全身性エリテマトーデスにおける...

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Page 1: 全身性エリテマトーデスにおける 抗細胞質抗体の検索ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/1/17017/...こない, pattemはShaggy, Diffuse, Spe ckledの3つ に区別出来た

全身性エ リテマ トーデスにおける

抗細胞質抗体 の検索

(蛍 光 抗 体 法 を 中 心 と し て)

岡山大 学 第三 内科(主 任:大 藤 真教 授)

村 上 幹 郎

(昭和55年2月8日 受)

Key words:全 身性 エ リテマ トーデ ス(SLE),,抗 細 胞質抗 体,

抗 ミ トコン ドリア抗体,抗 リボ ゾー ム抗 体,

105,000G上 清 成分

緒 言

全 身性 エ リテマ ト-デ ス(SLE)の 血清 中に

は抗核 抗体 をは じめ とす る各種 自 己抗 体が 出現

す る こ とは衆 知 の事実 であ る.な か で も抗DNA

抗 体 はSLEに 特 有の もの と して その 診断 的 意

義 は重 要 な もの であ る. SLEに 高率 に 出現 す

る抗体 の うち抗 リボゾー ム抗体 に つ いて, 1965

年Sturgillら(1), 1967年Schurら(2), Sturgill

ら(3)がSLEに 高率 に 出現す るこ とを報告 し,

しか もSchurら は この 抗体 を もつ もの は 腎症

を もち,か つ その 予後 は不 良 であ る として いる.

肝疾 患 にお いて 高率 に 出現す る抗 ミ トコ ン ド

リア抗 体 につ き, 1959年Aschersonら(4)がSLE

に も出現す るが肝疾 患 でみ られ る様 な特 異性 の

み られ な い こ とを報 告 してい る.他 に1960年

Deicherら(5), 1965年Wiedermannら(6)も 抗

ミ トコ ン ドリア抗体 がSLEに お いて もみ られ

る こ とを報告 して い る.

リボゾー ム,ミ トコ ン ドリア等 の粒子 分 画 以

外 の可 溶性 分画 につ い て も, 1959年Ascherson

(4), 1960年Deicher(5), 1967年Paronetto (7),

1969年Clark (8), 1974年Mattioliら(9)が,

SLE血 清 と反 応 す る抗 体 が 存 在す るこ と を報

告 して い る.特 にMattioliら は,細 胞質 のRNA

蛋 白が抗 原 とな り,こ の抗体 を もつ ものは 抗核

因子 を欠 くが 膠 原病 様症 状 をもっ てい る と述べ

て い る.ま たBuschenfeldeら は 肝特 異抗 原 と

命 名 し,こ の抗体 は肝疾 患 に特 異 的に 出現 す る

こ とを述べ てい る.

本 稿 は以上3種 類 の抗 原 に対 す る抗体 の 出現

頻 度 をSLEの 血清 で検 索 し,か つ 他 の検査 成

績 と比較 した.そ の 結果,他 の 臨床 検査 結 果,

病 態 とはほ ゞ無 関係 に 各抗体 が 検 出 され る こ と

が判 明 した ので報 告 す る.

対 象

当科 にて経 過観 察 中 のSLE 86例 を対 象 と し,

全例 ア メ リカ リウマ チ協 会 の予備 的 診 断基 準(10)

を満 た したdefinite SLEで あ る.

1.蛍 光抗 体 間接 法

ドライア イス ・ア セ トン(-70℃)で 凍結 し

た ラ ッ ト肝 また は腎 か ら-20℃ の ク リオス タ ッ

トを用 いて厚 さ4~6ミ クロ ンの切 片 を作 り,

ラ ッ ト肝切 片は エ タ ノー ル:ア セ トン(=4:6)

で15分 間4℃ の 固定 を し,ま た ラ ッ ト腎切 片は

未 固定 で各 々使用 した.こ の組織 抗 原 と患 者血

清(原 血 清お よび10倍 希 釈 血清)を37℃ 30分 間

湿 潤箱 中で反 応 させ てpH 7.2, 0.01Mの 燐酸

緩衝 液(PBS)で 洗滌.次 いで抗 ヒ トガ ンマ グ

ロプ リン カ ト血 清に蛍 光 色素 を ラベ ル した もの

(F/P=1.0~2.0)と37℃ 30分 間反 応 させ, PBS

で洗濠 後,グ リセ リンバ ッフ ァー で封 入 し,蛍

光 顕微 鏡 で観 察 した.細 胞 質染 色 の判 定 は原 血

清, 10倍 希 釈 血 清共 に所 見 の あ る もの を陽 性 と

した.こ う して得 た陽性 血 清 を用 いて,各 種 免

疫 グ ロプ リンの所 属 と補 体 結合 性 とを同 じ く蛍

光 抗体 間接法 で 観察 した.抗 血 清 は抗 ヒ トFc

329

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330 村 上 幹 郎

(IgG), IgA, IgM, IgEと 抗C3, C4に 蛍 光

色 素 を ラ ベ ル した もの(以 上 す べ てHyland社

製)を 用 い た.

2.吸 収 用 各 種 抗 原 抽 出 方 法

1)ミ トコ ン ド リア

中 沢 の 方 法(11)に 準 じ て, 150~200gの ラ ッ

トか ら肝 を 取 り出 し, MediumA (0.25M Su

crow, 1mMTris-HCl pH7.4, 100μMEDTA)

で 充 分 か ん 流,ハ サ ミで2~3mm角 に 細 切 し,

Med. Aで 更 に 数 回 洗 い 血 液 成 分 を除 去 した.

次 に 〔Med. A〕/〔 肝〕の重量 比を9/1に 調 整 し,

ガ ラ ス ホ モ ジナ イザ ー で6回 ホ モ ジ ナ イ ズ し,

600回 転5分 間 遠 沈 し て 核,細 胞 膜 成 分 を 除 去

し た.こ の 上 清 をMed. B (0.34M Sucrose,

1mM Tris-HCl pH 7.4, 100μ MEDTA)に

重 層 し, 2500回 転10分 間 遠 沈.こ の 重 層 遠 沈 の

操 作 を3~4回 繰 り返 し て,上 部 乳 ビ色 の 部 分

を別 の 試 験 管 に と り, 7000回 転10分 間 遠 沈 し,

こ の 沈 澱 物 をMed. Aに 浮 遊 させ, 8000回 転10

分 間 遠 沈 後,沈 澱 物 をMed. C (0.25M Sucrose,

1mM Tris-HCl pH 7.4)に 浮 遊 させ,さ ら

に8000回 転10分 間 遠 沈 した.こ の 沈 澱 物 を 純 化

さ れ た ミ トコ ン ド リア と して 使 用 し, Med. C

に 浮 遊 させ 氷 室 に 保 存 した.

図1は 採 取 した ミ トコ ン ド リア の 電 子 顕 微 鏡

像 で あ る.

2)超 音 波 処 理 ミ トコ ン ド リア

1)で 得 た ミ ト コ ン ド リア をKUBOTA 200-

M sonicatorを 用 い て,出 力200ワ ッ トで40~

60秒 間 処 理 し た.

3)リ ボ ゾ ー ム

緒 方 らの 方 法(12)に 準 じて リボ ゾ ー ム を分 離

し た.す な わ ち,ラ ッ ト よ り肝 を 取 り 出 し, Me

dium A (0.25M Sucrose, 5mM MgCl2,

25mM KCl, 50mM Tris-HCl pH 7.6)の 中

で 数 ミ リの 小 片 に 切 り,血 液 成 分 を 除 去. 3倍

量 のMed. Aを 加 え,ホ モ ジ ナ イ ザ ー で5~

6回 上 下 し,こ の ホ モ ジ ネ ー トを10,000~15,000G

で10分 間 遠 沈 した.こ の 上 清 を別 の 試 験 管 に と

り, 105,000Gで90分 間 遠 沈 す る.こ の 沈 澱 物

す な わ ち ミ ク ロ ゾ ー ム 分 画 に,最 初 用 い た 肝 と

等 容 量 のMed. H1 (0.15M Sucrose, 10mM

MgCl2, 35mM Tris-HCl pH 7.8)を 加 え ホ モ

ジ ナ イ ズ し,こ の ホ モ ジ ネー ト を7容 と して,

Figure 1 Purified Rat Liver Mitochondria×11,000

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全 身性 エ リテマ トー デ スにお け る抗細 胞質 抗体 の 検 索

(蛍光 抗体 法 を中心 と して) 331

2容 の2.5M KCl, 1容 の10% Deoxycholate

(50mM Tris-HCl pH 8.0に 溶 解)を 加 え て

撹 拌 し た 。 こ の 溶 液 をMed. H2 (0.3M Su

crose, 10mM MgCl2, 0.6M KCl, 35mM

Tris-HCl pH 7.8)の 上 に 重 層 し105,000G 120

分 間 遠 沈,こ の 沈 渣 にMed. A' (0.25M Su

crone, 10mM MgCl2, 50mM KCl, 10mM

Figure 2 Spectrophotometric Analysis of

Rat Liver Ribosomes

Figure 3 Ultracentrifugal Analysis of

Rat Liver Ribosomes

● Centrifuged at 30,000rpm

● 2 peaks (72S, 68S) are present.

KHCO3, 50mM Tris-HCl pH 7.6)を 加 えホ

モ ジナ イ ズ後,ホ モ ジネー トを30,000G 10分 間

遠 沈 し,不 溶成 分 を取 り除 い た.こ の上 清 成分

を リボゾー ム分 画 として使 用 した.

この方 法 で得 た リボゾー ム のOD比 は 図2に

示す 様 にOD 260/OD 280=1.95, OD 260/OD

235=1.69で あ り,沈 降定 数 は 図3に 示 す様 に,

68Sと72Sの2峰 性 で あ った。

さ らに,こ の リボゾー ム 中に あ る と思 わ れ る

DNA成 分 の 混入 を除 去す る 目的 でRNase free

のDNase (Worthington社 製)を 用 い, 100

μg/mlの 濃度 で37℃ 1時 間, 4℃ 一 昼 夜 イ ンキ

ュベ ー トした後,氷 室 に保 存 した.

4) 105,000G遠 沈 後 の上 清成 分

リボゾー ム を抽 出 した際,ミ ク ロゾー ム分 画

を得 た時 の上 清 を さ らに, 105,000G120分 間遠

沈 し,リ ボゾー ム と同様 にRNase freeのDN

aseで 処理 した もの を105,000G上 清 成分 と し

て 用 いた.

3.吸 収 試験

まず 血 清 を稀 釈 し,細 胞質 蛍光 陽性 所 見の 得

られ る最 終濃 度 を求め,そ の5倍 の 濃度 の血 清

を用 いて 吸収 試験 を行 なっ た.抗 原 濃度 は ミ ト

コンドリアが 重量 で15mg/ml(最 終濃 度 は12mg/ml),

超音 波処理 ミ トコン ドリア

は同 じ もの を超音 波 処理 し

て用 い た.リ ボ ゾー ム は蛋

白濃 度 で1mg/ml(最 終 濃度

800μg/ml)の もの を使 用

した.吸 収 方法 は血 清1容

に対 してPBSを4容 加 え

て これ を コン トロー ル と し,

血清l容 に 対 し各種 抗 原 を

4容 加 え た後37℃60分 間,

4℃ 一昼 夜 反応 させ3000回

転10分 間遠 沈 し,そ の上 清

を用 いて蛍 光抗 体 間接 法 を

行 な った.

4.沈 降 反応(オ フ タロニ

ー 法)

ア ガー ロー ス(Seakem

社 製)をPBSで0.6%に

煮 沸 溶解 して使 用.穴 の 直

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332 村 上 幹 郎

径 は6mm,縁 と縁 の距離 は2mmと した.判 定 は

原 則 として24時 間後 に行 な っ た.

5.抗 原 の酵素 処理

あ らか じめDNaseで 処理 した リボ ゾー ム な

らび に105,000G上 清成 分 に, RNase (Wor

thington社 製)お よび トリプ シン(Sigma社 製)

を各 々最終 濃度 が100μg/mlと なる様 に加 え, 37

℃ 60分 間, 4℃ 一昼 夜 反応 させ た.ト リプ シ ン

処 理 を した ものに は2倍 量 のSobin Trypsin

Inhibitor(Sigma社 製)を 加 え て反応 を停 止

させ た.

6.抗 核抗 体(ANF)の 検 出(13)

ANFは 正常 ヒ ト末梢 白血球核 を核 材 と し,

FITC標 識抗 ヒ ト γ-Globu1inカ ト血 清(自 家

製F/P=1.0~2.0)を 用い蛍 光抗 体 間接 法 で調

べ た. Staining pattemの 判定 は原血 清 で お

こ ない, pattemはShaggy, Diffuse, Spe

ckledの3つ に 区別 出来 た.

7.抗DNA抗 体 測定 法(14)

ア クチ ノマ イ シ ン-D〔H3〕 二本 鎖DNAを 用

い て,硫 安 法 に よ り検 出 した.す なわ ちア クチ

ノマ イ シ ン-D〔H3〕 二 本鎖DNAと 血清 を一

定 時 間反 応 させ た後,硫 安(50%)で 沈澱 した

沈 澱物 の放 射 能活性 を測定 して二本 鎖DNA抗

体 価 と した.正 常 血清 の結合 能 は10%以 下 で あ

っ た。

8.血 清補 体価(CH50)の 測定 法(15)

Mayerの50%溶 血法 で 測定 した.

結 果

ラ ッ ト肝,腎 の 凍結切 片 を用 い て蛍光 抗 体 間

接 法 に よ り細 胞質 染色 を観 察す る と,肝 細 胞 質

(図4),腎 尿細 管細 胞質(図5)が 染色 され

る.腎 尿 細管 細胞 質で は特 に近 位尿 細 管 を強 く

染 色 す る もの が存 在 した.そ こで 肝細 胞質 染 色

陽 性 の もの と,腎 近 位尿 細 管細 胞 質染 色陽 性 の

ものの2種 類 に大別 した.

肝 細胞 質の 染色 パ ター ンは網 状 な い し粗 大 顆

粒 状 で あ った(図4).こ の様 な染色 パ ター ン

を示 す血 清 を4種 類の 抗原 で吸 収 試験 を行 な っ

た結 果(表1),リ ボ ゾー ムに よ り最 も強 く染

色像 が減 弱 した.し か し ミ トコン ドリア と超 音

波 処理 ミ トコン ドリア で も軽度 の 減弱 が み られ

Table 1 Absorption Test of Cytoplasmic

Staining with 4 Cytoplasmic Antigens

F. A. T.; Fluorescence Antibody TochniqueMt. intact; Mitochondria

Sup.; 105,000G Supernatant of Rat Liver Homogenate

たが,そ の程 度 は リボ ゾー ム に よる吸収 の度合

とは 異 な り弱 い もの であ っ た.さ らに ミ トコン

ドリア と リボ ゾー ム を除 い た105,000G遠 沈後

の上 清成分 で も微 弱 なが ら吸収 が み られ た.ま

た腎近 位 尿細 管 細胞 質 の染 色 は リボ ゾー ムでは

減 弱 しなか っ た.こ れ らの こ とか らこの染 色パ

ター ンを示 す血 清 は抗 リボ ゾー ム抗体 を もって

い る こ とが判 明 した.

この所 見 を呈 す る血 清 はSLE 86例 中17例

(19%)に 陽性 で あ った(表2).こ の17例 を

Table 2 Clinical Data of 17 Patients (SLE) with Cytoplasmic Staining of Rat Liver

S; Shaggy Pattern D; Diffuse Pattern Sp; Speckled PatternND; Not Dane

腎症 の 有無 を 中心 にActive群 とlnactive群

に わ け抗 リボ ゾー ム抗体 の出 現頻 度 を比較 する

と,前 者8例,後 者9例 でほ ゞ同数 で あ った.

Active群 の 検査 結 果 をみ る と, ANFはSha

ggy pattern 1, Diffuse pattern 4, Spe

ckled pattem 3で あ っ た.抗DNA抗 体 も

ANF同 様1例 が25%の 軽度 の 結合 能 を示 した

のみ で あ った. CH 50は0が1, 14が1, 10が

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全 身性 エ リテマ トー デ スにお け る抗細 胞質 抗体 の 検索

(蛍光 抗体 法 を中心 と して) 333

Figure 4 Cytoplasmic Staining of Rat Liver

Cytoplasm is Stained in Reticular or Nodular pattern

Strongly stained Nuclei is also visible

Figure 5 Cytoplasmic Staining of Rat Kidney Proximal Tubules

Cytoplasm is Stained in diffuse or granular pattern

Nuclear staining is also visible

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334 村 上 幹 郎

1で 他 は20以 上 であ った.肝 機 能 を比較 す る意

味 で トラ ンスア ミナー ゼ を比較 してみ る と, 1

例 のみ軽 度の 上昇 を示 してい た. Active群 の

1例 は 蛋 白尿 が弱 陽性 で あ ったが,こ れはANF

も弱 陽性 で あ るに もか ゝわ らず, CH 50が0で

日光過 敏 症が 強 く,臨 床 的 に活動 度 が 高 い と判

定 してActive群 に加 え た もので あ る.同 様 に

Inactive群 につ いて検査 結 果 の比較 をす る と,

ANFはShaggy pattem 0, Diffuse pattern

6, Speck1ed pattem 3で あ っ た.抗DNA

抗 体 は全 例20以 下, CH 50は1例 を除 き20以 上,

トラ ンスア ミナー ゼ は全例正 常 で あ った.以 上

の様 に抗 リボ ゾー ム抗体 を もって い る患者 の他

の検 査結 果 を比較 してみ る と, Active群 とIn

active群 との 間に特 別 の関連 性 はみ られ なか

っ た.

次に 腎切 片 を蛍 光抗 体 間接 法 で染色 してみ る

と,腎 近位尿 細 管細 胞質 を染 め る血清 が 存在 し

た.そ の染 色パ ター ンは,均 一 ない しは粗 大 顆

粒 状 であ った(図5).前 と同様 に吸 収 試験 を

行 な ってみ る と(表1),ミ トコ ン ドリア と超

音 波処 理 ミ トコ ン ドリアで染 色像 は 強 く減弱 し

た.特 に超 音 波処 理 ミ トコン ドリア での 吸収 度

合 は,吸 収 前 に比 して完 全 に陰性 化 す る程 強 い

もの であ った.肝 細 胞質 の吸 収 試験 で もみ られ

た よ うに,ミ トコン ドリア と リボ ゾー ム を除 い

た105,000G遠 沈后 の上 清成 分 に て も微 弱 なが

ら吸収 された.な お リボ ゾーム に よ っては全 く

吸 収 され なか った.こ れ らの こ とよ り腎近位 尿

細 管細 胞質 染色 陽性 の もの は抗 ミトコン ドリア

抗 体 を もって い るこ とがわ か った.

この所 見 を呈す る血 清はSLE 86例 中23例(27

%)に 陽性 であ った(表3).こ の23例 を前 と

同様 腎症 中心 にActive群 とInactive群 に分 け

抗 ミ トコン ドリア 抗体 の 出現頻 度 をみ る と、前

者7例,後 者16例 とInactive群 の方 が 多か っ

た. Active群 の検査 結果 を比較 す る と, ANF

はShaggy pattern 1例, Diffuse pattem 3例,

Speckled pattem 3例 で あ った.抗DNA抗

体 は全例 結合 能 が20%以 下, CH 50は20以 下 が

2例,ト ラ ンスア ミナー ゼ は1例 の み軽 度上 昇,

梅毒 反 応に 対す る生物 学 的偽 陽性 は1例 の みで

あ っ た. Inactive群 の方 で はANFはShaggy

Table 3 Clinical Data of 23 Patients (SLE) with Cytoplasmic Staining of Rat Kidney

S; Shaggy Pattern D; Diffuse Pattern Sp; Speckled PatternND; Not Don. SLE; Systemic Lupus Erythematosus

BFP; Biological False Positive for Syphilis

pattern 1, Diffuse pattern 11, Speckled

pattem 4で あ っ た.抗DNA抗 体 は全例結全

能20%以 下, CH50は1例18と 軽度低 下 を示 し

たの み で あ った.ト ラ ンス ア ミナー ゼ は1例 が

軽度 上昇,梅 毒 反 応 に対 す る生 物学 的偽 陽性は

0で あ っ た.

これ ら2種 類 の抗 細胞 質抗 体 につ き,そ れ ら

の免 疫 グロブ リンの 所属 と補 体 結合 性 をみ ると

(表4),抗 リボ ゾー ム抗体,抗 ミトコン ドリ

Table 4 Survey of lmmunoglobulin Class &

Complement Binding Ability of 6 Serum

Samples Containing Cytoplasmic Staining

ア抗 体共,全 例IgG, IgA, IgMに て陽性 であ

り,か つ補 体 結合 性 を有 して い た. IgEに つい

て は この 表に 挙 げ た2例(抗 ミ トコ ン ドリア抗

体1例,抗 リボゾー ム 抗体1例)が 明 らかに陽

性 で あ った.

最後 に,リ ボ ゾー ム と ミ トコン ドリア を除 い

た細 胞質 成分(105,000G上 清 成分)を 用 いて

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全身性エリテマ トーデスにおける抗細胞質抗体の検索

(蛍光抗体法を中心として) 335

オ フ タロニー 法 でSLE血 清 との反 応 をみ た.

その結 果表5に 示 す如 く, SLE 86例 中8例(約

Table 5 Clinical Data of 8 Patients (SLE) having Precipitin Line with 105,000G Su

pernatant of Rat Liver Homoginates

SP; speckled PatternNo; Nucloolar Pattern

D; Diffuse Pattern

ND; Not Done

9%)に 沈 降線 が生 じた.こ れ らの症 例 の検 査

結 果 を比較 してみ る と, ANFはSpeck1ed

pattemが3例 で他 はDiffuse patternも しく

はDiffuseな い しSpeckled pattemの 弱 い も

の が主 体 で あ った. 1例 のみNucleolar pa

tternを 有 してい た.抗DNA抗 体 はNucleo

lar patternを 有 してい た1例 の みが32.5%と

高 値 を示 したのみ で,他 は20%以 下 で あ った.

肝 機能 は全 例正 常 で梅毒 反 応 に対す る生 物学 的

偽 陽性 者 が1例 い た.蛋 白尿 は全例 陰性 また は

弱 陽性 であ った.

105,000G上 清 成分 をSephadexG-100に よ り

分 離 した結果(図6), 3つ の 峰に 分か れ,上

記 沈 降線 を生 じる抗 原は 第1峰 に存 在 した.酵

素 の影 響 をみ た ところ(図7),抗 原活性 は ト

リプ シ ンに よ りほ ゞ完 全 に消失 し, RNaseや

DNaseで は失 活 しなか った.

Figure 6 Separation of 105,000 G Sup by

Sephadex G-100 Column

(〓Ares indicates tho portion

of which have antigenicity )

考 按

抗 ミ トコン ドリア抗 体,抗 リボ ゾー ム抗 体,

お よび粒子 成 分 に取 り除 い た105,000G遠 沈 後

の 上清 成分 に 対す る抗 体 の3種 につ いて検 討 し

た.

まず 従来 か ら抗 ミ トコン ドリア 抗体 は,原 発

Figure 7 Digestion of 105,000G Sup by Trypsin & RNase

The Antigen is digested only by Trypsin

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336 村 上 幹 郎

性 胆 汁性肝 硬変 症 を初め とす る肝疾 患群 に 高率

に 出現 す る とされ てい る.(4,5,7,16,19,18,19,20)今回

の 結果 で はSLEの27%に 出現 す るこ とが 確 認

出来 た.本 抗体 につ い てSLEを 対 象に して 検

討 した報告 を挙 げ てみ る と, 1966年Goudieら

が18例 で0% (17) 1966年Doniachら が17例 中

29% (21), 1967年Paronettoら が7例 中14.2% (7)

に 出現 した と述べ てい る.今 回の 結果 は頻 度 か

らみ る とDoniachら の報 告 とほ ゞ一 致 して い

た.そ して 彼 らはSLEの 病 態 また は検査 結果

との関 連につ い て も何 ら特 徴 の な いこ とを述べ

て い る.著 者 の結果 で もSLEに 特徴 的 なANF,

CH50,抗DNA抗 体 とも関 連性 はみ られず,

わ ずか に蛋 白尿 陰性群 の方 が 蛋 白尿陽 性群 に比

し2倍 の 出現 を示 す とい う特徴 を有 して い た.

また原 発性 胆汁性 肝硬 変症 を初め とす る肝疾 患

群 に本抗 体 が出現 す る点 よ り,ト ラン スア ミナ

ー ゼに おけ る比較 を試 み たが, 2例 のみ に軽 度

の 上昇 を認 め たのみ で あ った.

またDoniachら は梅毒 に対す る生 物学 的偽

陽性 者 の約 半数(51%)に 抗 ミ トコン ドリア 抗

体 が陽性 であ った と報 告 してい るの で(22),著 者

もその検 討 を行 な ってみ たが, 23例 の うち わず

か1例 にの み生物 学 的偽 陽性 が認 め られ た に過

ぎなか った.ま た,生 物学 的 偽陽 性者 にお け る

本抗 体 の特徴 は低 力価 で,イ ム ノグロ プ リン ク

ラスはIgMで あ り(22),原 発 性胆 汁性 肝硬 変 症

で は高 力価 で,イ ム ノグ ロプ リン クラ スはIgG,

IgA, IgMの3ク ラ スに わた って い る(7,22).

とこ ろが著 者の検 出 した本抗 体 の イム ノ グロブ

リン クラスはIgG, IgA, IgMの3つ の クラ

スに わた り,そ の 力価 も低 い もの であ った.以

上 よ りSLEで み られ る本抗体 は生物 学 的偽 陽

性 者,原 発性 胆 汁性 肝硬 変症 の両 老 に 出現 す る

もの とは性 質の 異 な る もの であ るこ とが想 定 で

きた.

ミ トコン ドリア の もつ 抗 原性 の局 在 につ い て

Doniachの 一派 は その 内膜 に よ り強い抗 原性 が

あ るこ とを指摘 してい る(23,24,25,26,27).著 者 の

検 討 で も未 処理 の ミトコン ドリア よ り超音 波処.

理 ミ トコン ドリア の方 が よ り強 い 吸収 力 を もっ

てい る こ とが吸 収 テ ス トの 結果 わ か った.こ れ

は 超音 波処 理 を行 な う こ とに よ り ミ トコン ド リ

ア内 膜の 成分 が 露 出 され た こ とに よ る ものであ

る と考 え られ, Doniachら の報 告 と一 致す る所

見 を得 た.

細 胞質 成分 の うち ミクロ ゾー ムに対 す る抗体

がSLEの 血清 中に存 在 す るこ とはDeicher(5)

とWiedermann(6)が 報 告 し,そ の うちDeicher

らは ミク ロゾー ムか らさ らに取 り出 した分画に

ト リプ シ ンに感受 性 の あ る物質 が 存在 す ること

を報 告 して い る.ミ クロ ゾー ムの一 成分 である

リボ ゾー ム に対す る抗体 に つ いて はSturgill,

Schurが 報告 して お り,そ の 出現頻 度 は各 々24

%, 41%で あ り, Sturgillら はベ ン トナ イ ト凝

集 反応 でみ ると51%の 陽 性 が得 られ た と報告 し

て い る.

著 者 らは,ラ ッ ト肝の 凍結切 片 を用 いてANF

を観 察 して い る際,核 と共 に細 胞 質 を染 色す る

血 清の あ る こ とに気 付 き, 4つ の抗 原 を用 いて

吸収 試 験 をお こな った.そ の結 果 この 細胞質染

色 は リボ ゾー ム で吸収 され,他 の抗 原 では吸収

程度 は 非常 に 弱か った.な お ミトコン ドリア,

特 に超 音 波処理 ミ トコン ドリア に よって蛍光が

減 弱 した が,こ の吸収 は ミ トコン ドリア内 にあ

る リボ ゾー ムに よる もの と考 え る.ま た105,000

G遠 沈 後 の上 清 成分 に て も吸収 され たが,こ れ

は 抗 原抽 出 の時 に,リ ボ ゾー ムが 混 入 したため

と考 え られ る.

Schurら は抗 リボ ゾー ム抗体 を もつSLEは

全例 腎症 を もちそ の予 後 は不 良 で あ るといって

い る(2).し か し著者 の結果 では,腎 症 を有 する

もの と有 しな い もの の数 はほ ぼ 同数 で あ り,こ

の点 で はSchurら の報告 とは 異 な る ものであ

っ た.ま た肝障 害 を もつ ものに 約79%の 割 合で

抗 ミクロ ゾー ム抗体 が 出現す る とい う報告 もあ

るが(28),著 者 の 抗 リボ ゾー ム抗体 の結 果では

1例 のみ で軽度 の トラン スア ミナ ーゼ の上昇 を

見 たの み であ っ た.以 上,抗 リボゾー ム抗体は

腎症 の有 無 に か ゝわ らず,ま た肝疾 患 の有無に

か ゝわ らずSLEに 出現 し,そ の 頻度 も19%と

低 い もの で あ った.な お本 編 で は蛍光 抗体 間接

法 に よ る結 果 の み に止 め,リ ボゾー ム の抗 原性

お よび他疾 患 との比 較 は 第2編 に ゆず りたい.

次 に105,000G上 清 成 分 につ い て考察 す ると,

Buschenfeldeら は高 速 遠 沈後 の上 清 成分 中に

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全 身性 エ リテマ トー デ スにお け る抗 細 胞質 抗体 の検 索

(蛍光 抗体 法 を中心 として) 337

肝 疾 患 に特 有 の抗 原 活性 が ある こ とを報告 し,

その抗 原 をSephadex G 100で 分 画 した結果,

第1峰 に抗 原活性 を認 め て いる(29). Asherson

は可 溶性 分画 に対 す る抗体 をSLE 25例 中9例

で認 め てい る(4). Clarkら はSLEの40%で

DNA, RNA,蛋 白以 外 の ものに対 す る抗 体 を

認 め(8), Mattioliら はRNAと 蛋 白の複 合物

で リボ ゾー ム とは異 な る もの に対 す る抗体 を見

出 し, ANFを 欠 きなが らも臨 床症 状 と して は

膠 原病 様症 状 を もつ患 者 に出 る こ とを特徴 と し

て挙 げ てい る(9).

著者 の結 果 で は,ト リプ シンに よ つての み そ

の 抗 原性 が失 活 した.し たが って, Clarkら の

報 告 してい る抗 原 とは性質 を異に し,ま たSe

phadex分 離 の結 果 よ りBuschenfeldeの い う

肝 特 異抗 原に近 い もの と考 え られ る.ま た 陽性

所 見 を得 た8例 の 患者 の うち2例 はANFが

Speckled patternま たはNucleolar pattern

でCH 50が0ま たは13と 低 値 で,う ち1例 は

抗DNA抗 体 が32.5%と 高値 を示 しなが ら腎症

を もたな い とい う検 査結 果 を示 してい た.な お

他 の例 で は血清 学 的に も活動 度 を示 す所 見 はな

か っ た.肝 特 異抗 原 と比較 して も,そ の性 状 は

カラム 分離 では 一致 す る もの ゝ臨床 的 には何 ら

一 致す る もの を得 なか った .従 っ て今 まで報 告

されて 来 た抗原 とは異質 の もの で あ るこ とが想

定 され た。

結 語

全 身性 エ リテ マ トー デス の血 清 を用 いて,抗

リボ ゾー ム抗体 と抗 ミ トコン ドリア抗 体 を蛍 光

抗 体 間接 法 で,ま た105,000G遠 沈 後の 上 清分

につ いて 沈降 反応 で,出 現頻 度等 の検 討 を行 な

った 結果,次 の こ とがわ か った.

1.イ)抗 リボ ゾー ム抗体 は全 身性 エ リテマ ト

ー デ スの19%に 出現 した.

ロ)腎 症 の有 無 とは無 関係 に抗 リボゾー ム

抗体 は 出現 してい た.

ハ)他 の種 々の検 査所 見 とも一 定 の 関係 を

もた なか った.

2.イ)抗 ミ トコ ン ドリア抗体 は全 身性エ リテ

マ トー デ スの27%に 出現 した.

ロ)従 来 よ りい われ て いた肝 障害 や,梅 毒

に対 す る生 物学 的偽 陽性 反 応 とは無 関係

で あ った.

ハ)腎 症 の少 い例 に 出現 し易 い傾 向 に あっ

た.

3.イ)105,000G遠 沈後 の上 清 成分 に対 す る

抗体 は全 身性 エ リテマ トー デ スの9%に

出現 した.

ロ)抗 原性 は トリプ シ ンに感受 性 が あ り,

Sepahadex G-100分 画 の 第一 峰 に抗 原

活性 が あ った.

ハ)肝 特 異抗 原 と類似 して いたが ,肝 障害

と も無 関係 で あ った.

稿 を終るにあた り御指導 と御校閲 を賜った恩師大

藤真教授に深甚 の謝意 を表 します.ま た終始 多大の

御指導 と御援助 をいただいた宮脇 昌二講師に深謝 い

たします.

(本論文の要 旨は昭和49年 第24回 日本ア レルギー

学会総会 において発表 した.)

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338 村 上 幹 郎

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340 村 上 幹 郎

Anticytoplasmic antibodies in systemic lupus erythematosus

Mikio MURAKAMI

The Third Department of Internal Medicine, Okayama University Medical School

(Director: Prof. T. Ofuji)

By the indirect fluorescent antibody technique, sera of patients with systemic lupus erythematosus were used to stain the cytoplasm of proximal tubule cells of rat kidney frozer

sections and the cytoplasm of cells in frozen sections of rat liver. Since the cytoplasmic stainings of rat liver were absorbed with ribosomes and the stainings of proximal tubules were absorbed with mitochondria, the sera were thought to contain either anit-ribosomal antibodies or anti-mitochondrial antibodies.

By Ouchterlony methods, some sera produced precipitin lines against 105,000G supernatant of rat liver homogenate distinct from the ribosomal system. This antigen activity was

present in the first peak of a Sephadex G-100 column chromatograph.