貸金業務の適切性の確保について...東京都 更新時研修会 平成28 年11 月...

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東京都 更新時研修会 平成 28 11 森・濱田松本法律事務所 パートナー・弁護士 小田 大輔 貸金業務の適切性の確保について

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Page 1: 貸金業務の適切性の確保について...東京都 更新時研修会 平成28 年11 月 森・濱田松本法律事務所 パートナー・弁護士 小田 大輔 貸金業務の適切性の確保について--

東京都 更新時研修会

平成 28 年 11 月

森・濱田松本法律事務所

パートナー・弁護士 小田 大輔

貸金業務の適切性の確保について

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目次

I. 貸金業法のキーワード

II. 反社の排除、マネー・ローンダリング等の防止

III. 顧客等に関する情報の管理

IV. その他の主な行為規制等

V. 媒介業務

VI. グループ内貸付等

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I 貸金業法のキーワード

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業務の適切性・適正性の確保

改正貸金業法(平成 22 年完全施行)の柱

①貸金業の適正化、②過剰貸付けの抑制、③金利体系の適正化、④ヤミ金融対策の強化

貸金業者は、内閣府令で定めるところにより、その貸金業の業務に関して取得した資金需要者等に関する情報の適正な取扱い、その貸金業の業務を第三者に委託する場合における当該業務の的確な遂行その他の貸金業の業務の適切な運営を確保するための措置を講じなければならない。(貸金業法 12条の 2) 改正で新設

1.業務の適切な運営

2.顧客等に関する情報の管理

3.外部委託先管理

4.その他

○ 反社会的勢力の排除

○ 顧客(資金需要者、債務者)の保護 など

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II 反社排除、マネー・ローンダリング等の防止

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対応のあり方

社内規程の策定が大前提

グレー先への対応 ブラックの家族への与信も NG ←“財布が一つか否か”

反社と判明後の事後対応

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反社排除の問題事例

○総務部門が、反社会的勢力と判断した取引先との関係解消に係る意思決定に関与することとしていない事例

コンプライアンス統括部門担当役員は、「コンプライアンス・マニュアル」を策定し、同部門に役職員へ

の研修を実施させることで、コンプライアンスの浸透を図ることとしている。また、総務部門を反社会的勢

力に対応する主管部署として、不当要求への対応を行わせることとしている。

しかしながら、反社会的勢力と判断した取引先との関係解消に係る意思決定は、営業部門任せになってお

り、総務部門が関与することとしていない。

こうした中、営業店において、反社会的勢力と自ら判断した取引先の契約更新(一部繰上償還の上、期日

延長)を行っている事例が認められる。

○コンプライアンス統括部門が、反社会的勢力と判明した既存取引先について、貸付を停止するための方策を

検討せず、また、実際にも貸付停止の措置を講じていない事例

取締役会は、「コンプライアンス・マニュアル」を策定し、コンプライアンス統括部門を反社会的勢力に

対応する主管部署としている。また、毎年度、「コンプライアンス・プログラム」を策定し、当該プログラ

ムにおいて、反社会的勢力との取引排除への取組強化とスクリーニングの徹底を掲げている。

しかしながら、同部門は、反社会的勢力と判明した既存取引先について、貸付を停止するための方策を検

討せず、また、実際にも貸付停止の措置を講じていない。

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マネー・ローンダリング等の防止~改正犯収法

平成 28 年 10 月 1 日施行

① 取引時確認 確認対象の拡大:「疑わしい取引」、同種取引と異なる態様(、分割取引) ハイリスク取引の拡大:外国 PEPs等 確認方法の厳格化:顔写真のない本人確認書類の取扱い、法人の「代表者等」(取引担当者)であることの確認方法

法人の実質的支配者:自然人まで遡る

② 疑わしい取引 届出要否の判断の際の確認項目・確認方法

③ 継続的顧客管理のための態勢整備 リスクベース・アプローチ : 犯罪収益移転危険度調査書

特定事業者作成書面

⇒ 改正法対応 : 社内規程・マニュアル・事務フロー等の改定、特にその後の周知徹底が必要

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検査結果事例~法令等遵守態勢

コンプライアンス統括部門が、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の改正に伴う対応につ

いて、「取引時確認等に関する事務取扱要領」の改正趣旨が営業店に理解されているか確認して

いない等の事例(H27/6)

【検査結果】

コンプライアンス統括部門は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の改正に伴う対応につ

いて、「取引時確認等に関する事務取扱要領」の改正などにより、特定取引に際しては本人特定事項

に加え取引の目的等の確認が必要となること等の周知を図ったとしているものの、要領改正趣旨が

営業店において理解され、定着しているか確認していないほか、監査部門による営業店監査でも検

証されていないことから、取引の目的等の確認が適切に行われていないものが認められる。

また、旧本人確認法施行前からの口座開設者※で本人確認の記録がない顧客に対しては、定期性

預金の取引発生時等に本人特定事項を確認することとしているが、確認が徹底されていないものが

認められる。

※「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律」の施行日(15 年 1 月 6 日)よりも前に口座開設が行われていた者を指

す。

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顧客管理を行う上で特別の注意を要する取引の新設、特定取引の追加

顧客管理を行う上で特別の注意を要する取引(改正犯収法施行規則 5 条) ア 疑わしい取引 イ 同種の取引の態様と著しく異なる態様で行われる取引(現金等受払取引、預金等払戻し、両替・旅

行小切手の販売・買取など) ※1 取引時確認済み顧客との取引であっても対象となる。 ※2 ア、イは、特定取引以外であっても対象となる。 ※3 アの「疑わしい取引」は、疑わしい取引の届出よりも狭い。事後に届出をしたからといって遡及

しない。 ※4 イの「著しく異なる態様」とは、疑わしい取引には至らないものが想定

《イの具体例》 資産や収入に見合っていると考られる取引ではあるものの、一般的な同種の取引と比較して高額な取

引 定期的に返済はなされているものの、予定外に一括して融資の返済が行われる取引

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外国 PEPs に対する措置の内容

〔出典:JAFIC「改正事

項に関する資料」〕

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写真なし証明書による本人特定事項の確認方法厳格化(自然人の対面取引の場合)

〔出典:JAFIC「改正事項に関する資料」〕

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自然人の本人確認書類(規7条1号)の種類と本人特定事項の確認方法(規6条1項1号)

〔出典:JAFIC「改正事項に関する資料」〕

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取引担当者への権限の委任の確認方法の厳格化

〔出典:JAFIC「改正事項に関する資料」〕

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取引時に確認する「実質的支配者」の確認方法

〔出典:JAFIC「改正事項に関する資料」〕

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III 顧客等に関する情報の管理

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信用情報の目的外利用の禁止

(目的外使用等の禁止) 第四十一条の三十八 加入貸金業者又はその役員若しくは職員は、…返済能力等調査以外の目的のために加入指定信用情報機関に信用情報の提供の依頼…をし、又は加入指定信用情報機関から提供を受けた信用情報を返済能力等調査以外の目的に使用し、若しくは第三者に提供してはならない。

2 加入貸金業者又はその役員若しくは職員は、加入指定信用情報機関から提供を受けた信用情報について、これらの者に該当しなくなつた後において、当該信用情報を使用し、又は第三者に提供してはならない。 ※返済能力等調査とは ① 貸金業者の顧客である資金需要者等の借入金の返済能力その他の金銭債務の弁済能力の調査 ② ①のほか、貸金業者が締結する保証契約に係る主たる債務者の借入金の返済能力その他の金銭債務の弁済能力の調査

信用情報に関する機関(資金需要者の借入金返済能力に関する情報の収集及び貸金業者に対する当該情報の提供を行うものをいう。)から提供を受けた情報であつて個人である資金需要者の借入金返済能力に関するものを、資金需要者の返済能力の調査以外の目的のために利用しないことを確保するための措置を講じなければならない。(貸金業法施行規則第 10条の 3)

指定信用情報機関から提供を受けた個人信用情報を使用する役職員が特定され、返済能力等調査に限定して使用する態勢が整備されているか。 (注)例えば、途上与信を行うために取得した信用情報を勧誘に二次利用した場合や信用情報を内部データベースに取り込み当該内部データベースを勧誘に利用した場合等(債権の保全を目的とした利用を含む。)であっても、返済能力の調査以外の目的による使用に該当することに留意する必要がある。(貸金業者向けの総合的な監督指針II-2-14(1)③ b)

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信用情報の目的外利用の禁止

■日本貸金業協会からの通達(平成 24 年 7 月 10 日)

ご高承のとおり、指定信用情報機関から収集した信用情報の目的外使用で貸金業者らが貸金業法違

反で検挙されております。このことを踏まえ、平成24年7月2日、警視庁から、東京都、(株)日本信用情報

機構、(株)シー・アイ・シー及び当協会に対し、信用情報の目的外使用の防止を図るための協力要請が

ありました。また、本件に関しては警察庁からも7月5日に同旨の要請があったほか、金融庁からも、本年4月に当協会が主催した貸金業界と金融庁の意見交換の場において、情報管理の徹底や信用情報の適正

な取扱いについて一層の留意を求める要請があったところです。

当協会としても、このような案件は、指定信用情報機関制度そのものを危うくしかねない重要な問題と

認識しております。

協会員の皆様におかれましては、警視庁及び警察庁並びに金融庁からの要請の趣旨をご理解賜り、目

的外使用の未然防止を図る観点から、社内態勢を整備する上で一層の安全管理措置を講じられるようお

願い申し上げます。

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顧客等情報管理の問題事例

○ 取締役会は、「顧客情報管理規程」等を策定し、顧客情報管理部門を顧客情報管理担当部署として、同部門に、役職員に対する

研修・指導を実施させることとしている。しかしながら、同部門は、機微情報等の取扱いに関して、研修・指導を徹底していない。

こうした中、顧客から取得した情報(運転免許証)に、臓器提供の意思確認に関する記載が含まれているにもかかわらず、黒塗

り等の措置を講じないまま保存している事例が認められる。

○ 顧客情報管理部門は、顧客情報の取扱いについて、「顧客情報管理規程」に基づき、コンピュータウィルス等による顧客情報の

漏えいを防ぐため、オペレーティングシステムに最新のセキュリティーパッチを適用することとしている。

しかしながら、同部門は、オペレーティングシステムの提供会社からのサポート期限を十分に確認していない。このため、オペレ

ーティングシステムのサポート期限が切れており、最新のセキュリティーパッチが適用されていない事例が認められる。

○ 貸金業の業務に関して取得した資金需要者等に関する情報の取扱いについて、取締役会は、「システム運用管理マニュアル」及

び「サーバ管理マニュアル」を策定し、同マニュアルにおいて、システム管理者等を定めている。また、同マニュアルにおいて、シ

ステム管理者等は、OS 及びソフトウェアの脆弱性や不具合の影響度を考慮し、必要に応じバージョンアップ等を行うこととしてい

る。 こうした中、システム管理者は、資金需要者等の情報に接続するクライアントパソコンに対するセキュリティ対策を行っていな

い。このため、サポート切れによりウイルス対策が講じられない OS を利用している事例が認められる。

○ 個人である資金需要者等に関する情報の安全管理措置について、当社は、「個人情報保護運用細則」に基づき、個人データの取

扱状況等を把握するため、「個人情報管理台帳」を作成し、個人データに追加・修正等の変更が生じた場合には速やかに同台帳を

見直すこととしている。

しかしながら、コンプライアンス統括部門は、同台帳の更新を行っておらず、同情報の安全管理措置は十分なものとなっていな

い。また、個人である資金需要者等に関する特別の非公開情報について、入会申込みに際し取得した住民票の写しの本籍地を黒

塗りしないまま保管している事例が認められる。

○ 管理部門は、加入している信用情報機関から提供を受けた個人信用情報に対する社内のアクセス権限について、人事異動によ

り担当外となった者のアクセス権限を解除していない。

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個人情報保護法改正(H28 春頃施行目標)の動向

〔出所:個人情報保護

委員会ウェブサイト〕

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IV その他の主な行為規制等

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貸金業務取扱主任者

営業所又は事業所毎に、主任者登録を受けた貸金業取扱主任者を選任し、その貸金業の業務の規模等を考慮して内閣府令で定める数の貸金業務取扱主任者を置かなければならない(法第 12条の 3第 1項)。 →内閣府令で定める数は、営業所等において貸金業の業務に従事する者の数に対する貸金業務取扱主任者の数の割合が 50 分の

1 以上となる数(規第 10 条の 8)

「予見し難い事由により」営業所又は事務所における貸金業務取扱主任者の必要数を下回ったときは、2週間以内に必要な措置を講じなければならない(法第 12条の 3第 3項)

[監督指針]

① 施行規則第 10 条の 7 第 1 号の「常時勤務する者」とは、営業時間内に営業所等に常時駐在する必要はないが、

単に所属する営業所等が 1 つに決まっていることだけでは足りず、社会通念に照らし、常時勤務していると認めら

れるだけの実態を必要とする(監督指針Ⅱ-2-8(2)①)。

→「2 週間を超える休暇等の場合は、同義務が履行されているとは言えない可能性が高いと考えられます。」

(監 PC3)

② 法第 12 条の 3 第 3 項に定める「予見し難い事由」とは、個別具体的に判断されるが、急な死亡や失踪など限定

的に解釈されるべきである。会社の都合や定年による退職など会社として予見できると思われるものは含まれな

い(監督指針 II-2-8(2)③)。

→「自己都合による退職については個別事情で判断」(監 PC7)

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営業所要件について

○「営業所又は事務所(営業所等)」とは

・ 貸金業者又はその代理人が一定の場所で貸付けに関する業務(略)の全部又は一部を継続して営む施設又

は設備(略)をいう。ただし、現金自動設備にあつては、営業所等(略)の同一敷地内(略)に設置されたものを

除く。(貸金業法施行規則 1 条の 5 第 3 項)

. 営業所等に個人情報の保管のための適切な設備、資金需要者等からの苦情対応及び帳簿の閲覧のための

場所等が確保されるなど、当該貸金業者の規模・特性等に応じて、貸金業の適正な業務運営を行うための必

要かつ十分な設備が整っているか。(監督指針 III-3-1(2)⑥ハ)

特に同一フロアーに他業種の事業者が同居する場合に注意

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証明書の携帯、従業員名簿の設置など

貸金業法 12 条の 4

1. 貸金業者は、内閣府令で定めるところにより、貸金業の業務に従事する使用人その他の従業者に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければ、その者をその業務に従事させてはならない。

2. 営業所又は事務所ごとに、従業者名簿を備え、従業者の氏名、住所、前項の証明書の番号その他内閣府令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

【監督指針 II-2-8】

従業者が従業者名簿の記載対象となるか否かについては、個別具体的な事実関係に即して判断することになるが、勧誘や契約の

締結を含む営業、審査、債権の管理・回収及びこれらに付随する事務に従事する者であれば雇用関係・雇用形態を問わず、該当す

ると考えられる一方、人事、総務、経理、システム管理等その業務遂行の影響が、通常、資金需要者等に及ばない業務に従事する者

は、原則として該当しないと考えられる。

→ 「従業者が従業者名簿の記載対象となるか否かについて、例えば、人事や総務の業務に主として従事する場合であっても、一

時的に勧誘や契約締結業務の補助を行う可能性がある場合は、業務遂行の影響が資金需要者等に及ぶおそれがあるとして、

従業者名簿の記載対象とすべき」(監 PC4)

→ 「①貸付けにかかる商品(おまとめローンや個人事業主向けの商品)を企画、開発する部門、②貸付けにかかる審査基準の策

定及び管理を行う部門、③内部監査部門、④法務部門」も一般に記載対象となる(監 PC5)。

【検査指摘】

・ 貸金業の業務に従事する使用人その他の従業者に、証明書の番号の記載がない証明書を携帯させて、業務に従事させている。

・ 営業所又は事務所ごとに備えている従業者名簿において、貸金業の業務に従事する一部の従業者に関する事項の記載を行っていな

い。

・ 営業所又は事務所ごとに備えている従業者名簿において、「貸付けの業務に 1 年以上従事した者に該当するか否かの別」の事項の記

載を行っていない。

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帳簿

① 帳簿の作成保存 貸金業者は、内閣府令で定めるところにより、その営業所又は事務所ごとに、その業務に関する帳簿を備え、債務者ごとに貸付けの契約について契約年月日、貸付けの金額、受領金額その他内閣府令で定める事項(注)を記載し、これを保存しなければならない(貸金業法第19条) 貸金業者は、法第 19条の帳簿を、貸付けの契約ごとに、当該契約に定められた最終の返済期日(当該契約に基づく債権が弁済その他の事由により消滅したときにあつては、当該債権の消滅した日)から少なくとも 10年間保存しなければならない。ただし、極度方式基本契約を締結した場合には、当該極度方式基本契約及び当該極度方式基本契約に基づくすべての極度方式貸付けに係る契約について、当該極度方式基本契約の解除の日又はこれらの契約に定められた最終の返済期日のうち最後のもの(これらの契約に基づく債権のすべてが弁済その他の事由により消滅したときにあつては、その消滅した日)のうちいずれか遅い日から少なくとも10年間保存しなければならない(貸金業法施行規則第 17条)

(注)貸付けの契約に基づく債権に関する債務者等その他の者との交渉の経過の記録

② 帳簿の閲覧謄写 債務者等又は債務者等であつた者その他内閣府令で定める者は、貸金業者に対し、内閣府令で定めるところにより、前条の帳簿(利害関係がある部分に限る)の閲覧又は謄写を請求することができる。この場合において、貸金業者は、当該請求が当該請求を行つた者の権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるときを除き、当該請求を拒むことができない(貸金業法第19条の 2) 貸金業者は、法第19条の規定に基づき、同条の帳簿をその営業所等ごとに備え置き、法第19条の2に規定するときを除くほか、その営業時間内に、請求者の請求に応じて閲覧又は謄写をさせなければならない(貸金業法施行規則第17条の3)

【貸金業法等に関するパブリックコメント(平成 19 年 11 月 2 日)】 (問)法第19条の2の閲覧又は謄写に応じる営業所又は事務所を、例えば契約を一括して行っているローンセンターなどに限定する取扱いは可

能か。 (答)法第19条の2の閲覧又は謄写に応じるべき場所は、法第19条により帳簿の備付け・保存義務が課せられている営業所又は事務所になりま

す。ご質問の「ローンセンター」が当該営業所又は事務所に該当するか否かは、取引の状況、債務者との合意内容等を踏まえ、個別に判断さ

れるべきものと考えます。閲覧又は謄写に応じる場所を当該営業所又は事務所以外の場所に限定した場合、閲覧又は謄写の請求を拒否し

たとされることになります。なお、請求者の求めにより、当該営業所又は事務所以外の営業所又は事務所において、貸金業者が任意に請求

に応じることは妨げられません。

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帳簿の問題事例

○ 営業店が、債務者との交渉経過の記録について、十分に点検を行っていない事例

取締役会は、法定帳簿の備付けについて、「貸付管理規程」を策定し、事務リスク管理部門を主管部署としてい

る。また、交渉経過の記録については、当該規程に基づき、営業店の担当者が端末により作成し、データベース

として保存した後、役席者が内容を点検する仕組みとしている。

しかしながら、営業店における債務者との交渉経過の記録についての点検は、十分に行われていない。

こうした中、営業店において、債務者との交渉経過を、帳簿に記録していない事例や、交渉の場所や手法の記

録が漏れている事例が認められる。また、入金督促に関する書面を FAX 送信しているにもかかわらず、書面の

内容を記録していない事例が認められる。

○ 帳簿の備付けに係る管理態勢について、取締役会は、「貸金業務規則」により統括責任部署を定め、同規則に

基づき、貸付けの契約に基づく債権に関する債務者等その他の者との交渉の経過の記録等の事項を記録・保存

することとしているほか、延滞者属性表及び延滞管理カードを債務者等との交渉経過を記録する帳簿として運用

している。

しかしながら、取締役会は、規程の整合性に対する確認等の指示を十分に行っていない。このため、「債権管

理・回収マニュアル」において「入金済の属性表は、破棄することができる」としており、「保存する」としている同規

則と整合性が図られていない。このため、1 ヶ月未満の延滞債務者(初期延滞債務者)等との交渉の経過につい

て、管理部門は、延滞管理カードは作成せず、延滞者属性表を作成しているものの、入金済みの同表は破棄する

運用としており、適切に記録・保存される態勢となっていない。

○ 管理部門は、帳簿の閲覧等の請求者に対する貸付けの契約に関する事項(取引履歴)の開示について、合理

的な理由なく相当期間遅延している。

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取立規制(法 21 条) 「人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。 」

一 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話

をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。

二 債務者等が弁済し、又は連絡し、若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において、その申出が社会通念に照らし相当

であると認められないことその他の正当な理由がないのに、前号に規定する内閣府令で定める時間帯以外の時間帯に、債務

者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。

三 正当な理由がないのに、債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所に電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ

装置を用いて送信し、又は債務者等の勤務先その他の居宅以外の場所を訪問すること。

四 債務者等の居宅又は勤務先その他の債務者等を訪問した場所において、債務者等から当該場所から退去すべき旨の意思を

示されたにもかかわらず、当該場所から退去しないこと。

五 はり紙、立看板その他何らの方法をもつてするを問わず、債務者の借入れに関する事実その他債務者等の私生活に関する

事実を債務者等以外の者に明らかにすること。

六 債務者等に対し、債務者等以外の者からの金銭の借入れその他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済

資金を調達することを要求すること。

七 債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することを要求すること。

八 債務者等以外の者が債務者等の居所又は連絡先を知らせることその他の債権の取立てに協力することを拒否している場

合において、更に債権の取立てに協力することを要求すること。

九 債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務の処理を…弁護士等に委託し、又はその処理のため必要な裁判所にお

ける民事事件に関する手続をとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があつた場合において、正当な理由が

ないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法に

より、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこ

れらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。

十 債務者等に対し、前各号(第六号を除く。)のいずれかに掲げる言動をすることを告げること。

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保証業務を実施する場合の貸金業法の適用

【監督指針に関するパブリックコメント(平成 22 年 6 月 15 日)】 (問) 貸金業法第 21 条の対象となる債権は「貸付けの契約に基づく債権」に限定されており、保証委託契約に基づく債権である求償

権には適用されないのではないか。 (答) 「貸付けの契約」は、法第2条第3項により「貸付けに係る契約又は当該契約に係る保証契約」と定義されております。貸金業者

以外の者が行った貸付けに係る契約について、貸金業者が保証業者として保証契約を当該貸金業者以外の者との間で締結した

場合、当該保証契約は、上記定義から貸金業法上の「貸付けの契約」に該当すると解釈することができ、貸金業者が保証履行によ

り取得する「求償権」は、「貸付けの契約に基づく債権」と解釈し得るものと考えられます。

【貸金業者が求償権を行使する際に適用のある貸金業法】

○貸金業法第 21 条第 1 項(取立て行為規制)、貸金業法第 21 条第 2 項(催告書面の記載事項)、貸金業法第 21 条第3 項(身分証等

を提示する義務)、貸金業法第 18 条(受取証書交付義務)、貸金業法第 22 条(債権証書の返還)

貸主

借主

①貸付

保証人

②保証

③弁済

④求償権

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届出

■ 開始等の届出義務(貸金業法 24 条の 6 の 2)

① 貸金業(貸金業の業務に関してする広告若しくは勧誘又は貸付けの契約に基づく債権の取立てに係る業務を含む)を開始し、

休止し、又は再開したとき ② 指定信用情報機関と信用情報提供契約を締結したとき、又は当該信用情報提供契約を終了したとき ③ 第 6 条第 1 項第 14 号(純資産額が貸金業の業務を適正に実施するため必要かつ適当なものとして政令で定める金額に満た

ない者)に該当するに至つたことを知つたとき ④ 前 3 号に掲げるもののほか、内閣府令で定める場合に該当するとき。

・法第 6 条第 1 項第 1 号、第 4 号から第 7 号まで又は第 13 号に該当することとなつた場合 ・貸金業者が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者である場合におけるその法定代理人(法定代理人が法

人である場合においては、その役員を含む)、役員又は重要な使用人が法第 6 条第 1 項第 1 号又は第 4 号から第 7 号までに

該当することとなつた事実を知つた場合 ・貸付けに係る契約に基づく債権を他人に譲渡した場合 ・役員又は使用人に貸金業の業務に関し法令に違反する行為又は貸金業の業務の適正な運営に支障を来す行為があつたこ

とを知つた場合 ・特定の保証業者との保証契約の締結を貸付けに係る契約の締結の通常の条件とすることとなつた場合 ・第三者に貸金業の業務の委託を行つた場合又は当該業務の委託を行わなくなつた場合 ・貸金業協会に加入又は脱退した場合

■ 問題事例

【貸金業法第 24 条の 6 の 2(開始等の届出)関係】

○取締役会は、貸付けの契約に基づく債権に関する債務者等との交渉の経過の記録について、虚偽記載及び記載漏れ等が行われ

ている行為を把握しているにもかかわらず、法第 24 条の 6 の 2 に定める届出を行っていない。

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不祥事件届出

届出対象 役員又は使用人に ① 貸金業の業務に関し法令に違反する行為があったこと ② 貸金業の業務の適正な運営に支障を来す行為があつたこと ②の例 貸金業の業務に関し、資金需要者等の利益を損なうおそれのある詐欺、横領、背任

等 貸金業の業務に関し、資金需要者等から告訴、告発され又は検挙された行為 その他貸金業の業務の適正な運営に支障を来す行為又はそのおそれのある行為で

あって、上記に掲げる行為に準ずるもの

届出期限 知った日から 2 週間以内

罰則等 当該役職員に対し 50 万円以下の罰金

検査・監督 不祥事件について適切かつ速やかに届出を行う態勢が整備されていない場合には、検査

において法令等遵守態勢に問題があると指摘されることや、その問題点が重大であるとき

は業務改善命令を受けることもある

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V 媒介業務

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融資の媒介に対する主な規制

1. 業務運営に関する措置(法 12 条の 2)

2. 指定紛争解決機関(金融 ADR)との契約締結義務等(法 12 条の 2 の 2)

3. 禁止行為(法 12 条の 6) ① 資金需要者等に対し、虚偽のことを告げ、又は貸付けの契約の内容のうち重要な事項を告げない行為 ② 資金需要者等に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤認させるおそれのあ

ることを告げる行為(次号に掲げる行為を除く。) ③ 保証人となろうとする者に対し、主たる債務者が弁済することが確実であると誤解させるおそれのあることを

告げる行為 ④ 前三号に掲げるもののほか、偽りその他不正又は著しく不当な行為

4. 媒介手数料の制限(法 12 条の 8)

5. 返済能力の調査(法 13 条)

6. 書面交付(法 16 条の 2、法 17 条)

7. 帳簿の備付け(法 19 条)

8. 届出(法 8 条、24 条の 6 の 2)

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媒介手数料の制限

貸金業法 12 条の 8 出資法 4 条 金銭の貸借の媒介を行つた貸金業者は、当該媒介に

より締結された貸付けに係る契約の債務者から当該

媒介の手数料を受領した場合において、当該契約に

つき更新(媒介のための新たな役務の提供を伴わな

いと認められる法律行為として内閣府令で定めるも

のを含む。)があつたときは、これに対する新たな手

数料を受領し、又はその支払を要求してはならない (10 項)

金銭の貸借の媒介を行う貸金業者がその媒介に関し

受ける金銭は、礼金、調査料その他いかなる名義を

もつてするかを問わず、手数料とみなして前項の規

定を適用する(11 項)

金銭の貸借の媒介を行う者は、その媒介に係る貸借

の金額の百分の五に相当する金額(当該貸借の期間

が一年未満であるものについては、当該貸借の金額

に、その期間の日数に応じ、年五パーセントの割合を

乗じて計算した金額)を超える手数料の契約をし、又

はこれを超える手数料を受領してはならない(1 項) 金銭の貸借の保証の媒介を行う者は、その媒介に係

る保証の保証料(保証の対価として主たる債務者が

保証人に支払う金銭をいう。以下同じ。)の金額の百

分の五に相当する金額(当該保証の期間が一年未満

であるものについては、当該保証料の金額に、その

期間の日数に応じ、年五パーセントの割合を乗じて

計算した金額)を超える手数料の契約をし、又はこれ

を超える手数料を受領してはならない(2 項) 金銭の貸借又はその保証の媒介を行う者がその媒

介に関し受ける金銭は、礼金、調査料その他いかな

る名義をもつてするかを問わず、手数料とみなして前

二項の規定を適用する(3 項)

◎ 名義の如何を問わない点に注意!

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VI グループ内貸付等

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グループ会社間貸付・共同出資者からの合弁会社への貸付

(改正前) ○親子会社間

議決権 50%超 → 登録不要

○兄弟会社間

親会社に議決権 100%を 保有されている 兄弟会社間 → 登録不要

(改正後)

親会社

子会社 子会社

孫会社 孫会社

議決権 40%以上 等

議決権 40%以上 等

企業グループ

金融庁作成(出典:金融法務事情 1992 号、27 頁)

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グループ会社間貸付・共同出資者からの合弁会社への貸付

(改正前) 合弁会社の議決権 50%ずつを保有する 2 社が株主間契約に 基づき、同時・同額・ 同条件で行う貸付に 限り → 登録不要

(改正後)

同意

共同出資会社

同意 同意 株 主 株 主

議決権 20%以上

議決権 20%以上

株 主 株 主

合弁会社

金融庁作成(出典:金融法務事情 1992 号、27 頁)

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グループ会社間貸付・共同出資者からの合弁会社への貸付

留意点

1. グループ会社間貸付

要件充足の基準時

2. 共同出資者からの合弁会社への貸付

「企業結合に関する会計基準」(平成 20 年 12 月 26 日企業会計基準委員会)

貸付を行う都度の同意がいるか

同意の対象

合弁会社から出資者への貸付には登録要

金融子会社等による貸付には登録要

3. 監督対応

廃業、不更新しない限り、登録業者の場合には、いずれにせよ各種規制に服する

廃業、不更新後適用除外貸付のみ行う場合は、報告徴求しない

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以上、ご静聴ありがとうございました

森・濱田松本法律事務所

パートナー・弁護士 小田 大輔

〒100-8222 東京都千代田区丸の内 2-6-1 丸の内パークビルディング tel.: 03-6266-8725(直通) fax.: 03-6266-8625

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