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軽量角形鋼管による耐震天井構造の開発に関する研究-あと施工アンカーの引張試験による耐力特性の把握-
建築材料研究室
12109200042
下田純平
はじめに
・なぜ耐震天井構造を考えるか地震等の災害が多い日本で、非構造材の被害は繰り返し報告されている。また、平時の深刻な天井落下事故も多数発生している。天井材の落下は人的被害の危険性が高いため、その耐震性能を十分に把握することが重要である。
2011年東日本大震災による体育館の天井落下
・実験概要今回はコンクリートスラブにブレース(斜め材)を吊り下げるために必要なアンカーのそれぞれの耐力特性を把握するために斜め(角度45°)方向と垂直方向で引張試験 を行う。
また、先施工のインサートアンカーとの比較をするためにインサートアンカーにも同様の試験を行う。
あと施工アンカーの引張試験
引っ張り実験試験治具
実験・実験概要
今回実験を行ったあと施工アンカーは施工難易度の高い接着系のアンカーを使用した。天井面で使用することを想定し、アンカーをコンクリートブロックに上向き施工する
あと施工アンカーの施工風景
① ② ③ ④
試験体 M16ボルト 施工法① 全ねじボルト② くさび形ボルト③ めねじショートアンカーボルト
④ インサートアンカーボルト先施工埋め込み
あと施工接着剤:有機無機複合材
使用部材
アンカー 接着剤
めねじボルト
斜め引張試験の結果の比較
試験体① 70.3kN 試験体③ 43.8kN試験体② 73.1kN 試験体④ 46.8kN
各試験体の破壊状態試験体①
全ねじボルトの破壊状態試験体②
くさび形ボルトの破壊状態
試験体③ショートアンカーの破壊状態
試験体④インサートアンカーの破壊状態
各試験体の破壊状態
垂直引張試験の結果の比較
試験体① 116.3kN 試験体② 118.6kN
各試験体の破壊状態試験体①
全ねじボルトの破壊状態試験体②
くさび形ボルトの破壊状態
あと施工アンカーボルトの衝撃加振実験
・概要アンカーに実験前と実験後に加速度センサーを取付けインパルスハンマーで叩き、振動数を計測し実験の前後で数値がどう変化したかをみる。
M16 ケミカルアンカー高感度耐衝撃性加速度センサー(NP-3130)周波数範囲:5 Hz~4 kHz
最大使用加速度:220 m/s2(22000 gal)耐衝撃性:100,000 m/s2
インパルスハンマ(GK-3100)測定範囲:2200N
衝撃加振力
穿孔長d(図面で確認)(不明の場合,別途調査)
計測機
電源(100V)
M16ボルト
M16高ナット
M5イモネジ ダブルナット
アンカーボルトの全長L
あと施工アンカーボルトの衝撃加振実験
・評価方法衝撃加振によって得られる加速度波形から推定される実測固有振動数fスペクトル解析による伝達関数(インパルスハンマによる入力衝撃力に対する加速度応答スペクトル比)より推定実測固有振動数fと理論固有振動数ftとを比較し,fがftより著しく小さい場合,「欠陥の可能性あり」と判断する。
ここでは、試験体①の全ネジボルトの斜め引張、垂直引張試験の前後で測定を行った。斜め引張試験を行ったものを試験体A垂直引張試験を行ったものを試験体Bとする。
あと施工アンカーボルトの衝撃加振実験45度方向加力試験
試験前
-1000
-500
0
500
1000
0 10 20 30 40 50
加速度
(m/s
2 )
時間(msec)
加速度時刻歴応答(10波形)
加速度波形の平均フーリエスペクトル(5波形の平均)
あと施工アンカーボルトの衝撃加振実験45度方向加力試験
試験後
-600
-400
-200
0
200
400
600
800
1000
0 10 20 30 40 50加速度
(m/s
2 )
時間(msec)
加速度時刻歴応答(10波形)
加速度波形の平均フーリエスペクトル(5波形の平均)
加速度時刻歴応答(10波形)
あと施工アンカーボルトの衝撃加振実験垂直方向加力試験
試験前
加速度時刻歴応答(10波形)
加速度波形の平均フーリエスペクトル(5波形の平均)
あと施工アンカーボルトの衝撃加振実験垂直方向加力試験
試験後
加速度波形の平均フーリエスペクトル(5波形の平均)
加速度時刻歴応答(10波形)
あと施工アンカーボルトの衝撃加振実験まとめ
表 1 各状態の固有振動数
試験体Aの振動特性
3.40kHz
試験体Bの振動特性
まとめ
今回、コンクリートスラブの天井面で使用されるあと施工アンカーボルトに着目し、引張試験と衝撃加振実験を行った。
その結果、引張におけるあと施工アンカーボルトの耐力特性、あと施工アンカーの衝撃加振実験(非破壊検査)における維持・保全について検討することができた。
斜め引張における特性、非破壊検査による維持・保全のためのデータの定量化等、今後の吊り天井において活かされる結果であると考えられる。