多重課題・時間切迫シミュレーションに...
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多重課題・時間切迫シミュレーションに 対するHeartSimの活用
自治医科大学 淺田義和 天谷恵美子
背景
多重課題シミュレーションで患者の急変を扱う際、 ベッドサイドモニタのHR値を調整する必要があった。
ベッドサイドモニタのみで数値を自由に変化できるものは無かったため、ハートシムを利用して擬似的にHR値の変化を作り出す事にした。
多重課題シミュレーションの内容
4床部屋
1. D:「トイレに行きたい」 2. D氏の介助 3. 介助中にB氏のHR低下
80から50に 4. バイタル確認中に
50から0に低下 5. ……
B:モニタ ありの患者
C:空床
A:糖尿病 入眠中
D:軽度な 脳梗塞
HR低下
トイレ!
ハートシムの運用
初期状態としてSinusの80で設定 看護師が別患者をトイレ介助中に、50に低下 声かけをしたタイミング(or 一定時間経過)で0に低下
B:モニタ ありの患者
D:軽度な 脳梗塞
HR 80
トイレ!
B:モニタ ありの患者
D:軽度な 脳梗塞
HR 50
トイレ!!
B:モニタ ありの患者
D:軽度な 脳梗塞
HR 0
トイレ!!!
運用していて気づいたこと
タイムラグが存在 ハートシムの設定変更 10~20秒後、ベッドサイドモニタに反映
操作タイミングをつかむのが非常に困難! 時間設定や患者役との兼ね合い アラーム発生タイミング シナリオの自動処理に向かない
→ タイムラグを考慮した変更設定で対処(用 練習)
実際、どれだけのタイムラグが存在しているのか?
簡易実験:ハートシムのタイムラグ測定
利用器具 ハートシム モニタ付き除細動器
手順 ハートシムの設定をSinusに 心拍数のみを変更し、モニタ上の数値として 反映されるまでの時間を測定
基準値から変更値に変え、もう一度基準値に戻す 同一の数値変更に関して2回ずつ測定、平均値を利用
測定条件 基準値を80、および30の二通りで実行
結果1:基準値を80とした場合の変化
0
5
10
15
20
25
30
120 110 100 90 70 60 50 40 30 20 0
80から変化 80に戻す
結果2:基準値を30とした場合の変化
0
5
10
15
20
25
120 110 100 90 80 70 60 50 40
30から変化 30に戻す
結果3:日本光電のモニタでは… 80から50で17秒、50から80では23秒
(実際に多重課題シミュレーションで利用したモニタ)
考察:シミュレータの現状と改良
Sinusで心拍数を変化させた場合、 ハートシム側の設定が変化した後、モニタ反映まで 5秒から25秒程度のタイムラグがある
80から心静止まで落ちる場合、7秒程度で反映。
秒単位の時間が影響するシミュレーションでは影響度大 シミュレータ側の改良でも対処できる問題
シミュレータ開発に関する要望、改善案
ベッドサイドモニタのみのシミュレータ 看護現場、環境再現のためのシミュレータ
ベッドサイドモニタへの応答速度を考えた波形変化 例:80から30に下げる際、一時的に15~20程度まで落としてから40に戻し、最終的に30で安定させる・・・など。
考察:人体での影響
心拍低下の反映に時間がかかるのは致命的 アラーム条件の数値が表示されるまで、アラームは鳴らない
0
5
10
15
20
25
120 110 100 90 80 70 60 50 40
30に戻す
30まで低下した場合の 応答時間
結論
多重課題シミュレーションで心拍をコントロールする必要がある場合に、ハートシムを利用して変化を再現した。
心拍変化後、ベッドサイドモニタに反映されるまで タイムラグが存在していた。
タイムラグを計測した結果、特に心拍低下時の タイムラグが大きいことが判明した。
タイムラグの調整はシミュレータ改良で可能と思われるが、実際の人体でどれだけタイムラグが発生しているか 検証の必要性も考えられる。