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バイオ計測学特論
2018年度 第4Q
2019.02.7-8
佐藤しのぶ
本日のトピック
電気化学測定について
電気化学測定とは
電気化学とは?
荷電粒子(電子とイオン)が関与する化学現象を取り扱う学問。電気化学では通常、電極と電解質溶液との間の界面で起こる電荷移動を取り扱う。
電解質: 溶楳に溶解した時に、陽イオンと陰イオンに電離する物質。
電解質として考えなければいけないのは、輸率(陽イオンと陰イオンがそれぞれ運ぶ電気量の割合)である!
イオンの移動度と輸率
モル電気伝導率 λ+∞、 λ-
∞ (S m2 mol-1)
イオン移動度 u+, u- (m2 V-1 s-1)には以下のような関係がある。
λ+∞=z+Fu+, λ-
∞=|z-|Fu-,
原子の大きさはK>Na>Liの順なので、イオンの動きやすさはLi>Na>Kと考えるのが普通である。そのため、モル伝導率はLiCl>NaCl>KClと予想される。
しかし、現実では左の図を見てわかるとおり、モル伝導率はKCl>NaCl>LiClの順となっている。これには水和が関係している。
https://kusuri-jouhou.com/physics/dendou.html
プロトンジャンプ機構
小さいイオンのほうが水和されやすいので、見かけ上大きなイオンとなってしま
う。
モル伝導率は、KCl>NaCl>LiClの
順となる
Hのモル伝導率が大きい理由であるが、これは水素結合を介してH+が移動するからである。プロトンジャンプ機構
三極系の測定
基準電極=参照電極:いろいろな種類があります!作用電極:いろいろな種類があります!
作用電極について
作用電極を選ぶ基準:「電位窓」を確認すること!電位窓:溶媒や支持電解質が電子授受しない電位範囲。
電位窓の負側の端は、支持電解質、溶媒、不純物(溶存酸素)の還元性できまる。電位窓の性側の端は、酸素発生の電位で決まる。
水溶液中では、水の還元が影響する。2H2O+2e-
H2 +2OH-
電極材料の水素過電圧順Pt<Pd<Ru<Au<Fe<Co<Ag<Ni<Cu<Cd<Sn<Pb<Zn<Hg (水素発生が起こりにくい)
酸素過電圧Ni<Fe<Pb<Ag<Cd<Pt<Au (酸素発生起こりにくい)
非プロトン系溶媒では、水素発生や酸素発生は電位窓を制御しないので、作用電極を選ぶ自由度も大きい
作用電極の前処理方法
作用電極は以下の中から選択する① 貴金属電極、②炭素電極、③水素電極、④透明電極、⑤その他
前処理方法① 細かい紙やすりなどで平滑にする。
② アルミナ研磨剤などで、磨き、鏡面にする。6 μm, 1 μ mと徐々に、研磨剤の粒子を細かくしていく。③蒸留水中で超音波洗浄し、電極表面に付着した研磨剤を除く。④ クロム酸混液、熱硝酸、王水などで洗う。⑤よく水洗いする。⑥測定に使う電解液中で電位操作を繰り返す。
金属電極は、上記の①~⑥を行う。炭素電極は、上記の①~③を行う。
水銀電極の水銀は、2-3回減圧蒸留して生成する。滴下水銀電極や吊り下げ水銀電極を使うときれいな電極表面を再現性良く作れる。
透明電極は、表面を手で触らないように注意し、アルコールやアセトンで軽くふく、硫酸やアルカリ溶液で前処理を行うこともある。
貴金属電極の電解研磨
金属表面がきれいになっているかどうかは、硫酸中のCV測定から判断できる。
酸素や水素の吸脱着ピークから、表面の正常性が判断できる。
左のCV以外のピークが現れた場合、何度も掃引すると、表面の付着物がはがれ、理想的なCVの波形となり、清浄な電極表面を得ることができる。
参照電極について
参照電極に求められる性質
① 電位が可逆で、ネルンストの式に従う。
② 可逆電位が長時間安定で、再現性が良い。
③ 二電極系でボルタンメトリーをしたとき、流れる電流で電位がわずかしか変化せず、微小電極に電極が流れて電位が変化したときも、ヒステリシスを示さず、すぐに元の電位に戻る。
④温度変化に対する電位のヒステリシスがない。
⑤ 液間電位差がないか小さく、微小電流が流れても波間電位差が変わらない。
⑥ 電極が金属とその塩から構成されている場合、金属塩の溶解度が小さい。
⑦ 製作も取り扱いもしやすい。
参照電極の一次基準は、標準水素電極(SHE)
白金黒をめっきした白金電極を水素イオンの活量(aH+)が1の水溶液に入れ、圧力1 atmの水素を通じたもの。
SHEの電池式
参照電極について
実用的な参照電極としては、銀-塩化銀電極が用いられる。
代表的な参照電極
対極対極作用電極で目的の酸化反応(還元反応)が起こっていれば、対極は何かの還元反応(酸化反応)が起こる。
対極としては、安定で電気化学的挙動がよくわかっている白金がよく用いられる。
作用電極が電子を受け取るのと同じ速さで補助電極では電子をほうしゅつするが、面積が小さいと反応が遅くなり、作用電極上の反応が制限されるので、十分な面積の白金を用いること。
溶媒 電解液
電気化学測定の溶媒は、電解液という。
以下のようなものが望ましい。
よく溶けて、測定液にイオン電導性を与える
もの。
水系、非水溶液系の支持電解質
支持電解質の濃度は反応種のおおむね50倍以上にする。
反応種:フェロセン(50 μM)支持電解質:KCl (100 mM)
サイクリックボルタンメトリー
① 系の初期診断:電極反応が進む電位、反応速度、付随する化学反応の有無、析出・溶解など
② 電極のキャラクタリゼーション:電極表面状態の確認
③ 反応のモニタリング: 電解重合膜の生成や電極表面構造、反応の変化を知ることができる
サイクリックボルタンメトリー
可逆系、拡散系のCV
いろいろな
非可逆系のCV
いろいろな
固定化系のCV
クロノクーロメトリー
電気化学活性種の吸着挙動を調べるのに役立つ。
Potential/V vs. Ag/AgCl
00.20.40.6
Potential/V vs. Ag/AgCl
00.20.40.6
FND cannot intercalate into the mismatched region
FND can bind to a fully matched DNA-immobilized electrode stronger than to a mismatched DNA-
immobilized electrode.
μ
× ◦
μ◦
μ ◦
μ
Ag/AgClPt
機器:Electrochemical Analyzer Model 1030A
Δ(%)={(- 0)
0}×100
→
Q = 2nFAC0*(D0t/p)1/2 + Qdl + nFAG0
GDNA = G0 (z/m)NA
M. J. Tarlov et al., Anal. Chem., 70, 4670-4677 (1998).
n: Number of electrons per molecule for reductionF: Faraday constant (C / equiv)A: Electrode area (cm2)D0: Diffusion coefficient (cm2 / s )C0
*: Bulk concentration (mol / cm2)Qdl: Capacitive charge (C)Г0: Amount of redox marker (mol / cm2)
ГDNA
Capacitive charge
Charge from the reduction of adsorbed
redox marker
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
0.35
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5
Charg
e /
C
Time1/2
/ s1/2
ss + MCH
ss + MCH + Ru(NH3)6
nFAГ0
0
5 10-8
1 10-7
1.5 10-7
2 10-7
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
Cha
rge
/C
Time0.5
/s0.5
▲Probe DNA, Tris-HCl
■Probe DNA,
Tris-HCl+RuHex
●Probe DNA+sample DNA,
Tris-HCl+RuHex
Immobilization density:3.25×1011 molecules/cm2
Hybridization efficiency:99.8%
3’-TAC TAG CGC CCG CAG CCG CAC AAA-5’
-S-ATG ATC GCG GGC GTC GGC GTG TTT-3’
125 μM FND, 0.1 M AcOK-AcOH(pH5.5), 0.1 M KCl
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
Curr
ent/
A
Potential/V vs. Ag/AgCl
125 uM FND in 0.1 M AcOK-AcOH, 0.1 M KCl
Ipa 453 mVIpc 385 mVΔEp= 68 mV
N
N
O O
OO
N
N
Fe
Fe
-1.5
-1
-0.5
0
0.5
1
1.5
0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
Curr
ent/
A
Potential/V vs. Ag/AgCl
5 μM FND, 0.1 M AcOK-AcOH(pH5.5), 0.1 M KCl1000 mV/sec, CV measurement , 15°C0.1 μM Probe DNA used in the immobilization on the electrode0.5 μM Target DNA used in the hybridization step (15°C, 2h)
3’-TAC TAG CGC CCG CAG CCG CAC AAA-5’
-S-ATG ATC GCG GGC GTC GGC GTG TTT-3’
-S-ATG ATC GCG GGC GTC GGC GTG TTT-3’
After hybridization
Increasing current after hybridization.
-3
-2
-1
0
1
2
3
4
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
Cur
rent
/A
Potential/V vs. Ag/AgCl
125 uM FND in 0.1 M AcOK-AcOH, 0.1 M KCl
Masked electrode
パルスボルタンメトリー
パルスボルタンメトリー
の違い
今期の授業
これで終了です!
お疲れ様でした!