用さ

れているトランスの 2次電圧で約 3mAなので、ここの抵抗値は同じ電流値になるように 7.5KΩ と 11KΩ を

取り付けることにする。毎回、回路図に書かないが、スパークキラーも取り付ける。

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筐体の候補

筐体は 430mm幅のオールアルミのタカチの OSシリーズを使用することにする。いつもは、天板、底板

が鋼板の SLシリーズだが、記事が磁気シールドに拘った内容になっているので、考えすぎかもしれない

が、磁気の帯磁が無いオールアルミタイプを選んだ。この筐体の奥行きと高さを決めなければならない

のだが、いつも高さは、平滑コンデンサと放熱器、そしてトランスで決めている。

平滑コンデンサは、手持ちの 22,000µF/50V だと 8cm。高さ 115mm の筐体の内部シャーシ上面からの高

さが 83mm なので、高さ 115mm の筐体が必要。もう一つの候補としてこれも手持ちの 12,000µF/35V をパ

ラ接続して使用することも考えている。この場合、高さが 35mmで済むので、15mm高のスペーサーを入れ

ても 50mm強となり、内部シャーシ上面からの高さが 65mm の高さ 99mmの筐体が適合する。

記事では、基板を平面に配置し、背面に取り付けているが、今回は TO-3トランジスタなので専用の放

熱器に取り付けようと思う。手持ちの放熱器 TF1306(穴あけ加工無し。もう入手不可能。本当は、穴開

け加工済みの TF1306A-2 が良い。)の使用を考えていて、この高さは 6cm なので、高さ 99mm の筐体が適

合する。熱容量が不足する場合は、高さ 8cmの TF1308(これまた手持ち)を使用しなければならないが、

この場合は、高さ 115mmの筐体が必要。

基板のサイズも関係するので、パターン設計、内部配置の設計を行ってから筐体を決定する。

基板のパターン図と筐体の高さ検討

基板はエッチングではなく、穴あき基板を使用する。基板を立てて高さ 8cmに収まるか検討してみた。

その結果、アンプ部と定電圧回路部分を別基板に分離すれば 8cm に収まることが判明した。基板は高さ

8cm の放熱器 TF1308に立てて取り付けることになる。

放熱器を 8cm高の物にしたので、電解コンデンサも高さ 8cm の 22,000µF/50V ELNA for AUDIO を使用

することにした。従って、必然的に高さ 115cmの筐体が必要。あとは奥行きを決めなければならない。

(1) アンプ基板、定電圧回路基板

Q14 B Q14 C

Q5 C

+V2

G

E

EP

+V1

Q11

Q12

100Ω

E

100Ω

-V1

Q10

Q15

0.033µF Q17

Q13

Q18

100Ω

100Ω

ZD 24V

-V2

H

EN

E

Q6 C

0.1µF

ZD 24V

E

0.1µF

0.033µF

0.1µF

0.1µF

Q16

1KΩ

Q3

330Ω

3.3KΩ

1500pF

470KΩ

100Ω

Q1

Q2

Q4

1KΩ

(※120Ω)

(※120Ω)

※1KΩ Q9

500Ω

470Ω

1KΩ

330Ω

680Ω

10KΩ

10KΩ

220Ω

10Ω

10Ω

0.1Ω

0.1Ω

Q1,Q3

1KΩ

Q2,Q4

1KΩ

未実装

未実装

Q7 B

OUTPUT

Q8 B

Q7 E

Q8 E ES

INPUT

Q5

Q6

470Ω

Q19 B Q19 C

0.1µF

100Ω

100Ω

0.1µF

ZD 16V

ZD

16V

のランドは短絡防止のため削り取る

スピーカー保護+V2

スピーカー保護-V2

橙 20

赤 20

黄 20

黄 20

白 20

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(2) スピーカー保護基板

内部配置と筐体の決定

内部シャーシを使用して、部品を配置する。筐体の奥行き(カタログ上は横幅)が 32cmの場合、内部

シャーシは、AC32-43が適合製品なのだが、側面を前面として使用するので、パネルと内部シャーシの間

隔がとれず、パネルの部品が当たってしまう。そこで、1つ奥行が小さい AC26-43を使用する。

奥行きが 37 の場合は、AC32-43 を使用することになる。内部配置を検討した結果、筐体の奥行きは

32cmで良いと判断。これにより、筐体は、タカチの OS115-32-43SSとすることにした。

基板は平滑コンデンサが多くのノイズを発生し、シールドが必要と記載されているので、放熱器を間に

挟み、側板側に配置することにした。側板を外せば基板が見えるのでメンテナンスもし易くなると思う。

2SC3421

3.3KΩ

2.2KΩ ZD 9V

ZD 9V

1KΩ

2SC1815

680Ω

4.7KΩ 2

.2KΩ

2SC1815

100µF

+ +

47KΩ

2SA1015 2.

2KΩ

4.7KΩ

680Ω

1KΩ 2SA1015

+V2

-V2

OUT

E

2SA1015 2SC1815 G H

3.3KΩ

2.2KΩ

100µF

+ +

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筐体フロントパネルとリアパネルの設計

(1) フロントパネル

記事のフロントのデザインはシンメトリーだが、どうもこのシンメトリーのデザインが好みではない。

性能が左右で異なってしまうリスクが大きいが、やはり電源スイッチの配置は他の機器と同一としたい。

(2) リアパネル

リアパネルのデザインはオーソドックスな配置。電源スイッチと連動したコンセントがあると便利な

ので、1つ設けている。

整流回路基板

電力増幅段も電圧増幅段も同じ回路で構成し、整流素子だけ、20A 用と 10A 用を使い分けることにす

る。整流素子の間のオレンジ色のランドは、短絡防止のため、削り取る。

22Ω

33Ω 33Ω

FCH20A15

FCH10A15

FRH20A15

FRH10A15

15µH

8200pF 8200pF 8200pF 8200pF

15µH 4.7µH

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放熱器の加工図

(1) 放熱器と基板取付アルミ板の加工図

放熱器に、150×80mm のアルミ平板で、アンプ基板と定電圧基板を取り付け、80×55×10mm の L 型ア

ルミ板でスピーカー保護回路を取り付けて、アンプブロックとする。定電圧回路の 2SB1647/2SD2560 は、

放熱器に基板を取り付ける為の 150×80mm のアルミ板に取り付けることにする。放熱器を着脱すれば、

基板も付いてくるので、メンテナンスもやり易いだろう。

放熱器には、トランジスタ用の穴が開いていないので、下記の寸法で穴あけする。

他 ch 用は左右対称に描いて加工する。

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製作

放熱器と基板取付用アルミ板の加工

放熱器にパワートランジスタの取付用の穴あけを行った。放熱器には、ねじ止めのタップを切ってい

る。アンプ基板、及び、定電圧回路基板をこの放熱器に取り付け用アルミ板(1.5t)、スピーカー保護基板

の取付用アルミ板(1.2t)の作成を行った。

出力段、ドライバー段用トランジスタの測定

パワートランジスタの 2SA663-Y/2SC793-Y を過去のセットから

取外し、hFEの測定を行う。取り出したトランジスタは真っ黒で、

最初は埃で汚れているのかと思ったら、どうも鉄錆ではないが、

錆びているようだ。いくら磨いてもきれいにならない。写真の上

段は磨く前。下段は磨いた後。(大して変わらない。)

一応、鉄錆防止のスプレーを吹きかけておいた。

パワートランジスタの直流増幅率 hFEを測定する。記事にはエミ

ッタ抵抗 0.1Ωの電圧降下を 3mV程度に調整するように記述されて

いるので、アイドリング電流は 30mA程度となる。このアイドリン

グ電流量では発熱はないかもしれないが、トランジスタの場合、

0.1の温度変化でも hFE が変化するので、放熱器に取り付けて熱

を安定させ測定した。

結果は、下表の様に過去の自分は何もわかっていなかったことが判明。ペアを購入していない。

測定結果

トランジスタ IB 10Ω電圧降下 IC hFE

2SA663-Y 700µA 712mV 71.2mA 101.85

2SC793-Y 700µA 306.7mV 30.67mA 43.84

2SA663-Y 705µA 779mV 77.9mA 110.496

2SC793-Y 700µA 303.4mV 30.34mA 43.77

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次に、2SA606/2SC959の測定を行った。こちらも同様で、単品を購入したらしい。記事には、Q5,Q6の

Ic を 5.5mAに設計しているとの記述があるので、それが得られる IBを流して測定している。

測定結果

トランジスタ IB IC hFE

2SA606 50µA 6.66mA 133.2

2SC959 50µA 4.15mA 83

2SA606 50µA 6.96mA 139.2

2SC959 50µA 3.94mA 78.8

ただ、結論としては、hFEが大幅に異なるものの、電力増幅の Q7,Q8 には 2SC793-Y/2SA663-Y を使用し

て作りたい。若い時の取り組みを継続させるために。

2SC906/2SA606 の適用を考えていた Q5,Q6 には、回路図通り 2SC3241/2SA1358 を使用し、Q13,Q18 に

2SC3241/2SA1358 の代わりに 2SC906/2SA606を使用することにした。

―― ―― ―― ――

一旦、上述のように決めたが、やはり気になるので、もう一度、2SA606/2SC959を測定してみた。

2SC959 のリード線が黒ずんでおり、手で擦ったら、きれいな金属が見えたので、きれいに磨いて再度

測定したら、だいぶ値が変わった。酸化膜の様なものが出来ていて、伝導率が悪かったのではないか。

しかし、まだ値に差がある。

トランジスタ IB IC hFE

2SA606 50µA 6.67mA 133.4

2SC959 50µA 5.43mA 108.6

2SA606 50µA 6.98mA 139.6

2SC959 50µA 5.03mA 100.6

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ここで、部品箱に大事に保管していた 2SA607の測定済みペア 2組(記載されている hFEは 92と 96)を

取り出し、ペアができるか検討してみた。

トランジスタ IB IC hFE

2SA607 50µA 5.56mA 111.2

2SA607 50µA 5.08mA 101.6

2SA607 50µA 4.74mA 94.8

2SA607 50µA 3.77mA 75.4

ペア品を購入した 2SA607だが、ペアにしては随分 hFEが異なるが、2SC959とは対にできそうだ。2SA606

と 2SA607、2SC959と 2SC960の違いは放熱フィン有無の違いで中身は同一。これならドライバー段の Q5,Q6

に使用できる。前述のように一旦は、Q5,Q6 には回路図通り 2SC3241/2SA1358 を使用することにしたが、

撤回!。2SA607/2SC959を使う。

組み合わせは下記とすることにした。2SC959には、放熱器を付けて、2SC960ライクにすれば、見かけ

も 2AS607と一緒になり、見栄えもするはずだ。

元気が良い 2SA606は、Q18 に使用する。Q13を何にするかは別途検討する。

組合せ トランジスタ IB IC hFE

ペア1 2SA607 50µA 5.56mA 111.2

2SC959 50µA 5.43mA 108.6

ペア2 2SA607 50µA 5.08mA 101.6

2SC959 50µA 5.03mA 100.6

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FETの選別

定電圧回路に使用する Q10,Q12,Q15,Q17 用 FET 2SK117-GR

は、IDSSが 3mA~5mAのものを選別するよう記述されているの

で、それに従い、右記の素子を選別した。

Q12 と Q17はペア選別品購入。

Q10 と Q15はバラ品から選別し、1%以下の差の物を抽出。

4.19÷4.16=1.0072 → 0.72%

4.06÷4.04=1.00495 → 0.495%

初段(Q1,Q2)の 2SK246/2SJ103のペアについては、ドレイン電流が 4mAの時の VGS が同一の素子を選

別するように指定されている。事前に 2SK246-GR/2SJ103-GR のペアを購入しておいたのだが、よく見る

と IDSSが 3.98mAと 3.94mAでドレイン電流 4mAを流すことが出来ない。仕方がないので、自分で VGSが

揃ったペアを選別することにした。下記がその結果である。

ペア K246-BL J103-BL

No. IDSS VGS No. IDSS VGS

1 8.84mA 1.611V

ペア 1 2 9.12mA 1.704V 1 10.34mA 1.709V

2 10.34mA 1.726V

ペア 2 3 9.13mA 1.732V 3 10.19mA 1.736V

4 9.23mA 1.754V

ペア 1のソース抵抗は、1.704V÷0.004A=426Ω 426Ω×1.2=511Ω~426Ω×1.4=596Ω → 560Ω

ペア 2のソース抵抗は、1.732V÷0.004A=433Ω 433Ω×1.2=520Ω~433Ω×1.4=606Ω → 560Ω

半固定抵抗は、426Ω×5=2130 ~ 426Ω×10=4260 → 3KΩ

433Ω×5=2165 ~ 433Ω×10=4330 → 3KΩ

とする。ただ、半固定抵抗は、回路図の 1KΩを購入したのと、手持ちの 5KΩしかないので、5KΩを仮付け

してみて、2KΩか 3KΩのどちらかに決めて購入し、実装しようと思う。

部品番号 IDSS 備考

1

Q10 4.16mA 前段、正側

Q15 4.19mA 前段、負側

Q12 4.47mA 出力段、正側

Q17 4.47mA 出力段、負側

2

Q10 4.04mA 前段、正側

Q15 4.06mA 前段、負側

Q12 4.69mA 出力段、正側

Q17 4.69mA 出力段、負側

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基板の作成

(1) スピーカー保護基板

2SA1015/2SC1815だが、2SA1048-GR/2SC2458-GRを使用した。

平滑後の電源に接続されている 3.3KΩは、トランスの 2 次側

電圧から、21.7V×√2=30.7V (30.7V-9.1V)÷3300Ω≒6.5mA が

流れている。今回のトランスの出力段用の 2次側電圧は 16Vな

ので、16V×√2=22.6V (22.6V-9.1V)÷6.5mA≒2080Ω→2.2KΩに

変更した。

抵抗は炭素被膜抵抗で、2.2KΩは 1KΩ+1.2KΩで実装している。

また、51KΩの手持ちがあったので 47KΩの代わりに装着した。

(2) 整流回路基板

整流回路基板に実装する SN8S-300(一部、SN8S-500 を使用)

の加工を行う。誌面の指示に従い、巻線をほどいて 15µH は 21

ターン、4.7µH は 12ターンとした。出力段用の基板の 22Ω、33

Ωは現段階でどの程度の電流が流れるか不明であるが、KOA の

3W の酸化金属皮膜抵抗 MOS3C を使用した。音楽再生時の出力

段の電流の平均値をアイドリング電流の 10 倍、300mA と仮定

すると、P=I*V=I2Rより、(0.3A)2×3.3Ω=0.297Wなので、3Wで

はなく 0.5W 型の抵抗でも全く問題ないだろう。ドライバー段

用は、タクマン度 1/2Wタイプ REY50FX としている。それぞれ

の抵抗は、基板の切れ端を使って基板から隙間を確保し、実装

している。線材は、モガミ 2514(19 芯)の被覆を剥がして配線

した。

(3) 定電流電源基板

2016 年 6 月号の誌面では、2 点の変更が記されている。

Q14,Q19 のCの 0.1µF から 33µF への変更には対応。もう 1 点

の 24V のツェナーダイオードの 22V への変更であるが、今回

は、出力段とドライバー段の電源を分割して供給しており、か

つ、AC24Vと電圧が高いので、記事に懸念として記載された定

電圧機能が失われる恐れはないと判断し、元の 24Vのツェナー

ダイオードを使用した。また、0.1µF、0.033µFは WIMAの代替

として Panasonicの ECQVが小型で良いので使用した。

正側の Q13 には 2SC485 を使うつもりだったが、以前購入した 2SC503(VCBO=60V,VCEO=50V,Ic=600mA,

Pc=800mW)が使い道がなく余っていたので、こちらを使用。耐圧や Ic が 2SC959/2SC960 の半分程度だが

今回の使用には問題ないと判断。2SC503、2SA606には、昔のアンプから取り外した放熱器を装着した。

なお、Q13,Q18 のベース抵抗が 2016 年 6 月号の図 1 や表 1 の使用パーツリストでは、180Ωになってい

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るが、図 8 のパターン図や 5 月号の図 2 では 100Ωになっている。P27 のカラー写真を見ても、100Ωが実

装されている様なので、この値は,100Ωとみなして取り扱うことにする。

(4) アンプ基板

0.1Ωは、足の間隔が基板と合わないので、穴を追加して装着して

いる。初段のパスコン 0.033µF は、基板側に 0.01µF、定電圧回路

側に 0.022µFと分割して実装するか思案中。

この時点では、初段の半固定抵抗(1KΩ)と 120Ω (計算上 560Ω)は

仮付け状態としている。

その後、3KΩの半固定抵抗が手に入らなかったので、5KΩの半固

定抵抗をを使用。初段(Q1,Q2)の 2SK246/2SJ103の実測値から 430

Ω前後でドレイン電流が 4mA になるので、

式 5kΩ/2 × 560Ω ÷ (5kΩ/2 + 560Ω)= 457.5Ω

を 430Ωにする為、6.8KΩを裏付けでパラ接続し、429Ωとした。

アンプブロックの作成

放熱器にアンプ基板、定電圧基板、スピーカー保護基板を取り付けて、アンプブロックを作った。

Q14 の 2SD2460、Q19 の 2SB1647 は、基板取付用のアルミ板の放熱器側(基板から見るとアルミ板の裏

側)に取り付けている。

Q14(2SD2560)のエミッターから Q7(2SC793-Y:2SC4886)のコレクターへの配線は、線材を耐熱チュ

ーブに通し、放熱器を超えてトランジスタのケース(コレクター)に接続する。Q14(2SD2560)のエミッタ

ーとパワートランジスタ Q7(2SC793-Y)のコレクターの中間に中継端子を追加した。Q19(2SB1647) のエミ

ッターと Q8(2SA663-Y) のコレクター間も同様である。この中継点にパスコン 33µFを接続する。

基板取付用アルミ板の裏側(放熱器側)には Q14(2SD2560)と Q19(2SB1647)をマイラー板を挟んで取り付

けている。

Q9(2SC3423)は、パワートランジスタに熱結合しなければならないが、事務用のクリップを加工して

抑え金具を作り、5mmの金属製サポーターを使って少し金具を持ち上げて、2SC3423抑えやすいようにし、

2SA663 に接触させて熱結合した。

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リアパネル加工

筐体で最初に加工を行ったのは、リアパネルだ。ヒューズホルダーやACインレット、スピーカー端子

などが、けっこうスペースが必要で、内部シャーシとの位置関係を確認する必要がある為。特に問題ない

ことが確認できた。

フロントパネル加工

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フロントパネルには。パネルの内側にボリュームの回転止め用に厚さ 1.5tのアルミ板を入れた。ただ、

こうすると、付属のワッシャーを使うと、フロントパネルに出ているボリュームのネジ山にかからず、固

定できない。仕方ないので、ワッシャーを使用せず固定した。

なお、回転止め用の 1.5tのアルミ板を入れたのは、フロントパネルに直接ボリュームをねじ止めする

と、つまみとフロントパネルの間に 4.5mm 程の隙間ができる為で、この隙間はできれば 1mm 以下にした

いところだ。しかし、そうするためには、ボリュームの軸をカットしなければならない。ボリュームの軸

を 3.5mm カットするのは難しい。そこで少しでも隙間を少なくする為、1.5t のアルミ板を入れて、隙間

を 3mmにした。これでガマン。

レタリングはテプラの透明シートを使用。ボリュームのつまみの周りに角度を示すドットを入れたい

ところだが、テプラでは難しい。

内部シャーシ―加工

内部シャーシには放熱器の放熱用の丸穴を多く開ける必要がある。加工に使う道具はハンドドリルと

リーマーしかない。しかし、リーマーも使えない大きな丸穴は、直径数ミリのドリルで、円周の内側に沿

って開けて作成するしかない。この為、円形にドリルで穴あけする加工図を作成した。

これを、プリンターで印刷し、内部シャーシに張り付けて合穴あけする。

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リーマーで広げることが出来ないサイズの丸穴は、まず、円周の内側に沿ってドリル(私の場合はハン

ドドリル)で穴あけし、穴を切れなくなって、使えなくなった様なニッパか、丸やすりで丸の間をつなぎ、

切り取り、最後に半円のやすりで円形に仕上げる。あと、17穴残っている。1穴半日仕事なので、まだま

だ先は長い。根気が必要。

約 1 週間強を要して内部シャーシの穴あけが完了。真円ではなく、少し歪な円もあるが、放熱穴なの

で、まっいいか。

内部シャーシは、この筐体にあっておらず、ひと回り小さいので、正規の固定の仕方では固定できな

い。そこで、内部シャーシに付属する取付冶具と筐体のフレームの加工を行う。取付軸には、筐体に取り

付けるφ4.5mmビス穴を開け、筐体のフレームには、底板を止める側から皿ネジのビス穴を開ける。元々

の取付冶具の取付用の穴は、ちょうど底板の取付ビス穴位置になるので、そのままビスが貫通する様に

利用する。

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内部シャーシの組み上げ

当初、ドライバー段の整流回路はフロントパネル側に置く予定であったが、

平滑コンデンサ基板の上に置く二階建て構造とすることにした。これにより、

線材の引き回し長が短くなる。11KΩのブリーダー抵抗は裏付けした。

出力段の整流回路も 15mm のサポーターだと底の方~に埋まってしまうの

で、30mm高のサポーターで取り付けることにした。

電源トランス、整流・平滑回路基板、平滑コンデンサ、パワートランジスタ用放熱器(アンプブロック)

を取り付け。まだ、フロント/リアパネルへの配線はしない状態にしておく。また、平滑コンデンサと定

電圧回路基板、定電圧回路基板とアンプ基板との間の配線もしないでおく。

パワートランジスタの再測定

2SC793の hFEが 2SA663の 40%程度であまりにも差がある為、以前購入してストックしてある 2SC793の

使用を検討した。この結果、ストックしていた 2SC793の hFEは 60%で、これでもまだまだ、バランスしな

いが 40%に比べればまだマシなので、こちちらを使用することにした。もっと、揃っているようにしたけ

れば、現在入手できるトランジスタを使用すれば済むことである。しかし、本機作成の目的が、お蔵入り

していた昔の石を復活させることなので、これでガマンすることにした。

IB IC hFE IB IC hFE IB IC hFE

2SA663-Y 右 2SA793-Y 右 2SA793-Y ストック右

314.5µA 30.01mA 95.39 772µA 30.01mA 38.87 532µA 30.01mA 56.40

600µA 60.0 mA 100.00 1431µA 60.0 mA 41.93 970µA 60.1 mA 61.96

883µA 90.0 mA 101.93 2051µA 90.0 mA 43.89 1386µA 90.1 mA 65.01

2SA663-Y 左 2SA793-Y 左 2SA793-Y ストック左

336.6µA 30.0mA 89.13 781µA 30.02mA 38.44 598µA 30.03mA 50.67

643µA 60.1mA 93.47 1443µA 60.1 mA 41.65 1026µA 60.04mA 58.52

944µA 90.1mA 95.44 2055µA 90.0 mA 43.80 1416µA 90.3 mA 63.77

筐体内部配線

(1) AC電源ライン、整流・平滑回路の配線

内部シャーシを筐体に取り付け、まず最初に AC電源ラインと整流・平滑回路までを配線し、問題なく

電圧が出ていることを確認した。記事では、配線完了後、スライダックで徐々に電圧を上げて確認する様

に指示されているが、スライダックは所有していないので、部分的に確認してゆくしかない。

最初、1A のヒューズで、確認を行おうとしたら、ヒューズが切れてしまう。56Ωの抵抗で、平滑コン

デンサの電荷を放電後、どこか短絡しているのかと思い、確認しては、電源 ONでヒューズが切れ、電荷

放電を 5~6回繰り返し、ストックしていたヒューズを使い切った。考えてみたら、平滑コンデンサへの

充電の為、突入電流が多いはずで、3A のヒューズをホームセンターで買ってきて試したところ、何も問

題はなかった。ヒューズはできるだけ、小さい値の方が安全だと思うので、完成時に何 Aのヒューズが適

切か調べることにした。

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(2) スパークキラー

スイッチ ON/OFF時のスパークによるノイズを吸収する為、スパークキラーを使用しているが、これま

では、スッチの両端に取り付けていた。しかし、岡谷電機産業のホームページを見ると交流回路の場合は

負荷の両端に接続する方法が推奨されている。今回以降はこれに従うことにした。

岡谷電機産業のホームページは、WEBブラウザの検索キー入力欄に「スパークキラーの選定方法」と

入れて検索すると説明ページが出てくる。

(3) 定電圧回路基板の配線

基板の穴ピッチ 2.54mmなので、線材を基板に配線するとき、接触・短絡し

やすい。ひげのように出ていた半田か線材の線 1 本が接触・ショートしてい

て、電源を入れたとたんパチンを音がして、ツェナーダイオードが弾けて壊れ

た。そこで、パターンの配線を 1 つ穴おきになるように変更。かつ、間の配線

で使用しないランドは削り取った。正く電圧が出力されていることを確認。

この後、2SB1647/2SD2560との結線、スピーカー保護回路との結線用のケー

ブル引き出し、アンプ基板との結線用のケーブル引き出しを行った。

結線するケーブルの本数を数えたら 20本にもなり、結構複雑。

ところで、DAIEI電線を使って結線しているが、もう 1 色、緑がほしい。マ

イルールで色分けをトランジスタへの結線時ベースは黄色、コレクターは正

電源の時は赤、負電源の時は青、エミッターは緑と決めている。今回は、±16V

と±24Vの2電源にしたので、ここも赤と青、橙と緑と色分けしたい。ただ、

無いものねだりをしても仕方ないので、エミッターを緑→白、±24Vの負側を

緑→黄として配線した。

また、この段階で 2SB1647/2SD2560との結線の際、放熱器への基板取付アル

ミ板に中継端子を追加して、定電圧回路基板から 33µFの電解コンデンサを移

設した。パワートランジスタに近い位置に取り付けた方が良いと判断した為。

(4) アンプ基板の配線

パワートランジスタとの結線、リアパネルの出力端子への接続、スピーカー保護回路との結線の為の線

材の引き出し、入力のアースの結線、モガミの 2511で入力からボリュームまで結線した。

基板のサポーターが 10mmだと線材が多くきついので 15mm のサポーターに交換した。

(5) スピーカー保護回路基板の配線

定電圧回路基板から±V2、アースを接続。アンプ基板の出力を結線。定電圧回路基板の G、Hにそれぞ

れ接続。(調整段階で動作チェックするのでこの段階でアンプ基板の出力に接続しない方が良かった。確

認の為、アンプ基板の出力への配線を一度取り外す必要が出てくる。)

(6) LED点灯回路

LED を平滑後の電源に電流制限抵抗だけで接続すると、平滑コンデンサの放電が終わるまで、輝度が

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徐々に落ちながら時間をかけて消灯する。なるべく早めに消灯する様にしたかったので、追加で金田式

アンプのバッテリーチェック回路を入れた。基板は、電源 SW側に設置。電源は V2(平滑後の電圧±22.6V)

を使用した。

LED は、メンテナンスの際、取り外しし易いように水性ボンドで固定した。

(7) その他配線

入力ピンジャックからボリュームまでをモガミ 2511で配線。2511の心線は細く、かつ、ケーブルが太

くて硬く柔軟でないので、ぐりぐり動かすとすぐ断線する。そこで最後に配線する様にした。ケーブルの

外側のシールド線を撚って先に端子のアース側に配線し、心線は、その後、そっと寄り添うように端子の

心線に接続する気持ちで配線した。これで筐体内配線が完了した。

ただ、配線を最後にしたつもりだったが、この後の調整で、パネルを取り外したりしてる間に左 chの

心線が RCA端子の部分で断線した。音出しで全く左 chから音が出ないので焦ってしまった。別の柔らか

いシールドケーブルで仮配線しておき、全ての調整が終わってから、最後に配線した方が良かったかも

しれない。

6.2KΩ HZ6C2

3KΩ

36KΩ 36KΩ

AC9V AC0V - AC9V AC0V - +V2

-V2

6.2KΩ HZ6C2

3KΩ

36KΩ 36KΩ

AC9V AC0V -

- +V2

-V2

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調整・動作確認

スライダックは無いので記事に記載されている調整は出来ない。

代替方法の 100Ωの挿入は行わず、素子の破壊を覚悟して電源 ON…。無事の様。

各部の電源測定したが、ドライバー段の電源が供給されていない事が判明。調べてみると、スピーカー

保護回路のトランジスタが、NPN と PNPを取り違えている箇所が 2箇所あった。パターン図を書く時点で

既に間違えていたので訂正。基板も修正した。この訂正の際、定電圧電源基板のケーブルを余裕持たせず

最適な長さで配線したためアンプブロックを取り外せず、背面パネルを取り外さなければならなくなっ

た。前述したが、この作業の影響で、モガミ 2511の左 ch が断線して再度接続しなおしした。

次にバイアス回路の電圧を測定。2つの 470Ωのバイアス回路側間を測定する。バイアス回路の 500Ω

の半固定抵抗を Maxにしても 2.5V以下にならない。そこで、バイアス回路の半固定抵抗の中点で 2.4Vに

なるよう 1KΩの抵抗値を変更することにした。測定して値が 1.3KΩが最適と判断し交換した。

次に、スピーカー端子に 56Ω5W の酸化金属皮膜抵抗を7つパラ接続した 8Ωのダミーロードをスピー

カーの代わりに接続し、入力を最小に絞って、初段の 5KΩ(記事の回路では 1KΩ)を調整して、出力の

ドリフトが最小になる様に調整。

続いて、出力トランジスタのエミッタ抵抗 0.1Ωの電圧降下が 3mV つまり Io=30mA となる様に調整し

た。出力ドリフトの調整が 0Vであれば、正負のエミッタ抵抗の電圧降下は一致するはずである。2つの

半固定抵抗を交互に納得行くまで時間をかけて調整した。

記事には触れられていないが、スピーカー保護回路の動作確認をしておくべきと思い、確認を行った。

スピーカー端子には、8Ωのダミー抵抗を接続。一旦、スピーカーへの接続側の配線を外し、ボリュー

ム 10kΩ(B)の端子 1、2 を接続。端子 1,3 にニッケル水素電池(1.2V)を接続して、ボリューム回して電圧

を徐々に上げて行き、保護回路が動作することを確認した。

ところで、天板、底板への放熱穴の穴あけ加工を行っていないのだが、放熱器がまったく熱くならない

ので、暫くこのまま開けないで使用することにした。

Page 25: 無帰還 15W パワーアンプ 作成レポートmyaudio.sakura.ne.jp/無帰還15Wパワーアンプ.pdf- 3 - 基本方針 無線と実験の2016年4月号から6月号に3回連載で掲載された安井章氏の無帰還15Wパワーアンプの

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ヒアリング

実は、無帰還のパワーアンプを作るのは初めてだった。無帰還アンプは素子の選択で性能が大きく左右

されると思っている。それにもかかわらず、出力段のパワートランジスタの hfeはアンバランス。記事に

記述されている抵抗やコンデンサへのシールド対策や信号経路の CRによるノイズ対策、ACラインへのラ

インフィルターの挿入などは何も施していない。作り始めるときは、昔購入した半導体が蘇り、音が鳴る

アンプが出来ればればそれでいいや、それで満足と思っていた。

サブシステムのスピーカーで音出ししてみると、無帰還なので、周波数帯域が高域まで伸びていないの

であろうか、ヒスノイズの多いはずのルビーシュタインのショパンの夜想曲がいい感じで聞こえる。

いつもリファレンスとしているカールベーム/ウィーンフィルのベートーベン交響曲第 7 番の音色も

良いし、カラヤン/ベルリンフィル(1976 録音盤)のチャイコフスキーの悲愴交響曲のダイナミックレン

ジな音域もこなしている。

ノイズ対策していないけど、ノイズ感は全く無し。想像していたより、高分解能で断然音が良い。

これでいいや。満足、満足。