リスクコミュニケーションにお いて送り手に関する曖昧性が...

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武蔵工業大学環境情報学部助教授 広田すみれ 1 リスクコミュニケーションにお いて送り手に関する曖昧性が説 得効果に与える影響 研究論文 3-7 1章 問題提起 1.1 リスク(risk)の定義 「安全・安心」という言葉が口にされ、メディア で頻繁に取り上げられるようになった近年、リスク コミュニケーションという言葉もまた、人口に膾炙 されるようになった。2005年12月の朝日新聞(2005) 社説では牛肉輸入再開と BSE 問題を論じる中で、 リスクコミュニケーションの重要性を説いている。 しかし、現実には「リスク」も「リスクコミュニケー ション」も必ずしも一般にはあまり正確に理解され ているわけではない。 リスク(risk)という用語は極めて広範な領域で 用いられていることもあり、その定義は必ずしも統 一的ではない。リスク研究学会ではリスク学事典に おいて、リスクの定義に関する違いの眼目は、「望 ましくない事象の発生頻度が、確率(分布)で与え られるか否かにあり」、「与えられるものは狭義のリ スク」で、その定義の最大公約数は、「生命の安全 や健康、資産や環境に、危険や障害など望ましくな い事象を発生させる確率、ないしは期待損失」とし、 一方広義を「危険や傷害など望ましくない事象をも たらす可能性(不確実性:uncertainty)と呼ぶ(木 下,2000)」としている。また加えて事象の望ましさ /望ましさは一義的に定義できるものではないこと を述べている。 リスクの語源は Oxford English Dictionary によ ればラテン語の risicare であり、「崖の間を航行す る」という意味があることから、能動的要素を含む のがリスクの特性であるとする研究者もいるが、こ の考え方はそれほど一般的ではない。前述の定義に もあるように、むしろ、「崖の間を航行する」こと のうち、船がぶつかって沈没するとも限らないよう な偶発事故(peril)の生ずる「可能性」こそがリ スクという用語が色濃く持つ特徴であると考えられ る。特に経済学・経営学分野での領域では後述の Knight(1921)の定義のように確 率 な ど を 用 い、 可能性や発生頻度を中心にリスクを捉えることか ら、この領域では一般的に利得・損失に関わらず広 く経済活動や経営活動に伴って生ずる不確実性と考 えられているようである(例えば石井,2002)。 リスクが現代において注目されているのは、確率 や統計的手法を使った不確実性の管理が現在に至っ てようやく一般化したことが1つの理由だろうと推 測される。 1.2 リスクコミュニケーション リスクは不確実性を制御するという考え方を背景 に、確率論と重なる極めて長い歴史を持っている (バーンスタイン,1998)。リスクの制御と確率論が なぜ深い関係にあるのか、一見理解しにくいと思わ れるが、生命保険の例を考えるとわかりやすい。あ る個人にとって、いつ死が訪れるかはまったく予測 不可能な事態であり、不確実で制御不可能である。 しかし、同一のリスク下にある十分多数な集団、例 えば同じ年に生まれた同性の集団については、大数 の法則に従うことから、生命表に基づいて統計的に 毎年どのくらいの死亡者が出るかを確率的に推定す ることができる。そこで、その集団の構成者の死亡 による損害の合計額を逆算し、保険団体を構成する 個々人であらかじめ公正に分配することができれ ば、個人から団体へリスクを分散し、リスクに対す る対処をすることが可能になる。このように、統計 や確率による知見を利用してリスク管理は行われる ため、リスクとその管理は確率論と切ることのでき 105 武蔵工業大学環境情報学部開設10周年特集号

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Page 1: リスクコミュニケーションにお いて送り手に関する曖昧性が …し、理解を共に深め、合意形成をするという双方向 性を重要視したリスクコミュニケーションに対して

1 武蔵工業大学環境情報学部助教授

広田すみれ1

リスクコミュニケーションにおいて送り手に関する曖昧性が説得効果に与える影響

研究論文 3-7

1章 問題提起

1.1 リスク(risk)の定義

「安全・安心」という言葉が口にされ、メディア

で頻繁に取り上げられるようになった近年、リスク

コミュニケーションという言葉もまた、人口に膾炙

されるようになった。2005年12月の朝日新聞(2005)

社説では牛肉輸入再開と BSE 問題を論じる中で、

リスクコミュニケーションの重要性を説いている。

しかし、現実には「リスク」も「リスクコミュニケー

ション」も必ずしも一般にはあまり正確に理解され

ているわけではない。

リスク(risk)という用語は極めて広範な領域で

用いられていることもあり、その定義は必ずしも統

一的ではない。リスク研究学会ではリスク学事典に

おいて、リスクの定義に関する違いの眼目は、「望

ましくない事象の発生頻度が、確率(分布)で与え

られるか否かにあり」、「与えられるものは狭義のリ

スク」で、その定義の最大公約数は、「生命の安全

や健康、資産や環境に、危険や障害など望ましくな

い事象を発生させる確率、ないしは期待損失」とし、

一方広義を「危険や傷害など望ましくない事象をも

たらす可能性(不確実性:uncertainty)と呼ぶ(木

下,2000)」としている。また加えて事象の望ましさ

/望ましさは一義的に定義できるものではないこと

を述べている。

リスクの語源は Oxford English Dictionary によ

ればラテン語の risicare であり、「崖の間を航行す

る」という意味があることから、能動的要素を含む

のがリスクの特性であるとする研究者もいるが、こ

の考え方はそれほど一般的ではない。前述の定義に

もあるように、むしろ、「崖の間を航行する」こと

のうち、船がぶつかって沈没するとも限らないよう

な偶発事故(peril)の生ずる「可能性」こそがリ

スクという用語が色濃く持つ特徴であると考えられ

る。特に経済学・経営学分野での領域では後述の

Knight(1921)の定義のように確率などを用い、

可能性や発生頻度を中心にリスクを捉えることか

ら、この領域では一般的に利得・損失に関わらず広

く経済活動や経営活動に伴って生ずる不確実性と考

えられているようである(例えば石井,2002)。

リスクが現代において注目されているのは、確率

や統計的手法を使った不確実性の管理が現在に至っ

てようやく一般化したことが1つの理由だろうと推

測される。

1.2 リスクコミュニケーション

リスクは不確実性を制御するという考え方を背景

に、確率論と重なる極めて長い歴史を持っている

(バーンスタイン,1998)。リスクの制御と確率論が

なぜ深い関係にあるのか、一見理解しにくいと思わ

れるが、生命保険の例を考えるとわかりやすい。あ

る個人にとって、いつ死が訪れるかはまったく予測

不可能な事態であり、不確実で制御不可能である。

しかし、同一のリスク下にある十分多数な集団、例

えば同じ年に生まれた同性の集団については、大数

の法則に従うことから、生命表に基づいて統計的に

毎年どのくらいの死亡者が出るかを確率的に推定す

ることができる。そこで、その集団の構成者の死亡

による損害の合計額を逆算し、保険団体を構成する

個々人であらかじめ公正に分配することができれ

ば、個人から団体へリスクを分散し、リスクに対す

る対処をすることが可能になる。このように、統計

や確率による知見を利用してリスク管理は行われる

ため、リスクとその管理は確率論と切ることのでき

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武蔵工業大学環境情報学部開設10周年特集号

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ない長い歴史を持つ。

これに対しリスクコミュニケーションはごく新し

い用語である。1989年に“Improving risk commu-

nication”という本が National Research Council に

より出版されているが、この直前、1987年頃が初出

ではないかと思われる。リスク研究の嚆矢である

Risk Analysis でも、それ以前に極めて多かったリ

スク認知(risk perception)の論文が減り、この時

期を境に急激にリスクコミュニケーション関連の論

文が増加している。

このように、米国においてリスクコミュニケー

ションという用語が出現し、注目されるようになっ

た状況には背景がある。それはその時に社会的安全

が脅かされるような変化が生じたからではなく、む

しろリスク管理に関する考え方に、ある転換があっ

たためである。経済学者 Knight(1921)がリスク

を定義した時期以降、意思決定論的な手法を用いて

リスク管理を行うことが考えられてきたが、意思決

定論的な手法から生まれる規範解の絶対的な合理性

についての疑問が生じ、またそれらに基づいた社会

的合意形成が難しいことが明らかになった。特に、

70年代から80年代にかけて、人々の確率や数量的情

報に関する認知や判断にはさまざまなバイアスが存

在する、という Kahneman,Slovic & Tversky

(1982)に代表される実証研究に基づいた記述的意

思決定研究は、確率や統計に基づく決定理論による

回答をもって人々を説得することが極めて困難であ

ることを明らかにした。

この結果、80年代半ばには普遍的な規範「解」を

追究するのではなく、そこに存在するバイアスなど

を含めた情報開示を行ったうえで、最終的には主体

の自由な決定にゆだねるという、手続き的な正当性

に基づいて決定を行おうという考え方が主流となっ

ていった。すなわち、リスクに関するある特定の回

答や政策を受け手の人々に理解させる、または場合

によっては「強制」するのではなく、送り手側と受

け手側の双方がリスク情報に基づいて情報を交換

し、理解を共に深め、合意形成をするという双方向

性を重要視したリスクコミュニケーションに対して

関心が向くことになったのである。このような経緯

から、リスクコミュニケーションについてよく知ら

れる National Research Council(1989)による定

義、「関与者集団間の、健康や環境リスクに関する

何らかの目的的な情報の交換」では、送り手が受け

手を説得するという従来モデルではなく「交換」と

いう語が使われている。

1.3 リスク性と曖昧性、無知性状況

さて、経済学分野におけるリスクのもっとも著名

な定義は Knight(1921)によるものである。Knight

は不確実な状況の定義としてリスクを「先験的、理

論的に、あるいは統計的に確率が知られているも

の」、不確実性(uncertainty)を「確率さえ知られ

ていないもの」として定義した。

これに対して、不確実性状況にさらに区別が存在

する可能性を実験的に示したのが Ellsberg(1961)

である。Ellsberg は現在では一般的に「エルスバー

グの壷」として知られる以下のような問題を示した。

(オリジナルは多少形式が異なるがここでは一般的

に知られている形式を示す。)

共に100個の玉が入っている壷から玉を取り

出すとき、赤を取り出すと1万円もらえる。以

下の2つの壷のうち、どちらから取り出すのを

好むか。

(ア)赤玉50個と白玉50個からなる100個が

入った壷

(イ)赤白の個数はわからず、合わせて100

個の玉が入っている

この問題の(イ)では赤白の2種類の合計は明ら

かになっているものの、その割合はわからない。す

なわち、(ア)も(イ)も不確実性状況であり、し

かしそこにはさらなる区別が可能であることが示さ

れている。これを Ellsberg は「曖昧性(ambiguity)」

であるとし、前述の問題で多くの人は(ア)を選択

することから、人々はこの曖昧性を忌避するとした。

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Page 3: リスクコミュニケーションにお いて送り手に関する曖昧性が …し、理解を共に深め、合意形成をするという双方向 性を重要視したリスクコミュニケーションに対して

図1 2次確率で表現した曖昧性

図2 2次確率で表現したリスク性

1.4 2次確率による曖昧性状況の表現

曖昧性に対してはその後しばらくたってから実証

的な研究が盛んになったが、Einhorn & Hogarth

(1985)は Ellsberg の壷場面のような曖昧性を、2

次確率分布を用いて記述することを提案した。2次

確率を用いたこの曖昧性の記述を、Gärdenfors &

Sahlin(1982)の出したリスク性、曖昧性、無知性

についてのテニスの試合の例を用いて説明する。

「ジュリーが3つのテニスの試合についての賭けに

招待された。試合 A に関して、彼女は2人のプレー

ヤーについてよく知っていた。(中略)こうした情

報から、ジュリーはほぼ互角の試合になり、ほんの

ちょっとした運が勝者を決めると予想した。試合

B ではプレーヤーの力の差について何も知らず、

勝者を予測する他の情報も無かった。試合 C は試

合 B と似ているが、たまたま一人のプレーヤーが

強いということを耳にした点が異なっている。しか

し、そのプレーヤーがどちらなのかはわからない。

(訳は増田,2006)」

この場合試合 A はリスク性、B は無知性、C は

曖昧性を表わすが、試合 C は図1のように、X 軸

を事象の確率、Y 軸をその事象の出現確率として

2次確率であらわすことが可能である(X 軸の1

はこの場合一方が強いことを、0はもう一方が弱い

ことを示しているが、どちらがそうであるかは判明

していないので Y 軸は共に.5となる。)

これに対して、リスク性は1次確率.5の位置に

Y 軸の高さが1となり(図2)、無知性は Y 軸の.5

の位置に横一線を描くことにより示すことができ

る。

このような方法を用いることにより、曖昧性はさ

らに詳細に区分・記述することができる。これを利

用して広田・増田・坂上(2001)では、同一の平均

確率であるが異なる形をしたさまざまな曖昧性状況

での賭けについての人々の選好を一対比較により検

討し、曖昧性状況であっても一概にリスク性より忌

避されるわけではなく、2次確率の凸型分布は比較

的好まれる傾向にある一方、凹型は嫌われ、特に1

次確率が大きく異なる場合は強く嫌われる傾向にあ

ることを明らかにしている。

1.5 曖昧性とリスクコミュニケーション

さて、このように2次確率で曖昧性を捉えること

により、リスクコミュニケーションにおける情報源

とメッセージの問題も同様に展開して考えることが

できる。すなわち、X 軸を送り手、確率を表わす

Y 軸をメッセージと考えると、例えば「一人の天

気予報官が、明日降雨がある確率を50%と言ってい

る」という状況は図2にあたり、「100%雨が降ると

いう天気情報会社が1つあり、一方雨が降る確率は

0%という天気情報会社がもう1つある」という曖

昧性状況は図1に対応するものとして考えることが

できる。現実的にも、このようにメッセージの送り

手である企業や行政、専門家などが当該の問題に対

して異なる評価や態度を持つのは、リスクコミュニ

ケーションに関してはしばしばありうることであ

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武蔵工業大学環境情報学部開設10周年特集号

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「遺伝子組み換えを行ったある作物Vが安全かどうかについて、これを長期間にわたって摂取した動物での健康状態を調べた研究から、関連がある可能性が主張されている。」この意見について、専門家は次ページのような見解を出しています。

G.遺伝子組み換え作物の安全性(損失・研究)

「若年層の男女によく利用されている髪染めの薬剤Qについて、この中のある化学物質の効果により、長期間の連続使用を行うと発毛が抑制される」という研究が行われ、影響がある可能性が主張されています。この主張について、専門家は次ページのような見解を出しています。

F.あるヘアダイ Q の安全性(損失・研究)

「3歳までの外国語の早期教育は子供の外国語の習得能力の向上に有効である」という主張があります。この主張について、専門家は次ページのような見解を出しています。

E.外国語の早期教育の有効性(利得・研究条件)

「不動産関連会社YYYYは今年の上半期についてあまり業績が思わしくない。一定の売り上げはあるものの、今後の先行きについて不安材料もある、という見方が伝わっている。」あなたはこの会社の株をもっていると考えてください。この会社について、何人かの専門家が次ページのような意見を出しています。

D.不動産関連株の購入(利得・低確率状況)

「金融関連会社ZZZZは今年の上半期についてずっと業績が思わしくない。一部では業績悪化で倒産危機もある、という見方も伝わっている。」あなたはこの会社の株をもっていると考えてください。この会社について、何人かの専門家が次ページのような意見を出しています。

C.金融関連株の購入(損失・高確率状況)

「ある食品関連会社XXYYは来月株式上場する予定。この会社は一定の売り上げが上がっているものの、多少不安材料もある。」あなたはこの会社の株を買うどうかを検討しています。この会社の株について、何人かの専門家が次ページのような意見を出しています。

B.食品関連株の購入(利得・低確率状況)

「あるインターネット関連会社XXXXは来月1日に株式上場する予定である。この会社は近年業績は順調に伸びており、将来有望だといわれている。また上場の際の価格は比較的安価になることが予想されている」あなたはこの会社の株を買うどうかを検討しています。この会社の株について、何人かの専門家が次ページのような意見を出しています。

A.インターネット関連株の購入(利得・高確率状況)

メ ッ セ ー ジ

表1 提示したメッセージ

る。また、リスクコミュニケーションでは送り手間

だけでなく、研究間で結果が異なる場合も考えられ

る。

ではこのように、複数の情報源などから異なるリ

スクメッセージが送られる場合、受け手の態度はど

のように変化するのであろうか。そこで本研究では

2次確率を用い、このような情報源間で曖昧性があ

る状況において行われたコミュニケーションで受け

手の態度がどのように変化するかを検討する。

2章 情報源の曖昧性に関する実験研究

2.1 情報源の曖昧性に関する先行研究

社会心理学における説得的コミュニケーション研

究でのコミュニケーションのモデルでは、態度変容

に影響を与える送り手の重要な要因として信憑性

(credibility)を挙げている。この信憑性はさらに

送り手が「中立的な立場で情報を提供している信念」

である信頼性(trustworthiness)と、送り手が「メッ

セージについて専門的な知識を持っているという信

念」という専門性の2種類に分けられる。

リスクコミュニケーションでは特にこのうち信頼

性が重要な要因であるが、このことはすでに述べた

ように、複数の情報源が異なるリスクメッセージを

出すような曖昧な状況において、情報源の要因が説

得効果に強く影響を与えていることが予想される。

この問題に関する先行研究としては Smithson

(1999)が挙げられる。彼は情報源に曖昧性または

コンフリクトが存在する状況において、人々の選好

を調べる実験的研究を行い、リスクメッセージが対

立的な場合(例えば「予測 A では竜巻が町 X に直

撃しそうであり、予測 B は竜巻が町 Y に直撃しそ

うだと予測している」))と、曖昧な条件(「予測 A

と B はともに竜巻が X または Y の町のどちらか

を直撃しそうだと予測している」に対する受け手の

選好を、複数の状況(自動車に関する目撃者の証言、

アルミとアルツハイマーの関係に関する専門家の意

見など)で比較した。その結果、2つの情報源が対

立的な場合よりも、曖昧だが情報源が一致している

場合の方が好まれることを明らかにした。しかし、

これらはコミュニケーションと情報源に関してコン

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フリクトが存在する状況と曖昧性状況のどちらを好

むかを検討しているものであり、直接的にそのよう

なコミュニケーションによる説得効果を検討してい

るわけではない。

そこで、本研究では第1の目的として、複数の情

報源が異なるリスクメッセージを出す状況を前章で

述べた曖昧性状況として捉え、2次確率という観点

から情報源の曖昧性を変化させ、リスク性と2種類

の曖昧性に変化させた場合の態度変容への影響を探

索的に検討する。

第2に、曖昧な情報源による説得効果が時間経過

後どのように変化するかを検討する。説得的コミュ

ニケーション研究で、送り手の信憑性に関わる著名

な知見としてスリーパー効果がある(Hovland,Janis

& Kelley,1953)。これは信憑性のない送り手による

説得は、直後は信憑性のある送り手の場合に比べて

受け手の態度変容は少ないものの、時間経過後には

唱導方向への態度変容が増加する(絶対スリーパー

効果)、あるいは信憑性が高い場合に比べ、時間経

過後の態度変容の減少が少ない(相対スリーパー効

果)という現象を指す。この現象が起こる理由とし

ては、時間経過後送り手とメッセージが分離する分

離仮説、あるいは送り手に関する記憶とメッセージ

の記憶とでは前者の方が忘却速度が早いことから生

ずるという仮説がある。

Hovland ら(1953)に始まるスリーパー効果の

実験では送り手の信憑性は言語的に高・低に操作さ

れるが、リスクコミュニケーションにおいては各情

報源が専門性や信頼性の点で信憑性を持っていて

も、送り手間で意見が分かれ、曖昧な状況を生みや

すい。類似状況として例えば Lariscy & Tinkham

(1999)は政治広告において候補者の肯定的情報に

引き続き相手陣営による否定的情報に接した場合、

時間経過後にスリーパー効果が出ることを示した。

そこで、本研究ではもう1つの目的として、送り手

に関する曖昧性を含む状況において、受け手の態度

変容が時間経過後にどのように変化するのかを実験

的に検討する。

なお、本報告では全体の実験結果のうち、条件別

での情報提示の直後の態度変容と、応用的な3つの

メッセージへの時間経過後の態度変容の結果を中心

に述べる。

2.2 方法

2.2.1 提示したメッセージ

実験で提示したメッセージは7種類(表1)であ

る。A~D の4つは売買を考えている株式の性質に

関するもので、A と B が株式購入を検討する利得

場面で A が平均確率70%の高確率条件、B が30%

の低確率条件、C と D は株式の売却を考える損失

場面で損失確率が70%(C)または30%(D)のも

のである。E~G は専門家ではなく、研究に関する

不一致の存在という、異なる種類の曖昧状況の影響

を検討する目的で設定したものである。具体的には

研究結果に不一致が起こることが予想され、実験参

加者が身近に感じやすいと思われるような場面(E.

英語の早期教育、F.ヘアダイの化学物質の危険性、

G.遺伝子組み換え食品の危険性)でいずれも平均

確率は50%である。

2.2.2 実験条件

情報源の要因操作はそれぞれのメッセージに関し

て、7または8人の専門家がこのメッセージに関し

て述べた見解を条件別に変化させ提示することで

行った。

株式売買メッセージ(A~D)では1)リスク性

条件(どの専門家も同じ確率で評価)、2)曖昧性

条件(専門家によって確率が異なり、高確率は48~

92%まで、低確率は8~52%まで変動)、3)曖昧

性-専門家コンフリクト条件(専門家が4名ずつ、

低確率と高確率の2つに分かれて高確率は45または

98%、低確率は8または55%)のいずれかの3条件

で、被験者間要因である。したがって、一人の実験

参加者は A~D について、この3条件のいずれか

1つを通して評価することになる。

高確率と低確率の2条件を設定した理由は、先行

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「研究の結果、対象のうち約35%で関連がなかった。」「研究の結果、対象のうち約40%で関連がなかった。」「研究の結果、対象のうち約45%で関連がなかった。」「研究の結果、対象のうち約50%で関連がなかった。」「研究の結果、対象のうち約55%で関連がなかった。」「研究の結果、対象のうち約60%で関連がなかった。」「研究の結果、対象のうち約65%で関連がなかった。」

OPQRSTU

曖 昧 性 条 件

専門家の50%が関連がないと主張し、残りの50%は関連があると主張している。コンフリクト(専門家)条件

「研究の結果、対象のうちほぼ100%で関連が見られた。」「研究の結果、対象のうちほぼ100%で関連が見られた。」「研究の結果、対象のうちほぼ100%で関連が見られた。」「研究の結果、対象のうちほぼ100%で関連は見られなかった。」「研究の結果、対象のうちほぼ100%で関連は見られなかった。」「研究の結果、対象のうちほぼ100%で関連は見られなかった。」

OPQRST

コンフリクト(研究)条件

「研究の結果、対象のうち約50%で関連が見られた。」「研究の結果、対象のうち約50%で関連が見られた。」「研究の結果、対象のうち約50%で関連が見られた。」「研究の結果、対象のうち約50%で関連が見られた。」「研究の結果、対象のうち約50%で関連が見られた。」「研究の結果、対象のうち約50%で関連が見られた。」「研究の結果、対象のうち約50%で関連が見られた。」

vwxyzaabb

リ ス ク 条 件

専 門 家 意 見専門家条 件

表2 条件別 情報源の呈示例(ヘアダイQの危険性)

研究(増田・坂上・広田,2000)によれば、曖昧性

状況は必ずしも常に忌避されるわけではなく、平均

確率が高確率の場合は忌避されるものの、低確率の

場合は選好される傾向が見られるという知見が存在

するためである。

一方 E~G の研究結果メッセージでは主にコン

フリクトの影響を見る目的から、A~D における条

件3)を専門家が100%支持または支持しない結果

とし、またこれに4)研究コンフリクト条件(各研

究者が100%で支持する結果、または100%支持しな

い結果を出している)を加えた4条件である(表2

は各条件の提示例である)。これも被験者間要因で

あり、一人の実験参加者は E~G について、同一

の条件下で通してそれぞれのメッセージに対する評

価を求めた。

2.2.3 実験手続き

実験の主要部分はパーソナル・コンピュータを用

い、ExcelVB で作成したプログラムにより実施し

た。実験参加者はマウスを使って自分で画面上に表

示されたボタンをクリックして画面を進めていく形

式である。

実験参加者はまず実験への参加の了承を求める説

明画面を読み、了承の場合は了承のボタンを押し、

次の画面で簡単な自分のプロフィールを回答した。

次いでメッセージで示される実験場面に進む。こ

の実験場面は3画面で構成されている。第1画面は

リスクに関わるメッセージ、第2画面ではそのメッ

セージの情報源となる7~8人の専門家による意見

を提示した後、第3画面で実験参加者に、メッセー

ジの唱導方向に同調する程度を「15:まさに強くそ

う思う」から「8:どちらともいえない」を挟み「1:

全然そうは思わない」まで、15段階での評価を求め

る画面が提示される。この3画面が7つのメッセー

ジについて繰り返される。7つのメッセージの提示

順序は共通して A から F の順であった。

これらへの回答後、授業の一環として、実験とは

直接関連のない質問紙調査に回答し、その後、再び

7つのメッセージに対する評価を15段階で回答す

る。この際には特にメッセージ・情報源に関する情

報は与えられない。前半の実験は約10分程度で終了

し、時間経過後の質問紙への回答までの経過時間は

10分程度、最終的に時間経過後の質問への回答を

行った。実験は授業の一部を利用して行われ、時間

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図3 メッセージA~Dでの説得直後の条件別態度変容

経過後の評価まで含め、終了するまでに要した時間

は20~30分程度であった。

2.3 結果

実験参加者は文科系学部の大学生1~2年生30名

で、操作の誤りのあった2名を除いた28名(男18名、

女9名、平均19.6歳、SD.88歳)である。条件別の

回答者数は、メッセージ A~D についてはリスク

性条件が8名、曖昧性条件が11名、曖昧性(コンフ

リクト)条件が8名であり、E~G についてはリス

ク条件が8名、曖昧性条件が6名、曖昧性(コンフ

リクト)条件が8名、曖昧性(研究コンフリクト)

条件が5名であった。

2.3.1 直後の条件別 平均評定値

メッセージを与えた直後の条件別での平均評定は

図3のとおりである。全般に平均だけから見ると、

利得状況より損失状況の方が唱導方向への態度変容

が大きいことがわかる。

条件別に詳しく見ると、まず高確率と低確率では

利得状況と損失状況のいずれも高確率条件は低確率

条件よりも唱導方向への態度変容が起こっており、

実験操作が機能していることが確認された。

情報源による影響については、利得状況において

は曖昧性(コンフリクト)(高確率9.9;低確率4.4)

がリスク性(高確率9.4,低確率1.8)よりも、損失

状況では逆にリスク性(高確率13.6,低確率10.0)

が曖昧性(コンフリクト)(高確率11.3,低確率6.9)

よりも唱導方向に高い評定となっている。一方、曖

昧性条件(利得状況:高確率8.8,低確率3.3;損失

状況:高確率10.4,低確率8.5)については必ずし

も一貫した傾向は見られない。ただし、利得・高確

率以外は、リスク性に比べて曖昧性条件の方が利得

状況では態度変容に高く、損失状況では低く影響し

ており、まとめて見ると、リスク状況に比べて曖昧

性条件や曖昧性(コンフリクト)条件の方が、利得

状況では高い評定、損失状況では低い評定となって

いることがわかる。

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図4 利得・研究条件(E)での条件別評定の変化

図5 損失・研究条件(F)での条件別評定の変化

図6 損失・研究条件(G)での条件別評定の変化

一方、研究条件の E~G については直後の場合

はそれほど大きな違いは見られなかった。しかし、

これらのメッセージの場合はむしろ時間経過後に差

異を生じている。

2.3.2 時間経過後の評定変化(メッセージ E~G)

研究間のコンフリクトを加えたメッセージ E~G

では、直後はそれほど大きな差異は見られなかった

が、時間経過によって条件による差が開いた(図4

~6)。ただし、各条件内での時間経過による評定

の変化については有意差はほとんど見られず、メッ

セージ E(利得・研究状況)の曖昧性条件とコン

フリクト(専門家)条件(9.3→10.1,p<.05)、

曖昧性条件(10.9→12,p=.06)、メッセージ F(損

失・研究条件;ヘアダイ)のリスク性(10.9→7.9,

p=.07)、メッセージ G(損失・研究条件、食品)

の曖昧性(専門家)条件(9.8→11.1,p=.07)で

5%水準の有意差または有意傾向が見出された程度

である。コンフリクト(研究)条件では、いずれも

時間経過の効果は全く見られなかった。したがって、

これらの条件ではいわゆるスリーパー効果は見られ

なかったことになる(ただし、A~D については時

間経過による変化が見られ、条件間での差が小さく

なるスリーパー効果とみなされるものが見られた。

これについては広田(2003)参照。)

情報源の条件による違いを見ると、曖昧性条件、

すなわち専門家により意見にさまざまな散らばりが

ある状況が直後・時間経過後のいずれの場合も評定

はかなり高く、また特に曖昧性条件では全てのメッ

セージで時間経過後より評定が上昇しているのは注

目される。(E 直後10.9→12.0;F9.0→9.8;G9.2

→9.7)。

一方、リスク性条件ではメッセージ E で8.0→

7.9、F で10.9→7.9、G では9.4→10.4と F で多少

減少しているものの、直後の評定は時間経過によっ

てほとんど変化しなかった。

なお、研究コンフリクト条件や専門家コンフリク

ト条件はメッセージ G を除くとリスク性と曖昧性

の間に位置し、極端な評定にはならなかった。ただ

し、研究コンフリクト条件はどの条件でも有意では

ないものの、時間経過後に平均評定が下がる傾向が

あった(E:10.2→9.4,F:9.2→8.0,G:10.6→

8.6いずれも n.s.)。

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Page 9: リスクコミュニケーションにお いて送り手に関する曖昧性が …し、理解を共に深め、合意形成をするという双方向 性を重要視したリスクコミュニケーションに対して

2.4 考察

以上の結果から、情報源や研究間で異なるリスク

メッセージが存在するときの影響を考察する。

今回の研究での曖昧性条件はリスク性条件とは異

なり、情報源によりリスクメッセージに散らばりが

存在する。その場合、事前の予測として Smithson

(1999)の情報源に対する選好から見れば、曖昧で

はあっても一致した条件、すなわち今回のリスク条

件の情報源が好まれることが推測される。このこと

から敷衍すれば、実際にメッセージを受けた受け手

の態度変容についてもリスクメッセージの散らばり

に対して保守的、すなわち、メッセージの幅の中の

平均値よりメッセージ中の下限値に近い方向により

影響された態度変容が行われることが予測された。

また情報源の信憑性による影響という知見から見て

も、異なるメッセージの情報源があることは信憑性

を低めることになることから、より態度変容の量が

リスク条件に比べ、特に直後の場合は少ないことが

予測でされた。

しかし、実際には本研究の場合、曖昧性条件にお

いて受け手の態度変容はリスク性条件よりも利得状

況ではむしろ高い方向になり、またメッセージ C・

D の損失状況では相対的に評定は低くなった。メッ

セージ A~D は利得状況では「株を購入する」の

を勧めるような専門家の判断、損失状況は「株を売

却する」のを薦めるような専門家の判断が提供され

ていることから見ると、利得状況では提供された情

報のレンジのより上限に近い値に、損失状況ではレ

ンジのうちで下限に近い値に基づいて評定している

といえる。とすれば、利得状況では相対的にリスク

選好、損失状況では相対的にリスク回避傾向の決定

がなされていることになる。

一方メッセージ E~G については直後について

は情報源による差はそれほど見られなかったもの

の、時間経過後はいずれの場合も曖昧性条件が相対

的に唱導方向に高くなる傾向が見られた。これらは

しかし、損失状況で同条件が相対的に低い評価と

なったメッセージ C・D とは異なる傾向であること

から、損失状況については必ずしも曖昧性について

一貫している傾向とはいえない。

しかし、少なくとも利得状況に関しては、曖昧性

が存在していても、情報として幅がある場合、必ず

しも常に情報に対して忌避・保守的になるわけでは

なく、むしろ利得状況においてはリスク性の情報よ

りも上限値に影響されているといえる。

一般に、利得状況と損失状況では利得状況ではリ

スク回避、損失状況ではリスク選好になることがこ

れまでの知見から知られている。しかし、今回のよ

うな曖昧性状況の場合、情報としてレンジがあるこ

とで、利得状況の場合はむしろリスク性の情報より

も受け手の態度により説得方向に、言い換えればリ

スク選好に働いているといえる。なお、本研究のメッ

セージは株を購入するという、受け手にとってリス

ク選好を引き出しやすい状況とも考えられたが、実

際には広田(2004,2005)における異なるシナリオ

の利得状況(レストランの選択、旅行先の選択)の

場合も同様にリスク性よりも相対的に高い評定が行

われる結果が得られており、利得状況に関しては

メッセージの内容にかかわらず安定的であることが

明らかになった。

このことから見ると、日常的な状況の場合、複数

の異なる意見が存在していても、それが自分にとっ

て利益になる可能性がある場合、より高い評価に意

思決定が影響されることになる。

なおメッセージ A~D は直後に、メッセージ E

~G については時間経過後に情報源の要因による

差が見られたが、これらについてはメッセージの内

容の影響が考えられる。ただ、A、B のメッセージ

の場合でも、本報告では触れなかったが時間経過後

に曖昧性条件で唱導方向に評価は上昇している(た

だし、リスク性との差はむしろ減少する)。とすれ

ば利得状況では直後であれ、時間経過後であれ、情

報源に曖昧性があってもリスク性よりは評価の高い

方向にシフトしやすいことを意味している。

ただ、逆に言えば、リスク性の情報も、確定情報

ではない、という意味ではその情報源に対する信憑

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武蔵工業大学環境情報学部開設10周年特集号

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性を一定程度低めている可能性もあり、この結果、

曖昧性状況とリスク性状況とで情報源自体の信憑性

の要因が同レベルになってしまっている可能性もあ

る。この点については確実なメッセージの場合との

対比・検討が必要である。

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