トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1)トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1)...

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トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1) 誌名 誌名 高知県農業技術センター研究報告 = Bulletin of the Kochi Agricultural Research Center ISSN ISSN 09177701 著者 著者 門田, 太志 巻/号 巻/号 24号 掲載ページ 掲載ページ p. 33-43 発行年月 発行年月 2015年3月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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Page 1: トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1)トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1) 誌名 高知県農業技術センター研究報告

トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1)

誌名誌名高知県農業技術センター研究報告 = Bulletin of the Kochi AgriculturalResearch Center

ISSNISSN 09177701

著者著者 門田, 太志

巻/号巻/号 24号

掲載ページ掲載ページ p. 33-43

発行年月発行年月 2015年3月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

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高知良技セ研報(Bull.Kochi Agric. Res. Cent. ) 24 : 33 43 (2015)

トルコギキョウの栽培における赤色光の利用第 1報 11~ 12月出し栽培における切り花長に及ぼす影響

内田太志

Use of Red Lighting on Eustomαgrand抑arum(Raf.) Shinn. Cultivation

I. E百ectof Lighting on the Length of Cut-flower from

November and December Shipments

Taishi KADOTA

要約

トルコギキョウの11~ 12月出し栽培では,定植時の高混・長日の影響による早期発昔、によって切り

花長が短くなり,切り花品賓が低下する.そこで,切り花長を長くすることを目的として赤色光を利

用した電照方法について,電照時間荷,電照時!笥数,放射照度および品種適応性を検討し,以下の結

果を得た.

1 .育苗中に赤色LED電球を用いて 3時間の電照を行った場合,‘ボレロホワイト’では苗の生育

が抑制されるが, El没後電照および暗期中断した商を定植することで,主茎長および切り花長が

長くなった.

2.定械から]頁花発菅まで赤色LED電球を用いて電照した場合,‘クラリスピンク’では午前 O持

を中心とした 9時間のff音期中断により節数が増加し,主茎長および切り花長が長くなった.

3.定植から頂花発音まで赤色 LED電球を用いて 9時間の精期中i析を行った場合,‘クラ 1)スピン

ク’では放射照度が0.04 W lm2 J:J,Jニで、部数が最も増加した.

4.定植から]翼花発音まで 9時間の時期中i析を行った場合,光源としては赤色 LED電球が電球色

蛍光ランプよりも品種適応性が高く,切り花品質の向上効果も高かった.

キーワード:トルコギキョウ,電H札赤色光,花芽分化,切り花長

はじめに

高知県のトルコギキョウ生産は,若手潟市野市町や

安芸郡芸西村を中心とした平野部において, 8 ~10

月に定植して11~ 4月に収饗する作型が大部分を占

めており,全国有数の冬春出し産地として地位を築

いているお.高冷地l±l荷からの切り替わり時期であ

る11~12月出し栽培では,種子冷蔵処理と冷房育菌

を組み合わせることでロゼットを闇避している. し

かし, トルコギキョウは棺対的長日植物であり,高

温・長日条件下で花芽分化が促進される1)ため,高

温・長日条件下である 8月定植の11~12月出し栽培

では,拙だい開始後まもなく花芽分化が始まる.

2014年7月31日受J:l1l

期に]貰花が発蓄して主茎長が短くなり,その結果と

して収穫時の切り花長が捜くなってしまうことで切

り花品質が低下している.このため,市場からは切

り花長を長くすることで切り花品質の改善が望まれ

ている.近年のトルコギキョウの電顕方法の研究に

おいて,光源から照射される光の波長域のうち赤色

光領域と遠赤色光領域の比(以下, RIFR比)が花芽

分化に及ぼす影響について, RIFRよとが抵いと花芽

分化が促進され,高いと花芽分化が遅延することが

明らかにされている7),この花芽分化を抑制する効

果を利用して,福間県の初秋出し栽培7)や鳥取県の

秋出し栽埼2)でRIFIえよとの高い光源を用いて定檎直

Page 3: トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1)トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1) 誌名 高知県農業技術センター研究報告

34 高知県農業技術センター研究報告:第24号

後あるいは活着後から頂花発音までの長日処理によ

り,主茎の節数が増加することで切り花長を伸長さ

せることが報告されている.しかし,本県を含む太

平洋岸の西南暖地は,日本海沿岸の西南暖地よりも

夏季の気識が高く,定槌後の高i鼠が花芽分化に及ぼ

す影響が大きいと考えられるため,既報の電照方法

が本県に適応、できるかは不明である.

そこで,本県の11~12月出し栽培において赤色光

を利用した電顕によって切り花長を長くする方法を

検討し,一定の成果を得たので報告する.本研究を

実施するにあたって,高知県農業技術センタ一花き

担当の研究員および非常勤職員各位から多大なご協

力をいただいた.また,福岡県農業総合試験場花き

部チーム長の山田明日香博士(現, 福岡県田Jll普及

指導センター鴎芸諜来樹花き係技術主査)および同

研究員の中村長fj住子氏から多大なご助言をいただい

た.深く感謝の意;を表する.

材料および方法

育苗A は,ナプラ養土Sタイプ(試験 1, 2および

3)あるいはプラントプラグ(試験4および5)を入

れた406穴セルトレイに播種して散水し,種子コ

ティングが溶けた後,黒色ポリエチレン袋で包み,

10℃暗黒下で3週間冷蔵処理した.処理終了後, 6

: 00~ 19: 00を25℃, 19:00-翌 6: 00を15℃に管

理した冷房ハウス内で8週間脊苗した.子葉展開後,

i夜間(窒素: 1)ン酸:加盟=10:4:8)を1, 000倍

に希釈して 7回路用した.その後,基肥として窒素,

1)ン酸,加患を(試験 lおよび2では各 5kg/lOa,

試験 3では各 7kg/lOa,試験 4および 5では各

12kg/10a)施用した当センター内のガラス温室(関口

7.5m,奥行き 12m,単棟,南北棟)に, l!Ii¥.¥135cmの

畝lこ, lOcm×lOcmの6Elフラワーネットを利用し

て中央2条を空けた 4条並木植えで定植した. 追

肥は,試験1, 2, 3および4では無施用,試験5

では頂花発奮後に窒素を 2.0kg/lOa,リン酸を

0.8kg/10a,加里をl.6kg/10a施用した.定植後は,

25℃で天窓、およびサイドから自然、換気, 15℃を下回

らないように加温した.試店食1, 2, 3および5は,

頂花の着花節およびその下 1-2節の側校を整校

し,不要な服芽は速やかに摘芽,また頂花および漠

花着花節からの側校の 1次および2次小花は発音後

速やかに摘蓄し, 3次小花と各側校の同時期の小花

が咲き揃った時点で収穫した(間 1) .光源として,

試験1, 2, 3, 4および5では赤色LED電球(鍋

清(株)製 9W波長620“630nm)を,試験5では電球色

蛍光ランプ「ネオボール ZPRIDEJ (東芝ライテッ

ク(総製 lOW)を用いた.放射照度計はデルタオーム

社製HD2102. 2を用いた.

試験 1.赤色 LED電球を用いた育苗中の電照時間

帯カf茜震,定植後の生育および切り花品震に及ぼす

影響

(掬ミヨシの‘ボレロホワイト’を供与tした. 2011

年6月7Bに矯穫し, 8月23日に定椴した.光源と

して赤色 LED電球を用いた.冷房育苗中における

電照時間帯は, 日没後3時間毘(以下,日没後区),

22: 30~ 1 : 30の陪期中断区(以下,時期中断註),

夜明前3時間臣(以下,夜明前区)および無電照匿を

設けた.なお, E没後電熊の開始時刻を気象庁発表

の日の入り時刻,夜明前電照の終了時刻を気象庁発

表の日の1±11時刻とし,精期中断の中心時刻を午前O

: 00とした.育苗床面上における光源直下の放射日夜

度を0.50W/m2を目標に光源の高さを調節して設

置し,育苗開始日から定植前日の 8月22日まで実施

した.各区40株を供試し,任意の32株を調査対象と

して,反復はとらなかった.育苗期間中に苗齢,業

身長,地上部および地下部の乾物重,定植以降に発

日,節数,収穫日,切り花長および主茎長につい

て調査した.

試験2.赤色しED電球を用いた定植から頂花発奮

までの電燕時間帯が生青および切り花品質に及ぼす

影響

‘ボレロホワイト’を供試した. 2011年6月7日

に播種し, 8月23日に定植した. 試験Iと同様の

光源および電照の時間荷として試験区を設けた.床

面上における光源直下の放射照度を0.50W/m2を

白襟に光源の高さを調節して畝上に設置し,定植日

から供試株の]買花発習が50%以上となった10月3臼

まで実施した.各IR40株を供試し,任意の32株を調

査対象として,反復はとらなかった.発菅日,節数,

収礎日,切り花長および主茎長について調査した.

試験 3. 赤色 LED電球を用いた定植から発奮まで

の陪期中断の電照時間数が生育および切り花品質に

及ぼす影響

(十;j;)サカタのタネの‘クラリスピンク’を供試し

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門田:トルコギキョウの栽培における赤色光の利用 第l報 11-12月出し栽培における切り花長に及ぼす影響 35

た.2012年6月7日に播種し, 8月23日に定植した.

光源として赤色 LED電球を用いた.暗期中断の電

照時間数は,3時間区(22:30-1 : 30), 6時間区

(21 : 00-3 : 00), 9時間区(19: 30-4 : 30)およ

び無電照区を設けた.光源を電照各区の中央部の床

面上から約l.5mの高さに設置し,定植日から供試

株の頂花発奮が50%以上となった10月3日まで暗期

中断した.各区40株を供試し,任意の32株を調査対

象として,反復はとらなかった.放射照度計を用い

て定植前に光源直下および光源直下から水平距離

lm地点における床面上の放射照度を測定し,発

昔日,節数,収穫日,切り花長および主茎長につい

て調査した.

試験 4.赤色 LED電球を用いた定植から頂花発奮

までの 9時間暗期中断の放射照度が発奮・開花に友

ぼす影響

‘クラ リスピンク’を供試した.2013年 6月7日

に播種し, 8月23日に定植した.光源として赤色

LED電球を用いた光源直下から水平距離3.4mま

でを 7等分にした 0-0.4m区,0.5-0.9m区, 1.0

-l.4m区,l.5-1.9m区,2.0-2.4m区, 2.5-

2.9m区, 3.0~ 3.4m区および無電照区を設けた.

赤色 LED電球を床面上から約l.5mの高さに設置

し,定植日から供試株の頂花発奮が50%以上となっ

た10月2日まで 9時間の暗期中断(19: 30-4 : 30)

を行った.頂花を残し,主茎の版芽を全て摘芽した.

各区に20株を供試し,供試株全てを調査対象とし,

2反復した.放射照度計を用いて定植前に光源直下

および光源直下から水平距離O.lm毎に床面上の放

射照度を測定し,発奮日,節数および開花日につい

て調査した

試験 5.赤色 LED電球あるいは電球色蛍光ランプ

を用いた定植から頂花発奮までの9時間暗期中断の

品種適応性

(掬サカタのタネの ‘キングオブスノー’, ‘クラ

リスピンク\‘レイナホワイト’,カネコ種苗(鮒の

‘エグゼラベンダー\ ‘グラナスライ トピンク’お

よび(附ミヨシの‘ナイチンゲール’ を供試した.

2013年 6月7日に播種し, 8月23日に定植した.光

源として赤色 LED電球と電球色蛍光ランプをそれ

ぞれ用いる電照区および無電照区を設けた.光j原を

電照各区の中央部の床面上から約l.5mの高さに設

置し,定植日から‘ナイチンゲール’の供試株で頂

花発奮が50%以上となった10月7日まで9時間の暗

期中断(19: 30-4 : 30)を行った.各区20株供試し,

供試株全てを調査対象として, 4反復した.試験3

と同様の方法で放射照度を測定し,発奮日,節数,

収穫日,切り花長, 主茎長,主茎からの側枝数,商

品花昔数およびプラスチング小花発生率について調

査した.

結 果

試験 1.赤色 LED電球を用いた育苗中の電照時間

帯が苗質,定植後の生育および切り花品質に友ぼす

影響

1 )光強度

育苗床面上の放射照度は,日没後区では0.48~

0.60Wlm2,暗期中断区では0.49-0.55W/m2,夜

4次小花(奮)

⑧ :摘奮

×:摘芽

図l 試験 1, 2, 3および5におけるトルコギキョウの模式図

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36 高知県農業技術センター研究報告:第24号

明前区では0.48~0.58W/m 2であった.

2)萄質

青苗開始28日自の苗齢および葉身長は,無電照[K

と比べて有意な差が認められなかった.育苗開始55

日目の苗齢は,無処理区と比べていずれの抵でも有

意に若く,日没後医で最も若かった.葉身長は,無

電照区と比べていずれの誌でも有意に短く,日没後

区で最も短かった.乾物重は無電照匿と比べて,地

上部ではいずれの区でも有意に軽く,地下部では夜

明前区で、有意に軽く,他の電照区では有意な義が認

められなかった. SIR比は,無電照区と比べてい

ずれの毘でも有意な葦が認められなかった(表 1).

3)生育および切り花品賀

発菅日は無電照匿と比べていずれの区でも有意に

遅かった.節数は無電照区と比べていずれの区でも

有意な設が認められなかった.収穫日は無電照区と

よとべていずれの区でも有意に遅かった.切り花長,

よび主茎平均節関長は,無電照区と比べて

日没後区および暗期中断区で有意に長かった(表

2).

試験2.赤色しED電球を用いた定植から環花発菅

までの電照時間帯カず生管および切り花品質に浸ぼす

影饗

1 )光強度

床関上の放射黒皮は,日没後区では0.13~

0.44W/m2,踏期中断区では0.15~0.44W/m2,夜

明前誌では0.14~0.45W/m2 であった.

2)生育および切り花品質

発音日は, a没後区と陪期中断医および日没後[K

と夜明言百区との防に有意な差は認められなかった

が,時期中断誌と比べて夜明前芭が有意に早かっ

た.節数は,結期中断度で最も多かった.収穫白は,

R没後区で最も遅かった.切り花長,主茎長および

主茎王子均節問長は, ll者期中断区で最も長かった(表

3).

表 1 赤色LED電球を用いた脊I資期間中の電!照時間帯が荷質に及ぼす影響z)

育活開始28日目 育B'f開始55日目

電!!現時間帯 市齢 葉身長 w齢 葉身長 乾物重

(対案) (mm) (対葉) (mm) 池上部(mg) 地下部(mg)

日没後 1. 0 ax) 9.2 a 2.2 a 35.4 a 0.0092 a 0.0049 ab

時期中断 1.0 a 9.2 a 2.3 b 45.0 c 0.0092 a 0.0050 ab

夜明前 1.0 a 9.3 a 2.4 c 40.5 b 0.0097 a 0.0043 a

実lf;電!!京 1.0 a 9.3 a 2.5 d 49.4 d 0.0126 b 0.0059 b

z:品殺は‘ボレロホワイト’.播稜後に10℃i暗黒条件下で 3遊間種子冷蔵処理.処理後は 6: 00~19: 00まで25℃, 19 : 00~ヨ翌日 6: 00まで15℃で8週間冷房脊箇,?[照ll'.¥'f潟数は 3I時間.

y:地上部の乾物震を地下部の乾物震で除した綴.

x:各項日において,異なる英文字問にTukeyの多重検定により 5%水準で有意差あり(n=32).

SIR比y)

2.0 ab

1. 9 a

2.3 b

2.2 ab

表 2 育苗期間中に赤色LED電球で電!!在した苗が定植後の生育および切り花長に及ぼす影響z)

電照時間帯

日没後

日音期中断

夜明前

発奮日y)

(月/Iヨ)

9/27 bv)

9127 b

9/26 b

節数x) 収穫B"l(節) (月/日)

9.9 a 11128 b

10.0 a 11/29 b

10.0 a 11/26 b

切り花長 主茎長主菜平均

節関長(cm) (cm)

(cm)

71.6 b 34.1 b 3.4 b

70.9 b 34.6 b 3.5 b

69.5 ab 33.5 ab 3.4 ab

実lf;電照 9/24 a 9.9 a 11/19 a 68.3 a 32.2 a 3.3 a

z:品種は‘ボレロホワイド.定槌alま8月23日.定植後の温度管理は25℃で換気, 15℃をド問らないように加温,育活中の電照時間数は 3I待問.

y:主茎頂花沓を上から肉眼で確認した日の平均.

x:主茎の頂花務花節数.

w:1邸主および頂花若花節元、らの側校の I 次および2 次小花を摘奮して 3 次小花を開花させ,これと各銀~校の問時期の小花が

咲き揃った時点で収穫したおの平均.

v :各項目において,異なる英文学問のTukeyの多重検定により 5%水準で有意義あり(n=32).

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門田:トルコギキョウの栽培における赤色光の利用 第1報 11~12月出し栽培における切り花長に及ぼす影響 37

表 3 赤色LED電球を用いた定植から頂花発音までの電源時間帯が生育および切り花長に及ぼす影響!z)

発奮日y) 節数x) 収穫日w) 切り花長 主3室長主茎平均

電照時間帯 節関長(月/白) (節) (月/日) (cm) (cm)

(cm)

日没後 10/1 abv) 10.5 a 12/16 c 70.0 a 35.7 a 3.4 a

踏期中断 1011 b 11.4 c 12111 b 78.8 c 42.6 c 3.8 b

夜明前 9/29 a 10.8 b 12/ 3 a 73.5 b 38.3 b 3.5 a

z:品種{ま‘ボレロホワイト’.定槌日は 8月23日.定植後のj鼠度管理Jま25℃で換気, 15℃を下限らないように加潟.電照狩

同数は 3時間.

y:頂花奮をよから肉眼で確認した臼の王子均.

x:主茎の]取E着花節数.

IV: J頁花および]買花::\'±f1El'おからの側校の 1次および2次小花を摘驚して 3次小花を開花させ,これと各側校のi可II寺郊の小花が

咲き揃った持点で収獲した臼の平均.

v :各I資自において,異なる英文字問にTukeyの多桑検定により 5%水準で有意差あり(n=32).

試験 3.赤色 LED電球を用いた定植から頂花発奮

までの暗期中断の電照時間数が生育および窃り花品

質に及ぼす影饗

1 )光強度

床而上の放射照度は, 3時間涯では0.15~0.35

W/m2, 6 時間毘では0.15~0.34W/m2, 9時間区

では0.15~ 0.34W晶子であった.

2)生育および切り花品質

発昔日は無電販夜と比べていずれの区でも有志;に

遅く,電源各区では有意な差が認められなかった.

節数は,無電照IKと比べていずれの区でも多く,自音

期中断9時間区で最も多かった.収穫日は暗期中断

の時間が長いほど遅くなった.切り花長および主茎

長は,無電照区と比べて結期中波rr6時間区および9

時間区で長く, H音期中断9時間涯で最も長かった.

主茎王子均節関長は,無電照区と比べて暗期中断9時

陪IKで、有意に一長かった(表4).

試験 4.赤色しED電球を用いた定植から頂花発欝

までの 9時潤時期中断の放射照度が発審・開花に友

lます影響

1 )光強度

床面上の放射照度は,光源直下では0.35W/m2で,

光源、直下からの~P.離が長くなるほど指数関数的に減

し, 2.9~3.4m では0.01W/m2 であった(図 2,

表 5).

2)生育

発昔日は,無電照区と比べていずれの区間でも有

意な差が認められなかった.節数は,光源直下から

の距離が短いほど多くなる傾向であった.また,無

電照区と比べて2.5m以上離れたIKでは有意な惹が

認められなかったが, 2.4m以下の区で多く,その

うちl.9m~、下の区で最も多かった.開花日は,無

電照区と比べて O~ 0.4m区で、遅かったが, 0.5m

以上離れた各区では有意な差が認められなかった

(表 5)

表 4 赤色LED電球を用いた定植から頂花発奮までの時期中断の電照時間数が生育および切り花長に及ぼす影響izl

電!被時間数

3時間

6時間

9待問

発音日y)

(月/日)

10/3 bv)

10/4 b

10/5 b

節数x)

(節)

10.5 b

10.5 b

11.2 c

ll対養日w)

(月/日)

12/11 ab

12/12 b

12/17 c

切り花長(cm)

73.9 a

77.0 b

83.8 c

主茎長(cm)

36.9 ab

38.3 b

45.0 c

主茎平均

節関長(cm)

3.5 a

3.6 a

4.0 b

j黒竜照 1011 a 9.8 a 12/ 9 a 73.8 a 34.5 a 3.5 a

z:品種は‘クラリスピンク\定綴日は 8月23臼.定機後の温度管理は25℃で換気, 15℃を下問らないように加混

y:]資花奮を上から肉日艮で確認した日の平均.

x:主薬の頂花着花節数.w:頂花および頂花務花節からの側校の 1次および2次小花を誠資して 3次小花を開花させ,これと各倒lj;伎の問符拐の小花が

l咲き織った時点でlX.f菱した日の王子均.v :各項目において,異なる英文学問にTukeyの多重検定により 5%水準で有意主主あり(n=32).

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38 高知県農業技術センター研究報告 :第24号

0.40

0. 35

0. 30

Fhυ

ハHV

F

h

υ

η

L

n

L

ti

nu

nu

n

放射照度(宅\自国)

0. 10

0. 05

0.00

0. 0 0. 5 1. 0 1. 5 2. 0 2. 5 3. 0 3. 5

光源直下からの水平距離(m)

図2 赤色LED電球を用いた定植から頂花発音までの

9時間陪期中断における放射照度の推移

表5 赤色LED電球を用いた定植から頂花発奮までの 9時間階期中断の放射照度が発背 ・開花に及ぼす影響z)

光源直下からの水平距離(m)調査項目 無電照

0-0.4 0.5~0.9 1.0~ 1.4 1.5-1.9 2.0~2.4 2.5~2.9 3.0-3.4

放射照度(W/m2)0.35~0.28 0.26-0.17 0.15-0.08 0.07~0.04 0.04-0.02 0.02~0.01 0.01 0

発奮日y)(月/日) 10/2 av) 10/2 a 10/2 a 1012 a 10/1 a 10/1 a 10/2 a 10/l a

節数x)(節) 10.7 c 10.4 c 10.5 c 10.4 c 10.0 b 9.9 ab 9.6 a 9.6 a

開花日w)(月/日) 1113 b 11/3 ab 11/l ab 1111 ab 11/l ab 11/l a 11/2 ab 1111 a

z:品種は‘クラ リスピンク’.定植日は 8月23日. 定植後の温度管理は25℃で換気, 15℃を下回らないように加温.y:頂花替を上から肉眼で確認した日の平均.x:主茎の頂花着花節数.w:主茎頂花が開花した日の平均.v :各項目において, 異なる英文字聞にTukeyの多重検定により 5%水準で有意差あり(n=40).

試験 5. 赤色 LED電球あるいは電球色蛍光ラ ンプ

を用いた定植から頂花発膏までの 9時間暗期中断の

品種適応、性

1)光強度

床面上の放射照度は,赤色 LED電球区では0.14

-0.39W/m2,電球色蛍光ランプ区では 0.06-

0.10W/m2であった.

2)生育および切り花品質

発昔日および収穫日は,無電照区と比べていずれ

の品種でも両光源区で有意に遅かった.赤色 LED

電球区では無電照区と比べてすべての品種で節数が

多くなるとともに主茎の節関長も長く なることで主

茎長が長くなり,切り花長が長くなった.電球色蛍

光ランプ区では無電照区と比べてすべての品種で節

数が多く , ‘キングオプスノー\‘クラリスピン

ク’および ‘レイ ナホワイト’で主茎の節関長も長

くなる ことで主茎長が長くなり ,切り花長が長く

なった.切り花重は,無電照区と比べて ‘グラナス

ライ トピンク’を除く両光源区で有意に重かった.

主茎からの側校数は,無電照区と比べて ‘レイナホ

ワイ ト’ の赤色 LED電球区で有意に多かったが,

他の品種では有意な差が認められなかった.商品花

昔数は,無電照区と比べて赤色 LED電球区では

‘キングオプスノー\ ‘レイナホワ イ ト’および

‘ナイチンゲール’,電球色蛍光ランプ区では ‘ク

ラリスピンク’および‘ナイチンゲール’で有意に

多かった(表6,写真 1) .

3)切り花長別収量

‘キングオプスノー’では無電照区と比べて,赤

色 LED電球区は60cm以上の切り花の割合が高く,

Page 8: トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1)トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1) 誌名 高知県農業技術センター研究報告

何回:トルコギキョウの栽核における赤色光の利用 第1報 11~12月出し栽楕における切り花長に及ぼす彩饗 39

電J;j(色蛍光ランプ区は60~ 70cmの切り花の割合が

高くなった. ‘エグゼラベンダー’では無電照区と

比べて,赤色 LED電球区は70cm以上の切り花の割

合が高くなったが,電球色蛍光ランプ区は同等穏皮

であった. ‘クラリスピンク’では無電照註とよとべ

て,夜、色 LED電球区は70cm以上の切り花の割合が

高く,電球色蛍光ランプ区は60cm以上の切り花の

割合が高くなった. ‘レイナホワイト’では無電照

区と比べて,南光源区とも70cm以上の切り花の割

合が高くなった. ‘グラナスライトピンク’では無

電!!京区と比べて60cm以上の切り花の割合が高く

なったが,電球色蛍光ランプ誌は同等程度であった.

‘ナイチンゲール’では~電罰区と比べて, 70cm

以上の切り花の説会が高くなったが,電球色蛍光ラ

ンプ区は同等程度であった(図 3).

考察

赤色光を利用した電照によって切り花長を長くす

ることをお的に, 11~ 12月II\し栽培における赤色

LED電球を用いた電出方法について検討した.

赤色 LED'ilt球を用いて脊苗期間中に 3時間電照

した場合, ‘ボレロホワイト’では日没後電照, H音

見!?中断および夜明前電!!誌を行った苗の苗齢,業身長

および池上部の乾物意が無電!!百よりも有意に低かっ

たことから,生育遅延効果があると考えられる.こ

の試験で得られた苗を定植した場合, I/又穫時の節数

は無電照の苗を定植した株と有意な差が認められな

かったが,発昔日および収穫日は無電照よりも有意

に遅れ,萄i拾が若くなるほど切り花長が長くなる傾

向が認められた.後藤らは,クルメ系ケイトウでは

育苗時に白熱電球を用いた長日処理によって育苗中

の花芽分化が抑制され,定1直後から発奮までの日数

および切り花長が長くなったことを報告している

l). トルコギキョウは本業6~ 8枚展開後に節11fJ1i/l

長(抽だい)を開始し,節i問中長を部始してまもなく

花芳三分化する5)_本試験 1では,電照各区の高齢は

本業6枚(本業3対業)に至っておらず,育苗時には

花芽分化が開始していなかったと考えられることか

ら,電照によって花芽分化は抑制されず,節数が増

加しなかったと考えられる.節数が増加しなかった

にも関わらず切り花長が長くなった理由は,定植時

点において電照各区の苗が生育遅延したことによ

り,定植以降の発皆やi収穫の遅れによって生育期間

が長くなり,切り花長が長くなったものと考えられ

る.

次に赤色 LED電球を用いて定植から]貰花発音ま

での電照が切り花長に及ぼす影響について検討し

た.赤色 LED電球を羽いて定植から頂花発着まで

3時間の路期中断をした場合, ‘ボレロホワイト’

では他の電照時間帯の各区と比べて節数が多くなる

とともに,主茎長が長くなり,切り花長が有意に長

くなった.山田は, R/FR比の高い蛍光ランプを用

いた場合,定植直後から主茎の頂花発昔まで4時間

のH音期中l併によって, ‘ダブルピンク’, ‘キング

オブスノー’および‘ピッコローサスノー’の自信数

が無処理に比べて有意に増加したことで茎長および

切り花長が伸長したこと,定植直後から主茎の]貰花

発音まで6時!日]の夜明前電照した場合, 6時間の日

没後電日告や 6時間の!磁期中断とよヒべて節数および茎

長では有志、な差は認められなかったが,切り花長で

は有志;に長くなったことを報告しているの.また,

前田も, R/FR比の高い蛍光ランプを用いて 6時間

の日没後電日夜およびI:冬夜電照で、は開花t£P市IJする傾向

が認められたが, 6時間jの夜明前I電照では開花抑制

および切り花形質の向上は認められなかったと報告

している4)_本試験1では,節数は 3時間の日没後

電照および3時ll:fJの夜明前電照と比べて 3時間のII吉

郎中断で、有窓に多くなり,赤色光が花芽分化を抑制

するという点では111EIJ7)や前回4)の報告と弓文した

が,電照時間帯の点では必ずしも一致しなかった.

A 致しなかった理由としては,供試した品種や光源,

電照時間数の違いが影響したと考えられる.電照時

間数が花芽分化のjJpilJIJに及ぼす影響については,

佐々木らが,スプレーギクに R/FR比の高い蛍光ラ

ンプを用いて暗期中断した場合, l情期中断の時間数

が長くなるにしたがって発音株主容が低くなることを

報告している6)_スプレーギクは短日植物であるが,

長日植物のトルコギキョウにおいても電照時間数に

よって花芽分化の抑制効来が異なる可能性があるも

のと考えられる.

そこで,赤色 LED電球を用いて定植から環花発

まで暗期中断の時間数が生育および切り花品質に

及ぼす影響について検討した. ‘クラリスピンク’

では,節数,切り花長および主茎長が, 3時間, 6

時間および9時間で無電照よりも有意に増大した.

また,節数では 9時間で3時間および6時間よりも

有意に多く,切り花長および主茎長では電照fl封筒数

が長くなるほど長くなる傾向であった.本試験3の

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40 高知県農業技術セ ンター研究報告 :第24号

表 6 赤色LED電球あるいは電球色蛍光ランプを用いた定植から頂花発奮までの 9時間暗期中断の品種適応性z)

主茎の 主茎商品

品種試験区

発管日y) 節数x) 収独自w) 切り花長 主茎長 平均 切り花重 からの花沓数

(早晩性) (月/日) (節) (月/日) (cm) (cm) 節問長 (g) 側校数(個/株)

(cm) (本/株)

キングオプ 赤色LED電球 9/26 bv) 8. 7 c 11/18 b 64 .6 c 25.3 c 2.9 b 47.3 c 2.8 a 5.5 b

スノー 電球色蛍光ランプ 9/25 b 8.4 b 11/17 b 60.8 b 23.5 b 2.8 b 42.6 b 2. 7 a 5.4 ab

(早生) 無電照 9123 a 8.0 a 11/12 a 57.4 a 20.7 a 2.6 a 36.l a 2. 7 a 5.2 a

エグゼ 赤色LED電球 9130 b 9.2 c 11127 b 69. l c 25.2 b 2. 7 b 46.9 b 1.8 a 5.1 a

ラベンダ 電球色蛍光ランプ 9/29 b 9.0 b 11/28 b 65.0 b 22.0 a 2.5 a 44. 5 b 1.8 a 4.9 a

(中早生) 無電日里 9126 a 8.8 a 11125 a 63.4 a 21. 7 a 2.5 a 39.5 a 2.0 a 5.1 a

クラ リス赤色LED電球 l〔)/2 b 10. l b 12/ 3 b 70.3 c 34. l b 3.4 b 49.0 b 2.0 a 4.8 ab

ピンク 電球色蛍光ランプ 10/ 2 b 10.0 b 12/ 2 b 66.6 b 32.8 b 3.3 b 52. 7 c 2.0 a 5.1 b

(早生) 無'iU君 9/28 a 9.2 a 11124 a 60.5 a 26.9 a 2.9 a 42.4 a 2.1 a 4.6 a

レイナ赤色LED電球 10/ 3 b 9. 7 c 12/ 5 c 77.4 b 36.9 c 3.8 c 66.2 b 2.6 b 5.3 b

ホワイト 電球色蛍光ランプ 10/2 b 9.2 b 12/ 3 b 71. 7 b 31.4 b 3.4 b 65.5 b 2.4 a 5.2 ab

(中早生) 無電照 9130 a 8.9 a 11/29 a 70.0 a 29.0 a 3.3 a 54 l a 2.3 a 4.8 a

グラナス赤色LED電球 10/ 2 b 10.5 b 11/27 b 64. 7 b 32.5 c 3.1 c 49.8 a 2.0 a 4.7 a

ライトピンク 電球色蛍光ランプ 10/3 b 10. 5 b 11/28 b 62.0 a 30.2 b 2.9 b 52.5 a 2.2 b 4.7 a

(中生) 無電照 10/ l a 10. l a 11/25 a 62.0 a 28.0 a 2.8 a 50.0 a 2.2 ab 4. 6 a

赤色LED電球 I〔)/7 b 10. 7 c 12/ 8 b 76.8 b 33. l b 3.1 b 58.2 b 2.1 a 4.5 b

ナイチンゲール(中晩生) 電球色蛍光ランプ 10/ 7 b 10.2 b 12/ 8 b 69.7 a 28.5 a 2.8 a 59.8 b 2.1 a 4.4 b

無電日現 10/ 3 a 9.8 a 12/ l a 69.0 a 27.2 a 2.8 a 48.6 a 2.0 a 4.0 a

z 定植日は8月23日 定植後の温度管理は25℃で換気,15℃を下回らないように加温.8月23日から10.Fl7日までの期間を 9時間のH音

期中断 (19:30-4 : 30).

y rn花’蓄を上から肉眼で確認した日の平均.

x 主茎の頂花着花節数.

w: rn花および頂花者花節からの側枝の l次および2次小花を摘奮して3次小花を開花させ,これと各側枝の同時期の小花が咲き揃った

時点で収機した日の平均.

v:各項目において,異なる英文字聞にTukeyの多重検定により脳 5%水準で有志:差あり (n=80).

写真 1 赤色 LED電球お よび電球色蛍光ランフ。を用いた電照栽培による‘エグゼラベンダー’の様子

(左 .赤色 LED電球,中央 .電球色蛍光ランプ,右 :無電照)

Page 10: トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1)トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1) 誌名 高知県農業技術センター研究報告

41 11-12月出し栽培における切り花長に及ぼす影響第l報門田:トルコギキョウの栽培における赤色光の利用

国 70cm以上ロ50c回以上

60c皿未満

叫昧

-係

w

nunudnoηipnu 50覧

4悦

W

M

M

ndn41i

固70cm以上回60cm以上

70cm未満上満一

叫昧一

100唱

90略

80%

70略

60覧

50弘

40覧

30拡

20%

10覧

O見

無電照

‘エグゼラベンダー’

電球色蛍光ランプ赤色LED電球無電照電球色蛍光ランプ赤色LED電球

‘キングオブスノー’

国70cm以上回60cm以上

70cm未満

口50cm以上

60cm未満100唱

90略

80%

70世

60覧

50略

40%

30略

20%

11170cm以上回 60cm以上

70cm未満

F

以来

mm

C

C

T

AunUT

Fhu

nhU

100唱

90弘

80唱

70世

60唱

50唱

40唱

30唱

20唱

電球色蛍光ランプ 無電照

‘レイナホワイト’

赤色LED電球

10'弘

0百無電照赤色LED電球 電球色蛍光ランプ

‘クラリスピンク’

10唱

。%

圃70cm以上til60cm以上

70cm未満

口50cm以上

60cm未満100世

90百

80%

70覧

60百

50覧

40略

30覧

20覧

園 70cm以上ロ50cm以上

60cm未満

r-「「、日

70略

60唱

50弘

40拡

30弘

20唱

電球色蛍光ランプ 無電ITT¥

‘ナイチンゲール’

赤色LED電球

10%

0唱無電照電球色蛍光ランプ赤色LED電球

10唱

0百

‘グラナスライトピンク’

赤色 LED電球あるいは電球色蛍光ランプを用いた定植から頂花発嘗までの 9時間暗期中断による切り花長

別収量の割合

図3

Page 11: トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1)トルコギキョウの栽培における赤色光の利用(1) 誌名 高知県農業技術センター研究報告

42 高知県農業技術センター研究報告:第24号

結果は,佐々木らが報告したスプレーギクにおける

暗期中断時間数と花芽分化抑制効果の関係6)と同様

であると考えられる.

本試験2および3の結果より,本県の11-12月出

し栽培において赤色 LED電球を用いる場合,定械

から頭花発着まで 9時間の暗期中断を行う電日夜方法

が適当でらあることが明らかとなった.

佐々木らは,スプレーギクにおいて RIFR比の高

い蛍光ランプを用いた場合,花芽分化抑制可能な光

合成有効光量子束努度の下恕値とH音期中断時間数は

反比例の関係にあることを報告している6).実際の

栽培において花芽分化を抑制する効果がある光強度

を明らかにすることが重要で、あり,ほ場に設置する

電球数を最小にすることも電関設備導入費用を抵滅

する上で重要である.そこで, U~12月出し栽培に

おける赤色L芯D電球を用いて定植日から頂花発奮

まで 9時間のfl奇期中断の放射照度が発奮・開花に及

ぼす影響を検討した. ‘クラ 1)スピンク’では,発

日は紋射摂皮の強さによって有意な主主は認められ

なかった.また,開花日は放射日夜度が強くなるほど

遅れる傾向であったが,無電照とほぼ向等程度で

あった.節数は,光源直下~l.9mのi玄関,放射照

度としては0.35-0.04W/m2が I節弱程度多くなっ

たことから,本電照技術を用いるにあたっては

0.04W晶子以上の放射強度となるように光源を設置

する必要がある.

次に, 11~12丹出し栽培における赤色 LED電球

あるいは RIFR比の高い電球色蛍光ランプを用いた

定植から頂花発音まで 9時間の踏期中断の品種適応、

性について検討した.収穫日は,今回供試した品種

では再光源とも 2~9日程度の遅れとなったが,出

荷時期としての影響は軽微であると考えられる.赤

色 LED電球では,無電照と比べて, f共試品種すべ

てで節数が増加し,加えて主茎の節11りも長くなるこ

とで主茎長が長くなり,切り花長が有意に長くなっ

た.電球色蛍光ランプでは,無電照と比べて, f共試

品種すべてで節数が増加し,‘キングオブスノー’

‘クラリスピンク’および‘レイナホワイト’で、主

茎の節l習も長くなることで主茎長が長くなり,切り

花長が有意に長くなった.また,切り花長5JIJJI又量で

は,赤色 LED電球では無電照に比べて供試品種す

べてで、70cm以上の切り花の割合が増加した.よっ

て,阜晩性に関わらず,切り花長の増加効果が認め

られたことから赤色 LED電球を用いた電照方法は

様々な品種に適応、でき,切り花品質の向上につなが

ると推察される.また,電球色蛍光ランプが赤色

LED電球よりも効果が劣った要因として,山田は

赤色光の光量(PFD値)が大きいほど拙だい節数が

多くなったと報告しており 7),電球色蛍光ランプの

放射照度が赤色 LED電球の半分以下であったこと

が影響したと考えられる.山田は,赤色光の長日処

理により増加した節数は各品種の無処理における到

花日数と有意な相関を示し,到花日数の長い品種ほ

ど花芽形成の抑制による節数の増加が多くなる傾向

が認められたと報告しているの.本試験4では,早

生系から中晩生系の品種を供試したが,発普までの

臼数が長い品種ほど部数の増加が多くなるという関

係は認められなかった.山田は, RIFR比の高い蛍

光ランプを用いた長日処理によって‘サマーキッ

ス’では,無処理と比べて定植から発菅波までの日

数が8.6日,節数が2.4節増加したと報告しているの.

一方,本試験4の‘ナイチンゲーJv'では,定植か

ら発昔日までの El数が4日,節数が0.9節増加して

おり,既報よりも節数の増加数が少なかったことか

ら花芽分化抑制効果が弱かった.この結来が供試し

た品種i苅惹によるものなのか,定植から発音までの

環境要因による影響なのかは不明であり,今後の研

究によって明らかにされることが望まれる.

なお,赤色 LED電球の価格は下落傾向にあるも

のの,電器ギクなどで普及している電球色蛍光ラン

プに比べると割高な状況である.電照設備導入費用

が大きい分,費用の回収期間や収益性について試算

した上での導入が肝要である.また, 11-12月l:Hし

栽培では,節数が多くなりやすく切り花長を確保し

やすい晩生系品種を主体に作付し,節数が多くなり

にくく切り花長を確保しにくい王手生系や中生系を作

付した畝上のみに光i競合設置することで電照設備導

入費用を抑えることができるものと考えられる.

引用文献

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時の長臼処理がクルメ系ケイトウの切り花品質

に及ぼす影響.関学雑755JIJ2 : 370

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松完(2012). トルコギキョウの秋出し栽培に

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門出:トルコギキョウの栽培における赤色光の利帰 第l報 11~12月出し栽培における切り花長に及ぼす影響 43

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向上に関する研究. 福岡県農業総合試験場特

別報告第30号: 4-20, 45-58

Summary

In the November and December shipments of Eustoma grandiflorum, the length of the cut-flower is shorter and

the cut”flower quality decreases primarily because of the high temperature and the long daylight during the summer

planting time Therefore, the time and hours of lighting, the irradiance and the ability of the flower varieties to adapt

were investigated in an effort to increase the length of the cut-flower by lighting with a red-light.

1 When Eustoma grandiflorum 'Bolero White' was exposed for 3 hours to the red-light LED lamp during the

raising seedling period, its seedling growth was suppressed. When the seedlings expos巴dto light at the en小

of-day and night田breakwere planted, the length of the main stem and cut flower were longer.

2 . When Eustoma♂・andちだarum'Claris Pink' was exposed to the red-light LED lamp from just after planting until

budding of the terminal flower, 9 hours of night-break lighting increased the number of nodes on the main

stem. As a result, the length of the main stem and cut flower became longer.

3 . When Eustomαgraηdiflorum℃laris Pink' was exposed for 9 hours to the red-light LED lamp during night-

break from just after planting until budding of the terminal flower, the number of nodes on the main stem in-

creased the most when the irradiance was more than 0.04 W/m2.

4 When Eustomαgrandiflorum cultivars were exposed for 9 hours to night”break light from just after planting

until budding of the terminal flower, the red-light LED lamp was better than the incandescent light fluorescent

lamp泊 termsof the adaptability of the varieties and improvement of the cut-flower quality.

Key words: Eustoma grandiflorum, lighting, red-light, flower-bud di妊erentiation,length of cut句flower