高山中心市街地のバリアに関する...

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高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年 3 月 東京都市大学 都市生活学部 都市生活学科 西山敏樹研究室 一般財団法人飛騨高山大学連携センター

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Page 1: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

高山中心市街地のバリアに関する

研究成果報告書

平成30年 3月

東京都市大学 都市生活学部 都市生活学科

西山敏樹研究室

一般財団法人飛騨高山大学連携センター

Page 2: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

目 次

1.本研究の背景と目的・目標 ・・・・・・・・1

2.調査研究の方法と内容 ・・・・・・・・3

3.第 1回目のフィールドワークの過程と成果 ・・・・・・・・4

4.第 2回目のフィールドワークの過程と成果 ・・・・・・・10

5.第 3回目のフィールドワークの過程と成果 ・・・・・・・14

6.高山市のバリア調査の総括 ・・・・・・・21

7.おわりに ・・・・・・・24

附属資料 各グループのパワーポイントによる報告資料 ・・・・・・・26

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1.本研究の背景と目的・目標

東京都市大学都市生活学部都市生活学科西山敏樹研究室では,ユニバーサルデザイン

やバリアフリーを主要テーマにしている.2017 年 6 月に組織された一般財団法人飛騨

高山大学連携センターのシンクタンク事業の一例として,飛騨高山の市街地での様々な

バリアを整理し,観光地でのユニバーサルデザインの戦略を立てることを目標にして,

西山敏樹研究室が,連携センターから受託した調査研究として位置づけられる(資料 1).

高山市の『平成 28 年観光統計』によれば,2016 年(平成 28 年)の観光客入込み者数

は 451 万 1000 人で,前年よりも 3.92%増加している.2005 年の市町村合併以降では

最高の入込み者数となっている.観光客入込み者数増加の主因は,堅調な外国人観光客

数の増加である.具体的に,2016 年時点の高山市での外国人観光客数(のへ宿泊者数)

は,対前年比 26.55%の大幅増加となっている.地域別傾向では,オセアニア地域で対

前年比 37.84%の増加,アジア地域で対前年比 35.18%の増加で高い増加となっている

(資料 2).LCCを中心とした東アジア圏の航空路線拡大,個人旅行需要増加等で,今後

資料 1 一般財団法人飛騨高山大学連携センターのシンクタンク事業の概念図.本研究

は※1の研究委託に位置づけられる(同センター公式 Webサイトより引用掲載)

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資料 2 高山市の外国人観光客の年別推移

(『平成 28年観光統計』(高山市)より引用掲載)

資料 3 高山市の年齢別の観光客推移.左の図が男性,右の図が女性のデータである.

(伊藤薫『男女・年齢別観光客の特徴とその推移–全国調査と高山市観光統計による分析

-』(岐阜聖徳学園大学経済情報学部紀要),Vol.16,No.3・4,pp.45-60.より引用掲載)

の一層の市場拡大が見込まれる.さらに,東京オリンピック 2020の開催に伴い外国人

観光客の増加が見込まれ,多くの外国人を意識したバリア解消が高山でも必要である.

日本人観光客についても,2016 年 4 月の「飛騨匠の技・こころ」の日本遺産認定や

12 月の「高山祭の屋台行事」のユネスコ無形文化遺産登録等で,高齢者観光客が市内

で目立つようになっている.資料 3のように,男女問わず高齢者の高山市への観光客が

増えている.確率的には身体障がいを持つ人々の来訪の可能性も非常に高い筈である.

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更には,小さい子どもを持つ若い親の観光支援も重要な課題として,全国的に需要が

高まっている.以上のように,増加する高齢者や障がい者,外国人,小さい子ども及び

その若い親達のためにも,高山市街のバリアを観光地として除去する事は急務である.

そこで本研究では,高山市が誰でも快適に過ごせる観光地になることを目的に据え,

研究の目標を現行の市街地のバリアを整理し,今後の方向性を抽出することに定めた.

2.調査研究の方法と内容

東京都市大学都市生活学部都市生活学科西山敏樹研究室では,本事業契約期間である

2017年 9月 9日〜2018年 3月 5日の間で,3回に亘り教員の西山と大学院生,学部生

が現地に入って,フィールドワークを実施した.その概要は以下の通りに整理される.

(第 1回目)

日時:2017年 9月 9日〜9月 11日 2泊 3日

参加:西山敏樹研究室 教員 1名・大学院生 1名・学部生 20名 合計 22名

手法:飛騨の里や高山市街地のフィールドワーク.主に実地観察と観光客の行動観察,

一部店舗や観光施設のスタッフへのヒヤリング,観光客へのヒヤリング等実施.

報告:最終日に 2泊 3日の成果を報告する会を開催.副市長や市職員等に発表をした.

(第 2回目)

日時:2017年 11月 24日〜11月 26日 2泊 3日

参加:西山敏樹研究室 教員 1名・大学院生 2名・学部生 8名 合計 11名

手法:飛騨の里や高山市街地のフィールドワーク.主に実地観察と観光客の行動観察,

一部店舗や観光施設のスタッフへのヒヤリング,観光客へのヒヤリング等実施.

報告:最終日に 2泊 3日の成果を報告する会を開催.UD を担当する職員に報告した.

(第 3回目)

日時:2018年 1月 12日〜1月 14日 2泊 3日

参加:西山敏樹研究室 教員 1名・大学院生 1名・学部生 7名 合計 9名

手法:高山市街地の店舗や観光施設のスタッフにヒヤリング,観光客へのヒヤリング.

報告:最終日に2泊 3日の成果を報告する会を開催.社協や関係市職員に報告をした.

なお,事実上,上記のフィールドワークは一般財団法人飛騨高山大学連携センターの

コミッション事業の一環で行われており,各機関の支援を頂きながら実施した(資料 4).

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資料 4 一般財団法人飛騨高山大学連携センターのコミッション事業の概念図

(図中の情報提供・相談受け入れ・活動支援を頂きながらフィールドワークを実施)

(一般財団法人飛騨高山大学連携センター公式サイトより引用掲載)

3.第 1回目のフィールドワークの過程と成果

第1回目のフィールドワークは,2017 年 9 月 9 日から 9 月 11 日に実施した.西山

敏樹研究室の教員 1 名,大学院生 1 名,学部生 20 名の合計 22 名でフィールドワーク

を実施した.飛騨の里や高山市街地のフィールドワークを行い,初回なので,主に実地

観察と観光客の行動観察,一部店舗や観光施設のスタッフへのヒヤリング,観光客への

ヒヤリング等を広く実施した.最終日に 2 泊 3 日の成果を報告する会を開催して頂き,

高山市の副市長や関係職員等に発表をして,以後に向けた有益なコメントを頂戴した.

具体的に,9 月 9 日の午後に飛騨の里,9 月 10 日は終日高山駅を起点として市街地

各所を歩いてフィールドワークを実施した.都市生活学部基幹必修科目であるリサーチ

演習の知識を活用して,班別に市民や観光客へのヒヤリング,インターネットを利活用

した高山のバリアの情報整理を行った.結果をグループ別に纏めると次の通りである.

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3.1 第 1回目第 1グループの成果

(都市生活学部 4年 稲葉巧・原田知佳子・堀井勇斗,同 3年 八木智大)

飛騨の里では,悪い足場や段差,坂が多く,ベビーカーや車いす,高齢者単独の移動

で危険な部分を多数発見した.特に細かく見た上で,木製の手摺類から飛び出ている木

のささくれが複数見られ,危ない状況を把握した.また,伝統体験コーナーでは車いす

の方が参加できない状況,外で車いすの方が他の人の作業を見ているだけの状況に直面

した.高山市内では,歩行者と自動車の区別が無い場所が多い点,高山陣屋での様々な

バリア,街全体で休憩所及びベンチが少ない点や分煙の不徹底を問題にあげた(資料 5).

総じて,伝統があり改造が難しい建造物も多く,バーチャルリアリティのような疑似

体験システムを積極的に導入し,見学のしにくい障がい者も似た様な体験ができるよう

にすることの重要性を指摘した.併せて,障がい者や高齢者が困っている状況を即時に

モニタリング・情報収集して,ビッグデータとして分析することの重要性も説き,そう

した情報収集と分析の活用過程での大学との連携が有効という調査の結論を説明した.

3.2 第 1回目第 2グループの成果

(都市生活学部 4年 寺田雄一・中島佳太・浜川洸希,同 3年 一ノ宮克友,桑田智子)

飛騨の里では,シニアカーや子どもを想定しながら,4kgの重しを乗せたベビーカー

を使いながら,問題点を整理した.車いすやシニアカー,ベビーカーでは乗り越えられ

ない段差が多いことを指摘した.特に,そうした移動支援車輛を利用した人が他の人と

一緒に楽しめない状況を大きな問題として指摘した.高山市内では,舗装路の劣化など

が段差化して,車いすやベビーカーがひっかかる実事例を複数確認した.あわせて街中

資料 5 第 1 回目フィールドワーク第 1 グループの指摘した問題点.左は,飛騨の里の

自然の中にあるバリア, 右は歩行者と自動車の区別が無い市街地の画像.

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資料 6 第 1 回目フィールドワーク第 2 グループの指摘した問題点.左は,飛騨の里の

福祉車輛での移動のしにくさ,右は飛騨の里でのベビーカーの移動のし辛さ.

に街区図がない点,ベンチが日向に多く暑いと休み難いという問題も指摘した(資料 6).

このグループも,バーチャルリアリティや拡張現実,スマートフォンのような各情報

技術をミックス,有効活用して,物理的なバリアを感じる場合には,疑似体験で体験の

差を補うことが必要と提案した.また,初めての観光客や外国人なども想定しながら,

路線バスをうまく活用した拠点間ネットワークを見直し,とりあえず乗れば観光の主要

なスポットを気軽に回れるようなユーザ志向型のバス路線の構築の必要性も提案した.

3.3 第 1回目第 3グループの成果

(都市生活学部 4年 渋谷康平・邵治為,都市生活学部 後藤亜紀・斎藤諒)

飛騨の里では,若者の来訪を促進する必要性,また外国人などにも情報が行きやすく

する様に,新たなスマートフォンのアプリを用意して,インストールすることでWi-Fi

が利用できるサービスや,アプリ内のカメラで撮影をした写真を SNS にアップすると

特典等がつくサービス等が,他に比へ遅れている点を見つけた.併せて高山市街では,

地元民・観光客らが共に普通の買い物をしづらい状況を発見した.ユニクロの様なお店

が駅から少し離れており,高山駅周辺での買物環境が良くない点を問題とした(資料 7).

以上より高山駅横の濃飛バスセンター,状况によっては高山駅構内に,ショッピング

センターの役割を追加するという大胆な提案をこのグループは行った.あわせて,この

グループもユーザ志向で見直した使いやすい観光アプリの必要性を主張した.アプリを

若者や外国人等に使ってもらえるようにすれば,大きな観光支援になるし,そこに特典

をつけることも必要である.この企画では大学との連携も重要であると指摘している.

⾶騨 ⾥ 歩 感 問題点

電動車 車 行止 多

関 U

順路 違 追 越舗装

⾶騨 ⾥ 歩 感 問題点

砂利道 段差 部分 多押

見学

内部 見学 建物 前段差 放置

車 利用者 内部立 入

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資料 7 飛騨の里では,スマートフォンのアプリケーション内のカメラで撮影した写真

を SNSにアップすると特典等がつくサーヴィス等が,他に比べ遅れている.

資料 8 第一回目フィールドワーク第四グループの指摘した問題点.左は,飛騨の里で,

建物の外でひたすら家族を待つ車いす利用者に出会った.右は市街地の蓋の無い側溝.

3.4 第 1回目第 4グループの成果

(大学院環境情報学研究科都市生活学専攻修士課程 2年 古瀬正次,都市生活学部 4年

角田吏規・水野和哉,都市生活学部 3年 東本星南)

このグループも,飛騨の里では第2グループと同様に貸出用の車いすやベビーカーを

使いながら園内を実際に散策した.車いすやベビーカーにとっての段差が多い点,文化

財の家を見学することがメインなのに,車いすやベビーカーでは中に入ることが困難な

状況を実際に目撃した.高山市街では,側溝にフタがない点や,観光用地図が細かくて

わかりにくい点,実際に乗った上での市内の周遊バスのパンフレット及び時刻表が判り

難い点等(左回りと右回りの識別や路線間識別等),多くの問題をまとめている(資料 8).

また観光客と地元の住民の双方が,子供が遊へるような公園が少ないことを指摘して

おり公園の増設が必要であると提案した.さらに,第3グループと同じように,高山駅

周辺にデパートやショッピングモールがないことを諸調査から問題点として整理して

おり,買物環境の改善が必要と提案した.さらには QRコードを有効活用して,外国人

でもほしい情報にアクセスしやすくするなどの IoTの積極的な採用を提案した(資料 9).

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資料 9 西山研究室が,A・Tコミュニケーションズ社と共同研究しているカラーコード.

スマートフォンで自国のフラッグを撮影するだけで観光案内が聞こえてくるシステム.

3.5 第 1回目第 5グループの成果

(都市生活学部 4年 後藤大和・中道秀明,都市生活学部 3年 松本絵里香・村田雄大)

この班には帰国子女(中道)がおり,その観点で外国人の目線を重視した調査を行って

いる.飛騨の里では,外国人の観光客らも喜ぶであろうプロジェクションマッピングを

用いた解説(例:古民家に住んでいた人による英語の解説)や様々なイベントの開催,QR

コードを使った遊びや情報の提供,多言語対応の建物説明アプリ等の準備が遅れている

ことを指摘した.あわせて高山市街では,国際性を意識したバイリンガル表示が遅れて

いると指摘し,アルファベットをつけることの大きな効果について説明した(資料 10).

総体論として,高山市のアプリ(ひだスマ)を改善し,①対応言語を増やす,②高山市

の情報や観光関連情報の更新頻度を高める(ニュースフィード),③口コミ欄を設けつつ

個人同士がエンパワーメントされる仕組みをつける,④カメラ AR機能を加えるなどの

提案がなされた.あわせて市内全域で看板や標識等をローマ字化して,基本的に誰でも

読めるユニバーサル言語としながら,英語圏以外の人の観光も支援する策を提案した.

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資料 10 第 1回目第 5グループの指摘した問題点.左側の Anmitsuのようにアルファベ

ットを用いるだけで多くの人の理解に貢献する.右のような遊歩道では,日本語だけの

表記も問題であるが,自然の中のユニバーサルデザイン化をどう進めるかが鍵である.

3.6 全グループの成果のまとめ

第1回目の5グループの調査で共通する改善提案を抽出すると,次の様に整理される.

1 点目は,物理的なバリアやギャップを埋める情報技術の活用が手薄な状況である.

近年ではバーチャルリアリティ等の疑似体験が簡単にできる様になり,これを用いれば

段差などで観光できない場所も,同じように体験が出来る.歴史的価値からバリア解消

がやむを得ず難しい際にも有効な手段である.この具現化で大学との連携も可能である.

2点目は,地元民・観光客共々,買物環境の悪さ,子どもたちが楽しみにくい状况が

明らかになった.飛騨高山は大人のための歴史的観光地のイメージが根強いが,上記の

問題点はユニバーサルな環境にする上で重要なポイントである.買物環境改善,子ども

が楽しめる環境の用意という課題も,誰もが受け入れられるまちづくりで重要となる.

3点目は,せっかくの取り組みが周知徹底されていない状況である.これは市役所の

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発表でわかったことであるが,今回の学生の提案事項の一部は,飛騨の里でも検討及び

実施されている内容のものであったが,問題は,学生達が初見で全然それらに気づかな

かったことである.こうした努力や配慮をしっかり表に出す活動も今後の課題である.

4点目は,自然環境の中でのユニバーサルデザイン化が残された状況である.飛騨の

里や高山城,東山遊歩道等を歩いて,自然の中で誰もが,共に過ごしやすい環境をどう

作りあげるかという問題も重要と考えた.公園や遊歩道等の自然環境での改善は,現状

の価値を壊さずに機能付与をしなくてはならないが,いち早い取り組みが重要である.

5点目は,路線バス(特にコミュニティバス)の運行経路や各種案内が判りにくい状況

である.高山市内でも,市内を循環するバスが運行されているが,初めて高山に来た当

研究室メンバーも,案内図等が複雑で情報が入りにくいという問題点を指摘している.

今後は単純な案内にし,外国人にも判りやすいような運行方法を検討する必要がある.

4.第 2回目のフィールドワークの過程と成果

第 2回目のフィールドワークは,2017年 11月 24日から 11月 26日に行った.西山

敏樹研究室の教員 1名,大学院生 2名,学部生 8名の合計 11名でフィールドワークを

実施した.第2回目も飛騨の里や高山市街地のフィールドワークを行い,主に実地観察

と観光客の行動観察,一部店舗や観光施設のスタッフへのヒヤリング,観光客へのヒヤ

リング等を広く実施している.最終日に 2 泊 3 日の成果を報告する会を開催して頂き,

高山市の関係職員等に発表し,以後に向けた有益なコメントを頂戴することが出来た.

具体的に,11月 24日の午後に飛騨の里,11月 26日は終日高山駅を起点として市街

地各所を歩きフィールドワークを実施した.都市生活学部基幹必修科目であるリサーチ

演習の知識を活用して,班別に市民や観光客へのヒヤリング,インターネットを利活用

した高山のバリアの情報整理を行った.なお,第 2回目については,調査を実施する前

に高山市のユニバーサルデザインの担当職員に講義頂き,高山市でのユニバーサルデザ

イン化の事前学習をした(資料 11).調査結果はグループ別に纏めると次の通りである.

4.1 第 2回目第 1グループの成果

(大学院環境情報学研究科都市生活学専攻修士課程 2年 古瀬正次,都市生活学部 4年

清水響平,同 3年 吉原麻奈美)

このグループは,飛騨の里では貸出用の電動カーも使いながら、飛騨の里園内を実際

に散策して,問題点を整理した.結果,園内の舗装がされているところとされていない

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資料 11 第 2回目のフィールドワークに際して行われた UD事前学習会

資料 12 第 2回目第 1グループの問題点の指摘.左側は飛騨の里に舗装部と未舗装部の

双方が残ることの危険に対する指摘.右側は遊歩道(登山道)での柵や手すりの不足問題.

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ところがあり連続的な移動がしにくい点,舗装されているところとされていないところ

の継ぎ目の段差が危険な点等を抽出した.カートの置き場がなく,取り扱いにくい点も

抽出した.高山市内では市街地を歩く上での側溝に蓋が無い点,遊歩道に柵が無く危険

な点を抽出した.まちなみバスの濃飛バスセンター強制降車問題も指摘した(資料 12).

上記結果を受けて,飛騨の里の砂利道部の舗装,重要文化財の家の周辺のカート駐車

スペースの確保や看板の英語以外の表記整備,暗い建物の中での照度確保等の必要性を

まとめた.高山市街では側溝部への蓋の設置等の安全対策,歩道と車道にピクトグラム

をペイントする施策,遊歩道にも柵や手すりをつける工事の必要性を指摘した.さらに

まちなみバスについては強制降車の停留所を無くし,巡回性を高める施策を提案した.

4.2 第 2回目第 2グループの成果

(都市生活学部 4年 伊藤晃希・加賀見健太・加藤幹久,同 3年 上條睦)

このグループも,飛騨の里ではまず電動カートや車いすの置き場所がないことを問題

点として指摘した.また調査の当日が秋の悪天候日で,電動カートに屋根がついてない

状況も指摘した.木から落ちた葉や枝等で雨の際には歩きにくい点を抽出した.さらに

子どもが遊へる場所がない点も指摘した.高山市街では,朝市での自転車の危険な運転

や側溝の存在,お休みまちの縁側が無人で休憩施設として機能していない状況,歩車道

分離が出来ていない状況,点字ブロック色が灰色である事の是非等を挙げた(資料 13).

上記を受けてこのグループでは,飛騨の里については,電動カートの置き場の確保や

後付けできる電動カート用屋根の導入,滑らない床材の部分的な導入(資料 14),自然を

活用した遊具の設置等を提案した.高山市街では,休憩所やベンチの増加,朝市周辺の

自転車抑制,側溝の穴を対策,歩車道分離のピクトグラム設置,休憩所での安全性確保

等を要改善点として指摘した.また駐車場の位置を判りやすくする必要性も指摘した.

4.3 第 2回目第 3グループの成果

(大学院環境情報学研究科都市生活学専攻修士課程 2年 李佳棋,都市生活学部 4年

後藤大和,同 3年 牧田純)

このグループは,飛騨の里については子どもの遊び場が少ない,イヤフォン付き端末

の貸し出しが目立たない点を指摘した.一方,高山市街では観察を中心に調査し,車の

運転が荒くて接触しそうな観光客が多く見られた点, 地面の案内図と画が見づらい点,

ガイドブックの配布場所が駅周辺か建物内にしかなかった点,公衆便所が清潔的でない

点, Wi-Fi の種類が色々とあり逐一登録しないと利用できなかった点, 休憩所や情

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報端末の存在の認知度が低い点,悪天候の際の寺院の地面の泥濘等を指摘した(資料 15).

これに対して,飛騨の里では子ども達向けの自然を生かしたターザンロープの新設や

イヤフォン付き端末を目立たせる策を提案した.高山市街については,車の速度を強制

資料 13 第 2回目第 2グループが指摘した問題点.左のように飛騨の里では階段の突端

が木材で,雨天時には滑りやすかった.市街地では歩車道分離もされていない(右側).

資料 14 西山研究室で取り組んで来た石英石を使った高度防滑性床材.国内では最高の

防滑性能を誇る.新幹線ののぞみ停車駅の突端等で使われ,各所での応用が可能である.

資料 15 第 2回目第 3グループの指摘した案件.高山市内では速度を落とさない自家用

車も多く,左側のようにハンプをつける策を提案.右の泥濘も,移動上の制約となる.

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的に減速させるためのハンプの取り付け,ガイドブックを置くところの増加,公衆便所

の温度調節と清潔向上,Wi-Fiの種類を絞り判りやすくする施策,全体的に水たまりを

無くして泥濘を解消してあらゆる観光客が移動しやすくする施策等を総合的に示した.

4.4 全グループの成果のまとめ

第2回目の3グループの調査で共通する改善提案を抽出すると,次の様に整理される.

1点目は,飛騨の里で,園内の舗装がされているところとされていないところがあり

連続的な移動がしにくい点,舗装されているところとされていないところでの継ぎ目の

段差が危険な点が挙げられた.舗装状況が異なると移動の連続性が確保されず,視覚障

がい者の移動に支障が生じる事,車いすでの移動で危険な事態が生じるケースが多い.

2点目は,飛騨の里で,貸出用の電動カーがあるのにも置き場が展示されている建物

の近くになく,取り扱い上の利便性が総体的に低下している状況が挙げられた.結果的

に電動カーを置ける場所が見たい建物から遠くになってしまい,高齢者らの歩行距離の

短縮化に繋がっていない状況が判った.調査時は雨天で特にその必要性をうかがえた.

3点目は,飛騨の里のような自然環境下では,雨天時に移動抵抗が大きいことを問題

点として指摘した.調査の当日が秋の悪天候日で,木から落ちた葉や枝等で雨の極めて

歩きにくい点を抽出した.また電動カートに屋根がついておらず,移動抵抗が拡大して

いる状況も指摘した.こうした雨天や雪天での移動抵抗の大きさも考慮の必要がある.

4点目は,お休みまちの縁側のような休憩所が,無人で休憩施設として十分機能して

いない状況,休憩出来る場所が少ない状況が指摘された.高齢者は,100m歩くだけで

少し立ち止まったりする.実地調査をしていてもそういう高齢者が多かった.休憩施設

は十分にある必要があり,まちの中にベンチが少ない状況も改善して行く必要がある.

5点目は,高山市街では,朝市での自転車の危険な運転や側溝の存在,歩車道分離が

出来ていない状況,点字ブロック色が灰色である事の是非等が問題点としてあげられ,

総じて歩行環境が悪い状況が指摘された.自転車や自動車との導線がわかれておらず,

特に夜間では危ない事が判った.実際に側溝に落ちた人の話もあり改善が必要である.

5.第 3回目のフィールドワークの過程と成果

第 3回目のフィールドワークは,2018年 1月 12日から 1月 24日に実施した.西山

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敏樹研究室の教員 1 名,大学院生 1 名,学部生 7 名の合計 9 名でフィールドワークを

実施した.第 3 回目は,第 1 回目と第 2 回目のフィールドワークの結果を受け,高山

市街地の店舗及び観光施設のスタッフへのヒヤリング,観光客へのヒヤリングを主たる

内容とした.最終日に 2泊 3日の成果を報告する会を開催して頂き,高山市の関係職員

や社会福祉協議会職員等に発表し,以後に向けた有益なコメントを頂くことが出来た.

具体的に,1月 12日の午後から 1月 13日夕刻まで,終日高山駅を起点として市街地

各所を歩き,上記のヒヤリング調査を実施した.都市生活学部基幹必修科目であるリサ

ーチ演習の知識を活用し,班別に市民や観光客へのヒヤリングを行い次の結果を得た.

大学院生と学部生,もしくは学部生同士が 2名のペアとなり,4班 8名が高山市街地で

観光客に上記の 1.5 日間,集中的にヒヤリング調査を実施した.ヒヤリングの項目は,

9月と 11月の 2回のフィールドワークの成果に基づいて以下の項目で各班共通化した.

結果的に全日全グループで有効回答者数は合計 102人であった.性別は男性が 61人,

女性が 41人であった.対象者は観光客がメインであるが一部で地元生活者も混在する.

【第 3回目フィールドワーク(ヒヤリング)の共通質問事項】

(1)市内の歩く空間で感じるバリア,問題点

(2)観光施設の空間で感じるバリア,問題点

(3)店舗や観光施設等の人が提供するサービスで感じるバリア,問題点

(4)市内の交通について感じるバリア,問題点

(5)市内の情報提供で感じるバリア,問題点

(6)高山の観光環境の改善点

(7)外国人からの意見

5.1 高山市街地の歩く空間で感じるバリア,問題点,意見

本項目について得た個別意見は次の通りである.定性調査の為,まず意見を列挙する.

なお同じ属性が並んでいる場合,同じ意見表明がn人分いたという解釈をする(以下同).

・落雪が危険,歩道の日陰が冬は凍って危険(70 代女性,70 代男性,60 代男性,50 代

男性,20代女性)

・舗装のひび割れと段差(70代女性,60代男性,60代女性,20代男性)

・側溝が空いていて危険(70代女性,60代男性,60代男性,20代女性)

・ゴミ箱がお店に設置しているもののみ(70代女性,60代男性,50代女性)

・車の量が多い.車と歩行者の距離が近い.車と歩行者の仕切りが無い(50代女性,50

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代女性,20代男性,20代女性)

・道が狭い,観光客がたむろしていると危ない(70代男性)

・朝日町のウツボ人形店前の道路に穴が空いていて危険(70代女性)

・ベンチが除雪されてないことが多い(60代男性)

・商店街で観光客があまり通らない場所だと閉まっている店が多い.活気がないように

見える(60代男性)

・駅西地区が高山らしくない.日本中のどこにでもある町と変わらない(60代男性)

・駐車場から出る時に階段がある(60代女性)

・雪が降っていて点字ブロックが埋まっているところが多い(40代女性)

・歩行者信号が駅前に少ない(30代男性)

・商店街に学生や観光客の人が多くて歩きにくい(20代女性)

・雪を置く場所がない(20代女性)

・赤が長く青が短い信号(10代男性)

・道が狭い(10代女性)

結果的に,「落雪が危険,歩道の日陰が冬は凍って危険」,「舗装のひび割れと段差」,

「側溝が空いていて危険」,「ゴミ箱がお店に設置しているもののみ」,「車の量が多い.

車と歩行者の距離が近い.車と歩行者の仕切りが無い」が目立つ意見として抽出された.

5.2 高山市街地の観光施設の空間で感じるバリア,問題点,意見

本項目について得た個別意見は次の通りである.定性調査の為,まず意見を列挙する.

・トイレが少ない,コンビニがトイレを貸してくれない(70 代女性,60 代男性,50 代

男性,30代女性,30代女性,20代男性)

・お店に入る時に段差が目立つ,(山下清展は)階段のみで店員が手伝うこともある(50

代男性,50代男性,50代女性)

・売っている品物が他の観光地みたくどこでも買えるものが増えてきている(70代男性,

60代女性)

・町全体に民家が少なく生活感がない(70代男性)

・民間の施設で料金に見合わない(高い)ところがある(60代男性)

・トイレが汚れている(60代男性)

・合掌村などの老朽化が目立つ(60代男性)

・建物のはりが低い(40代男性)

・ベンチが少ない(20代男性)

・狭いところが多い(20代男性)

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・お土産店の中が狭いため,荷物が多いと引っかかる(20代女性)

・クレジットカードが使えない店がある(20代男性)

・ゴミ箱が少ない(10代女性)

結果的に「トイレが少ない,コンビニがトイレを貸してくれない」,「お店に入る時

に段差が目立つ,(山下清展では)階段のみで店員が手伝うこともある」が目立つ結果に

なっている.トイレについては不衛生を指摘する声もありトイレの改善が必要である.

5.3 高山市街地の店舗や観光施設等の人が提供するサービスで感じるバリア,問題点,

意見

本項目について得た個別意見は次の通りである.定性調査の為,まず意見を列挙する.

・外国人の対応が不慣れ,言葉の問題(50 代男性,50 代男性,30 代男性,30 代女性,

20代男性,20代男性,20代男性,20代女性)

・コンビニや店舗の人が不愛想,サービス精神にかける(60 代男性,20 代女性,20 代

女性)

・やっているかやっていないのか分からない店舗が多い(50 代男性,40 代女性,20 代

女性)

・親切な人が非常に多く,特に問題点を感じることはない.笑顔が素敵(50代女性,50

代女性)

・統一感がない,建物が汚い(さんのまちが特に高山らしくない)(70代女性)

・飲食店の価格が高すぎる(60代男性)

・飲食店側がターゲットを観光客目当てとなり過ぎて市民が利用しづらくなっている

(60代男性)

・可もなく不可もなく普通(50代男性)

・車が多い(50代女性)

・店員が常駐している店が少ない(30代女性)

・お土産屋さんの間で同一商品の値段が違う(20代女性)

・クレジットカードが使いにくい(10代男性)

・ファミリーレストランやファストフードが少ない(10代女性)

結果的に,「外国人の対応が不慣れ,言葉の問題がある」が顕著で,「コンビニや店舗

の人が無愛想,サービス精神にかける」と「やっているかやっていないのか分からない

店舗が多い」が続く形になった.調査者が市街地を歩いていても,英語他の外国語での

コミュニケーションで支障がある店員等が散見されており,調査者が手助けすることも

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あった.国際観光都市としてのバリアを無くして行くためにも,例えば行政による統一

的な外国語プログラムの導入等が必要な状況である.併せて,店員や各種スタッフの不

親切や無愛想,サービス精神の欠如や特に個人店に多い開店か閉店かも判らない状態も

観光客が聞きたい事があったり困った事があったりすることには備えられず,良くない

状況である.本状況についても行政等の第 3者によるサービスチェックが必要である.

5.4 高山市街地の交通について感じるバリア,問題点,意見

本項目について得た個別意見は次の通りである.定性調査の為,まず意見を列挙する.

・バス(のらマイカーを含む)の本数が少ない(特に土曜・日曜・祝祭日)(70代女性,70

代女性,50 代男性,40 代男性,30 代女性,、20 代男性,20 代男性,20 代女性,10 代

男性,10代女性,10代女性)

・電車の本数が少ない(70代女性,70代女性,20代女性,10代女性,10代男性)

・バスの表記類,標識類がわかりづらい(まちなみバス含む) (70 代女性,60 代男性,

20代女性)

・一方通行が途中で切れてしまう,曲がれない道路等もある(20代男性,20代男性)

・行きのバスがあっても帰りのバスがない(20代女性,10代女性)

・道路が狭いと苦情があるが,ただ広くするだけだと他都市と区別がつかなくなるので

ただ広くするのは反対(70代男性)

・車を運転する際には信号の時間が短すぎる(60代男性)

・歩く立場で青信号の時間が短い(60代男性)

・駐車場利用料が高く場所が少ない(50代男性)

・バスを使うと市内をぐるっと回らないといけないため不便(50代女性)

・交通標識が視認しづらい(30代男性)

・路面のサインが見にくい(30代女性)

・外国人が指定席のことを知らずに指定席に座ってしまう(20代男性)

・車の量が多い(20代男性)

・降雪量の多い日の朝,除雪に時間がかかりすぎる(20代女性)

・バスセンターが狭く駅が改修されたのでバスセンターも改善してほしい(10代女性)

・自転車が危ない(10代女性)

結果的に,「路線バス(のらマイカーを含む)の本数が少ない」,「電車の本数が少ない」

という公共交通機関の本数に関する指摘が顕著であった.あわせて「バス」というキー

ワードが目立つ結果になった.観光客の中には公共交通に頼らざるを得ない人も多く,

市内の移動だけでも相当な時間的ロスをしているケースが散見された.これについては

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資料 16 点字と音声で市内の観光地を紹介している地図.視覚障がい者と一緒に観光の

情報共有をすることが可能である(2002年 8月に飛騨高山東京事務所が企画したもの).

地元の交通事業者(JR 東海や濃飛バス)を含めた地域公共交通活性化協議会での議論が

待たれるところであるが,限られた本数の最適な配分については議論の必要性が高い.

5.5 高山市街地の情報提供で感じるバリア,問題点,意見

本項目について得た個別意見は次の通りである.定性調査の為,まず意見を列挙する.

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・パンフレットで知りたい情報を入手しにくい.主要な場所の情報だけなので,細かい

情報まで記したバージョンの地図も必要(40代女性,30代女性,20代男性)

・フリーWi-Fiがつながりにくい,使われていない (50代男性,40代女性,30代女性)

・展示物,標識の英語での説明が不十分(60代男性)

・観光案内所を訪れる外国人の数が少ない(60代男性)

・障がい者向けの音声案内マップがあまり知られていない(50代男性)(資料 16)

・マップル高山が見づらくて困る(60代女性)

・地図をはっきり見やすく, わかりやすいフォントで作ってほしい(50代女性)

・駅とかわかりやすいところに散策マップがあると良い(20代女性)

結果的に,「パンフレットで知りたい情報を入手しにくい.主要な場所の情報だけで

あるので,細かい情報まで記したバージョンの地図も必要」,「フリーWi-Fiがつながり

にくい,使われていない」が目立つ結果になった.少数意見でも,地図関係のバリアの

指摘が見られる結果になった.訪問客の情報の入口になりうるので精査が必要である.

5.6 高山市街地の観光環境の改善点や意見

本項目について得た個別意見は次の通りである.定性調査の為,まず意見を列挙する.

・車がない人は遠くの観光地にいけない(70代男性,70代女性)

・外国人がトイレを汚くする.和式は使い方が分からない模様である(50代女性,20代

女性)

・外国人のマナーが悪くてホテルの人が大変(70代女性)

・外国人のマナーが悪く大きい声を出している(70代女性)

・高山ならではのお店を増やしてほしい(30代男性,20代女性)

・高山市のシンボルが欲しい(50代男性)

・木の伐採が素人まがいで風景が変わってしまった.景観保護をする必要がある(50代

男性)

・トイレを増やしてほしい(50代女性)

・喫煙できる場所を増やしてほしい(50代女性)

・中国人が食べながら別の店に入ってくる(40代女性)

・中国人が買った物を店(スーパー)の中で食べる(40代女性)

・市民の為のもの(朝市)が観光客相手の対応や価格になっている(40代女性)

・街全体で回れる観光施設が必要(30代男性)

・シェアサイクルを取り入れてほしい(30代男性)

・お店の雰囲気を明るくして欲しい(20代男性)

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・古い町をもっと PRしたほうがいい(20代男性)

・大型バスの駐車場の設置場所を変えて欲しい(20代男性)

・道路にお湯が出る除雪機能が道路に欲しい(20代女性)

・若い人向けじゃない(10代女性)

とりわけ目立つ意見が多く,少数意見が林立する形になった.しかしインバウンド

ニーズが高まったことで,まとめてみると外国人のマナーに関する意見が顕著である.

それが日本人観光客や住民にとってのバリアになってしまっている.外国人の方にも,

日本のマナーが判らないという声があり,価値観共有の方策を検討する必要性が高い.

5.7 外国人からの意見

本項目について得た個別意見は次の通りである.定性調査の為,まず意見を列挙する.

・道の狭さや側溝の改善(アメリカ人男性,アメリカ人女性)

・ベジタリアンのためのお店をもっと増やしてほしい(オーストラリア人男性)

・もっと遅くまでお店を開いてほしい(フランス人男性)

・英語以外の対応を強化してほしい(中国人女性)

・クレジットカードを利用できるお店を増やしてほしい(アメリカ人男性)

概ね,上記の日本人が回答したものと傾向は似ているが,ベジタリアンのためのお店

は外国人対応として重要なところである.宗教的にも食へられないものがある外国人は

多い.いわゆるハラルフードのようなものも含めた考慮を深める必要性が認められる.

なお,最後になるが本章の第 3回目のフィールドワークには次の者が参加している.

都市生活学部・大学院環境情報学研究科都市生活学専攻 准教授 西山敏樹

大学院環境情報学研究科都市生活学専攻修士課程 2年 古瀬正次

都市生活学部 4年 後藤大和,寺田雄一,原田知佳子

都市生活学部 3年 一ノ宮克友,斎藤諒,角田吏規,八木智大

6.高山市のバリア調査の総括

2017 年度に東京都市大学都市生活学部都市生活学科西山敏樹研究室が担った高山市

のバリア調査の総括を最後に行う.各回のフィールドワークの成果を改めて整理する.

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(1)第 1回目フィールドワークで抽出された現状の問題点

・物理的なバリアやギャップを埋める情報技術の活用が手薄な状況.

・地元民・観光客にとっての買物環境の悪さ,子どもたちが楽しみにくい状况.

・せっかくの取り組みが周知徹底されていない状況.

・自然環境の中でのユニバーサルデザイン化が残された状況.

・路線バス(特にコミュニティバス)の運行経路や各種案内が判りにくい状況.

(2)第 2回目フィールドワークで抽出された現状の問題点

・飛騨の里のような自然環境での問題点(舗装がされている所とされていない所があり

連続的な移動がしにくい点,舗装されているところとされていないところでの継ぎ目の

段差が危険な点,貸出用の電動カーがあるのにも置き場が展示されている建物の近くに

なく,取り扱い上の利便性が総体的に低下している点,雨天時に移動抵抗が大きい点).

・お休みまちの縁側のような休憩所が,無人で休憩施設として十分機能していない状況,

休憩出来る場所が総体的に少ない状況.市街では,朝市での自転車の危険な運転や側溝

の存在,歩車道の分離が出来ていない状況,点字ブロック色が灰色である事の是非等が

問題点としてあげられ,総じて,市街の歩行環境が今は悪い状況であることが判明した.

(3)第 3回目フィールドワークで抽出された現状の問題点

・市街地の歩行空間では,「落雪が危険,歩道の日陰が冬は凍って危険」,「舗装のひび

割れと段差」,「側溝が空いていて危険」,「ゴミ箱がお店に設置しているもののみ」,「車

の量が多い.車と歩行者の距離が近い.車と歩行者の仕切りが無い」という指摘が顕著.

・市街地の観光施設では「トイレが少ない,コンビニがトイレを貸してくれない」,「お

店に入る時に段差が目立つ,(山下清展では)階段のみで店員が手伝うこともある」が目

立つ結果になっている.トイレの不衛生を指摘する声もありトイレ改善が必要である.

・市街地の店舗や施設での人的サービスについては,「外国人の対応が不慣れ,言葉の

問題がある」が顕著で,「コンビニや店舗の人が無愛想,サービス精神にかける」及び

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Page 25: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

「やっているかやっていないのか分からない店舗が多い」が続く形で指摘が多かった.

・高山市街地での公共交通のサービスでは,「路線バス(のらマイカーを含む)の本数が

少ない」,「電車の本数が少ない」という交通機関の本数に関する指摘が顕著であった.

・高山市での観光情報関連のサービスでは,「パンフレットで知りたい情報を入手しに

くい.主要な場所の情報だけであるので,細かい情報まで記載したバージョンの地図も

必要」,「フリーWi-Fiがつながりにくい,使われていない」等が目立つ結果になった.

・高山市の観光環境での総体的なバリアとしては,インバウンドニーズが高まったこと

で外国人のマナーに関する意見が顕著であった.それが日本人観光客や住民にとっての

障壁になってしまっている.外国人観光客増加が見込まれる中での改善必要性が高い.

高山市では,http://www.ubusuna.jp/udhot/universal_design/item/map5.html にて

記載されているように,観光モニターから得られた改善意見も参考にしながら,従前,

(1)車道と歩道の段差の解消

(2)80ヶ所以上の車いすトイレ(多目的トイレ)の設置

(3)道路の暗渠(あんきょ)蓋の整備

(4)道路の端端の休憩用ベンチの設置

(5)観光客への車いすの貸し出し

(6)「飛騨の里」での車いす見学コース設置

(7)巡回福祉バス「のらマイカー」の運行

(8)旅行者向けの「車いすおでかけマップ」発行

(9)事業者向けのサービスマニュアル「おもてなし 365日」発行

(10)手話案内アニメも入れた観光情報端末の設置などの施策を継続的に進めた。

という 10の施策に取り組んで来た.しかしながら,(1)については歩道と車道の分離と

いう課題が残されていることが一連の調査から判った.(2)については,トイレ自体の

数の増加と清潔性の向上という課題が残されていることが判明した.(3)については今

も暗渠蓋が設置されていないことへの問題意識が今回確認され,継続的な課題である点

が判った.(4)については,いまだ休憩所が少ない点,ベンチが少ない点が今回の一連

の調査からも判り,継続的に取り組むことが必要である.(5)については確かに進んで

いることを飛騨の里をはじめ確認出来たが,置き場所の問題や雨天時の簡易屋根設置の

課題が指摘されており,さらなるサービスの質的向上の必要性が本研究から判明した.

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(6)についても試みとしてはニーズにあっているが,自然環境の中では自然や景観の

保持と福祉的機能の両立が難しい部分も多く,未舗装部分と舗装部分の間で,連続的に

移動空間が改善されていない場所も見られた.また雨天時の対応が上記の(5)のように

充実しておらず,改善が必要である.(7)についても,路線バスへの不満が今回の一連

の研究で顕著であった.モータリゼーションの進展で,バス事業者である濃飛バスには

本数を増やすように安易な低減は出来ないが,そのためにも高山市の地域公共交通活性

化協議会を活用し,バス本数の最適な配分(ニーズに合う配分)とそのネットワーク化が

今後の課題となる.(8)から(10)については,今回我々も本研究を行ったので偶々知るに

至った取り組みである.市民からの指摘にもあったが,こうした取り組みの周知徹底が

極めて限定的である.こうした良い取り組みが知られるような広報体制が課題である.

さらに今後は,インバウンド需要も意識したWi-Fiサービスの安定的な供給,店員や

施設スタッフへの外国人接遇の教育,鉄道サービスの安定的な供給(バスと同様の最適

3な資源配分)が課題になる.上記で述へてきた各種課題への取り組みが高山市の観光

ユニバーサルデザインを進めるにあたり重要となる.今後は具体策を練る上での当大学

との連携を期待するものであり,都市生活学部のリソースが活きてくるものと信じる.

7.おわりに

本研究では,飛騨高山で 3回の研究室合宿を行いながらフィールドワークを実施した

成果である.これは,通常の研究室の合宿と異なり,今夏新設された一般財団法人飛騨

高山大学連携センターとの連携事業である.同センターの理事長は國島芳明高山市長が

務め,大学と高山地域の連携を前に押し出した新しい形の自治体シンクタンクである.

今回の合宿では,調査研究のフィールド提供等の支援を頂いて,学生諸君が自ら観光

都市のバリアを発見整理するフィールドワークをグループで実施し,毎回の最終日には

高山市の副市長・市議会議員・職員諸氏・社会福祉協議会職員等にも,成果発表をした.

観光環境の質的な向上は,都市生活の質的向上でも重要な分野の一つで,学生諸君は

活きた学習が出来て大変充実した時間を過ごせた.今回の取り組みは,高山の皆様との

協働で研究が出来た事と共に,そうした教育面での効果も大変高かったものと振り返る

事が出来る.今回は,市街地のバリアの発見と整理に重きが置かれ,最終的には今まで

高山市が進めてきた観光ユニバーサルデザインの 10 の施策の不足点をまとめることが

出来た.今後は,この課題への取り組みを具体的に前へ進めるステージに入る.本段階

で大学が協働出来ることも沢山あり,協働の具現化を期待し本稿を閉じることにする.

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Page 27: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

※次のページ以降は,毎回のフィールドワークで西山研究室が報告した資料になるので

参照頂きたい(第1回目 5グループ,第 2回目 3グループ,第 3回目 4グループ分資料).

以 上

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Page 28: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

高山市合宿成果報告(東京都市大学) 資料

発表者:東京都市大学都市生活学部 西山研究室

原田知佳子 堀井勇斗 八木智大 稲葉巧

高山市の観光地としての問題・解決すべき課題の整理

≪1班≫

調査の目標

あらゆるすべての人が利用しやすい配慮が行き届いているかを調べ、不便に感じることなく快適に観光を楽しめるような観光地づくりの提案

調査の方法

・自分自身の体を使い、体験しての調査・各メンバーで子供や老人、外国人、障がい者の立場を決めて調査をする。

調査の結果(問題や解決すべき課題)

飛騨の里

問題点•悪い足場、段差、坂が多く、

ベビーカー、車いす、老人が特に大変

•日本語表記のパンフレットしかない

調査の結果(問題や解決すべき課題)

悪い足場や段差、坂が多く、ベビーカーや車いす、老人が大変さらに、木製の手摺から飛び出ている木のささくれが危ないまた、車いすの方が参加できない伝統体験が見られた

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決方法・車いすがすれ違う事ができる幅の舗装を行う

・劣化のしづらい材木の使用

・スマホ・タブレットやVRで閲覧できない資料や

風景、伝統芸能の疑似体験映像を利用

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Page 29: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

調査の結果(問題や解決すべき課題)

道沿いに急な崖があるのにも関わらず、柵が設置されておらず危険

景観を壊さないような子供でも安全な隙間のない高さを配慮した柵を用意

調査の結果(問題や解決すべき課題)

日本語表記のパンフレットしかない

英語や中国語に限らず、より多くの言語表記されたパンフレットを用意する

調査の結果(問題や解決すべき課題)

問題点•歩行者と自動車の区別が無い

•高山陣屋

•休憩所、ベンチが少ない

•分煙

高山のまち

調査の結果(問題や解決すべき課題)

歩動と自動車道の区別が無い場所

問題点

段差などの区別が

無いことで、歩行者が自動

車道に入ってしまい、

事故の原因に繋がる。

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決方法

・歩道と車道の境目にポールなどの

分かりやすいものを置く(なるべく景観を壊さない為)

・土日や歩行者の多い時間帯は歩行者天国にする

調査の結果(問題や解決すべき課題)

高山陣屋問題点

•段差にスロープがあるところと

ないところがある

•「居間」などの鑑賞エリアの物に

触れてしまうこと

•目の不自由な方の配慮がない

•資料館に外国人のための説明

表記がない

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Page 30: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決方法・スロープがつけられない段差

→人を配置し車いすの介助

・鑑賞物の接触→注意事項の記載

・目の不自由な方と資料館に入れない障がい者の方

→別室を作って、DVDや音声を流し、疑似体験

・外国人の方への表記→表記を増やす

調査の結果(問題や解決すべき課題)

休憩所やベンチ、ふらっと立ち寄れる店が無い

観光客が多いメインストリートなどは人通りに溢れ、ストレスを感じる人も多いと思われる。また高齢者、障がい者の方々はふらっと休めるベンチ、休憩所、入りやすい喫茶店などが多くあればあるほど、より楽しめ、滞在時間も長くなるだろうと思われる。

街並みや景観に合った、入りやすいチェーン店の設置

調査の結果(問題や解決すべき課題)

街並みや景観に合った、入りやすいチェーン店•マツモトキヨシ ・マクドナルド

調査の結果(問題や解決すべき課題)

分煙駅前は分煙がされているが、観光客が多いさんまちは灰皿などはあるが、分煙された喫煙所があまり見あたらなかった

•徹底した分煙スペースの確保

今回の合宿を通じて

1.外国人や老若男女、障がい者などの立場を考えながらの調査、提案まで貴重な体験ができた。こうした経験を重ね、都市生活学部としての貢献を考え、高山市の都市生活の質的向上に寄与したい。

2.大学との連携・VRなどのコンテンツの企画と制作・VRなどの情報機器の使用状況をビッグデータとして集め、サービスのデザインに反映させる

謝辞

今回の合宿に際しまして、高山市・飛騨高山大学連携センターほか多くの皆様に、大変お世話になりました。

グループ一同、心より御礼申し上げます。

これからも観光地の高山がより良い都市になるように都市生活学部の一員として、研究を重ねて参ります。ありがとうございました。

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Page 31: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

高山市合宿成果報告(東京都市大学) 資料

発表者:東京都市大学都市生活学部 西山研究室

寺田雄一 中島佳太

浜川洸希 一ノ宮克友

桑田智子

高山市の観光地としての問題・解決すべき課題の整理

≪2班≫

調査の目標

高山市の施設面でのバリアを調査するとともに、外国人の方など国籍や老若男女問わずより多くの観光客が気軽に散策できるような新たなサービスを考案する。

調査の方法

・1日目・・・飛騨の里電動車いすと約4㎏の荷物を載せたベビーカーを利用

して飛騨の里を散策し、それらの利用者の視点に立って問題点を抽出した。

・2日目・・・高山市街地

市街地やその近辺の道路を散策し、歩道や飲食店のバリアについて調査した。また観光客や地元の方に聞き取りを行い、問題点を考えた。

飛騨の里・・・歩いて感じた問題点

電動車いすや車いすでは行き止まりになっているところが多いにも関わらず、Uターンするスペースもない。

順路ではすれ違いや追い越しをしようとすると舗装されている道からはみでてしまう。

飛騨の里・・・歩いて感じた問題点

砂利道や段差の部分も多く、ずっとベビーカーを押したまま見学することができない。

内部を見学できる建物の前の段差は放置されたままで、車いすの利用者は内部まで立ち入ることができない。

飛騨の里の調査結果(解決すべき課題や提案)

・看板を増やしたりすることで順路を示し、人の導線をはっきりさせる。順路には舗装を行い、車いすやベビーカーを利用する人含め誰もが同じルートで観光できるようにする。

・建物の中に入りやすいようスロープを設置する・ベビーカーや車いすの貸し出しサービスを行うとともに、乗り捨てが可能にする。

・デジタル端末を利用した案内サービスを提供する。ポケモンgoをベースとしたアプリなど。

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調査の結果(問題や解決すべき課題)

・街中に街区図がなく、現在地がわかりにくい。

・舗装が劣化し、段差となってしまっているところがある。車いすやベビーカーの利用者がつまづきかける場面を数回見た。

・ベンチが設置されているが、日陰に置くなど配慮があってもいいのでは?

市街地調査の結果(解決すべき課題や提案)

駅周辺に歩いてめぐることができる観光地区の範囲が広いにも関わらず、街区地図が少なく有意義に散策ができない観光客がいるのではないかと感じた。

地図と観光情報が集約されたアプリを導入したり、バスをより活用するなど高山市内に点在する観光スポットをつないでいく取り組みがあればよりよくなるのではないだろうか。

アプリに導入を提案したいサービス

・市内の地図だけでなく、飛騨の里の中の地図など、観光施設内での案内もできるような仕組み。

・ARを利用したゲームを楽しんだり、それを通して食事券やクーポンが進呈されるなどアプリと実際の街が連携できる仕組み。

今回の合宿を通しての考察

1日目に訪れた飛騨の里にはバリアが多くあり、現状から改善できる点もあれば、貴重な重要文化財であるがゆえに変えられないものも存在する。まずは順路を示し、その順路を整備することでみんなが同じ道を通り、同じように昔の文化に触れられるようにしていくことが必要である。

高山の市街地は歩道が広げられていたり電柱の地中化など観光地として非常に整備されているように見えた。しかしさまざまな施設があるがゆえにそれをわかりやすく観光客に伝えるシステムが整備されてもいいのではないだろうか。

謝辞

今回の合宿に際しまして、高山市・飛騨高山大学連携センターほか多くの皆様に大変お世話になりました。一日目にはおいしい飛騨牛もいただき、いい思い出になりました。グループ一同、心より御礼申し上げます。

これからも観光地の高山がより良い都市になるように都市生活学部の一員として、研究を重ねて参ります。ありがとうございました。

30

Page 33: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

高山市合宿成果報告(東京都市大学) 資料

発表者:東京都市大学都市生活学部 西山研究室

渋谷 康平

邵 治為

斎藤 諒

後藤 亜紀

高山市の観光地としての問題・解決すべき課題の整理

≪3班≫

高山市の現状

〜観光客から見て〜

・大人は楽しめるが、若者や子供も楽しめるものが少ない

・各種案内が日本語・英語のみのものが多く、中国語などが無い場合がある

・店の閉店時間が早い

・バスの本数が少ない

高山市の現状

〜市民から見て〜

・若者や子供の遊べる場所が少ない

・駅前にショッピングセンターなどが無いため、不便である

・道が狭い

高山市の現状

〜観光客から見て〜

・大人は楽しめるが、若者や子供も楽しめるものが少ない

・各種案内が日本語・英語のみのものが多く、中国語などが無い場合がある

・店の閉店時間が早い

・バスの本数が少ない

高山市の現状

〜市民から見て〜

・若者や子供の遊べる場所が少ない

・駅前にショッピングセンターなどが無いため、不便である

調査の目標

若者や子供が楽しめる場所が少ない

家族連れの観光客がきづらい

市民の地元離れ

31

Page 34: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

調査の目標

若者や子供が楽しめる場所が少ない

家族連れの観光客が来づらい

市民の地元離れ

調査の方法

・市内のフィールドワーク

・市内での聞き込み調査(10人ほど)

・インターネットサイトでの情報収集

提案

ショッピングセンターを作る!

観光客も電車の時間待ちやお土産なども調達できる

キッズスペースなどで小さい子供も退屈しない

駅周辺での調査の結果、地元民も観光客も普通の買い物をするを求めていた

提案

ショッピングセンターを作る!

観光客も電車の時間待ちやお土産なども調達できる

キッズスペースなどで小さい子供も退屈しない

駅周辺での調査の結果、地元民も観光客も普通の買い物をするを求めていた濃飛バスセンターにショッピングセンター

の役割を追加

提案〜飛騨の里〜

専用アプリを用意して、利用してもらう

・アプリをインストールするとフリーWi-Fiが利用できるサービス

・アプリ内でクーポンなどを発行し、入場を促進

・絶景ポイントなどを用意し、アプリ内のカメラで撮影した写真をSNSにアップすると特典がもらえるキャンペーン

提案〜飛騨の里〜

SNSなどを利用した広告

着物などの試着サービスを充実させて若い層を呼んでSNSへの写真のアップを望む

休憩所の設置簡易ベンチなど

音声ガイド

QRコードで情報が見られるようにする

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Page 35: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

提案

高山市のアプリの利用を促進する

アプリをインストールすると市内のフリーWi-Fiが利用できる権限が与えられる

アプリ内で各種クーポンが入手できる

アプリにあるカメラ機能で撮った写真をSNSにあげるとクーポンなどがもらえる

高山市のプリペイドカードなどを作って利用したりApple Payと連動したキャンペーンで支払いに応じてポイントなどがもらえる

×

今回の合宿での成果のまとめ

1.ショッピングセンターを作る

2.専用アプリの普及を目指す

3.SNSでの広告の促進

出典

https://www.facebook.com/media/set/?set=a.

731530530228044.1073741921.212647742116328&type=1

https://support.apple.com/ja-jp/apple-pay

https://about.twitter.com/ja/company

https://ja.wikipedia.org/wiki/Instagram

https://ja-jp.facebook.com/

謝辞

今回の合宿に際しまして、高山市・飛騨高山大学連携センターほか多くの皆様に、大変お世話になりました。

グループ一同、心より御礼申し上げます。

これからも観光地の高山がより良い都市になるように都市生活学部の一員として、研究を重ねて参ります。ありがとうございました。

33

Page 36: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

高山市合宿成果報告(東京都市大学) 資料

発表者:東京都市大学都市生活学部 西山研究室

古瀬正次・水野和哉・角田吏規・東本星南

高山市の観光地としての問題・解決すべき課題の整理

≪4班≫

調査の目標

・高山市をユニバーサルデザイン的視点を用いて問題点を取り上げ解決案を提案する。

・観光客や体の不自由な方に対して、バリアを取り除ける情報技術を用いたユニバーサルデザインを実現することを目標として調査した。

調査の方法

• 貸出用の車いす・ベビーカーを押しながら、飛騨の里の園内を実際に散策する

• 様々な人の視点に立って町中を歩き、良い点・悪い点を探し、改善するためのアイデアを提案する

• 飛騨高山周遊バス「まちなみバス」に乗車し、路線図と照らし合わせながら1周完全乗車する

調査の結果(問題や解決すべき課題)

飛騨の里

調査の結果(問題や解決すべき課題)

障害物があり、気づかないと危険

解決策

①砂利道の舗装を最優先に行う

②障害物がある箇所に目印や案内を置いて危険を先に知らせる

③車椅子にセンサーを搭載して障害物に近づくと音で危険を察知してくれる

問題点

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

問題点

重要文化材の家を見学することがメインなのに車椅子の方は入ることが困難

①昇降板やスロープをかけるなどして配慮する

②中に入れない人のためにVRを用いて内部を細かく再現する

34

Page 37: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

①日本語看板の隣に英語看板を取り付ける例:”NO SMOKING”

②看板の整備状況を定期的に点検する

問題点

注意喚起には英語表記がない

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

問題点

家の中や道具などの説明看板が日本語表記のみである

①多言語に対応

②ガイドブックに道具などの説明を載せる

調査の結果(問題や解決すべき課題)

高山市市街地

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

①音声案内の設置

②ペデストリアンデッキを設置

問題点

交通量が多い道路にも関わらず、人通りが多い

ペデストリアンデッキ

調査の結果(問題や解決すべき課題)

案内板がわかりづらい、かつデザインが統一されていない。案内板が景観を崩している

解決策①デザインの統一をする

② QRコードを用いてマップアプリから案内を表示

③セグウェイを用いて指定した目的地に行けるようにする

問題点

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

①側溝にフタを取り付ける

②側溝の際を一段高くして、車輪が転落するのを防ぐ

問題点

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Page 38: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

①別の色を用いて、左回り・右回りをアピールする

② 「まちなみバス」を表、「さるぼぼバス」を裏にするなど、表記を変える→地図が大きくなり、見やすくなる

問題点

路線図を最初に見て、まちなみバスの左回り・右回りがあることがわからない

調査の結果(問題や解決すべき課題)

市民や観光客の人の視点

解決策

①高山駅周辺にショッピングモール(屋上遊園地、庭園)の設置

②駐車場や空きスペースを利用して休憩所を作る。

問題点

子供が遊べるような公園が少ない

高山駅周辺にデパートやショッピングモールがない

今回の合宿での成果のまとめ

1.外国人向け音声案内サービスの導入の提案

2.情報技術的視点を用いることにより、新しい切り口でサービスを展開する

3.地図や路線図のデザインを見直し、よりきめ細かくわかりやすい表記にする

謝辞

今回の合宿に際しまして、高山市・飛騨高山大学連携センターほか多くの皆様に、大変お世話になりました。

グループ一同、心より御礼申し上げます。

これからも観光地の高山がより良い都市になるように都市生活学部の一員として、研究を重ねて参ります。ありがとうございました。

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Page 39: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

高山市合宿成果報告(東京都市大学) 資料

発表者:東京都市大学都市生活学部 西山研究室

後藤 大和 中道 秀明 松本 絵里香 村田 雄大

高山市の観光地としての問題・解決すべき課題の整理

≪5班≫

調査の目標

「外国人観光客」により満足して頂けるような

まちづくりの提案

高山市の現状

・国内観光地に「若い世代」が急増することは難しい・全国的に若い世代があまり国内旅行をしない

・国内の人からはアクセスがまだ悪い方

・高山市に外国人観光客の急増・2010年(H22)18万7000人

・2016年(H28)46万1200人

・海外観光客に「有名」な場所・ミシュラン観光地評価で3つ星・世界遺産へのアクセスポイント・観光パンフは9ヶ国語対応・ホームページは11ヶ国語対応

提案

日本初の “International City” としてのまちづくり

この3分野を総合的に取り入れる

新たなまちづくり

提案

International City - 高山市

・共通言語を日本語だけじゃなく、

バイリンガル都市にする

・街の看板や標識などを、

ローマ字表記にする

※陣屋 → Jinya

※飛騨ラーメン → Hida Ramen

・漢字を使用している

伝統の看板はそのままに

提案

International City - 高山市

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調査の方法

・「飛騨の里」を訪れてコースを回る

・実際に観光客の目線に立ち高山市街を歩き見学

・外国人観光客に直接話を聞く

・高山市が関係する資料を調べる

調査の結果 (問題点・改善点)

・飛騨の里・出店を取り入れる

− 和菓子店、当時の食べ物など

・「フォト・スポット」を設ける

− 絶景スポットをマップに表示する

・IT 、IoTを取り入れる− プロジェクション・マッピングを用いたイベント開催− QRコードを使った遊び、情報提供− 多言語対応の建物の説明が聞けるアプリ− 人感センサーを用いた仕掛け

調査の結果 (問題点・改善点) 調査の結果 (問題点・改善点)

・東山遊歩道・遊歩道らしい看板をもっと増やす

・情報を記載した看板を増やす(多言語対応)

・遊歩道として全面的に整備されているとは言えない

調査の結果 (問題点・改善点) 調査の結果 (改善点)

・高山市のアプリ(ひだスマ)を改善する・1つのアプリに全てをまとめる・対応言語を増やす・市の情報の更新(ニュースフィード)・口コミ欄を掲載する・TABIDOのカメラAR機能を加える(1つにまとめる)

・看板、標識などをローマ字化すること・基本的に誰でも読める(ユニバーサル言語)・表示言語を日本語メインとしつつ、

商品名やタイトルなどをローマ字表記に変える・説明文などもそのまま日本語で対応

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Page 41: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

今回の合宿での成果のまとめ

・飛騨の里

・IT を取り入れる

・東山遊歩道

・「遊歩道」らしい標識、遊歩道としての整備

・高山市街地・いろんな機能を対応したアプリ・ローマ字表記をベースにする・バイリンガルな街

高山をバイリンガルな街へ、高山を最高な街へ!

謝辞

今回の合宿に際しまして、高山市・飛騨高山大学連携センターほか多くの皆様に、大変お世話になりました。

グループ一同、心より御礼申し上げます。

これからも観光地の高山がより良い都市になるように都市生活学部の一員として、研究を重ねて参ります。ありがとうございました。

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Page 42: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

高山市合宿成果報告(東京都市大学) 資料

発表者:東京都市大学都市生活学部 西山研究室

古瀬正次・清水響平・吉原麻奈美

高山市の観光地としての問題・解決すべき課題の整理

調査の目標

・高山市をユニバーサルデザイン的視点を用いて問題点を取り上げ解決案を提案する。

・観光客や体の不自由な方に対して、バリアを取り除けるユニバーサルデザインを実現することを目標として調査した。

調査の方法

• 貸出用の電動カーに乗りながら、飛騨の里の園内を実際に散策する

• 様々な人の視点に立って町中を歩き、良い点・悪い点を探し、改善するためのアイデアを提案する

• 飛騨高山周遊バス「まちなみバス」に乗車し、観光スポットへのアクセス性を検討する

調査の結果(問題や解決すべき課題)

飛騨の里

調査の結果(問題や解決すべき課題)

舗装されているところとされていないところがあり段差等が危険

解決策

①砂利道の舗装を行う

②道を拡幅する

問題点

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

問題点

重要文化材の家を見学する際、カートの置き場がない

① 家の周りも舗装を行う

② 置き場にできる箇所の目印になるものを整備する

40

Page 43: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

①看板のデザインを統一する

② スマホでQRコードを撮ると解説文が出てくるシステムの構築

問題点

英語表記と中国語表記の併記があるが、

中国語併記がないものもある

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

ピクトグラムを採用し、言語を使わず様々な国の人にもわかりやすいようにする

問題点注意喚起には英語表記がない

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

問題点

部屋の中が暗い建物がある。

特に、子供やお年寄りなどは、段差につまづきやすいと思う

明るさの統一照明の数や位置を調整する

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

ゴミ箱を設置する。増やす。

問題点 燃えるゴミのゴミ箱はあるが燃えないゴミのものはない(右側は缶・瓶・ペットボトル)

場所によっては燃えるゴミしかないところも

調査の結果(問題や解決すべき課題)

高山市市街地

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

①歩道と車道にピクトグラムをペイント

② 素材を変える、色を目立たせる

問題点

41

Page 44: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

側溝に開閉式のフタを取り付ける道路側に開き、立てておけるようにする。色は景観に配慮

問題点

景観よりも

歩行者の安全性の方が最優先なのでは?

調査の結果(問題や解決すべき課題)

解決策

柵、手すりをつける滑りにくい靴の貸し出し案内看板に、危険であることを表示させる

問題点

遊歩道(登山道)には、柵がない箇所がある。特に雨に日は、落ち葉などで道が滑り大変危険である。

調査の結果(問題や解決すべき課題)

まちなみバス

調査の結果(問題や解決すべき課題)

路線が循環路線なのに、高山濃飛バスセンターが終点で必ず降りなければならない

解決策

①運転手さんの交代を、乗客が乗っている間に行えるようにする

②途中のバス停で交代の運転手さんを待機させておく

問題点

調査の結果(問題や解決すべき課題)

市役所のロータリーには入るが、素通りするだけで、出てきたところの道路上のバス停に停車する

解決策

①停留所スペースを現状のまま確保

② タクシーのりばをやめる

問題点

③中央の植栽を削る

調査の結果(問題や解決すべき課題)

似た事例 東京都千代田区「風ぐるま」 四谷駅バス停

四ツ谷駅のロータリーが狭くて入れない

付近に別のバス事業者のバス停があるも、起終点という理由で貸してもらえず、遠回りに

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今回の合宿での成果のまとめ

1.飛騨の里では、設備が場所によってバラバラなので統一させる必要がある

2.市街地では、景観を保ちつつ、安全性を最優先させた町並みにしていく

3.バス停位置や運行計画の検討を詳細に行う必要がある

謝辞

今回の合宿に際しまして、高山市・飛騨高山大学連携センターほかの皆様に、大変お世話になりました。

グループ一同、心より御礼申し上げます。

これからも観光地の高山がより良い都市になるように都市生活学部の一員として、研究を重ねて参ります。ありがとうございました。

43

Page 46: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

高山市のユニバーサルデザイン化

東京都市大学 ユニバーサルデザイン研究室

伊藤 晃希 加賀見 健太

加藤 幹久 上條 睦

目次

・研究目標

・研究方法・手法

・調査地域

・調査結果

・総括

・謝辞

調査目標

・ユニバーサルデザインの考え方に基づいて観光地として不便な点を明らかにする。

・ユニバーサルデザインの考え方を前提に、環境改善の方策を検討し、提案する。

2

調査方法・手法

・ユニバーサルデザインの考えを前提に、観光客や調査した地域で働いている人達などの視点から高山市街を見て、複数人で改善の案を検討する

3

調査地域

・飛騨の里

・高山陣屋

・下二之町大新町伝統的建造物群保存地域

4

飛騨の里

・階段の先端部分が木材だと滑りやすい

5

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Page 47: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

飛騨の里

・解決策先端部分だけでも石材を使用する

6

※摩擦のある石材

飛騨の里

・電動カートの置き場所がない

7

飛騨の里

8

・解決策駐車場をつくる

飛騨の里

・電動カートの雨天時の使用上の問題

9

飛騨の里

10

解決策・後付けできる屋根を付ける・傘を固定できる部品を付ける

飛騨の里

・電動カートの使える領域が限られている

11

45

Page 48: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

飛騨の里

12

・ドローンで疑似体験ができる

解決策・段差をなくす

飛騨の里

・子供が遊べる場所が少ない

13

飛騨の里

・解決策自然を活用した遊具の設置

14

飛騨の里

・消火栓の色の違い

15

・解決策色の統一

飛騨の里

・解決策入口だけでも、大々的に注意書きをする

16

・梁が低かったり、敷居が高かったり、電球が低く危ない場所もあった

飛騨の里

17

・トイレのドアが危ない

・解決策ドアの下部の固定

46

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飛騨の里

18

・歩くことが多い場所なのに、椅子などの休憩できる場所が少ない

・解決策椅子を設置する

高山陣屋

• ARを使って当時の様子を見るスポットの再生方法の説明が分かりにくい→改善案ARを見ることができる順序として1.アプリインストール2.アプリ起動3.アプリホーム画面「マークにかざす」をタッチ

4.パネル上部にスマホ固定

19

高山陣屋

• 順路と帰路が混ざっている

• 日本語は直っているが、

英語は直っていない

→改善案

右の扉の部分も帰路に変える

「ROUTE」の英語を

「RETURN」に変える

20

散策マップ

• 観光情報端末マークの場所に端末がない

• 機器の関係で撤去されており、端末が

あるのは駅にある案内所のみになっている

• しかし、端末を操作しても高山市観光サイトにつながるだけになっている

21

散策マップ

• 改善策

観光情報端末の理想としては、

左の写真のような多言語で周辺情報

などを案内できる端末の設置

市内Wi-Fiが広域で使用できるので、お店の情報などが掲載されたQRコードを所々に設置

22

下二之町大新町

・道路の側溝を塞ぐものが店舗ごとに異なる→素材や形の違いにより、滑る、転ぶに繋がってしまう

23

47

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下二之町大新町

・道路の側溝を塞ぐものが店舗ごとに異なる

改善案・側溝を塞ぐものの統一化・設置の際に安全性を考え、市の指定または協議の元決める

・滑りを防止する工夫を行う(テープやマット)

24

下二之町大新町

・宮川朝市の設営の所要面積が大きく、側溝がある為道路を狭め、車等の通行の妨げとなっているまた人混みの中、自転車も通り安全性にも欠ける

改善案・撤去時間中は側溝を塞ぎ、安全性を高める・時間帯で自転車の通行を制限する

25

下二之町大新町

・陣屋前の中橋が歩道と車道が分かれていないため、安全性に欠ける

改善案・歩道と車道を分ける(車線を敷く)・歩道と車線の基準となるピクトグラムの設置

26

下二之町大新町

・駐車場が満車の際、他の駐車場が分からず往生してしまう

改善案・駅付近に大きい駐車場の設置・神明駐車場等大きい駐車場に案内の充実・パーキングのサインを空車状況も含め分かりやすくする

27

下二之町大新町

・木の杭の下の部分が腐食していて機能しておらず、景観を損ねている改善案・新しいものへ変える、定期診断、腐食しないもので統一

・無料のお休み処まちの縁側が休憩所として機能していなかった(照明、暖房が点いていない)改善案・人感センサーの導入、休憩所として認知と入りやすさの向上(看板等)

28

下二之町大新町

・橋の手すりが低い為、転落に繋がる改善案・橋の高さを上げる、子どもが通れる幅をなくす

・海外向けの地図の言葉が日本語表記だった改善案・各国の言葉に修正

・点字ブロックの色が灰色のため、分かりにくい改善案・黄色に統一する

29

48

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総括

30

・高山市はユニバーサルデザインを意識していると感じた

・景観も意識していて、まちの保存に力を入れていることがわかる

・それでも発展途上の点も多少みられ、ディテールに目を向けていく必要があると感じた

謝辞

• 今回の調査にあたり、一緒に行動して頂いた足立様、懇切丁寧なご指導を頂いた高山市役所、飛騨高山大学連携センターの方々に感謝の意を表します。

ありがとうございました。

49

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高山市合宿成果報告(東京都市大学) 資料

発表者:東京都市大学都市生活学部 西山研究室

李 佳棋・後藤 大和・牧田 純

高山市の観光地としての問題・解決すべき課題の整理

調査の目標

・高山市をユニバーサルデザイン的視点を用いて問題点を取り上げ解決案を提案する。

・観光客や体の不自由な方に対して、バリアを取り除ける情報技術を用いたユニバーサルデザインを実現することを目標として調査した。

調査の方法

•様々な人の視点に立って町中を歩き、良い点・悪い点を探し、改善するためのアイデアを提案する 飛騨の里

調査の結果(問題や解決すべき課題)

問題点

子供の遊び場所が少ない

一部の道具の使い方、歴史の説明が少ない事と難しい事

解決策

ターザンロープを付ける

しかし、ターザンロープはコストがかかりすぎ合理的でないため、簡易的な坂をそりでくだる遊具を設置する

子供の遊び場所が少ない

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提案する場所

解決策

希望者に音声ガイドをしてくれるイヤフォン付きの端末等を配布する

海外の人は、展示物の歴史、背景、道具であれば用途や使い方など詳しく知りたいため、十分に説明文を設ける

一部の道具の使い方、歴史の説明が少ない事と難しい事

高山市市街地

街を歩いてみての感想

• 細かい部分まで配慮がされていて良い印象が持てた。

• 昔ながらの景観が味わえて、良い印象だった。

• 一方で景観を損なわないようにする上で、不便な箇所が発見できた。

調査の結果(問題や解決すべき課題)

問題点

1. 車の運転が荒く、接触しそうな観光客が多く見られた

2. 地面の案内図と画が見づらかった

3. ガイドブックの配布場所が駅周辺か建物内にしかなかった

4. 公衆便所が清潔的ではなかった

5. Wi-Fiの種類が豊富で逐一登録しないと利用できなかった

6. 休憩所や情報端末の存在の認知度が低い

7. 悪天候の際の寺院の地面のぬかるみ

上記に対する解決策

• 車の速度を強制的に減速させるためにハンプの取り付け

• 交通規制を行い、歩行者天国を導入する

車の運転が荒く、接触しそうな観光客が多く見られた

51

Page 54: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

上記に対する解決策

• 床に設置されている案内図のタイルの色の変更

(濃い目の茶色にし、文字は緑系統でしるし、読みやすくする)

• 点字ブロックに隣接していると目立たないため位置をずらす

地面の案内図と画が見づらかった

上記に対する解決策

ガイドブックの配布場所を店内ではなく、店先や、看板案内など目立つところに設置する

ガイドブックの配布場所が駅周辺か建物内にしかなかった

上記に対する解決策

• 床をタイルではなく、コンビニのようなフローリングに張り替える

• 公衆便所は季節の影響を受けやすいため温度調節を行う

• 案内に公衆便所ではなく、厠、お手洗いなどに変更

• 消臭剤の交換時期を多く設ける

公衆便所が清潔的ではなかった

上記に対する解決策

• 市街地のWi-Fiを何種類かにまとめ、接続する手間を減らす

Wi-Fiの種類が豊富で逐一登録しないと利用できなかった

休憩所や情報端末の存在の認知度が低い

上記に対する解決策

• 良いスペースがあるため、休憩所の場所を分かりやすくする

• 休憩所内にある情報端末を常時起動させておく

上記に対する解決策

• 車椅子専用の駐車場があるのでそこまでの石畳増設

• 全体的に砂利を撒けば、水たまりが消え、景観が良くなる

天候の際の寺院の地面のぬかるみ

52

Page 55: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

まとめ

• 飛騨の里には子供が遊べる遊具、場所を設ける

• 歴史、背景、道具の使い方を分かりやすく説明する

• 標識、掲示板などのソフト面の改善

• 悪天候の際の足元の悪さの改善

謝辞

今回の合宿に際しまして、高山市・飛騨高山大学連携センターほかの皆様に、大変お世話になりました。

グループ一同、心より御礼申し上げます。

これからも観光地の高山がより良い都市になるように都市生活学部の一員として、研究を重ねて参ります。ありがとうございました。

53

Page 56: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

高山市合宿成果報告(東京都市大学) 資料

発表者:東京都市大学都市生活学部 西山研究室

都市生活学専攻 M2 古瀬正次

都市生活学部 3年 角田吏規

観光地高山のバリアに関する調査結果

•20組計38人に実際に町中でお話を伺い調査を行った

•地元の人から地方の観光客まで幅広くアンケートを取った。

•20代〜70代まで年齢が偏らないように調査を行なった。

調査方法

市内を歩く空間で感じるバリアと問題点

•舗装のひび割れと段差 (70代 女性 60代 男性 女性)

•ベンチが除雪されてないことが多い (60代 男性)

•道が狭い (10代 女性)

•駅西地区が高山らしくない、日本中のどこにでもある町と変わらない(60代 男性)

•商店街で観光客があまり通らない場所だと閉まっている店が多く活気がないように見える(60代 男性)

•雪が降っていて点字ブロックが埋まっているところが多い(40代 女性)

•駐車場から出る時階段がある(60代 女性)

•朝日町、ウツボ人形店の前の道路に穴が空いていて危険(70代 女性)

観光施設の空間で感じるバリア

•民間の施設で料金に見合わない(高い)ところがある(60代 男性)

•トイレが汚れている(60代 男性)

•トイレが少ない(30代 女性)

•コンビニがトイレを貸してくれない(30代 女性)

•合掌村などの老朽化が目立つ(60代 男性)

•お店に入る時に段差が目立つ(50代 男性)

•建物のはりが低い(40代 男性)

•町全体に民家が少なく、生活感がない(70代 男性)

店舗や観光施設等の人が提供するサービスで感じるバリア

•統一感がない。建物が汚い。(さんのまちが特に高山らしくない)(70

代 女性)

•可もなく不可もなく普通(50代 男性)

•飲食店の価格が高すぎる(60代 男性)

•飲食店側がターゲットを観光客目当てとなり過ぎて、市民が利用しづらくなっている。(60代 男性)

•外国人観光客との言葉の壁 (50代 男性 20代 男性)

市内の交通について感じるバリア

•のらマイカーの本数が少ない(江奈古方面) 電車の本数が少ない(10代 70代 女性)

•車と人との分離信号(車を運転する際には)時間が短すぎる。(60代男性)

•青信号の時間が短い(60代 男性)

•一方通行が途中で切れてしまう、曲がれない道路などがある2(20

代 男性)

•道路が狭いと苦情があるが、ただ広くするだけだと他の都市と区別がつかなくなる(高山らしさ)のでただ狭くするのは反対(70代 男性)

•降雪量の多い日の朝、除雪に時間がかかりすぎる(20代 女性)

•外国人が指定席のことを知らずに指定席に座ってしまう。(20代 男性)

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Page 57: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

•統一感がない。建物が汚い。(さんのまちが特に高山らしくない)(70

代 女性)

•可もなく不可もなく普通(50代 男性)

•飲食店の価格が高すぎる(60代 男性)

•飲食店側がターゲットを観光客目当てとなり過ぎて、市民が利用しづらくなっている。(60代 男性)

•外国人観光客との言葉の壁 (50代 男性 20代 男性)

市内の情報提供(サインやスマホ利用)で感じるバリア 高山市の観光環境の改善点

•若い人向けじゃない。遊ぶところが少なく遊ぶときは富山や名古屋まで出る。(映画館やアミューズメントパーク、ファミレス)(10代 女性)

•高山市のシンボルが欲しい。(50代 男性)

•朝市-市民の為のものが観光客相手の対応や価格になっている(40

代 女性)

•木の伐採が素人まがいで風景が変わってしまった。景観保護をする必要がある(50代 男性)

•道路にお湯が出る除雪機能が道路に欲しい(20代 女性)

•シェアサイクルを取り入れてほしい(30代 男性)

•古い町をもっとPRしたほうがいい(20代 男性)

まとめ(特に多かった意見)

• 駅周辺や観光客があまり通らない道は,どこにでもあるような街並み

• 観光に特化しすぎて市民生活に影響(物価)

• 道が狭い

• 一方通行が多くわかりづらい

• バスの本数が少ない(特にのらマイカー)

• 雪対策,もっと楽に

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Page 58: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

高山市合宿成果報告(東京都市大学) 資料

発表者:東京都市大学都市生活学部 西山研究室

4年後藤大和

3年一ノ宮克友

高山市が今抱える問題点バリアについて

目次

・市内の歩く空間で感じるバリア、問題点

・観光施設の空間で感じるバリア、問題点

・店舗や観光施設等の人が提供するサービスで感じるバリア、問題点

・市内の交通について感じるバリア、問題点

・市内の情報提供で感じるバリア、問題点

・高山の観光環境の改善点

・外国人からの意見

調査方法

• 高山市街地にて観光客、住民、店員に聞き

取り調査

• 調査人数:21人(10代〜70代の男性、女性)

調査対象者について

男性64%

女性36%

年代 性別

出身地

市内の歩く空間で感じるバリア、問題点

• ゴミ箱がお店が設置しているもののみ

• 側溝が空いていて危ない

• 道が狭い 観光客がたむろしていると危ない

• 落雪が危険

• ない

• むしろいい

それでも

↑のようないい意見も同じ数くらいあった

背景

高山市の景観上の規制でゴミ箱は離れた場所のゴミステーション

観光客は基本持ち帰り↓

お店が試飲など商売のためゴミ箱を設置するが、関係ないペットボトルや缶のゴミが入りちょっと迷惑

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Page 59: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

観光施設の空間で感じるバリア、問題点

• 売っている品物が他の観光地みたくどこでも買えるものが増えてきている

• トイレが少ない

背景

• 飲食店に入る人はいいが、歩くだけの観光客にとってはトイレが少ない

• 高山市の集客増加に伴い、販売しているものの特徴が減ってきている

店舗や観光施設等の人が提供するサービスで感じるバリア、問題点

• そっけない

• サービス精神にかけている

• 店員が常駐しているお店が少ない

• 営業しているかどうかわかりづらい

• 笑顔が素敵

市内の交通について感じるバリア、問題点

• 標識が視認しづらい

• バスの運行本数が少ない

• 町並みバスのバス停看板が少なく、わかりにくい

• 自転車が危ない

• 駐車場利用料が高く、場所が少ない

• 路面のサインが見にくい

背景

・地域住民の方からは人数が少ないから、

しょうがないなどの声もあった

・バスが少ないから歩いてくる

市内の情報提供(サインやスマホ利用など)で感じるバリア、問題点

• フリーWi-Fiがあるけれど、使われていない

• 展示物、標識の英語での説明が不十分

• 観光案内所を訪れる外国人の数が少ない

• 障がい者向けの音声案内マップがあまり知られていない

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Page 60: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

高山市の観光環境の改善点

• 車がない人は遠くの観光地にいけない

• 高山ならではのお店を増やしてほしい

• 街全体で回れる観光施設が必要

• お店の雰囲気を明るくして欲しい

• 大型バスの駐車場の設置場所を変えて欲しい

背景

• 大人にとって楽しい街だが、子供にとってはつまらない

• インフラを全体に改善して欲しい

• 翻訳アプリの普及

• ゴミ箱の設置

外国人の意見

• 金沢京都に並ぶ昔の建築物群

• 昔の雰囲気が楽しめていい

• お店の人も一所懸命対応してくれていい

• 今回わかったバリアを話すと確かにと道の狭さや側溝について触れる人が多かった

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発表者:東京都市大学都市生活学部 西山研究室

観光地高山のバリアに関する調査(ヒアリング調査)

1541067斎藤 諒1541153八木智大

調査方法

実際に街を歩きヒアリングを行った

観光客の方や商店街の方、交番の方にアンケートを取った

10代~60台代近くの男女、また外国人にもヒアリングを行った。

市内の歩く空間で感じるバリア、問題点

車が多い(57歳 女 岐阜) 歩行者信号が駅前に少ない(32歳 男 東京都) 雪(57歳 男 岐阜) 段差(26歳 男 大阪) 赤が長く、青が短い信号(16歳 男 岐阜) 車と歩行者の距離が近い(27歳 女 岐阜) 商店街に学生や観光客の人が多くて歩きにくい(24歳 女 石川県)

側溝が危なかった(20代 女 富山) 車と歩道の間に仕切りがない(21歳 男 神奈川県)

観光施設の空間で感じるバリア、問題点

段差が気になる(57歳 男 岐阜) 狭いところが多い(26歳 男 大阪) ゴミ箱が少ない(18歳 女 岐阜) トイレが少ない クレジットカードが使えない店がある(21歳 男 神奈川県)

店舗や観光施設等の人が提供するサービスで感じるバリア、問題点

コンビニの人が不愛想(21歳 女 兵庫県)(22歳 女 兵庫) 外国人への対応(32歳 男 東京都)(26歳 男 大阪) 車が多い(57歳 女 久々野) 外国人に対する言葉(57歳 男 岐阜) カードが使いにくい(16歳 男 岐阜) ファミリーレストラン、ファストフードが少ない(18歳 女 岐阜) お土産屋さんの同一商品の値段の違い(27歳 女 岐阜) やっているかやっていないか分からない店舗が多い(24歳 女石川)

外国人が困っていた(20代 女 富山)

市内の交通について感じるバリア、問題点

車が多い(21才 女 兵庫県) 他のところへ行くバスや電車が少ない(16歳 男 岐阜)

(18歳 女 岐阜) バスの本数(57歳 男 岐阜)(26歳 男 大阪) 電車の本数(16歳 男 岐阜) バスの表記がわかりづらい(27歳 女 岐阜) バスの休日の本数が極端に少ない(21歳 男 神奈川県)

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Page 62: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

市内の情報提供(サインやスマホ利用など)で感じるバリア、問題点

青が短くて、赤が長い信号(18歳 女 岐阜) バスの表記がわかりづらい(27歳 女 岐阜) 駅とかわかりやすいところに散策マップがあると良い(22歳 女 兵庫)

高山市の観光環境の改善点

お店が早く閉まる(21歳 女 兵庫県)(20代 女 富山) 公衆トイレの表記(32歳 男 東京都)

観光客の方が祭りへの参加が少ないのでホテルからその祭りに連れていくサービス(16歳 男 岐阜)

歩道の確保(57歳 男 岐阜) 赤信号で渡る観光客(16歳 男 岐阜) お店ができてもすぐに潰れてしまうお店が多い(18歳 女岐阜)

活気があると良い(27歳 女 岐阜) お店がやっていないところが多かった(22歳 女 兵庫) 人が多いときは交通整備してほしい(24歳 女 石川) 言葉の壁(20代 女 富山)

外国人の意見

ベジタリアンのためのお店をもっと増やしてほしい(オーストラリア人男性)

もっと遅くまでお店を開いてほしい(フランス人男性) 英語以外の対応を強化してほしい(中国人女性) クレジットカードを利用できるお店を増やしてほしい(アメリカ人男性)

Perfect

Fantastic city(オーストラリア人 男性)

まとめ

観光客の方の目線 お店の対応や営業時間について 歩道や道路について 街全体の雰囲気について 交通網について

地元の方の目線 交通整備について 交通網について

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Page 63: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

高山市合宿成果報告(東京都市大学) 資料

発表者:東京都市大学都市生活学部 西山研究室

4年 寺田雄一 原田知佳子

観光地高山のバリアに関する調査結果(ヒアリング調査)

高山でのヒアリング風景

対象者

44%

13%

17%

26%

どこから来たか

地元 中部 関西 東海

4%

17%

9%

9%

17%

22%

22%

年代10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代

17%

83%

性別

男性 女性

N=23

市内の歩く空間で感じるバリア・問題点

•歩道の日陰が冬はアイスバーになっている(70代女性、20代女性ほか)

•車道と歩道がタイルの色のみでしか分かれてないところがある(50代女性)

•雪を置く場所がない(20代女性)

観光施設の空間で感じるバリア・問題点

•山下清展は階段のみ、店員が手伝うこともある(50代女性)

•お土産店の中が狭いため、荷物が多いと引っかかる(20代女性)

•ベンチが少ない(20代男性)

店舗や観光施設等の人が提供するサービスで感じるバリア・問題点

・親切な人が非常に多く、特に問題点を感じることはない。(50代女性)

・英語ができない店員が多そうである。(30代女性・20代男性)

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Page 64: 高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書...高山中心市街地のバリアに関する 研究成果報告書 平成30年3 月 東京都市大学 都市生活学部

市内の交通で感じるバリア・問題点

•土日、祭日は本数が少ない、1時間に1本あればいい方(70代女性、20代女性ほか)

•行きのバスがあっても帰りのバスがない(10代女性、20代女性)

•バスセンターが狭い、駅が改修されたのでバスセンターも改善してほしい(10代女性)

•バスを使うと市内をぐるっと回らないといけないため不便(50代女性)

市内の情報提供で感じるバリア・問題点

・パンフレットで知りたい情報を入手しにくい。主要な場所だけではつまらない。細かい情報まで記したバージョンの地図も必要(30代女性・20代男性ほか)

・フリーwi-fiがつながりにくいことがある。(30代女性)

・マップル高山が見づらくて困る。(60代女性)

・地図をはっきり見やすく、わかりやすいフォントで作ってほしい(50代女性)

市内の観光環境で改善してほしいこと

•外国人のマナーに関する意見が多かった

・ホテルの人が大変(70代女性)

・大きい声を出している(70代女性)

・中国人は食べながら別の店に入ってくる(40代女性)

・中国人の方は、買った物を店(スーパー)の中で食べる(40代女性)

•トイレを汚くする、和式は使い方が分からない様だ

(50代女性、20代女性)

市内の観光環境で改善してほしいこと

•スーパーが家の近くにないため、バスやタクシーを使って駅周辺に来ている(70代女性)

•トイレを増やしてほしい(50代女性)

•喫煙できる場所を増やしてほしい(50代女性)

調査を通しての考察・感想

観光客はおおむね好意的な意見が多かったが、海外からの旅行者の増加などにより観光客全体でのマナーが気になるという意見が多かったほか、公共交通機関の充実を求める声があった。

地元の方は市内の環境はここ数年で非常によくなってきており、街中でバリアを感じる声は少なかった。一方で観光客と同様に公共交通機関の充実を求める声が非常に多く、バスや電車の本数、またバスセンターの規模に対する要望が聞かれた。

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