イタヤカエデの育て方 種から苗木を作るための作業スケジュ-ル … ·...
TRANSCRIPT
イタヤカエデの育て方
イタヤカエデってどんな木
○イタヤカエデは長生きして、大
きく育つ木です。
○葉は手のひらの形をしており、
秋になると黄色になります。
イタヤカエデの種
目的とする場所へ植える
またはもっと大きく育てるために床(畑)に植えかえる
4~5月
4 年 目
植えかえ 草取り ほりとり
仮植え
4月 6~9月 10月
3 年 目
(芽がでる) 草取り ほりとり
仮植え
4~5月 6~9月 10月
2 年 目
1 年 目
種集め 種まき
9 ~ 10月
種から苗木を作るための作業スケジュ-ル
○種には羽がついており、風に乗って
遠くまで飛んでいきます。
○ほかのカエデやモミジも羽のついた
種がなりますが、形がちがいます。
-12-
夏の葉
秋の葉
イタヤカエデの花
1年目にすること
1 種集め~イタヤカエデの種を採る
★ほかのカエデとの見分け方
[用意するもの]
ビニ-ルふくろなどの
種をいれるもの
○イタヤカエデの種は、全体が緑
色でみずみずしいうちは、まだ
早いので採らない。
○秋になって、羽の色がかっしょ
くに変わった部分が見えたら種
を採る。
○イタヤカエデは、枝についている種を
採ったり、下に落ちている種を拾い集
めることができる。
○たくさんの種を集めるときは、枝につ
いている種を採る。
○種は羽がついたまま採る。
○集める種の数の目安種をまく場所の広さ1平方メ-トル(1m×1m)当たり500粒を目安
に集めるが、少なくまいても良い。
○○
×
○小さくても虫に穴を開けられた
種は採らないこと。
(穴の開いた種は、土にまいても
芽が出てこないため)
×
○イタヤカエデと同じように羽のついた種をつくる木にヤマモミ
ジとハウチワカエデがある。
○イタヤカエデは羽のつけねが平たくなっているが、ハウチワカ
エやヤマモミジの種は、羽のつけねは丸くコロコロにふくらん
でいる。
★種の採りごろ
★集めてはいけないイタヤカエデの種
イタヤカエデ
-13-
イタヤカエデ ハウチワカエデ
○イタヤカエデの種についている羽は、芽を出すときじゃまにはな
らない。
○しかし、羽は種を保存したり土にまくときは不要なので、羽を取
り除いてもかまわない。
○羽を取るときは手でていねいにむしりとること。
○イタヤカエデの種は、2週間位であれば特に特別なことをしない
で保存できる。ただし、直射日光やストーヴなどの熱でかんそう
させないこと。
★イタヤカエデの種のあつかいかた
○集めた種は2週間以上保存することも、
できます。軽くかんそうさせてから羽
をとり、ビニ-ルふくろに入れて冷蔵
庫(れいぞうこ)にしまっておきます。
2年から3年保存できます。
羽がついたままの種 羽をとった種
イタヤカエデ カラコギカエデ オガラバナ
北海道に生育しているカエデの仲間○北海道にはイタヤカエデのほかにもいろいろなカエデやモミジが生
育しています。
○葉の形は木の種類によってちがいがあります。
○下の種類のほかに外国から来たカエデもいろいろな種類があります。
ミツデカエデ クロビイタヤ
ヤマモミジ ハウチワカエデ
イタヤカエデ
種 を 保 存 す る 場 合
-14-
★種まき1年目にすること2 種まき作業(花だんや畑にまく)
[用意するもの]
スコップ、レーキ、板、名前を書く札、肥料とたいひ、ふるい
(あみめ6~8㎜ていど)または売っているかわいた土、
わらまたは刈り取った草、なわ、木または鉄のくい、針金
*肥料とたいひ~園芸店などで市販されているもの(種類は問わない)
○種をまく場所(床(とこ)を作る。○イタヤカエデの種を床にまく。(1㎡当たり15gまたは500粒位)○土とわら(草)をかけ、種がかわかないようにする。
○秋(9月下旬から10月)にまくと翌春(4~5月)に芽が出てくる。
○土の上に肥料とたいひをまく。
○土をスコップで深さ30㎝までたがやす。
○土をレーキで細かくする。
○大きな石やゴミを取り除く。
○細かくなった土を盛り上げて、高さ10~15㎝で上が平らになった
床を作る。
○床のはばと長さは、種をまく量や床を作る場所(花だんや畑など)に
よって変わる。
○イタヤカエデの種を、広さ1平方メ
-トル(1m×1m)当たり、500
粒または15gを目安にまく(まく量
は少なくても良い)。
○種の上に、種の厚さと同じだけ(4~6
㎜)の土(ふるいを通した土または買っ
てきた土)をかける。
○板でかるくたたいて平らにする。
○わらまたは草を、土が見えかくれする
ていどにしく。
○床のはしに、くいを打ち込む。
○ワラが風で飛ばないように、くいにし
ばったなわをワラの上にはりわたす。
○なわの両方のはしをくいにしばる。
○針金をU字形に曲げ、なわの上から土
にさしこむ。
○種の名前を書いた札を床のそばに立てる。
○そのまま芽が出るまで(春まで)待つ。
★床作り作業
イタヤカエデ
-15-
春4~5月 土の中から出て 5月下旬 生育中のイタヤカエデ
きたイタヤカエデの芽 の苗木
○床(イタヤカエデの種をまいた場
所)には、6月から9月までたく
さんの草が生える。
○草をそのままにしておくと、苗木
が草にうまってしまい育たなくな
るので、草をぬきとる。
○ぬいた草はバケツに入れて捨てる。
○秋になって、イタヤカエデの葉の
色が変わってきたら苗木をほりと
る。
○深さ30㎝、長さ1m50㎝位の
みぞをほり、ほりとった苗木を重
ならないように、みぞの中に根を
入れて、斜めに植える。根は、土
からでないようにする。
○前年の秋にまいた種は、春(4~5月)に芽が出てくる。
(1㎡当たり15g(500粒位)まいた時に芽が出て苗木に育て
るのは200本位が目安)
○草取りをしながら苗木を大きく育て、秋にほりとって斜めに植える
(仮植え)。(200本仮植するのに必要な広さは1㎡位)
○仮植えする場所は、水がたまらない場所を選ぶこと。
○仮植えした苗木は春までそのままにしておくこと。
[用意するもの]
てぶくろ(軍手)、バケツ、スコップ、
エプロン
畑に生えてきた草
みぞをほる作業 みぞの中に根を入れて斜めに植える(仮植え)
<秋に種をまいた翌年のイタヤカエデ>
2年目(種をまいた翌年)にすること1 草取り~6月から9月2 ほりとり、仮植え~10月
★秋のほりとり
★仮植え
イタヤカエデ
★草取り
-16-
緑色が変化してきたイタ
ヤカエデの葉
○植えかえの時に、苗木の根がかんそうすると枯れてしまう。仮植えの場所からほりとった苗木は、すぐにビニールのふくろに入れて植えかえるときまでかんそうしないようにする。
○広さ1平方メ-トル(1m×1m)当
たりに16本または25本の苗木を床
に植える。
○植える作業は苗木の葉が開く前に行う。
(葉が開いた苗木を植えると、すぐに
しおれてしまう。)
○根が見えないように植える。
○苗木を植えた床に生えてきた草を
ぬきとり捨てる。
○秋になって、イタヤカエデの葉が緑色
から変わってきたら苗木をほりとる。
○ほりとった苗木はみぞの中に根を入れ
て、斜めに植える。
○苗木を植える場所(床(とこ))を作る。
2年目の秋に200本仮植えした場合、春に用意する床は、10
㎡位の広さの床が必要。
○前の年に仮植えした苗木をほりだし、床に植えかえる。
○草取りをしながら苗木を大きく育て、秋にほりとって斜めに植え
かえる(仮植え)。<2年目と同様に>
○仮植えする場所は、水がたまらない場所を選ぶこと。
○土の上に肥料(またはたいひ)をまく。
○土をスコップで深さ30㎝までたがやす。
○土をレーキで細かくする。
○大きな石やゴミを取り除く。
○細かくなった土を盛り上げて、高さ10~
15㎝で、上が平らになった床を作る。
○床のはばと長さは、植えかえする苗木の本
数によって変えること。
秋の苗木ほりとり作業
葉の開く前に植えかえる
冬をこした仮植え苗木
土を盛り上げて作った床
秋にほりとった苗木を斜めに
植えます(仮植え)
[用意するもの]
てぶくろ(軍手)、エプロン、スコップ、レーキ、いしょくこて、
肥料(またはたいひ)、名前を書く札、バケツ
*肥料(またはたいひ)
~園芸店などで市販されているもの(種類は問わない。)
3年目(種をまいた翌々年)にすること
1 床づくり、植えかえ~4月(葉が開く前)2 草取り ~6月から9月
3 ほりとり、仮植え~10月
★床作り作業
★草取り(2年目と同じ)
★秋のほりとり 仮植え(2年目と同じ)
★苗木の植えかえイタヤカエデ
-17-
葉が開いてから植えてしおれた苗木(写真はサクラの苗木)
4年目にすること目的の場所に植える、又はさらに大きく育てる
○仮植えしたイタヤカエデの苗木をほりだし、目的の場所に植える。
○小さい苗木、または大きな苗木をもっと大きくしたい場合は、改め
て床を作って植えかえを行う。
○床に植えかえた苗木は、前の年(3年目)と同じように草取りをし
ながら大きく育て、秋には2年目や3年目と同じように仮植えする。
(写真はシラカンバ苗木)
○森林や校庭など予定地にイタヤカエデを
植えることができる。
○植える時期は、葉が開く前に行うと枯れ
ることが少なく、成長も良好。
なぜ 苗木の植えかえをするのか?○苗木を畑(床)に植えたままにしておくと、根が大きく伸び過
ぎてしまったり、水や養分を吸収する細い根が根元からはなれて
しまいます。このような根の形になった苗木は、目的とする場所
に植えても生き残ることがむずかしく枯れてしまいます。
○苗木を毎年植えかえすると、苗木は大きくなるとともに、根元
に細い根が多くて健全な根になります。
左の苗木:毎年植えかえた苗木(細い根が根元近くにある)中の苗木:植えかえしなかった苗木(右のような苗木)の根の
先を切り落とした状態(細い根がなくなっている)右の苗木:植えかえないでそのまま育てた苗木
(根が大きくなり、細い根は根元から離れている)
○ × ×
列に植えかえた大きなイタヤ
カエデ苗木
★目的の場所に植える
★さらに大きく育てる
イタヤカエデ
○大きく育ってきた苗木を、さらに大
きくするときは床に植えかえる。
○植えかえるときは、列に並べ、
たて・横50㎝づつはなして植える。
○秋には、3年目と同じく冬に苗木が寒
さや雪で傷まないようにほりとり・仮
植えを行う。
-18-