エネルギー資源の現状と展望 2007.12...年間の一次エネルギー消費:約5億kl...

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技術を社会へ-Integration for Innovation エネルギー資源の現状と展望 2007.12.15 産業技術総合研究所 神本正行 エネルギー資源の現状と展望 2007.12.15 産業技術総合研究所 神本正行 一次エネルギー源の種類 一次エネルギー源の種類 一次エネルギー供給の現状 一次エネルギー供給の現状 エネルギー資源の展望 エネルギー資源の展望 技術を社会へ-Integration for Innovation 1.一次エネルギー源の種類 一次エネルギーは3種類 (1) 化石エネルギー 石油、石炭、天然ガス等 (2) 原子力エネルギー 核燃料 (3) 再生可能エネルギー (RE) 太陽、風力、地熱、バイオマス、水力等 いずれのエネルギーも長短併せ持つ。 再生可能エネルギー 環境中にエネルギーのフローとして存在するため、 文字通り「再生可能」(枯渇しない)。

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Page 1: エネルギー資源の現状と展望 2007.12...年間の一次エネルギー消費:約5億kL 技術を社会へ-Integration for Innovation 原油の現状 埋蔵量 世界の確認埋蔵量

技術を社会へ-Integration for Innovation

エネルギー資源の現状と展望2007.12.15

産業技術総合研究所 神本正行

エネルギー資源の現状と展望2007.12.15

産業技術総合研究所 神本正行

一次エネルギー源の種類一次エネルギー源の種類

一次エネルギー供給の現状一次エネルギー供給の現状

エネルギー資源の展望エネルギー資源の展望

技術を社会へ-Integration for Innovation

1.一次エネルギー源の種類

一次エネルギーは3種類(1) 化石エネルギー

石油、石炭、天然ガス等(2) 原子力エネルギー

核燃料(3) 再生可能エネルギー (RE)

太陽、風力、地熱、バイオマス、水力等

いずれのエネルギーも長短併せ持つ。

★再生可能エネルギー環境中にエネルギーのフローとして存在するため、

文字通り「再生可能」(枯渇しない)。

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技術を社会へ-Integration for Innovation

一次エネルギーは3種類一次エネルギーは3種類

二酸化炭素の回収・貯留(CCS)が不可欠

核燃料サイクルの確立が必須

技術開発による性能向上、コスト低減が必要

化石燃料化石燃料

再生可能エネルギー再生可能エネルギー 原子力原子力

現状をどこに持っていくかの前提現状をどこに持っていくかの前提エネルギーとパワーの安定供給エネルギーとパワーの安定供給地球環境の保全地球環境の保全経済成長経済成長

現状現状

省エネ推進は必須省エネ推進は必須

技術を社会へ-Integration for Innovation

(70%)

太陽

熱線

宇宙に

再放射

地球への到達: 173×10 kW

宇宙へ

反射(30%) 蒸発・降雨

など

地球表面: 121×10 kW

(70%)

熱への直接変換81×10 kW (47%)

表面輻射エネルギー

3.8×10 kW

長波長放射

短波長放射

宇宙に

直接反射

(30%)

地熱

潮汐・潮流

風・波

対流・流れ

対流

370×10 kW

32×10 kW

40×10 kW

(0.2%)

3×10 kW

光合成

40×10 kW(23%)

52 ×10

12 kW

化石燃料

23

12

12

12

12

9

9

9

9

表面輻射エネルギー3.8x1023 kW

光合成40x109 kW

化石燃料地熱

32x109 kW

370x109 kW(0.2%)

地球への到達:173x1012 kW地球表面(70%)

潮汐・潮流3x109 kW

長波長放射

短波長放射

宇宙へ反射(30%)

熱に直接変換(47%)

蒸発・降雨等(23%) 風・波

対流・流れ

対流

宇宙に

直接反射

熱源

宇宙に

再放射

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技術を社会へ-Integration for Innovation

2.一次エネルギー供給の現状

現在の一次エネルギー供給構造(1) 化石燃料に多くを依存(2) 原子力は一定の貢献(3) 大型水力発電およびバイオマス(在来型利用)以外の再生可能エネルギーは極めて少ない

エネルギーの需要と供給エネルギー資源は一般に偏在需要にあわせて輸送(輸出入)される国、地域によって需給構造は多様

エネルギー資源量化石燃料および核燃料は数百年で枯渇再生可能エネルギーの資源量は膨大使えて始めて資源需要と技術開発に強く依存

技術を社会へ-Integration for Innovation

世界の一次エネルギー需要の推移と見通し2030年までは依然化石燃料に依存

World Energy Outlook 2002

石炭石炭

石油石油

ガスガス

水力水力

その他の再生可能エネその他の再生可能エネ

原子力原子力

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技術を社会へ-Integration for Innovation

長期エネルギーシナリオの例長期エネルギーシナリオの例

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

1990

2000

2010

2020

2030

2040

2050

2060

2070

2080

2090

2100

1次エネルギー消費, 1018 J

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

CO2排出量, 109t-C

その他の再生可能エネルギー

バイオマス

原子力

ガス

石油

石炭

CO2排出量(CO2隔離なし)

CO2排出量(実質)

産総研第2期研究戦略平成18年度版

2100年で550ppmまで削減する場合のMESSAGEによるシナリオ計算

CO2濃度安定化のためには

CO2排出低減、再生可能エネルギー導入、 CO2貯留

出典:K. Riahi他 Env. Economics & Policy Studies, 3 (2) 2000.地球環境研究センター「地球温暖化ガス排出シナリオに関わる データベース」

技術を社会へ-Integration for Innovation

主要な一次エネルギー源の資源量と2005年の供給量(世界)

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第3ワーキンググループ第4次報告書Table 4.2より抜粋

エネルギー源 資源量 2005年の供給量 2005年の供給割合

石炭(conventional) >100,000 EJ 120 EJ/y 25 %

ガス(conventional) 13,500 EJ 100 EJ/y 21 %

化石燃料

石油(conventional) 10,000 EJ 160 EJ/y 33 %

核燃料 ウラン(no recycle) 7,400 EJ 26 EJ/y 5.3 %

水力(>10MW) 60 EJ/y 25 EJ/y 5.1 %

水力(<10MW) 2 EJ/y 0.8 EJ/y 0.2 %

風力 600 EJ/y 0.95 EJ/y 0.2 %

バイオマス(modern) 250 EJ/y 9 EJ/y 1.8 %

バイオマス(traditional) ----------- 37 EJ/y 7.6 %

地熱 5,000 EJ 2 EJ/y 0.4 %

再生可能エネルギー

太陽光発電 1,600 EJ 0.2 EJ/y <0.1 %

79%

>15%

>5%

年間のエネルギー需要は>400 EJ ((= 400 x= 400 x 10101818 JJ))

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技術を社会へ-Integration for Innovation

わが国の再生可能エネルギーの潜在量わが国の再生可能エネルギーの潜在量

0

1000

2000

3000

4000

5000

太陽光発電

太陽熱利用

風力発電

廃棄物発電

廃棄物熱利用

黒液、廃材等

バイオマスエネルギー

未利用エネルギー

原油換算 万kL

物理的限界潜在量 実際的潜在量

出典

総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会、2000年1月、2001年6月、

NEDOデータベース 新エネルギー関連データ (http://www.nedo.go.jp/nedata/index.html)、2004年8月

年間の一次エネルギー消費:約5億kL

技術を社会へ-Integration for Innovation

原油の現状原油の現状

埋蔵量

世界の確認埋蔵量

OPEC 76% (61% がペルシャ湾沿岸)

OECD 約 7%,

その他 18%

2005年までの生産量

143Bt(確認埋蔵量の47%、期待される資源量の37%)

約2/3が輸出入されている

2007 Survey of Energy Resources, World Energy Council 2007

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技術を社会へ-Integration for Innovation

2.一次エネルギー供給の現状

現在の一次エネルギー供給構造(1) 化石燃料に多くを依存(2) 原子力は一定の貢献(3) 大型水力発電およびバイオマス(在来型利用)以外の再生可能エネルギーは極めて少ない

エネルギーの需要と供給エネルギー資源は一般に偏在需要にあわせて輸送(輸出入)される国、地域によって需給構造は多様

エネルギー資源量化石燃料および核燃料は数百年で枯渇再生可能エネルギーの資源量は膨大使えて始めて資源需要と技術開発に強く依存

技術を社会へ-Integration for Innovation

石炭の確認可採埋蔵量(石炭の確認可採埋蔵量(Top 10Top 10))

石炭は需要と供給が一致(輸出入が少ない)石炭は需要と供給が一致(輸出入が少ない)

2007 Survey of Energy Resources, World Energy Council 2007

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技術を社会へ-Integration for Innovation

天然ガスの確認埋蔵量(tcm, %)天然ガスの確認埋蔵量(tcm, %)

tcm:trillion cubic metres / 1兆立方メートル

2007 Survey of Energy Resources, World Energy Council 2007

技術を社会へ-Integration for Innovation

ウラニウムの生産(Top 10)ウラニウムの生産(Top 10)

2,005年の総生産量:41 699 tU

2007 Survey of Energy Resources, World Energy Council 2007

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技術を社会へ-Integration for Innovation

海洋温度差の分布海洋温度差の分布

佐賀大学海洋エネルギー佐賀大学海洋エネルギー

研究センターホームページ研究センターホームページ

からから

第2回新エネ世界展示会

技術を社会へ-Integration for Innovation

太陽日射強度の分布太陽日射強度の分布

比較的遍く分布比較的遍く分布

日射強度にあった利用法日射強度にあった利用法

2007 Survey of Energy Resources, World Energy Council 2007

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技術を社会へ-Integration for Innovation

2.一次エネルギー供給の現状

現在の一次エネルギー供給構造(1) 化石燃料に多くを依存(2) 原子力は一定の貢献(3) 大型水力発電およびバイオマス(在来型利用)以外の再生可能エネルギーは極めて少ない

エネルギーの需要と供給エネルギー資源は一般に偏在需要にあわせて輸送(輸出入)される国、地域によって需給構造は多様

エネルギー資源量化石燃料および核燃料はおそらく数百年で枯渇再生可能エネルギーの資源量は膨大使えて始めて資源需要と技術開発に強く依存

技術を社会へ-Integration for Innovation

太陽エネルギーの資源量

2003年の世界の一次エネルギー消費9,615百万トン(石油換算)≒ 400 EJ

サハラ砂漠の1/2に効率14%の太陽電池⇒ 380 EJ

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太陽エネルギーの様々な利用法太陽エネルギーの様々な利用法

給湯 冷暖房

採光

光触媒

ソーラークッカー

温室

太陽熱発電

太陽光発電

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デバイスを構成する材料の資源にも制約

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3.エネルギー資源の展望

新しい資源の可能性

メタンハイドレート等の化石燃料

核融合

太陽発電衛星

資源を有効に利用するために

エネルギーの長距離輸送

多様な需給構造と国・地域の取り組み

技術を社会へ-Integration for Innovation

再生可能エネルギーの割合の高い国

John W. LundDEVELOPMENT AND UTILIZATION OF GEOTHERMAL RESOURCESProc. ISESWC2007 p.87 (2007)

アイスランド地熱が全供給エネルギーの16.6%暖房の89%は地熱利用

デンマーク風力発電が全電力の18.5% (2005年)

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メタンハイドレートの可能性

原始資源量317兆m3

技術を社会へ-Integration for Innovation

太陽エネルギーの大規模利用

太陽発電衛星は夢?

- ベース負荷を担える

- マイクロ波送電が課題

砂漠に太陽光発電

-資源量は膨大

-電力輸送が課題

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技術を社会へ-Integration for Innovation

メガソーラの電光掲示システムが改修されました

PV 1,000 kWin total

集中型から分散型へ集中型から分散型へ

NaS 2,000 kW

Redox 180 kW電力系統から電力系統から 27,000kW27,000kW分散電源分散電源 ~6,000kW~6,000kW

つくばセンターにおける分散型エネルギーネットワークの実証

技術を社会へ-Integration for Innovation

全てに優れたエネルギー技術はない

夢の技術にもチャレンジ

評価をしつつ

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技術を社会へ-Integration for Innovation

ご清聴有難うございましたご清聴有難うございましたご清聴有難うございました