【概要】 鉄道事業者３６社、メーカ１３社の協力により、１０年以上にわたり故障データ＊を蓄積できたため、車載用電子機器の不具合傾向がわかってきました。また、昨年度より始めた故障コードを活用した不具合箇所の特定方法に関する取組みは、今後、故障調査事例集等として活用されることが期待できます。

【特徴】 ブラックボックス化している電子機器の保守方法や故障対策、更新状況を

総合的に把握でき、保守作業の最適化が可能になります。 継続して故障調査および事業者の詳細な調査報告の分析を実施し、その

結果とメーカの知見を加えた資料を作成することで、適切な調査の方法、知識、ノウハウなどを提供することができます。

【用途】 鉄道事業者、メーカ共に、機器の故障防止、保守方法、更新計画等の判断の一助に活用できます。

車載電子機器の故障調査 Approaches to Improve Reliability

of On-board Electronic Equipment for Train

＊故障データ：ＡＢＣ故障（Ａ故障：運休又は列車遅延１０分以上、Ｂ故障：列車遅延１０分未満、Ｃ故障：ＡＢ故障以外）

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

1年未満 4年 8年 12年 16年 20年

故障率［%］

経過年数

IGBT素子使用インバータ装置

GTO素子使用インバータ装置

PTr素子使用インバータ装置

全体

経過年数に対する故障率の推移（駆動用インバータ装置）

公益財団法人鉄道総合技術研究所 車両制御技術研究部 駆動制御

大別 原因 調査 処置

１

主回路素子短絡

主回路素子の短絡

①パワーユニット内の外観チェック（破裂したパーツやジェル状のものが落ちていないか、主回路配線・ラミネートバスバーの

焼損等ないか）②ＩＧＢＴ・ＧＴＯ素子のテスターによるチェック

① ② パワ ー ユニットの交換

２

制御装置異常

ゲート指令の異常

故障記録のゲート波形を調査（波形の有無・パターンの異常・位相の異常など）

制御装置の交換

３

ゲートドライバ異常

ゲート ドライバの異常

ゲート波形測定（波形測定前に素子チェック実施のこと）

ゲートドライバの交換（パワーユニットの交換）

不具合箇所分析例

駆動用インバータ装置の故障箇所の分類

制御部

主回路半導体部

他の主回路構成部

入・出力装置

フィルタコンデンサ

センサ類

過電圧保護回路

主回路半導体冷却器

ゲートドライバ関連

インターフェイス

制御電源

ブレーキ受信装置

■フィルタコンデンサ

■リアクトル■主回路導体■接触器

■速度センサ■電流センサ■電圧センサ■伝送線

モータへ

■主回路半導体■冷却器■ゲートドライバ関連■スナバユニット

■過電圧保護回路

■ゲート論理ユニット■制御電源■光電変換部■インターフェイス

■ブレーキ受信装置

ゲート論理ユニット

U

V

W

光電変換部伝送線

制御部52%

他の主回路

構成部 8%

入・出力装置5%

不明7%

主回路半導体部28%

駆動用インバータ装置の故障分析（新製から８年目）

故障コードＣＦＤ又はＩＰＭＦＤの不具合箇所と調査例（駆動用インバータ装置）

故障個所 「制御部」の故障詳細 「主回路半導体部」 の故障詳細

故障調査例

スナバ

回路56%主回路

半導体23%

伝送線5%

不明6%

フィルタコンデンサ2%

ゲートドライバ

関連8%

その他 4%

ゲート論

理ユニット

故障モード：はんだ不良 10%

制御電源44%

I/F 4%不明 6%

制御基板46%

IC 50%

コンデンサ 13%

絶縁アンプ 9%

光部品 13%

継電器 9%その他 6%

ゲート電源 20%

IGBT 11%

GTO 9%

スナバユニット 4%

PTr 4%過電圧保護回路7%

不明4%

主回

路半

導体

ゲートドライバ 41%IGBTドライバ10%GTOドライバ 31%