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液体サイクロンを用いた異物分離システムの開発
秋田大学 工学資源学部 環境応用化学科
講師 高橋博
株式会社 いとう
代表取締役 伊藤栄喜
秋田大学新技術説明会
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研究の背景
石油(灯油)を熱源とした燃焼装置
・灯油炊きストーブ,床暖房システム
・灯油炊き家庭用ボイラー
燃焼により発生する赤外線による暖房効果簡単な熱交換機能を利用した温水循環システム
・灯油の燃焼熱を熱交換器を介して水に移動させ,温水を作る
・主に給湯設備としての利用
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研究の背景
燃焼装置の運転に必要な設備
・家庭内にある据置型の石油ストーブやボイラ類に自動的に給油が行われるような構成を取るのが一般的
・各家庭に屋外型のホームタンクが常備され、定期的にタンクローリーによる給油を受ける
関わる業種・燃焼設備製造,ホームタンク製造,灯油配送 などの職種が関与
(そのほかに “タンク洗浄業者” なる職種も存在)
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研究の背景
Q なぜ ホームタンクを洗浄するの??
A タンク内に水,ゴミなどが堆積するからです
-えっ!? どうしてホームタンクに水,ゴミが溜まるの??- 結露
湿潤空気の侵入
錆錆
錆錆
水による錆の発生と堆積
昼と夜の温度差によりタンク内に結露が発生
エア抜きから風により埃の進入
タンク内部の腐食ゴミ・サビの堆積
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研究の背景
長年使用したタンクの内部写真 ((株)いとう 提供)
ヘドロ状のサビを含む水 タンク底部の腐食タンク底部の本来の輝き
・水の凍結による灯油出口配管の閉塞・異常燃焼による燃焼器の故障
発生する障害
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研究の背景 -従来技術とその問題点-
ホームタンク洗浄の現状
(大型装置の場合)
装置が大型
導入コストが高い
積載用にトラックが必要
水・汚れ等をフィルターで除去する方式
ランニングコストが高く,お客様のコスト負担が大きい
操作が複雑
装置のメンテナンスが大変
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研究の背景 -従来技術とその問題点-
ホームタンク洗浄の現状
(小型装置の場合)
導入コストが安い
汚れをフィルターで除去する方式
水はタンクの外に除去されず,IPA等の薬剤(水抜き剤)を用いて灯油の中に溶解・分散させる仕組み
水抜き剤の灯油中への添加量には制限があるため,多量の水を含むタンクには不向き
水抜き剤添加上相:灯油下相:水(1)+水抜き剤(1)
撹拌後,水は
細かく分散
徐々に分離 数時間後には完全に分離
水抜き剤の効果の検証
① ②
③ ④
・ホームタンク内など液の乱れがほとんどない系では水と油が分離する
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研究の背景
小型の装置
固体(ゴミ)と水を系外に除去する装置
メンテナンスが簡単
操作性が良好
開発の目標
液体サイクロンを用いた油-水-固体を分離するシステムの構築
対象とする系・危険物第4石油類(灯油)・水 が混在する系・サビ,ゴミ,砂塵などの固体
-液体サイクロンを用いる異物分離システムの開発-
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従来技術の問題点
液体サイクロンを用いた分離システムの構築(教科書通りの設計)
サイクロンの原理
Chemical Engineers’ Handbookより引用
低密度の物質
高密度の物質
高速で導入
固体を含む液体をポンプにより高速,高圧で導入サイクロン内で働く“遠心力の効果”により
固体は渦巻き上に配列されてサイクロン下部から排出上部からは油が返送
当初製作した装置とその構成
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サイクロンを用いる技術の問題点
P
灯油水固体
灯油(水)
固体+灯油,水
60 kg/min
40 kg/min
20 kg/min
従来技術
灯油を扱うことができるスラリーポンプの調達
送液用の通常のポンプでは固体混入下での送液は困難
灯油と水が激しく混合されて細かなエマルジョンが生成され,水と油の分離が困難
技術的課題 その1
技術的課題 その2
固体,水混合物と,灯油を完全に分離して灯油だけ返送することは困難
サイクロン底部から灯油が混入したスラリーが排出
運転すればするほどお客様の灯油の損失が増える
課題1
課題2
課題2
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60 kg/min
2 kg/min
P
灯油水固体
灯油
60 kg/min
密閉タンク
水,固体,灯油
水,固体が灯油に置換
2 kg/min
新技術の概要
スラリーポンプを使用しない
送液用ポンプをサイクロン頂部へ接続
サイクロン底部に“密閉型のタンク”を設置
スラリー粘度調整用のノズルを装着
P
灯油水固体
灯油+水
固体+灯油,水
60 kg/min
40 kg/min
20 kg/min
新技術
従来技術
・スラリーポンプを用いずにサイクロンへスラリーの導入が可能・灯油・水・固体混合物から水と固体を分離すると同時に灯油の補充が達成
液体サイクロンを用いた油-水-固体を分離するシステムの構築
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新技術の特徴
試作機を用いたモデル物質の分離実験
②灯油へイオン交換樹脂を投入
液体サイクロン
①イオン交換樹脂
③分離作業中 ④数分後分離完了
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新技術の特徴
灯油中に分散した低密度粒子および高密度粒子及び水の分離
イオン交換樹脂(550μm)-灯油系 (比重差0.5)
ガラスビーズ(1000μm)-灯油系(比重差3.3)
低密度の粒子,高密度の粒子でも分離が可能
ーモデル物質を用いた実験Ⅰ-
灯油と水の分離(比重差0.2)
・流量が低いと回収率が増加・遠心力よりも沈降の効果を利用する方が良い結果が得られる
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新技術の特徴
フィールドテストの様子
フィールドテストの様子を5分半程度に編集したDVD動画を御覧いただきます
ーフィールドテスト-
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新技術の特徴
フィールドテストの結果
他の実績
*上記他10件ほどフィールドテストを行った結果毎回1~3リットルくらいのサビ水が分離された。
*数件に関しては,植物の葉らしきものも分離された。(米の乾燥機に使ってあまった分をタンクに戻していたらしい。)
*数件はタンクの底がきれいになり、タンク内のサビ臭が消失した
-フィールドテスト-
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新技術の特徴・従来技術との比較
小型の装置
防爆仕様のスラリーポンプを用いずに運転が可能
作りがシンプルでありメンテナンスが簡単
操作性が良好
新技術の特徴
新技術の優位性
フィルター類を利用しないため消耗品を必要としない
構造が簡単であるため作業性が高く高度な操作技術も不要
スラリーポンプを用いないためコストダウンと小型化が達成可能
異物の分離と灯油の補充を1台の装置で達成(ローリーの配車は不要)
仕組みがシンプルであり,壊れた場合でもリスクが小さい
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想定される用途
化学的な視点
・浄化槽からのスラッジの除去
物理的な視点
・危険物第4類貯蔵施設の洗浄
・異相系反応プラントの洗浄
・油-水二相系晶析反応への応用
・砂礫が混入する水源から連続的に水を供給する給水設備
・浄水場の沈砂回収
・食品等の充填装置
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想定される業界と市場規模
想定されるユーザー
ガソリンスタンド,灯油宅配業者浄化槽保守点検業者,浄化槽清掃業者道路側溝清掃他土木作業関連業者各種化学産業,食品産業
市場規模 -石油給湯機の普及台数予測-
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実用化に向けた課題
技術的視点
分離対象物質にあわせたサイクロン形状の最適化
操作条件の最適化
サイズダウンと軽量化
安全性を考慮に入れた設計
事業化の視点
安全性を確保した上でのパッケージング
商品デザイン
関連法令との適合性
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実用化に向けた企業への期待
パートナー企業への期待
課題克服に向けた共同開発
ニーズ他に関する先行調査と事業戦略の策定
事業化時の生産・販売体制の確立
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本技術に関する知的財産権
発明の名称:「異物分離法およびその装置」出願番号:特願2008-169849出願人:(株)いとう,秋田大学発明者:伊藤栄喜,菊地賢一,
高橋博,佐藤幸保
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お問い合わせ先
秋田大学産学連携推進機構
知的財産ディレクター 産学官連携コーディネーター
柴田 春一 仙波 日出夫Tel. 018-889-3020
FAX 018-837-5356
Tel. 018-889-2703
FAX 018-837-5356
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