排水設備要覧の改定箇所 (r2.4.1)排水設備要覧の改定箇所 (r2.4.1) 本編...

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排水設備要覧の改定箇所 (R2.4.1) 本編 ページ 位置 改定箇所 表紙 ・改定年月日の更新 P12 1) ・「⑨ドレン排水」を追加 P12 ・潜熱回収型ガス給湯器 ⇒「潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)」 ・家庭用燃料電池システム ⇒「家庭用燃料電池システム(エネファーム)」 P14 ・(以下、「環境保全条例」とする) ⇒(以下、環境保全条例という。) P15 ・(以下、「技術指針」とする) ⇒(以下、技術指針という。) P16 3) ・「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認) 申請書」 ⇒「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8 号様式) P19 ②ⅱ ・「地下排水槽の構造及び維持管理等に関する要綱(令和 2 10 1 日施 行)」を追加 P22 P23 2)① ・(以下「器具単位法」という) ⇒(以下、器具単位法という。) P42 ・(以下、下水道協会) ⇒(以下、下水道協会という。) ・「排水設備・水洗便所{築造・改築・増築}工事承認申請書」(以下「排 水設備調書」という) ⇒「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8 号様式) P43 (1) ・建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備を安全上及 び衛生上支障のない構造とするための基準 ⇒建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備の構造 方法を定める件(建設省告示第 1597 号)

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Page 1: 排水設備要覧の改定箇所 (R2.4.1)排水設備要覧の改定箇所 (R2.4.1) 本編 ページ 数 位置 改定箇所 表紙 - ・改定年月日の更新 P12 1) ・「⑨ドレン排水」を追加

排水設備要覧の改定箇所 (R2.4.1)

本編

ページ

数位置 改定箇所

表紙 - ・改定年月日の更新

P12 1) ・「⑨ドレン排水」を追加

P12 ※

・潜熱回収型ガス給湯器

⇒「潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)」

・家庭用燃料電池システム

⇒「家庭用燃料電池システム(エネファーム)」

P14 ⑤・(以下、「環境保全条例」とする)

⇒(以下、環境保全条例という。)

P15 ②・(以下、「技術指針」とする)

⇒(以下、技術指針という。)

P16 3)

・「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)

申請書」

⇒「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8号様式)

P19 ②ⅱ・「地下排水槽の構造及び維持管理等に関する要綱(令和 2年 10月 1日施行)」を追加

P22 P23

2)①・(以下「器具単位法」という)

⇒(以下、器具単位法という。)

P42

・(以下、下水道協会)

⇒(以下、下水道協会という。)

・「排水設備・水洗便所{築造・改築・増築}工事承認申請書」(以下「排

水設備調書」という)

⇒「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8号様式)

P43 (1)

・建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備を安全上及

び衛生上支障のない構造とするための基準

⇒建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備の構造

方法を定める件(建設省告示第 1597号)

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ページ

数位置 改定箇所

P44 1)⑦

・申請調書には

⇒「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8号様式)に

P51 (1)

・低位排水系統

⇒地下階や道路より低い土地

・排水設備調書提出時に「地下排水槽設置計画書」を提出しなければなら

ない。

⇒建築確認申請前に「地下排水槽事前協議書」を提出し、「取付管・排

水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8 号様式)提出時に「地下排水槽設置計画書」を合わせて提出しなければならない。

・様式及び記入内容は

⇒詳細は「地下排水槽の構造及び維持管理等に関する要綱」及び

P52 3)① ・「排水槽は縦長とし、」を削除

3)③ ・「こと」を削除

P53

①・は縦長にするとともに

⇒の

・建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備を安全上及

び衛生上支障のない構造とするための基準

⇒建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備の構造

方法を定める件(建設省告示第 1597号)

P54 図-18 ・排水槽の例を差替え

P55 4)

・建築物(地階部分)の 1日平均排出量(m3)/建築物(地階部分)の 1日当たり給水時間(時)

⇒時間平均排出量(m3/時)

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ページ

数位置 改定箇所

P55 4)

・建築物(地階部分)の 1日当たり給水時間とは、地階のうち排水槽に流入する個所の 1日当たり給水時間をいう。 ⇒時間平均排出量とは、「排水槽に流入する箇所の1日平均排出量」を

「排水槽に流入する個所の1日当たり給水時間」で除した排出量をい

う。

P55 1)

・「有効水深の 1/2以下」を追加

・ポンプピット内

⇒ポンプの運転が可能な最低水位

・「最大でも」を削除

P61

・建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備を安全上及

び衛生上支障のない構造とするための基準

⇒建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備の構造

方法を定める件(建設省告示第 1597号)

P66

・「公共下水道の計画は」を削除

・1時間 50㎜の降雨を対象とした ⇒以下の

・430/√t+0.86 ⇒1547.1/t0.74+8.805

P73 (3)③ ・「-1996」を削除

P91

② ・「取付ますは」を追加

・取付ますの内径又は内法は、塩化ビニル樹脂性の場合については、維持

管理上から 20cm以上とし、 ⇒取付ますは密閉蓋とし、塩化ビニル樹脂性の場合、維持管理上から内

径又は内法は 20cm以上とする。

・「また、地下街等で取付ますを公道に設置せざるを得ない場合は、事前

に当局と施工区分及び維持管理区分について十分協議し、協議内容を排

水設備の図面に記載すること。」を追加

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ページ

数位置 改定箇所

P105 1・(以下「悪質下水」という。)

⇒(以下、悪質下水という。)

P128 2)②・等

⇒など

P130 1)②・令第9条の5

⇒令第 9条の 5

P135

・「及び同施行規程」を削除

・排水設備又は水洗便所の築造等は、名古屋市上下水道局指定排水設備工

事店規程(以下「指定排水設備工事店規程」という。) に定める指定排水設備工事店が行なうものとする。

⇒排水設備の築造、改築又は増築の工事は、管理者又は管理者が指定を

した者(以下「指定排水設備工事店」という。)が施行する。

・「また、指定については5年ごとにその更新を受けなければ、その期間

の経過によって、その効力を失う。」を追加

2 ・「なお、この基準については、指定の更新についても準用している。」

ⅰ・成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ない者

⇒破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

ⅱ ・「(こ)」を削除

P136

・Ⅵ 法人であって、その代表者又は役員のうちにⅰからⅴまでのいずれ

かに該当する者

⇒ⅵ 名古屋市暴力団排除条例第2条第2号に規定する暴力団員であ

る者又は同条第1号に規定する暴力団若しくは暴力団員と密接な関

係を有する者

・「ⅶ 精神の機能の障害により排水設備工事の事業を適正に営むに当た

って必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」を

追加

・「ⅷ 法人であって、その代表者又は役員のうちにⅰからⅶまでのいず

れかに該当する者」を追加

P137 4

・合格しなければならない。

⇒合格し、愛知県下水道協会に登録されなければならない。

・「登録」を追加

P138 2)・取付管築造工事申請書

⇒「取付管築造工事申請書」(第 7号様式)

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ページ

数位置 改定箇所

P142

1 ①

・「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)

申請書」

⇒「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8号様式)

1 ②・「なお、上記の申請書及び図面のことを「排水設備調書」と呼んでいる。」

を追加

・「工事完成届兼使用開始届」(以下「工事完成届」という。)

⇒「工事完成届兼使用開始届」(第 12号様式)(以下、工事完成届という。)

2 ② ・「提出が必須となる書類」を削除

P145 1

・「(「下水道水洗便所」)」を追加

・「(くみ取り便所の改造)」を削除

P146 別表 1 別表 2

・平成 30 ⇒令和 2

P148

・補助金の交付は口座振込の方法を原則としている。

⇒補助金の交付は口座振込とする。

4) ・「交付決定ののち」を削除

(2)1)

・(以下、単に「廃止工事」という。)

⇒(以下、廃止工事という。)

・「なお、この場合は浄化槽清掃費用の領収書等、浄化槽を使用していた

ことを証明する書類を「補助金交付申請書」に添付する。」を削除

P149 4)・補助金の交付は口座振込の方法を原則としている。

⇒補助金の交付は口座振込とする。

P150

5) ・「交付決定ののち」を削除

・「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)

申請書」

⇒「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8号様式)

④・内定

⇒決定

P151 ⑥

・補助金の交付決定を行い、申請者に対し補助金交付決定通知書を送付す

る。

⇒補助金額の確定を行い、申請者に対し下水道水洗便所補助金額確定通

知書を送付する。

P153 1)・「※対象が1敷地に建っている集合住宅のみの場合等は含まれない。」を

追加

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ページ

数位置 改定箇所

P154

4)・申請書には

⇒上記の申請書には、

6)

・(以下「工事完了届」という。)

⇒(以下、工事完了届という。)

・「なお、共同排水設備の施工に合わせ、宅地内工事も実施しなければな

らない。」を追加

P155 8)・「共同排水設備の施工に合わせ、宅地内工事も実施しなければならない。」

を削除

P159 4)

・「申請者は交付決定の日から3箇月以内に、宅地内排水ポンプ設備設置

工事(くみ取り便所を水洗便所に改造するか、あるいは浄化槽を廃止する工事を含む)を完了しなければならない。」を削除

P161 3) ・「なお、貸付金は無利息である。」を追加

P163

8)①

8)②

・内定

⇒決定

10)①・決定

⇒確定

P164 11)

・「ウ 納入通知書は、一年度に一回、その年度分をまとめて送付する。」

を削除

1)②・「なお、増改築及び建替に伴う浄化槽の廃止も貸付けの対象としない。」

を追加

P167

9)①

9)②

・内定

⇒決定

11)①・決定

⇒確定

P169 P170

表-26-1 表-26-2

・取付管築造工事申請書

⇒「取付管築造工事申請書」(第 7号様式)・「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)

申請書」

⇒「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8号様式)・「工事完成届兼使用開始届」

⇒「工事完成届兼使用開始届」(第 12号様式)

P171 表-26-3

・「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請取消届」

⇒「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請取消届」(第 11号様式)

・「地下排水槽事前協議申請書類」を追加

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ページ

数位置 改定箇所

P174 6)

・下水道使用料は公共下水道の供用開始の日の属する月の翌月分から

⇒未整備地域解消のために下水道を整備した供用開始区域のうち、分流

区域は公共下水道の供用開始の日の属する月の翌月分から、合流区域

は公共下水道の供用開始の日の属する月の4カ月後から

P180 1)

・平成 28 ⇒平成 30 ・行政人口 2,303,070人⇒行政人口 2,317,646人・処理人口 2,286,600人⇒処理人口 2,301,800人・処理区域内戸数 1,232,580戸⇒処理区域内戸数 1,257,318戸・水洗便所設置済戸数 1,229,993戸⇒水洗便所設置済戸数 1,254,782戸

裏表紙 ― 改定年月の更新

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目 次

第6章 下水道の利用促進

1 最近の下水道の利用状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 180

2 下水本管の布設計画から下水道への切替え ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 181

3 下水道を利用する義務 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 182

4 下水道が整備される前からの対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 182

5 利用促進のための施策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 183

要綱等

○私道における共同排水設備工事補助金交付要綱

○私道における共同排水設備工事補助金交付要綱実施細目

○宅地内排水ポンプ設備設置工事補助金交付要綱

○ディスポーザ排水処理システム取扱要綱

○地下排水槽設置計画の手引き

○地下排水槽の構造及び維持管理等に関する要綱

○排水設備調書類作成要領

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図-1 名古屋市公共下水道排除方式

凡例 排除方式 説 明

合流式(Ⅰ) 汚水・雨水とも下水管へ流す。

合流式(Ⅱ) 汚水は下水管へ流す。雨水は、U型側溝等の雨水排除施設へ流す。

ただし、この施設がない場合は、下水管へ流す。

分流式汚水は、下水管へ流す。

雨水は、U型側溝等の雨水排除施設へ流す。

未計画区域

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(2)汚水と雨水

雨水は自然現象に起因する排水であり、降雨や雪解け水等が該当する。一方、汚水は生活若しく

は事業に起因する排水であり、し尿や雑排水、工場排水等が該当する。

分流式公共下水道に雨水が混入すると降雨時に過剰な下水が流れ込むため、管きょや処理場にお

いて問題が生じる。また、雨水排除施設に汚水が混入すると汚水が公共用水域(河川、海等)に放

流される等水質汚濁問題が生じるため、排水設備において汚水と雨水を確実に分離しなければなら

ない。汚水と雨水の分類を以下に示す。

1)汚水

① 水洗便所からの排水(通称「便所汚水」)

② 台所、風呂場、洗面所、洗濯場からの排水(「雑排水」と呼ぶ)

③ 工場、事業所の生産活動によって生じた排水

④ 地下構造物からの湧水を機械排水するもの

⑤ プール排水

⑥ 冷却水 (間接冷却水を含む) ⑦ 屋外の洗場からの排水 (周囲から雨水の流入がないもの)

◎足洗場や、ガソリンスタンド等の自動式洗車装置の排水は汚水として扱う。

⑧ 集合住宅等のベランダに設置する水栓の排水 (排水系統を汚水、雨水の2系統とする) ⑨ ドレン排水※

⑩ その他、雨水以外の排水

2)雨水

① 雨水

② 自然に地表へ湧出してくる地下水

③ 雪解け水

④ 集合住宅のベランダ、通路等の雨水

⑤ 野天の擁壁の水抜きからの排水

⑥ ピロティーの雨水

⑦ 雨水流出抑制で設置する雨水貯留槽の排水

※潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)及び家庭用燃料電池システム(エネファーム)のドレン排

水については、原則として汚水として取り扱うが、次の条件を全て満たす場合には、例外として、

雨水系統に接続することができる。雨水系統に接続しようとする場合は、営業所又は給排水設備課

まで事前に相談すること。

ⅰ 設置する「潜熱回収型ガス給湯器」、「家庭用燃料電池システム」が、一般財団法人日本ガス

機器検査協会(JIA)の認証機器であること。ⅱ 汚水系統の排水設備への排出が建物等の構造上極めて困難な場合。

ⅲ 近隣周辺の生活環境に悪影響を及ぼすことがないような施工。(注)

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(注)

ア ドレン排水を直接地先の側溝やベランダ、共用通路等に排水する場合には飛散、溢水防止の

措置を講じること。

イ 側溝ますに滞留する水に起因する害虫が発生しないように、配慮すること。その他、近隣住

宅とのトラブルの原因とならないよう万全を期すること。

(3)排水方法

汚水が滞留すると悪臭、詰まりの原因となるため、排水は原則として自然流下方式により排水す

る。ただし、排出先の下水本管や排水路より低い位置から発生する下水の排水は自然流下によるこ

とができないため、ポンプ等による強制排水を行うことができる。

地階を有する構造物は、自然流下によることができない部分 (地階部分) のみをポンプ等による強制排水とし、その他の部分は自然流下によることとする。

建物の構造が、地下・半地下構造となる場合や宅地が道路より低い場合は、下水本管からの下水

の逆流及び道路面等からの浸入水への対策を施す必要があり、逆流防止機能を有したます・管材料

等の使用や止水板・防火扉の設置等の止水対策を検討する。

(4)材料及び器具

排水設備は半永久的に使用するため、優れた耐久性、耐圧性を有し、部品交換等の維持管理が容

易な材料及び器具を用いることが求められる。そのため、日本工業規格(JIS)、日本下水道協

会規格(JSWAS)、空気調和・衛生工学会規格(SHASE-S)、日本水道協会規格(JWW

A)、日本農林規格(JAS)等の規格に適合したもの、あるいはそれと同等以上の性能を持つも

のを使用するとともに、使用する状況(土質、水質、圧力、温度等)により最適な材料を選定する

ことが必要である。

排水は、原則として自然流下方式とする。ただし、自然流下により排水できな

い場合に限り、ポンプ等により排水することができる。

建物の構造が、地下・半地下構造となる場合や宅地が道路より低い場合は、下

水本管からの下水逆流及び道路面等からの浸入水への対策を施すこと。

排水設備は、堅固で耐久力を有する構造とし、施工性、経済性、安全性及び耐

震性について配慮すること。

雨水排水設備については、浸透機能を有するものとすることができる。

材料及び器具は、規格品若しくは規格品と同等以上の性能を持つものの中か

ら、現地の状況に適したものを選定すること。

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(5)雨水流出抑制

1) 雨水流出抑制の概要

①について

昭和 62年 4月制定の「名古屋市雨水流出抑制実施要綱」が平成 21年 4月に改定され、本市の設置、管理する施設は原則として雨水貯留浸透施設を設置し、民間施設等に対し普及啓発に努めるも

のと規定されている。

また、「実施細目」及び「名古屋市雨水流出抑制施設設計指針」において、本市が貯留浸透施設

を設置するにあたっての技術上の基準として、敷地面積 100㎡当り 4 の貯留浸透施設を設けるも

のとしている。

雨水流出抑制に関する以下の関連法令に基づき、雨水の貯留浸透施設を設置する

ものとする。

① 名古屋市雨水流出抑制実施要綱

・市の設置、管理する施設は原則として雨水流出抑制を実施する。

・民間施設等に対し、市は普及啓発に努める。

② 特定都市河川浸水被害対策法、名古屋市特定都市河川浸水被害対策法施行条例

(新川流域、境川流域)

・500㎡以上の雨水浸透阻害行為では実施する。・500㎡未満についても実施するように努める。

③ 都市計画法、名古屋市開発行為の許可等に関する運用基準(住宅都市局開発指

導課)

・下水の排出によって開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じるお

それがある場合は、雨水貯留浸透施設の設置等、必要な措置を講ずる。

・開発行為に伴い増加する雨水量を抑制する施設の設置に努める。

④ 名古屋市防災条例

・市の施設では雨水貯留浸透施設を設置する。

・市民及び事業者は雨水浸透施設の設置等に努める。

⑤ 市民の健康と安全を確保する環境の保全に関する条例(以下、環境保全条例と

いう。)、雨水浸透指針

・市民及び事業者は雨水浸透施設の設置に努める。

・雨水が地下に浸透しやすい素材又は構造のものの使用に努める。

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15

②について

特定都市河川浸水被害対策法に基づき、新川流域が特定都市河川流域に指定され、平成 18 年 1月 1日に施行された。また、名古屋市特定都市河川浸水被害対策法施行条例の制定により、新川流域(北、西、中川、港区の各一部)において 500㎡以上の雨水浸透阻害行為を行う場合は、当該行為前後で流出雨水量を増加させないため、「雨水浸透阻害行為許可等のための雨水貯留浸透施設設

計・施工技術指針(名古屋市)」(以下、技術指針という。)に基づいて雨水流出抑制を実施しなけ

ればならない。

また、境川についても平成 23年 7月 1日に指定、平成 24年 4月 1日より施行され、境川流域(緑区の一部)において 500㎡以上の雨水浸透阻害行為を行う場合は、雨水流出抑制を実施しなければならない。

③について

都市計画法第 29条第 1項に規定する開発行為においては、同法第 33条、同法施行令第 26条等において、下水の排出によって開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じるおそれ

がある場合は、防災調整池の設置を行う等、必要な措置を講ずるものとしている。また、排水施設

においては、設計指針に基づき、増加する雨水量を抑制するための雨水流出抑制施設の設置に努め

るものとしている。

④について

平成 18年 10月に制定された「名古屋市防災条例」では、第 25条第 1項で「市は、自らが設置し、又は管理する施設の敷地内に、雨水の流出を抑制するための施設を設置するものとする」と規

定されている。

また、同条第 3 項では、「市民及び事業者は、自らが設置し、又は管理する施設の敷地内において、雨水の流出を抑制するために必要な対策を講ずるよう努めなければならない」と規定されてい

る。

⑤について

平成 15年 10月に施行された「環境保全条例」では、第 116条で「市長は雨水を地下へ浸透させるための指針を定めるもの」とされ、併せて「市民及び事業者は、雨水浸透施設の設置等雨水浸透

を促進するための措置を講ずるよう努めなければならない」と規定されている。

また、雨水浸透指針では、建物屋根、裸地、舗装地等からの雨水が地下に浸透しやすい素材・構

造のものとして、浸透ます、浸透トレンチ、浸透側溝等を使用するように努めるものとしている。

≪雨水流出抑制の具体的な方法等については、本章第5節「雨水流出抑制の実施」(P.97)を参照≫

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16

(6)排水設備の維持管理

排水設備の設置後,長期間,点検や維持管理を行っていないと,排水管の閉塞等により,生活に

支障をきたすとともに,悪臭等の発生により周辺環境が悪化する。

このため,住民が快適な生活を送るためには,排水設備の維持管理は欠かせない。

維持管理の目的としては,次のようなものがあげられる。

・排水設備の機能確保

・排水設備の延命化

・公共下水道の損傷防止や公共用水域の水質保全

1)について

① 日常の使用上の注意としては,排水設備の流下を阻害するものを流さないことや、ますの上の

ごみ等の除去を行う。定期点検としては,設備の種類に応じた点検項目や点検周期を定めて異

常の有無を確認し、異常を確認した場合は,適切な措置を講ずること。特に屋外排水管やます

においては,破損、目地からの漏水,木根の侵入や土砂の流入がないかを確認する。

② 維持管理を行うもの(排水設備設置義務者)としては,下水道法第10条第2項では,「設置され

た排水設備の改築又は修繕は,排水設備を設置すべき者が行うもの」とし,その清掃その他の

維持は,当該土地の占用者が行うものとされています。

2)について

設置者は,工事完成図書を保管し,今後の維持管理のために活用すること。

また,定期的な維持管理の記録を残すことが望ましい。

3)について

排水設備の増設又は改築を行う場合は,新設と同様に「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)

申請書」(第 8 号様式)を提出すること。

4)について

地震等被災時に避難所となる施設等の排水設備においては、耐震性を有することが重要である。

排水設備の維持管理にあたっては,以下の事項を考慮する。

1)排水設備設置義務者は、日常の注意及び定期点検を行うことが望ましい。

2)排水設備設置義務者は、工事完成図書等を保管することが望ましい。

3)排水設備設置義務者は、増設又は改築を行う場合は,届出を行う。

4)避難所等の排水設備設置義務者は、排水設備に関する被災時の備えをする

ことが望ましい。

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第2章 排水設備技術指針

19

他の排水系統と区分するために設ける排水系統をいう。公共下水道へ接続する場合には法令

等の定める処理を行う施設(除害施設)を経由する。

② 排水方式による分類

ⅰ 重力式排水系統

排水系統のうち、地上階など建物排水横主管が公共下水道より高所にあり、建物内の排水が

自然流下によって排水されるものをいう。

ⅱ 機械式排水系統(低位置排水系統)

地下階その他の関係等で、排除先である公共下水道より低位置に衛生器具又は排水設備が設

置されているため、自然流下による排水が困難な系統をいい、排水をいったん排水槽に貯留

し、ポンプでくみ上げるものをいう。詳細は本節「7 地下排水槽」(P.51 参照)、「地下排

水槽の構造及び維持管理等に関する要綱(令和 2 年 10 月 1 日施行)」及び「地下排水槽設置

の手引き」による。

2)について

排水設備は、建物の規模、用途に応じた能力を有し、地震や温度変化、腐食等で排水管や通気管

が変位又は損傷しないように、建物の構造に合わせて適切な支持、固定、塗装等の措置をする。な

お、免震構造物の排水設備は、独立行政法人建築研究所監修の「建築設備耐震設計・施工指針(2014年版)」に準拠し、適切な耐震支持を行うものとする。

また、建物と地盤の間に地震による変位が生ずるおそれのある場合、配管における建物の導入部

(屋内から屋外排水設備への接続部)については、配管による貫通部分にスリーブを設ける等有効

な配管損傷防止措置を講ずること、また、変形により配管に損傷が生じないよう可とう継ぎ手を設

ける等、有効な損傷防止措置を検討する。

3)について

排水時に流水音や異常な振動を生じないようにし、また、排水が逆流することがないような構造

とする。

4)について

衛生器具は、建築基準法等を遵守して設置し、その個数、位置等は建物の用途や使用者の態様に

適合させる。材料は全て不透水性で滑らかな表面を有し、常に清潔に保てることができるものとす

る。排水管へ直結する衛生器具は、適正な構造と封水機能を有するトラップを設ける。

衛生器具等は所定の位置に適正に堅固に取付け、器具に付属する装置類は窓、ドア、その他出入

り口等の機能を阻害することのない位置に設ける。

5)について

通気は、トラップの封水保護、排水の円滑な流下、排水系統内の換気等のために必要であり、通

気系統が十分に機能することによって排水系統がその機能を完全に発揮することができる。

なお、2以上のブランチ間隔を有する排水立て管には通気管を設ける。ブランチ間隔とは、排水

立て管に接続している各階の排水横枝管または排水横主管の間の垂直距離が 2.5m を越える排水立

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第2章 排水設備技術指針

20

て管の区間のことをいう。2.5m を越えた場合を 1 ブランチ間隔という。

通気方式は、衛生器具の種類、個数、建物の構造等に応じたものとする。

6)について

排水管、通気管等の設置場所は、床下や壁体内部等の隠ぺい部となることが多く、保守点検、補

修等が容易でないので、十分に耐久性のある材料を用いて適正に施工するとともに、将来の補修や

取替えについても十分に配慮しておく。

排水管内の掃除を容易にするために設ける掃除口の設置場所は、設置後に人の出入りが容易にで

きなかったり、掃除用具が使用できない狭い場所にならないように注意する。

7)について

排水系統、通気系統の大部分は床下、壁体等に収容されるものであり、衛生器具を含めて建築物

の構造、施工等と密接な関係がある。また、衛生器具等への給水設備、ガス、電気その他の建築設

備及び排水設備の設置空間は、維持管理を考慮すると同一にすることが望ましい。このため、設置

位置、施工時期について、これら関係者と十分に調整することが必要である。

(2) 排水管

1)について

排水管は屋内排水設備の主要な部分であり、円滑に機能し施工や維持管理が容易で、建設費が低

廉となるように配慮するとともに建築基準法施行令等に適合する配管計画を定める。

① 排水管の種類

屋内排水設備の排水管には、次のものがある。

ⅰ 器具排水管

衛生器具に付属又は内蔵するトラップに接続する排水管で、トラップから他の排水管までの

間の管をいう。

ⅱ 排水横枝管

1本以上の器具排水管からの排水を受けて、排水立て管又は排水横主管に排除する横管 (水

排水管は、次の事項を考慮して定める。

1)配管計画は、建築物の用途、構造、排水管の施工、維持保守管理等に留意

し、排水系統、配管経路及び配管スペースを考慮して定める。

2)管径及び勾配は、排水を円滑、かつ、速やかに流下するように定める。

3)使用材料は、用途に適合するとともに欠陥、損傷がないもので、原則とし

て規格品を使用する。

4)管の沈下、地震による損傷、腐食等を防止するため、必要に応じて措置を

講じる。

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第2章 排水設備技術指針

21

平又は水平と 45°未満の角度で設ける管) をいう。

ⅲ 排水立て管

1本以上の排水横枝管からの排水を受けて、排水横主管に排除する立て管(鉛直又は鉛直と

45°以内の角度で設ける管)をいう。

ⅳ 排水横主管

建物内の排水を集めて屋外排水設備に排除する横管をいう。建物外壁から屋外排水設備のま

すまでの間の管もこれに含める。

② 排水系統

排水の種類、排水位置の高低等に応じて排水系統を定める。

なお、各衛生器具に接続した排水管が、床下に設置した1箇所の排水ますや排水管に集中して

接続され、1本の排水管で屋外排水設備に接続する床下集合配管システムの使用にあたっては、

本節「8 床下集合配管システム(排水ヘッダー)」(P.60)の内容に従うこと。

③ 排水経路

排水機能に支障がなく、かつ、できるだけ最短な経路を定める。排水管の方向変換は、異形管

又はその組み合わせにより行い、掃除口を設置する場合を除いて経路が行き止まりとなるよう

な配管は行わない。

④ 配管の注意事項

ⅰ 汚水管、雨水管共通

ア 排水横枝管等が合流する場合は必ず 45°以内の鋭角とし、水平に近い勾配で合流させる。

イ 排水管は二重トラップとしてはならない。

ウ 排水横主管及び横枝管にT字継手、ST継手、クロス継手を使用してはならない。

エ 排水横枝管は、排水立て管の 45°を超えるオフセットの上部より上方、又は下部より下方

の、それぞれ 60cm以内で排水立て管に接続しない。(図-2参照)

オ 伸頂通気方式の場合は、排水立て管に原則としてオフセットを設けず、排水立て管の長さ

は 30m以内とし、排水横主管の水平曲がりは排水立て管底部より3m以内には設けない。

カ 屋内排水管の方向変換は、適正な異形管の使用、それらの組合せによって施工する。

キ 盛土、埋立土等の不安定な地盤に埋設する排水横主管には、堅固な基礎を施す。

ク 排水管を建物の梁や壁等を貫通させる必要がある場合には、配管する管の外径より大きい

スリーブをコンクリート打設時前までに堅固に取り付けておき、このスリーブ内に配管す

る。

ケ 上記のスリーブ取付の口径や位置は、建築構造の強度にも影響するので建築の担当者と事

前に打合せが必要である。

コ 保守点検、取り替え等を考慮して、管の取付位置、スペース、大きさ等を定める。必要に

応じて、取替え時の仮配管スペースを考慮する。

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第2章 排水設備技術指針

22

ⅱ 雨水排水管

ア 屋内において、雨水排水管と汚水排水管は合流させない。

イ 雨水排水管は、通気管と連結しない。

ウ 雨水立て管は、排水立て管及び通気立て管として兼用してはならない。

エ 雨水横主管は、原則として単独で屋外の排水桝に合流させる。

オ 雨水排水管を合流式の配管・設備に接続する場合には、トラップを設ける。この場合雨水

排水管毎にトラップを設けても、又は雨水排水管のみを集めてからまとめて1箇所にトラ

ップを設けても、いずれの方法でもよい。

カ 雨水横主管又は一般の屋外雨水管に接続する雨水横枝管には、トラップを設けてはならな

い。

図-2 排水立て管のオフセット

注 オフセットとは、配管経路を平行移動する目的で、エルボ又はベンド継手で構成される移行

部分をいう。

⑤ 不燃化とすべき排水管

排水管が耐火構造物等の防火区画を貫通する場合には、次のとおりとする。

ⅰ 当該管と耐火構造との防火区画とのすき間を、モルタルその他の不燃材料で埋める。

ⅱ 当該管が貫通する部分及び貫通する部分からそれぞれ両側に1m の距離にある部分

を不燃材料とする。

2)について

排水管は、接続している衛生器具の使用に支障がないように排水を円滑、かつ、速やかに流下さ

せるため、排水量に応じて適切な水深と流速が得られるような管径及び勾配とする。一般に、排水

管の管径と勾配は次のように定める。

① 排水管の管径

排水管の管径決定方法は、定常流量法と器具排水負荷単位による方法(以下、器具単位法とい

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第2章 排水設備技術指針

23

う。)がある(SHASE-S 206-2009 を参照)。これらの方法によって求められる管径が、次の基本

則を満足していることを確認し、満足しない場合は基本則に合わせて管径を定める。

ⅰ 器具排水管の管径

器具排水管の管径は器具のトラップの口径以上で、かつ 30mm 以上とする。衛生器具の器具

トラップの最小口径は、表-2のとおりとする。

表-2 器具トラップの最小口径 (SHASE-S 206-2009)

(注)

※1 住宅用のもの

※2 トラップの最小口径は、最小排水接続管径を示したものである。

ⅱ 管径の縮小

排水管は、立て管、横管いずれの場合も、排水の流下方向の管径を縮小してはならない。た

だし、大便器の排水口に管径 100mm × 75mm の径違い継手を使用する場合は管径の縮小

とは考えない。

ⅲ 排水横枝管の最小管径

排水横枝管の管径は、これに接続する衛生器具のトラップの最大口径以上としなければなら

ない。

ⅳ 排水立て管の管径

排水立て管の管径は、これに接続する排水横枝管の最大管径以上とし、建物の最下部におけ

器具トラップの

最小口径(mm)

大 便 器 ※2

小 便 器 (小型) ※2

小 便 器 (大型) ※2

洗 面 器 (小・大型) 手 洗 器

手 術 用 手 洗 器

洗 髪 器

水 飲 器

浴 槽 (和風) ※1

浴 槽 (洋風) ビ デ

調 理 流 し ※1

掃 除 流 し

洗 濯 流 し

連 合 流 し

汚 物 流 し ※2

実 験 流 し

デ ィ ス ポ ー ザ

75

40

50

30

25

30

30

30

30

40

30

40

65

40

40

75

40

30

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第2章 排水設備技術指針

24

る最も大きな排水負荷を負担する部分の管径と同一管径とする。

排水立て管は、立て管の上部を細くして下部を太くするような「たけのこ配管」をしてはな

らない※。

※排水立て管内の約2/3のスペースは空気のためのものであり、通気管としての役割も

兼ねるため。排水負荷は、立て管の上部より下部に向かって大きくなるが、通気の負荷

はこの逆となる。

ⅴ 地中埋設排水管

地中又は地階の床下に埋設される排水管の管径は 50mm 以上が望ましい。

② 排水管の勾配

排水横管は、凹凸がなく、かつ、適切な勾配で配管し、その勾配は表-3を標準とする。

表-3 排水横管の勾配 (SHASE-S 206-2009)

3)について

屋内配管には、配管場所の状況や排水の水質等によって、鋳鉄管、鋼管等の金属管やプラスチッ

ク管等の非金属管又は複合管を使用する。

地中に埋設する管は、建物や地盤の不同沈下による応力や土壌による腐食を受けやすいため、排

水性状、耐久性、経済性、施工性等を考慮して適したものを選択する。

屋内配管に用いられる主な管材は次のとおりである。

① 硬質塩化ビニル管

耐久性に優れ、軽量で扱いやすいが、比較的衝撃に弱くたわみ性がある。耐熱性にやや難があ

る。管種には、VP と VU があり、屋内配管には戸建住宅を除き VP 管が使用されている。屋

内配管の継手は、ソケット継手で接着剤によるのが一般的である。

② 鋳鉄管

ⅰ 鋳鉄管

ねずみ鋳鉄製で、耐久性、耐食性に優れ、価格も他の金属管に比べて安く、屋内配管の地上

管径(mm) 勾配(最小)

65以下

75,100

125

150

200

250

300

1/50

1/100

1/150

1/200

1/200

1/200

1/200

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第2章 排水設備技術指針

41

4 衛生器具

衛生器具の規格は表-5の通りである。

衛生器具とは、給水、給湯及び排水を必要とする場所に設ける器具の総称で、給水管と排水管の

中間に設置され、一度使用された水若しくは洗浄して排出すべき汚物を受け入れて、これを排水管

に流下させるための器具類をいう。

したがって、水受容器及び装置に付属して装備される給排水管、接続金具、固定金具等の小器具

も付属金具として衛生器具に含まれる。

このように種々ある衛生器具は、排水設備の排水の始まる源ともなるもので、排水設備の中で衛

生器具を切り離して考えることはできない。

表-5 衛生器具の規格

番 号 名 称

JIS A 5207 衛生陶器

JIS A 5514 衛生陶器付属金具

JIS A 4422 温水洗浄式便座

JIS B 2061 給水栓

JIS A 5521 大便器洗浄弁

JIS S 1005 家庭用流し台・調理台・こんろ台

JIS A 5704 ガラス繊維強化ポリエステル浴槽

JIS A 5532 浴槽

JIS A 5710 ステンレス鋼板浴槽

JIS A 5712 ガラス繊維強化ポリエステル

洗い場付き浴槽

JIS A 4419 浴室用防水パン

JIS A 4410 住宅用複合サニタリーユニット

JIS A 4416 住宅用浴室ユニット

JIS A 4417 住宅用便所ユニット

JIS A 4418 住宅用洗面所ユニット

JIS A 4401 洗面化粧ユニット類

JIS A 4411 住宅用壁形キッチンユニット

JIS A 4420 キッチン設備の構成材

JIS A 4413 住宅用配管ユニット

衛生器具は、原則としてその規格に適合するものを使用する。

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第2章 排水設備技術指針

42

5 ディスポーザ

ディスポーザは家庭の台所等から発生する野菜くず等の生ごみを破砕し、水と共に公共下水道へ

流し出す機械であるが、このような生ごみの破砕機は、下水道の維持管理上、問題を生じるので、

単体ディスポーザについては設置、使用してはならない。

ただし、「公益社団法人日本下水道協会(以下、下水道協会という。)が定める「下水道のための

ディスポーザ排水処理システム性能基準(案)」(平成 25 年 3 月)に従い下水道協会の製品認証を

受けた機種で適切な維持管理を行う確認が出来た「ディスポーザ排水処理システム」については、

使用することができる。

設置する場合は、「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8 号様式)に必要書類

を添付し、給排水設備課へ申請しなければならない。詳細は、ディスポーザ排水処理システム取扱

要綱(巻末添付)による。

単体ディスポーザが下水道の維持管理に与える問題については以下のとおりである。

① 破砕された生ごみが排水設備の中で沈殿したり、付着したりして、下水の流れを妨げるおそれ

がある。

② 地下排水槽へ流入する場合には、腐敗が促進されて悪臭が強まるおそれがある。

③ 下水の濃度が高まるため水処理センターへ流入する水質が悪化する。

④ 下水処理によって発生する汚泥が大幅に増える。

⑤ 合流式区域では、雨天時に破砕された生ごみが雨水吐き室から河川等の公共用水域に流出する

おそれがあり、水環境への悪影響が懸念される。

単体ディスポーザは設置、使用してはならない。

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第2章 排水設備技術指針

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6 阻集器

(1) 基本的事項

阻集器の設置は、「建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備の構造方法を定

める件(建設省告示第 1597 号)」による。

阻集器は、排水中に含まれる有害危険な物質、望ましくない物質又は再利用できる物質の流下を

阻止、分離、捕集し、自然流下により排水できる形状、構造をもった器具又は装置をいい、公共下

水道及び排水設備の機能を妨げ、又は損傷するのを防止するとともに、処理場における放流水の水

質確保のために設ける。

2)について

容量が不足すると、分離すべき物質を十分に分離、除去できずに下水本管に流出していまい、容

量が過大であると、維持管理が煩雑になることから、用途、使用水量及び分離すべき物質の流出量

等により、適正な容量の阻集器を選定する。

4)について

「建築物環境衛生維持管理要領」によると、「阻集器にあっては、油脂分、汚泥等を除去すると

ともに、清掃後は内部の仕切り板等を正しく装着し、機能の維持を図ること。」とされている。こ

のため、油脂分を分解する処理装置の設置を禁止している。

油脂分を分解する菌又はオゾン等を利用する、曝気装置は、曝気によって阻集器内が撹拌され、

分離浮上している阻集グリース及び堆積残さが下水本管に流出してしまう可能性が高いことから、

追加設置を禁止している。

油脂、ガソリン、土砂、その他下水道施設の機能を著しく妨げ、又は排水管等

を損傷するおそれのある物質あるいは危険な物質を含む下水を公共下水道に排

水する場合は、阻集器を設けなければならない。

阻集器の構造については、次の事項を考慮して定めること。

1)阻集器には、分離を必要とする以外の排水を流入させないこと。

2)阻集器は、保守管理上、衛生上適正な容量とすること。

3)阻集器内部の空気が密閉されないように、適切な通気がとれる構造とする

こと。

4)阻集器には、原則として油脂分を分解する処理装置を設置しないこと。

5)阻集器内の沈殿物及び分離物は、その種別に分別したうえで、廃棄物の処

理に適した状態とし、衛生的に安全な構造とした容器等にて搬出できるよ

う配慮すること。

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第2章 排水設備技術指針

44

また、油脂分を分解すると称し、油脂分を排水として流すタイプの処理剤等は、油脂分を乳化さ

せ分散しているだけで、油脂分は分解されることなく下水本管に流出してしまう可能性が高いこと

から、使用を禁止している。

〈参考〉SHASE-S 217-2016 グリース阻集器 一部抜粋

(2) 阻集器の設置

1)阻集器設置上の留意点

① 使用目的に適合した阻集器を有効な位置に設ける。その位置は、容易に維持管理ができ有害物

質を排出するおそれのある器具又は装置のできるだけ近くが望ましい。

② 阻集器は汚水から油脂、ガソリン、土砂等を有効に阻止分離できる構造とし、分離を必要とし

ない下水を混入させないものとする。

③ 容易に保守、点検ができる構造とし、材質はステンレス製、鋼性、鋳鉄製、コンクリート製又

は樹脂の不透水性、耐食性のものとする。

④ 阻集器に密閉ふたを使用する場合は、適切な通気がとれる構造とする。

⑤ 阻集器は原則としてトラップ機能を有するものとする。これに器具トラップを接続すると、二

重トラップとなるおそれがあるので十分注意する。なお、トラップ機能を有しない阻集器を用

いる場合は、その阻集器の直近下流にトラップを設ける。

⑥ トラップの封水深は、5cm 以上とする。

⑦ 「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8 号様式)に、阻集器の構造がわか

る図面(承認図等)を添付すること。また、グリース阻集器及びオイル阻集器については、阻

集器選定に係る容量算出書を添付すること(SHASE-S217-2016、SHASE-S221-2012 を参照)。

なお、砂阻集器・セメント阻集器、毛髪阻集器、繊維くず阻集器については製品メーカーの基

準等により適正な容量のものを選定すること。

2)設置する阻集器の種類

阻集器の種類には、排水中に含まれる有害物質等を分離し、阻集する対象物質によって、以下の

種類のものがある。

① グリース阻集器

② オイル阻集器

③ 砂阻集器・セメント阻集器

④ 毛髪阻集器

⑤ 繊維くず阻集器

⑥ プラスタ阻集器

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第2章 排水設備技術指針

51

7 地下排水槽

(1) 基本的事項

地下排水槽は、地下階や道路より低い土地で発生する排水を対象とし、自然流下が可能な一般の

排水系統とは別系統とする。排水槽は、構造、維持管理が適切でないと悪臭発生の原因となる。都

市部で地下排水槽に起因した悪臭が増加し問題となっているため、下水道法施行令第8条第 11 号

において「汚水を一時的に貯留する排水設備には、臭気の発散により生活環境の保全上支障が生じ

ないようにするための措置が講ぜられていること。」とされている。

地下排水槽から悪臭が発生する主な原因は次のとおりである。

① 排水槽の底部が水平になっている等の構造上の欠陥により、排水槽内の排水を完全に吸い上げ

ることができないため、排水の一部や沈殿物が滞留し腐敗する。

② 排水槽を設置している地階にはちゅう房や駐車場が多く、油脂及び厨芥類が温湯とともに流入

し腐敗を早める。

③ ポンプ運転間隔が長いと、排水槽に排水が長時間滞留することになり排水の腐敗が著しくなる。

④ 排水槽の定期的な清掃が実施されていない。

これらの条件で発生する悪臭は、主に硫化水素(H2S)である(表-7P.59 参照)。硫化水素は、

公衆を不快にさせるだけでなく人体にも影響があり、まちのイメージの低下につながる。さらには、

硫化水素が硫酸(H2SO4)に酸化され、排水槽のコンクリート壁やポンプ設備及び公共下水道の管

路施設等を損傷させる。したがって、排水槽の設計にあたっては、構造、ポンプの運転制御方法、

運転水位の設定及び清掃等の維持管理について考慮し、臭気が発散しない措置を講じなければなら

ない。

地下排水槽を設置する場合は、建築確認申請前に「地下排水槽事前協議書」を提出し、「取付管・

排水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8 号様式)提出時に「地下排水槽設置計画書」を合

わせて提出しなければならない。詳細は「地下排水槽の構造及び維持管理等に関する要綱」及び「地

下排水槽設置計画の手引き」(巻末添付)による。

(2) 排水槽の設置

1)種類

地階の排水又は低位の排水が自然流下によって直接公共下水道に排出できな

い場合は、地下排水槽を設置し、臭気の発散しない措置を講じなければならない。

原則として、排水槽は流入する排水の種類により、汚水槽、雑排水槽、湧水槽、

雨水槽に区分する。

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第2章 排水設備技術指針

52

① 汚水槽

水洗便所のし尿等の汚水排水系統に設ける排水槽である。

② 雑排水槽

ちゅう房その他の施設から排除されるし尿を含まない排水を貯留するための排水槽である。

③ 湧水槽

地階の浸透水を貯留するために設けられる排水槽である。

④ 雨水槽

降雨を一時的に貯留するために設けられる排水槽である。

2)設置場所

排水槽は、槽内の点検、清掃等が必要であり、清掃時に発生する沈殿汚泥の搬出、ポンプの搬入

出を行う必要がある。排水槽の設置場所については、これらの維持管理が容易に行うことができる

場所に設置し、維持管理が困難な場所は避けなければならない。

3)構造

排水槽は、槽内の点検、清掃等の維持管理が容易に行うことができる場所に設

置する。

排水槽の構造は、次の事項を考慮して定める。(図―18P.54 参照)

① 排水槽の底部には必ず吸込みピットを設ける。ピットの大きさは残汚水を

少なくするためにできるだけ小さくする。

② 底部は掃除がしやすく、また、沈殿物が底部に残ることなくピット内へ流

れ込むように 1/15 以上 1/10 以下の勾配をつける。

③ 汚物の付着を防止するため側壁の隅角部に有効なハンチを設ける。

④ 排水槽の内部は容易に清掃できる構造とし、水密性、防食等を考慮したも

のとする。

⑤ 排水槽には必ず保守点検用のマンホールを設け、その大きさは 60cm 以上

とする。

⑥ 排水槽内の臭気を排気する目的と、ポンプ排水時に空気を流入させるため

に、口径 50mm 以上の通気管を単独で設置する。

⑦ 排水槽は、1 槽式とする。

⑧ 排水の流入管は、汚物飛散防止のため吸込みピットに直接流入するように

設ける。

⑨ 悪臭の発生するおそれのある排水槽には、曝気装置、攪拌装置を設ける。

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第2章 排水設備技術指針

53

①について

悪臭を発生させている排水槽の調査を行うと、排水槽の容量が大きいことによることが大きな要

因となっているが、排水槽の底部に吸い込みピットが無い場合がある。吸い込みピットが無いと排

水槽内に多くの汚水が滞留し、さらに汚泥が沈殿堆積することで腐敗して悪臭を発生させている。

これを防止するために槽の底部に吸い込みピットを設け、滞留する汚水、汚泥を少なくする必要が

ある。

②について

排水槽清掃時に、槽底部に沈殿した汚泥を排除するために槽の底部には吸い込みピットを設ける。

槽底部の勾配は、清掃作業等の作業性や安全性を考慮して吸い込みピットに向かって 1/15 以上

1/10 以下 とすることが「建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備の構造方

法を定める件(建設省告示第 1597 号)」で規定されている。

③について

側壁の隅部に汚泥が付着して堆積しないように隅角部に有効なハンチを設ける。

④について

排水槽をコンクリートで築造する場合は、槽内清掃を容易に出来るよう考慮し、防水モルタルな

どで漏水しない構造とする。汚水・雑排水を流入させる排水槽にあっては、ポンプ排出時等に発生

する硫化水素(H2S)によって、気相部のコンクリート面及び槽内部の鉄製品等を腐食させるため、

槽内部及び使用する材料については、防食を施したものを使用する必要がある。

⑤について

排水槽は、定期清掃等のために人が槽内に入ることが出来る内径 60cm 以上の点検開口部を設け

ること。開口部には密閉型の蓋を設置し、防臭構造及び上載加重に十分対応できるものを使用しな

ければならない。点検用マンホールは2箇所以上設けるのが望ましい。

⑥について

排水槽を設置する場合は、管径 50mm 以上の通気管を設置し他の排水系統の通気管に接続するこ

となく、単独かつ有効に大気中に開口する必要がある。また、通気管からは臭気が発生するため、

開口個所には十分配慮すること。

⑦について

2槽以上の排水槽を接続すると、ポンプを設置していない槽に汚物が堆積しやすくなり、悪臭発

生の原因となる恐れがある。したがって、流入量が多く、構造的に2槽以上となる場合は、各槽毎

にポンプを設置し、排水槽を分割しなければならない。

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第2章 排水設備技術指針

54

図-18 排水槽の例

(2.0m)

(0.8m)

(2.0m)

(0.8m)

有効

水深

(0.

5m)

(1.

0m)

通気管(50mm)

(0.

5m)

断面図

マンホール マンホール

流入管逆止弁

吐出管

底部勾配(1/10)

(1.

0m)

LWL

HWL

平面図

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第2章 排水設備技術指針

55

4)有効容量

地下排水槽の設計に際して特に重要なものは、排水槽の有効容量、ポンプの運転水位等の決定に

必要な計画排水量である。過大な大きさの排水槽は悪臭の原因となるため、計画した排水量を基に

上記条件を満たす有効容量とすること。なお、時間平均排出量とは、「排水槽に流入する箇所の1

日平均排出量」を「排水槽に流入する箇所の1日当たり給水時間」で除した排出量をいう。

また、槽の実深さは有効水深の 1.5~2.0 倍程度が望ましい。

(3) 排水ポンプ

1)運転制御

計画汚水量により有効容量を求め、ポンプの運転水位を設定したとしても実際の使用量が違うこ

とが想定される。このため、汚水の長時間滞留を抑制するためにポンプの運転水位は極力低く(有

効水深の 1/2以下)して汚水を速やかに排出するとともに、停止水位をポンプの運転が可能な最低水位に設定し残汚水を減らす。

さらに、水位計だけでなくタイマーを併用することで、ポンプの運転間隔が1時間程度となるよ

う設定し、低水位運転及びタイマー運転の併用とし、槽内汚水の滞留時間を短くすること。

2)台数

排水ポンプは、排水の性状に対応したものを使用し、異物による詰まりが生じないようにする。

また、故障に備えて複数台を設置し通常は交互に運転できるようにするとともに、排水量の急増時

には同時運転が可能な設備とする。また、ポンプ施設には逆流防止機能を備える。

排水槽の有効容量は、排水槽に流入する時間当たり最大排水量以下であるとと

もに、次式により算出される範囲内とする。

有効容量(m3)= 時間平均排出量(m3/時)×2.0~2.5

ポンプの運転水位は、極力低い設定とする。また、タイマー運転を併用し汚水

が滞留する時間が短くなるようにする。

ポンプの設置台数は、原則として2台以上とする。

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第2章 排水設備技術指針

56

(4) 維持管理

① 排水槽を含め排水ポンプ、排水管、通気管等について、定期的に清掃、機械の点検を行い、常

に清潔良好な状態を保つようにする。また、厨房・機械設備等から排水槽へ流入する排水系統

には阻集器を設け、その維持管理は頻繁に行うこと。

② 排水槽の正常な機能を阻害するようなものを流入させてはならない。

③ 予備ポンプは普段の点検、補修を十分に行い機能の確認を行う。

④ 清掃時等に発生する汚泥は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づいて適正に処分し、

公共下水道等に投棄してはならない。

⑤ 排水槽に関する図面(配管図、構造図等)及び排水槽等の保守点検記録等を整備しておかなけ

ればならない。

(5) 悪臭防止装置

排水槽に悪臭防止装置を設置する方法として、即時排水型排水槽設備や曝気、攪拌併設装置があ

る。

① 即時排水型排水槽設備

排水槽の容量を小さくして流入する汚水を即時に排出することで腐敗を防止する。即時排水型

排水槽 (図-19) の設置あるいは既設排水槽を即時排水型排水槽設備に改造するにあたっ

ては、「即時排水型ビルピット設備 技術マニュアル-2002年-3月」(財団法人 下水道新技術推進機構発行)により設置すること。

図-19 即時排水型排水槽の設置例

地下排水槽を含め排水ポンプ、排水管、通気管等について、定期的に清掃、機

械の点検を行い、常に清潔良好な状態を保つようにすること。

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第2章 排水設備技術指針

61

9 間接排水

建築基準法施行令の規定に基づく「建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備

の構造方法を定める件(建設省告示第 1597号)」により、排水管と直接連結してはいけないものが示されている。飲料水、食物、食器等を取り扱う機器を排水管に直接接続すると、排水管に詰まり

等の異常が生じた場合、排水が逆流して飲料水、食物、食器等が汚染され、衛生上危険な状態にな

ることがある。

また、このトラップの封水が破れた場合、有害なガスが侵入することがある。このため、食物、

食器を取り扱う機器からの排水や飲料水を使用する機器からの排水は、排水管と直結して排出する

ことをせず、一度、大気中に開放して所要の排水口空間をとって、間接排水用の水受け容器に排出

する。

1)間接排水とするもの

間接排水としなければならない機器や装置は、次に示すように SHASE-S 206-2009 で具体的に定められている。

① 冷蔵庫・冷凍庫・ショーケース等の食品冷蔵・冷凍機器の排水

② 皮むき機・洗米機・蒸し器・スチームテーブル・ソーダーファンテン・製氷機・食器洗浄機・

消毒器・カウンタ流し・食品洗い用流し・すすぎ用流し等のちゅう房用機器排水

③ 洗濯機・脱水機等の洗濯用機器の排水

④ 水飲み器・飲料用冷水器・給茶器の排水

⑤ 蒸溜水装置・滅菌水装置・滅菌器・滅菌装置・消毒器・洗浄器・洗浄装置等の医療・研究用機

器の排水

⑥ 貯水タンク・膨脹タンクのオーバーフロー及び排水

⑦ 上水・給湯及び飲料用冷水ポンプの排水

⑧ 排水口を有する露受け皿・水切りの排水

⑨ 上水・給湯及び飲料用冷水系統の水抜き

⑩ 消火栓・スプリンクラー系統の水抜き

⑪ 逃し弁の排水

⑫ 圧縮機の水ジャケットの排水

⑬ 冷凍機・冷却塔及び冷媒・熱媒として水を使用する装置の排水

⑭ 空気調和用機器の排水

⑮ 上水用の水処理装置の排水

排水系統の不測の事故等に備え、食品関係機器、医療の研究用機器その他衛生

上、直接排水管に接続しては好ましくない機器の排水は間接排水とする。間接排

水とするものは SHASE-S 206-2009による。

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第2章 排水設備技術指針

62

⑯ ボイラ・熱交換器及び給湯用タンクからの排水、蒸気管のドリップ等の排水 (原則として 45℃以下に冷却し排水する)

⑰ 噴水池、水泳用プール自体の排水及びオーバーフロー並びにろ過装置からの逆洗水及び水泳用

プール周縁歩道の床排水

以上は、間接排水とすべき機器・装置等の代表的なものを示している。したがって、以上にな

いものでも、汚染を防止する必要があるものは、間接排水とする。

2)間接排水の配管

① 水受け容器までの配管長が 1500mmを超える間接排水には、その機器・装置に近接してトラップを設ける。

② 間接排水管は、容易に掃除及び洗浄ができるよう配管する。

③ 機器・装置の種類、排水の種類によって排水系統を分ける。

3)排水口空間

① 間接排水とする機器・装置の排水管(間接排水管)は、原則としてその機器・装置毎に、一般の排水系統に接続した水受け容器のあふれ縁より上方に排水口空間をとって開口する。

図-20 間接排水

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第2章 排水設備技術指針

65

(2)管径、流速及び勾配の決定

1)計画下水量

① 基本的事項

排水設備の基本的な機能としては、汚水、雨水をいかに効果的に排除するかにあり、計画に当た

っては常に汚水、雨水の両者について考慮しなければならない。しかし、近年では下水道の整備水

準を大きく上回る集中豪雨の頻発等によって浸水被害のリスクが増大しているため、特に雨水につ

いては、関係法令・条例・指針等に基づき貯留や浸透等、流出する雨水を抑制する対策を講じる。

排水設備の計画にあたっては、下記の項目により下水量 (汚水量、雨水量) を算定し管きょ断面を決定する。

② 汚水管きょ

ⅰ 管きょの断面を決めるための計画時間最大汚水量は、計画 1日最大汚水量を 1日使用時間で除し、時間変動係数 (1.3 ~ 1.8) を乗じて求める。

計画1日最大汚水量

計画時間最大汚水量 = × (1.3 ~ 1.8) 1日使用時間

ⅱ 屋内排水管の管径については、定常流量法や器具単位法により管径を求め,基本則を満足

していることを確認して決定し、屋外排水管の管径は、それを下回らないようにする。(本

章 第2節「屋内排水設備」、第3節「屋外排水設備」を参照。)

ⅲ 工場、事業所排水の場合は、業種によって著しく異なるため、個々の排水量に応じて管径を

決める。

計画下水量は、次の各項を考慮して定める。

ⅰ 汚水管きょにあっては、計画時間最大汚水量とする。

ⅱ 雨水管きょにあっては、計画雨水量とする。

ⅲ 合流式管きょにあっては、計画雨水量と計画時間最大汚水量とを加えた

量とする。

ⅳ 排水設備は規模が小さいので、計画下水量に対して相当の余裕を見込む

必要がある。

ⅴ 関係法令・条例・指針等に基づき雨水流出抑制施設の規模を定める。

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第2章 排水設備技術指針

66

③ 雨水管きょ及び合流管きょ

ⅰ 算定式

雨水管きょの断面は、最大計画雨水流出量で決定する。合流式の管きょは雨水量が汚水量に比べ

非常に大きな割合を占めるため、管きょの大きさは、ほとんど最大計画雨水流出量で決定される。

最大計画雨水流出量の算定式は、以下の合理式を採用している。

Q = ・C・I・A

360

Q:最大計画雨水流出量(m3/秒) C:流出係数

I:流達時間内の平均降雨強度(mm/時) A:排水面積 (ha)

本市の 5年確率降雨の降雨強度公式は、1547.1

I = (mm/時)t0.74+8.805

t:流達時間 (分) = (流入時間 t1) + (流下時間 t2) t1:流入時間 (分) (雨水が地表を伝わり管きょ内へ流入するまでの時間) t2:流下時間 (分) (雨水が最上流の管きょ端から懸案地点に到達するまでの時間) =L/60Vm L:管きょ延長 (m)、Vm:管きょ内の平均流速 (m/秒)

排水設備の設計においても雨水の流出量は合理式により算定するものとするが、排水設備の場合

は、その多くが排水面積の小さなものであるため、本市では、流達時間を同一として設定し、特別

な場合を除き次の簡略式により算定するものとする。

排水設備の最大計画雨水流出量算定式

Q = 0.3C・A (m3/秒)

t = 10分として 1 1547.1

Q = ・ ・C・A ≒ 0.3C・Aとなる。

360 t0.74+8.805

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第2章 排水設備技術指針

73

(3)構造

1)基本的事項

ますの構造については、以下に挙げる項目を遵守するものとすること。

① 耐久性を備えた強固な構造とすること。

② ますの底部には適切な基礎(樹脂製ますは砂基礎、浸透雨水ますは砕石基礎とする)を設ける

こと。

③ 総重量2トンを越える車両が通行する箇所等にますを設置する場合には、JSWAS G-3 に規定する防護ふたを使用する等、ますの材質、基礎等荷重に十分に耐えうるものとすること。

④ ますの大きさ(内径又は内法)は 150㎜以上とし、ますの深さや排水管の大きさに応じて、維持管理上支障のない大きさとすること。

表-13 ますの大きさと深さ(参考例)

内径又は内法 ( cm ) 深さ ( cm ) ※115 80以下

20 ※2 80以下

30~35(36) 90以下

40~45 120以下

50~60 150以下

※1 汚水ますは地表面から下流側の管低まで、雨水ますは地表面

からますの底部までをますの深さとする。

※2 内径又は内法 20cmますで、管路とます立上り部の会合部が維持管理器具の使用が容易な曲線構造を有している場合は、

ますの深さを 120cm以下とすることができる。

2)汚水ますの構造

ますの構造は、用途に応じたものとすること。

汚水ますは臭気の漏洩がないよう、また、分流区域にあっては雨水が浸入する

ことのないよう、密閉蓋を設ける。ますの底には、汚水が円滑に流れるようにイ

ンバートを設けたものを使用する。

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第2章 排水設備技術指針

74

近年においては、排水管内の圧縮空気を開放する圧力開放型の蓋も製造されている。屋内排水系

統の通気措置が十分でない場合等、設置することが望ましい。

樹脂製ますはインバート及び流入方向が既製であるため施工が容易であるが、既製以外の方向か

らの流入や落差がある場合には、別途対応する必要があるので、設計、施工にあたっては材料の積

算、手配に十分注意する。

なお、コンクリートますではインバートの底 (水が流れる部分) に半割りの塩化ビニル管を用いた方が水流を滑らかにすることができる。(図-25P.76参照)

3)雨水ますの構造

塩ビ樹脂製ます等の小型の雨水ますは、泥だめ部に溜まった土砂を容易に取り除けるような内径、

構造とすること。を設けたものを使用する。(図-25P.76参照)雨水ますの蓋は、密閉型のもの、通気孔を有するもの又は格子蓋のいずれでもよいが、敷地雨水

の流入、雨樋雨水流入の通気を考慮すれば、格子蓋が望ましい。なお、雨水を集水するための雨水

ますは、格子蓋とする。

なお、浸透適地においては、困難な場合を除き、できる限り浸透雨水ますを設置するのが望まし

い。

4)浸透雨水ますの構造

ます周辺を砕石等によって充填する場合には、浸透域の範囲を検討するとともに通水性の高い砕

石等でますの基礎を兼用させ、ます本体に傾斜あるいは沈下が生じないよう堅固なものにすること

が必要である。

底部の構造は、清掃等の維持管理上泥だめを設けるものと、浸透構造にするものとに分けられる

が、土地の状況及び雨水浸透の目的に応じたものを設定する。

底部を浸透構造とした場合は、直接地中に雨水が浸透できる利点はあるが、ごみ、落葉、土砂等

の堆積による目詰まりによって浸透機能に支障をきたす場合があるので、設置場所等の選択にあた

って排水系統及び立地条件に留意すること。なお、対策方法としては目詰まり防止装置等の併用も

必要に応じ施す。(図-26参照)

雨水ますは砂等が流下するのを防ぐため、15cm 以上の深さの泥だめを設けること。

浸透雨水ますの基礎は原則として砕石によるものとし、基礎厚さは浸透能力を

十分考慮したうえで決定する。

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第2章 排水設備技術指針

91

4 取付ますの設置及び取付管との接続

排水設備の最下流には、公共下水道の取付管に接続させるための取付ますを設置する必要がある。

取付ますは、屋外排水設備の一部ではあるが、道路取付管の維持管理(閉塞清掃、管内調査等)に

必要なものであり、取付ますの設置にあたっては、以下の点を遵守すること。

① 道路占用物件を確認し、取付管が斜め取付、又はマンホール取付とならないよう取付ますの位

置を定める。取付ます及び取付管は、原則下水本管の鉛直線上とする。

② 取付ますは公私境界から1m以内で維持管理上支障のない場所に設ける。

③ 下水本管の深さを確認し、標準的には取付管の土被が道路面から 60cm ~ 80cm の深さになるように取付ますの深さを定めること。やむをえない事情により取付ますが深くなる場合は、

事前に給排水設備課又は営業所と調整すること。なお、地下式の雨水貯留施設を設置する場合

は、下水本管との離隔を十分に保つこと。

④ 取付ますは密閉蓋とし、塩化ビニル樹脂製の場合、維持管理上から内径又は内法は 20cm以上とする。上下流の落差の有無、他の排水管の合流の有無、取付ますの深さによって、維持管理

が容易なますの大きさを選定すること。(表―13P.73 参照)また、道路取付管の維持管理に支障がないよう取付ますは原則、インバートますを使用すること。

⑤ 取付管の施工区分で道路部は受託工事で当局施工であるが、取付ますと公私境界までの排水管

は、機能は取付管であるが屋外排水設備の一部として施工すること。また、地下街等で取付ま

すを公道に設置せざるを得ない場合は、事前に当局と施工区分及び維持管理区分について十分

協議し、協議内容を排水設備の図面に記載すること。

⑥ 宅地が道路より相当高く、取付ますの設置が困難な場合等には、取付用掃除口を設け取付ます

を省略することができる。(図-33①~③P.93~P.95参照) ⑦ 取付管新設の場合、下水本管の深さや他企業埋設管の状況等を考慮する必要があるため、取付

ますや公私境界までの排水管を施工する前に、事前に当局と深さや施工順序等について十分協

議すること。

⑧ 既設取付管を使用する場合は、既設取付ますの状態や取付管の深さ等を確認し、当局に既設取

付管の調査を依頼すること。なお、この調査依頼は、取付ますから取付管のカメラ調査を実施

することができる状態で行うこと。

⑨ 既設取付管が陶管の場合で、公私境界付近に受口が無い場合や陶管が破損している場合は、当

局と協議すること。

排水設備の最下流には、公共下水道の取付管に接続させるための取付ますを適

切に設置すること。

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第2章 排水設備技術指針

92

図-31 取付管(塩化ビニル管)標準布設図

図-32 既設取付管(陶管)と屋内塩ビ管の接続方法の例

公私境界

下水本管

塩ビ管用支管

ゴム輪受口方受直管

ゴム輪受口(自在)曲管

プレーンエンド直管

ゴム輪受口カラー

接着受口カラー

塩ビ管

道路面

U型側溝

上下水道局にて施工

取付ます

公私境界

下水本管

既設取付管(陶管)

陶管継手

(陶管受口部)

塩ビ管

U型側溝

上下水道局にて施工

取付ます

指定工事店にて施工

指定工事店にて施工

道路面

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第2章 排水設備技術指針

105

第6節 除害施設

1 除害施設

下水を浄化するシステムは、下水を浄化する微生物を多量に含む活性汚泥を用いている。この方

法は汚れを微生物が分解することのできる家庭排水に対しては適した方法であるが、事業場排水は

高濃度の汚濁を含む場合やシアンのような有害な物質を含むことがあり、活性汚泥による十分な除

去が出来ない場合がある。こうした排水がそのまま下水道に排除されることのないようにするため、

除害施設の設置が法及び条例に定められている(法第 12 条、法第 12 条の 11、条例第 6 条の 4)。除害施設は、処理する下水の水質、量等を勘案して適切な処理方法を選択しなければならない。

その方式は、物理的処理(例:沈殿、ろ過)、化学的処理(例:酸化、還元、中和)及び生物的処

理(例:活性汚泥法)に分類され、一般的にはこれらを組み合わせて処理を行う。

この除害施設も排水設備の一部と考えることもできるが、除害施設は化学的、物理的、生物的及

び電気的に専門の分野で扱われ、排水設備の範ちゅうからは外れるものと解されている。この除害

施設に至るまでの排水系路についても、腐食、漏れ及び他の排水との混合等について、一般の排水

経路とは異なる注意が必要である。除害施設を出た水の排水経路は排水設備と解されるが、途中に

処理水貯槽、水質測定槽、計量槽等がある場合には、これらの槽より下流が排水設備となる。

2 除害施設で行う水処理

1)中和・凝集・沈殿処理

中和、凝集、沈殿処理は物理的処理と化学的処理を組み合わせた方式で、重金属を除去する最も

一般的な方法である。酸又はアルカリを投入して pH を調整し、重金属の水酸化物の沈殿を作り、

固液分離することで排水中の重金属を除去する。

工程排水→原水槽→pH 調整槽→凝集槽→沈殿槽→放流槽→下水道

除害施設とは、下水道の施設の機能を妨げ、又は損傷するおそれのある下水(以下、

悪質下水という。)による障害を除去するための処理施設である。悪質下水を継続的に

公共下水道へ排除する者は、除害施設を設け、又は必要な措置をしなければならない。

また、除害施設を設置、変更、廃止する場合は、あらかじめ上下水道局に届出を行い、

承認を受けなければならない。

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第2章 排水設備技術指針

106

2)活性汚泥処理

活性汚泥処理は物理的処理と生物的処理を組み合わせた方式で、溶解性 BOD や SS を除去する

方法である。活性汚泥を投入して曝気(エアレーション)をし、活性汚泥の吸着能や代謝機能によ

って排水中の有機物を酸化分解する。

工程排水→原水槽→反応タンク→沈殿槽→処理水槽→下水道

公共下水道の施設・機能を守るためには、除害施設を設置するだけでなく、各事業者がこれらの

除害施設を適切に維持管理することが肝要である。

参考文献:事業場排水指導指針と解説-2016 年版-

(公益社団法人 日本下水道協会)

返送汚泥

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第3章 排水の水質等の制限

128

特定事業場以外の事業場においても、一定の要件を満たす事業場に関しては、

事前に届出が義務づけられている。

2 届出の義務

1)特定事業場の場合

新たに特定施設の設置を行おうとする場合や、その改造を行おうとする場合には、上下水道局に

事前に届出を行わなければならない。事前の届出とする理由は、届出の内容審査において、基準に

適合しない下水が排除されるおそれがあるときに、計画変更命令等を行うことが出来るようにする

ためである(法第 12 条の 5)。届出には、特定施設の種類、使用の方法、下水の量及び水質等を記

載し、届出の受理後 60 日経過しなければ設置又は構造の変更等に着手してはならないと定められ

ている(法第 12 条の 6 第 1 項、実施制限期間)。

排水系路の変更や除害施設の変更、使用原材料の変更等も同様である。

なお、実施制限期間は、届出の内容が相当であると公共下水道管理者が認めるときは、短縮する

ことができる(法第 12 条の 6 第 2 項)。

表-23に、特定施設に関わる届出についての詳細を示す。

また、公共下水道を使用しようとする特定施設の設置者はあらかじめ公共下水道使用開始届を提

出しなければならない(法 11 条の 2 第 2 項)。

2)特定事業場以外の事業場の場合

水質規制の主旨からすれば、汚濁負荷の高い汚水を排出する可能性のある事業場に対して規制を

行う必要があるため、特定事業場以外の事業場であっても以下のいずれかの要件を満たす場合には、

「公共下水道使用開始(変更)届」の事前の届出が義務づけられている(法第 11 条の 2 第 1 項)。

① 日量最大 50m3 以上の下水を流そうとする場合

② 一定の水質基準に適合しない下水を流そうとする場合(詳細は上下水道局のウェブサイト「事

業者の方へ」→「工場・事業場の水質規制」→「下水道の使用を開始する場合など」)

③ ①・②で届け出た下水の量又は水質を変更しようとする場合

特定施設の新設、変更、排水系統の変更等を行おうとする場合は、事前に届け

出て審査を受けねばならない。

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第3章 排水の水質等の制限

129

表-23 特定施設に関わる届出について

届 出 が 必 要 な 場 合 届出書の種類 届 出 の 内 容 届 出 の 期 限

下水の処理区域内で、特定施

設を設置するとき

(法第12条の3第1項)

特定施設設置届出

届出者の住所、名称(会

社名)、代表者の氏名

工場・事業場の名称と所

在地

その他に別紙①~⑤

①特定施設の種類及び

構造

②特定施設の使用方法

③汚水処理の方法

④下水の量及び水質

用水及び排水の系統

⑤工場・事業場の概要

※ダイオキシン類の特定

施設には別の様式があり

ます。

構造等変更届の場合は、

変更しようとするものに

ついて

特定施設を設置

する60日前

(実施制限60

日)

今まで特定施設ではなかっ

た施設が、法令の改正により

新しく特定施設に指定され

たとき

(法第12条の3第2項) 特定施設使用届出

特定施設として

追加指定された

日から、30日

以内

下水道を使用す

ることになった

日から、30日

以内

特定施設を設置している事

業場が、新しく下水道を使用

することになったとき

(法第12条の3第3項)

届出をしている特定施設

の構造等の内容を変更し

ようとするとき

(法第12条の4)

特定施設の構造等

変更届出書

特定施設の構造

等を変更する6

0日前(実施制

限60日)

届出をした氏名(名称、住所、

所在地)に変更があったとき

(法第12条の7)

氏名変更等届出書

変更前・変更後の氏名(名

称、住所、所在地)、変更

の理由

変更があった日

から30日以内

特定施設の使用を廃止した

とき

(法第12条の7)

特定施設使用廃止

届出書

使用を廃止した特定施設

の種類、使用を廃止した

理由

特定施設の使用

を廃止した日か

ら30日以内

特定施設を譲渡、貸与、又は

相続、合併により会社組織を

設立し、届出者の地位を引き

継いだとき

(法第12条の8)

承継届出書

承継した者の住所、名称、

氏名、承継した工場・事

業場の名称、所在地、特

定施設の種類等

承継があった日

から30日以内

届出の用紙は、施設部水質管理課工場排水指導係にある(TEL:052-243-2861)。また、上下水道局

のウェブサイトでもダウンロードすることが可能である(URL:http://www.water.city.nagoya.jp「事業者の方へ」→「工場・事業場の水質規制」→「特定施設を設置する場合など」)。

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第3章 排水の水質等の制限

130

3 水質基準

工場や事業場等の排水が十分な処理をされずに水処理センターへ流入すると、その水質によって

は浄化できないばかりでなく、水処理センターにおける水処理機能の低下や下水管の腐食を招くこ

とがある。

下水道へ流す排水の水質基準は、このような障害を未然に防ぐためのものでもある。

下水道に対する障害は排水量が多い場合にだけ引き起される訳ではなく、わずかな量でも発生す

ることが多いので十分注意を要する。

水質基準は、有害物質等について特定施設に適用される直罰基準とすべての工場・事業場に適用

される除害施設等設置基準があり、基準の一部は条例で定められている。これらの基準のうちいく

つかの項目では、排水量が少ない事業場において適用が除外されるものがある。

1)直罰基準(法第 12条の 2)

直罰基準とは、違反排水が排除された場合に、改善命令あるいは一時停止命令等の行政処分を

経ることなく、直ちに罰則が適用される基準値をいう。これは、特定事業場からの下水について、

終末処理場の放流水の水質を法第 8 条の「技術上の基準」に適合することを困難にするような下

水の排除を禁止したものである。直罰基準のかかる水質項目は、終末処理場での処理が困難な「処

理困難物質」と終末処理場で処理が可能な「処理可能物質」の 2 種類がある。

① 処理困難物質

終末処理場での処理が困難な物質として令第 9 条の 4 においてカドミウム、シアン化合物等人

の健康に関わる被害のおそれのある物質のほか銅、亜鉛等の生活環境に係る被害を生じるおそ

れのある物質を始めとした 34 物質について、全国一律の基準値が設けられている。

② 処理可能物質

終末処理場で処理が可能な物質については令第 9 条の 5 において、条例で定めることの出来る

項目とその水質の基準範囲(上限)が定められている。名古屋市では、pH、生物学的酸素要

求量、浮遊物質量、ノルマルヘキサン抽出物質含有量について定めている。

2)除害施設等設置基準

直罰基準のかからない場合においても、以下の水質規制を行っている。

① 直罰基準のかからない下水の水質に対する除害施設等設置基準(法第 12 条の 11)終末処理場からの放流水の水質を前述の「技術上の基準」に適合させるために、直罰基準のか

からない下水に対しても規制を行う必要があり、条例で除害施設を設け又は必要な措置をしな

下水道へ排出する廃水は、定められた水質基準を遵守するものでなければなら

ない。

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第3章 排水の水質等の制限

131

ければならない旨を定めることができる。対象となる下水は次のとおりである。

ⅰ 特定事業場でない事業場からの排除下水

ⅱ 特定事業場からの排除下水のうち、直罰規制のない項目に係る下水

ⅲ 特定事業場からの排除下水のうち、適用の除外を受けた下水

ⅳ 特定事業場からの排除下水のうち、直罰規制を受ける水質基準が、除害施設等設置基準より

も緩やかである場合における直罰を受けない範囲の下水

処理困難物質に関しては直罰基準と同じ基準値であり、処理可能物質に関しては、基準値は条

例で定めることとされている。

② 下水道施設を保全するための除害施設等設置基準(法第 12 条)

下水管きょの閉塞や腐食、水処理センターやポンプ所施設の施設機能の損傷等を防止するため

の除害施設等設置基準として、政令で定める基準に従い条例で定める基準値がある。温度、pH、

ノルマルヘキサン抽出物質含有量、沃素消費量について定められている。

これらの除害施設設置基準に違反した場合は、公共下水道管理者の監督処分の対象となる。

表―24 水質基準一覧表

対 象 特 定 施 設 の あ る 事 業 場 特 定 施 設 の な い 事 業 場

排 水 量(m3/日) 50 未満

50 以上

1,000 未満

1,000以上

3,000未満

3,000

以上

50 未満

50 以上

1,000 未満

1,000 以上

3,000 未満

3,000

以上

温度 ― 45℃以下 45℃以下(40℃以下) ― 45℃以下 45℃以下(40℃以下)

水素イオン濃度

(pH)5以上 5以上9以下

5以上9以下

(5.7以上8.7以下) 5以上 5以上9以下

5以上9以下

(5.7以上8.7以下)

生物化学的酸素要求量

(BOD) ―

600

以下

2,000

以下

600 以下

600 以下

(300 以下) ―

600

以下

2,000

以下

600 以下

600 以下

(300以下)

浮遊物質量(SS) ―

600

以下

1,400

以下

600 以下

600 以下

(300 以下) ―

600

以下

1,400

以下

600 以下

600 以下

(300以下)

沃素消費量 ― 220以下 ― 220以下

ノルマルヘキサン

抽出物質含有量

鉱油類 50 以下 5以下 50 以下 5以下

動植物

油脂類50 以下 30以下 50 以下 30以下

※ 銅 3以下 3以下 3以下

※ 亜 鉛 2以下 2以下 2以下

※ ク ロ ム 2以下 2以下 2以下

※ フェノール ― 5以下 ― 5以下

※ 鉄 (溶解性) ― 10以下 ― 10以下

※マンガン(溶解性) ― 10以下 ― 10以下

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

135

第4章 排水設備に関する制度と事務手続

第1節 指定排水設備工事店制度

1 基本的事項

本市では、下水道条例で「排水設備の築造、改築又は増築の工事は、管理者又は管理者が指定を

した者(以下「指定排水設備工事店」という。)が施行する。」と定め、いわゆる指定排水設備工事

店制度を採用している。また、指定については5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経

過によって、その効力を失う。

指定排水設備工事店制度は、試験制度により認定された責任技術者を専属させることを指定要件

の一つとし、排水設備に関して一定水準以上の技術的能力を確保しようとするものである。

排水設備の工事が適切に施工されないと、下水の流れが悪くなったり、悪臭が発生したりして、

排水設備を設置した目的が十分に達成されず、さらに公共下水道の機能を阻害することとなる。こ

のように排水設備の技術的能力の確保を図る必要から、多くの都市では指定排水設備工事店制度が

採用されており、下水道事業の遂行において大きな役割を果たしている。

また、この制度は、技術的水準の確保を図るだけでなく、市の側からは、助成制度等の窓口とな

り、市民の側からは、安心して工事を依頼できることと、合わせて事務手続の協力ができるといっ

た面でも有効に機能している。

2 指定排水設備工事店の指定

指定排水設備工事店制度を円滑に運営していくためには、指定排水設備工事店の要件である「技

術能力」と指定排水設備工事店に市民が求める「信用」が確保されていることが不可欠である。

この意味から指定排水設備工事店規程では、「指定の基準」をはじめ、「指定の申請」、「指定の取

消し等」、「責任技術者の資格要件」等指定に関わる詳細な定めを設けている。

なお、指定の基準としては、以下の4点を満たしていることが条件である。

① 責任技術者が 1 名以上専属していること。

② 排水設備工事に必要な機械器具を有していること。

③ 愛知県内に排水設備工事の事業を行う事業所があること。

④ 次(欠格条項)のいずれにも該当しない者であること。

ⅰ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

ⅱ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から 2

本市では、指定排水設備工事店規程を制定し、指定排水設備工事店の指定の基

準等を詳細に定めている。なお、この基準については、指定の更新についても準

用している。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

136

年を経過しない者

ⅲ 第 8 条(指定排水設備工事店規程)の規定により指定を取り消され、その取消しの日から 2年を経過しない者

ⅳ 第 18 条(指定排水設備工事店規程)の規定により責任技術者の登録を取り消され、その取

消しの日から 2 年を経過しない者

ⅴ その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由が

ある者

ⅵ 名古屋市暴力団排除条例第2条第2号に規定する暴力団員である者又は同条第1号に規定

する暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者

ⅶ 精神の機能の障害により排水設備工事の事業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び

意思疎通を適切に行うことができない者

ⅷ 法人であって、その代表者又は役員のうちにⅰからⅶまでのいずれかに該当する者

(指定排水設備工事店規程参照)

3 指定排水設備工事店の義務

指定排水設備工事店規程第 6 条では、「指定の基準」の遵守、「正当な理由なき工事申込み拒否の

禁止」、「従業員の行為に対する責任の負担」について指定排水設備工事店に義務を課している。

特に次のいずれかに該当するときには、その日から 30 日以内に第 8 号様式(指定排水設備工事

店規程)による変更届を局長に提出しなければならない。

① 組織形態を変更したとき。

② 代表者又は役員に異動があったとき。

③ 商号又は名称(指定の申請者が個人である場合にあっては、当該申請者の氏名)を変更したと

き。

④ 専属する責任技術者に異動があったとき。

⑤ 事務所を移転したとき。

⑥ 住居表示又は電話番号(ファクシミリの番号を含む。)に変更があったとき。

(指定排水設備工事店規程参照)

その他にも、暴風雨、その他災害発生に際しての、下水道施設の復旧又は応急措置等の協力義務

を指定排水設備工事店規程で定めている。

指定排水設備工事店は、法令等に従い誠実に排水設備工事を施工しなければな

らない。また、指定排水設備工事店規程では、指定排水設備工事店が工事施工に

際し、あるいは指定排水設備工事店として活動するに際しての具体的な義務につ

いて規定している。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

137

4 責任技術者の職務

排水設備工事が適正に施工されるためには、工事の全過程について技術を有するものが責任をも

って監督することが必要である。このことから、責任技術者の職責は、工事の設計・監督にとどま

らず、市民に対しての責任をも含めた一切の責任を負うものである。

このように、責任技術者はきわめて重要な職責を有するものであるから、本市では、責任技術者

となるには、上下水道の従事経験等の一定の要件を満たしたうえで、愛知県下水道協会が実施する

責任技術者試験に合格し、愛知県下水道協会に登録されなければならない。また、責任技術者の被

登録資格の有効期間は5年間となっているので、登録資格の継続には愛知県下水道協会が実施する

更新講習を受講しなければならない。

5 排水設備工事の事務手続

取付管工事の申請や排水設備及び水洗便所の工事の承認申請については、指定排水設備工事店が

申請者に代わって図面作成、提出等の手続を行うこととしている。

本来、これらの手続は、お客さまが自ら行うものであるが、排水設備工事に関して不慣れなお客

さまが事務手続を行うよりも、専門性を身につけた指定排水設備工事店の協力により、手続を行っ

た方がスムーズかつ正確に実施されるなどの利点が多い。

また、助成制度を利用するための申請手続もこれらの工事の手続と切り離すことができないため、

指定排水設備工事店が手続を協力するものとしている。

このほか、本章第4節で述べる助成制度のうち、貸付金については申請者本人には支払わず、申

請者の委任を受けて工事を施工した指定排水設備工事店に支払う制度としている等、事務手続は全

般にわたり指定排水設備工事店が欠くことのできない役割を担った体系となっている。

責任技術者の職務は、排水設備工事の技術に関する一切の事項を担当する。

指定排水設備工事店の義務(P.136 参照)にもとづき、指定排水設備工事店が

排水設備工事(修繕工事を除く)の申し込みを受けたときは、申込人に協力して、

当該工事に関する事務手続を行わなければならない。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

138

第2節 取付管工事の制度と事務手続

1 同時施行の制度と事務手続

1)同時施行

同時施行の場合、下水本管と取付管の接続部分において舗装復旧、掘削工等が重複するので、こ

の重複する工種の費用を本管工事の側で見ることにより使用者の負担を軽くするよう図っている。

これは、整備した下水道が速やかに使用されることを目指した制度である。

2)取付管工事の申請

下水道の本管工事に着手する前に、関係地域住民を対象に工事説明会を開催し、工事の時期・方

法、排水設備及び水洗便所の工事等について説明するとともに、指定排水設備工事店を紹介する。

指定排水設備工事店は、各戸の取付管工事の意思を確認し、取付管工事の申請を取り次ぐとともに

取付ますの位置を明示する。「取付管築造工事申請書」(第 7 号様式)は、定められた期限までに上

下水道局へ提出することになっている。

また、申請者が、都合により直接工事費(取付管工事費)・関連工事費の納付又は精算について

他者に代理させようとする場合は、代理人を選定して届出なければならない。

3)取付管工事費の負担

取付管工事費については、条例第 11 条により直接工事費並びに関連工事費とし、申請者(義務

者又は使用者)から徴収することになっている。

申請を受理後、申請者の負担する費用(直接工事費並びに関連工事費)を算定し、納入通知書を

申請者に送付する。

申請者が、費用を納入したことを確認した後、取付管の築造工事を行う。

同時施行による取付管の築造は、利用促進を早期に図るうえで効果的であると考えられること、

また、工事単価の上昇による住民負担を軽減することにより、さらに利用促進が図られると考えら

れることから、工事費の算定にあたり次に掲げる軽減措置を実施している。

取付管の工事を、下水本管の布設工事に合せて同時に行う方法を「同時施行」

と呼んでいる。

取付管工事の申請書は、指定排水設備工事店を通して上下水道局へ提出する。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

141

5)周辺市町への下水管の取付

本来、公共下水道は市町村がその区域内に処理区域を設定し、事業を行うものであるが、河川・

水路、幹線道路等の地勢や地形等により、本市下水管を設置できず、又は下水管に取付できない場

合等で、該当市町と協定の締結により、他市町の下水管に取付できる場合がある。詳細は、下水道

計画課計画第三係に照会する。

何らかの理由で本市の下水管に取付が不可能で、周辺市町と本市との間で協議

が整っている場合は、他市町の下水管に取付できるものとする。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

142

第3節 排水設備又は水洗便所工事の事務手続

1 承認申請及び審査

上下水道局では、提出された申請書について審査を行う。

① 提出書類は「提出書類一覧表」(表―26P.169~P.171)を参照する。② 提出が必須となる書類「取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8号様式)、「排水設備図面」の提出先は、上下水道局給排水設備課又は当該工事を施工する区域を所管する営

業所とし、前節「2 営業所施行の制度と事務手続 2)取付管工事の申請」(P.139 参照)と同様である。なお、上記の申請書及び図面のことを「排水設備調書」と呼んでいる。

2 施工及び工事完成

工事が完成した際、申請者は指定排水設備工事店を経由し、速やかに「工事完成届兼使用開始届」

(第 12号様式)(以下、工事完成届という。)を上下水道局に提出する。① 工事内容が当初計画(設計)と異なるときは、修正した排水設備図面に「完成図」と記載し、

「工事完成届」に添付する

② 「工事完成届」の提出先は、上下水道局給排水設備課又は当該工事を施工する区域を所管する

営業所とし、前節「2 営業所施行の制度と事務手続 2)取付管工事の申請」(P. 139 参照)と同様である。

3 現場検査

排水設備又は水洗便所の築造等を行おうとする者は、あらかじめ「取付管・排

水設備・水洗便所工事(承認)申請書」(第 8 号様式)に図面等の必要な書類を添付し、指定排水設備工事店を経由して上下水道局に提出する。

指定排水設備工事店は、審査が終了し承認されたことを確認してから工事にか

かるものとする。

上下水道局では工事完成届を受理した後、現場検査を行い、工事が適正に実施

されたかを確認する。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

145

第4節 助成制度と事務手続

1 基本的事項

補助金、貸付金の種類は、以下のとおりである。(行末の数字は、項目番号)

下水道水洗便所補助金・・・・・・・・・・2‐(1) 一般補助金

浄化槽廃止工事補助金・・・・・・・・・・2‐(2)

特別補助金 生活保護法等による生活扶助を受けている

補助金の種類 者に対する下水道水洗便所補助金・・・・・・・3

私道内共同排水設備工事補助金・・・・・・・・・・・・・・・・4‐(2) (「私道内共同排水設備工事補助制度」とは別に、公共下水道として設置

する「私道内公共下水道設置制度」がある。)・・・・・・・・・・4‐(1)

宅地内排水ポンプ設備設置工事補助金・・・・・・・・・・・・・・・5

下水道水洗便所改造資金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6‐(1) 貸付金の種類

浄化槽廃止工事資金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6‐(2)

(注)処理区域外においてくみ取り便所を浄化槽水洗便所に改造した者に対する補助金制度は、

平成 15年度から廃止した。

なお、助成制度を利用するための書類(各種申請書類)も、工事のための書類と併せて提出する

こととなっており、指定排水設備工事店を経由して手続を行うのが通例である。

本市では、下水道の利用を促進するための助成制度を設けている。助成内容と

しては、補助金(処理区域内において、くみ取り便所を水洗便所に改造する(「下

水道水洗便所」)者、浄化槽を廃止して排水設備工事を行う者に対する交付等)

と、貸付金(同工事に必要な資金の貸付け)等からなっている。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

146

別表1 補助金

(令和 2年 4月 1日現在)

(注)「1 戸あたり」の1戸とは、一生活単位とする。集合住宅等については、対象大便器の数をもとに「みなし個数」という考え方を採用し、補助金額は「みなし個数」×10,000円とする。

別表2 貸付金(無利息) (令和 2年 4月 1日現在)

種 類 貸付限度額 毎月の返済額(注 1) 貸 付 条 件

下水道水洗

便所改造資金510,000円 14,500円

●くみ取り便所を水洗便所に改造するとき

●対象大便器1個につき

浄化槽廃止

工事資金390,000円 11,000円

●浄化槽を廃止するとともに排水設備を設

置する工事をするとき

●1戸あたり(注 2)(注 1)限度額を借りた場合に 36回(3年)で償還できるよう設定された金額で、最終回は端数となる。(注 2)「1戸あたり」の 1戸とは、一生活単位とする。集合住宅等については、貸付限度額も補助金と同様の「みなし個数」×390,000円とする。

種 類 補助金額 内 容

下水道水洗便所補助金 30,000円●くみ取り便所を水洗便所に改造するとと

もに排水設備を設置する工事をするとき

●対象大便器 1個につき

浄化槽廃止工事補助金 10,000円●浄化槽を廃止するとともに排水設備を設

置する工事をするとき

●1戸あたり(注)

生活扶助世帯に対する

補助金255,000円まで

●生活保護法等により生活扶助を受けてい

る方が、くみ取り便所を水洗便所に改造す

るとき

私道内共同排水設備

工事補助金

上下水道局の積算基準に

より積算した補助対象工

事費の額

●補助要件・金額及び手続方法については、

P.153 ~ P.156を参照のこと

宅地内排水ポンプ設備

設置工事補助金

上下水道局の積算基準に

より積算した補助対象工

事費のうち 80万円を限度額とする

●補助要件・金額及び手続方法については、

P.157 ~ P.160を参照のこと

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

147

2 一般補助金

(1)下水道水洗便所補助金

1)補助対象者

次の場合も補助交付対象とする。

ⅰ 既存のくみ取り便所を取り壊して同一建物内の異なる場所に水洗便所を設置する場合(便所の移設)

ⅱ 建物の増改築及び建替に伴い、くみ取り便所を撤去して水洗便所を設置する場合

2)補助金額

対象大便器 1個改造とは、1個のくみ取り大便器を下水道水洗便所に改造する場合をいう。したがって、同一敷地内で複数のくみ取り大便器を水洗便所に改造する場合、30,000円に改造大便器数を乗じた金額が補助金額となる。

3)申請

下水道水洗便所補助金は、処理区域内において、くみ取り便所を下水道水洗便

所に改造するとともに排水設備を設置する工事を行った者に対して交付する。

ただし、次の場合は対象としない。

① 改造工事を行うものが官公署の場合

② くみ取り便所を水洗便所に改造する義務に違反して、法に基づき改造する

よう命令を受けている便所を改造する場合

③ 下水道の供用開始の日から 1年を経過した後に改造の申請をする場合

補助金額は、対象大便器 1個改造毎に、30,000円とする。

補助金の交付を申請しようとする者は、工事に着手する前に「下水道水洗便所

補助金交付申請書」を、その工事に必要な他の書類とともに指定排水設備工事店

を経由して上下水道局へ提出する。

〈本章末「提出書類一覧表」(表―26P.169~P.171)参照〉

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

148

補助金の交付は口座振込とする。書類作成時に補助金交付申請書の該当欄に銀行等金融機関(ゆ

うちょ銀行を除く。)の名称、支店名、口座種別、口座番号等必要事項を記入する。なお、口座は

申請者名義のものを原則とする。

4)交付

ⅰ 「工事完成届」には水栓番号を記入する。巻末「排水設備調書類作成要領」記入例参照

ⅱ 申請者の銀行等の口座に振り込む方法によって交付する場合、振り込んだ後に「振込通知書」

を申請者に対して送付する。

(2)浄化槽廃止工事補助金

1)補助対象者

増改築及び建替えに伴い、現に使用していた浄化槽を廃止し、下水道水洗便所を設置する場合も、

補助金交付対象とする(ただし貸付金は利用できない)。

① 上下水道局は、提出された書類を審査し補助金の交付を決定する。

② 申請者は工事完成後、速やかに「工事完成届」を指定排水設備工事店経由

で上下水道局へ提出する。

③ 上下水道局は「工事完成届」に基づき現場検査を行い、合格したものにつ

いて補助金を交付する。

浄化槽廃止工事補助金は、処理区域内において浄化槽を廃止し、かつ、下水を

下水道に排水するために、排水設備を設置する工事(以下、廃止工事という。)

を行ったものに対して交付する。

ただし、次の場合は対象としない。

① 廃止工事を行うものが官公署の場合

② 排水設備の設置義務に違反して、法に基づき措置命令を受けている排水設

備工事を行う場合

③ 下水道の供用開始の日から1年を経過した後に廃止工事の申請をする場合

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

149

2)浄化槽廃止工事

浄化槽を経て流出する汚水を排水設備に接続したり、水洗便所からの汚水を下水道へ切替えても

浄化槽を残したままで清掃、管理していない等、環境保全上の措置がされていなければ、浄化槽の

「廃止工事」を行ったことにはならず、補助金の対象とはならない。

浄化槽の廃止と同時に排水設備を一体的に整備することが補助の要件である。

3)補助金額

4)申請

補助金の交付は口座振込とする。書類作成時に補助金交付申請書の該当欄に、銀行等金融機関(ゆ

うちょ銀行を除く。)の名称、支店名、口座種別、口座番号等の必要事項を記入する。なお、口座

は申請者名義のものを原則とする。

浄化槽廃止工事とは、浄化槽を撤去するか、又は残存していても環境保全に支

障のないように措置することをいう。

この補助金の額は、次のとおりである。

① 1戸につき、対象大便器が1個の場合は 10,000円。② 対象大便器が複数の場合は、大便器の個数をもとに「みなし個数」を決定

し、「みなし個数」×10,000 円を補助金額とする。(「みなし個数」については、名古屋市上下水道局浄化槽廃止工事資金助成規程第4条を参照。)

ⅰ 学校、病院、一部アパート等で便所が共同の施設となっているものは、

大便器の個数を対象とする。

ⅱ マンション等の住居用の建物は、大便器の個数を対象とするが、調理用

の流しの個数を上限とする。

補助金の交付を申請しようとする者は、工事に着手する前に「浄化槽廃止工事

補助金交付申請書」を、その工事に必要な他の書類とともに指定排水設備工事店

を経由して上下水道局へ提出する。

〈本章末「提出書類一覧表」(表―26P.169~P.171)参照〉

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

150

5)交付

ⅰ 「工事完成届」には水栓番号を記入する。巻末「排水設備調書類作成要領」記入例参照

ⅱ 申請者の銀行等の口座に振り込む方法により交付を行う場合、振り込んだ後に「振込通知書」

を申請者に対して送付する。

3 特別補助金

くみ取り便所を下水道水洗便所に改造する者のうち、次のものについては、一般補助金に代えて、

特別補助金を交付する。

1)生活保護法等による生活扶助を受けている者に対する下水道水洗便所補助金

① 補助対象者

くみ取り便所を水洗便所に改造する者で、改造工事に係る建築物の所有者又は使用者が生活保護

法等による生活扶助を受けている場合に限り、特別補助金を交付する。

② 補助金額

補助金額は、改造工事1件に限り別表1(P.146参照)のとおり交付する。③ 工事申請

この補助金を申請しようとする者は、工事に着手する前に「排水設備・水洗便所工事(承認)申

請書」(第 8 号様式)に、所轄の社会福祉事務所長の証明(生活扶助を受けている世帯の場合)又は健康福祉局長の証明(生活支援給付を受けている世帯の場合)を得て、指定排水設備工事店の工

事見積りを記入し、上下水道局へ提出する(借家の場合は家屋所有者の承諾が必要である)。④ 交付の決定

上下水道局では提出書類を審査し、交付対象と認めたときは交付の決定をし、申請者に対し、下

水道水洗便所補助金交付決定通知書を交付する。申請者はこの通知書を受けた日から 30 日以内に

① 上下水道局は、提出された書類を審査し補助金の交付を決定する。

② 工事完成後、申請者は速やかに「工事完成届」を指定排水設備工事店を経

由して上下水道局へ提出する。

③ 上下水道局は「工事完成届」に基づき現場検査を行い、合格したものにつ

いて補助金を交付する。

生活保護法等による生活扶助、又は「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並び

に永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律」によ

る生活支援給付を受けている者に対し補助金を交付する。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

151

改造工事に着手し、完成させるものとする。

⑤ 交付申請

申請者は工事完成後速やかに、下水道水洗便所補助金交付申請書を指定排水設備工事店を経由し

て、上下水道局へ提出する。

⑥ 交付決定

上下水道局では現場検査を行い、合格と認めたときは、補助金額の確定を行い、申請者に対し下

水道水洗便所補助金額確定通知書を送付する。

⑦ 交付時期

交付決定の通知を受けた申請者は、指定排水設備工事店から水洗便所等設備の引き渡しを受けた

旨の受領書を、指定排水設備工事店を経由して上下水道局へ提出する。

受領書を受理した上下水道局は、申請者の委任に基づき補助金を指定排水設備工事店へ支払う。

4 私道内下水道設置

(1)私道内公共下水道設置制度

私道内公共下水道設置制度とは、私道内に公共下水道を設置する際の制度で、適用には次の事項

を満たしていることが必要である。

1)設置の要件

2)申出書の提出

公共下水道設置申出書は、当局管路部設計第二課に提出する。

上下水道局で、設置要件に適合しているか判定を行う。なお、地籍等の事前調査も行う。

① 私道の幅員が 2.0m以上あること。② 汚水発生源となる家屋(建築確認の申請中のものを含む。)が連たんしてい

ること。

③ 公共下水道の処理区域又は処理予定区域として整備中の区域内にあること。

④ 本市における都市計画に支障となるおそれのないこと。

⑤ 新たに公共下水道を利用する場合であること。

私道に公共下水道の設置を希望する場合は、「公共下水道設置申出書」を提出

する。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

152

3)申請代表者の選任および申請

原則、利用者の内から、1~2名の代表者を選定すること。

上下水道局は、代表者に対し地上権設定の手続等の説明をする。場合によっては、代表者に現地

立会いを依頼する。

4)地上権の設定手続きについて

◎地上権設定の契約の主な内容

① 目 的 下水道管の所有(水道同時設置の場合は上下水道管所有) ② 地上権設定の範囲 東京湾平均海面の上、○○mから東京湾平均海面の上、○○mまでの間

③ 期 間 契約締結の日から下水道管存続期間中(水道管同時設置の場合は上下水道管存続期間中)

④ 地 代 無 料

⑤ そ の 他 土地所有者は、この土地を通路としてのみ使用し、建物及び工作物等の

設置は出来ないものとする。

◎地上権設定契約に必要な書類等

① 印 紙 200円のもの 1枚② 実 印

③ 印 鑑 証 明 書 1通(法人の場合は、資格証明書及び代表者の印鑑証明書) ④ 地上権設定登記手続は、地上権設定登記承諾書に基づき、当局にて行う。

⑤ 私道に抵当権、地上権、賃借権、その他所有者以外の権利が設定してあるときは、地上権設定

登記時期までに完全に抹消されていることが必要である。

⑥ 私道部分が独立の筆になっていない場合は、地上権設定登記時期までに分筆手続が完了されて

いることが必要である。

⑦ 一人でも、地上権設定に同意できない所有者がいる場合は、公共下水道は設置できない。

私道内公共下水道設置工事を申請する場合、原則、私道内公共下水道を利用す

る建物の所有者の中から申請代表者を選任する。

申請代表者は、工事に着手する前に「私道内公共下水道設置申込書」を提出す

る。また、設置される下水道の利用者や所有者の押印を得る等、代表者において

取りまとめをする。

地上権とは、下水道を法的に保全するため、私道の地下部分に設定する土地使

用権であり、現在、私道となっている部分について設定するものである。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

153

(2)私道内共同排水設備工事補助制度

私道内共同排水設備工事補助制度とは、公共下水道と宅地内排水設備との間の私道内に、複数の

利用者が共同設置する排水設備に対し、次の要件が満たされた場合にその工事費を補助する制度で

ある。なお、本制度を受けようとする場合は、申請代表者を選任するとともに、あらかじめ施工を

依頼する指定排水設備工事店の選定、給排水設備課との事前協議が必要である。

1)補助の要件及び限度額

※対象が1敷地に建っている集合住宅のみの場合等は含まれない。

2)設備の名称と補助の範囲

排水設備の名称、補助の範囲及び負担区分は図-39(P.156参照〉に示すとおりである。ただし、水道、ガス管等の供給管その他これらに類する地下埋設物等の切廻し又は移設が必要で

ある場合で、その費用を申請者が負担することとなっているときにおける当該費用は補助の対象と

する。また、路面復旧工事費は原形復旧に要する額を上限として補助対象とする。例えば、砂利道

の場合は砂利道復旧が対象となり、もし原形以上の高級舗装を希望する場合は、その差額は申請者

が負担することとなる。

さらに、舗装復旧の場合の幅員は、掘削部分の影響を含めた必要最小限を対象としているので、

私道の全幅員を舗装復旧したい場合には、対象範囲外は申請者の負担となる。その他、U型側溝、

擁壁、外溝等の付帯工事を施工する場合も申請者の負担となる。

〔要件〕

① 私道の幅員が概ね 1.0m以上あり、かつ、その一端が公共下水道が設置されている道路に接続していること。

② 共同排水設備を利用して新たに下水を排除する家屋が2戸以上あること。

(所有者が異なる家屋を含む場合に限る)

③ 共同排水設備工事と同時期にくみ取り便所又は浄化槽の廃止工事を行い、

公共下水道に連結すること。

④ 申請は、原則として建物所有者又は建物所有者の承諾を得た賃借人等全員

の申請によるものとし、共同排水設備の設置について、私道の所有者の承

諾が得られていること。

〔補助限度額〕

補助金額は、上下水道局の積算基準に基づいて算定した補助対象工事費の

額とする。ただし、工事に要した費用を上限とする(100円未満は切り捨て)。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

154

3)申請代表者の選任

この場合「申請代表者委任状・申請者誓約書」に各申請者が自筆押印し、上下水道局へ提出する。

4)申請

上記の申請書には、「申請代表者委任状・申請者誓約書」、「土地使用承諾書」、「私道内共同排水

設備工事設計図」、「土地登記簿、建物登記簿及び公図の写し」、「工事費見積書」及び「その他局長

が必要と認める書類」を添付する。

5)審査、補助金交付決定

申請者は交付決定の日から3か月以内に、共同排水設備及び宅地内排水設備工事(くみ取り便所を水洗便所に改造するか、あるいは浄化槽を廃止して下水道に接続する工事も含む)を完了しなければならない。

6)完了

「工事完了届」には、「工事費精算書」、「工事記録写真」、「工事完成届」、「竣功図」を添付する。

なお、共同排水設備の施工に合わせ、宅地内工事も実施しなければならない。

共同排水設備工事の補助を受けようとする場合、共同排水設備を利用する建物

所有者の中から申請代表者を選任する。

申請代表者は、工事に着手する前に指定排水設備工事店を通じ「私道共同排水

設備工事補助金交付申請書」を提出する。

① 上下水道局は提出書類の審査及び現地調査を行う。

② これらの結果に基づき、補助金の交付又は不交付を決定する。決定後、「交

付決定通知書」又は「不交付決定通知書」を申請代表者に送付する。

共同排水設備工事完了後、申請代表者は速やかに「私道共同排水設備工事完了

届」(以下、工事完了届という。)を上下水道局に提出する。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

155

7)完了検査・是正勧告

補助要件や決定通知に記載の条件に適合しない点が認められたときは、申請代表者に是正勧告を

行う。この場合申請代表者は勧告内容に従って補修工事を実施し、工事完了後、再度「工事完了届」

を提出する。

8)共同排水設備工事補助金の請求、交付

9)交付決定の取り消し、補助金の返還

上下水道局では「工事完了届」受領後、完成検査を行う。

① 上下水道局では完了検査の結果、適正工事と確認し、かつ、決定通知書に

記載の条件に適合していると認めた場合は、補助金額確定通知書を申請代

表者に送付する。

② 申請代表者は、補助金額確定通知書を受領後、「私道共同排水設備補助金交

付請求書」を上下水道局に提出する。

③ 上下水道局ではこの請求書に基づき、補助金を申請代表者の指定する口座

(ゆうちょ銀行を除く。)に交付する。

次の場合には、交付決定を取り消すことがある。このとき補助金が交付されて

いれば、その返還を求めることになる。

① 偽りの申請その他不正な手段によって補助の決定を受けたとき。

② 新たな利用者に対して、補助金交付を受けて設置した共同排水設備の利用

を、理由なく拒んだとき。

③ 上下水道局の付した条件又は勧告に従わなかったとき。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

156

図-39 共同排水設備工事補助対象図

表-1 名称と負担区分

No 名 称 費用 施工維持

管理備 考

① 共同排水管 ◎ ○ ○ 私道内に設ける共同の排水管

② 共同接続ます ◎ ○ ○共同排水管の点検清掃を容易にするための

ます(排水管の終点や中間点に設ける)

③ 宅地内取付管 ○ ○ ○各宅地内から共同排水管に接続する個人専

用の管

④ 接続ます ◎ ○ ○共同排本管と宅地内取付管の接続点に設け

るます

⑤ 私道取付ます ○ ○ ○ 共同排水管の管末に設ける取付ます

⑥ 取付管 ○ △ △私道取付ますと公共下水道本管を接続する

ために設ける取付管(公共下水道)

⑦地下埋設物の

移設◎ ○ ○

共同排水設備工事に際して支障となる水

道、ガス等の既設埋設物の移設

(注)◎:補助対象(但し、当局積算による)、○:申請者、△:上下水道局

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

159

4)審査、補助金交付決定

5)完了

「工事完了届」には、「工事費精算書」、「工事記録写真」、「工事完成届」を添付する。

6)完了検査・是正勧告

補助要件や決定通知に記載の条件に適合しない点が認められたときは、申請代表者に是正勧告を

行う。この場合申請代表者は勧告内容に従って補修工事を実施し、工事完了後、再度「工事完了届」

を提出する。

7)宅地内排水ポンプ設備設置工事補助金の請求、交付

排水ポンプ設備の設置工事に合わせ、宅地内工事も実施すること。

① 上下水道局は提出書類の審査及び現地調査を行う。

② これらの結果、補助金の交付あるいは不交付を決定する。決定後「交付決

定通知書」あるいは「不交付決定通知書」を送付する。

宅地内排水ポンプ設備設置完了後、申請者は速やかに「排水ポンプ設備設置工

事完了届」(以下、「工事完了届」という。)を上下水道局へ提出する。

上下水道局では「工事完了届」受領後、完成検査を行う。

① 上下水道局では完了検査の結果、適正工事と確認し、かつ、決定通知書に

記載の条件に適合していると認めた場合は、補助金額確定通知書を申請者

に送付する。

② 申請代表者は、補助金額確定通知書を受領後、「排水ポンプ設備設置工事補

助金交付請求書」を上下水道局に提出する。

③ 上下水道局ではこの請求書に基づき、補助金を申請代表者の口座(ゆうち

ょ銀行を除く)に交付する。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

160

8)交付決定の取り消し、補助金の返還

次の場合には、交付決定を取り消すことがある。このとき補助金が交付されて

いれば、その返還を求めることになる。

① 偽りの申請その他不正な手段によって補助の決定を受けたとき

② 上下水道局の付した条件又は勧告に従わなかったとき。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

161

6 貸付金

(1)下水道水洗便所改造資金貸付金

1)貸付対象者

次の場合は対象としない。

① 改造を行う者が、官公署の場合

② くみ取り便所を水洗便所に改造する義務に違反して、法に基づき改造するよう命令を受けてい

る便所を改造する場合

2)貸付対象工事

貸付対象工事は、水洗化に必要なものとすることを趣旨とする。したがって、水洗化と直接関係

のないものは含まない。

3)貸付限度額及び償還額

処理区域内において、くみ取り便所を水洗便所に改造する者であって、貸付金

の償還能力がある者に貸付ける。

貸付の対象となる改造工事は、便器・排水設備及び給水管の工事その他これに

付帯する工事並びにこれらの工事と同時に行う便所内の床壁の補修工事とする。

① 貸付対象工事に要する資金の貸付限度額は、別表2(P.146参照)のとおりである。なお、千円未満の端数は切捨てる。

② 貸付金の償還額は別表2(P.146参照)のとおりであり、償還金額が毎月の返済額の金額に満たない端数を生じた場合には、その金額を最終月の償還

金とする。

なお、貸付金は無利息である。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

162

4)貸付金の申請

5)連帯保証人

6)所得証明書

年金受給者の場合は勤務先記入欄に「年金」と記入するものとし、証明書の添付は要しない。

7)印鑑登録証明書

印鑑登録証明書は発行日から3か月以内のものであって、印鑑登録証明書に記載された住所と、

提出書類の申請者と連帯保証人各々の住所は同一であることが必要である。

同一人が2件以上の貸付申請を同時に行う場合に添付する印鑑登録証明書は、申請1件分につい

ては本書を必要とするが、その余の申請についてはコピーでも可とする。

貸付を受けようとする者は、工事に着手する前に「水洗便所改造資金借用申請

書兼委任状兼借用金償還証書」を、その工事に必要な他の書類とともに指定排水

設備工事店を経由して上下水道局へ提出する。

〈(本章末「提出書類一覧表」(表―26P.169~P.171)参照)及び別冊「排水設備工事関係様式集」記入例参照〉

申請する場合は、次の要件を備えた連帯保証人を1名定める。

① 愛知県内に住所を有すること。

② 一定の職業を有し、又は相当の資産を有する者で、かつ、独立の生計を営

んでいること。

申請者又は連帯保証人が無職の場合は、市民税又は固定資産税の納税証明書

(領収書又はそのコピーでも可)を添付する。

申請には、申請者本人と連帯保証人の印鑑登録証明書を各1通添付する。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

163

8)貸付けの決定

9)工事完成

① 「工事完成届」には水栓番号を記入する。(巻末「排水設備調書類作成要領」記入例参照)

② 工事内容が当初設計と異なるときは、指定排水設備工事店は申請者に対して必ずその旨を説明

して了解を得て、「工事完成届」に「精算書」及び「完成図」を添付して上下水道局に提出す

る。

10)交付

貸付金額が工事費用に満たない場合には、申請者がその差額を指定排水設備工事店に支払うこと

になる。

① 上下水道局は、提出書類を審査したうえ貸付けを決定する。

② 貸付決定後、申請者に対して「水洗便所改造資金貸付金額決定通知書」(ハガキ)を送付し、貸付決定金額を通知する。

申請者は「水洗便所改造資金貸付金額決定通知書」を受領後速やかに、口座の

ある金融機関(ゆうちょ銀行を除く。)に「償還金口座振替依頼書」を提出する。

上下水道局は、指定排水設備工事店に対して審査済の「水洗便所改造資金申

請書兼委任状兼借用金償還証書(工事店用)」を送付する。指定排水設備工事店はこれを受領した後、始めて工事に着手できる。

① 上下水道局では「工事完成届」受領後、現地における検査を行い、申請内

容のとおりであることが確認できた時は、貸付金額を確定し、その旨を申

請者に対して「水洗便所改造資金貸付金額確定通知書」を送付し、貸付確

定金額を通知する。

② 貸付金は申請者の委任に基づき、指定排水設備工事店に支払う。(指定排水設備工事店協同組合の組合員には、指定工事店協同組合を経由して指定排

水設備工事店に支払う。)

申請者は、工事完成後速やかに指定排水設備工事店を経由して、「工事完成届」

を上下水道局へ提出する。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

164

11)償還

償還方法は口座振替を原則としている。なお、不都合のある場合には、納入通知書によることが

できる。

ア 「貸付けを受けた日」とは、指定排水設備工事店又は指定工事店協同組合が貸付金を受領

した日である。

イ 口座振替の場合、3回連続で引き落とせなかった時、自動的に納入通知書による返済に切

り替わる。

(2)浄化槽廃止工事資金貸付金

1)貸付対象者

次の場合は、貸付けの対象としない。

① 廃止工事を行う者が官公署の場合。

② 排水設備の設置義務に違反して、法に基づき設置するよう命令を受けている排水設備工事の一

環として浄化槽廃止工事を行う場合。

なお、増改築及び建替に伴う浄化槽の廃止も貸付けの対象としない。

① 口座振替により返済を行う場合

ⅰ 口座振替は愛知県内の各銀行、信用金庫、農協等の当局が指定している

金融機関(ゆうちょ銀行を除く。)で取り扱っている。

ⅱ 償還は貸付けを受けた日の属する月の翌月から引き落としを開始する。

ⅲ 振替日は毎月 15日である。(金融機関休業日の場合は翌営業日)

② 納入通知書により返済を行う場合

この場合、貸付けを受けた者は貸付けを受けた日の属する月の翌月から上

下水道局から送付した「納入通知書」により愛知県内の各銀行、信用金庫、

農 協及び郵便局等の当局が指定している金融機関の窓口で払込みの方法

により、毎月 25日までに償還を行う。(金融機関休業日の場合は翌営業日)

処理区域内において浄化槽の廃止工事を行う者であって、貸付金の償還能力があ

るものに貸付ける。

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

167

9)貸付けの決定

10)工事完成

① 「工事完成届」には水栓番号を記入する。(巻末「排水設備調書類作成要領」記入例参照)

② 工事内容が当初設計と異なるときは、指定排水設備工事店は申請者に対して必ずその旨を説明

して了解を得て、「工事完成届」に「精算書」及び「完成図」を添付して上下水道局に提出す

る。

11)交付

貸付金額が工事費用に満たない場合には、申請者がその差額を指定排水設備工事店に支払うこと

になる。

① 上下水道局は、提出された書類を審査したうえ貸付けを決定する。

② 貸付決定後、申請者に対して「浄化槽廃止工事資金貸付金額決定通知書」(ハガキ)を送付し、貸付決定金額を通知する。

申請者は「浄化槽廃止工事資金貸付金額決定通知書」を受領後速やかに、口座

のある金融機関(ゆうちょ銀行を除く。)に「償還金口座振替依頼書」を提出す

る。

上下水道局は、指定排水設備工事店に対して審査済の「浄化槽廃止工事資金借

用申請書兼委任状兼借用金償還証書(工事店用)」を送付する。指定排水設備工事店はこれを受領した後、始めて工事に着手できる。

申請者は、工事完成後すみやかに指定排水設備工事店を経由して、「工事完成

届」を上下水道局へ提出する。

① 上下水道局では工事完成届受領後、現地における検査を行い、申請内容の

とおりであることが確認できた時は、貸付金額を確定し、申請者に対して

「浄化槽廃止工事資金貸付金額確定通知書」を送付し、貸付確定金額を通

知する。

② 貸付金は申請者の委任に基づき、指定排水設備工事店に支払う。(指定排水設備工事店協同組合の組合員には、指定工事店協同組合を経由して指定排

水設備工事店に支払う。)

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

168

12)償還

償還方法は口座振替を原則としている。なお、不都合のある場合には、納入通知書によることが

できる。

ア 貸付けを受けた日」とは、指定排水設備工事店又は指定工事店協同組合が貸付金を受領し

た日である。

イ 口座振替の場合、3回連続で引き落とせなかった時、自動的に納入通知書による返済に切

り替わる。

ウ 納入通知書は、一年度に一回、その年度分をまとめて送付している。

① 口座振替により返済を行う場合

ⅰ 口座振替は愛知県内の各銀行、信用金庫、農協等の当局が指定している金

融機関(ゆうちょ銀行を除く。)で取り扱っている。

ⅱ 償還は貸付けを受けた日の属する月の翌月から引き落としを開始する。

ⅲ 振替日は毎月 15日である。(金融機関休業日の場合は翌営業日)

② 納入通知書により返済を行う場合

この場合、貸付けを受けた者は貸付けを受けた日の属する月の翌月から上下

水道局から送付した「納入通知書」により愛知県内の各銀行、信用金庫、農

協及び郵便局等の当局が指定している金融機関の窓口で払込みの方法によ

り、毎月 25日までに償還を行う。(金融機関休業日の場合は翌営業日)

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

169

表-26-1 提出書類一覧表(取付管同時施行又は既設利用の場合)

新設工事を伴う場合の提出部数 宅地内改造工事を伴う場合の提出部数

同時施行により

取付管を築造す

る場合

既設の取付管を

利用する場合

くみ取り改造工事 浄化槽廃止工事

貸付利用 費用即納 貸付利用 費用即納

同時施行 既設利用 同時施行 既設利用 同時施行 既設利用 同時施行 既設利用

取付管築造工事申請書(第 7号様式)

(注 1)1 1 1 1 1

取付管・排水設備・水洗便所工事(承

認)申請書(第 8号様式)1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

排水設備図面 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

下水道水洗便所補助金交付申請書1(注 2) 1(注 2)

1 1 1 1

浄化槽廃止工事補助金交付申請書 1 1 1 1

水洗所改造資金借用申請書兼委任状

兼借用金償還証書

1 1

浄化槽廃止工事資金借用申請書兼委

任状兼借用金償還証書 1 1

印鑑証明書(申請者及び保証人分) 1 1 1 1

下水道水洗便所改造資金・浄化槽廃止

工事資金償還金口座振替依頼書 1 1 1 1

委任状 〔取付管工事費及び関連工事

費の納付精算について他人に代理さ

せる場合〕

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

委任状

〔分譲マンション等で代表者に補助

金申請の権限を委任する場合〕

1(注 2) 1(注 2) 1 1 1 1 1 1 1 1

代理人(選定・変更・廃止)届出書 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

誓約書

下水排出計画書及び建築確認通知書

(写)又は計画通知書(写)

〔関連工事費徴収の場合〕

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

工事完成届兼使用開始届(第 12 号様

式)1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

請求書 〔名古屋市指定水道工事店協

同組合に属しない指定排水設備工事

店が、貸付金を代理請求する場合〕

1 1 1 1

注1 表面は施主に記載・押印してもらい、裏面は施主と相談したうえで記載し、上下水道局の工事担当に提出します。

注2 建物を取り壊して、それに続いて家屋等の新設を行う場合等、補助金の交付対象になる場合にのみ提出します。

通常の新設工事の場合は、必要ありません。

注3 金融機関へ提出してください。

提 出 書 類

内 容

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

170

表-26-2 提出書類一覧表(取付管営業所施行の場合)

取付管工事のみの場

合の提出部数

新設工事を伴う

場合の提出部数

宅地内改造工事を伴う場合の提出部数

くみ取り改造工事 浄化槽廃止工事

貸付利用 費用即納 貸付利用 費用即納

取付管築造工事申請書(第 7号様式)

取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申請書

(第 8号様式)

(2部はコピーでも

可)

(2部はコピー

でも可)

(2部はコピ

ーでも可)

(2部はコピ

ーでも可)

(2部はコピ

ーでも可)

(2部はコピ

ーでも可)

排水設備図面 3(同上) 3(同上) 3(同上)3(同上)3(同上)3(同上)

下水道水洗便所補助金交付申請書1(注 1)

1 1

浄化槽廃止工事補助金交付申請書 1 1

水洗所改造資金借用申請書兼委任状兼借用金償還証

書 1

浄化槽廃止工事資金借用申請書兼委任状兼借用金償

還証書 1

印鑑証明書(申請者及び保証人分) 1 1

下水道水洗便所改造資金・浄化槽廃止工事資金償還

金口座振替依頼書 (注2) 1 1

委任状

〔取付管工事費及び関連工事費の納付精算について

他人に代理させる場合〕

1 1 1 1 1 1

委任状

〔分譲マンション等で代表者に補助金申請の権限を

委任する場合〕

1 1(注 1) 1 1 1 1

代理人(選定・変更・廃止)届出書 1 1 1 1 1 1

誓約書 1

下水排出計画書及び建築確認通知書(写)又は計画

通知書(写)

〔関連工事費徴収の場合〕

1 1 1 1 1 1

工事完成届兼使用開始届(第 12号様式) 1 1 1 1 1

請求書 〔名古屋市指定水道工事店協同組合に属し

ない指定工事店が、貸付金を代理請求する場合〕 1 1

注1 建物を取り壊して、それに続いて家屋等の新設を行う場合等、補助金の交付対象になる場合にのみ提出します。

通常の新設工事の場合は、必要ありません。

注2 金融機関へ提出してください。

提 出 書 類

内 容

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第4章 排水設備に関する制度と事務手続

171

表-26-3 提出書類一覧表(その他)

提 出 理 由

取付管・排水設備・水洗便所工事(承認)申

請取消届(第 11号様式)取付管等の工事(承認)申請を取り消すときに提出する

土地使用承諾書 他人の土地を使用して排水設備を設置するときに提出する

地下排水槽事前協議申請書類 事前協議対象の地下排水槽を設置するときに提出する

地下排水槽設置計画書類 地下排水槽を設置するときに提出する

私道共同排水設備工事補助金交付申請書類 私道内に共同利用する排水設備を設置し、助成を受けるための申請をするときに提出

する。

宅地内排水ポンプ設備設置工事補助金交付申

請書類宅地内排水ポンプ設備設置工事の助成を受けるための申請をするときに提出する。

ディスポーザ排水処理システム関連書類 ディスポーザ排水処理システムを設置するときに提出する。

提 出 書 類

内 容

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第5章 下水道利用の負担

174

水質使用料の対象となる汚濁は、水処理センターで処理することの可能なBODとSSに限って

いる。有害物質等の汚濁は水処理センターで処理することができないので濃度使用料の対象になら

ず、水質の基準を超える場合は流してはならないことになっている。処理可能な汚濁でも極度に濃

度の高いものは、水処理センターで処理しきれないおそれがあるので、水質規制上の制限がある。

現在、濃度使用料の徴収対象となっているのは、主に食品加工工場である。

6)下水道使用料の徴収開始時期

未整備地域解消のために下水道を整備した供用開始区域のうち、分流区域は公共下水道の供用開

始の日の属する月の翌月分から、合流区域は公共下水道の供用開始の日の属する月の4カ月後から、

使用者に対し銀行口座振替や納入通知書等によって徴収する。下水道使用料は水道料金と併せて徴

収している。

7)滞納処分

下水道使用料は当然納期限までに納付されねばならないが、納期限までに納付されない場合は、

督促を行う。

督促の指定期限を経過しても納付されない場合には、地方税の滞納処分の例により処分すること

ができるとされ、差押え、競売に付すことにより強制的に徴収することができる。

下水道使用料はいつから、また、どのような方法で徴収されるのか?

下水道使用料を払わないとどうなるのか?

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第5章 下水道利用の負担

175

2 取付管工事における直接工事費

直接工事費は、日常「取付費」あるいは「取付工事費」等と称し、工事実費のように理解されて

いることが多いが、正確には実費ではなく、標準的な工事内容を設定して工事費を算出したもので

ある。直接工事費は、施行方法別及び取付管径区分により算定方法を定めている。

施行方法 取付管口径

同時施行(下水本管工事と同時に取付) θ100mm、θ150mm、θ200mm営業所施行(既設下水本管に対する取付) θ100mm、θ150mm、θ200mm個別設計施行 θ250mm以上

1)取付管径 100mm、150mm、200mmの取扱い

同時施行においては、取付け対象の道路幅員に応じて3段階の工事費を設定している。

この工事費の設定にあたっては、利用促進を図るために、工事費に上限を設ける等の負担軽減措

置を講じている。

営業所施行においては、舗装種別毎の基準単価によって、取付け延長に応じた工事費を算定して

いる。なお、営業所施行においても負担軽減のために、一定以上の取付け延長、取付け深さの工事

については、軽減措置が設けられている。

2)取付管径 250mm以上の取扱い

取付管径が 250mm以上となる場合はマンホール取付となり、マンホール築造や他企業移設等、工事にかかる費用全てを申請者が負担する。負担の軽減措置は適用されない。

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第6章 下水道の利用促進

180

第6章 下水道の利用促進

1 最近の下水道の利用状況

1)下水道の普及率

平成 30 年度末の下水道の整備状況は、人口普及率は行政人口 2,317,646 人に対し処理人口2,301,800人で 99.3%に達している。また、水洗化普及率は、処理区域内戸数 1,257,318戸に対し、水洗便所設置済戸数 1,254,782戸

で 99.8%となっている。

2)未切替理由の多様化

下水道の供用を開始した地域でも、未だに浄化槽やくみ取り便所のままの家屋が少なからず残っ

ている。その理由としては、経済的な問題のほか、借地借家の関係、都市計画等による移転の予定、

家屋の老朽化等が上げられる。

また、下水道が布設される以前から浄化槽を利用している家屋も多く、水洗化の快適さを既に体

験していることや、切り替えのための敷地内の排水設備工事が繁雑であること等を理由に下水道へ

切り替えない家屋が見受けられる。

その他、地形的な問題で接続が困難な家屋や、私道に係る利害関係の問題等、その理由も多様化

してきており、これらの家屋をいかに説得して下水道への切り替えを促していくかが、普及率向上

の重要な課題となっている。

3)利用の促進

下水道の普及は、基本的には利用者である市民の環境改善への自覚によるところが大きく、本市

としても工事説明会や各種の行事を通して下水道の役割、利用者の義務、助成制度等のPRに務め

るとともに、未接続・未水洗の実態調査、勧奨業務の強化等の施策を通して下水道ヘスムーズに切

り替えてもらうよう下水道の利用促進に努めている。

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第6章 下水道の利用促進

181

2 下水本管の布設計画から下水道への切替え

1)下水道の布設計画と設計

下水道の整備計画は、国及び本市の予算が決まってから、当該年度の布設計画を公表している。

布設計画(整備見込図)は、住宅都市局建築審査課、上下水道局各営業所及び名古屋市指定水道

工事店協同組合等にも掲げられる。

また、下水道整備には、埋設物の支障移転工事等に多大な時間を要するため、下水道設計と並行

してこれら埋設物の管理者との協議、調整作業が進められる。

2)工事説明会

布設工事に先立ち、所轄する管路センターが地元への工事説明会を実施する。

この説明会では、概ね以下のような説明を行うことにしている。

① 本管工事の期間(施工時期)と方法

② 取付管工事

③ 排水設備工事

④ 水洗便所への改造、浄化槽の廃止切り替え工事

⑤ 補助金及び貸付金(無利子)の制度

⑥ 下水道使用料

3)下水道の本管工事と取付管工事

本管工事では、前もって指定排水設備工事店を通して申請のあった建物の取付ますの位置を確認

したのち、本管の布設と同時に取付管の支管取付けまでを施工する。

本管工事が完了すると、取付ますが設置された箇所から順次、取付管工事に入る。

4)排水設備工事と下水道の供用開始

取付管工事が完了すると、指定排水設備工事店により敷地内の排水設備工事に入る。

この時期から、下水道の供用開始の告示準備が進められる。

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排 水 設 備 要 覧

平成 24年4月改定

平成 25年4月改定

平成 26年4月改定

平成 27年 4月改定

平成 28年 4月改定

平成 29年 4月改定

平成 30年 4月改定

平成 31年 4月改定

令和 2年 4月改定

名古屋市上下水道局監修

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