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持続可能な未来を作るための学校教育 ESD学校教育研究会 ESDと復興 Education for Sustainable Development & Revival 1.ESDと復興 宮城」 2.ESDと復興 岩手/ユースフォーラム岩手大学」 3.ESDと復興 岩手 災害と学校教育」山田町・大槌町 4.ESDと復興 栃木」 5.ESDワークショップ「震災・復興と居住」in 宇都宮大学

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持続可能な未来を作るための学校教育

ESD学校教育研究会

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1.「ESDと復興 宮城」

2.「ESDと復興 岩手/ユースフォーラム岩手大学」3.「ESDと復興 岩手 災害と学校教育」山田町・大槌町4.「ESDと復興 栃木」

5.ESDワークショップ「震災・復興と居住」in 宇都宮大学

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1.趣旨 今回の東日本大津波に際して、被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。  私たち「ESD学校教育研究会」では、子ども時代に災害に関しての広範な知識がないと、大人になって街作りに関わるようになったときに、災害に強い街を作るための市民としての発言ができないのではないかと考えており、市民全員が社会システム作りに関わるための「持続可能な未来を作るための学校教育」について考えて来ました。 学校教育に関わらず、これからの被災地や日本全体の様々な防災対策の展開について沢山の方々のご意見をうかがいたいと思っていますので、どうぞご参加下さい。

2. ESDと復興9/21  「ESDと復興 宮城」 11/23  「ESDと復興 岩手/ユースフォーラム岩手大学」11/24.25「ESDと復興 岩手 災害と学校教育」山田町・大槌町 12/11  「ESDと復興 栃木」「ワークショップ 宇都宮大学」 2/4   「ESDと復興 災害と学校教育」     「ESDと復興 東京」等計画中

3.経緯  従来の学校教育でのESDに加えて2011年 支援と復興・東日本大震災以降のESDを検討ESD-J全国ミーティング@仙台「震災からの再生×生物多様性×ESD」第29回開発教育全国研究集会「東日本大震災以降の社会のためのESD~「情報力」「調査力」「社会構想力」 「東日本大震災以降の教育・ESD・開発教育」2012年 ESDJ全国ミーティング2012 「いま東北で」  分科会3「復興とコーディネーション力(コーディネーションの在り方)」第30回開発教育全国研究集会「東日本大震災後のESD~持続可能な地域をつくるESD コーディネーター・開発ファシリテーター」*ESDとは、わたしたちと世界中の人々・将来世代の人々が 生き続けていける未来をどうつくっていくかを、学校や家 庭・地域・国・世界を舞台に、みんなで調べたり考えたり、 意見を出し合ったりしながら行動していける子どもやおとなになるための学習のことです。 1

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「ESDと復興 持続可能な復興と教育」in 仙台

 主催 ESD学校教育研究会

2012年9月21日

 EPO東北(東北環境パートナーシップオフィス)

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 まず、ESD学校教育研究会の長岡素彦が、ESDとESD持続可能な開発のための教育の震災教材"東日本大震災をふりかえり、今を見つめ、対話する『未来をつくBOOK』"(認定 NPO法人「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議 ESD-J)について語った。 自己紹介の後、実際に津波の被害を受けた小学校の教員が体験を述べた。 また、東京板橋から来た成増小学校の学校支援地域本部の地域コーディネータの白鳥円啓氏が市民として学校支援や地域での教育について語った。 白鳥氏はPTAの会長を経て、学校支援地域本部の設立に係った経緯を述べて、学校と地域をつなぐ地域コーディネータとしての活動について語った。 白鳥氏は、地域コーディネータ(東京都教委の教育支援コーディネーター)として行ってきた学校支援の中で、単なる学校ボランティアではなく、ESD・教育の支援や教員への支援や教員が地域から学ぶ機会を作り出している。 東京都の「教育支援コーディネーター」は、学校と地域、企業・NPOをつなぎ、外部の講師やボランティアが効果的に子供たちの教育を支援できるよう、様々なコーディネート活動を行い、学校内外の教育活動をサポートする役割を果たしているもので、白鳥氏たちは「学校支援人材ガイドブック」やコーディネーター事例集「地域教育をマネジメントするために」などを作成して、「教育支援コーディネーター」を育成している。 また、自らの震災支援の内容や板橋という津波被害ないが河川の氾濫もある地域での小学校の防災ワークショップなどの活動を語った。 その後、参加者全員で論議を行った。 ここでは、住民の合意がないまますすんでる防潮堤建設やその元になっている津波シュミレーションの問題、平和構築での紛争解決の手法が復興に役立つか、新しいつながりとしてのSNS・facebookの可能性などが論議された。 また、東北以外では東北で復興がすすんでいるとの誤解の問題やフクシマの壁(関東の多くの人々の関心が原発とフクシマど止まっており、それ以北には関心が向かない)なども論議された。

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「ESDと復興 岩手」in 盛岡 

主催 ESD学校教育研究会 

 協賛 NPO法人環境パートナーシップいわて   2012年11月23日

 アイーナいわて県民情報交流センター

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 まず、 岩手大学教育学部の梶原昌五准教授(ESD学校教育研究会)による趣旨説明・問題提起が行われた。  ESD学校教育研究会の長岡素彦が、ESDとESD持続可能な開発のための教育の震災教材"東日本大震災をふりかえり、今を見つめ、対話する『未来をつくるBOOK』"(認定NPO法人「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議 ESD-J)について語った。  次に、岩手県山田町の船越小学校のPTA会長の黒澤克行氏が、船越小学校の津波から避難の状況や小学校の再建に関する地域の論議などを語った。 また、中学校養護教諭で当時船越小学校養護教諭であった藤原冬美氏が、発災時からの船越小学校の様子と学校再開、仮校舎の状況、そして、こどもたちの心の問題などを語った。 そして、東京板橋から来た成増小学校の学校支援地域本部の地域コーディネータの白鳥円啓氏が市民として学校支援、同氏が企画した地元での企業とNPOが協働した防災教育プログラムについて語った。 参加者からも、自らの体験や三陸各地の各集落毎の津波の歴史と津波後の集落の再形成の歴史データの紹介、岩手県がすすめている復興教育の内容などが語られた。 その後、参加者全員で被災地では、勝手にすすむ「復興」、産業が無い、担保がない、仕事のがないなどの問題点、一方、全国で東北の実情を知らないことがあるなどの論議がされ、どのように教育を保障し、こどもと地域の未来をつくるかを語り合った。

 尚、13時からは「ESDと復興  岩手 ユースフォーラム」が 岩手大学教育学部(主催:ESD学校教育研究会、岩手大学教育学部 梶原昌五)で開催された。 ここでは、学校と地域・企業・行政の協働をコーディネートして、ESDカレンダーで横断的、総合的に行うなどのプランなどが出も出された。4

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「ESDと復興 岩手 災害と学校教育」 

主催 ESD学校教育研究会     岩手大学教育学部梶原昌五 協賛 岩手大学社会学教室麦倉研究室

 2012年11月24日  山田町セッション

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 岩手県内の津波被災地で、被災した学校がどのような状態であったか、また、学校が今後教育すべきことは何かを一緒に考えます。

 視点はESDです。将来の子どもたちに、どのような街に住んで、どのような生活をして欲しいのか。私たちの今を考えながら、未来のこの街を一緒に考えます。そこから、私たちが目指すべき「持続可能な街に住むための教育」が導き出されると思います。(趣旨)

 盛岡から車で2時間半かかる岩手県山田町に移動して行った。今回は、陸と半島を結ぶ地域が津波によって海になり、一時孤立した標高13mの高台に立つ船越小学校跡地でお話を聞かせて頂いたあと、対岸にある山田町船越公民館で意見交換会を行った。

 3.11の地震のあと、指定通りに小学校の校庭に出て、そこからさらに避難して助かった158人の児童と先生たち。これは今後の津波防災について多くのことを教えてくれました。 船越小学校は、押し寄せる津波によって一時海になってしまいましたが、子どもたちは助かりました。 それは、津波が来たときに、生徒が整列した校庭から船越湾の入口の海を見て、津波の高さを即座に判断し、「この高さの校庭にいては危ない」と察した漁師出身の校務員さんがいたからです。彼は校長に進言し、校長もすぐにそれを了承し、校庭からの避難を指示しました。すべての児童が、本来の避難路ではない、海から遠い側の道無き道を逃げ、最後の先生が松葉杖の児童を背負って校庭から出た瞬間、校庭は津波に飲み込まれました。さらに道の無い山林を駆け上がる子どもたち。  9

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船越小学校の前の浜と防潮堤

津波にのみ込まれた高台の船越小学校跡地

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驚くほどの急斜面を登った

 一晩を過ごした3軒の家11

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Revival そのあとを津波 が追いかけ、学校の下にあった校長宿舎や自家用車が津波と一

緒に流されて来ます。それを見て初めて慌てたことを、養護の先生からうかがいました。そして1年生も、この道無き山林の斜面をどこまでも逃げて行きました。が、やがて行き止まりに。そこはほんとに小さな空き地になっていたのですが、6年生が下級生を囲むようにして立ち並び、小さい子どもたちを守りました。

 この学校の子どもたちが助かったのは、校務員をしていた漁師の判断力。それを受け入れてすぐに実行した校長のリーダーシップ。 これがなければ多くの子どもたちの命が奪われていたでしょう。事実、逃げないで校庭で津波を見ていた人たちは学校に取り残されてしまいました。学校は、校庭どころか2階まで浸水しました。

 この教訓から私たちは何を学ぶでしょう。 強固な(全然強固とは思えない妥協の産物に見えますが)防潮堤を作ることでしょうか。 この後、船越小学校は、町による廃校の意向を住民が覆し、裏山を削ってさらに高台を作り、そこにあらたに建設されるそうです。 今までは13mの高台に立っていましたが、2階まで被災したことで、20mの高さに移動するようです。 ちなみに、学区内の田ノ浜地区では、過去の津波で高台移転した住宅は助かっています。が、ここにも漁村ならではの様々な問題があり、低地に住まざるを得なくなった方々が犠牲になりました。

 これに比べ、宮城県の大川小学校では、日本一の堤防と言われてそこに街を作り、学校を作り、今回「日本一」と国土交通省が豪語していた堤防を津波があっさりと乗り越えてご存知のような悲惨な状況になりました。 ここに、川を見ることのできる漁師がいて、校長先生という最高責任者がいれば、と、悔やまれます。

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「ESDと復興 岩手 災害と学校教育」 

主催 ESD学校教育研究会     岩手大学教育学部梶原昌五 協賛 岩手大学社会学教室麦倉研究室

 2012年11月24日  大槌町セッション

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 岩手県内の津波被災地で、被災した学校がどのような状態であったか、また、学校が今後教育すべきことは何かを一緒に考えます。

 視点はESDです。将来の子どもたちに、どのような街に住んで、どのような生活をして欲しいのか。私たちの今を考えながら、未来のこの街を一緒に考えます。そこから、私たちが目指すべき「持続可能な街に住むための教育」が導き出されると思います。(趣旨)

 岩手県大槌町の仮設校舎(4つの小学校と1つの中学校が同じ敷地内のプレハブ校舎で勉強しています)を見学したあと、私立みどり幼稚園でお話を聞かせて頂き、大槌高校同窓会館で意見交換会を行った。意見交換会では、同町の震災・津波被害と現況について説明の後、大槌のみどり幼稚園、山田町船越小、大槌中、大槌高、南三陸町伊里前小などの父兄、教員、事務職員、校務員などの方々が集まり、学校や幼稚園からさらに逃げた時の状況、判断、マニュアル、制度、プログラムなどについて語られ、全体で話し合った。 大槌中学校は大槌川を挟んで大槌北小学校の反対側にあります。大槌町は水のきれいなところで、山際を流れる川には、本当の清流にしかいない小さな魚、イトヨが生息していました。 大槌中学校では、震災時には生徒は午前中で下校していたので、学校に残っていたのは先生だけ。しかし先生方は、山に逃げなければいけないはずが、車に乗って、川の上流にどんどん逃げて行きました。結果的には助かりましたが、学校は津波に飲まれてしまいました。この学校と海との距離は約2km。途中には盛り土の上を走る国道45号線バイパスも通っています。が、津波は川をさかのぼり、堤防を乗り越えて学校周辺を壊滅させたのでした。 また、川の反対川には、今回見学させていただいた私立みどり幼稚園があり

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このプレハブ校舎と一つの校庭に

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みどり幼稚園

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ます。そして、近くの山の中腹に1000人を越える避難者を受け入れた大槌高校があります。みどり幼稚園の園長先生は青年海外協力隊経験者。幼稚園園長にしてからは、津波防災を真剣に考え、数々の地震対策マニュアル、津波対策マニュアルを独自に整備し、毎年必ず保護者に説明していたそうです。 今回は、園バス2台のうち1台はすでに子どもたちを乗せて降園中。1台は子どもたちが乗るために園庭に待機していたそうです。まず地震。津波が来ることを予想した園長先生は、園内の子どもたちを集めて園庭のバスに誘導します。迎えに来た保護者にも子どもを渡さず、避難を呼びかけます。 街に出た1台も子どもたちを降ろさず、園に戻って来ます。街での園バスの避難行動は、どこまで行ったら園に戻る。どこまで行ったらどこの高台に園児を乗せて上がる、というふうに、細かく指定されてあったそうです。 やがて戻って来た園バスとともに、みんなで大槌高校グラウンドに逃げました。保護者も一緒です。 指示に従わず、個人的に園に残っていた事務長さんは、2階まで来た津波によって、他の機材、什器などとともに建物内に浸入した波に翻弄されますが、奇跡的に建物内に留まり助かりました。私たちの見学でも、園の窓が割れていなかったことにびっくりしました。 かくして、園長の緻密な(津波の速さまで自分で計算していたそうです)避難マニュアルと、各職員の判断、迅速な行動で、子どもたちが守られました。 そして、毎年説明していたおかげで、保護者からもクレームがないばかりか感謝され、無事に子どもたちを親元に返すことができたのです。ただ、問題は、こ

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防災教育×復興教育からESDを考える

~気仙沼市の取組みから学び、地域で展開する

主催 文京区駒本小学校支援地域本部    板橋区成増小学校支援地域本部

2012年12月8日   東京都文京区立駒本小学校

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 12月8日、東京都文京区立駒本小学校で「防災教育×復興教育からESDを考える ~気仙沼市の取組みから学び、地域で展開する」(主催 文京区駒本小学校支援地域本部、板橋区成増小学校支援地域本部)が行われた。

 「気仙沼市教育委員会では教育研究員研究発表会を毎年行っています。昨年の東日本大震災を契機に気仙沼市はアウターライズ地震津波に対する備えは欠かせないものとなっています。そのため津波防災教育は正に緊急の課題となっています。このことから、昨年度は気仙沼市教育研究員の研究課題をESDでの地震・津波防災に絞りました。そして本年度も引き続き地震・津波防災を研究課題としています。 今回は気仙沼市教育委員会としての考え方や取組み、昨年度・今年度の研究についてお話をお聞きします。そのような取組み等を手がかりに、ESD や地域の子どもの育ちを支援できるのか、学びあいましょう。」(趣旨)

気仙沼教育委員会副参事兼指導主事の及川幸彦氏は、気仙沼市が考える防災教育・復興教育を語った。 まず、及川氏は気仙沼市全体及び学校の被害とその対応について語った。 また、昨年の東日本大震災により、気仙沼市では従来以上に地震津波に対する備えは重要となり、そのための防災教育が課題なっていると述べた。 これらの教育を持続可能な開発のための教育=ESDの視点で展開していること、また、ESDの視点がなぜ必要かについても述べた。 そして、2011年度は、30年間毎年行っている教育委員会の教育研究員研究発表会の研究課題をESDでの地震・津波防災とした。そして、今年のはじめにその研究成果をまとめ、本年度も引き続き同じ研究課題を発展させて、現在まとめているという。 この前日、地震と津波があり、同氏は児童・生徒と教員・学校の安否を確認でき無ければ来れない状況だったという。

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「ESDと復興 栃木」 in 宇都宮

ESDワークショップ

「震災・復興と居住」 in 宇都宮大学

主催 ESD学校教育研究会  2012年12月11日    コミュニティカフェ ソノツギ  宇都宮大学教育学部

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 12月11日、宇都宮大学教育学部の「地域居住論」で東日本大震災・復興の「震災・復興と居住」とESDワークショップ「持続可能な未来」を行った。

 まず、講義としてESD(Education for Sustainable Development)について述べた。 ESDとはヨハネスブルグサミットにおいて日本が提唱し実現した「国連持続可能な開発のための教育の10年」は、2005年から2014年迄行われる「持続可能な開発のための教育=Education for Sustainable Development」のことであり、これは社会・環境・経済・文化の視点から、人類が直面する様々な課題に取り組み、公正で豊かな未来を創る「持続可能な開発」を実現する力を、世界各地に生きる私たちひとり一人が学び育むことを目指している。  次にESDワークショップ「未来をつくるBOOK」を行った。 日本のESDのナショナルセンター(NGO)である「国連持続可能な開発のための教育の10年」推進会議が気仙沼教育委員会などの協力でつくった作成した「『未来をつくるBOOK』は、主に被災地から遠く離れた場所で、それぞれの大震災を体験した子どもと大人が、もう一度、そのとき起こったことを思い出し、より深く被災地のことを知り、大切にしたいことは何なのかを深く見つめ、探る時間に出あうためにつくりました。震災を機に見えてきた社会のほころびや、本当に大切なことについて、さまざまな場所で対話を生み出すこと、被災地のことを忘れず復興への思いを持ち続けること、そしてどのような未来をつくりたいのかを問い続けること、それが持続可能な社会づくりにつながっていくと私たちは信じています。」

震災からのESDテキスト『未来をつくるBOOK』ご活用ください。http://www.esd-j.org/j/topics/topics.php?itemid=3223&catid=176 19

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Revival  このテキストの「第1の扉 大地震」の章のファクト、インタビューなどを読

み、それぞれが体験したーしなかった震災の体験を話し合った。「そのとき、誰のことを考えてましたか?」の問いでは、家族や友人が多く、大切なひとは誰かを語った。「大変だったこと、不安だったことはありましたか?」の問いでは、電気がない、情報が無いなどを語り合い、 自分の体験をしっかりと振り返り、体験と感情の共有を行った。 また、被害の程度は大違いにしても被災地の人々も同じをことを考えていることを指摘した。  次に、被災地の復興の現状や福島の放射能汚染地域での暮らしを語り、同時に帰れない人々がいることを述べた。そして、「第5の扉 被災地のくらし」の章のファクト、インタビューなどを読み、それぞれが論議した。「住みなれた町にもどることができないかもしれない人たちがいる 。 あなたは何を思いますか?」の問いでは、まず、自分がまちもどれないとしたら、そして、どうしたかを論議した。 自分がまちもどれないとしたらいいかについては、自分事として考えた上で、地元を復興する、他の土地で生活を再建するなどの意見が交わされ、この状態をどうしたらいいかについて論議を深めた。

 さらに、ESDワークショップ「持続可能な未来」を行った。

 「ESD(持続可能な開発のための教育・持続発展教育)WS・教材『持続可能な未来』は、この「持続可能な未来」のプログラムは、世界・地域を持続 可能にし、私たちのよりよい未来をつくるための問題解決を学ぶためのワークショップです。

 ここでは未来をつくるために持続可能な開発(持続発展)戦略をとります。  今ある知識で判断せず、いろいろな知識を得て、さらにお互いに学ひあって、未来をつくる力を養い、新しい知恵を生み出 してください。 この中で、3の第1の悲劇「環境破壊」では公害を、4の第2の悲劇「自然災害」では震災と津波を取り上げています。」

  ESD(持続可能な開発のための教育・持続発展教育)WS・教材『持続可能な未来』                                    長岡素彦20

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Revival  1の「小さなまちの発展の問題」を説明し、4の第2の悲劇「自然災害」のアク

ティビィティを行った。 この内、今回は津波編を使い、津波の被災地の被害や復興の現状を説明し、問題点を提示した。(図参照)  論議では、行政課題として防潮堤について住民の意見を広く、数多くの人から聴くこと、また、丁寧に説明を数多くする必要があるなどの意見が出された。

 住民課題として、多様な意見を出すこと、少数意見の尊重などが提案された。

 また、コーディネーターとしてNPO、専門知識による判断、知識の普及を行う大学の役割が言われた。 そして、こどもや若者の意見を反映されていないのが問題であると指摘され、多くの多様な立場の人により論議を行い、未来を構想することが重要という結論になった。

 学生たちは東北外に住む普通の人と同じぐらいしか、被災地の現状は知らなかったが、被災地の現状を聞き、自分たちで持続可能な復興のあり方を論議した。 その論議は被災地で論議されていることも多く語られ、参加型の学習によってどこかで聞いた話による論議ではなく、自分事として考え、論議して未来を構想することができた。

 ESD・持続可能な開発のための教育、持続可能な復興は、どこかにある知識を都合よく使って地域や世界のしくみを説明するではなく、こどもや若者の未来世代と現世代が未来の構想をつくりながら、学びあい、実現して行くことである。

 ここでも、それができた。

 また、「ESDと復興 宇都宮」(主催:ESD学校教育研究会)がコミュニティカフェソノツギで開催された。 ここでは、沿岸被災地ばかりでなく、原子力災害の福島の事例や中越、三宅島、神戸の事例もふくめて、まちづくりとしての復興が論議された。

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Page 25: ESDと復興¨復興.pdf「esdと復興 東京」等計画中 3.経緯 従来の学校教育でのesdに加えて 2011年 支援と復興・東日本大震災以降のesdを検討

ESDと復興持続可能な未来を作るための学校教育

住所350-1174 川越市かすみ野2-8-4

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 ESD学校教育研究会は学校教育はESDをすすめるための研究会です。 地域活動や国際活動に実際に携わっている教員と大学教員と市民を中心につくられました。 主に、ESD授業デザインプロジェクトとして教員の場作り、教材開発、そして進め方の検討などを行っています。

 今まで、ESD 授業デザインプロジェクト公開研究会やESD地域・学校教育連携フォーラムなどで学校での社会科、理科、家庭科、英語などの授業実践の報告・検討や環境教育・開発教育・地域教育など多様な教育との連携を行ってきました。

ESD学校教育研究会 http://esd.weblogs.jp

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