課題番号 s-13-ku-0007nano.kyushu-u.ac.jp/riyouhoukokusyo2016.pdf ·...

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課題番号 S-13-KU-0007 利用形態 :共同研究 利用課題名(日本語) :生体イメージング用プローブ素材の蛍光スペクトル分析 Program Title (English) Analysis for fluorescence spectrum in materials to use in vivo imaging 利用者名(日本語) :日沼州司 Username (English) S. Hinuma 所属名(日本語) 千里金蘭大学、生活科学部、食物栄養学科 Affiliation (English) Depertment of food and nutrition, Faculty of life sacience, Senri University 1.概要Summary これまで生体イメージングで使用されてきた蛍光プ ローブは、検出感度は非常に高いが、生体組織(血液、 臓器、皮膚等)による吸収、散乱によって MRI CT など他のモダリティと比べ空間解像度が低く、形態学 的情報・深部情報が少ない。光の吸収、散乱の少ない 近赤外領域で発光する蛍光プローブを用いることに より高解像度、高深部データが獲得できることが期待 できる。本研究代表者らは、近赤外蛍光を有し生体投 与可能な原料となりうる候補物質について、ナノテク ノロジープラットフォームの測定機器を利用して励 起および蛍光スペクトル解析を実施し、目的とするデ ータを取得することができた。 2.実験Experimental蛍光スペクトル分析用の試料は、クロロホルムあるいは Dimethyl sulfoxide などの有機溶媒に約 1mg/ml の濃 度で溶解した。試料の励起および蛍光発光スペクトル分 析は Horiba JOBIN YVON Fluorolog-3 および Horiba JOBIN YVON NanoLOG-EXT を用いて実施 した。 3.結果と考察(Results and Discussion複数種の素材についてスペクトル解析を実施いた結 果、励起波長域が 800nm~900nm で蛍光発光が 850~950nm 付近の近赤外領域に強い蛍光を有する素 材などをいくつか見出すことができた。これらの素材 はさらに生体適合性を高めるための加工を必要とす るので、今後、加工後のスペクトルの変化等を確認す る必要があるが、少なくとも生体イメージング用の素 材が存在し、ナノテクノロジープラットフォームの測 定機器を利用して蛍光スペクトルの特性を分析する 方法が有効なアプローチであることを確認すること ができた。 4.その他・特記事項Others謝辞:スペクトル解析を実施していただいた九州大学、藤ヶ 谷剛彦先生に深謝いたします。 5.論文・学会発表Publication/Presentationなし 6.関連特許Patent(1) 日沼州司, 曽我公平バイオイメージング用蛍光標識 ”, 特開 2014-231488, 平成 26 12 11

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  • 課題番号 :S-13-KU-0007 利用形態 :共同研究 利用課題名(日本語) :生体イメージング用プローブ素材の蛍光スペクトル分析 Program Title (English) :Analysis for fluorescence spectrum in materials to use in vivo imaging 利用者名(日本語) :日沼州司

    Username (English) :S. Hinuma 所属名(日本語) :千里金蘭大学、生活科学部、食物栄養学科 Affiliation (English) : Depertment of food and nutrition, Faculty of life sacience, Senri University 1.概要(Summary ) これまで生体イメージングで使用されてきた蛍光プ

    ローブは、検出感度は非常に高いが、生体組織(血液、

    臓器、皮膚等)による吸収、散乱によって MRI や CTなど他のモダリティと比べ空間解像度が低く、形態学

    的情報・深部情報が少ない。光の吸収、散乱の少ない

    近赤外領域で発光する蛍光プローブを用いることに

    より高解像度、高深部データが獲得できることが期待

    できる。本研究代表者らは、近赤外蛍光を有し生体投

    与可能な原料となりうる候補物質について、ナノテク

    ノロジープラットフォームの測定機器を利用して励

    起および蛍光スペクトル解析を実施し、目的とするデ

    ータを取得することができた。 2.実験(Experimental) 蛍光スペクトル分析用の試料は、クロロホルムあるいは

    Dimethyl sulfoxide などの有機溶媒に約 1mg/ml の濃度で溶解した。試料の励起および蛍光発光スペクトル分

    析は Horiba JOBIN YVON Fluorolog-3 およびHoriba JOBIN YVON NanoLOG-EXT を用いて実施した。

    3.結果と考察(Results and Discussion) 複数種の素材についてスペクトル解析を実施いた結

    果、励起波長域が 800nm~900nm で蛍光発光が850~950nm 付近の近赤外領域に強い蛍光を有する素材などをいくつか見出すことができた。これらの素材

    はさらに生体適合性を高めるための加工を必要とす

    るので、今後、加工後のスペクトルの変化等を確認す

    る必要があるが、少なくとも生体イメージング用の素

    材が存在し、ナノテクノロジープラットフォームの測

    定機器を利用して蛍光スペクトルの特性を分析する

    方法が有効なアプローチであることを確認すること

    ができた。 4.その他・特記事項(Others) 謝辞:スペクトル解析を実施していただいた九州大学、藤ヶ

    谷剛彦先生に深謝いたします。

    5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし 6.関連特許(Patent) (1) 日沼州司, 曽我公平“バイオイメージング用蛍光標識剤”, 特開 2014-231488, 平成 26 年 12 月 11 日

  • 課題番号 :S-13-KU-0017 利用形態 :共同研究 利用課題名(日本語) :グラフェン分散液の解析 Program Title (English) :Analysis of solution dispersing graphene 利用者名(日本語) :高垣 有作

    Username (English) :Yuusaku Takagaki 所属名(日本語) :住友理工株式会社(旧社名:東海ゴム株式会社) Affiliation (English) :Sumitomo Riko Co., Ltd. 1. 概要(Summary ) 近年、黒鉛を剥離して作製したグラフェンを高分子

    材料に複合化する事で、従来の炭素材料に比べ少量添

    加で高強度・高導電化出来る事が報告されている。そ

    こで、本研究ではグラフェンの高分子材料複合化効果

    を検証するため、黒鉛の剥離処理によるグラフェン分

    散液作製を試みた。剥離処理後の黒鉛がグラフェン状

    に剥離出来ているかは、レーザーラマン分光光度計を

    用いて評価した。 2.実験(Experimental) 黒鉛の剥離処理は以下方法で実施。まず、天然黒鉛

    粉末 3gを溶剤(シクロペンタノン)90g中に分散させ、超音

    波処理により黒鉛分散液を得た。次に、黒鉛分散液を、7

    日間自然放置し、上澄み液を回収する事で黒鉛剥離液

    を作製した。作製した黒鉛剥離液を 1ml 採取し、PTFE 製

    メンブレンフィルタにてろ過・乾燥させたサンプルをレーザ

    ーラマン分光光度計(NRS-2000)を用いて評価する事に

    より、グラフェン状に剥離出来ているか評価した。

    3.結果と考察(Results and Discussion)

    図 1 に、原料黒鉛、上記方法に従って剥離処理した黒

    鉛のレーザーラマン測定結果を示した。結果、原料黒鉛

    では2700cm-1付近に2Dバンドと呼ばれるピークが出

    現したのに対し、剥離処理後の黒鉛では、2Dバンドが低

    波数側にシフトし、グラフェンの2Dバンドが現れる2680c

    m-1付近にピークが出現した。以上から、上記作製法に

    より、黒鉛の剥離が進行し、グラフェン分散液が作製出来

    ることを確認した。今後、本方法で作製したグラフェン分

    散液の高分子材料複合化効果を検証する予定である。

    4.その他・特記事項(Others) なし。

    5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

    図 1 レーザーラマン測定結果 (測定波長 532nm)

  • 課題番号 :S-14-KU-0021 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) :グラフェンを用いた燃料電池触媒に関する研究 Program Title (English) :Studies on fuel cell catalyst using graphene 利用者名(日本語) :小林 純 Username (English) :Atsushi Kobayashi 所属名(日本語) :株式会社 ADEKA 環境・エネルギー材料研究所 Affiliation (English) :ADEKA Corporation Enbironmental & Energy Materials Laboratory 1.概要(Summary ) ナノカーボンに金属粒子を担持させた新規材料の

    開発を行っている。超高分解能走査電子顕微鏡を用い

    て材料の観察を行ったところ、合成した新規材料上に

    担持された金属粒子を観察する事が出来た。 2.実験(Experimental) 【利用した装置】

    超高分解能走査電子顕微鏡 SU9000 【実験方法】 ナノカーボンに担持させた金属の粒子径や分布状

    態の観察。 測定モード:TE、倍率:100 万倍 3.結果と考察(Results and Discussion)

    超高分解能走査電子顕微鏡 SU9000 を用いることでナノカーボンに担持された金属粒子 (画像中の黒点) を観察する事が出来た。画像より金属粒子の平均直径を見積ったところ、約 5 nm であった。 今後はこの新規材料の燃料電池触媒としての機能

    を評価していく。

    (試作品 1)

    (試作品 2) 4.その他・特記事項(Others) 本課題に対し、共同研究者である九州大学大学院 工

    学研究院 応用化学部門 中嶋直敏教授より多大なご支援・ご助言を賜りました。この場をお借りして御礼申し

    上げます。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

    -以上-

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-14-KU-0045 利用形態 :共同研究 利用課題名(日本語) :カーボンナノチューブの分離に関する研究 Program Title (English) :Study on Separation of Carbon Nanotubes 利用者名(日本語) :橋本 剛 Username (English) :T. Hashimoto 所属名(日本語) :株式会社名城ナノカーボン Affiliation (English) :Meijo Nano Carbon Co., Ltd. 1.概要(Summary ) フラビン類用いたカーボンナノチューブの分離に

    関する九大との共同研究を促進するために、ナノテク

    PF 登録機器を活用する。名城ナノカーボン社は、数種の単層カーボンナノチューブを製造している。これ

    らはいずれも半導体カーボンナノチューブと金属性

    カーボンナノチューブの混合物である。九州大学は、

    これらの混合物の分離に関する優れた手法を開発し

    ている。ここでは、九州大学ナノテクプラットフォー

    ム登録機器を用いて、これら混合物の分離する手法に

    ついて習得することを目的とした。 2.実験(Experimental) 素材としては、市販の CoMoCAT 単層カーボンナノチューブを用いて、まず、ナノチューブの可溶化法を取

    得した。具体的には、界面活性剤(ドデシル硫酸ナト

    リウム)水溶液を用いて超音波で1時間分散、その後

    超遠心操作(10000g)で上澄み 80%を回収した。また、トルエン中で、半導体カーボンナノチューブと金

    属性カーボンナノチューブの分離剤(分離剤 A)を用いて、同様の操作で、可溶化溶液を作成した。これら

    の溶液に対して、九州大学ナノテクプラットフォーム

    登録機器で分析した。 3.結果と考察(Results and Discussion) 上記溶液の分析に対して、UV-Vis-近赤外分光光度計(日本分光社製 V-670ST)を用いて、可溶化 SWNTの吸収スペクトルを測定したところ、いずれの溶液で

    も近赤外吸収スペクト領域にシャープな単層カーボ

    ンナノチューブのスペクトルを観測した。次に、近赤

    外蛍光分光装置(NanoLog-3、HORIBA JOBIN YVON 社製)を用いて、可溶化溶液のフォトルミネッ

    センススペクトルを測定したところ、複数の(n,m)カイラリティを持つ単層ナノチューブのフォトルミネッセ

    ンスが明確に観測された。さらに、レーザーラマン顕微

    鏡(ナノフォトン Raman-touch)を用いて、ラマンスペクトルを測定したところ、界面活性剤では、半導体カー

    ボンナノチューブと金属性カーボンナノチューブのつ

    のピークが観測されたが、半導体カーボンナノチューブ

    と金属性カーボンナノチューブ分離剤を用いた溶液で

    は、半導体カーボンナノチューブのピークのみが観測さ

    れ、半導体カーボンナノチューブと金属性カーボンナノ

    チューブの分離が、効率よく進行したことがわかった。 以上より、半導体カーボンナノチューブと金属性カー

    ボンナノチューブの分離に対しての基本的な操作を取

    得できたことがわかった。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-14-KU-0046 利用形態 :共同研究 利用課題名(日本語) :アニオン型燃料電池電解質膜の構造、特性解明 Program Title (English) :Structure and property of anionic-type fuel cell polymer electrode membrane 利用者名(日本語) :柳 裕之 Username (English) :H. Yanagi 所属名(日本語) :株式会社トクヤマ Affiliation (English) :Tokuyama Corporation. 1.概要(Summary ) (株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電

    解質膜の構造、特性を解明する。アニオン型燃料電池

    用触媒は、白金ではなく安価なニッケルやコバルトを

    金属触媒として利用できるため、燃料電池の本格普及

    にたいして重要な位置を占めている。しかし、現状は、

    アルカリ中での耐久性が十分ではなく、高耐久性のニ

    オン型燃料電池用の電解質膜の開発が社会から強く

    要望されている。(株)トクヤマでは、これまで数種類

    のアニオン型燃料電池用の電解質膜を開発し、世界の

    アニオン型燃料電池用の電解質膜研究者に提供して

    きた。 ここでは、(株)トクヤマが開発したアニオン型燃料

    電池用の電解質膜の基礎特性の解明を九州大学ナノ

    テクノロジープラットフォームの協力のもと行った。 2.実験(Experimental) (株)トクヤマが開発した2種のアニオン型燃料電池

    用の電解質膜(電解質膜1、および電解質膜2)のア

    ルカリ中での安定性の経時変化を核磁気共鳴スペク

    トル、薄層クロマトグラフィ、および赤外分光スペク

    トル等を用いて追跡した。 3.結果と考察(Results and Discussion) 上記の2種の電解質膜の核磁気共鳴スペクトル、お

    よび赤外分光スペクトルを用いて追跡実験結果より、

    電解質膜のアルカリ中での安定性のメカニズムを考

    察した。電解質膜ポリマー主鎖とアンモニウム基の化

    学構造の位置関係が、安定性に対する重要なファクタ

    ーであることがわかった。 実際のアニオン型燃料電池用の電解質膜では、高耐

    久性アニオン伝導膜の研究では、50 ℃、RH=100%の

    条件において OCV 劣化試験の結果が 100 時間で 5%以内であることが要求される。しかしながら、今回使用の

    アニオン型燃料電池用の電解質膜では、これを満たして

    いないことがわかった。電解質膜ポリマー主鎖とアンモ

    ニウム基の化学構造の位置関係などの見直し、再度の分

    子設計、合成、およびそのアルカリ中での安定性の評価

    が要求される。 4.その他・特記事項(Others) なし。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

  • 課題番号 :S-15-KU-0027 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) :ナノカーボン材料の開発 Program Title (English) :Development of nanocarbon materials 利用者名(日本語) :小林 純 Username (English) :Atsushi Kobayashi 所属名(日本語) :株式会社 ADEKA 環境・エネルギー材料研究所 Affiliation (English) :ADEKA Corporation Enbironmental & Energy Materials Laboratory 1.概要(Summary) ナノカーボンに金属粒子を担持させた新規材料の

    開発を行っている。燃料電池評価装置を用いて、新規

    材料が燃料電池の触媒として機能することを実証し

    た。また、発電後の金属粒子の状態を電子顕微鏡で観

    察した。 2.実験(Experimental) 【利用した装置】

    1) 燃料電池評価装置 AutoPEM 2) 超高分解能走査電子顕微鏡 SU9000

    【実験方法】 1) 新規材料を組み込んだ単セルの作製、および同

    セルの出力測定。 セル温度:80 ℃、セル湿度:98%RH、 水素流量:0.1 L/min、空気流量:0.2 L/min 2) 1) で使用した後の新規材料について、担持した

    金属の粒子径や分布状態の観察。 測定モード:TE、倍率:100 万倍

    3.結果と考察(Results and Discussion) 試作した燃料電池単セルの出力評価を行った結果、

    妥当な I-V 曲線を確認でき、新規材料が燃料電池の触媒として機能する事を実証した (Fig.1)。 燃料電池評価後の新規材料を、電子顕微鏡を用いて

    観察したところ、金属粒子 (画像中の黒点) の凝集が観察された (Fig.2)。凝集は電池駆動時の出力低下に繋がるため、抑制できる材料を開発していく。

    (Fig. 1) (Fig. 2) 4.その他・特記事項(Others) 本課題に対し、共同研究者である九州大学大学院 工

    学研究院 応用化学部門 中嶋直敏教授より多大なご支援・ご助言を賜りました。この場をお借りして御礼申し

    上げます。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-15-KU-0036 利用形態 :共同研究 利用課題名(日本語) :ナノポーラスカーボン電極材料の創製と燃料電池への応用 Program Title (English) :Development of nanoporous electrode materials and their application to fuel cell 利用者名(日本語) :森口 勇 Username (English) :I. Moriguchi 所属名(日本語) :長崎大学大学院工学研究科 Affiliation (English) :Graduate School of Engineering, Nagasaki University 1.概要(Summary ) 低炭素社会の実現に向けて、燃料電池や Li イオン二次電池、キャパシタなどの電気化学デバイスの高性能

    化が望まれている。しかしながら、資源量や安定性、

    安全性などの制約により現実的に利用できる活物質

    材料は限られ、デバイスの高性能化には限界が見えつ

    つある。元素戦略を考慮した開発のためには、物質本

    来の機能をデバイスにおいて如何にして最大限に発

    揮させるかが重要な課題の一つである。 申請者らは、これまでナノ多孔電極材料の開発を手

    がけ、メゾ・マクロ多孔カーボンの細孔内では高速イ

    オン移動が可能であることや、多孔化による高比表面

    積化やナノ厚みの活物質壁形成が電荷移動抵抗や固

    相内 Li イオン拡散抵抗の低減に有効であること等を明らかにしてきた。 本研究では、ナノポーラスカーボン(NanoPC)をポリ(ピリジンベンズイミダゾール)(PyPBI)で被覆し、これに白金(Pt)微粒子を担持させ、さらにその上に、ポリビニルホスホン酸(PVPC)でコートした燃料電池触媒(NanoPC/PyPBI/Pt/PVPA)を作製し、その触媒の一酸化炭素(CO)被毒について調べた。また、比較のため市販のカーボンブラック(CB)/PyPBI/Pt/PVPA 触媒を合成した。 2.実験(Experimental) 作製した NanoPC/PyPBI/Pt/PVPA の一酸化炭素(CO)被毒(CO 耐性)実験は、過去に報告の方法を踏襲して行った。 3.結果と考察(Results and Discussion) 合成したNanoPC/PyPBI/Pt/PVPAの模式図を図1に示した。

    図1. NanoPC/PyPBI/Pt/PVPA の模式図 CO 耐性は、CO stripping voltammogram 測定は、1.0 ~ 1.5 V vs. RHE 、掃引速度 50 mV/s、温度 60˚Cで評価した。この結果、NanoPC/PyPBI/Pt/PVPA は、CB)/PyPBI/Pt/PVPA に比較して、はるかに高い CO 耐性を有していることが明らかになった。1)これは、ナノカー

    ボンが、~2nm という微細なナノポアを有していることに起因していると推定できる。 4.その他・特記事項(Others) なし 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) 1. Z. Yang, I. Moriguchi, N. Nakashima, “A

    Highly-durable CO-torelant Poly(vinylphosphoric acid)-coated Electrocatalysy Supported on a Nanoporous Carbon, ACS Appl. Mater. Interfaces, 2016, 8, 9030–9036.

    6.関連特許(Patent) なし

    PyPBI Pt PVPA

    NanoPC NanoPC/PyPBI NanoPC/PyPBI/Pt NanoPC/PyPBI/Pt/PVPA

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-15-KU-0037 利用形態 :共同研究 利用課題名(日本語) :カーボンナノチューブの分離に関する研究 Program Title (English) :Study on Separation of Carbon Nanotubes 利用者名(日本語) :橋本 剛 Username (English) :T. Hashimoto 所属名(日本語) :株式会社名城ナノカーボン Affiliation (English) :Meijo Nano Carbon Co., Ltd. 1.概要(Summary ) フラビン類用いたカーボンナノチューブの分離に関

    する九大との共同研究を促進するために、ナノテク

    PF 登録機器を活用する。フラビン類用いたカーボンナノチューブの分離に関する九大との共同研究を促

    進するために、ナノテク PF 登録機器を活用する。名城ナノカーボン社は、数種の単層カーボンナノチュー

    ブを製造している。これらはいずれも半導体カーボン

    ナノチューブと金属性カーボンナノチューブの混合

    物である。九州大学は、これらの混合物の分離に関す

    る優れた手法を開発している。ここでは、九州大学ナ

    ノテクプラットフォーム登録機器を用いて、これら混

    合物の分離するフラビン化合物の合成スキームの決

    定、並びに合成技術の習得を目的とした。 2.実験(Experimental) 九州大学ナノテクノロジープラットフォームとの話

    し合いで、以下の合成スキームで、半導体カーボンナ

    ノチューブと金属性カーボンナノチューブの分離材

    としてフラビン A を選択し、この合成として、以下の合成スキームを決定した。 スキーム1

    スキーム2

    フラビン A

    3.結果と考察(Results and Discussion) 上記の合成スキームによるフラビン A の合成法の取得を九州大学ナノテクプラットフォームの指導により取

    り組んだ。まず、スキーム1によるアロキサンへの長鎖

    アルキル基の導入実験を行った。目的物は、核磁気共鳴

    スペクトル、紫外可視吸収スペクトル、赤外吸収スペク

    トル、並びに元素分析により合成が成功していることを

    確認した。次にスキーム2によるフラビン A の合成について検討した。スキーム1と同様に、核磁気共鳴スペク

    トル、赤外スペクトル、元素分析により合成を確認した

    が、まだ純度が十分でなく、さらなる精製を必要とする

    ことがわかった。 4.その他・特記事項(Others) なし。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

    NH2

    NH2

    Cl

    THF, Et3N70oC, 6h

    HN

    NH2

    C12H25

    B2O3, CH3COOH60oC, overnight

    N

    N

    NH

    NC12H25

    O

    O

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-15-KU-0045 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) :新規ナノ合金触媒の開発 Program Title (English) :Development of novel nanoalloy catalysts 利用者名(日本語) :山内 美穂 Username (English) :M. Yamauchi 所属名(日本語) :九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所 Affiliation (English) :International Institute for Carbon-Neutral Energy Research, Kyushu University 1.概要(Summary )

    In recent years, transition metal oxide spinels have been intensively studied as promising bifunctional electrocatalysts for oxygen reduction-oxidation reactions. In this work, we successfully in-situ synthesized MCo2O4 (M=Ni, Mn, and Co) nanoparticles (3~6 nm) on polymer-wrapped pristine multi-wall carbon nanotubes (MWNT/polymer) based on a solvothermal method. The effect of the temperature of solvothermal treatment, the concentration of precursors, and the addition of ammonia water on the morphology and electrocatalytic performance of the resultant catalysts was investigated. Furthermore, a homemade zinc-air battery using MWNT/polymer/NiCo2O4 cathode and zinc anode was fabricated and a promising power density of 47 mW cm-2 was obtained at 25°C.

    2.実験(Experimental)

    The MWNTs (15 mg) were mixed with PyPBI (5 mg) in DMAc (20 mL) and sonicated for 6 h to form PyPBI-wrapped MWNTs (MWNT-PyPBI). Nickel acetylacetonate (8.8 mg), cobalt acetylacetonate (17.5 mg), and MWNT-PyPBI (10 mg) were then sonicated in ethanol (30 mL), water (1.9 mL), and ammonia water (0.6 mL) for 15 min. The obtained suspension was then refluxed at 80 °C for 20 h, and subsequently transferred to a Teflon autoclave (60 mL) for a solvothermal treatment at 150 °C for 3 h. The obtained composite catalyst was denoted MWNT-PyPBI-NixCo3-xO4. For comparison, nickel acetylacetonate (22.6 mg) or cobalt acetylacetonate (26.3 mg) was separately used following the same preparation procedure, and the products were denoted as MWNT-PyPBI-Ni(OH)2 and MWNT-PyPBI-Co3O4, respectively. In order to clarify the

    role of PyPBI, bare MWNTs were also used as the support for the Ni/Co oxide and Ni(OH)2. The crystal structure was characterized by X-ray diffraction analysis (XRD, SmartLab, Rigaku Corp.). The microstructures of the catalysts were observed using an SU9000 (Hitachi High-Technologies) op-erated at 30 kV. The electron conditions were determined by X-ray photoelectron spectroscopy (XPS, AXIS-ULTRA, Shimazu Corp.). The crystallinity of the MWNTs was evaluated by Raman spectroscopy (533nm, Raman-touch, Nanophoton Corp.).

    3.結果と考察(Results and Discussion)

    Pristine multi-walled carbon nanotubes (MWNTs) were wrapped by pyridine-based polybenzimidazole (PyPBI) to which uniform NixCo3-xO4 nanocrystals were homogeneously deposited by the solvothermal method without damaging the MWNTs, in which PyPBI acted as efficient anchoring sites for the deposition of spinel oxide nanocrystals with ~5 nm size. The obtained catalyst (MWNT-PyPBI-NixCo3-xO4) outperformed most state-of-the-art non-precious metal-based bifunctional catalysts; namely, for OER, the potential at 10 mA cm-2 and Tafel slope in 1 M KOH solution were 1.54 V vs. RHE and 42 mV dec-1, respectively. For ORR, the onset and half-wave potentials are 0.918 V and 0.811 V vs. RHE, respectively. Moreover, the MWNT-PyPBI-NixCo3-xO4 demonstrates an excellent durability for both ORR and OER.

    4.その他・特記事項(Others) None 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) (1)Jun Yang, 藤ヶ谷剛彦,中嶋直敏, 電気化学会第 83 回大会, 平成28年3月 6.関連特許(Patent) None

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-15-KU-0051 利用形態 :共同研究 利用課題名(日本語) :アニオン型燃料電池電解質膜の構造、特性解明 Program Title (English) :Structure and property of anionic-type fuel cell polymer electrode membrane 利用者名(日本語) :磯村 武範 Username (English) :T. Isomura 所属名(日本語) :株式会社トクヤマ Affiliation (English) :Tokuyama Corporation. 1.概要(Summary ) (株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電

    解質膜の構造、特性を解明する。アニオン型燃料電池

    用触媒は、白金ではなく安価なニッケルやコバルトを

    金属触媒として利用できるため、燃料電池の本格普及

    にたいして重要な位置を占めている。しかし、現状は、

    アルカリ中での耐久性が十分ではなく、高耐久性のニ

    オン型燃料電池用の電解質膜の開発が社会から強く

    要望されている。(株)トクヤマでは、これまで数種類

    のアニオン型燃料電池用の電解質膜を開発し、世界の

    アニオン型燃料電池用の電解質膜研究者に提供して

    きた。九州大学が開発した PBI 修飾カチオン型ポリマー電解質膜と(株)トクヤマが開発したアニオン型燃

    料電池用の電解質膜の比較評価、並びに、九州大学が

    開発した PBI 修飾カチオン型ポリマー触媒と株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電解質膜を

    用いて、電解質膜接合体(MEA)を作製して、その性能を評価した。 2.実験(Experimental) 九州大学が開発した PBI 修飾カチオン型ポリマー電解質膜と(株)トクヤマが開発したアニオン型燃料

    電池用の電解質膜をアルカリ水溶液に浸漬し、得られ

    たポリマーを九州大学ナノテクノロジープラットフ

    ォーム登録の X 線光電子分光機器、ならびに核磁気共鳴スペクトル、走査型電子顕微鏡で分析した。また、

    九州大学が開発した PBI 修飾カチオン型ポリマー触媒と株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の

    電解質膜を用いて、電解質膜接合体(MEA)を作製して、九州大学ナノテクノロジープラットフォーム登録の

    燃料電池特性評価装置で、その特性を評価した。

    3.結果と考察(Results and Discussion) 実際のアニオン型燃料電池用の電解質膜では、高耐久

    性アニオン伝導膜の研究では、50 ℃、RH=100%の条件において OCV 劣化試験の結果が 100 時間で 5%以内であることが要求される。しかしながら、九州大学が開発

    した PBI 修飾カチオン型ポリマー電解質膜と(株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用の電解質膜は、い

    ずれも、アルカリ中での安定性が十分ではないことがわ

    かった。 一方、九州大学が開発した PBI 修飾カチオン型ポリマー触媒と株)トクヤマが開発したアニオン型燃料電池用

    の電解質膜を用いて作製の電解質膜接合体(MEA)は、燃料電池特性評価装置でのポーラリゼションカーブ測定

    で、50mW/cm2程度のパワー密度を示すことが明らかになった。 4.その他・特記事項(Others) なし。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-15-KU-0054 利用形態 :技術代行 利用課題名(日本語) :コンクリート中塩分濃度の調査 Program Title (English) :Investigation of concrete in salinity 利用者名(日本語) : 松井 良浩 Username (English) : Yoshihiro. Matsui 所属名(日本語) : 南信環境管理センター株式会社 Affiliation (English) : Nanshinkannkyoukannricenter, Co., Ltd. 1.概要(Summary ) コンクリート中の塩分濃度を定量し、コンクリート

    の劣化を事前予測できる調査方法を開発する為の調

    査の一環。 今回は、塩分を入れた水試料が、特定の光に対して

    特徴的な吸収または、反射をするのかを知るためにス

    ペクトル解析を行った。 (単純に塩分がどの光に特徴的に反応するかを調べる為) 2.実験(Experimental)

    まずは段階的な塩分濃度の水試料を幾つか作成し、

    それぞれの試料を 165~3300nm 範囲で吸光度のスペクトラムを解析した。 深紫外線領域の吸収スペクトルも確認したかった

    為、解析装置は、藤ヶ谷剛彦准教授から紹介して頂い

    た、『島津 DUV3700』を使用し、テクニカルスタッフの廣渡和生さんに技術代行で解析実験をお願いした。

    3.結果と考察(Results and Discussion) 下の図は、2016 年 2 月 10 日に行ったスペクトル解析

    の結果である。 塩化カルシウム 1ppm、10ppm、100ppm と塩化ナト

    リウム 1ppm、10ppm、100ppm の 2 物質においてそれぞれ 3 水準のスペクトル解析を行い、特に 165nm~200nm 付近で濃度に応じて、少しずつ吸光度が高くなり、ある程度の相関があることがわかる。 (塩化カルシウム 100ppm と塩化ナトリウム 100ppmのスペクトルはほぼ重なっている) ただし、塩化カルシウム、塩化ナトリウムともに 1p

    pmの低濃度の試料でも吸光度が 1.8ABS 付近の高い値となっており、他高濃度の 2 試料の吸光度増加分を考えると、この付近(165nm~200nm)の吸収は塩分以外の水による吸収がほとんど占有してることが考えられる。 しかしながら、165nm~200nm の波長領域で、水中に

    おける塩化物の量に応じて、微量ながらも吸光度の増加

    0

    0.5

    1

    1.5

    2

    2.5

    3

    165 175 185 195 205 215 225 235 245 255 265 275 285 295 305 315 325 335 345

    塩化カルシウム 1 ppm 塩化カルシウム 10 ppm 塩化カルシウム 100 ppm

    塩化ナトリウム 1 ppm 塩化ナトリウム 10 ppm 塩化ナトリウム 100 ppm

    nm(波長)

    ABS 160210 九州大学 解析まとめ

  • 【調査資料(2)】 がみられることが分かった。

    4.その他・特記事項(Others) なし。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0001 利用形態 :技術代行 利用課題名(日本語) :フッ素樹脂シートの表面改質 Program Title (English) :Surface modification of fluororesin sheet 利用者名(日本語) :大里 敦志 Username (English) :Ohsato Atsushi 所属名(日本語) :中興化成工業 株式会社 Affiliation (English) :CHUKOH CHEMICAL INDUSTRIES, LTD. 1.概要(Summary )

    PTFE (Polytetrafluoroethylene, – [CF2–CF2]n– ), PFA (Perfluoroalkoxyfluoroplastics, –[CF2 – CF2]n – [CF2 – CF(OCF2CF2CF3)]m– ) 等のフッ素系樹脂材料は、耐熱性・耐薬品性・電気絶縁性・ガスバリ

    ア性・難燃性・電気特性・低摩擦性などにおいて優

    れた性能を有することから様々な用途展開が図られ

    ている。しかしながらフッ素樹脂は、自己または他

    物質と接着し難く、積層化やめっきが極めて困難で

    ある。これらを可能にできれば多方面の応用が開け

    る。 フッ素樹脂を異種材料と接着する為には、通常、表

    面処理が不可欠である。PTFE の場合、金属ナトリウム錯体溶液を用いる処理法が現在主流であり、高い接

    着力が得られるものの、環境面からクリーンな代替手

    法が望まれている。そこで、ドライエッチング 1-2) に

    よる PTFE の表面改質技術の検討を行った。 2.実験(Experimental)

    PTFE スカイブドフィルム(厚さ 0.10 mm:中興化成工業製)の片面をドライエッチング処理した。 電子状態測定システム AXIS-ULTRA( XPS 装置:

    島津製作所製)を用いて(技術代行)、表面をドライエ

    ッチングにより改質した PTFE フィルムの元素分析を行った。 3.結果と考察(Results and Discussion) 片面をドライエッチング処理したフィルムに対し、

    純水(表面張力 72 mN/mm )の濡れ性を確認したところ、処理面は濡れ、未処理面はハジけた。通常の

    PTFE の水接触角は 114o でありハジけるが、ドライエッチング処理によって親水性官能基がフィルム表

    面に修飾されたものと推測される。 次に片面をドライエッチングしたフィルムの、未処

    理面および処理面の XPS 分析結果を表 1 に示す。 表 1 XPS により得た PTFE 表面の原子比(%)

    元素 未処理面 処理面

    C 1s 31.7 57.1

    F 1s 68.2 32.0

    O 1s 0.06 9.8

    N 1s 0.00 1.1

    計 100.0 100.0

    通常の PTFE は理論上、酸素 O、窒素 N を含まず、炭素 C : フッ素 F = 1:2 の原子比(理論値)で構成される。

    表 1 より、未処理面の原子比は理論値に近いことが分かる。 一方、処理面には炭素 C およびフッ素 F の他に、酸素 O および窒素 N 元素が含まれていることが分かった。これは、水の濡れ性が向上したことからも、ド

    ライエッチングに伴い酸素 O および窒素 N を含む極性官能基がフィルム表面に修飾されたことを示唆する。ま

    た、フッ素 F よりも炭素 C の比率が大きくなっており(表 1 処理面)、これは PTFE 高分子鎖中のフッ素原子 F がドライエッチングにより系外へ排出されたため(C-F 結合の切断と F の放出)と考えられる 2)。4.その他・特記事項(Others) <参考文献> 1)遠藤正雄, 長瀬智洋,フッ素樹脂の表面改質法,

    特願平 5-12500, 出願日平成 5 年 1 月 28 日. 2)木上裕貴, 藤原圭子, 村木勇三, 接着シート,

    特願 2014-36426, 出願日平成 26 年 2 月 27 日.

    5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。

    6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0002 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) :カーボンナノ材料の電子デバイスへの応用 Program Title (English) :Application for electronic devices using carbon nanomaterials 利用者名(日本語) :竹村 直人 Username (English) :Naoto Takemura 所属名(日本語) :タツタ電線株式会社 Affiliation (English) :Tatsuta Electric Wire & Cable Co., Ltd. 1.概要(Summary ) 単層カーボンナノチューブは、電流容量や導電性の

    観点から、従来の金属系フィラーに替わる新たな電子

    材料として期待される。本検討では、単層カーボンナ

    ノチューブの結晶性を低下させることなく高純度化

    を達成する目的で、高純度化処理したサンプルの結晶

    性を評価した。本年度は高純化処理により G/D 比のばらつきが増加し結晶性が不均一化していることが

    示唆されたが、結晶性の不均一化を抑制するための条

    件を最適化するまでには至らなかった。 2.実験(Experimental) <使用した機器> ・プローブ型顕微ラマン分光測定装置 ・高速レーザーラマン顕微鏡 単層カーボンナノチューブ粉体を還元雰囲気中で

    焼成し、金属触媒を除去することを試みた。TG-DTAでは、高純度化処理前(Metal:8 wt%)⇒高純度化処理後(Metal:1~2 wt%)と炭素重量比の増加を確認した。次に、高純度化前後のサンプルをスライドガラ

    スに乗せてラマン分光測定し(同じサンプルで計 5 箇所)、G バンドおよび D バンドの強度比を求めた。 3.結果と考察(Results and Discussion) 高純度化処理前と高純度化処理後の単層カーボン

    ナノチューブ粉体をそれぞれ Igor pro 6のmulti peak fitting で 1160cm-1~1700cm-1の波数領域でのフィッティングを行った。ガウシアン関数で外挿しピーク強

    度とピーク面積を求め、それぞれの平均値から G/D 比を算出した。結果を図1、図2に示す。

    図1.高純度化処理前後の G/D 比(面積比)

    図2.高純度化処理前後の G/D 比(強度比)

    結果として、強度比、面積比ともに高純度化処理前後

    での有意差は認められなかった。しかしながら処理後に

    おいて誤差(ばらつき)が増加していることから、単層

    カーボンナノチューブ粉体の測定箇所によって結晶性

    にむらが生じていることが示唆される。以上のことから、

    顕著な差異は生じていないものの、結晶性がわずかに不

    均一化していると考えられる。 4.その他・特記事項(Others) なし。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0003 利用形態 :技術代行

    利用課題名(日本語) :コンクリート中塩分濃度の調査

    Program Title (English) :Investigation of concrete in salinity 利用者名(日本語) :松井 良浩

    Username (English) :Y. Matsui 所属名(日本語) :南信環境管理センター株式会社

    Affiliation (English) :Nanshinkannkyoukannricenter, Co., Ltd.

    1.概要(Summary ) コンクリート中の塩分濃度を定量し、コンクリート

    の劣化を事前予測できる調査方法を開発する為の調

    査の一環。 昨年度、塩分入りの水試料についてスペクトル解析

    を行っい、塩分濃度に応じてスペクトル強度に相関が

    みられた。 今回は、塩分を入れたコンクリート試料について、

    スペクトル解析を行った。 2.実験(Experimental) 段階的な塩分濃度のコンクリートを幾つか作成し、

    それぞれの試料を 165~3300nm 範囲で反射強度のスペクトラムを解析した。(試料は 1 ㎝四方の小さいものである)

    解析装置は昨年度と同様、『UV-Vis-NIR 分光光度計』を使用し、試料が固体となる為、積分球をオプション

    として、テクニカルスタッフの廣渡和生さんの解析の

    元、技術代行で実験を行った。

    3.結果と考察(Results and Discussion) 下の図は、2016 年 6 月 6 日から 8 日にかけて行

    ったスペクトル解析の結果であり、純水で作製した

    コンクリート試料と塩化物イオン入りの水で作製

    した、0.1kg/m3、0.2kg/m3の コンクリート試料、これら 3 水準の反射スペクトラムである。

    水試料の場合、深紫外部の波長領域で吸光度の相

    関がみられたのに対して、コンクリート試料の場合、

    大きなスペクトル形状の違いは見られないものの、

    やはり深紫外部でのスペクトル強度に微小ではあ

    るが、濃度水準ごとに差があるように思われる。 ただし、再現性があるかどうかは現段階では断定

    できず、試料の形状の問題、装置の状態など、いくつ

    かの誤差要因も考えられる為、今回の試験結果により、

    決定的な相関が見られたと言うことは難しい。

    4.その他・特記事項(Others) なし。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0004 利用形態 :技術代行 利用課題名(日本語) :例外的に保存の良い化石の眼に残された化学物質の同定 Program Title (English) :Chemical identification of exceptionally preserved fossil eyes 利用者名(日本語) :田中 源吾 Username (English) :Gengo Tanaka 所属名(日本語) :熊本大学 合津マリンステーション Affiliation (English) :Aitsu Marine Station, Kumamoto University. 1.概要(Summary ) 例外的に軟組織が保存された眼について、化学的視点

    からもその存在の有無を確認し、眼の軟組織の化石化

    について検討する。今回は、上海科技館の周博士と共

    同研究中の白亜紀の絶滅鳥類の標本と、現生の鳥の眼

    の光感受器の特定の領域についての化学分析をおこ

    ない、オリジナルな化学成分が保存されているかどう

    か調査した。 2.実験(Experimental) 九州大学工学部の楊井先生の研究室の MALDI-TOFを使用させていただき、化石および現生の鳥の網膜表

    面の化学物質の同定を行った。まず、イオン化を助け

    るために検体(タンパク質)に DHB をまぜ,エタノールを混ぜ、MTB384 ground stage に溶けた溶液を滴化し、デシケーター内で乾燥させ MALDI-TOF 分析を行った。 3.結果と考察(Results and Discussion)

    分析結果は上の図の様になった。化石では、網膜表面に

    存在する高分子有機物は検出されなかった。しかしなが

    ら現生の鳥では、多数の高分子のピークが検出された。

    これらは今後各、高分子を単離して同定する必要がある。

    オプシンについては例えばウサギの眼で 41677, 41655, 41735, 41670 といったところにピークが確認されている。本研究でも現生の鳥の網膜において、41735 にピークが見られ、これはおそらくオプシンであると考えられ

    る。現在は、オプシン,クリスタリン等,眼や網膜の各

    組織を作る物質を単独に検出するような媒体を作成し、

    化石にそれらが保存されているかどうか検討中である。 4.その他・特記事項(Others) 本研究を進めるにあたって、周保春博士をはじめとする

    上海科技館の学芸員の皆様には、標本の採集に御協力い

    ただいた。また、平成 28 年熊本地震に関して、研究施設を快く開放していただいた九州大学分子・物質合成プ

    ラットフォームの方々に感謝の意を表します。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0005 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) :プラズマと生体相互作用機構の研究 Program Title (English) :Study on kinetics of interaction between plasmas and living body 利用者名(日本語) :サリノント タパナット, 古閑 一憲 Username (English) :Thapanyt Sarinont, Kazunori Koga 所属名(日本語) :九州大学大学院システム情報科学研究院 Affiliation (English) :Faculty of Information Science and Electrical Engineering, Kyushu University 1.概要(Summary )

    ナノ粒子は、ドラッグデリバリなど医療分野への

    応用が期待されている。しかしながら、ナノ粒子の毒

    性がしばしば指摘されている[1]。筆者等は、ナノ粒子の毒性を調べる上で重要な知見を与えるナノ粒子の

    体内動態を明きらかにするため、In 系ナノ粒子を作製した。In は生体内に存在しない元素であり、極微量分析を可能とする。図1に体内動態研究のコンセプトを

    示す。本研究では、液中プラズマで作製した In 系ナノ粒子をラットの皮下に投与し、内臓への In 輸送を計測することで、ナノ粒子の体内動態を評価した。

    Fig. 1. Concept of studying kinetics of nanoparticles in living body. 2.実験(Experimental)

    In ナノ粒子の作製実験では、純水中に浸した In 棒と In 板の間にパルス電圧を印加して放電を生成した[2]。放電電圧と周波数はそれぞれ 9.2kVt と 10kHz とした。作製したナノ粒子の 1 次粒子と 2 次粒子のサイズはそれぞれ、透過型電子顕微鏡(日本電子 JEM-2100)と動的散乱計測装置(大塚電子 ELS-Z)を用いて計測した。

    3.結果と考察(Results and Discussion) 図2に実験前と実験後の水の写真を示す。放電終了後、

    水は透明から黄色に変化する。放電終了後、上澄み液を

    採取して、透過電子顕微鏡と動的散乱計測装置を用いて

    サイズを計測したところ、一次粒子と二次粒子のサイズ

    はそれぞれ 7nm と 315nm であった。

    Fig. 2. Water color before and after discharges. ナノ粒子の化学組成と構造を計測するため、ラマン分

    光法、エネルギー分散X線分光法、X線回折法を用いた。ラマン分光計測結果より、ナノ粒子中に In2O3 が含まれていることを明らかにした。エネルギー分散 X 線分光と、X 線回折計測結果より、In および水酸化 In の結晶粒子が発生しており、その組成比は 8:2 であることを明らかにした。 作製した In ナノ粒子を用いて、ラット(Wister rat, male (Crlj:WI))の皮下にナノ粒子を投与した。皮下投与後、内蔵、血液、糞尿を採取し、それぞれのサンプル

    の In 濃度を ICP 質量分析器を用いて計測した。投与 36週間後、皮下に投与した In ナノ粒子の1%が皮下から内蔵に、2%が糞尿に輸送している事を明らかにした。

    また尿の動的散乱計測から In ナノ粒子が検出されており、In ナノ粒子が、皮下から血液を介して内蔵へ輸送されていることを示唆する結果を得た。

  • 【調査資料(2)】 生体内輸送とナノ粒子サイズの関係について、試験

    的に調べた所、一次粒子のサイズが小さいほど、ナノ

    粒子が迅速に体内に移行することを明らかにした。 以上の結果は、作製した In 系ナノ粒子がナノ粒子の生体内動態評価に有用であることを示している。 参考文献 [1] A. Tanaka, M. Hirata, Y. Kiyohara, M. Nakano, K. Omae, M. Shiratani, and K. Koga, Thin Solid Films, 518, 2934 (2010). [2]T. Amano, T. Sarinont, K. Koga, M. Hir1ata, A. Tanaka, and M. Shiratani, J. Nanosci. Nanotechonl., 15, 9298 (2015). 4.その他・特記事項(Others) 本研究の一部は、科学研究費補助金 課題番号24108009、26246036、16H05257 のサポートを受けた。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) (1) 田中昭代, 平田美由紀, 松村渚, 古閑一憲, 白谷正治, 第 27回日本微量元素学会学術集会, 2016-07-30. (2) K. Koga, A. Tanaka, M. Hirata, T. Amano, T. Sarinont, H. Seo, N. Itagaki, M. Shiratani, 9th International Symposium on Advanced Plasma Science and Its Applications for Nitrides and Nanomaterials / 10th International Conference on Plasma Nanotechnology and Science (ISPlasma2017/IC-PLANTS2017), 2017-03-02. 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0006 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) :ナノ空間制御によるアニオン型 PEFC 正極高活性化 Program Title (English) :Development of Anion-type PEFC by controlling nano-space 利用者名(日本語) :永山 まゆみ, 楊 紅梅, 林 灯 Username (English) :M. Nagayama, H. Yang, A. Hayashi 所属名(日本語) :九州大学水素エネルギー国際研究センター Affiliation (English) :Industrial Research Center for Hydrogen Energy, Kyushu University 1.概要(Summary ) アニオン型燃料電池の開発および高温作動化に向け

    て、カーボンのナノ構造を制御した電極触媒の研究を

    行った、主に、モデル電極触媒を作成し、その性能評

    価を行った。その中で、電極触媒の材料解析において、

    ナノテク PF 支援を利用した。 2.実験(Experimental) 電子状態測定システム AXIS-ULTRA(島津製作所社製) を用いて、窒素、炭素、カーボン、貴金属の結

    合エネルギーを解析した。各種結合エネルギーを分離

    解析することで、同じ元素でも結合状態の違いについ

    て調べ、性能との相関性を評価した。 3.結果と考察(Results and Discussion) 窒素ドープカーボンの合成条件(前駆体合成比および

    熱処理温度)により、窒素含有量や窒素の結合エネル

    ギー(結合状態)が異なることが明らかとなった。窒

    素の含有量や結合状態と電極触媒性能(ここでは酸素

    還元活性)相関性を検討した。残留金属種の影響につ

    いても、調査した。更なるデータ蓄積が必要であるも

    のの、ある程度の相関性は明らかになってきた。 また、別のサンプルでは、貴金属の表面状態を解析す

    ることで、何が活性点で、どの状態が活性向上に適切

    かなどの評価も行った。 4.その他・特記事項(Others) 共同研究費(デンソー)「配位高分子(CP)電解質を用いた新規中温燃料電池(CPFC)の高性能化に関する研究」および、JST-ASTEP「イオン伝導性配位高分子を電解質に用いた燃料電池の研究開発」により実 施した。

    5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0007 利用形態 :機器利用

    利用課題名(日本語) :金属ナノ粒子の表面修飾とバイオ機能化

    Program Title (English) :Surface Modification and Bio-functionalization of Metal Nanoparticles 利用者名(日本語) :新留 康郎

    Username (English) :Yasuro Niidome 所属名(日本語) :鹿児島大学

    Affiliation (English) :Kagoshima University

    1.概要(Summary ) 金ナノロッドは金イオンの脱離効率が高く、金イオンを検

    出するプローブとして利用可能である。これまでの研究で、

    肝臓や腫瘍組織の切片に分布する金ナノロッドをイメージ

    ング質量分析で明らかにすることができた。本研究では、

    ナノ粒子の形状やサイズによってイオン化効率がどのよう

    に変化するかを検討した。イオン化効率に優れたサイズ・

    形状の金ナノ粒子を検索し、生体分子検出に適したマス

    プローブの実現をめざす。

    2.実験(Experimental) ニワトリの肝臓組織切片に金ナノロッドと球状金ナノ粒子

    (直径 15–72 nm)の溶液をキャストし、通常の MALDI-MS 装置(Autoflex, Bruker)によって脱離する金イオンを検出した。金ナノ粒子溶液はレーザーの波長である

    355nm で一定(0.043)になるように調製した。イメージング質量分析によってナノ粒子をキャストした部位から得ら

    れる金イオン(Au+)強度を比較した。

    3.結果と考察(Results and Discussion) 球状粒子の体積とイオン検出強度の相関を Fig. 1 に示す。体積が大きいと強いシグナルが得られるが、直径 72 nm の粒子のイオン化強度は小さくなることが分かった。イオン化に適した粒子サイズがあることが分かった。金ナノ

    ロッドは同サイズの球状粒子よりも明らかにシグナル強度

    が高い。金ナノロッドは金イオンの脱離効率が高く、優れ

    たマスプローブとして機能することが明らかになった。

    Fig. 1 金イオンのイメージング質量分析 m/z = 197 (Au+)

    4.その他・特記事項(Others) なし。

    5.論文・学会発表(Publication/Presentation) 1. D. Muko, Y. Inoue, A. Nishitani, Y. Niidome, Anal.

    Methods, 2017, 9, 1177-1184. 2. T. Kitamura, Y. Niidome, Bull. Chem. Soc. Jpn.,

    2017, 60, 161-168. 3. A. Kiya, Y. Tsuru, Y. Niidome, Chem. Lett., 2016, 45,

    1376-1378.

    6.関連特許(Patent) 水生生物用標識剤及び水生生物水生生物の標識方法

    発明者:新留康郎、出願番号:特願 2016-235699、出願人:国立大学法人鹿児島大学、出願日:2016 年 12 月 5 日

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0008 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) :ゾレドロン酸とフルバスタチンの併用によるヒト膵臓がん細胞増殖抑制の増強効果 Program Title (English) :Synergistic antitumor effects of Zoledronic acid and Fluvastatin in human

    pancreatic cancer cell lines. 利用者名(日本語) :松林 健太 , 徳永 あゆみ Username (English) :Kenta Matsubayashi, Ayumi Tokunaga 所属名(日本語) :九州大学薬学部臨床薬学科臨床育薬学分野 Affiliation (English) :Department of Clinical Pharmacy and Pharmaceutical Care, Graduate School of

    Pharmaceutical Sciences, Kyushu University 1.概要(Summary ) ゾレドロン酸またはリポソーム封入したゾレドロン

    酸とフルバスタチンのヒト膵臓がん細胞に対する殺

    細胞効果、抗腫瘍効果、転移抑制効果について in vitro 及び in vivo で調べ、また併用での各効果の増強について確認する。 2.実験(Experimental) 【使用機器】 ゼータサイザーゼータ電位・粒子径・分子量測定装置

    マルバーン社製/Nano-Zs 【実験内容】 作製したリポソーム封入ゾレドロン酸(Lipo-ZOL)および薬剤未封入の空のリポソーム(Empty-Lipo)の粒子径およびゼータ電位の測定。 3.結果と考察(Results and Discussion) 粒子径は Lipo-ZOL、Empty-Lipo ともに 100nm-200nm の値を示した。ゼータ電位は 30mV 程度の値を示し、作製したリポソームはカチオン性であること

    が分かった。 カチオン性のリポソームであるということは、つまり

    粒子表面が正に帯電しているということである。その

    ため、膜表面が負に帯電している細胞と相互作用し、

    細胞への取り込みが増大すると考えられる。そのため、 in vitro の実験において、ゾレドロン酸と比較してリポソーム封入ゾレドロン酸は細胞障害性が向上する

    と考えられる。 また、 in vivo においても、EPR 効果による抗腫瘍効果増大が期待できる。

    4.その他・特記事項(Others) EPR効果 (Enhanced Permeation and Retention effect) 腫瘍組織の周辺の新生血管は、通常の血管に比べ構造が

    不完全であり、隙間(200-300nm 以下)の空いた構造をしている。そのため、通常の血管は透過しない高分子

    化合物が透過し、腫瘍組織に到達する。さらに、腫瘍組

    織ではリンパ系が未発達であるため、到達した物質が蓄

    積する。このような特性を EPR 効果と呼ぶ。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0009 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) : Program Title (English) : 利用者名(日本語) : Username (English) : 所属名(日本語) : Affiliation (English) : 1.概要(Summary ) 公開猶予のため、以下空欄

    2.実験(Experimental) 3.結果と考察(Results and Discussion)

    4.その他・特記事項(Others) 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) 6.関連特許(Patent)

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0010 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) :新規炭素繊維表面改質手法の開拓 Program Title (English) :Development of the novel surface modification method for carbon fiber 利用者名(日本語) :百田 将吾 Username (English) :S. Momota 所属名(日本語) :九州大学大学院工学府航空宇宙工学専攻 Affiliation (English) :Department of Aeronautics and Astronautics, Graduate School of Engineering,

    Kyushu University 1.概要(Summary ) 炭素繊維強化プラスチックの更なる高弾性高強度化

    には炭素繊維と樹脂マトリックスの界面結合強化が

    必要である。そのためには炭素繊維表面の処理が鍵と

    なる。本研究では、新たに開発した反応性表面修飾剤

    であるポリベンズイミダゾール(PBI)による炭素繊維表面改質に取り組んだ。これまで、PBI がカーボンナノチューブ(CNT)表面を被覆し、さらに PBI とエポキシ樹脂との反応性により共有結合を形成するこ

    とを見出している。この PBI 処理法によりエポキシ樹脂の高強度化を報告している。CNT を炭素繊維に置き換え実験を行った。 2.実験(Experimental) 炭素繊維表面をアセトン還流洗浄法により洗浄し、サ

    イジング剤を除去した。この洗浄炭素繊維を PBI のジメチルアセトアミド溶液中でシェイキングし、被覆処

    理を行った。これら一連の作業はナノテクプラットフ

    ォーム合成支援を受けて実施した。また被覆化を確認

    するために電子状態測定システム(島津製作所社製・

    AXIS-ULTRA)と超高分解能走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製・SU9000)により測定を行った。 3.結果と考察(Results and Discussion) 図1に示した XPS 分析の結果から炭素繊維に、被覆前には見られなかった N1s に由来するピークが観察された。これは PBI が含まれることを示していると考えられる。

    図1.PBI 被覆後の炭素繊維の XPS 分析結果

    図2.PBI 被覆後の SEM 写真 SEM 測定の結果、図2に示したように炭素繊維表面上に高分子の被覆によると思われる付着がみられた。XPS分析の結果から考えて、これは PBI と考えている。期待したような均一ではなかったものの薄層で全体的な付

    着がみられた。しかしながら機械的強度の結果から、PBI被覆による大きな強度の向上はこれまでのところ見ら

    れていない。これは PBI 被覆が SEM 写真のように不十分であることが原因であると考えている。今後、被覆の

    効率を上げる必要がある。 4.その他・特記事項(Others) 炭素繊維の洗浄および PBI 被覆、XPS 測定、SEM 測定はナノテクプラットフォームの柿田有理子氏および城

    戸秀作氏に実施頂いた。ここに謝意を示す。

    0

    1 105

    2 105

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    4 105

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    6 105

    7 105

    8 105

    -200020040060080010001200

    CF Py-PBI Survey XPS

    Inte

    ncitys

    (cps)

    Binding Energy (eV)

    6300

    6400

    6500

    6600

    6700

    6800

    6900

    7000

    390395400405410415

    CF Py-PBI N1s XPS

    Inte

    ncitys

    (cps)

    Binding Energy (eV)

  • 【調査資料(2)】 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0011 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) : Program Title (English) : 利用者名(日本語) : Username (English) : 所属名(日本語) : Affiliation (English) : 1.概要(Summary ) 公開猶予のため、以下空欄

    2.実験(Experimental) 3.結果と考察(Results and Discussion)

    4.その他・特記事項(Others) 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) 6.関連特許(Patent)

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0012 利用形態 :共同研究 利用課題名(日本語) :走査型プローブ顕微鏡による PDMS 薄膜の膜厚測定可否判定 Program Title (English) :Measurement of PDMS film thickness by scanning probe microscope 利用者名(日本語) :角田 純一

    Username (English) :J.Kakuta 所属名(日本語) :旭硝子株式会社 Affiliation (English) :Asahi glass, Co., Ltd. 1.概要(Summary ) PDMS(polydimethylsiloxane)は耐熱性・透明性に優れた

    工業材料として様々な用途に利用されている。たとえば、

    粘着剤や、粘着テープ用の剥離紙用離型剤等があげら

    れる。これらの用途では基板へのPDMSの転写が課題となることが多い。 一方PDMSはガラス転移温度が室温より低いため、転写厚みを定量的に測定するのは難しかった。 今回、走査プローブ顕微鏡により PDMS モデル薄膜の膜厚が測定可能か検証を依頼した。 2.実験(Experimental) 装置:環境制御型多機能走査プローブ顕微鏡 測定モード :DFM 走査範囲:3.5 mm×3.5 mm 走査周波数: 0.5 Hz カンチレバー:

    DF-20 (kc = 13 N•m-1, d = ca. 10 nm) 振幅減衰率:0.096

    サンプル: Si ウェハ上に非架橋 PDMS をスピン成膜した。

    方法:上記サンプル中央部を解剖用メスで削り、走査

    プローブ顕微鏡で段差測定を実施した。 3.結果と考察(Results and Discussion) 結果:AFM を用いることにより段差を認識し、ナノメートル

    オーダーの膜厚を示すことができた。

    考察:適切に膜を削ることができれば、基板表面との間に

    形成される段差から膜厚を測定することが可能であること

    が示された。本手法を糊の転写解析に応用すれば、

    PDMS ベースの粘着剤評価を定量的に実施することが可

    能となる。

    4.その他・特記事項(Others) なし。

    5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。

    6.関連特許(Patent) なし。

    Fig.2 断面プロファイル

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0013 利用形態 :共同研究

    利用課題名(日本語) :ナノカーボン材料の開発

    Program Title (English) :Research and Development of Nano-carbon Materials 利用者名(日本語) :小林 純

    Username (English) :A. Kobayashi 所属名(日本語) :株式会社ADEKA

    Affiliation (English) :ADEKA Corporation

    1.概要(Summary) ナノカーボンに金属粒子を担持させた新規材料の

    開発を行っている。超高分解能走査電子顕微鏡を用い

    て材料の観察を行い、試作品毎に担持された金属粒子

    の粒子径や分布状態が異なる様子を確認できた。

    2.実験(Experimental) 【利用した装置】

    超高分解能走査電子顕微鏡 SU9000 【実験方法】

    ナノカーボンに担持させた金属の粒子径や分布状

    態の観察。

    測定モード:TE、倍率:100 万倍

    3.結果と考察(Results and Discussion) 担持反応時の溶媒濃度を変えた試作品 1, 2, 3 を作

    製し、それぞれの電子顕微鏡観察を行った。

    試作品 1→2→3の順に、担持された金属粒子 (画像中の黒点) の高密度化と高粒径化が進んでいる様子

    を確認した。

    (試作品 1)

    (試作品 2)

    (試作品 3)

    4.その他・特記事項(Others) 本課題に対し、共同研究者である九州大学大学院 工

    学研究院 応用化学部門 中嶋直敏教授より多大なご支

    援・ご助言を賜りました。この場をお借りして御礼申し

    上げます。

    5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。

    6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0014 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) :高分子に含有する成分の劣化解析 Program Title (English) :Degradation analysis of the components contained in polymers 利用者名(日本語) :武居 尚英 Username (English) :Naohide Takesue 所属名(日本語) :三菱化学(株) 黒崎事業所 開発研究所 分析技術 Affiliation (English) :Mitsubishi Chemical Corporetion, Kurosaki Plant, R&D Center, Analytical

    Technology Section 1.概要(Summary ) 高分子に含有する添加剤の劣化状態や、オリゴマー成

    分の組成ついて把握する為、Q-TofMS を用いた高分解能測定や MS/MS 測定を行った。また、成型したフィルムに見られた異物分析技術確立を目的として、高

    速レーザーラマン顕微鏡の利用検討を行った。 2.実験(Experimental) 超高速 HPLC 分離・分子構造分析システムの一部である、Bruker 製 micrOTOF-QⅢおよびそれに付随する島津製 HPLC を用いた分析を行った。 また、高速レーザーラマン顕微鏡を活用した異物分析

    検討を行った。 3.結果と考察(Results and Discussion) LC/Q-TofMS を活用した分析検討では、添加した界面活性剤などの劣化解析や、色素の変性について精密質

    量測定や、MS/MS 測定を活用した分析解析を行った。本年度は、予定していたポリマーの準備が遅れ、装置

    利用頻度が低い状態となった。昨年度も問題となった

    が、分子量が 1000 に近い成分では、精密質量に微妙なズレが生じる為、MS/MS より得られた開裂情報を加味した解析を行い、劣化機構の推定を行った。ポリ

    マー中に含まれるオリゴマー成分のポリエーテルの

    繰り返しユニットとそれに付随する官能基部分の質

    量変化により、オリゴマー成分の官能基部分に酸化劣

    化が起こっている可能性が高い事が確認できた。 今期は、新たな試みで高速レーザーラマン顕微鏡を活

    用したフィルム内部に発生した異物分析検討を行っ

    た。本装置で何らかの情報が得られる可能性は確認で

    きたが、データ処理情報を含めてさらなる検討が必要

    である事が確認できた。 4.その他・特記事項(Others) LC/Q-TofMS については、測定時に LC ポンプの動作不良やイオン源の詰まり、汚れがみられる場合があった。

    改善頂けると時間節約になる。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0015 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) :塗膜の界面状態評価手法の検討 Program Title (English) :Characterization of the surface and interface of coating films 利用者名(日本語) :里川 雄一 Username (English) :Yuichi SATOKAWA 所属名(日本語) :DIC株式会社 Affiliation (English) :DIC Corporation 1.概要(Summary )

    種々の溶媒に対する樹脂塗膜の耐性を議論する上

    で、溶媒に接した際の膜の最表面の官能基の配向変化

    を捉えることは、溶媒耐性の高い樹脂の設計に不可欠

    である。しかしながら、従来からある一般的な評価手

    法では、膜の最表面のみの構造を選択的に評価するこ

    とは難しかった。 和周波発生(SFG)分光法は二次の非線形光学効果

    を利用した振動分光法であり、高い界面選択性を有す

    るため、ポリマー薄膜表面の分子構造の評価に用いら

    れている。 本検討では、空気及び溶媒界面における樹脂塗膜

    の官能基の配向状態の変化を、SFG 分光法により評価することを目的とした。 2.実験(Experimental)

    基板には、半円筒型の石英プリズムを用いた。樹脂

    塗膜はプリズム上にスピンコート法により設けた。膜

    厚は 550 nm 程度であった。 SFG 測定は、表面・界面分子振動解析装置を用い

    て、可視光および IR 光を基板側から入射させ、塗膜の空気及び溶媒界面からのシグナルを得た。可視光お

    よび IR 光は基板表面に対してそれぞれおよそ 50°および 70°で入射させた。用いた偏光の組合せは、出射SF 光、入射可視光、入射 IR 光の順に ssp とした。測定温度は 25℃であった。 3.結果と考察(Results and Discussion)

    図 1 は、ssp 偏光の条件下で取得した、空気及び溶媒界面における樹脂塗膜の SFG スペクトルを示す。いずれの界面においても、2955 cm-1付近に大きなピークが観測された。また、2880 cm-1付近には、空気界

    面ではピークは見られなかったものの、溶媒界面ではピ

    ークがみられた。ssp 偏光の条件では、基板に対して垂直方向の情報を検出する。従ってこの結果は、溶媒との

    接触により、比較的溶媒親和性の高い官能基が液相側に

    配向したことを示唆する。 以上のように、SFG 測定によって、空気及び溶媒界

    面における樹脂塗膜の官能基の配向状態に関する情報

    が得られることが分かった。今後は、樹脂の構成成分に

    よって、溶媒との接触による官能基の配向変化を抑制で

    きるか、検討していく予定である。

    図 1.空気及び溶媒界面における樹脂塗膜の SFG スペクトル. 4.その他・特記事項(Others) なし。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0016 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) :竹炭によるセシウムイオンの吸着除去 Program Title (English) :Adsorptive removal of cesium ions by bamboo charcoal 利用者名(日本語) :Shahjalal Khandaker, 久場 隆広 Username (English) :S.Khandaker, T. Kuba 所属名(日本語) :九州大学大学院工学研究院 環境社会部門 Affiliation (English) :Department of Urban and Environmental Engineering, Faculty of Engineering,

    Kyushu University 1.概要(Summary ) 表面処理による竹炭のセシウムイオン吸着能の向

    上、及びその吸着メカニズムの解明についての研究を

    行う。セシウムイオン除去は放射線汚染物質の除去の

    観点から緊急の課題である。ゼオライトやカーボン粉

    末に代表される多孔性材料はセシウムイオン吸着能

    に優れていることが知られている。特にカーボン粉末

    は原料が安価であり、また土壌に残しても問題ないこ

    とから注目されている。カーボン粉末の中でも竹炭由

    来のカーボンは細孔径が小さく比表面積が大きい優

    れた吸着材料であることが知られている。 そこで本研究では竹炭由来のカーボン粉末の細孔

    分布や比表面積を測定し、作製条件や原料産地の違い

    による違いを解析することを目的とする。 2.実験(Experimental) 3 種類の処理方法の異なる試料(BC、BC-AO、BC-ACにおける比表面積を触媒活性表面測定システム(日本

    ベル社製、自動比表面積 / 細孔分布測定装置BELSORP-miniⅡ)で測定した。また炭素材料の表面元素分析を電子状態測定システム(島津製作所社製、

    AXIS-ULTRA)で測定した。 3.結果と考察(Results and Discussion) 3 種類の竹炭由来カーボンについて窒素吸着測定を行った。吸着水等を除去する前処理を①120℃、24Hr 、②200℃、6Hr、③200℃、24Hr と変えて測定を行ったが、窒素吸着の平衡に達する時間が非常に長く、測

    定が終了できない問題が生じた。このような現象はマ

    イクロ孔が発達し、極めてポア径が小さい場合に生じ

    ることが多い。そこでプローブ分子を CO2 に変更して測定を実施した。その結果、図1左のようにマイク

    ロポアが大きく発達していることが明らかとなった。Arをプローブとした際の比較(図 1 右)から、とくに BC-AC はマイクロ孔のみからなるユニークな構造であることが明らかとなった。

    図1.(左)CO2 および(右)Ar をプローブ分子とした際のガス吸着測定プロファイル それぞれの XPS 測定の結果から 【BC】C : N : O = 87.55 : 0.44 : 12.01 【BC-AO】C : N : O = 87.83 : 0.51 : 11.66 【BC-AC】C : N : O = 69.59 : 2.23 : 28.17 となり、BC-AC は窒素を多く含む原料に近い構造であることも明らかとなった。 4.その他・特記事項(Others) 炭素試料の前処理加熱および窒素吸着測定、XPS 測定は九州大学分子物質合成ナノテクプラットフォームの柿

    田有理子氏に実施頂いた。また、CO2 プローブを用いた測定はマイクロトラックベル株式会社堀尾氏のご協力

    を頂いた。ここに謝意を示す。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    140

    0 20 40 60 80 100

    Ar吸脱着等温線

    BC (adsorption)BC-AO (adsorption)BC-AC (adsorption)BC-AC (desorption)

    V / c

    m3 (

    STP)

    g-1

    P / kPa

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

    0 20 40 60 80 100

    CO2吸脱着等温線

    BC (adsorption)BC (desorption)BC-AO (adsorption)BC-AO (desorption)BC-AC (adsorption)BC-AC (desorption)

    V / c

    m3 (

    STP)

    g-1

    P / kPa

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0017 利用形態 :技術代行 利用課題名(日本語) :ナノカーボンの新規化学修飾法の開拓 Program Title (English) :Development of new chemical modification method for graphitic materials 利用者名(日本語) :忍久保 洋 Username (English) :H. Shinokubo 所属名(日本語) :名古屋大学大学院工学研究科 Affiliation (English) :Nagoya University 1.概要(Summary ) 酸化グラフェンに対してフッ素含有分子を共有結合で修飾する手法を開発してきた。そこで本手法が酸化

    カーボンナノチューブ(CNT)にも適用できるかについて検討する。酸化 CNT にも適用可能ならば、CNTのフッ素修飾にも繋がり非常に有用である。 2.実験(Experimental) ナノテクプラットフォーム合成支援で作成した酸化

    CNT に対し、フッ素含有化合物の反応を行った。反応後、カラムクロマトグラフィーで精製した。得られた

    試料を電子状態測定システム(島津製作所社製

    AXIS-ULTRA)を用いてフッ素の同定を行い、走査型プローブ顕微鏡(島津製作所社製 SPM-9600)を用い、形状の測定を行った。 3.結果と考察(Results and Discussion)

    図1.試料の写真と分散液

    得られた試料を 2-プロパノールに分散したところ、均一な溶液を得た(図1)。この溶液をマイカにキャスト

    し走査型プローブ顕微鏡観察を行った。その結果、期

    待された棒状の物体は観察されず、粒子状の像が得ら

    れた(図2)。反応前の酸化 CNT は棒状であることを確認していることから、反応中に短尺化されたか、ま

    たは精製によって短尺のフラクションのみを回収し

    た可能性が考えられる。

    図2.フッ素化 CNT の走査プローブ顕微鏡像

    図3.フッ素化 CNT の XPS サーベイ(左)と F1s(右) XPS 測定の結果、F1s ピークが観察されず、合成した試料にはフッ素が含有されていないことが示唆された。酸

    化 CNT の調整条件やフッ素化 CNT の精製条件を見直すことで解決を目指す。 4.その他・特記事項(Others) 酸化 CNT の合成および XPS、AFM観察はナノテクプラットフォーム合成支援によって行った。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) なし。 6.関連特許(Patent) なし。

    02004006008001000

    6-P145 XPS Survey

    INte

    ncity

    (cps

    )

    Binding energy (eV)675680685690695

    6-P145 XPS F1s

    Inte

    ncity

    (cps

    )

    Binding Energy (eV)

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0018 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) :新規発光性化合物の構造解析と光物性の解明 Program Title (English) :Exploring structure and photophysical properties of novel luminescent

    compounds 利用者名(日本語) :大川原 徹 Username (English) :Toru Okawara 所属名(日本語) :北九州工業高等専門学校 Affiliation (English) :National Institute of Technology, Kitakyushu College 1.概要(Summary ) ビピロールは青色発光性を示す複素環化合物であ

    り、2001 年に C. M. Che らによってその有機 EL デバイスへの応用が報告されて以来、数多くの発光性に

    関する研究が報告されてきた。我々は 2015 年に固体状態のビピロールがその結晶中における分子間相互

    作用の強さに応じて発光波長が変化することを報告

    している[2]。しかしこれまでに、ビピロールを基本骨格として有する色素による緑色発光、赤色発光などは

    達成されていなかった。我々は今回、新たに共役系を

    拡張した新規ビピロール(図 1)を設計し、合成、質量分析装置を用いた同定、および単結晶 X 線構造解析による三次元構造の評価を行った。

    NH

    HNR2

    R1CHO

    OHCR1

    R2

    NH

    HNR2

    R1

    R1R2

    CNNC

    NC CN

    NH

    HN

    R2 R1

    R1 R2

    OO

    OO

    O

    O

    O

    O

    NH

    HN

    R2 R1

    R1 R2

    NN

    NN

    O

    O

    O

    O

    O

    O

    Cy

    Cy

    Cy

    Cy

    1a: R1, R2 = Et

    NH

    HN

    R2 R1

    R1 R2

    NN

    NN

    O

    O

    O

    O

    O

    O

    1b: R1 = H, R2

    = Me2a: R1, R2

    = Et2b: R1

    = H, R2 = Me

    3a: R1, R2 = Et

    3b: R1 = H, R2

    = Me

    4a: R1, R2 = Et

    4b: R1 = H, R2

    = Me5a: R1, R2

    = Et5b: R1

    = H, R2 = Me

    図 1. 共役拡張型ビピロール 1a-4b および出発原料であるビピロール 5a, 5b. 2.実験(Experimental) 目的化合物の合成は全て利用者の所属機関である北九州高専で行い、さらに赤外分光スペクトル、核磁

    気共鳴スペクトルなどで同定を行った。さらなる詳細

    な評価のため、受入先機関の九州大学 分子・物質合成プラットフォームと連携し質量分析装置による分子

    量の確認、一部の単結晶が得られたサンプルについて

    の単結晶構造解析を行った。

    3.結果と考察(Results and Discussion) 単結晶 X 線構造解析の測定結果を以下に示す(図 2)。

    これまでに化合物 2b の構造解析には成功しており、その成果を ChemsitrySelect 誌に報告した。また、1a、2a、3a の構造解析にも別途成功し、それらについては今後学術論文にて報告予定である。共役拡張ビピロールは全て

    平面性の高い構造をしており高い発光性を示すために

    は非常に有利であることが分かった。

    図 2. 化合物(a)2a および(b)3a の結晶構造解析結果 4.その他・特記事項(Others) なし。 5.論文・学会発表(Publication/Presentation) (1) 第 27 回基礎有機化学討論会, 平成 28 年 9 月 2 日(講演番号 2B-02) (2) 日本化学会第 97 春季年会, 平成 29 年 3 月 18 日(講演番号 3K8-54) (3) Kawano, R.; Kato, T.; Fukuda, R.; Okawara, T.; Takehara, K.; Nagamura, T., ChemistrySelect, 2016, 1, 4144. 6.関連特許(Patent) なし。

  • 【調査資料(2)】 課題番号 :S-16-KU-0019 利用形態 :機器利用 利用課題名(日本語) :リポソーム空間による金属錯体の機能制御 Program Title (English) :Function control of metal complexes by liposome 利用者名(日本語) :越山 友美 , 大場 正昭 Username (English) :Tomomi Koshiyama, Masaaki Ohba 所属名(日本語) :九州大学大学院理学研究院 Affiliation (English) :Faculty of Science, Kyushu University 1.概要(Summary ) 天然の光合成システムでは、光捕集・電子移動・酸

    化反応・還元反応といった異なる反応を担う機能性分

    子群が協同的に働くことで高効率な光反応を実現し

    ている。このような機能連動を人工的に達成するため

    には、個々の機能性分子の分子密度・配置の制御が必

    要不可欠である。そこで、我々は機能性分子の密度・

    配置を制御するための分子集積場として、球状のリン

    脂質二分子膜であるリポソームのドメイン構造に着

    目した。飽和リン脂質、不飽和