道路パトロール情報の有効利用に関する検討 報 告...

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道路パトロール情報の有効利用に関する検討 平成21年3月 (財)

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Page 1: 道路パトロール情報の有効利用に関する検討 報 告 書道路パトロール情報の有効利用に関する検討 報 告 書 平成21年3月 岐 阜 県 県 土

道路パトロール情報の有効利用に関する検討

報 告 書

平成21年3月

岐 阜 県 県 土 整 備 部 建 設 政 策 課

(財) 岐 阜 県 建 設 研 究 セ ン タ ー

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Construction Innovation and Technical Support Center

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・・・目 次・・・

1. 業務の概要 ................................................................................................................................3 2. 現状の問題点 ............................................................................................................................3 2-1.現状の道路パトロール .......................................................................................................3 2-2.現状の課題と問題点 ..........................................................................................................5

3. GISを活用した道路管理手法......................................................................................................5 3-1.GISについて..................................................................................................................5 3-2.県域統合型GISのシステム概要 .....................................................................................6 3-3.県域統合型GISを利用した道路パトロール管理システム..............................................9 3-4.導入効果 ..........................................................................................................................11

4. 道路パトロール管理システムの構築..........................................................................................12 4-1.システムの画面遷移 ........................................................................................................12 4-2.入力項目の検討................................................................................................................13 4-3.データ登録の検討 ............................................................................................................17 図-24 Exif画像登録画面.......................................................................................17 4-4.報告書出力の検討 ............................................................................................................18

5. 道路パトロール管理システムの実証実験 ..................................................................................19 5-1.GPS付デジタルカメラの検証.......................................................................................19 5-2.道路パトロール日誌の出力例 ..........................................................................................21 5-3.実証実験の結果................................................................................................................21

6. 今後の課題 ..............................................................................................................................22 6-1.実業務への導入に向けた改善 ..........................................................................................22 6-2.将来展望 ..........................................................................................................................23

7. 操作マニュアル ........................................................................................................................24

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1. 業務の概要

岐阜県では、県民が安全・安心・快適に通行できることを目的に、日々道路パトロールが実施

されているが、県管理道路延長は約4,200kmにも及び、財政再建により限られた人員でパ

トロールしているため、同一路線を毎日実施することが出来ないのが現状である。また、道路の

管理瑕疵による事故がなくなることがないため、迅速かつ効率的な道路維持管理手法の確立が求

めている。

平成16年度にはアセットマネジメントの観点から、健全な舗装を維持、確保するためには年

間28億円の維持管理費が必要と算出されているが、どの地域、どの路線を優先的に、どの時期

に実施することが効果的なのかは明確にされていない。これは、過去の維持管理履歴やパトロー

ル補修履歴が紙ベースでは保管されているが、データベース化されていないため、地域・路線ご

との特性や傾向を把握できていないことが大きな原因であると考えられる。

社会資本を管理する上で重要なことは、工事の履歴を把握し、改善・補修すべき箇所に適した

対策を適した時期を行うことである。高度成長期に建設された多くの社会資本は、2020年か

ら2030年頃をピークに更新時期を向かえることになり、今後維持管理費が増大することは明

白である。

このようなことから、計画的な維持管理を行うには、日々実施されている道路パトロール結果

を蓄積できるようなデータベースシステムの整備は急務であり、改善・補修の優先順位を把握す

ることは極めて重要である。

そこで本業務では、新たにデータベースシステムを構築するのではなく、既存のシステムであ

り、Web上で案件を管理することが可能な「県域統合型GIS」を活用した道路管理支援ツー

ル「道路パトロール管理システム(仮称)」を試験的に開発し、実業務への導入と導入の効果に

ついて検証する。

2. 現状の問題点

2-1.現状の道路パトロール

現状のパトロール結果の報告・保管方法は、各土木事務所により多少の違いはあるものの、道

路パトロール日誌をExcel/wordなどで作成し、紙ベースの道路台帳または市販の住宅

地図に点検箇所(補修箇所)をプロットした位置図と、デジタルカメラ画像を印刷した写真帳を

セットにしてパトロール報告書を作成し、各事務所で個別に管理している状況である。

維持修繕作業委託業者への作業依頼においては、担当者が箇所の住所特定を行い、位置図のコ

ピーを配布するなど、当該土木事務所以外との迅速かつ正確な位置情報共有が出来ていない状況

である。

支援ツールの設計に際し、現在のパトロール業務フローを以下に示す。

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表-1 現状の業務フロー

道路パトロール報告書の例。

図-1道路パトロール日誌 図-2写真台帳 図-3位置図

Process1 異常箇所発見

Process2 現地調査

Process3 現場作業

Process4 状況記録

Process5 報告書作成

Process6 報告(決裁)

Process7 業者へ委託

①住民通報や職員巡視により、道路施設の破

損など対応すべき案件を発見。

②異常箇所の位置特定(住所・目標建物等) ③処理の必要性・緊急性の有無判断

④応急処理・補修・復旧を実施

⑤デジカメで現場状況、処理状況の写真撮影 ⑥紙ベースでメモ

⑦パトロール日誌、写真帳、位置図作成

⑧報告書の内容を上司、管理者に報告 ⑨ファイリングして各事務所で保管

⑩直営で補修不可能な場合、委託業者に作業

依頼

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2-2.現状の課題と問題点

1)パトロール終了後、報告書の作成、写真整理などに時間と手間を要す。

2)委託業者への処理依頼においても位置情報の共有ができない。(指示するための書類作成も

担当者の負担となっている。)

3)各事務所が個別に管理しているため、情報共有がなされていない。

4)データベース化されていないため、地域や路線毎の補修箇所の特性、傾向、頻度などが把握

できない。(容易に集計できない)

5)職員の人事異動で、パトロール情報がうまく継承されない。

3. GISを活用した道路管理手法

3-1.GISについて

GISとは、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)の略称で、電子地図

上に電子化された地理空間情報を処理分析するシステムであり、視覚的に捉える事が可能で、デ

ータ検索等を容易に行うことできる。

国(政府)においては、平成 19 年 5 月 30 日に施行された「地理空間活用推進基本法※1」を

はじめ、平成 19 年 3 月 22 日開催「第6回測位・地理情報システム等推進会議※2」(議長:内

閣官房副長官補)において決定された「GISアクションプログラム 2010」など、社会全体で

のGISの整備・普及・利用促進に向けた取り組みが総合的に実施されている。

そうした中、岐阜県では、既に先進的な取り組みがなされており、平成18年度から本格運用

している「岐阜県域統合型GIS」は、WebGIS(ウェブブラウザ上で動作するGIS)を

基盤としており、「GISによる情報共有」と「データベースによるデータの一元管理」が可能

なシステムであり、社会資本のデータ管理には非常に有用であると考えられる。

図-4 GIS のイメージ図

位置情報(ポイント)+属性情報

「個別空間データ」(レイヤー)

路線名位置(住所)破損等の内容写真画像

位置情報(ポイント)+属性情報位置情報(ポイント)+属性情報

「個別空間データ」(レイヤー)「個別空間データ」(レイヤー)

路線名位置(住所)破損等の内容写真画像

←基図:共有空間データ

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3-2.県域統合型GISのシステム概要

従来、紙で見ていた地図や地図上の様々な情報をパソコン上で見ることができる。

特にソフトをインストールする必要はなく、インターネットに接続できる環境さえあれば、ブ

ラウザソフトを利用していつでもどこからでも閲覧、データ登録が可能。また、データの検索・

抽出やCSV出力も容易にできる。

特徴1:位置検索機能

データ登録などの際に、地図の中心に表示したい場所を、住所や目標物、郵便番号などから

検索することが可能。

道路パトロールにおいては、異常箇所の位置特定に利用できる。

図-6住所検索の画面 図-7目標物検索の画面

図-5 県域統合型 GIS(WebGIS)

住所検索 目標物検索

データ検索 CSV出力

他のマップ・レイヤ追加

拡大・縮小

範囲検索

距離・面積計測

データ新規登録 データ修正 写真画像の添付

座標管理 緯度経度

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特徴2:データ検索機能

登録されているデータを全て表示したり、属性項目(IDや日付など)から絞り込み検索し

たりすることが可能。検索結果はCSVで一括出力することもできる。

道路パトロールにおいては、土木事務所毎や破損内容などの属性項目から容易に抽出するこ

とができ、集計や一覧表の作成などに利用できる。

図-8データ一覧の画面 図-9属性検索の画面

特徴3:塗り分け機能

地図上に表示されて記号を、属性項目の値によって自動的に塗り分け(色分け)表示するこ

とが可能。この機能により、地図を視覚的に捉えることができる。

道路パトロールにおいては、土木事務所毎や破損内容などの属性項目により塗り分けること

で、視覚的に見やすく、傾向などが分かりやすい地図を作成することに利用できる。これによ

り、頻繁に舗装が破損する箇所や路線を把握することが可能。

図-10塗り分けしたマップの画面表示(岐阜県浸水想定区域図より)

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特徴4:アドレスマッチング機能

住所データを含むCSVまたTSVファイルをアップロードすると、住所辞書データと照合

して、座標値を付与するもので、EXCELなど持っている大量のデータを一括で登録したい

場合に非常に有効である。

道路パトロールにおいては、過去のデータベースを一括登録する場合の省力化に利用するこ

とができる。

図-11アドレスマッチング画面

特徴5:URL表示機能

現在表示している中心位置・縮尺と同じ地図を表示するためのURLを生成することが可能。

このURLをコピーしてメールに貼り付けたり、ホームページのリンクとして使うことができ

る。

道路パトロールにおいては、委託業者への依頼時に、位置情報をメールで提供するなど情報

共有の手段として利用できる。

図-12 URLの表示画面

図-13 委託業者との情報共有の手法

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3-3.県域統合型GISを利用した道路パトロール管理システム

システムの概要(イメージ)

ユーザは、ブラウザソフト(internet Explorer 等)を通じて、道路パトロール管理システ

ム(アプリケーション)を利用する。ユーザ側は、特別なハードウェアを必要とせず、インタ

ーネットへのアクセスが可能な環境とブラウザソフトさえあれば利用できる。

データ登録や位置図などに使用する地図データには県域統合型GISを利用し、GPS付デジ

タルカメラなどで撮影した座標付画像ファイルを取り込む事も可能である。

図-14 システムの概要

補修依頼

道路パトロール

管理システム

道路パトロール

外業

予定表から当日のプ

ロジェクトを選択

道路パトロール出発

異常箇所発見

ノートパソコンから

データ登録

補修作業・写真撮影

道路パトロール帰庁

内業

データ修正・追記

写真画像の追加

報告書一括出力

※登録したデータが自動的

に帳票に出力される

パトロール計画作成

パトロール予定表

パトロール情報閲覧

過去データ検索

過去データ集計

過去データ閲覧

過去データ出力

未処理リスト確認

閲覧

集計

検索

出力

登録

県域統合型 GIS

サーバ

閲覧

位置確認

委託業者

県庁・土木事務所

データの蓄積

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パトロール従事者は、帰庁後、報告書を一括出力で報告書(日誌、写真、位置図)が完成する。

県庁及び土木事務所は、データベースからいつでもパトロール結果の閲覧、絞り込み検索、集

計、未処理箇所の確認も容易に可能。

表-2 道路パトロール管理システム導入後の作業フロー

Process1 異常箇所発見

Process2 現地調査

Process3 現場作業

Process4 状況記録

Process5 報告書作成

Process6 報告(決裁)

Process7 業者へ委託

①住民通報や職員巡視により、道路施設の破

損など対応すべき案件を発見。

②異常箇所の位置特定(住所・目標建物等)

③処理の必要性・緊急性の有無判断

④応急処理・補修・復旧を実施

⑤システムで GIS 上に位置登録(属性入力)

⑥デジカメ画像ファイルを登録

⑦システムによる一括印刷(PDF 出力)

⑧報告書の内容を上司、管理者に報告

⑨地図の URL をメール送信

Process8 データ利活用

⑩道路パトロール結果を様々なことに利活用

(他システムとの連携も可能)

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3-4.導入効果

表-1と表-2を比較し、導入後のメリットをプロセス毎のまとめると以下の表-3のように

なる。またこれら以外にも、次のようなメリットが考えられる。

① 情報共有が可能

従来は、土木事務所毎に紙ベースで保管されていたため、閲覧することも出来なかった情報

が、インターネットで、県庁や各土木事務所からいつでもパトロールデータベースを閲覧す

ることが可能になる。

② データの利活用

データベース化されることにより、対症療法型の道路維持管理から予防保全型の道路維持管

理が可能となる。

表-3 プロセス毎の導入効果

Process1 異常箇所発見

Process2 現地調査

Process3 現場作業

Process4 状況記録

Process5 報告書作成

Process6 報告(決裁)

Process7 業者へ委託

顕著な効果はない

顕著な効果はない

顕著な効果はない

住所検索、目標物機能で、位置特定が容易に

なる

帰庁後、修正・追記がなければ出力するだけ

で、所定の様式に印刷される

顕著な効果はない (システムから閲覧することが可能)

位置情報や写真画像を正確・迅速に伝達する

ことが可能になる

Process8 データ利活用

県庁・土木事務所からパトロールデータベー

スがいつでも利用可能

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4. 道路パトロール管理システムの構築

4-1.システムの画面遷移

図-14の「システム概要」のとおり、実際の道路パトロール業務での利用を加味し、システ

ムの画面遷移を下記(図-15)のように設計した。

TOP画面では、簡易ログイン機能として、県庁か土木事務所(12土木)を選択する形とし

た。これは、将来的にユーザ毎に権限を設け、権限ごとにインターフェイスの表示/非表示を制

限する仕組みを考えている。今回は、予算の都合上、ログイン機能は実装しない。

所属(県庁・12土木事務所)を選択し、ユーザによって下記のように分類する。

① パトロール用・・・・・パトロール従事者用

・データ登録、写真登録、データ修正、報告書出力

② パトロール予定表・・・管理者により計画されたパトロール予定表の確認画面

③ 管理者用・・・・・・・土木事務所の管理者用(道路維持課)

・予定表の登録

・過去のデータベース閲覧

・処理・未処理の一覧表閲覧(処理済みに変更できる)

・検索・抽出・報告出力

図-15 システムの画面遷移

TOP画面 パトロール用

パトロール予定表

管理者用

編集

本日以降のパトロール一覧

日誌出力

パトロール入力 異常箇所一覧 新規登録

内容修正

地図修正

確認画面

PDF出力

昨日以前のパトロール一覧

破損等の内容一覧

・表示のみ種別、年月日、コース

・修正可責任者・運転手・同乗者

・入力出発時間、出発キロ帰着時間、帰着キロ、天候

・GISから登録・このパトロールの一覧を表示

・異常箇所修正写真の追加

更新

・パトロール日誌・位置図、写真台帳

・内容、位置図(広域図・拡大図)添付写真の表示

・GIS修正

本日パトロール一覧

・閲覧のみ種別、年月日、コース責任者、運転手、同乗者

パトロール計画入力

・必須入力種別、年月日、コース

・任意入力責任者、運転手、同乗者

新規計画入力

編集(修正)

削除

詳細閲覧

日誌出力

条件検索

詳細閲覧

地図閲覧

・処理済みに変更

・処理済みに変更

・破損等の内容一覧から絞り込み検索

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4-2.入力項目の検討

現行の道路パトロール日誌(道路管理事務の手引き 様式第1号)をベースに、入力する属性

項目を検討する。

なお、入力する項目については、パトロール現地での操作性を考慮し、文字入力の項目を極力

減らし、基本的には選択肢から選ぶリストボックスでの入力を採用する。

リストボックスとは、あらかじめ用意された選択肢の中から 1つの項目を選択するための短冊

状の入力領域である。

図-16 リストボックスとは

県域統合型GISは地図の背景図には、岐阜県共有空間データを用いているため、他部局の業

務で作成された地図とも重ね合わせることも可能である。

将来的には、「受付処理データベース」や「道路防災点検データベース」などの県域統合型G

ISベースで構築されている道路情報に関する様々なデータベースシステムとの連携も可能に

なっている。この事を踏まえた入力フォーム、システム構成、属性項目(選択肢)の統一が必要

である。

図-17 受付処理データベースの画面プレビュー

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図-18 道路防災点検データベースの画面プレビュー

入力項目は、比較的使用目的が類似している既存のシステムである「受付処理データベース」

から可能な限り流用する。これは、将来的なシステム連携においても非常に有利となるためであ

る。

図-20 受付処理データベース 入力画面

図-19 道路管理事務の手引き (様式第1号)

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道路パトロール日誌作成に必要な属性項目とデータ型は以下のとおりとする。

表-4 入力属性項目の一覧

※1は、受付処理データベースのテーブルを流用する。

※2は、受付処理データベース+道路管理事務の手引き(別表-1)。

属 性 項 目 データ型 選択肢 備 考

1 土木事務所名 文字 ○※1

2 パトロール種別 文字 ○ 通常・夜間

3 点検年月日 日付

4 天候 文字 ○

5 コース名 文字 ○

6 パトロール責任者 文字

7 パトロール運転手 文字

8 パトロール同乗者 文字

9 出発時間 時刻 ○

10 帰着時間 時刻 ○

11 走行距離 整数

12 路線種別 文字 ○※1

13 路線名 文字 ○※1

14 住所1 文字 ○※1 市町村単位まで

15 住所2 文字 字名等

16 点検箇所 文字 ○※1 受付処理 DB の通報箇所

17 点検内容 文字 ○※2

18 処理状況 文字 ○

19 処理年月日 日付

20 摘要 文字

21 写真画像 ファイル 最大4ファイル

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上表の「17.点検内容」については、受付処理データベースの「通報内容」テーブルをベー

スとし、不足している項目を道路管理事務の手引き(別表-1)から追加し、両方を網羅する。

図-21 受付処理 DB 通報内容テーブル 図-22 道路管理事務の手引き(別表-1)

受付処理DBテーブルより 手引き(別表-1)より

1.舗装(穴) 11.剪定・伐採 21.土砂散乱 31.不法投棄

2.舗装の劣化 12.倒木 22.凍結 32.放置車両

3.障害物(落下物) 13.落ち葉 23.区画線

4.水たまり 14.破損 24.浮石

5.冠水 15.決壊 25.亀裂

6.落石 16.積雪 26.崩壊

7.落書き 17.落雪 27.つらら

8.水漏れ 18.玉切れ(電灯) 28.雪庇

9.清掃 19.工事現場 29.不法占用

10.除草 20.その他 30.不正使用

表-5 点検内容のリストボックス項目

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4-3.データ登録の検討

データの登録方法については、下記の2パターンとする。

1)県域統合型GISの地図上をクリックしてデータを登録する方法

図-23 データ登録画面

地図上で点検箇所をクリックして、属性情報を画面左から入力して登録する。

2)GPS付デジタルカメラを利用して、Exif 画像データから緯度経度を自動的に取得し登録

する方法

図-24 Exif画像登録画面

属性項目の入力欄からGPS付デジタル

カメラの緯度経度情報が入った画像デー

タを選択し、Exif画像からの位置決定

を押すと自動的にポイントが地図上にプ

ロットされます。 これにより、地図上で点検箇所を探さなく

てもポイントを登録することが可能にな

ります。 ただし、GPS観測には誤差が生じますの

で、詳細位置については多少の修正が必要

となります

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データの取得には、デジタルカメラをUSBにて直接PCに接続し、参照からアップロードす

る方法とSDカードなどの記録媒体からカードリーダーで読み取り、アップロードする方法があ

る。

4-4.報告書出力の検討

道路パトロール日誌、写真台帳、位置図の出力については、OSやソフトに依存することなく、

文書の閲覧・印刷が可能であり、ファイルとしての保存も容易であるため、PDF出力とする。

メニューの報告書出力から、「日誌」「位置図・写真台帳」を選択し、「開く」か「保存」の選

択ができる。印刷したい場合は「開く」でAcrobatから直接印刷する。

図-25 PDF出力画面

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5. 道路パトロール管理システムの実証実験

実業務への導入を踏まえ、プロトタイプのシステムを使って、(財)岐阜県建設研究センター

が受託している道路パトロール業務で実証実験を行った。

5-1.GPS付デジタルカメラの検証

GPS付デジタルカメラ(NIKON COOLPIX P6000)で測位した画像の位置精度について検証す

る。

検証にあたっては、下記の3つを比較する。

1)現地をGIS上に手動で登録したもの

2)GPSデジタルカメラに付属ソフトウェア(ViewNX)で表示したもの

3)Exif画像から県域統合型GISに登録したもの

検証は(主)津島南濃線と堤防道路で目標物がない(主)北方多度線の2箇所で実施する。

1)現地をGIS上に手動で登録したもの

(主)津島南濃線 (主)北方多度線

【実証実験の条件】

土木事務所名:大垣土木事務所

実施年月日:平成21年3月5日

実施コース:(A)コース

時間:8時30分~16時30分

走行距離:200km

PCスペック:Panasonic Let’s note CF-W4

OS:WINDOWSXP SP3 CPU:PenM1.2GHz Mem:1GB

ネット環境:EMOBILE データカード(D02HW)使用 MAX:7.2Mbps

その他:ノートPC充電用電力コンバーター

(シガーソケットから電源コンセントに変換)

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2)ViewNX(GoogleMap)で表示したもの

ViewNXは、Nikon「COOLPIX P6000」に添付されていたソフトウェア

で、本カメラのGPS機能を使って撮影した画像を簡単にGoogleMap上に登録すること

ができる。

(主)津島南濃線 (主)北方多度線

3)Exif画像から県域統合型GISに登録したもの

Exifとは、画像ファイルに緯度経度や撮影日時などの付加情報が記録された画像で、P6

000などのデジタルカメラで撮影した画像はこの形式で保存される。

(主)津島南濃線 (主)北方多度線

1)~3)の場合を比較しても分かるとおり、GPS付デジタルカメラで撮影した画像を県域

統合型GISに取り込んだ場合、ほぼ現地の位置が正確にプロットされる。

多少の誤差はあるものの、実用性には全く問題ないと範囲だといえる。また、位置の微修正は

GIS上で行うことができる。

目標物が近くにない場合や、家屋がなく住宅地図上に地図がない場合でも比較的容易に点検箇

所を特定することが可能となるため、GPS付デジタルカメラは有効な位置特定ツールである。

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5-2.道路パトロール日誌の出力例

5-3.実証実験の結果

実際に利用してみたが、通信に時間がかかり地図表示が遅いなどの問題はあったものの、デー

タ登録から報告書出力まで特に問題なく作業することができた。

操作方法については、県域統合型GISを使ってデータ登録を行った経験のある職員であれば

問題なく操作することは出来ると考える。

課題や問題点を整理すると以下のとおり。

① 山間部の一部でインターネットに接続できない箇所がある。

② 地図表示に時間がかかる場合がある。(通信上の問題)

③ 写真画像が高解像度だと登録にかなり時間がかかる。

④ GISの操作方法にある程度の慣れが必要である。

⑤ ノートパソコンの充電が一日持たないため、コンバーターが必要となる。

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6. 今後の課題

6-1.実業務への導入に向けた改善

実証実験を踏まえて得た課題から、今後の実業務への導入にむけて以下のような改善が必要で

ある。

今回開発したシステムは、インターネットに接続する事を前提にWebアプリケーションとし

て開発したが、通信上の問題から圏外のため地図が表示できない、表示に時間がかかるという問

題点があった。

今後は、背景図となる岐阜県共有空間データを予めパソコン内に入れたスタンドアロン版を導

入することで地図表示の速度を短縮することが可能になると考える。

また、近年のデジタルカメラは13.5メガピクセルなど非常に高解像度で撮影することが可

能であるが、高解像度の画像データだとデータ量が大きく、読み込みに非常に時間を要するため、

このアップロード作業を快適に行うために撮影するユーザ側で画質を落とす(例:SUPERF

INEからNORMALに)必要があった。これを自動的にシステム側で一定の解像度まで圧縮

してくれる機能を設ければ、ユーザ側はカメラ設定を気にすることなく、データ登録が可能にな

る。

今年度の研究においては、予算上の都合もあり、プロトタイプ開発までとなったが、来年度以

降は実業務で実験的に利用し、現場の様々な意見を整理した上でより実践向けのシステムに仕上

げることが望ましい。

併せてユーザインターフェイスの改良を行い、操作性の向上にも努めていく必要がる。

今後の課題を整理すると以下のとおり。

① ネット環境(圏外)にかかわらず、地図を高速に表示させるため、スタンドアロン版の導

入を検討する。

② 写真アップロードが容易にかつ簡単にできるような写真アップロードツールを検討する。

③ 操作性を考慮したユーザインターフェイスの改良を検討する。

④ 他の既存システム(受付処理DBや道路GISなど)とのデータ連携を検討する。

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6-2.将来展望

将来的には、本道路パトロール管理システムをはじめ、道路に関するあらゆる情報が一元管理

できるシステム構築を目指す。

下記に示す「ドクター・ロード・イエロー」は、GIS の地図情報を機軸として、道路施設台帳

D.B、受付処理 D.B.システム、一事故一対策、一落石百点検、道路パトロール管理システム等か

ら道路の情報をすべて集積するシステムであり、従来の経験則による個々対応から、ITによる

道路情報の総合的、一元的な維持管理マネジメントシステムである。

図-26 ドクターロードイエロー

【参考資料】Dr.Road Yellow の語源 ドクター・イエローとは

ドクター・ロード・イエロー(県域統合型GIS)

道路に関するあらゆる情報が一元管理できるシステム

道路監視カメラシステム

道の駅情報システム

受付処理DBシステム

一事故一対策

穴ぼこ大作戦

一落石百点検

道路パトロール管理システム

雪報提供システム

道路情報提供システム

道路施設台帳DBシステム

道路台帳GIS

道路施設現況システム

維持管理マネジメントへの利活用

県民への情報提供(インターネット公開)

Dr.Road Yellowは、県域統合型GISを利用し、今まで部署毎に個別管理していた情報を一元管理するシステムです。背景図には共通の地図(共有空間データ)を使用することで各システムで個別に作成したレイヤを重ねて容易に表示することができます。

県民側 行政側

防災点検管理DB

は、個別システムで構築されているため、直ちに統合型GISとの連携することは難しい。

車体が黄色い新幹線。別名「新幹線電気軌道総合試

験車」

現在の主流は 923 形 T4、T5 編成で約 10 日に 1度の

周期で、実際の線路を営業列車と同じ速度で走行

し、電気設備や軌道設備などの状態を計測。検測で

得られたデータは細かいところまで分析され、各設

備のメンテナンス等の基礎資料として活用されて

いる。

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7. 操作マニュアル

巻末に操作方法のマニュアルを添付する。