レタス - alic › content ›...

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044 045 野生種に最も近い非結球レタスで、柔らかく葉先が赤 褐色を帯びた‘サニーレタス’、全体的に緑色の鮮やかな ‘グリーンリーフ’、葉が厚くフリル状になっている‘フリル レタス’等、様々なタイプのものが流通しています。 葉レタス レタス サニーレタス フリルレタス ステムレタス グリーンリーフ 主な種類 特徴 日本名では「ちしゃ」ともいいますが、主な種類としては結球レタス、結球しない葉レタス、半結球の 立ちレタス、茎が伸び葉を順次掻きとって食べる茎レタスの4種類をあげることができます。また、歯 ざわりについても感触が違うものがあり、パリパリしたタイプ(クリスプ・ヘッド型)と柔らかいタイプ (バター・ヘッド型)があります。 和  名 キク科アキノノゲシ属 原産地と日本への渡来 レタスの原産地は、地中海沿岸から西アジアといわれてい ます。栽培の起源は約2500年前の古代エジプトといわれ、 当時は葉レタスを食していたようです。 その後ヨーロッパ各地で栽培されたレタスは品種改良が 重ねられ、16世紀には、地中海沿岸を中心に結球レタス、リ ーフレタス、コスレタス、茎レタス等、多様なレタスが出現し ました。 日本には、中国を経由して「ちしゃ」として伝わり、奈良時代 から食べていました。その頃の「ちしゃ」は、現在、慣れ親しん でいるレタスとは異なり、結球しておらず下の方から掻きと りながら食べる「掻きちしゃ」というものでした。 現在、流通の大半を占める結球レタスが導入されたのは、 江戸時代末期になってからで、戦後、日本でアメリカ進駐軍 の食べたシーザーサラダがきっかけとなり、栽培が始まりま した。 レタスの和名「ちしゃ」は、「乳を出す草」の意味の「乳草」 の略が語源になっているようです。また、英名「lettuce」は、 ラテン語の「Lactuca」(Lacは乳を意味する)が語源になっ ており、両方ともレタスを切ると切り口から白い液が出るこ とに由来しています。 ちち くさ 国内で最も流通しているレタ スで、葉はパリパリとした感触を しているため、 ‘クリスプ(英語で パリパリとした食感のこと)・ヘッ ド’とも呼ばれています。これとは 別に、サラダ菜に代表される葉の 巻きが緩やかな結球レタスもあ り、葉がやわらかく、バターを塗っ たような油滑感から‘バター・ヘッ ド’と呼ばれています。 結球レタス サラダ菜 結球レタス アジアを中心に普及した 非結球レタスで、長く伸び た茎の皮をむいて炒め物等 に利用したり、茎から生えて くる葉を掻きとって利用し ます。焼肉で肉を巻くため に使われるサンチュはこの 茎レタスの仲間です。 茎レタス、掻きちしゃ 縦に長く結球しますが、上のほうは閉じません。葉柄は 太く、先がとがった長楕円形で、葉の巻きが緩いのが特徴 です。若い葉は柔らかく、かすかな甘みと苦みがあります。 葉がしっかりしているので、炒め物やおひたし等火を使う 料理やシーザーサラダによく使われます。 立ちレタス コスレタス 分  類

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 野生種に最も近い非結球レタスで、柔らかく葉先が赤褐色を帯びた‘サニーレタス’、全体的に緑色の鮮やかな‘グリーンリーフ’、葉が厚くフリル状になっている‘フリルレタス’等、様々なタイプのものが流通しています。

葉レタス

レタス サニーレタス

フリルレタス

ステムレタス

グリーンリーフ

主な種類と特徴

 日本名では「ちしゃ」ともいいますが、主な種類としては結球レタス、結球しない葉レタス、半結球の立ちレタス、茎が伸び葉を順次掻きとって食べる茎レタスの4種類をあげることができます。また、歯ざわりについても感触が違うものがあり、パリパリしたタイプ(クリスプ・ヘッド型)と柔らかいタイプ(バター・ヘッド型)があります。

和  名キク科アキノノゲシ属

原産地と日本への渡来 レタスの原産地は、地中海沿岸から西アジアといわれています。栽培の起源は約2500年前の古代エジプトといわれ、当時は葉レタスを食していたようです。 その後ヨーロッパ各地で栽培されたレタスは品種改良が重ねられ、16世紀には、地中海沿岸を中心に結球レタス、リーフレタス、コスレタス、茎レタス等、多様なレタスが出現しました。 日本には、中国を経由して「ちしゃ」として伝わり、奈良時代から食べていました。その頃の「ちしゃ」は、現在、慣れ親しんでいるレタスとは異なり、結球しておらず下の方から掻きと

りながら食べる「掻きちしゃ」というものでした。 現在、流通の大半を占める結球レタスが導入されたのは、江戸時代末期になってからで、戦後、日本でアメリカ進駐軍の食べたシーザーサラダがきっかけとなり、栽培が始まりました。 レタスの和名「ちしゃ」は、「乳を出す草」の意味の「乳草」の略が語源になっているようです。また、英名「lettuce」は、ラテン語の「Lactuca」(Lacは乳を意味する)が語源になっており、両方ともレタスを切ると切り口から白い液が出ることに由来しています。

ちちくさ

 国内で最も流通しているレタスで、葉はパリパリとした感触をしているため、‘クリスプ(英語でパリパリとした食感のこと)・ヘッド’とも呼ばれています。これとは別に、サラダ菜に代表される葉の巻きが緩やかな結球レタスもあり、葉がやわらかく、バターを塗ったような油滑感から‘バター・ヘッド’と呼ばれています。

結球レタス

サラダ菜

結球レタス

 アジアを中心に普及した非結球レタスで、長く伸びた茎の皮をむいて炒め物等に利用したり、茎から生えてくる葉を掻きとって利用します。焼肉で肉を巻くために使われるサンチュはこの茎レタスの仲間です。

茎レタス、掻きちしゃ

 縦に長く結球しますが、上のほうは閉じません。葉柄は太く、先がとがった長楕円形で、葉の巻きが緩いのが特徴です。若い葉は柔らかく、かすかな甘みと苦みがあります。葉がしっかりしているので、炒め物やおひたし等火を使う料理やシーザーサラダによく使われます。

立ちレタス

コスレタス

分  類

Page 2: レタス - alic › content › 000138365.pdfの略が語源になっているようです。また、英名「lettuce」は、 ラテン語の「Lactuca」(Lacは乳を意味する)が語源になっ

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冷蔵庫の野菜室へ

みずみずしく弾力があるもの

葉が淡い緑色で結球したもの

表面につやがあり、重すぎないもの

切り口が10円玉ほどで白いもの

▲定植作業

 レタスはそのみずみずしさとパリッとした食感から、サラダとして食べられることが多いようです。サラダで食べるときは、氷水に浸しておくといっそう歯ごたえがよくなります。 煮込みやスープ、チャーハン等、加熱してもおいしく食べられますが、シャキシャキとした歯ごたえを生かすなら加熱しすぎないよう、手早く調理しましょう。 また、レタスを鉄の包丁等で切ると、切り口の酸化が進み変色しやすいので、手でちぎって調理しましょう。

選び方

 結球レタスは、葉が淡い緑色のものが良く、固く巻いたものは、老化している可能性があるので避けましょう。 葉レタスは、葉先が色濃くて、パリッとみずみずしいものが良品です。古く

なると苦味が出やすくなるため、なるべく新しいものを選びましょう。 また、白くて10円玉ほどの大きさの切り口が新鮮さの証拠ですので、切り口を見るとよいでしょう。

栄養素・

機能性成分

 レタスは鮮度が落ちやすく、乾燥に弱い野菜です。切り口に湿らせたキッチンペーパーをあて、最初にはがした外葉でくるみ、ラップやポリ袋で保存すると長持ちします。

 冷凍したレタスは生食には向きませんが、炒め物やスープ等の加熱調理には使えます。冷凍する場合は、洗って水をよく切り、適当な大きさにちぎったものを、ポリ袋に入れましょう。 古くなると苦みが出てくるので、早めに食べ切りましょう。

保存方法

生産概況

生産現場から 国内有数の夏秋レタスの産地である長野県佐久地域。写真のように畑にマルチをかけて、定植をします。マルチは、土壌水分のコントロールや病害の防止、低温期の生育促進、雑草の生育抑制等の効果があります。主な収穫時期は6~9月で、午前2時には収穫作業を始めている農家もあります。収穫されたレタスは集荷場に集められ、予冷して全国に出荷されます。

 レタスの作付面積は21千ha、出荷量は53万トン(平成24年産)で、近年は、出荷量が50万トン前後で安定して推移しています。レタスの生育適温は15℃前後と冷涼で乾燥した気候を好みます

が、産地リレーや施設栽培の普及によって周年供給体制が構築されています。

 レタスは、出荷時期により大きく春レタス(4~5月)、夏秋レタス(6~10月)、冬レタス(11~3月)に区分され、春レタスは茨城県や兵庫県等の大都市近郊、夏秋レタスは長野県や群馬県等の高冷地、冬レタスは静岡県や香川県等の比較的温暖な地域へと、栽培が移行します。全国の生産量の約5割は長野県と茨城県で占めており、次いで群馬県、兵庫県となっています。

※浸し過ぎはビタミンの減少につながるので注意しましょう。

●レタスの食感を 生かして調理を

 レタスの大部分は水分ですが、ビタミンKやカリウムが豊富に含まれています。ビタミンKは骨の形成に欠かせない成分で、骨粗しょう症を予防する効果があります。カリウムは塩分を体

外に排出する作用があるので、塩分が気になる際に利用するとよいでしょう。そのほか、ビタミンB1やビタミンCがバランスよく含まれており、ビタミンB1には筋肉疲労の回復効果が、抗酸化作用があるビタミンCには、正常な細胞を保護する効果があります。

 サニーレタス等は、結球のレタスと比較して色の濃い葉が多く、栄養的には、カリウムは2倍、カルシウムは3倍、カロテンは9倍、ビタミンCは3~4倍と多くなります。

ビタミンE

ビタミンK

食物繊維

葉酸

ビタミンC カリウム

【レタス(結球葉・生)】割合(%)

44.6

30.4

10.06.5

5.04.6

30代女性1日当たりの栄養摂取基準量を100とした場合におけるレタス(結球葉・生)100グラム中に含まれる主な栄養素の割合(ただし、食物繊維は目標量、葉酸及びビタミンCは推奨量、そのほかは目安量の値を用いた )。出典:「日本食品標準成分表2010」レタス(結球葉・生)より

【平成22年 レタスの月別入荷実績】(東京都中央卸売市場計)

【平成22年 レタスの月別入荷実績】(大阪中央卸売市場計)

0

2,000

4,000

6,000

8,000

1,000

3,000

5,000

7,000

9,000

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

(t)

(t)

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

静岡(36)

香川(12)

長崎(7)

千葉(8)

兵庫(12)

その他(25)

静岡(34)

香川(13)

兵庫(10)

千葉(8)

茨城(8)

その他(27)

茨城(40)

静岡(17)

香川(12)

兵庫(8)

その他(23)

茨城(64)

兵庫(14)

香川(7)

その他(15)

茨城(48)

長野(29)

群馬(12)

その他(11)

長野(70)

群馬(18)

茨城(5)

その他(7)

長野(83)

群馬(12)

その他(5)

長野(85)

群馬(11)

その他(4)

長野(85)

群馬(10)

その他(5)

茨城(62)

長野(27)

栃木(6)その他(5)

茨城(64)

兵庫(12)

その他(14)

静岡(30)

茨城(22)

兵庫(15)

熊本(5)

香川(9)

その他(19)

兵庫(48)

徳島(27)

香川(9)

その他(16)

兵庫(37)

徳島(30)

香川(11)

その他(22)

兵庫(42)

徳島(23)

香川(10)

茨城(9)佐賀(5)

その他(11)

兵庫(55)

徳島(14)

茨城(12)

香川(11)

その他(8)

兵庫(47)

長野(32)

茨城(7)徳島(4)

その他(10)

長野(92)

兵庫(6)

その他(2)

長野(99)

その他(1)

長野(98)

その他(2)

長野(98)

その他(2)

長野(30)

茨城(28)

岐阜(22)

兵庫(16)

その他(4)

兵庫(53)

茨城(20)

徳島(11)

香川(9)

その他(7)

兵庫(51)

徳島(23)

和歌山(4)

香川(8)

長崎(5)

その他(9)

出典:平成22年大阪府中央卸売市場、大阪市中央卸売市場年報より作成

出典:平成22年東京都中央卸売市場年報より作成

【レタスの作付面積】

【レタスの出荷量】

出典:農林水産省「平成22年産生産出荷統計」

出典:農林水産省「平成22年産生産出荷統計」

長野5,790

茨城3,460

兵庫1,290

群馬1,240

香川1,040

その他4,437

平成22年合計

20,900ha

平成22年合計501,100t

福岡947

長崎796

静岡791

北海道586

熊本523

長野163,200

茨城79,000群馬

49,700

兵庫33,300

その他72,200

長崎23,800

香川20,600

静岡19,400

福岡15,800

北海道12,600

熊本11,500

群馬1,280

熊本584

【平成24年 レタスの月別入荷実績】

【平成24年 レタスの月別入荷実績】

静岡(36)

香川(14)

長崎(8)

熊本(8)

熊本(4)

熊本(6)

兵庫(12)

その他(22)

静岡(35)

千葉(7)

茨城(10)

茨城(4)

その他(30)

茨城(37)

静岡(21)

兵庫(7)

その他(21)

茨城(60)

兵庫(18)

香川(6)

香川(9)

香川(11)

その他(8)

茨城(32)

長野(39)

群馬(13)

その他(6)

長野(73)

群馬(19)

岩手(5)その他(4)

長野(85)

群馬(11)

その他(4)

長野(84)

群馬(12)

その他(4)

長野(83)

群馬(10)

その他(3)

茨城(63)

長野(26)

栃木(7)

栃木(5)栃木(5)

栃木(5)福岡(3)

その他(4)

茨城(69)

兵庫(10)

静岡(6)

その他(7)

静岡(35)

茨城(15)

兵庫(12)

香川(9)

その他(22)

兵庫(44)

徳島(22)

香川(7)

香川(7)

その他(11)

兵庫(33)

その他(17)

兵庫(31)

徳島(22)

香川(8)

茨城(12)

その他(12)

兵庫(42)

徳島(14)

福岡(15)

茨城(17)

その他(12)

兵庫(32)

長野(46)

茨城(4)徳島(4)

徳島(21)

その他(7)

長野(96)

その他(4)

長野(99)

その他(1)

長野(99)

その他(1)

長野(97)

その他(3)

長野(47)

茨城(35)

その他(4)

兵庫(33)

茨城(27)

徳島(14)

香川(10)

香川(3)

その他(7)

兵庫(35)

徳島(23)

香川(7)長崎(7)

長崎(7)

その他(18)

出典:平成24年大阪府中央卸売市場、大阪市中央卸売市場年報より作成

出典:平成24年東京都中央卸売市場年報より作成

出典:農林水産省「平成24年産生産出荷統計」

出典:農林水産省「平成24年産生産出荷統計」

長野5,720

茨城3,560

兵庫1,230

その他4,306

平成24年合計

20,900ha

平成24年合計

529,100t

福岡986

香川1,010

長崎857

静岡787

北海道580

長野185,400

茨城81,500群馬

52,200

兵庫29,500

その他72,000

長崎25,100

香川19,900

静岡18,800

福岡17,200

北海道13,300

熊本14,200

兵庫(7)

兵庫(10)

福岡(12)

福岡(16)

福岡(15)

福岡(7)

福岡(4)

福岡(9)

福岡(10)

兵庫(10)