上肢・下肢機能訓練における心肺機能負担状況について -健 …原著論文...

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原著論文 上肢・下肢機能訓練における心肺機能負担状況について -健常成人による検討- 白石 英樹 1) ,亀山 佳奈多 1) ,堀田 和司 1) ,藤田 好彦 1) ,岩崎 也生子 1) 1) 茨城県立医療大学保健医療学部作業療法学科 要旨 【目的】本研究の目的は,臨床でよく用いている上肢訓練と下肢訓練が心肺機能へ及ぼす負担を明確にすること である。 【対象】既往に神経内科的疾患のない健常成人14名を対象とした。 【方法】サンディング訓練,輪かけ訓練,ペグ訓練,コーンカップ訓練(上肢訓練)とトレッドミル歩行,立ち 座り訓練,下肢筋力訓練,ヒップアップ訓練(下肢訓練)の ₈ 訓練での遂行時心肺機能について呼気ガス分析装 置にて分析を行った。また主観的疲労感(VAS)についても採取した。 【結果】立ち座り訓練やトレッドミル歩行,下肢筋力訓練は,多くの生理パラメータにて他の訓練よりも有意に 高値を示した。また上肢 ₄ 訓練合計は,下肢 ₄ 訓練合計に比べ,各生理パラメータは有意に少なく,またVASも有意に負担感は少なかった。 【まとめ】臨床で行われている上肢への各訓練は,心肺機能への負荷は少なく下肢訓練は高いことが示された。 キーワード:心肺機能,呼気ガス分析,上肢訓練,下肢訓練 はじめに リハビリテーション治療・訓練(以下,リハ訓練) において,脳梗塞や脳出血など脳血管障害(CVAにより心身に何らかの障害を負われた方を対象に, 身体機能の回復や維持,日常生活活動の再獲得,さ らには新たな能力の習得のために様々なリハ訓練が 行われている。しかし臨床において,訓練を実施し ている対象者の心肺機能の状態や耐用性,また用い る訓練・活動の負荷量について十分に把握し,訓練 プログラムが計画され,実施されることは少なく, 訓練中のバイタルサインの変化によってはじめて確 認・把握する場合が多い。また,そのバイタルサイ ンによって訓練を中止する場合や休憩して再開する 場合などの指標として運動療法実施のための基準 (アンダーソン・土肥) 1) がある。しかし,これは 訓練という様々な負荷をかけることによるバイタル サインの変化から判断するものであり,場合によっ ては対象者の心肺機能の耐用性を超える負荷がか かった訓練が行われていた(あるいは行われている) 危険性がある。 CVAは心疾患に起因して発症する場合も多く, 辻川ら 2) は多くの危険因子を共有し,脳卒中と心疾 患の関連性を指摘している。また,脳卒中患者の 連 絡 先:白石 英樹  茨城県立医療大学作業療法学科 〒 300-0394 茨城県稲敷郡阿見町阿見 4669-2 電  話:029-840-2166 FAX:029-840-2320 E-mail:[email protected] 茨城県立医療大学紀要 第 19 巻 A  S  V  P  I Volume 19 リハ訓練における心肺機能への影響 65

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Page 1: 上肢・下肢機能訓練における心肺機能負担状況について -健 …原著論文 上肢・下肢機能訓練における心肺機能負担状況について -健常成人による検討-

原著論文

上肢・下肢機能訓練における心肺機能負担状況について -健常成人による検討-

白石 英樹1),亀山 佳奈多1),堀田 和司1),藤田 好彦1),岩崎 也生子1)

1)茨城県立医療大学保健医療学部作業療法学科

要旨

【目的】本研究の目的は,臨床でよく用いている上肢訓練と下肢訓練が心肺機能へ及ぼす負担を明確にすること

である。

【対象】既往に神経内科的疾患のない健常成人14名を対象とした。

【方法】サンディング訓練,輪かけ訓練,ペグ訓練,コーンカップ訓練(上肢訓練)とトレッドミル歩行,立ち

座り訓練,下肢筋力訓練,ヒップアップ訓練(下肢訓練)の ₈ 訓練での遂行時心肺機能について呼気ガス分析装

置にて分析を行った。また主観的疲労感(VAS)についても採取した。

【結果】立ち座り訓練やトレッドミル歩行,下肢筋力訓練は,多くの生理パラメータにて他の訓練よりも有意に

高値を示した。また上肢 ₄ 訓練合計は,下肢 ₄ 訓練合計に比べ,各生理パラメータは有意に少なく,またVASで

も有意に負担感は少なかった。

【まとめ】臨床で行われている上肢への各訓練は,心肺機能への負荷は少なく下肢訓練は高いことが示された。

  キーワード:心肺機能,呼気ガス分析,上肢訓練,下肢訓練

はじめに

 リハビリテーション治療・訓練(以下,リハ訓練)において,脳梗塞や脳出血など脳血管障害(CVA)により心身に何らかの障害を負われた方を対象に,身体機能の回復や維持,日常生活活動の再獲得,さらには新たな能力の習得のために様々なリハ訓練が行われている。しかし臨床において,訓練を実施している対象者の心肺機能の状態や耐用性,また用いる訓練・活動の負荷量について十分に把握し,訓練プログラムが計画され,実施されることは少なく,訓練中のバイタルサインの変化によってはじめて確

認・把握する場合が多い。また,そのバイタルサインによって訓練を中止する場合や休憩して再開する場合などの指標として運動療法実施のための基準

(アンダーソン・土肥)1)がある。しかし,これは訓練という様々な負荷をかけることによるバイタルサインの変化から判断するものであり,場合によっては対象者の心肺機能の耐用性を超える負荷がかかった訓練が行われていた(あるいは行われている)危険性がある。 CVAは心疾患に起因して発症する場合も多く,辻川ら2)は多くの危険因子を共有し,脳卒中と心疾患の関連性を指摘している。また,脳卒中患者の

連 絡 先:白石 英樹  茨城県立医療大学作業療法学科      〒 300-0394 茨城県稲敷郡阿見町阿見 4669-2 電  話:029-840-2166 FAX:029-840-2320 E-mail:[email protected]

茨城県立医療大学紀要 第 19 巻A  S  V  P  I Volume 19

リハ訓練における心肺機能への影響 65

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入院時において,脳血栓では58.4%に,脳出血では56.9%に,心電図の異常所見を認め,心筋梗塞や心室肥大などの合併症の存在が指摘されている3)。原田ら4)もまた高血圧歴のない脳梗塞患者の19%,脳出血患者の27%に左心室肥大の所見を認めたとの報告を行っている。辻川ら2)もまた回復期リハ病棟入院の脳卒中患者において,一定の割合(全体で7.4%)で心機能の低下があることを報告している。海外においても臨床や疫学,病理学的な様々な研究5)‐9)にて,脳卒中患者の約75%に心疾患に関連する症状があることを示す報告がされている。また,リハ訓練期間中に心電図の変動が約30%にみられたとの報告3)や訓練中25%(16例中 ₄ 例)に心電図異常が起きたとの報告もある10)。こうした状況は,患者さんの耐用性を超えた負荷量にてリハ訓練が行われている可能性は否定できず,場合によっては二次的な障害をもたらす危険性を大いに含んでいる。 今回,我々は臨床で多く関わるCVA患者さんに対して機能回復訓練としてよく用いている訓練プログラム(上肢機能訓練・下肢機能訓練)における心肺機能への影響を把握するために,健常成人を対象に調査研究を行ったので考察を加え報告する。

目  的

 本研究は,臨床における身体機能回復のためにリハ訓練にてよく行われている上肢訓練と下肢訓練が心肺機能へ及ぼす影響(負荷)について把握することを目的とした。

対  象

 対象は,既往に神経内科的疾患を有しない20歳から40歳の健常成人14名(男性 ₉ 名,女性 ₅ 名,平均年齢25.0歳)であった。対象者の身長,体重,BMIの平均値±標準偏差は,166.0±10.6cm(男性172.0±7.1cm,女性155.2±5.9cm),59.6±10.0kg(男性64.6±8.9kg,女性50.6±3.0kg),21.5±2.2kg/m2(男性21.8±2.6kg/m2,女性21.0±1.4kg/m2)であった。また,対象者における運動習慣は,ほとんどが ₁ 時間以下/週であった。 本研究は,代表研究者が所属する倫理委員会から承認(承認番号 434)と対象者から書面による同

意を得て実施した。

方  法

 CVA患者さんに対して上肢・下肢の機能回復訓練として行われている訓練内容を調査し,次の ₈ つの訓練, ₁ .サンディング訓練, 2 .輪かけ訓練,₃ .ペグ訓練, ₄ .コーンカップ訓練, ₅ .歩行

(トレッドミル歩行), ₆ .立ち座り訓練, ₇ .下肢筋力訓練, ₈ .ベッド上ヒップアップ訓練,を本研究の調査対象訓練とした.上記の内, ₁ .~ ₄ .は座位にて机上で行う「上肢」に対するリハ訓練で, ₅ .~ ₈ .は「下肢」を主としたリハ訓練であり,臨床場面にて多く実施されている。これらのリハ訓練実施時の心肺機能への負担を確認するために,Cortex社製の呼気ガス分析装置(MetaLyzer3B)を用いて,各訓練を実施している時間,継続的に検査測定を行った。各 ₁ .~ ₈ .の訓練時間は ₅ 分間とし,上肢訓練としては合計20分間( ₁ .~ ₄ .),下肢訓練としても合計20分間( ₅ .~ ₈ .)実施した。これは,臨床におけるリハ訓練時間の最小単位と同様とした。また,対象者には各訓練の間には十分な休憩を取り,疲労の影響が出ないように配慮して実施した。訓練の実施順番は,上肢に関する訓練・下肢に関する訓練内においてランダムに変更して行った。対象訓練のうち ₁ .サンディング訓練~₄ .コーンカップ訓練までは,椅子に座り,テーブルの高さを対象者に合わせて調整し実施した。サンディング訓練では,テーブルの傾斜角度を30度に設定し,500gの重錘をタオルに包み,上肢にて上下(前後)・左右に動かしてもらった。また,輪かけ訓練とコーンカップ訓練は,対象者の肩幅の位置と手を伸ばしたときに対象者がちょうどよいと感じる位置に道具をセッティングし実施した。ペグ訓練も対象者にとって行いやすい位置に設置して行ってもらった。下肢訓練としての歩行は,トレッドミル歩行器を使用し,脳血管障害患者さんが歩くスピードにあわせ,ゆっくりとした速度(1.4 ~ 1.6km/h)に設定し,歩行時の心肺機能について測定を行った。立ち座り訓練は,椅子に腰かけた状態から立ったり座ったりを繰り返し行ってもらった( ₁ 回/ ₇ -₈ 秒)。下肢筋力訓練では,椅子に腰かけて座った状態にて左右の各足首に1.0kgの重錘バンドを装着

茨城県立医療大学紀要 第 19 巻66

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して股関節屈曲(太もも拳上)と膝関節伸展(ひざ伸ばし)を行ってもらった( ₁ 回/ ₇ - ₈ 秒)。ベッド上ヒップアップ訓練は,ベッド上に仰臥位(仰向け)となり膝立て肢位より臀部を浮き上がらせる運動を繰り返し行ってもらった( ₁ 回/ ₇ - ₈ 秒)。これらの訓練において,実際の臨床における患者さんにて各 ₅ 分間継続して実施することはなく,途中で休憩を入れることも多く,今回の健常者の対象においても30秒間の休憩を各 ₅ 分間の内 2 回(開始後 ₁分20秒後と ₃ 分10秒後に)入れて実施し心肺機能の測定を行った。 上記の様々な訓練時の心肺機能について(1)心拍数(HR),(2) ₁ 回換気量(VT),(3)呼吸数

(RR),(4)分時換気量(VE),(5)O2摂取量(VO2),(6)CO2排 出 量(VCO2),(7)O2摂 取 量/kg,(8)METS,(9)ガス交換率(RER)を呼気ガス分析装置にて採取した。また,主観的な疲労感についてVAS(Visual analog scale)を用いて,対象者より聞き取りを行った。解析は, ₁ )上記 ₈ つの訓練を各独立変数とし,心肺機能の ₉ つの生理的パラメータデータを従属変数として,ノンパラメトリック解析(Friedman検定)とその後の検定としてスティー

ル・ドゥワス(Steel-Dwass)検定を行った。また,2 )上肢機能に関する訓練と下肢機能に関する訓練とでの心肺機能への負荷の違いの有無をみるために,₁ .~ ₄ .と ₅ .~ ₈ .の各合計20分間での各生理的パラメータデータについて, 2 群間比較(Wilcoxon符号付き順位検定)を行った。有意性の判定は,危険率p<0.05にて行った。

結  果

1.各訓練間での心肺機能負担について 上肢・下肢の ₈ つの訓練における心肺機能に関する各生理的パラメータは,安静臥床時の数値(平均値)に比べ,84.8%~ 235.5%を示し,上肢の各訓練より下肢の各訓練のほうが高い数値であった(表₁ )。また, ₈ つの訓練間において,心肺機能に関するいずれの生理的パラメータにおいても有意差

(p<0.001 ~ p<0.01)が示された。心拍数(HR)では,「立ち座り訓練」が最も高く,サンディング訓練,輪かけ訓練,ペグ訓練,コーンカップ訓練に比べ有意に高かった(図 ₁ ,表 ₁ )。しかし,トレッドミル歩行・下肢筋力・ヒップアップ訓練との間では有

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HR VT VE VO2

VCO2 VO2/kg METS RER

1 サンディング 2 輪かけ移し 3 ペグ 4 コーンカップ積み上げ 5 トレッドミル歩行 6 立ち座り 7 下肢筋力 8 ヒップアップ

図 1

(回/分) (ℓ) (ℓ/分)

(ℓ/分)

(ℓ/分)

(ℓ/分/kg)

図 ₁  各訓練時の生理的パラメータ比較

リハ訓練における心肺機能への影響 67

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表 ₁  各訓練時の生理的パラメータ数値と比較表 1

サンディング 輪かけ ぺグ コーンカップ トレッドミル 立ち座り 下肢筋力 ヒップアップ

サンディング 82.42±7.17 *(p<0.05)

輪かけ      81.12±7.98 *(p<0.05)

ぺグ       79.77±7.49 *(p<0.05)

コーンカップ   80.88±6.93 *(p<0.05)

トレッドミル   89.18±10.26立ち座り      95.96±10.66下肢筋力    87.27±7.49ヒップアップ   85.60±8.56ベッド上臥位 70.53±8.22 116.86% 115.01% 113.10% 114.67% 126.44% 136.06% 123.72% 121.37%

サンディング 輪かけ ぺグ コーンカップ トレッドミル 立ち座り 下肢筋力 ヒップアップ

サンディング  0.61±0.13 **(p<0.01)

輪かけ    0.56±0.10 ***(p<0.001)

ぺグ     0.55±0.10 ***(p<0.001)

コーンカップ  0.55±0.10 ***(p<0.001)

トレッドミル  0.66±0.25立ち座り  0.91±0.23下肢筋力 0.68±0.14ヒップアップ   0.71±0.16ベッド上臥位 0.56±0.11 108.93% 100.00% 98.21% 98.21% 117.86% 162.50% 121.43% 126.79%

サンディング 輪かけ ぺグ コーンカップ トレッドミル 立ち座り 下肢筋力 ヒップアップ

サンディング   20.67±4.23輪かけ    20.91±4.28ぺグ     20.20±3.73コーンカップ  21.75±4.22トレッドミル  22.35±7.67立ち座り 21.54±4.63下肢筋力  22.01±3.38ヒップアップ  20.76±3.36ベッド上臥位 17.87±2.91 115.67% 117.01% 113.04% 121.71% 125.07% 120.54% 123.17% 116.17%

サンディング 輪かけ ぺグ コーンカップ トレッドミル 立ち座り 下肢筋力 ヒップアップ

サンディング 12.06±2.43 *(p<0.05) **(p<0.01)

輪かけ 11.47±2.60 *(p<0.05) **(p<0.01) *(p<0.05)

ぺグ 10.68±2.06 **(p<0.01) ***(p<0.001) **(p<0.01) *(p<0.05)

コーンカップ 11.74±2.75 *(p<0.05) **(p<0.01) *(p<0.05)

トレッドミル 15.13±5.90立ち座り 19.09±5.61下肢筋力 14.85±4.23ヒップアップ 14.38±3.08ベッド上臥位 9.79±1.68 123.19% 117.16% 109.09% 119.92% 154.55% 194.99% 151.69% 146.88%

サンディング 輪かけ ぺグ コーンカップ トレッドミル 立ち座り 下肢筋力 ヒップアップ

サンディング 0.37±0.07 **(p<0.01) ***(p<0.001)

輪かけ 0.33±0.07 ***(p<0.001) ***(p<0.001) *(p<0.05) *(p<0.05)

ぺグ 0.32±0.06 ***(p<0.001) ***(p<0.001) *(p<0.05) **(p<0.01)

コーンカップ 0.35±0.07 ***(p<0.001) ***(p<0.001) *(p<0.05)

トレッドミル 0.52±0.18 *(p<0.05)

立ち座り 0.73±0.23 **(p<0.01)

下肢筋力 0.44±0.11ヒップアップ 0.49±0.13ベッド上臥位 0.31±0.07 119.35% 106.45% 103.23% 112.90% 167.74% 235.48% 141.94% 158.06%

サンディング 輪かけ ぺグ コーンカップ トレッドミル 立ち座り 下肢筋力 ヒップアップ

サンディング 0.34±0.08 *(p<0.05) **(p<0.01) *(p<0.05)

輪かけ 0.30±0.07 **(p<0.01) ***(p<0.001) *(p<0.05) *(p<0.05)

ぺグ 0.28±0.06 **(p<0.01) ***(p<0.001) **(p<0.01) **(p<0.01)

コーンカップ 0.31±0.08 **(p<0.01) **(p<0.01) *(p<0.05) *(p<0.05)

トレッドミル 0.44±0.17立ち座り 0.62±0.22下肢筋力 0.43±0.13ヒップアップ 0.46±0.13ベッド上臥位 0.28±0.06 121.43% 107.14% 100.00% 110.71% 157.14% 221.43% 153.57% 164.29%

サンディング 輪かけ ぺグ コーンカップ トレッドミル 立ち座り 下肢筋力 ヒップアップ

サンディング 6.26±0.69 ***(p<0.001) ***(p<0.001) *(p<0.05) **(p<0.01)

輪かけ 5.51±0.38 ***(p<0.001) ***(p<0.001) ***(p<0.001) ***(p<0.001)

ぺグ 5.38±0.63 ***(p<0.001) ***(p<0.001) ***(p<0.001) ***(p<0.001)

コーンカップ 5.81±0.58 ***(p<0.001) ***(p<0.001) ***(p<0.001) **(p<0.01)

トレッドミル 8.88±2.39 *(p<0.05) ***(p<0.001)

立ち座り 12.02±2.20 ***(p<0.001) **(p<0.01)

下肢筋力 7.32±0.69ヒップアップ 8.18±1.28ベッド上臥位 5.21±0.94 120.15% 108.76% 103.26% 111.52% 170.44% 230.71% 140.50% 157.01%

サンディング 輪かけ ぺグ コーンカップ トレッドミル 立ち座り 下肢筋力 ヒップアップ

サンディング 1.79±0.20 ***(p<0.001) ***(p<0.001) *(p<0.05) **(p<0.01)

輪かけ 1.58±0.11 ***(p<0.001) ***(p<0.001) ***(p<0.001) ***(p<0.001)

ぺグ 1.53±0.18 ***(p<0.001) ***(p<0.001) ***(p<0.001) ***(p<0.001)

コーンカップ 1.67±0.17 ***(p<0.001) ***(p<0.001) ***(p<0.001) **(p<0.01)

トレッドミル 2.54±0.68 *(p<0.05) ***(p<0.001)

立ち座り 3.43±0.63 ***(p<0.001) **(p<0.01)

下肢筋力 2.09±0.20ヒップアップ 2.34±0.37ベッド上臥位 1.49±0.27 120.13% 106.04% 102.68% 112.08% 170.47% 230.20% 140.27% 157.05%

サンディング 輪かけ ぺグ コーンカップ トレッドミル 立ち座り 下肢筋力 ヒップアップ

サンディング 0.92±0.08輪かけ 0.92±0.08ぺグ 0.88±0.08コーンカップ 0.91±0.07トレッドミル 0.78±0.22 **(p<0.01) *(p<0.05)

立ち座り 0.85±0.08 **(p<0.01)

下肢筋力 0.98±0.07ヒップアップ 0.93±0.08ベッド上臥位 0.92±0.11 100.00% 100.00% 95.65% 98.91% 84.78% 92.39% 106.52% 101.09%

HR (p<0.001) (回/分)

VT (p<0.001) (ℓ)

RER (p<0.001)

METS (p<0.001)

VO2/kg (p<0.001) (ℓ/分/kg)

VCO2 (p<0.001) (ℓ/分)

VO2 (p<0.001) (ℓ/分)

VE (p<0.001) (ℓ/分)

RR (p<0.01) (回/分)

茨城県立医療大学紀要 第 19 巻68

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意な差はなかった。また上肢 ₄ つの訓練間では有意な違いはなかった。 ₁ 回換気量(VT)においても心拍数と同じく有意な違いが示され,「立ち座り訓練」が最も多く,サンディング訓練,輪かけ訓練,ペグ訓練,コーンカップ訓練に比べ有意に多かった

(図 ₁ ,表 ₁ )。しかし,トレッドミル歩行・下肢筋力・ヒップアップ訓練との間には有意な差はなく,上肢・下肢への各 ₄ 訓練の間でも有意な違いはなかった。呼吸数(RR)においては,全体では有意な違いが示されたものの(p<0.01),個別での比較では有意な違いは示されなかった(表 ₁ )。分時換気量(VE)においては,全体で有意な違いが示され(p<0.001),各訓練間においても有意な違いがあり,もっとも分時換気量が多かった(必要だった)のは「立ち座り訓練」で,上肢訓練の ₄ つに比べ,有意に数値が高かった。また,「トレッドミル歩行」や「下肢筋力訓練」においても,上肢訓練に比べ有意性が示され,分時換気量は多かった。また,「ヒップアップ訓練」は,ペグ訓練に比べ有意に分時換気量が多かった(図₁ ,表 ₁ )。上肢・下肢への各 ₄ 訓練の間では有意な違いはなかった。O2摂取量(VO2)でも,「トレッドミル歩行」や「立ち座り訓練」では,上肢訓練のサンディング・輪かけ,ペグ,コーンカップ訓練よりも有意に多く,また「下肢筋力訓練」や「ヒップアップ訓練」においても,それぞれ輪かけ・ペグ・コーンカップ訓練や輪かけ・ペグ訓練に比べ有意にVO2

が多かった(必要であった)。また上肢 ₄ 訓練の間では有意な差はなかったが,下肢への ₄ 訓練間では有意な違いが示され,「トレッドミル」と「下肢筋力訓練」の間で,また「立ち座り訓練」と「下肢筋力訓練」の間で有意な違いがあり,「トレッドミル歩行・立座り訓練」は下肢筋力訓練より有意にVO2

が多かった(図 ₁ ,表 ₁ )。CO2排出量(VCO2)においても,O2摂取量(VO2)と同じように,「トレッドミル歩行」,「立ち座り訓練」,「下肢筋力訓練」では,サンディング・輪かけ,ペグ,コーンカップ訓練よりも有意に多かった(図 ₁ ,表 ₁ )。また,「ヒップアップ訓練」においても,輪かけ・ペグ・コーンカップ訓練に比べ有意にVCO2が多かった。上肢・下肢訓練の各 ₄ つの間では有意な違いはなかった。O2摂取量/kg(VO2/kg)とMETSでは,サンディング,輪かけ,ペグ,コーンカップ訓練は,下肢の ₄つの訓練に比べ,いずれも有意に少なかった(図 ₁ ,

表 ₁ )。また,上肢訓練の ₄ 訓練間には有意な違いはなかったが,下肢訓練では「立ち座り訓練」が,その他の ₃ 訓練よりも有意にVO2/kgとMETSが高かった。ガス交換率(RER)では,全体では有意な違いが示され,訓練間では「下肢筋力訓練」「ヒップアップ訓練」はトレッドミル歩行よりも有意に高く,また「立ち座り訓練」は下肢筋力訓練よりも有意にガス交換率が高かった(図 ₁ ,表 ₁ )。

2 .�上肢と下肢に対する各 4訓練合計での心肺機能への負荷の違い

 上肢訓練における ₄ つの訓練合計(20分間)と下肢訓練における ₄ つの訓練合計(20分間)での心肺機能への負担比較において,心拍数(HR), ₁ 回換気量(VT),分時換気量(VE),O2摂取量(VO2),CO2排出量(VCO2),O2摂取量/kg,METS,において有意な違いが示され,いずれにおいても下肢訓練(20分間)において有意に高かった(p<0.001 ~p<0.002)(図 2 ,表 2 )。呼吸数(RR)においては有意な差は示されなかったが,下肢訓練(20分)において高い傾向があった(p=0.064)。ガス交換率

(RER)では,上肢・下肢訓練(20分)の間に有意な差は示されなかった(p=0.387)(表 2 )

3 .主観的疲労感(VAS)について  ₈ つの訓練間におけるVASにおいて,全体では有意性(p<0.001)が示されたが,各訓練間では有意な差は示されなかった(図 ₃ 左,表 ₃ )。しかし,上肢への ₄ つの訓練合計と下肢への ₄ つの訓練合計によるVAS比較では,有意な違い(p<0.001)が示され,下肢への ₄ 訓練合計は上肢への ₄ 訓練合計に比べ有意にVASが高かった(図 ₃ 右,表 ₃ )。

考  察

 今回,臨床におけるリハ訓練でよく用いられている ₈ つの訓練における心肺機能への負担状況について調査を行った。その結果,「立ち座り訓練」では₇ つの生理的パラメータで,「トレッドミル歩行」は ₅ つのパラメータにおいて上肢への各訓練「サンディング,輪かけ,ペグ,コーンカップ」に比べ有意に数値が高いことが示された。また「下肢筋力訓練」や「ヒップアップ訓練」においてもいくつかの

リハ訓練における心肺機能への影響 69

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パラメータにておいて上肢の各訓練よりも数値が有意に高く示された(図 ₁ ,表 ₁ )。これは,上肢への各訓練は座位姿勢にて机上で行うもので,動作も主として上肢のみの動きで行われ,訓練に参加している全身的な筋量や筋群数が少なく,逆に下肢機能への各訓練は下肢を主体としているもののトレッドミル歩行や立ち座り訓練,ヒップアップ訓練などでは上肢の運動は伴わなかったが体幹などの筋群の働きが加わるなど,多くの筋量や筋群数が参加していたことが下肢への各訓練において生理的パラメータの反応が有意に高くなったものと考えられた。さら

に,上肢・下肢への各訓練合計20分間の分析においても多くの生理的パラメータは有意に下肢訓練(20分間)の方が高く(多く)示され(図 2 ,表 2 ),心肺機能への負担は下肢の訓練で大きいことが示唆された。一般的に,上肢の運動と下肢の運動では,

「同じ負荷量(同じ酸素摂取量)」ならば上肢の運動において心拍数や血圧を上昇させる11,12,13)ことが示されており,また上肢の抵抗性運動は運動強度の割に心血管系に対する負荷が強い傾向があるといわれ14),上肢の運動は心肺機能への影響が大きいと考えられている。これは,上肢の活動筋肉量や筋数が下

図 2  上肢・下肢訓練での生理的パラメータ比較

下肢訓練 上肢訓練

120

100

80

60

40

20

0

1.6

1.2

.8

.4

0

下肢訓練 上肢訓練

30

25

20

15

10

5

0

下肢訓練 上肢訓練

40

30

20

10

0

下肢訓練 上肢訓練

1.2

1.0

.8

.6

.4

.2

0

下肢訓練 上肢訓練

1.2

1.0

.8

.6

.4

.2

0

下肢訓練 上肢訓練

16

12

8

4

0

下肢訓練 上肢訓練

HR VT RR VE

VO2 VCO2 VO2/kg METS 5

4

3

2

1

0

下肢訓練 上肢訓練

図 2

(回/分) (ℓ) (回/分) (ℓ/分)

(ℓ/分) (ℓ/分) (ℓ/分/kg)

表 2

(回/分) 安静時比 (ℓ) 安静時比 (回/分) 安静時比 (ℓ/分) 安静時比 (ℓ/分) 安静時比

上肢訓練(4活動合計) 80.94±7.17 114.76% 0.57±0.99 101.79% 20.86±3.94 116.73% 11.47±2.38 117.16% 0.34±0.07 109.68%

下肢訓練(4訓練合計) 89.49±8.76 126.88% 0.76±0.17 135.71% 21.98±3.71 123.00% 16.15±4.02 164.96% 0.56±0.14 180.65%

ベッド上臥位 (安静時5分) 70.53±8.22 0.56±0.11 17.87±2.91 9.79±1.68 0.31±0.07

(ℓ/分) 安静時比 (ℓ/分/kg) 安静時比 安静時比 安静時比

上肢訓練(4活動合計) 0.31±0.07 110.71% 5.74±0.50 110.17% 1.64±0.14 110.07% 0.91±0.07 98.91%

下肢訓練(4訓練合計) 0.50±0.15 178.57% 9.28±0.96 178.12% 2.65±0.28 177.85% 0.90±0.07 97.83%

ベッド上臥位 (安静時5分) 0.28±0.06 5.21±0.94 1.49±0.27 0.92±0.11

** p<0.01

ns**

METS RER

** **

VO2

VCO2 VO2/kg

** **

HR VT RR VE

ns ** **

表 2  上肢・下肢訓練での生理的パラメータ比較(数値)

茨城県立医療大学紀要 第 19 巻70

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肢よりも少ないこと14,15,16),上肢作業では筋内圧の上昇による血流抵抗の増大があること,それに伴い末梢血流量の減少や帰還血流量・一回拍出量の減少などがおこり,これらの一連の生理現象を補おうとする16,17,18)ことで心拍数が上昇するとされている。また上肢運動においては胸郭の筋肉の働きも加わり心拍数へ影響を及ぼす19)ことなど心肺機能への負担は下肢運動よりも上肢運動のほうが高いといわれている。しかし,今回の結果では多くの生理的パラメータにおいて,下肢訓練(群)よりも上肢訓練(群)で有意に低い数値が示されたことは,臨床でよく用いられている上肢への訓練は下肢への訓練と比べて心肺機能への負荷量が少ないことを示唆しているものと考えられた。また,主観的疲労感(負担感)として採取したVASにおいても,上肢訓練において有意に低く,訓練負荷量(負担)が少ないことを示唆していた。 今回の調査は心肺機能に問題のない健常成人を対象として実施したが,臨床におけるCVA患者さんでは,半身の上肢・下肢の筋肉が麻痺をした状態で訓練が行われ,その動きには健常者以上に努力性が

求められる。そのため,CVA患者さんにおいては心肺機能への負担がより大きくなることは容易に想像され,そうした状態での機能訓練には危険性(心肺機能への負担)がより高い可能性がある。しかし,今回の結果から一般的に臨床にて患者さんへ用いられているこれらの上肢訓練は,心肺機能への負荷が少なくCVA患者さんにおいても心肺機能への負担や危険性は低いものと考えられた。またCVA患者さんのみならず慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんやその他の心肺機能の低下が予測される疾患(脊髄損傷,関節リウマチ,筋ジストロフィ,筋委縮性側索硬化症,など)の患者さん,慢性(期)の心疾患患者さんにおいてもこうした上肢の訓練は心肺機能への負荷が少なく実施できるものと考えられ,進行性の難病の患者さんやがん患者さんにおける終末期においても維持的なリハビリテーションとして実施できるものと考えられる。しかし,上肢の運動には呼吸補助筋群が肩甲帯の固定や上肢拳上の保持に対して働き(作用),呼吸筋としての働きが制限される20,21)ことがあり,特にCOPD患者さんでは上肢訓練時の上肢の動作環境(範囲・高さ・時間,など)

8 7 6 5 4 3 2 1

14

12

10

8

6

4

2

0

VAS

1 サンディング 2 輪かけ移し 3 ペグ 4 コーンカップ積み上げ 5 トレッドミル歩行 6 立ち座り 7 下肢筋力 8 ヒップアップ

14

12

10

8

6

4

2

0

下肢訓練 上肢訓練

VAS

図 3

(点) (点)

図 ₃  各訓練時および上肢・下肢訓練時のVAS比較

表 ₃  各上肢(群)・下肢(群)訓練時の主観的疲労感(VAS)表 3

2.79±1.73 2.64±1.18 2.36±1.55 3.50±1.85 3.71±2.12 6.36±3.30 7.00±3.50 7.50±3.23

立ち座り 下肢筋力 ヒップアップ

V A S2.82±1.56 6.14±3.27

サンディング 輪かけ ペグ コーンカップ トレッドミル

リハ訓練における心肺機能への影響 71

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を設定して行う配慮が求められる。さらに,心肺機能への負荷がある(高い)としても下肢訓練は重要で不可欠なものであり,CVA患者さん及びその他の疾患患者さんにおいても実施しないわけにはいかない。そのため,下肢訓練を実施する際には,各患者さんの状態(心肺機能)と訓練負荷との関係をより考慮した実施方法の検討や休憩時間の十分な設定など心肺機能への負担を考慮した訓練の計画・遂行をすることが重要と考える。 今回の調査により臨床でのリハ訓練におけるそれぞれの訓練が心肺機能へ及ぼす負担について定量的に示されたことで,リスク管理の高いリハ訓練が臨床場面において実施されることが期待できるものと考える。今後は,実際に臨床場面におけるCVA患者さんの協力を得て検証を行っていくことで,より信頼性のある臨床での訓練と心肺機能との関係を明らかにしていきたい。

謝  辞

 本研究の実施にあたり,研究に快くご協力いただいた被験者の皆様に心より感謝申し上げます。

文  献

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13) Per-Olof Astrand, Kaare Rodahl.オストランド運動生理学 朝比奈一男,浅野勝己(訳).大修館書店,東京,1990,123

14) 鯵坂隆一.高齢者における運動の心血管系安全基準および対策.体力科学.2003;52:Suppl 55-64

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16) 須崎俊男,立野勝彦,灰田信英,濱出茂治, 浅井仁,山崎俊明, 須釜聡,三秋泰一, 垣内恵里.上下肢の筋活動が呼吸循環系に及ぼす影響.金

茨城県立医療大学紀要 第 19 巻72

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(2):355-35920) 高橋哲也.上肢筋訓練法.宮川哲夫,黒川幸雄

責任編集,理学療法学MOOK ₄  呼吸理学療法,三輪書店,東京,1999,145-151

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(2):79-82

リハ訓練における心肺機能への影響 73

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An investigation of the risks for the cardio and lung functions during rehabilitation programs for the upper and lower extremities under the expiration gas analysis system

– Study of healthy subjects –

Hideki Shiraishi, Kanata Kameyama, Kazushi Hotta, Yoshihiko Fujita, and Yaoko Iwasaki

Department of Occupational Therapy, Ibaraki Prefectural University of Health Sciences

Abstract

 Introduction: Most patients have risks related to the heart and lungs. Also, secondary impairments may occur

by these risks. Purpose: The purpose of this study was to investigate risks during rehabilitation programs for

the upper and lower extremities using an expiration gas analysis system. Subjects: Fourteen healthy subjects

ranging from 20 to 41 years old were recruited. Methods: The study was conducted after approval from the ethical

committee of our university and written informed consent was obtained from the subjects. We assessed the heart

and lung functions during rehabilitation programs of the upper (Towel-sanding, Ring-transference, peg-board, and

corn-cup activities) and lower (Treadmill-walking, stand-up and sit-down, muscle training of the lower extremities,

and hip-up exercises on the bed) extremities using the expiration gas analysis system. The obtained data from the

expiration gas analysis were as follows: 1) heart rate (HR), 2) tidal volume (VT), 3) respiration rate (RR), 4)

ventilator equivalent (VE), 5) oxygen uptake (VO2), 6) carbon dioxide output (VCO2), 7) oxygen uptake/kg (VO2/

kg), 8) METS, 9) respiratory gas exchange ratio (RER). Additionally, their subjective fatigue levels (VAS) were

obtained. A comparison of each parameter in eight programs and in two groups (programs for the upper and lower

extremities) was analyzed using the Friedman, Wilcoxon test and Steel Dwass method. Results: Stand-up and

sit-down, muscle training of the lower extremities, treadmill-walking, and hip-up exercises showed significantly

higher scores in HR, VT, VE, VO2, VCO2, VO2/kg, and METS compared with towel-sanding, ring-transference, peg-

board, and corn-cup activities. Additionally, programs for the upper extremities indicated a significantly lower

score in many parameters and in the VAS score as opposed to those for the lower extremities. Conclusion: The

results suggested that it was possible for rehabilitation programs for the upper extremities to be used in a safe way

for patients in the acute stage and who have risks in the heart and lung functions.

 Key words : Cardiopulmonary function, Expiration gas analysis, Rehabilitation program, Upper extremities,

Lower extremities.

茨城県立医療大学紀要 第 19 巻74