高齢者介護意識に関する一考察socio.sakura.ne.jp/pdf/175an.pdf33...

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31 1.問題の所在 高齢者介護の問題は、人口高齢化の進展に伴って浮上してきたが、社会 学の分野における研究を回顧すると、この分野の研究は高齢者扶養(那須 宗一・湯沢雍彦編 1973)に関する研究を出発点にして開始され、その 後、高齢者介護と家族形態(森岡清美 1983144-146)、高齢者扶養と介 護の社会化(下山昭夫 2000)、介護意識(大和礼子 2008)、高齢者扶養意 識と介護の社会化意識(太湯好子ほか 2010)、介護の社会化と介護保険制 度(中野いずみ 2011)、介護(ケア)研究の体系化(上野千鶴子 2011へと展開してきた。 特に本稿のテーマである介護意識に焦点を当てた研究をみると、まず、 下山(2000)は、高齢者介護意識に関しては、高齢者核家族であっても、 子ども家族との同居介護の期待が潜在的に根強く、高齢者全般をみても子 供との同居による私的介護への期待がみられるが、現実的には難しいため に、老人ホームや病院等の介護施設での社会的介護を志向せざるを得ない 状況になっているとし、高齢者家族の核家族化は家族による私的介護を構 造的に困難にするものであり、意識面でも、社会的介護への期待は、高齢 者自身と介護する中高年層の双方で強まっているとしている。また「高齢 者の介護は第一義的に家族が担当する」という意識は、社会規範としても 薄れつつあり、社会的介護への期待が着実に高まってきているとしてい る。そして、家族介護の選択理由として、「肉親の情や恩」などは否定さ れるべきではないが、義務感や世間体を背景に、半ば強制されるようなも のであってはならない。男性の介護役割への参加はもちろん、家族介護の 「自由な選択」というコンセンサスが形成されねばならないと論じている。 また、大和(2008)は、日本では従来、高齢者の介護は子どもの役割で あると考えられてきたが、1980 年代から 1990 年代にかけて意識は変化 高齢者介護意識に関する一考察 安   勝 熙

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1.問題の所在

高齢者介護の問題は、人口高齢化の進展に伴って浮上してきたが、社会

学の分野における研究を回顧すると、この分野の研究は高齢者扶養(那須

宗一・湯沢雍彦編 1973)に関する研究を出発点にして開始され、その

後、高齢者介護と家族形態(森岡清美 1983:144-146)、高齢者扶養と介

護の社会化(下山昭夫 2000)、介護意識(大和礼子 2008)、高齢者扶養意

識と介護の社会化意識(太湯好子ほか 2010)、介護の社会化と介護保険制

度(中野いずみ 2011)、介護(ケア)研究の体系化(上野千鶴子 2011)

へと展開してきた。

特に本稿のテーマである介護意識に焦点を当てた研究をみると、まず、

下山(2000)は、高齢者介護意識に関しては、高齢者核家族であっても、

子ども家族との同居介護の期待が潜在的に根強く、高齢者全般をみても子

供との同居による私的介護への期待がみられるが、現実的には難しいため

に、老人ホームや病院等の介護施設での社会的介護を志向せざるを得ない

状況になっているとし、高齢者家族の核家族化は家族による私的介護を構

造的に困難にするものであり、意識面でも、社会的介護への期待は、高齢

者自身と介護する中高年層の双方で強まっているとしている。また「高齢

者の介護は第一義的に家族が担当する」という意識は、社会規範としても

薄れつつあり、社会的介護への期待が着実に高まってきているとしてい

る。そして、家族介護の選択理由として、「肉親の情や恩」などは否定さ

れるべきではないが、義務感や世間体を背景に、半ば強制されるようなも

のであってはならない。男性の介護役割への参加はもちろん、家族介護の

「自由な選択」というコンセンサスが形成されねばならないと論じている。

また、大和(2008)は、日本では従来、高齢者の介護は子どもの役割で

あると考えられてきたが、1980年代から1990年代にかけて意識は変化

高齢者介護意識に関する一考察

安   勝 熙

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し、家族外の専門家による介護サービスを利用したいと考える人が徐々に

増え、その増加は特に女性で顕著であったとしている。これに対する「通

常の解釈」は、介護を担うことが多い女性が、家族の介護が負担であるた

め、専門家による介護を求める。つまり「専門家によるサービスを利用し

たい」という女性の意識を「介護する立場」の意識と想定し、「家族を介

護することを避けようとする女性」というイメージで解釈しているが、も

しかしたら女性は、「介護される立場」として「専門家によるサービスを

利用したい」と考えているかもしれないと考え、公表されているマクロ・

データをもとに、3種類の介護意識、つまり「自分の介護」(介護される

立場)、「親や配偶者の介護」(介護する立場)、そして「一般論」としての

介護意識を性別に比較した。その結果、「自分の介護」(介護される立場)

としての意識においては、それを専門家に頼るか家族に頼るかに関して、

専門家を頼るという人は男性より女性で多い反面、家族を頼るという人は

女性より男性で多く男女で差がみられた。「親や配偶者の介護」(介護する

立場)としての意識には、ほとんど男女差はなかった。「一般論」として

の意識は、「自分の介護」(介護される立場)としての意識により近いもの

であり、これらの結果から、「専門家による介護を利用したいという人

は、女性により多い」という事実は、「自分の介護」(介護される立場)の

意識として解釈されるべきであり、それを介護する立場の意識と想定した

「通常の解釈」は適切ではないとしながら、女性は「家族に介護されるこ

と」を避けようとし、介護する場合もされる場合も一貫して、家族に対し

て「利他的」であろうとすると論じている。

そして、太湯ほか(2010)は、家族凝集性と老親扶養意識が介護の社会

化に与える影響について日本と中国の大学生と親への調査データを用いて

検討している。その結果、家族凝集性や老親扶養意識は日本より中国で高

く、介護の社会化意識は中国より日本で高い。そして、日本と中国とも

に、介護の社会化意識に家族凝集性は手段的扶養意識を経由して関連する

因果関係モデルが統計学的に支持されたとしている。さらに、日本での介

護の社会化意識は家族凝集性、手段的扶養意識、情緒的扶養意識と負の関

連性を認め、老親扶養意識の低さは介護の社会化を高めており、中国での

介護の社会化意識は手段的扶養意識と負の関連性を認め、家族凝集性と情

緒的扶養意識とは関連性を認めなかったとしている。これらの結果から、

介護の社会化は家族の持つ老親扶養の機能を弱め、高齢者介護の社会化の

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高齢者介護意識に関する一考察

発展と家族機能を保つことの両立は困難であるとし、介護の外的資源とし

て機能する介護保険制度のような高齢者介護の実体的な社会資源の具体化

は、家族凝集性と老親扶養意識との関連性を小さくし、家庭内資源ではな

く介護に関連した社会資源の活用といった方向へと意識が変化していくも

のと推察されると論じている。

本稿では、このような研究動向を踏まえて、日本における高齢者介護意

識について性別・介護経験の有無を分析指標としながら、介護保険制度の

導入後に焦点を当てて分析することにした。

分析指標として介護経験の有無も検討が必要であると考えたのは、性別

だけではなく、介護経験も介護意識に影響を及ぼすと考えたからであり、

こうした視点を踏まえることで高齢者介護の実態と意識をより正確に把握

できると考えたからである。そして、本稿は高齢者介護意識を考える際の

検討資料とすることを目的としている。

なお、本稿の分析資料は、公表されているマクロデータのうち、介護経

験の有無についても調査を行っている内閣府が実施した「高齢者介護に関

する世論調査(2003)」、「介護保険制度に関する世論調査(2010)」を用い

ることとした。

2.高齢者介護の現状

2000年の介護保険制度は、高齢化の進展、要介護高齢者の増加、介護期

間の長期化、介護ニーズの増大および核家族化の進行、介護する家族の高

齢化など要介護高齢者を支えてきた家族をめぐる状況の変化などによって

導入され、今年はその12年目にあたることになる。ここでは、このような

歴史を踏まえて、介護保険制度導入後の高齢者介護の状況を明らかにする

ことにした。

まず、介護保険制度導入後の要介護者がいる世帯の構成の推移を「平成

22年国民生活基礎調査(介護票)1)」でみてみることした。この調査は厚

生労働行政の企画及び運営の基礎資料を得ることを目的としており、全国

世帯及び世帯員を対象に特に介護票は、国勢調査区の一部の地区のうち、

介護保険法の要介護者及び要支援者約7000人を対象に行っているため、

現在の高齢者介護の現状を把握するための資料として相応しい調査である

と判断した。この調査によると、2001年から2010年までの約10年間で

「三世代世帯」が32.5%から22.5%となり約10ポイント減少したが、「単独

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世帯」は15.7%から26.1%になり、約10ポイント増加した。このよう

に、2001年には、「三世代世帯」が一番の多く、次が「核家族世帯」であっ

たが、2010年には「核家族世帯」が 3割を超えて一番多く、次が「単独世

帯」となっている。

つぎに、要介護者からみた主な介護者についてみてみると、2001年には

「同居」している介護者が約70%であり、続柄別にみると、「配偶者」が一

番多く、さらに「子の配偶者」、「子」の順になっていたが、2010年にな

ると、「同居」が約64%となり、続柄別には、2001年同様「配偶者」が一

番多く、「子」、「子の配偶者」が続いており、特に「子の配偶者」が約 7

ポイント減少している。また、10年間で別居している家族による介護も約

2ポイント増加し、ホームヘルパーなどの事業者は約 4ポイント増加し約

13%となっている。

さらに2010年「同居」の主な介護者の性別・年齢別でみると、男性が

30.6%、女性が69.4%であり、女性が約 7割を占めている。男女ともに約

6割以上が60歳以上であり、要介護者も介護者も65歳以上である組み合

わせが約46%を占めている。

このような動向を踏まえて、国民生活基礎調査から居宅サービスの利用

状況 2)についてみると、居宅サービスを 1種類でも利用した人は、2001

年には75.6%で、2010年には約77.9%のとなり、約 2ポイント増加してい

る。さらに、2010年の居宅サービス利用を種類別にみると、「訪問系サー

ビス」が一番多く、「通所系サービス」が続いている。

居宅サービスの利用状況を世帯構造別にみてみると、居宅サービスを利

用したのは、「単独世帯」が84%で最も高く、利用しなかったのは「その

他の世帯」「三世代世帯」の順になっている。「単独世帯」は「訪問系の

サービス」、「小規模多機能型居宅介護」、「配食サービス」の利用が他の世

帯に高く、「通所系のサービス」、「短期入所サービス」の利用が低くなっ

ている。「三世代世帯」は、「通所系のサービス」、「短期入所サービス」の

利用が高く、「訪問系のサービス」、「配食サービス」の利用が低くなって

いる。

ともあれ、介護保険制度が導入後も介護は在宅介護が主 3)であり、これ

らの結果をみると、在宅介護は、同居による在宅介護が主でその担い手は

女性である。また、在宅サービスの利用者は比較的高い割合を示してお

り、そのサービスは「訪問系サービス」となっていることも明らかになっ

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高齢者介護意識に関する一考察

た。

このような高齢者介護をめぐる動向は、介護意識にどのような影響を与

えているのであろうか。

3.高齢者介護意識の動向

ここでは、内閣府で行った 「高齢者介護に関する世論調査 (2003)」、「介

護保険制度に関する世論調査 (2010)」を用いて、自分が介護を受けたい場

所、自宅希望理由、自宅希望者の希望介護形態、施設利用理由などを性

別、介護経験有無別を中心に在宅や施設介護に関する意識を明らかにする

ことを試みることにした。これらの資料を用いたのは、高齢者介護に関す

る国民の意識を調査し、今後の施策の参考にすることを目的に全国の市区

町村に居住する20歳以上の者5,000人を対象に実施した大量観察データで

あり、かつ継続調査であることから、意識の変化を理解するのに相応しい

と考えたからである。また、分析指標として性別・介護経験の有無(介護

時期)を用いることにした。この分析指標から課題に接近したのは、介護

経験の有無が介護意識に何らかの影響を与えるのではないかと考えたこと

からである。

3.1 高齢者介護に関する意識

まず、高齢者介護に関する意識について、1995年と2003年調査を用い

てみることにした。「一般論として、親が寝たきりや痴呆になった時、子

が親の介護をすることについてどう思うか」という設問への回答をみる

と、1995年、2003年調査ともに「子供が親の介護をすることは当たり前の

ことだ(以下、親の介護当然)」が一番多く、「子供だからといって、必ず

しも自ら親の介護をする必要はない(以下、親の介護当然ではない)」、

「どちらとも言えない」が続いている。しかし、その内容をみると「親の

介護当然」とする人は1995年調査では57.3%であったのが2003年調査で

は48.6%と減少するとともに、「親の介護当然ではない」とする人は

28.7%から36.1%と上昇している。

つぎに、介護経験有無別にみると、「親の介護当然」と回答した人の比

率は「介護経験がある(以下、介護経験あり)」層と「世話をしたことが

ない(以下、介護経験なし)」層であまり差がないが、「親の介護当然では

ない」と回答した人では「介護経験あり」層で若干高い。介護経験がある

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人の介護時期でみると、「親の介護当然」と回答した人の比率は「現在世

話をしている(以下、現在介護)」層が「過去に世話をしたことがある

(以下、過去介護)」層より高く、「親の介護当然ではない」と回答した人

では「現在介護」層より「過去介護」層で若干高い。

さらに、性別でみると、「親の介護当然」と回答した人の割合は女性よ

り男性で高く、「親の介護当然ではない」とした人の割合は男性より女性

で高くなっている。

また、性・介護経験有無別でみると、「親の介護当然」とした人の割合

は、男性では「介護経験あり」層が「介護経験なし」層より若干高く、女

性では、あまり差がみられない(表3.1参照)。

以上の結果をまとめると、親の介護に関する意識は、子供が親の介護を

表3.1 親の介護に関する意識 (単位:人、%)

区分 総数

子供が親の介護をすることは当たり前のことだ

子供だからといって、必ずしも自ら親の介護をする必要はない

どちらとも言えない

わからない

1995年 3596 57.3 28.7 12.6 1.4

2003年 3567 48.6 36.1 14.0 1.4

介護経験がある 1211 48.0 37.4 13.3 1.3

  現在世話をしている 283 51.2 35.7 11.7 1.4

  世話をしたことがある 937 46.9 38.1 13.8 1.3

世話をしたことがない 2348 48.8 35.4 14.3 1.4

男性 1576 52.9 32.5 12.9 1.7

介護経験がある 385 54.8 32.7 10.6 1.8

  現在世話をしている 98 53.1 27.6 16.3 3.1

  世話をしたことがある 288 55.6 34.4 8.7 1.4

世話をしたことがない 1185 52.2 32.4 13.7 1.7

女性 1991 45.1 38.9 14.8 1.2

介護経験がある 826 44.8 39.6 14.5 1.1

  現在世話をしている 185 50.3 40.0 9.2 0.5

  世話をしたことがある 649 43.0 39.8 16.0 1.2

世話をしたことがない 1163 45.3 38.5 15.0 1.2

(注)「介護経験有無」は複数回答であり、「現在、世話している」、「世話をしたことがある」の両方を答え

たものがいるため、「現在、世話をしている」、「世話をしたことがある」の該当者数の合計と「介護経

験がある」の該当者数は一致しない。「その他」「わからない」は該当者なしまたは少数のため除いた。

資料:内閣府大臣官房政府広報室「高齢者介護に関する世論調査」(各年度)より作成。

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高齢者介護意識に関する一考察

することが当然だと考えている人が多くこの傾向は男性で顕著であり、介

護経験がある層で若干多い。また、親の介護を当然とする人は1995年の調

査に比べて2003年調査では減少傾向にあるのに対して、親の介護は当然

ではないとする人は増加傾向にあり、親の介護は当然ではないとする人は

介護経験がある層で若干高く、女性で顕著である。

3.2 自分が介護を受けたい場所

つぎに「仮に自分自身が老後に寝たきりや認知症になり、介護が必要と

なった場合に、どこで介護を受けたいと思うか」という設問についてみる

と、2003年、2010年調査ともに「現在の住まいで介護を受けたい(以下、

自宅)」が一番多く、「特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護保険

施設に入所して介護を受けたい(以下、介護保険施設)」、「介護付きの有

料老人ホームや高齢者住宅に住み替えて介護を受けたい(以下、介護付き

有料老人ホーム等)」が続いている。2003年と2010年の比較では、「自宅」

は約45%から約37%に減少しており、「介護保険施設」も約33%から約

26%へと減少している。その一方で「介護付き有料老人ホーム等」は約

9%から約19%に増加している。また、2010年に追加された「病院に入院

して介護を受けたい」に対する回答をみると、約13%となっている。自分

が介護を受けたい場所として自宅希望者が減少し、施設・病院希望者が増

加している。

さらに、2010年調査で、より具体的な内容みると、介護経験有無別で

は、「自宅」とする人の割合にあまり差がないが、「介護付き有料老人ホー

ム等」は「介護経験なし」層で、「介護保険施設」は「介護経験あり」層

でそれぞれ比率が高い。また介護経験がある層に限定して介護時期でみる

と、「自宅」で介護受けたいと回答した人の比率がは「現在介護」層より

「過去介護」層で高く、逆に「介護付き有料老人ホーム等」や「介護保険

施設」で介護を受けたいと回答した人の比率は「過去介護」層より 「現在

介護」 層で高い。

つぎに、性別でみると、「自宅」とする人の割合は女性より男性で約10

ポイント以上高く、「介護保険施設」、「介護付き有料老人ホーム等」とす

る人の割合は男性より女性で高くなっている。

また、性・介護経験有無別でみると、男性女性ともに介護経験がある層

で「自宅」、「介護保険施設」の割合が高く、「介護付き有料老人ホーム等」

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の割合は介護経験がない層で高なっている(表3.2参照)。

以上の結果をまとめると、介護を受けたい場所は自宅が多く、この傾向

は男性で顕著であり、男女とも介護経験がある層で自宅を希望する人が多

い。また、介護付きの有料老人ホーム等を希望する人は増加傾向にある

(但し、その割合は約20%である)が、この介護場所を希望する人は、男

女とも介護経験がない層で多かった。

表3.2 自分自身が介護を受けたい場所 (単位:人、%)

区分 総数

現在の住まいで介護を受けたい

介護付きの有料老人ホームや高齢者住宅に住み替えて介護を受けたい

特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護保険施設に入所して介護を受けたい

病院に入院して介護を受けたい

その他 一概に言えない

わからない

2003年 3567 44.7 9.0 33.3 - - 8.4 4.6

2010年 3272 37.3 18.9 26.3 12.9 0.2 2.3 2.1

介護経験がある 1205 38.5 15.3 28.4 13.4 0.2 2.2 1.9

  現在世話をしている 266 32.3 18.4 35.0 11.3 - 2.6 0.4

  過去に世話をしたことがある 959 40.0 14.6 26.8 13.9 0.3 2.1 2.3

世話をしたことがない 2060 36.7 21.0 25.0 12.6 0.2 2.4 2.2

男性 1493 44.7 15.3 22.6 12.7 0.3 2.3 1.9

介護経験がある 424 47.6 11.8 23.6 13.0 - 2.1 1.9

  現在世話をしている 90 42.2 14.4 24.4 13.3 - 4.4 1.1

  過去に世話をしたことがある 339 48.7 11.2 23.9 12.7 - 1.5 2.1

世話をしたことがない 1066 43.6 16.7 22.2 12.7 0.4 2.4 2.0

女性 1779 31.1 21.9 29.3 13.0 0.2 2.3 2.2

介護経験がある 781 33.5 17.2 31.0 13.7 0.4 2.3 1.9

  現在世話をしている 176 27.3 20.5 40.3 10.2 - 1.7 -

  過去に世話をしたことがある 620 35.3 16.5 28.4 14.5 0.5 2.4 2.4

世話をしたことがない 994 29.2 25.6 28.1 12.5 - 2.3 2.4

(注)「介護経験有無」は複数回答であり、「現在世話している」、「過去に世話をしたことがある」の両方

を答えたものがいるため、「現在世話をしている」、「過去に世話をしたことがある」の該当者数の合

計と「介護経験がある」の該当者数は一致しない。「その他」「わからない」は該当者なしまたは少数

のため除いた。

資料: 内閣府大臣官房政府広報室「高齢者介護に関する世論調査」(2003),内閣府大臣官房政府広報室「介護保険制度に関する世論調査」(2010)より作成。

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高齢者介護意識に関する一考察

3.3 自分が介護を受けたい場所―選定の理由

3.3.1 自宅で介護を受けたい理由

「自宅で介護を受けたい」と答えた人に、その理由を聞いたところ、

2003年、2010年調査ともに「自宅で生活を続けたいから(以下、自宅での

生活継続希望)」(約 8割強)が圧倒的に多く、2番目に多い理由を2003年

調査でみると、「施設で他人の世話になるのはいやだから(以下、施設で

他人の世話希望せず)」となっており「他人との共同生活はしたくないか

ら(以下、他人と共同生活希望せず)」、「施設では自由な生活ができない

から(以下、自由生活不可)」、「施設に入るだけの経済的余裕がないから

(以下、経済的余裕なし)」が続いているのに対し、2010年調査では、「自

由生活不可」、「他人と共同生活希望せず」、「施設で他人の世話希望せず」、

「経済的余裕なし」の順になっている。なお、2003年調査と2010年調査を

比較すると、「自宅での生活継続希望」のみ減少しているが、そのほかの

項目は増加傾向にある。

さらに、2010年度調査について介護経験有無別にみると、「自宅での生

活継続希望」とする人の割合には差がない。しかし、「自由生活不可」、

「施設で他人の世話希望せず」、「経済的余裕なし」では、介護経験がない

層での割合が高い。介護経験がある層では、「他人と共同生活希望せず」

の割合が高く、介護時期別にみると、「過去介護」層で同比率が高くなっ

ている。

つぎに、性別でみると、「自宅での生活継続希望」の割合は男性と女性

でほとんど差がない。しかし、「自由生活不可」、「他人と共同生活希望せ

ず」、「施設で他人の世話希望せず」では、女性より男性の割合が高くなっ

ており、逆に女性は男性より「経済的余裕なし」と答えた割合が高くなっ

ている。

また、性・介護経験有無別でみると、「自宅での生活継続希望」の割合

は、男性・女性ともに介護経験の有無であまり差がなく、「自由生活不可」

は男性では介護経験であまり差がないが、女性では介護経験がない層で高

くなっている。「他人と共同生活希望せず」では男性では介護経験がある

層で高くなっており、女性ではあまり差がない。「施設で他人の世話希望

せず」では、男性は介護経験がある層で高く、女性は介護経験がない層で

高くなっている。「経済的余裕なし」では、男女ともに介護経験がない層

で高くなっている(表3.3参照)。

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これらの結果をみると、介護は、現在の場所で生活を継続しながら介護

を受けたいとする人が圧倒的に多かったが、男性・女性ともに介護経験の

有無ではあまり差がみられなかった。「自由生活不可」については男性で

は介護経験による差はなかったが、女性では介護経験がない層の割合が高

表3.3 自宅で介護を受けたい理由 (単位:人、%)

区分 総数

現在の住まいで生活を続けたいから

施設では自由な生活ができないから

他人との共同生活はしたくないから

施設で他人の世話になるのはいやだから

施設に入るだけの経済的余裕がないから

在宅で十分な介護が受けられるから

施設を利用することに抵抗を感じるから

具体的に施設を知らず、不安だから

2003年 1593 85.6 21.3 21.7 21.8 21.6 15.5 12.9 6.7

2010年 1221 82.8 32.7 29.0 28.6 27.5 18.8 14.6 12.7

介護経験がある 464 82.5 30.0 30.2 27.2 25.6 19.2 15.7 10.3

  現在世話をしている 86 82.6 32.6 23.3 33.7 24.4 23.3 19.8 8.1

  過去に世話をしたことがある 384 82.3 29.4 31.8 26.0 26.0 18.5 15.1 10.7

世話をしたことがない 755 82.9 34.3 28.2 29.4 28.7 18.5 13.8 14.2

男性 668 82.2 37.6 30.5 32.9 26.3 20.8 15.3 11.5

介護経験がある 202 82.7 38.6 33.7 35.1 23.8 19.3 17.8 9.4

  現在世話をしている 38 78.9 39.5 26.3 34.2 18.4 23.7 21.1 5.3

  過去に世話をしたことがある 165 83.0 38.8 35.8 35.8 25.5 18.2 17.6 10.3

世話をしたことがない 465 81.9 37.0 29.2 32.0 27.5 21.5 14.2 12.5

女性 553 83.5 26.8 27.1 23.3 28.9 16.5 13.7 14.1

介護経験がある 262 82.4 23.3 27.5 21.0 27.1 19.1 14.1 11.1

  現在世話をしている 48 85.4 27.1 20.8 33.3 29.2 22.9 18.8 10.4

  過去に世話をしたことがある 219 81.7 22.4 28.8 18.7 26.5 18.7 13.2 11.0

世話をしたことがない 290 84.5 30.0 26.6 25.2 30.7 13.8 13.1 16.9

(注1)自分自身が「現在の住まいで介護を受けたい」と答えた人に聞いている(複数回答)。 (注2)2003年調査では、「住みなれた自宅で生活を続けたいから」となっている。 (注3)2003年調査では、「施設に入るだけの金銭的余裕がないから」となっている。 (注4)2003年調査では、「福祉施設を利用することに抵抗を感じるから」となっている。 (注5)2003年調査では、「仮に、あなたが老後に寝たきりや痴呆になり、介護が必要となった場合に、ど

こで介護を受けたいと思うか」について、「可能な限り自宅で介護を受けたい」と答えた人に、

「それはなぜですか。この中からいくつでもあげてください。」と聞いている。 (注6)「介護経験有無」は複数回答であり、「現在世話している」、「過去に世話をしたことがある」の両

方を答えたものがいるため、「現在世話をしている」、「過去に世話をしたことがある」の該当者数

の合計と「介護経験がある」の該当者数は一致しない。「その他」「わからない」は該当者なしま

たは少数のため除いた。

資料: 内閣府大臣官房政府広報室「高齢者介護に関する世論調査」(2003),内閣府大臣官房政府広報室「介護保険制度に関する世論調査」(2010)より作成。

Page 11: 高齢者介護意識に関する一考察socio.sakura.ne.jp/pdf/175an.pdf33 高齢者介護意識に関する一考察 発展と家族機能を保つことの両立は困難であるとし、介護の外的資源とし

41

高齢者介護意識に関する一考察

かった。「経済的余裕無し」については、男女ともに介護経験がない層で

割合が高くなっていることがわかった。

次節では、どのような介護を自宅で受けたいと考えているのか、その内

容についてみていく。

3.3.2 自宅で受けたい介護形態

ここでは、2010年調査を用いて、自分自身が「自宅で介護を受けたい」

と答えた層を対象に「どのような形の介護を受けたいか」その内容につい

て分析していく。その結果を示すと、「家族の介護を中心に,ホームヘル

パーなどの外部の介護も利用したい(以下、家族+外部)」とする割合が

半数で最も多く、「ホームヘルパーなどの外部の介護を中心に,家族によ

る介護も受けたい(以下、外部+家族)」、「家族だけに介護されたい(以

下、家族のみ)」、「ホームヘルパーなどの外部の介護だけを受けたい」の

順となっている。

つぎに、介護経験有無別にみると、「家族のみ」と答えた人では介護経

験がある層より介護経験がない層で高くなっているが、「家族+外部」と

「外部+家族」では介護経験による差はみられなかった。

これを、性別にみると、「家族のみ」、「家族+外部」とする割合は男性

で高く、「外部+家族」では女性で高くなっている。

また、性・介護経験有無別でみると、「家族のみ」とした人の割合は、

男性では介護経験がない層で高くなっており、女性では介護経験がある層

で若干高いがあまり差はない。「家族+外部」とした人の割合は、男性で

は介護経験がある層で高くなっているが、女性は介護経験がない人で高く

なっている。「外部+家族」とした人の割合は、男性女性ともに介護経験

の有無であまり差がない。(表3.4参照)。

この結果をみると、家族の介護を中心にしながら外部のサービスも利用

したいとしている人が最も多く、男性では、介護経験のある層で高く、女

性では介護経験がない層で高くなっており対照的である。外部資源を中心

にしながら家族介護も希望している人の割合は男性より女性で高かった

が、男性・女性ともに介護経験の有無による差はあまりみられなかった。

また家族だけで介護されたいと希望する人は女性より男性で高く、女性で

は介護経験有無による差はあまりみられなかったが、男性では介護経験が

ない層で高くなっていることがわかった。

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42

3.3.3 施設で介護を受けたい理由

施設での介護については、「介護付きの有料老人ホームや高齢者住宅に

住み替えて介護を受けたい」、「特別養護老人ホームや老人保健施設などの

介護保険施設に入所して介護を受けたい」、「病院に入院して介護を受けた

い」と答えた人に、その理由を聞いたところ、2003年、2010年調査とも

に、「家族に迷惑をかけたくないから(以下、家族への迷惑)」(約 8割弱)

を挙げた人の割合が圧倒的に多く、2003年調査の 2番目の理由は「専門的

な介護が受けられるから(以下、専門的介護)」であり、「家族は仕事をし

ているなど、介護の時間が十分にとれないから(以下、介護時間不十

表3.4 自宅希望者の希望介護形態 (単位:人、%)

区分 総数家族だけに介護されたい

家族の介護を中心に、ホームヘルパーなどの外部の介護も利用したい

ホームヘルパーなどの外部の介護を中心に、家族による介護も受けたい

ホームヘルパーなどの外部の介護だけを受けたい

その他わからない

2010年 1221 20.2 50.0 23.8 3.5 0.2 2.1

介護経験がある 464 17.7 50.0 24.6 4.7 0.4 2.6

  現在世話をしている 86 19.8 54.7 16.3 7.0 - 2.3

  過去に世話をしたことがある 384 17.4 48.7 26.6 4.2 0.5 2.6

世話をしたことがない 755 21.9 49.9 23.4 2.8 0.1 1.9

男性 668 23.5 51.8 18.7 3.7 0.1 2.1

介護経験がある 202 17.8 55.4 17.3 6.4 0.5 2.5

  現在世話をしている 38 18.4 63.2 7.9 7.9 - 2.6

  過去に世話をしたことがある 165 17.6 53.9 19.4 6.1 0.6 2.4

世話をしたことがない 465 26.0 50.1 19.42 .6 - 1.9

女性 553 16.3 47.9 30.0 3.3 0.4 2.2

介護経験がある 262 17.6 45.8 30.2 3.4 0.4 2.7

  現在世話をしている 48 20.8 47.9 22.9 6.3 - 2.1

  過去に世話をしたことがある 219 17.4 44.7 32.0 2.7 0.5 2.7

世話をしたことがない 290 15.2 49.7 30.0 3.1 0.3 1.7

(注1)自分自身が「現在の住まいで介護を受けたい」と答えた人に聞いている。 (注2)「介護経験有無」は複数回答であり、「現在世話している」、「過去に世話をしたことがある」の両方

を答えたものがいるため、「現在世話をしている」、「過去に世話をしたことがある」の該当者数の

合計と「介護経験がある」の該当者数は一致しない。「その他」「わからない」は該当者なしまたは

少数のため除いた。

資料:内閣府大臣官房政府広報室「介護保険制度に関する世論調査」(2010)より作成。

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43

高齢者介護意識に関する一考察

分)」、「緊急時の対応の面で安心だから(以下、緊急時安心)」の順になっ

ている。これを、2010年調査でみると、「専門的介護」、「緊急時安心」、

「介護時間不十分」、「介護のための部屋がないなど住宅面に問題(以下、

住宅問題)」の順になっている(20%以上、複数回答)。なお、2003年調

査と2010年調査を比較すると、「専門的介護」、「緊急時安心」を挙げた人

の割合が大幅に上昇している。

さらに、2010年の調査で、より具体的な内容みると、介護経験有無別で

は、「家族への迷惑」、「住宅問題」の割合には差がなく、「専門的介護」、

「緊急時安心」では、介護経験がない層で若干高くなっている。「介護時間

不十分」とする人では、介護経験がある層で高く、介護時期からみると

「過去介護」層で高くなっている。

つぎに性別にみると、「家族への迷惑」、「緊急時安心」、「介護時間不十

分」、「住宅問題」と答えた人の割合は男性より女性で高くなっている。

また、性・介護経験有無別でみると、「家族への迷惑」とした人の割合

は、男性では介護経験がない層で、女性では経験がある層で若干高く、

「専門的介護」とした人の割合では、男性では経験がない層で高く、女性

では介護経験の有無ではあまり差がないが、介護時期別にみると「過去介

護」層より「現在介護」層で高くなっている。「緊急時安心」では、男女

ともにあまり差がない。「介護時間不十分」では、男性で介護経験がある

層で高く、「住宅問題」では、男性も女性も介護経験有無ではあまり差が

ない(表3.5参照)。

これらの結果をみると、施設で介護を受けたい理由は、家族に迷惑をか

けたくないためとしている人が最も多く、ほぼ80%を占めており、女性

では、介護経験がある層で若干高いが男性では介護経験がない層で高く

なっている。2010年調査では専門的な介護が受けられるからとしている人

と緊急時の対応の面で安心だからとしている人が大幅に増加しており、専

門的な介護が受けられるからとしている人では、男性は介護経験がない層

で高く、女性は現在介護している層で高いことも明らかになった。

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44

4.介護保険制度に関する評価―介護経験との関連で

最後に、「介護保険制に関する世論調査(2010)」を用いて、介護保険制

度導入に関する評価と介護経験の有無の関連を考察することにした。

表3.5 施設で介護を受けたい理由 (単位:人、%)

区分 総数

家族に迷惑をかけたくないから

専門的な介護が受けられるから

緊急時の対応の面で安心だから

家族は仕事をしているなど、介護の時間が十分にとれないから

介護のための部屋がないなど住宅面に問題

家族は高齢など、十分な介護ができないから

住まいで受けられる 介 護サービスが不十分だから

家族がいないから

2003年 1511 77.1 35.9 24.4 25.9 14.3 10.4 9.9 10.12010年 1899 76.7 47.1 39.4 29.5 20.2 14.8 12.0 9.4

介護経験がある 688 76.9 45.9 38.2 31.5 19.5 16.1 14.1 11.0  現在世話をしている 172 79.7 48.3 37.8 27.3 19.2 12.8 18.0 9.3  過去に世話をしたことがある 530 75.8 45.8 39.4 33.2 20.0 16.8 13.4 11.7世話をしたことがない 1207 76.6 47.7 40.0 28.4 20.5 14.2 10.9 8.4

男性 757 72.8 46.8 37.8 24.2 18.9 18.1 9.9 10.4

介護経験がある 205 68.3 43.9 37.1 26.3 19.0 21.0 11.7 14.6  現在世話をしている 47 72.3 38.3 36.2 14.9 27.7 12.8 8.5 14.9  過去に世話をしたことがある 162 66.7 45.7 38.9 29.6 17.9 22.8 12.3 14.2世話をしたことがない 550 74.4 47.8 38.0 23.5 18.9 17.1 9.3 8.9

女性 1142 79.3 47.3 40.5 33.1 21.0 12.7 13.4 8.7

介護経験がある 483 80.5 46.8 38.7 33.7 19.7 14.1 15.1 9.5  現在世話をしている 125 82.4 52.0 38.4 32.0 16.0 12.8 21.6 7.2  過去に世話をしたことがある 368 79.9 45.9 39.7 34.8 20.9 14.1 13.9 10.6世話をしたことがない 657 78.5 47.6 41.7 32.6 21.9 11.7 12.2 7.9

(注1)自分自身が「介護付きの有料老人ホームや高齢者住宅に住み替えて介護を受けたい」、「特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護保険施設に入所して介護を受けたい」、「病院に入院して介

護を受けたい」と答えた人に尋ねている(複数回答)。

(注2)2003年調査では、「自宅で受けられる介護サービスが不十分だから」となっている。(注3)2003年調査では、「仮に、あなたが老後に寝たきりや痴呆になり、介護が必要となった場合に、ど

こで介護を受けたいと思うか」について、「特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護保険施

設に入所したい」、「介護付きの有料老人ホームや痴呆性高齢者グループホーム(痴呆の高齢者が

共同生活を営む住居)などに住み替えて介護を受けたい」と答えた者に、「それはなぜですか。こ

の中からいくつでもあげてください。」と尋ねている。

(注4)「介護経験有無」は複数回答であり、「現在世話している」、「過去に世話をしたことがある」の両方を答えたものがいるため、「現在世話をしている」、「過去に世話をしたことがある」の該当者数

の合計と「介護経験がある」の該当者数は一致しない。「その他」「わからない」は該当者なしま

たは少数のため除いた。

資料: 内閣府大臣官房政府広報室「高齢者介護に関する世論調査」(2003),内閣府大臣官房政府広報室「介護保険制度に関する世論調査」(2010)より作成。

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45

高齢者介護意識に関する一考察

まず、「介護保険制度が創設されて10年が経過したが、介護保険制度が

始まったことにより、介護の状況は良くなったと思うか」について尋ねた

結果をみると、「良くなった(「良くなったと思う」+「どちらかといえば

良くなったと思う」)」とする人が半数で最も多く、「良くなったと思わな

い(「どちらかといえば良くなったとは思わない」+「良くなったとは思

わない」)」、「わからない」、「どちらとも言えない」の順になっている。

これを、介護経験有無別にみると、「良くなった」と答えた人では、介

護経験がある層で高くなっており、介護時期でみる現在介護をしている層

で高くなっている。「良くなったと思わない」では、介護経験がない層で

高くなっている。また、性別にみると、あまり差はみられなかった。

性・介護経験有無別にみると、「良くなった」では、男性女性ともに介

護経験がある層で高くなっており、介護時期でみると、女性の「現在介

護」層で高くなっている。「良くなったと思わない」とする人は、男女と

もに介護経験がない層で高くなっている(表4.1参照)。

つぎに、介護の状況が「良くなった」とする人に、「良くなったと思わ

れることは何か」について尋ねた。その結果を示すと、「家族の負担が軽

くなった(以下、家族負担軽減)」とする人が約 5割を超えており最も高

く、2番目が「介護サービスを選択しやすくなった(以下、介護サービス

選択容易)」とする人で、さらに「家族に介護が必要となった場合でも働

き続けることができるようになった(以下、就労継続可能)」、「介護サー

ビスの質が良くなった(以下、介護サービス質向上)」、「介護が必要と

なっても現在住まいで生活が続けられるようになった(以下、自宅での生

活継続可能)」、「介護サービス選択容易」の順になっている(30%以上、

複数回答)

これを介護経験有無別にみると、「家族負担軽減」、「就労継続可能」

は、介護経験がある層で高くなっており、「介護サービス選択容易」では

介護経験がない層で高くなっている。

性別でみると、「家族負担軽減」、「介護サービス選択容易」、「就労継続

可能」、「自宅での生活継続可能」では、男性より女性で高く、「介護サー

ビス質向上」は、女性より男性で高くなっている。

また、性・介護経験有無別でみると、「家族負担軽減」では男性女性と

もに介護経験がある層で高く、介護経験の有無による差が大きい。「介護

サービス選択容易」では、男性女性ともに介護経験がない層で高くなって

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46

おり、「就労継続可能」では、男性では差がみられないが、女性では介護

経験がある人で高くなっている。「介護サービス質向上」では、男性は介

護経験有無ではあまり差が見られないが、女性では介護経験がある層で高

くなっている。「自宅での生活継続可能」では、男性では介護経験がある

層で高く、女性では介護経験がない層で高くなっている。「介護サービス

事業者を選択しやすくなった」では、男性ではあまり差がないが、女性で

は介護経験がある層で高くなっている。

さらに、介護の状況が「良くなったと思わない(「どちらかといえば良

くなったとは思わない」+「良くなったとは思わない」)」と答えた人

に、「良くなったとは思わないことは何か」について尋ねた。その結果、

表4.1 制度導入による効果 (単位:人、%)

区分 総数 良くなった良くなったと思わない

どちらともいえない

わからない

2010年 3272 51.3 28.8 6.8 13.2

介護経験がある 1205 56.1 26.4 6.9 10.6

  現在世話をしている 266 62.8 27.4 5.3 4.5

  過去に世話をしたことがある 959 54.6 25.9 7.2 12.3

世話をしたことがない 2060 48.4 30.2 6.7 14.6

男性 1493 50.6 30.1 5.9 13.4

介護経験がある 424 54.7 28.8 4.7 11.8

  現在世話をしている 90 57.8 30.0 6.7 5.6

  過去に世話をしたことがある 339 54.0 28.3 4.1 13.6

世話をしたことがない 1066 49.0 30.6 6.4 14.1

女性 1779 51.8 27.7 7.5 13.0

介護経験がある 781 56.9 25.1 8.1 10.0

  現在世話をしている 176 65.3 26.1 4.5 4.0

  過去に世話をしたことがある 620 55.0 24.5 8.9 11.6

世話をしたことがない 994 47.9 29.9 7.0 15.2

(注1)「良くなった」は、「良くなったと思う」、「どちらかといえば良くなったと思う」と答えた人、「良くなったと思わない」は、「どちらかといえば良くなったとは思わない」、「良くなったとは思わな

い」と答えた人をそれぞれ合わせたものである。

(注2)「介護経験有無」は複数回答であり、「現在世話している」、「過去に世話をしたことがある」の両方を答えたものがいるため、「現在世話をしている」、「過去に世話をしたことがある」の該当者数の

合計と「介護経験がある」の該当者数は一致しない。「その他」「わからない」は該当者なしまたは

少数のため除いた。

資料:内閣府大臣官房政府広報室「介護保険制度に関する世論調査」(2010)より作成。

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47

高齢者介護意識に関する一考察

「利用料などの経済的な負担が減っていない(以下、経済的負担軽減なら

ず)」と答えた人は約5割を超えており最も高く、「家族の負担が軽くなっ

ていない(以下、家族負担軽減ならず)」、「家族に介護が必要となった場

合でも働き続けることができるようになっていない(以下、就労継続なら

ず)」の順になっている。

これを介護経験有無別にみると、「経済的負担軽減ならず」と答えた人

は、介護経験がない層で高く、「家族負担軽減ならず」は、介護経験によ

る差はあまりみられなかった。「就労継続ならず」は、介護経験がある層

で若干高かった。

性別でみると、「経済的負担軽減ならず」、「家族負担軽減ならず」、「就

労継続ならず」と答えた人は、すべて女性が男性より高くなっている。

また、性・介護経験有無別でみると、「経済的負担軽減ならず」は、男

女ともに介護経験がない層で高く、「家族負担軽減ならず」と「就労継続

ならず」では、男性女性ともに介護経験の有無による差はあまりみられな

かった(表4.2参照)。

これらの結果をみると、介護保険制度の導入の効果について、「良く

なった」としている人は、男性女性ともに 5割となっており、男性女性と

も介護経験がある層で高かったが、「良くなったとは思わない」としてい

る人は、男性女性ともに約 3割となっており、男性女性ともに介護経験が

ない層で高かった。介護経験のある人は、介護保険制度の導入を評価して

いるが、介護経験のない人の評価は低い。そして、良くなった点の中で、

特に家族負担の軽減に関しては介護経験の有無による差が大きい。また、

良くなっていない点で利用料などの経済的負担が減っていないとしている

人は介護経験がない層で高く、特に女性は介護経験の有無による差が大き

いことが明らかになった。

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48

5.結びにかえて

本稿では、高齢者介護に関する介護意識の問題を高齢者介護の意識、自

分が介護を受けたい場所、自宅介護、施設介護の側面について性別・介護

経験の有無を分析指標にして検討してきた。その結果、「子どもが親の介

護をするのは当たり前」とする考え方は、介護保険制度の導入後減少して

いるが比較的高い割合を占めており、女性より男性で高く、男性は介護経

験がある層で若干高くなっている。そして「子どもだからといって、必ず

しも自ら親の介護をする必要はない」とするものは介護保険導入後増加傾

表4.2 制度導入により良くなった点と良くなっていない点(単位:人、%)

区分 総数

良くなった点 良くなっていない点

家族の負担が軽くなった

介護サービスを選択しやすくなった

家族に介護が 必 要 となった場合でも働き続けることができるようになった

介護サービスの質が良くなった

介護が必要となっても現在の住まいで生活が続けられるようになった

介護サービス事業者を選択しやすくなった

利用料などの経済的な負担が減っていない

家族の負担が軽くなっていない

働き続けることができるようになっていない

2010年 1678 54.8 50.2 33.8 33.4 32.5 32.4 53.7 44.3 40.4

介護経験がある 676 62.9 47.0 37.0 34.9 33.4 34.0 49.4 45.0 42.8  現在世話をしている 167 63.5 53.3 35.3 37.1 31.7 38.3 46.6 43.8 37.0  過去に世話をしたことがある 524 63.2 45.2 37.4 34.5 34.4 32.3 50.4 45.2 44.4世話をしたことがない 998 49.4 52.4 31.9 32.3 32.1 31.3 56.0 43.8 39.3

男性 756 50.7 46.3 30.8 35.6 28.3 31.9 51.4 41.9 32.7

介護経験がある 232 59.5 38.8 32.3 35.3 33.6 29.7 49.2 41.8 33.6  現在世話をしている 52 65.4 36.5 28.8 30.8 26.9 28.8 51.9 40.7 18.5  過去に世話をしたことがある 183 58.5 39.9 33.9 36.6 35.5 29.5 49.0 42.7 38.5世話をしたことがない 522 46.7 49.4 30.3 35.6 26.1 32.8 52.5 41.7 32.5

女性 922 58.2 53.5 36.3 31.6 36.0 32.9 55.8 46.5 47.5

介護経験がある 444 64.6 51.4 39.4 34.7 33.3 36.3 49.5 46.9 48.5  現在世話をしている 115 62.6 60.9 38.3 40.0 33.9 42.6 43.5 45.7 47.8  過去に世話をしたことがある 341 65.7 48.1 39.3 33.4 33.7 33.7 51.3 46.7 48.0世話をしたことがない 476 52.3 55.7 33.6 28.6 38.7 29.6 59.9 46.1 46.8

(注1)「良くなった点」は、「良くなったと思う」、「どちらかといえば良くなったと思う」と答えた人、「良くなっていない点」は、「どちらかといえば良くなったとは思わない」、「良くなったとは思わ

ない」と答えた人に聞いている。複数回答、30%未満省略。(注2)「介護経験有無」は複数回答であり、「現在世話している」、「過去に世話をしたことがある」の両

方を答えたものがいるため、「現在世話をしている」、「過去に世話をしたことがある」の該当者数

の合計と「介護経験がある」の該当者数は一致しない。「その他」「わからない」は該当者なしま

たは少数のため除いた。

資料:内閣府大臣官房政府広報室「介護保険制度に関する世論調査」(2010)より作成。

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高齢者介護意識に関する一考察

向にあり無視できない考え方であることも明らかになった。このような調

査結果を踏まえて、自分が介護を受けたい場所を尋ねてみると、「自宅」

とするものは減少傾向にあり、介護付き有料老人ホームや介護保険施設・

病院等の「施設」を希望する者は増加傾向にある。女性より男性で施設希

望者が多く、男性女性ともに「自宅」は介護経験がある層で、「施設」は

介護経験がない層で高くなっている。そこで、前者の「自宅」について、

その介護形態を尋ねてみたところ、「家族」や「家族+外部サービス」が

約 7割で女性より男性で高く、男性と女性の介護経験有無別で対照的な傾

向を示している。そして、後者の「施設」を希望する理由は、「家族に迷

惑をかけたくないから」が 7割であり、男性より女性で高く、男性では介

護経験の有無による差がみられたが、女性では介護経験による差はあまり

みられなかった。

この結果をみると、日本における高齢者介護意識は、これまで「家族介

護」が中心であるとされてきたが、今日では「家族介護」と「介護の社会

化」とが共存することを好ましいとする意識変化が生じてきていると言え

よう。それでは、こうした意識変化は、どうして生じたのであろうか。こ

こでは、その要因を介護保険制度が寄与しているとの考え方に基づいて、

介護保険制度に対する評価(効果、良くなった点)について考察した。そ

の結果、「良くなった」と評価するものが 5割、「良くなっていない」は約

3割であり、「良くなった」と評価している人は、男性女性ともに介護経

験がある層で高く、とくに女性のほうで介護経験の有無による差が大き

い。制度導入により良くなった点については、「家族の負担軽減」と「介

護サービス選択の容易さ」が 5割程度占めており、家族の介護負担軽減に

ついては男性より女性で高く、男女ともに介護経験がある層で高いが、女

性より男性で介護経験による差が大きい。

このような調査結果を総合すると、日本における高齢者介護に関する意

識は、「家族介護」と「介護の社会化」が共存する状況にあり、このよう

な状況をもたらした動因として介護保険制度の導入が寄与したと考えられ

る。そして、その介護保険制度について介護経験がない人より介護経験が

ある人が評価をしており介護経験による差がみられることや、自分自身が

介護を受けたい場所でも介護経験による差がみられるのは、「家族介護」

と「介護の社会化」が共存する状況または共存する形に介護経験が影響を

していると言える。ということは、高齢者介護意識を検討する際に介護経

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験の有無は重要な指標になると言えるのではなかろうか。こちらに関して

は今後継続して検討する必要がある。

ここでの課題は、介護経験の有無が介護意識のあり方を規定するとの仮

定に基づいて分析を進めてきたが、本稿では、十分な分析を行うまでに至

らなかった。また、ここでの分析は、高齢者介護の意識を対象にしたもの

である。したがって、高齢者介護の実態と意識とに乖離があるか否かにつ

いては言及していない。これらの点については、今後の検討課題とした

い。

1) 国民生活基礎調査の介護票の調査対象は、社会福祉施設(介護保険施設を

含む)の入所者、長期入院者等は除外されているため、介護保険法の要支援

または要介護の認定者のうち、在宅のもののみを対象としている。

2) 国民生活基礎調査の介護票の調査は、6月に実施するため、5月中の利用状

況である。

3) 厚生労働省によると、2010 年の 1ヶ月平均サービス受給者数(3月から2月

サービス分の平均)は、413 万人となっており、サービス種類別利用をみる

と、約73%が居宅サービスを、約 6%が地域密着型サービス、約20%が施設

サービスを利用している(厚生労働省 2012)。

文 献

上野千鶴子,2011,『ケアの社会学 当事者主権の福祉社会学へ』太田出版.

厚生労働省,2011,「平成22年国民生活基礎調査の概況」(2012年8月,http://

www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/index.html).

― ,2012,「平成22年度介護保険事業状況報告(年報)」(2012年8月,

http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/10/index.html).

下山昭夫,2000,「第9章高齢者の扶養と介護の社会化」染谷俶子編『老いと家

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内閣総理大臣官房広報室(総理府),「高齢者介護に関する世論調査(1995年9月

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内閣府大臣官房政府広報室,「高齢者介護に関する世論調査(2003年7月調査)」

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高齢者介護意識に関する一考察

世論調査報告書.

― ,「介護保険制度に関する世論調査(2010年9月調査)」世論調査報告

書.

中野いずみ,2011,「『介護の社会化』と介護保険制度~家族介護に焦点をあて

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那須宗一・湯沢雍彦編,1973,『老人扶養の研究』垣内出版.

太湯好子・實金栄・桐野匡史・竹田恵子・高井研一・中嶋和夫,2010,「家族凝

集性と老親扶養意識が介護の社会化意識に与える影響:東アジア圏域の日

本と中国東北地域の比較」日本保健科学学会『日本保健科学学会誌』13

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森岡清美,1983,「老親の扶養」森岡清美・望月嵩『新しい家族社会学』培風

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大和礼子,2008,「介護する意識とされる意識―男女差が大きいのはどちらの意

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