ディジタル電界強度測定器 - nict...260 第1表構成機器 機探名...

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Vol.22 No.120 電波研究所季報 November 1976 pp.259-271 研究 ディジタル電界強度測定器 加藤仲夏* 小林常人材 杉内英敏* (昭和 51.6. 23受理) DIGITALIZED-EQUIPMENTFORMEASUREMENTOFFIELDSTRENGTH By ChuukaKATOH,TsunetoKOBAYASHIandHidetoshiSUGIUCHI Thispaperdiscribesanewlydesigneddigitalized-equipment for the measurement of the field strength,whichisaimingatmeasuringthefield strength of the ionospheric wave accompanied withthefadingin MF band. Asameritoftheequipment, itisdesignedinorderthatthemea- surementcanbeperformedautomaticallyasmuchasposibleinaccordancewith pre etprogram, i. e.,duringonecycl ofthemeasurement,onehundredsamplingdata are read out and stored at15-secondintervalswithin25minutesandthevaluescorespondingto 5, 10, 20, …一. 50, …・・・ 70 percentofthecumulativedistributionareprintedoutafterstatisticaltreatmentofthedata within fiveminutesby micro-computer. Thepaperalsodiscribestheresultsthatthecumulative distribution curves obtained by using thedigitalaizedequipment is compared withthe curves derived from the conventional analog records,for MF wavesinthenight-time. 1. 緒言 変動する電界強度の精密測定,データ盤理の街易迅速 化等の目的のため,今日迄幾多の研究開発が行われてき たが,いずれも満足のいくととろまで進展させる乙とが ないままに等閑l とされてきたように思われるが,それら の解決に努めシステム設計されたのが木装置である。 本装置の特徴は,電界強度測定記録のJi 去を従米のア ナログ記録J 式とは異なり,電界強度の累積時間率と電 界強度(直をディジタ J レ((記録できるようにしたことであ り,そのための統計処理を行う機能を備えていることで ある。 従来のアナログ記録方式においては,得られた記録の 処理はほとんど人手により多くの時間と労力をかけて行 *電波部篭波伝搬研究室.帥電波部気象研究室. 259 われ,その読取りの過程で処理する人の主観がはいり不 確実さが混入していたと考えられる。本装置では計算機 を使用するととにより測定,記録,データ処理を一貫し て電気的に行い自動化するととにより省力化を達成する と共l ζ,データ精度の向上を計った。 1975 年の 6 月にほぼ一ヶ月にわたり,本装置を使用し 中波夜間フェージング波を受信し,得られたアナログ記 録及びディジタル記以の比絞を行ーったところ,との装置 が所期の目的を述成し充分満足すべき結果が得られたの でここに報告するο 2. システムの構成 このシステムは?l'H 表の機認を用い,第 1 図のような 配列l こして必要にして充分な機能を発揮できるようにし た。 図から分かるようにこのシステム l ζは大別して,二つ

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Page 1: ディジタル電界強度測定器 - NICT...260 第1表構成機器 機探名 |蛸会社|型式 ディジタルシンセサイザ全!|日本無線 | I NR Dー70A波受信機

Vol. 22 No. 120 電 波研 究所季報 November 1976 pp.259-271

研究

ディジタル電界強度測定器

加藤仲夏* 小林常人材 杉内英敏*

(昭和 51.6. 23受理)

DIGITALIZED-EQUIPMENT FOR MEASUREMENT OF FIELD STRENGTH

By

Chuuka KATOH, Tsuneto KOBAYASHI and Hidetoshi SUGIUCHI

This paper discribes a newly designed digitalized-equipment for the measurement of the field

strength, which is aiming at measuring the field strength of the ionospheric wave accompanied

with the fading in MF band. As a merit of the equipment, it is designed in order that the mea-

surement can be performed automatically as much as posible in accordance with pre屯etprogram,

i. e., during one cycl巴 ofthe measurement, one hundred sampling data are read out and stored

at 15-second intervals within 25 minutes and the values coresponding to 5, 10, 20, …一.50, …・・・ 70

percent of the cumulative distribution are printed out after statistical treatment of the data within

five minutes by micro-computer.

The paper also discribes the results that the cumulative distribution curves obtained by using

the digitalaized equipment is compared with the curves derived from the conventional analog

records, for MF waves in the night-time.

1. 緒言

変動する電界強度の精密測定,データ盤理の街易迅速

化等の目的のため,今日迄幾多の研究開発が行われてき

たが,いずれも満足のいくととろまで進展させる乙とが

ないままに等閑lとされてきたように思われるが,それら

の解決に努めシステム設計されたのが木装置である。

本装置の特徴は,電界強度測定記録の)Ji去を従米のア

ナログ記録)J式とは異なり,電界強度の累積時間率と電

界強度(直をディジタ Jレ((記録できるようにしたことであ

り,そのための統計処理を行う機能を備えていることで

ある。

従来のアナログ記録方式においては,得られた記録の

処理はほとんど人手により多くの時間と労力をかけて行

*電波部篭波伝搬研究室.帥電波部気象研究室.

259

われ,その読取りの過程で処理する人の主観がはいり不

確実さが混入していたと考えられる。本装置では計算機

を使用するととにより測定,記録,データ処理を一貫し

て電気的に行い自動化するととにより省力化を達成する

と共lζ,データ精度の向上を計った。

1975年の6月にほぼ一ヶ月にわたり,本装置を使用し

中波夜間フェージング波を受信し,得られたアナログ記

録及びディジタル記以の比絞を行ーったところ,との装置

が所期の目的を述成し充分満足すべき結果が得られたの

でここに報告するο

2. システムの構成

このシステムは?l'H表の機認を用い,第1図のような

配列lこして必要にして充分な機能を発揮できるようにし

た。

図から分かるようにこのシステムlζは大別して,二つ

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260

第 1表構成機器

機探名 |蛸 会社 |型 式

ディジタルシンセサイザ全! | |日本無線 I NR Dー70A波受信機 | |

職童話ン町内信|桑野電気 I WG一符

.R.G型ピンボ一ドプロ| I P.R.G グラマ |和泉電気 I -2018TE

対数増幅 器|日本無線 INJM → 4 5

デイジタ Jレ

デイジタ Jレクロ 7 ク |タケ矧 ITR→414

多ぺンレコ-タ一 l理悶 IB 旧

卓上裂電子計算機|キヤノン I s… インターフェーサー I~~ ノン I s…E

の記録方法が採用されており,一つは受信機tlJ力をぺン

レコーダに記録するものであり乙のアナログデータから

実験中の受信波の全貌を知るととができる。また他の一

つは受信出力をディジタ Jレ化し卓上電子計算機に,1b'~込,

一定間隔で一定時間内IC収納した多くのデータを機内で

統計処理して突時間ICて電界強度及びフェージングのw積分布をプリントさせている。

システムを構成する各部の機能について以下IC述べ

一空

一垂

一!

下h

上.

90

信 部受

措1)御部L.ーーーーーーーー・F 戸司自ーーーーー・ーー ー ー ー

電波研究所季報

る。

2. 1 制御部

システムの自動化を考えるとき,動作プログラムlζ追

従して各部の動作をシーケンスコントロールする装置が

必要であり,その要求を日jたすものとして制御部を設け

た。これはピンボードプログラマと附加装置とで構成さ

れている。制御部は校正及び測定動作のタイムスケジュ

ーJレと, シーケンスコントロールを行・う機能を持ってい

る。

2.1.1 ピーンボードプログラマ

ピンボードプログラマは内部l乙タイ 7 回路を持ってい

て,商用電源周波数からクロックパルスを得てタイムカ

ウンタを構成し,タイマ設定部lζ設定された時間とタイ

ムカウンタが一致すると,プロセスを進めるタイマ動作

を行い,接続端子lζ結ぼれた附加装置(2.1.2参照)を

動作させる乙とによって,受信部,校正部,アナログデ

ータ記録部を制御する。次lζj!fl"2図を参考としてピンボ

ードプログラマの動作を記す。

ピンボードプログラマのパネル面には,接続端子制御

部とタイマ設定部とがあり,接続端子制御部lとは,附加

装置の端子を18まで接続することが可能で,とれらをililJ

御するために18個のピンホールが設けられている。そこ

で所要のホールにピンを差し込むととにより,接続的;i子

を通して対応する附加装置を制御して,目的のjJj}J作をさ

せるととができる。

タイマ設定部はフ。ロセスのjJj}Jft:時間とその時間単位を

定めるところである。 l時閥単位は「TIMECLOCK」と

デジタルデータ記録部

!|「一一一一一ー子一:子一己--7:干一二·1-iii-ii-~i1__ _

第 l図 ディジタJレ電界強度測定器プロックダイアグラム

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Vol. 22 No. 120 November 1976

接続端子制御部 タイマ設定都

TIME-CLOCK TIME 「「 「一一一一一一一一

I 2 3 4・ 1718 A B 10 20 40 80 I 2 4 8 PROCESS!

2

3

4

8

9・・・

m・・ム

第2図 ピンボードプログラ7のパネル面略図

表示された下のホール〔A〕と〔B〕にあらかじめ定め

られた組合せに従ってピンを差し込むζとにより,「秒」

「分」「時Jの何れかを指定できる。動作時間は「TIMEJ

と表示された部分の所要のホーJレにピンを差し込むとと

!とより,そのフ。ロセスの紋続時聞を設定できる。とのピ

ンボードプログラマは20までのプロセス設定が行える。

第2図を用い具休例について述べてみよう。いま接続

端子'; Iii]御部のホール〔i〕[ζ対応した端子を 11);/rl干 ijと

略記する乙ととし,制御すべきものとして「端子lJに

受信周波数切替装同,「端子2」I乙受信部入力切符装置,

「端子3J!と減衰器制御装置が,そして「端子17J 「端

子18Jには構成機器電源をオンlとする回路が接続されて

いるものとする。まず「プロセス 1」では, 〔B〕,〔20〕

+〔1〕+〔4〕となっていて〔B〕は「分Jであるので,

すなわち「端子 1, 17. 18」の動作を25分間行う ζとを

示し, また「プロセス2」は,〔B〕,〔1〕+〔4〕なの

で, 「端子 1.2, 17, 18」の動作を5分間行い,「プロ

セス 3」は,〔A〕〔B〕,〔8〕で,〔A〕〔B〕は「時」であ

るので, 「端子1.3, 17, 18」の動作を8時間継続する

乙とを示している。

なおディジタルデータ記録においては,ディジタルク

ロックlとより記録動作のための時間制御を行っている。

(3.2参照)

2.1.2 附加装置

ピンボードプログラ < Iとより制御され,較正部及び受

信部の動作を制御する働きを持った,受信部入力切替装

置,減衰器制御装霞,校正周波数出力設定装置,校正出

力表示器,受信周波数切替装置,時刻目盛発生援等を総

称して,附加装置とした。

附加装置はピンボードプログラマのタイマ設定部にお

いて設定したタイムスケジュールに従いその動作を制御

され,校正部及び受信部!と対しスイッチングを行った

り,コードパルスをそれらに送り込むなどして目的のill!J

261

作を行わせている。

( i ) 受信部入力切替装置

受信部入力lζ同軸継電器を設け,励磁電流をピンボー

ドプログラマでオンオフするとと!とより,空中線と信号

発生器との切り替えを行っている。

(ii) 減衰器制御装置

入力信号レベルを制御し受信機入出力特性の直線性の

良い部分を使用するため,受信部入力l乙減衰探を置き,

それを制御するための装置である。そしてピンボードプ

ログラマの動作によって,個々の減衰器の祇抗議;子IC抱

かせたリレーをオンオフするととでその値を変え,減衰

量を 5dBステップlとてOから 35dB迄変化させるよう

l乙しfこ。

(iii) 校正周波数出力設定装置

アナログ記録lとはあらかじめ信号強度のスケールを目

凝っておく必要がある。乙こに述べる校正は主としてそ

の動作を自動的に行わせる乙とをさしている。

校正にあたり信号発生恭の周波数及びその出力レベル

を,自動的に制御するためこの設定装置を設けた。校IE

を行いたい時刻をあらかじめピンボードプログラマ!と設

定しておくと,その時刻から本装荷が動作し信号発生採

にコードパルスを供給して,必要とする周波数と出力を

得て校正を自動的に行うととになる。木装置は内蔵して

いるロジック部でコードパルスを作り信号発生器lζ与

え,希望する校正周波数の出力信号を作り出している。

校正時間として5分間をとり,校正出力のレベル設定

は始めの4分聞に OdBから lOdBステップで 90dB迄

行うようにするため,モータ軸100分割したカムを取り

付けモータの回軽に伴ってそれぞれのステップlζ対応し

たコードパルスが信号発生器に与えられるように設計し

た。乙のため24秒毎にコードパルスが変り,信号レベル

が 1倒Bづっ増加し 90dBまで進んで動作を停止する。

(iv) 校正出力表示器

との装置は校正を行っているときに今何 dBであるか

を示すために取り付けたもので,発光ダイオード素子に

よって構成された表示器を動作させ,各ステップにおけ

るdB値を表示させるようにした。乙れをドライブする

のには校正レベル発生に用いたコードパルスを利用して

行った。

(v) 受信周波数切替装置

受信機を希望の周波数lζ設定するには,受信機前面の

5偲の周波数設定ツマミによるか,又は周波数設定のプ

リセットカードを内掃したプリセット盤のスイッチをオ

ンlとすることにより,受信機内部のロジック部の働きで

希望の受信周波数lとセットされる。従って時刻lt, Iζ周

波数λで測定を行い,ん になってんに変えたい場合

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1とは,プリセット盤の五及びん設定回路のスイッチ

を, t,及び t2Iζオンlとしてやるようにピンボードプロ

グラマを設定してやればよい。

(vi) 時刻目盛発生器

との装置はアナログ記録に時刻目盛りを記入するため

のもので,商周電源により同期電動機を起動し,電動機

のシャフトに取り付けたカムによって,ペンレコーダの

時刻目盛り用リレーを, 10分間隔でオン,オフするよう

にしたものである。

2.2 校正部

校正部として周波数シンセサイザm.信号発生探を用い

た。との信号発生器は外部からの制御信号lとより周波数

及び出力電圧の制御が自動的に行われ,その出力によっ

てアナログ及びディジタル記録の校正を行うようにし

た。主要な性能は第2表l乙示す通りである。

第2表周波数シンセサイザ型信号発生器主要性能

周波数範問 i100…5MHz

j司波数最ノj

J.',J i皮 数安 2主 1交 I1X10-8 /day

一 一一一一一一一一出 力 電圧純 UH I I μV( 0 dB11V)~ l V (IZOdB1iV)

出力インピやス Ison

2.3 受信部

受信部にはディジタルシンセサイザ全波受信機を使用

した。受信周波数の設定は, 2.1.2.(v)で記述したよう

に手動または自動で行うことができる。周波数設定時間

は手動の場合には最大5秒であり,自動の場合は更に短

縮される。総合周波数安定度は AFCオンの状態で±20

Hz以内である。 IF出力までの総合利得は 85dBであ

り,最小受信可能信号強度は S/N2QdB以上の条件で

2μVである。 IF部;域は, o.3, 3, 8kHzと切替えが

できる。受信機は 455kHzのIF出力と低周波出力のそ

れぞれに出力端子を備えており,目的によって使い分け

るζ とができる。その他の性能を第3表lと示した。

2.4 アナログデータ記録部

受信機中間周波455kHz出力を,対数増幅器を通し対

第3表 ディジタルシンセサイザ全波受信機主要性能

受信周波数範岡 Iio附 z~30MHz(lMHz間隔初バンド)

プリセット受信 I 39波

受信電波形式 IAi.A2 Aa,A山”

電波研究所季報

数圧縮して検波した出力をぺンレコーダlと与え,受信強

度の変動を記録し,いわゆるアナログデータが得られる

ようにしたものである。使用した対数増傾器は 60dBに

わたって直線性(± 2dB)を有するもので,受信波のフ

ェージング闘を考慮しでも充分満足できるものである。

なお使用したぺンレコーダは応答速度が 250mm/O. 3

secのものを用いた。

2.5 ディジタルデータ記録部

乙乙では受信機中間周波出力をディジタルレベルメー

タlζ与え,ディジタルクロックからの制御信号lとより,

一定間隔毎lζ言|数されたレベル値を,インターフェーサ

を仲介とし計算機へと送り込み,演算処裂を行わせプリ

ンターにより印字出力させている。

2.5.1 ディジタルレベルメータ

アナログ量である中間周波出力電圧を,ディジタル量

IC変換するためAD変換を行い,計数した値をデシベル

で示す機能を備え,求めた値を BCD符号化パルスで出

力することのできる機能を持っている。

乙のディジタJレレベルメータの測定可能周波数範囲

は, 20Hzから lOMHzまででありまた受信機の中間周

波出力インピーダンスが75.nであったので,ディジタル

レベルメータの入力インピーダンスも75!1とし,整合状

態で測定可能入力レベルを測定した。その結果,絶対レ

ベル値で-69.9dB mから+19.9dBm, そして相対レ

ベル値では 79.SdBの範囲であった。また本レベル計の

計測サンプリング周期は15秒で使用したが最短0.5秒ま

で可能であり,測定結果は数字表示管及び BCD符号化

パルスlとより 3桁出力される。

2.5.2 ディジタルクロック

とれは時刻出力と時刻表示を行うクロック部及び設定

時聞に従って制御信号を発生するタイマ部で構成され,

16通りの周期信号と12通りのステップ信号をインターフ

エーサに送り,タイ 7fil)J作を行う機能を持っている。第

4表lζ主な機能を示した。

第4表ディジタルクロック主要性能

基準叩皮|川4

時刻表示|仰の6桁表示

時 刻 出 力 IB c Dコード6桁出力

2.5.3 卓上型電子計算機

採用した卓上計算機はキャノーラ SE-600で主な規格

は第5表の通りである。

以上記した各機器を2台のラックピ納めた写真を次lζ

示す。

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Vol. 22 No. 120 November 1976

ms表キャノーラ SE-600主主Hi:liE

M 式l欣f捌式プリントアウト方式

…| 川(数附戸的4 # i )

記憶符J,t/ 100

I 11日l減 i-;i: I '.lli' n I 訴mAil.克I l !

I 13ms I 19ms I

| l命令 12ピット命令前長|

| I都 (72ビット) ・6命令

入力方式|パンチカ一山ラム方式

除釘|閲 31<

25ms /伽S

写真 l ディジタノレ~界強度以tltt:~住外観

左側ラック上部よりピンボードプログラ?, 1>H1Jn:決

i国,周j民数シンセサイザ型信号発生総,受信周波数設定

プリセット盤,ディジタ ノレシンセサイサ‘全波受信機,そ

して最下部lζは附加l装置JTIDC電源、があり,布側ラッ ク

上部/I:.は対数増幅il:'-i-,右はペンレコーダ,下ってディジ

タJレクロック,ディジタノレレベノレメ ータ,インターフ ェ

ーサ,卓上計算僚となっている。

263

3. 総合動作

今同行った実験を(91]'ζとり本装i/11'の総作 iJl}Jf'1:ごを以下iζ

述べる。

3. I 校正

アナログ及びディジタノレ記録部の校疋は,まず受信部

入jj;をイ言り発生保側IC::切主主え, 校jJ:J.',j波数/J\)〕を !Jnえ

る。校IF.借りは中間J,'iji山IiノJからアナログ及びディジタ

Jレ記録部へ{,LI.:、給される。その校正J.'h!.k数IHJJは内政!的lζ

Oから 90dBまで変化させているが,それにj心l泊してデ

ィジタノレレベノレメ ータの表示前を読取り , 信一日発~I :?.~ Iii

力lζ対応したディジタ Jレレベルメ ータ表示航をグラフi乙

プロットして絞正曲線を f'I ' る。 ζ れは後で~I勿機出力からプリントアウトされたレベノレ他を布ll.iEするのに用いて

いる。第 31支|は校正Elli似の一例である。

区|から分かるよ うに例えば横制lの信り発つ.器山)J(悶1

ち叉イ言{$入ノJ';LJ:JT:)が 30dB のとき , 縦•M1のテーィジ タノレ

レベルメ ータ のレベJレfo'[は 29dB であるので,,n-:~;r機か

らプリン トアウトされるfo'Uこ, 1 dBのfillIFを行う 乙と

にしている。

-)jアナログ記録部のペンレ コータ の記以紙には, 10

c!Bステ yプで校i闘織がM'ifJ、れろ。

3. 2 測定

プログラムは校iU!J1fl:についでiJllJJl:動1'1'となり受信部

入1Jは空rjI 和~fJ[l]IC::切り替わり,'<G:界強度の測定状態とな

り各記録部は記録S!J1f'r:を行う。3.2. 1 ディジタ Jレ記録動作

JI・釘i幾を中心とし周辺装i汚とし てディジタノレク ロッ

f. 770 kHz

60 Att: 0 (db)

50

..0 唱

40

n

n

u

n

u

nu

qd

qL

1

トコ

ot凶ト凶玄

J凶〉凶J

。 10 20 30 40 50 60

S. G. OUT (db)

買~ 3 悶 レベノレ他較正11!1事~

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クロックノfルス

時刻読取命令

測定開始信号

時刻読取信号

クロック同期(1)

クロック同期(2)

シフトパルス(1)

シフト/~ルス(2)

シフトパルス(3)

シフトノfルス(4)

クロック同期(3)

終了パルス

データ送り信号

電波研究所季報

NO

時刻読み取りの時のインターフェーサのタイムチTート

第4閃 デジタノレデータ記録動作説明図

ク,ディジタルレベルメータ,そしてインターフェーサ

を使用することにより,ディジタルデータ記録部を構成

した。そしてそれらの機器による記録動作を,第4図の

フローチャートによって示す。ただしこのフローチャー

トは,記録動作を8時間行った場合を前提としている。

ディジタルクロックは,ディジタルデータ記録部測定

動作の総べての時間制御を行い, 一測定周期を30分と

し,最初の25分間をレベル読み取り時間とし,その問15

秒置きに 100個のレベル読み取りを行わせ,残り 5分間

を計算機の演算処理時間とするタイムスケジュールとし

た。同時に測定周期毎,その開始,終了時刻を計算機lζ

読み取らせた。

またインターフェーサば,周辺装置と計算機問の命令

の伝達とデータの転送を行う。

そして計算機は,カード入力によるプログラムj買に周

辺装置に命令を送り目的の動作を行わせ,同時IC転送さ

れてきたデータを記録し定量に達したとき統計処理を行

い,出力部プリンタlとより印字出力する。

一測定周期における記録動作は大別して,測定開始時

刻読み取り, レベル値読み取り,測定終了時刻読み取

り,統計処理と印字出力動作となり 1サイクJレを構成し

ている。次にそれらの動作について逐次記述するが,始

めの測定開始時刻読み取り動作(i)からかりについて

は,第4図lとそのタイムチャートを示した。

( i ) 計算機のスタートキー・オン。時刻読取命令が

インターフェーサICiきられ,計算機はデータ取り

込み状態となる。

(ii) ディジタルクロックのスタートキー・オン。測

定開始信号がインターフェーサlと送られる。

(iii) (i), (ii) lとより,インターフェーサは時刻読

取信号を作り,ディジタルクロックに送る。

(iv) ディジタルクロックは4桁の「時間」データを

パラレルICインターフェーサに送り込む。

次lζζのデータを1桁づっシリーズlζ変換して計算機

に送り込むわけであるが,そのために次のような信号を

作り用いる。

まづデータ送り信号はクロックパルスと正確に同期し

ていなければならない。そζでクロックパルスと同期し

た同期パルスU剖を作る乙とによって, データ送り信号

を作っている。

(v) データ送り信号の負パルスlとより,シフトパル

スI)吋}が作られ,「時間」データは 20ms毎IC1

桁づっ,シリーズlと計算機に転送される。

(vi) データ転送が終ると,クロック同期3)の時間の

猶予を置き,インターフェーサは計算機lζ終了信

号を送る。

(vii)計算機は終了信号を受け取ると,次のプログラ

ムに進む。

(viii)「時間」データは計算機11¥カ郊から測定開始時

聞として印字出力される。

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(ix) 次IC::計算機からレベJレ読取命令が,インターフ

ェーサlζ送られる。

(x) ディジタルクロックからレベル読み取りの時間

信号 (15秒周期)が,インターフェーサ!と送られ

る。

(xi) 時間信号を受け取るとインターフェーサはレベ

ル読み取り信号を作り,ディジタルレベルメータ

IC::送り込む。

(xii)ディジタルレベルメータは,レベルを読み取る

と,印字命令信号をインターフェーサlと送る。イ

ンターフェーサと計算機はデータ取り込み状感と

なる。

(xiii)レベル値は数値lζ3桁,小数点l乙1桁,合わせ

て4桁の信号として計算機lζ送られる。データ転

送時間は最大 140msである。

(xiv) (ix)から(xiii) までの動作が100悶(15秒×

100=1500秒=25分)繰返され, 100個のレベル値

が計算機に取り込まれる。

(xv) 100回目のレベル値読み取りが終了すると,百|・

算機から時刻読取命令がインターフェーサに送ら

れ, 以下(iii)~(v)の動作を行い計算機に「時

間」データが記憶される。

(xvi)次lζ計算機はレベル値について統計処理を行

い,レベルの最大値から, 5,10, 20, 30, 40,

50, 60, 70番目のデータを取り出し,同時にそれ

ぞれの順位を%値として出力部プリンタにより印

字する。最後に(xv)で読み取った「時間」デー

タを終了時刻として印字し,次のプログラムの時

刻読取命令をインターフェサlζ送り,ディジタル

265

クロックよりの測定開始信号を待つ。

3.2.2 アナログ記録動作

乙れはぺンレコーダで受信信号強度を記録させる部分

であるので,記録紙幅をOから 90dBにとって校正を行

い,データ整理の容易さを考え紙送り速度は毎時60cmと

し,時刻目盛りは前述したように10分間隔とした。なお

測定開始前と終了時に自動的に校正を行い,レベル値を

lOdBステップの階段状lζ描かせるようにした。

4. 実験と結果

4. 1実験

1975年6月当所内において本装置を使用し,受信空中

線lζ3.5mの垂直空中線を用い,当所から 470km隊れた

中波放送局としてNHK秋田第2放送(周波数: 770kHz

電力: 500kW)を選び, 夕刻17時より夜中の O時まで,

中距離夜間フェージング波の受信測定を行った。

実験中における本装置のタイムスケジュール及び動作

プログラムは,前述したピンボードプログラムを使用し

て,第6表l乙示すようなピン設定lζて行った。

4.1.1 アンテナ校正

実験lζ先立ち測定用の受信空中線の校正を行った。こ

の校正には当電波研究所の通信機器部において標準校正

を行った携帯月j直読型.の電界強度測定器を使用した。第

5図はその概要を示したものである。

アンテナ校正のための電波源としては,近距離局で受

信実験周波数に近くしかも比較的に強い直接波として東

京FE N放送(周波数: 810kHz,電力: lOOkW)を選び,

携帯用電界強度測定器によって電界強度 Eο (dB)を求

めた。

第6表 ピンボードプログラ7 ピン設定例

始 動

絞 正

1

8

16,17,18

2

6

7

1, 8, 16, 17, 18

1,8, 16, 17, 18

1,2,6,7,8

16, 17, 18

動 作 設定時間

受信機と信号発生器の周波数を設定

タイムマーク用モータ駆動 25分間

構成機器電源オン

受信部入力,信号発生器11::切替え

出力表示器電源オン

信号発生器出力制御回路動作5分間

〕!塑

構成機器棚オフ 「-

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266

第5図アンテナ較正法

校正しようとする空中線とディジタル電測系を受信状

態にし,ディジタルレベルメータが一定の指示をするよ

うにして,とれと同じレベルを与える信号発生探IM力電

圧から伊.中線系の端了-電圧 V;守(dB)なる怖が得られ

る。

因って求めるアンテナ校正係数 A (dB)は,

A(dB) =Eo(dB) Vs( dB)・…(1)

で表わされる。以上のようにして求めたアンテナ校正係

数の測定結果を第7表に示した。

)1'.!7表 アンテナ絞正係数測定結烈

治問波数 I~~竺~-か11附子町」?!??

8…z) I 101 (dB) I 的側

4.1.2 レーレ一分布の場合のコンピュータシミュレ

ーション

今迄説明したように試作したディジタル電界強度測定

30min

電波研究所季報

器では, 25分間の測定期11¥Jに100個のデータをサンプリ

ングしそれを統,: 1・処即している。 ~6 図は電界強度のア

ナログ記録と,ディジタ Jレ記録のサンプリングとの関係

を示す測定例であって, 1:j:1波放送波が夜間電離層を伝搬

する場合このようなフェージングを伴う乙とはよく知ら

れている。ディジタル記録における15秒間隔のサンプリ

ングでも,黒点が示すようにかなりよく追随している。

100個のデータの持つ有志性を,コンピュータシミュ

レーションによって調べる乙とにする。フェージングが

15秒の周期を持つならば,このようなサンプリングは効

果はないけれども,そのようなととは偶然でしか有り得

ないと考えられるので,このような測定によってあるフ

ェージングに対して,全くランダムIC100個のデータを

抽出するものと云ってよい。

電離層波のフェージングは,かなり良くレーレ一分布

lと近似できるから, レーレ一分布の場合についてコンピ

ュータシミュレーションを行うととにした。

一般にレーレ一分布に従う振l隔が E 以上になる累積

時間率は,(2)式となる引,610

P(E)=巴xp{-(与n .... (2)

ととで σ2は仮111日の 2JltτV-l句純であるの

また確率が50%となる振脈iE刊と σとの関係はよく

知られているように(3)式で示されるから,累積時間不は

(4)式で与えるとともあるの

E;。一τ一=O.693 σ‘

目・・(3)

第6図 アナログ記録lζ図示したディジタル記録のサンプリングポイント(アナログ波形上IC同時刻においてディジタノレで読取った 100伺のサンプリングポイントを印したもの)

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267 1976

レーレ一分布のコンピューターシミュレーション結果(サンプリング数 100個の場合)

I 30 I 40 I

November

第8表

No. 120 Vol. 22

90

6. 41 4. 82 3. 63 2. 41 I. 29 . 25 -I. 06 -2.91 -4.60 -9.43

6. 43 5. 61 3. 65 2. 23 I. 06 . 00 I. 13 -2.41 4.41 -7.26

5. 72 4.67 3. 46 2.10 . 74 一.85 -1. 69 -3.45 5. 66 -9.92

6. 20 5.29 3. 65 2. 23 I. 27 一.02 -1. 23 -3.11 4. 50 -7.82 E’

6. 43 5. 35 3. 71 2. 67 I. 55 . 00 -1. 07 -2. 76 5. 07 -6.47 (dB)

5. 70 5.11 3. 25 2.10 I. 27 . 34 -1.39 --3. 45 -4.90 -9.62

6. 50 5. 37 4. 02 2. 30 I. 34 . 37 -1.10 一2.69 -5.26 -7. 78

5. 50 4.82 3. 37 2. 27 . 90 .26 -1. 65 -3.37 5.28 -9. 51

6. 43 5.35 3. 67 2. 27 I. 29 一.22 -1. 07 -3. 21 -4. 50 -9.09

6. 43 5. 35 3. 80 2. 29 . 89 一.08 一.99 -2.87 -5.38 -6.39

80 70 60

必晶冨弓

t

。d

n,“Aa・内‘u

1

1

一+-一

50

nwup内U

AUan宅±

20

AHVFhupnu

n,t

4

a

T

C

O

qO

円。

10

5. 32 I ± . 51 I

5. 22 I

5

n

o

n

o

p

o

aa-”、un

屯U

p

o

p

o

±

l

l

-- λ旬、‘r’’

qノレレ

1民

-7. 98 ±1. 33 。OA

υ

406

a

一+一

nJ唱

i

n

u

d

n

6

P

0

0

6

n

4

n

4

一+一一

i

n64n

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n,“AH守

n,“

...

1

1

+一

nNUFnυAHw

an噌戸町

υanEZ

nd“

n,“

土N=IOO の統計値

-8.18 -4.92 o. 00

-一(5)

強度を, dB表示で E'とすると(5)式となる。

E'(dB)=201吋£)・・・(4)P(E)=吋-0.693 (ガ)

λ ハ 八 f

リ I ¥

I tl t2 t3 t4 |町内

t5

'T'

E

レーレ一分布する電界強度の50労値で規約化した電界

f¥ . AVAHV

I)

0

。t.

凸’

h

,.胆UV

2ミ号'.; D iJ r>具ミ..r; r: .,・当ぜ何百!,.む" ;< 'u '1,

主f号

iDIE;':}D!J.

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2 (g 0 ¥JD fl号

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5o'q1],:JOJo'uuQ ~ T' _,_,弓

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n.o nS日u~Du ti,

31,1

2ミ2500

T

電界強皮の累積時間率の求め方第7図ディダジノレ記録のプリント例第9表

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~

"' 健也IL

268

(dB伊v)30

(a)

( b)

50・'/,(P)

由Eit ≪ 40 包

且! ill"似BIJlV)30

電波研究所季報

第8図 アナログ測定記録例

これらの式を用いてシミュレーションを行ってみた。

サンプリングの方法として, o.ooo~1.000の範囲で乱

数を発生し,とれを P(E)として E'(dB)を求め,と

れを 100回行いとれをもってー測定とし,乙の値を大き

いブJより並べ, 5, 10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80,

90番目の値を求める。以上の操作を 100回試行した結果

の例示,及び100個の各順位値の平均値と標準偏差,並

びIC:レーレ一分布の場合の理論値に対する比較を第8表

に示す。その結果によれば,例えば順位5番目の値は,

誤設 O.ldB, 標準偏差 O.53dB, 50番目の値は,誤談

O. ldB, 標準偏差 O.45dBで評価できる乙とが分かる,

従ってサンプリング数が1000個もあれば一層良いであろ

うが,たとえ 100倒であっても電界強度測定器として必

要な範囲で充分実用できると云える。

4.2 結果

実験の結果得られた測定記録の中から実験中同時にモ

ニターした録音テープも参考として,比較的混信の少な

かった時の記録15点を得た。その中の一部を第9表及び

第8図lと示す。

第9表は6月24日の23時から23時25分までの電界強度

デジタノレ記録例である。始めの第 1 行 lζ 淑~定開始時刻

23.0000が印字され,第2行lζ総数の 5%の見出し, そ

して第3行にその時のレベ、ル値 37.4dBが印字されてい

る。以下%値, レベル{肢のl煩lと交互に印字され,最後に

終了時刻が印字されている。なお印字されているレベル

値は,アンテナ校正係数及び受信部入力電圧対ディジタ

ルレベルメータ表示値の校正曲線(3.1参照)による補

正はなされていない。

アナログ記録からの累積時間率 P(E)は次のように

して求めた。第7図を例にとると測定周期 T の聞に電

界強度 E のレベルが Ei以上である時間の累積 :Et-t

:Eti=f1 +t2十ta+九+t5 ……(6)

を求め測定周期 Tとの比, :Eti/Tをパーセントで示

し, P(E1)とした。

第8図IC:得られたアナログ記録の中より代表的なフェ

ージング測定記録例(a), (防,(c), (d)を示す。

各図の下の中央に測定年月日と時間を示し,横軸は時

刻で数字は分を表し,時間の流れは右から左となってい

る。そして中央の点線は累積時間率50%のレベルを示し

ている。

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Vol. 22 No. 120 November 1976 269

70 75 80

65 70 75 80

Field strength (dB lJJv/m )

*9図 アナログ及びディジタル記録より求めた累積時間率曲線

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270

第9図(a),(同,(c),仙,(e)にテoィジタJレ及びアナログ

記録より求められた電界強度と,その累積時間E与を正規

l権準紙上にプロットしたものをJi~す。実線はアナログ記

録より求めた採験時間率曲線であり,白丸,黒丸,及び

1波線はディジタJレ記録より求めたものである。そして凶

(a)の白丸による曲線は,第8凶(叫のアナログ記録とl司l時

のものであり,図(紛の白丸,黒丸,及びI政総による曲線

は,第8図(防,(c), (d)と,同じ時のものである。

4.3 比較

一般に変動する電界強度値を示すには,或る一定時聞

においてそれぞれのレベル以上の電界がどの位の時間を

占めていたかを記録紙から読み取り,正規確率紙に累積

時間率として表わすのが,とれ迄の処理の仕方であっ

た。しかし本装置による処理は前述したように,ある一

定時聞を百等分して得られた 100個のデータを,レベル

値順lζ並べ求める順位のレベルはどんな値であるかを記

録するものであるから,従来の表現とは異なっているの

で,両者の回%値の途いを求めてみた。

使用したデータは15個である。処理はアナログデータ

の50~ぢ値を基準とし,その時のテ’ィジタルデータの50労

値との差を求め,平均値,標準偏差値を求めた。その結

果は次の巡りであった。

平均値: 0.2剖B

楳準偏差:o.おdB

採積時間率5096におけるレベル値の比較結栄から,デ

ィジタル記録値がアナログ記録から求めた依lとかなり良

く近似できるととが分かり,本測定法の有意性が実験の

結果からも実証されたと云えよう。 4.1.2でも述べたよ

うに,本測定法によって求められる信号強度の累積時間

率は,その受信信号の振幅分布がレーレ一分布をなすも

のであるならば, J:lJl論値にかなり良く近似していた。従

って本装置を朋いて電界強度測定を行うときに,少くと

も以上述べてきたところの条件の下において行われるな

らば,その結占院においても充分尚起されるであろうω

5. 結 言

先般中波電界強度の距離特性を求める乙とがJI・削さ

れ,新たに電界強度測定器を試作する機会を得た。乙の

測定器の特徴の第ーは,完全に自動化されておりプログ

ラムによって測定j;'.j/)主数の切り倍えも自動的に任息ω時

刻lζ行うことができるu またそω部度校iEもiJわれるよ

うに配慮した乙とであるο 第こには,電界強度ω測定仙

が一定時間似IC:統計・処魁され,希望の累積時間率の電界

強度がディジタル化されて得られるととである。

乙のディジタル電界強度測定器を用いて,フェージン

グする夜間の中波電離層波を受信し,本装i世が極めて安

電波研究所季報

定確実に動作することを確かめた。また従来から行われ

ているアナログ式の記録も同時に行い比,,改した結果,本

装io''i'.のシステムが電界強度の以随時間率を求める測 Jti去

としても充分な・t1l:fiちを持つものであることを1101かめたυ

更に望むならば,本装i聞と{史則されている日|・算機をよ

り記憶容量の大きいものにするととにより,データのサ

ンプリング数を増やしてその精度の向上を.ti・ることも,

あるいは測’jj:純|週内において受信部入出力特性がli'I線性

を保つような方法を講じて一定の補正値を得るように

し,その値とアンテナ校正係数をレベル値IC:加算される

ようにして計算機に入力すれば,真の電界強度{直を出力

プリンタから印字出力させることも容易なととであり,

また装置全体の時間制御を一個のタイマで行わせ,シー

ケンスコントロールの一元化を行うのも有意義であろ

つ。

さてディジタル技術の急速な進歩により,計測機器は

年々ディジタJレ化の傾向を辿っているが,その背景とし

て社会的に省力化,自動化の要求がある。 ζのディジタ

ル電界強度測定擦はそれらの要求lζ応えたものであり,

ζのようなシステムが今後の電界強度測定様作製の指針

!となるととを期待している。

本稿は先に出版された電波研季報「中波•fr::放送i伎の伝

搬特性特集号」 l乙合めるべきであったと思うが,都合

!とよって山米なかったことを遺憾に思っている。

謝辞

本装置はアジア地域における中放の伝搬曲線を求める

ための測定装置として設計計画され実現を見たものであ

るが,その聞にあって糟谷前電波部長の御尽力に負うと

乙ろが大きく,また村永主任研究官及びその他の御協力

lζ依ると乙ろが多い。なお終始懇切なる御指噂を頂いた

架域電波伝搬研究室長IC:,深く!~謝の意を表します。

参考文献

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査,無線技術調査報告,第275号。

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pp.94~100, 1975.

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附における中i皮帯放送波の伝搬特性(その3)南北コ

ースによる移動部|仏i:結巣,電波研季報, 対J21 J,J:, 第

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(5) K. Davies :電離層電波伝搬,コロナ社, pp.215~

216.昭布]41年11月.

(6)上日l弘之,河野哲夫:電波伝搬,オーム社, p.94,

II日向129iV:JcJ11.

271

(7)猪飼国夫:ディジタルシステムの設計, c Q出版

社,昭和49年8月.

(8)無線工学ハンドブック,オーム社, 10~33,19~54,

日百羽J39主I~ 5 J~.

1111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111111 I