野草資源を活用する...40 29 採草による未利用草原の再生 実施主体...

8
38 活動報告(4)担当:野草資源小委員会 野草資源を活用する 野草の資源価値の見直しと循環利用の促進 ①野草資源の利用拡大のための仕組みづくり ②野草資源を活用した生産物の高付加価値化による野草利用の拡大 全体的な評価 今回提出された 32 件の活動結果報告のうち野草 資源に関連する活動は5件、そのうち野草資源小委 員会が主担当の活動は2件でした。 奨励賞として、主担当の活動から草原再生オペレ ーター組合、関連する活動から阿蘇花野協会の計2 件が選定されました。 草原再生オペレーター組合では、年間 302 トンの 採草を行っており、野草採草面積の拡大に貢献して います。阿蘇花野協会では、草原植生の回復に向け て再生した草原の維持管理とあわせて、野草を人力 3,000 束以上刈り採り茅葺き屋根材として販売・ 活用し、価値を生み出していることが評価されまし た。 また、阿蘇草原再生シール生産者の会では草原の 野草を堆肥等に利用した農産品生産・流通に取り組 んでおり、これらの野草資源利用の活動は、阿蘇地 域世界農業遺産の取り組みとしても非常に重要な活 動です。野草堆肥については、阿蘇地域世界農業遺 産推進協会から佐賀大学への委託研究により「善玉 菌」が見つかり有用性(微生物学的特性等)が確認 されたことにより、野草堆肥利用への機運が高まっ ています。今後も農業遺産との連携を強化して効果 的に取り組みを進める必要があります。 阿蘇地域世界農業遺産推進協会では景観部会の事 業として「草小積み再生プロジェクト」を予定して いますが、草小積みについては、景観面に加え野草 利用やブランド化などに貢献していくことが期待さ れます。草小積みには伝えていきたい伝統的な知恵 や技術があり、技術の伝承や資源として、草原環境 学習や観光利用などの観点からも検討していくこと が望まれます。 <野草資源の活用に関連する活動結果報告> NO 事業・活動名 ※担当 28 草原再生、野草堆肥を利用した農産品の流通拡大にむけた活動 29 採草による未利用草原の再生 9 野焼き作業の省力化及び野草地利用を支援する作業道、防火帯等整備事業 11 阿蘇花野再生プロジェクトステップⅡ~放置人工林伐採による生物多様性豊かな草原の再生~ 23 阿蘇の草原を守るために「野草紙を作ろう」プロジェクト NO は各活動の掲載番号に対応 =奨励賞を受賞した活動 ※野草資源小委員会における協議の対象:◎=主対象となる活動 ○=関連する活動 全体構想 取り組みの 内容

Upload: others

Post on 30-Jan-2020

5 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

38

活動報告(4)担当:野草資源小委員会

野草資源を活用する 野草の資源価値の見直しと循環利用の促進

①野草資源の利用拡大のための仕組みづくり

②野草資源を活用した生産物の高付加価値化による野草利用の拡大

全体的な評価

今回提出された 32 件の活動結果報告のうち野草

資源に関連する活動は5件、そのうち野草資源小委

員会が主担当の活動は2件でした。

奨励賞として、主担当の活動から草原再生オペレ

ーター組合、関連する活動から阿蘇花野協会の計2

件が選定されました。

草原再生オペレーター組合では、年間 302トンの

採草を行っており、野草採草面積の拡大に貢献して

います。阿蘇花野協会では、草原植生の回復に向け

て再生した草原の維持管理とあわせて、野草を人力

で 3,000束以上刈り採り茅葺き屋根材として販売・

活用し、価値を生み出していることが評価されまし

た。

また、阿蘇草原再生シール生産者の会では草原の

野草を堆肥等に利用した農産品生産・流通に取り組

んでおり、これらの野草資源利用の活動は、阿蘇地

域世界農業遺産の取り組みとしても非常に重要な活

動です。野草堆肥については、阿蘇地域世界農業遺

産推進協会から佐賀大学への委託研究により「善玉

菌」が見つかり有用性(微生物学的特性等)が確認

されたことにより、野草堆肥利用への機運が高まっ

ています。今後も農業遺産との連携を強化して効果

的に取り組みを進める必要があります。

阿蘇地域世界農業遺産推進協会では景観部会の事

業として「草小積み再生プロジェクト」を予定して

いますが、草小積みについては、景観面に加え野草

利用やブランド化などに貢献していくことが期待さ

れます。草小積みには伝えていきたい伝統的な知恵

や技術があり、技術の伝承や資源として、草原環境

学習や観光利用などの観点からも検討していくこと

が望まれます。

<野草資源の活用に関連する活動結果報告>

NO 事業・活動名 ※担当

28 草原再生、野草堆肥を利用した農産品の流通拡大にむけた活動 ◎

29 採草による未利用草原の再生 ◎

9 野焼き作業の省力化及び野草地利用を支援する作業道、防火帯等整備事業 ○

11 阿蘇花野再生プロジェクトステップⅡ~放置人工林伐採による生物多様性豊かな草原の再生~ ○

23 阿蘇の草原を守るために「野草紙を作ろう」プロジェクト ○

※NOは各活動の掲載番号に対応 =奨励賞を受賞した活動

※野草資源小委員会における協議の対象:◎=主対象となる活動 ○=関連する活動

全体構想 取り組みの

内容

39

28 草原再生、野草堆肥を利用した 農産品の流通拡大にむけた活動

●実施主体 阿蘇草原再生シール生産者の会

●実施場所 阿蘇郡市内(各牧野、生産者会員の農地)、熊本市

●実施期間 平成 27年4月~平成 28年3月

◇背景・ねらい

当会には、阿蘇の草原の野草を堆肥等に利用し農産品等を生産する農家等が集まっている。

会員が生産する農産品等に「阿蘇草原再生シール」を貼付することによりブランド化し、農産品

等の付加価値を高めることにより流通を促進させ、草原環境の保全及び再生を図ることを目的

としている。

野草を利用することが草原再生に繋がることを念頭に、今年度においても多くの野草を利用

し農産品の生産に努めると共に、その農産品にシールを貼付し販売することにより消費者に対

して草原を守ることの大切さを普及、啓発する。

◆実施概要

①常時販売

・四季彩いちのみや、あぜり庵、田園都市空間・阿蘇とれ市場・きよらカ

ァサ、物産館「自然庵」、高森湧水トンネル直売所、阿蘇西ふれあい市

場「あかみず」、道の駅「波野」など。

②イベント販売

・ヒノマルマルシェ(6/6-6/8)(10/8-10) (11/12-14)、阿蘇マルシェ(7/5)

(9/6)(11/1)、阿蘇マルシェヒノマルマルシェ(9/25-9/27)、瀬の本

マラソン(8/23)、「然」晩餐会への食材提供(阿蘇市)(11/17)、観光・

物産発信展(12/17.18)

③産地直送販売:阿蘇 GSコーポレーションギフト

中元セット 19件 お歳暮セット 13件

④賛助会員への野菜セット送付(7セット)

⑤草原環境調査(8/19) ⑥草刈り(11/28)、草集め・裁断(12/9)

⑦生産者の会の活動拡大

情報発信:ホームページ随時更新 会員拡大:新規会員2名

⑧会議 7回(内1回総会)

⑨阿蘇草原再生協議会へ委員として参加:4回

◆実施体制

・生産者会員 20名:生産・販売・イベント企画・活動 PR

・植生調査は西日本農業研究センター高橋先生グループの協力を得て実施。

◆成 果

・野焼き支援ボランティアの協力を得て、約 2.5haの野草地で採草を行い、堆肥に利用。その他にも、

会員それぞれが管理する場所で5haの採草を行い、野草堆肥として利用している。

・阿蘇地域で長年にわたり利用されてきた野草堆肥が、阿蘇の草原保全に大きく貢献してきた歴史が

あり、科学的研究によりその有用性が再評価された。野草堆肥には拮抗菌と呼ばれる善玉菌が、1

mg あたり数千万個という高密度で存在し、作物の病気を抑え、肥えた土壌を作る効果があるとの研

究成果が発表され、会活動の普及の追い風となっている。

◆実施者の感想

高齢化や農家の人員不足により、野菜の生産量や種類が減ってきている。会員を増やし、受注への

対応力を強化していきたい。野草堆肥の有効性が新聞でも取り上げられ、認知度が高まりつつある。

会の活動を通じて野草の循環利用を、今後ますます広めていきたい。

採草の様子

販売会の様子

野菜セットの中身

40

29 採草による未利用草原の再生 ●実施主体 草原再生オペレーター組合

●実施場所 阿蘇市

●実施期間 平成 27年4月~平成 28年3月

◇背景・ねらい

・未利用となっている草原の草を刈ることで、草原の保全と野焼きの危険性の軽減を目指す。

・採草した草を、飼料や堆肥用の資材として活用することで、地域資源の有効活用による活性

化を図ることを目指す。

・後継者不足で野草の調達に苦労していた畜産農家に適正価格で販売することで、畜産業への

貢献も目指す。

◆実施概要

平成 27年度は、9月から飼料用の採草を開始し、3月の野焼き前

まで堆肥・マルチ用を含めた採草を行った。

7月頃から堆肥・マルチ用の野草が在庫不足となったため、11 月

の採草分から納品可能ということで予約販売を行った。

阿蘇市広報紙2月号に「未利用の草地をご紹介ください」と記事

を掲載していただいたことから、地元牧野から「採草をしてほしい」

との連絡があり、採草を行うことができた。

北海道の訓子府町と置戸町から、合同産業後継者国内研修の方々

が視察にこられた。外輪山での採草の様子を見学し、阿蘇の草原風

景や採草作業と野草の利用などに感心していた。

◆実施体制

オペレーター組合が主体となって事業を推進し、事業に係る牧野組

合との協議や野草販売等は、九州バイオマスフォーラム及び阿蘇市、

熊本県阿蘇地域振興局農業・普及振興課と連携しながら事業を実施

した。

◆成 果

①草原保全・再生への貢献

平成 27年度は、約 96.9haの採草を行い、約 302.9tの野草を収穫

した。平成 26年度の採草量は 161トンだったので、ほぼ倍増した。

②活動の持続性・発展性

平成 28年1月1日の熊本日日新聞において、野草堆肥の効果につ

いて報道されたことにより、堆肥用野草ロールの注文が増加した。

今後採草量を拡大していくためには、未利用草地を多く抱える牧野

組合の協力と、堆肥用の販路拡大も重要である。持続的な活動につ

ながるように仕組みづくりを進めていく。

◆実施者の感想

持続的な活動にするためには、売上が倍になる必要がある。草原の野草利用が草原保全につな

がる事をアピールする事で、飼料用及び野草堆肥用の採草量と販売量を拡大・向上させたい。

野草地での採草風景

野草地での採草風景

視察対応風景

41

阿蘇地域世界農業遺産の取り組み

阿蘇地域世界農業遺産推進協会に設置された各部会の取り組みについて、平成 27年度の事業

実績及び平成 28年度の事業計画より紹介します。

部会 平成 27年度事業(実績) 平成 28年度事業

農林部会

◆世界農業遺産フェアの開催(H27.10.10)

・阿蘇の世界農業遺産を広く内外にPRし、あか

牛の消費拡大や阿蘇産農産物のPRに寄与する

ために開催。

◆野草堆肥利用促進システムの構築

・草原の採草面積を増やし、農家へ野草堆肥を安

定的に供給し使用してもらうための仕組みづく

りに向けた取り組みを開始。

・野草堆肥の有用性に関する調査研究を佐賀大学

と連携して実施。

・「野草堆肥調査研究発表会」開催(H28.3.2)。

◇あか牛の消費拡大・普及啓発/世界

農業遺産フェアの開催

◇野草堆肥利用促進システムの推進

・採草面積の拡大と野草堆肥の安定供給に

向けた実証実験。

・佐賀大学との連携による有用性研究。

・野草堆肥の活用事例集の作成。

◇阿蘇産農林産物の付加価値向上

・野草堆肥を活用した農産物のブランド化

に向けた戦略の構築。

草原景観部

◆野草利用に関する調査

・堆肥利用、茅葺き屋根材、動物のエサ、エネル

ギー利用など野草利用の取り組みについて、利

用状況や課題を調査。

・課題解決に向けた実証事業等の案を作成。

◇草資源利用開発調査

・平成 27年度調査結果をもとに、野草を資

源とする生業づくりに関する実証事業。

自然環境部

◆伝えたい阿蘇の農業遺産資源の登録

・保全・継承が危ぶまれる阿蘇の地域資源(食、

営農、文化、景観、自然など)を募集し、調査

のうえ登録。(H25~H27年で 99件登録)

◆登録した地域資源の活用

・フットパスコース設定(文化交流部会と連携)。

◇伝えたい阿蘇の農業遺産資源

・平成 27年度までに登録した 99の地域資

源について、保全・継承・活用などに取

り組む地元団体等に対する支援を実施。

文化・交流

部会

◆フットパスコース、観光コースの設定

・「伝えたい阿蘇の農業遺産資源」やジオスポット、

文化的景観など阿蘇の特徴的なポイントを網羅

したデータを作成。

・データを活用し、世界農業遺産を体感できるフ

ットパスコース、観光コースを作成。

・モニターツアー実施(H27.11.13)。

◇アグリツーリズムを通じた都市との

交流拡大

・農業遺産資源の活用のためフットパスコ

ース・観光コースを設定する。

やっぱりよかたい!! 野草堆肥

阿蘇地域世界農業遺産推進協会では、農産物のブランド化と草原の維持に貢献するため、「野

草堆肥」に着目して「耕種農家による野草利用の新たなシステムづくり」に取り組んでいます。

その一環として、野草堆肥の有用性に関する調査研究を佐賀大学農学部の染谷孝教授に依頼

して実施。阿蘇の草原のススキなどで作る堆肥の何がいいのか分析した結果、野草堆肥には拮

抗菌(きっこうきん)と呼ばれる善玉菌が大量に含まれ、作物の病気を抑え、肥えた土壌を作る

効果があるということが分かってきました。

阿蘇では昔から当たり前に使ってきた野草堆肥の良さが科学

的に証明され、地元の方々も「やっぱりよかたい」と再認識、関

心が高まっています。研究が進むことにより、草原利用の活性化

につながっていくことが期待されます。

コラム 2

42

活動報告(5)担当:草原観光利用小委員会

草原再生と結びついた観光を進める 野草原環境の保全・再生に寄与する観光利用の促進

①草原環境を持続的に活用できるような観光の仕組みづくり

②観光で草原を利用する際のルールづくり

③観光事業者の草原環境の保全・再生への関与

全体的な評価

今回提出された活動結果報告のうち、草原観光

利用に関する活動は9件、そのうち草原観光利用

小委員会が主担当の活動は3件でした。

奨励賞として選定された阿蘇グリーンストッ

クの活動「阿蘇の自然(草原)を体感し、阿蘇の

草原ファンになってもらう」では、阿蘇のあか牛

をメインに農と食を通した体験活動が行われて

いることが評価されました。今後の活動展開に向

けて受け入れ農家の拡充が課題であり、子どもた

ちの体験活動に対する地元農家の方々の理解と

協力が不可欠です。

また、阿蘇ミュージアムの活動については、修

学旅行生が阿蘇で生きている人々の話を聞きな

がら農業体験や自然体験を行うことでリピータ

ーにつながること、長野良市氏の活動では、写真

撮影により阿蘇の草原が印象的に残り効果的で

あり、学生を対象に企画するのもいいといった意

見がありました。

世界農業遺産については、まだ地域一体となっ

た取り組みにまでは至っていないことから、草原

観光においても阿蘇の草原・農業の歴史や農業遺

産までのプロセスなどを普及させることで、体験

により深みが出て、阿蘇や草原への理解者も増え

るのではないかといった指摘があります。

熊本地震により、阿蘇への主要アクセスルート

や温泉の被害に加え草原景観への被害もあり、観

光業は大きな影響を受けました。今後は、地震被

害で不通の国道 57 号等に代わるアクセスルート

を活用した草原観光ルートや、災害も含めた阿蘇

の自然に関するプログラムの開発、国立公園満喫

プロジェクト実施に向けた外国人の観光スタイ

ルへの対応、ガイド養成など、新しい視点からの

取り組みが必要です。

また、野焼きや牧野利用が困難な牧野が多い中

で、観光サイドから草原維持管理に協力していく

ための資金還流の仕組みづくりや、今後の外国林

観光客増大に対応した防疫体制の強化などが課

題となっています。

<草原観光利用に関連する活動結果報告>

NO 事業・活動名 ※担当

30 阿蘇人ツーリズムの実施 ◎

31 阿蘇の自然(草原)を体感し、阿蘇の草原ファンになってもらう ◎

32 阿蘇の草原を撮影しながら様々な旅を構築する事業 ◎

2 西小園原野の維持管理と地域の交流 ○

3 西湯浦牧野(仲組・中無田原野)大規模野焼き再開事業 ○

6 草千里ヶ浜の草原環境保全に向けた活動 ○

18 自然環境教育のための活動 ○

20 阿蘇の火山体験学習 ○

25 南阿蘇ビジターセンター 自然ふれあい活動-草原への誘い- ○

※NOは各活動の掲載番号に対応 =奨励賞を受賞した活動

※草原観光利用小委員会における協議の対象:◎=主対象となる活動 ○=関連する活動

全体構想 取り組みの

内容

43

30 阿蘇人ツーリズムの実施 ●実施主体 特定非営利活動法人 阿蘇ミュージアム

●実施場所 阿蘇周辺のフィールドおよび地元の受入れ家庭

●実施期間 平成 27年5月 22日~平成 27年 11月 11日

◇背景・ねらい

阿蘇において、自然体験や文化体験などの学習活動とともに、阿蘇の人々との“ふれあい”

を体験することも重要である。阿蘇で様々な事業(農業、観光、陶芸、畜産など)に携わって

いる方々に、直接話を聞いたり、仕事の手伝いをさせてもらうことによって、生き様や考えな

どについて感じ取る。このことが子どもたちにとって、火山や草原など阿蘇特有の自然や、そ

れらに深く関係する文化を知ることにもつながる。

◆実施概要

長崎からの修学旅行生を対象に実施。子どもたちは 10~15人ほどのグループに分かれて、それ

ぞれの受け入れ家庭において半日間、仕事のお手伝いをしたり、自然体験活動をしながら阿蘇で

生きてきた“阿蘇人”(あそんもん)の話を聞いた。

その際、各受け入れ先と子どもたちのコーディネーターの役割をインタープリターが担った。

今年度もそれぞれの受入れ家庭で様々な学習や体験ができた。

(例:畜産、有機農業、郷土料理、阿蘇の自然と動植物観察など)

◆実施体制

・阿蘇インタープリター(延べ 126名)と阿蘇人(延べ 105名)。

◆成 果

【期間中の利用者数】

・小学生 18校 1,504名(前年比 △170名))

◆実施者の感想

毎年参加の学校も多く、リピーター率の高い取り組みである。

今年度も、阿蘇の気象についてのお話や、環境に配慮した自然薯づくりのお話等、幅広い内容

で実施できた。

阿蘇人のもとで阿蘇の自然を満喫した子どもたちは、阿蘇を好きになって帰ってくれる。後日、

家族旅行で再び阿蘇人を訪ねてくれる子どももいて、子どもたちと阿蘇人がとても良い関係を築

けていることが感じられた。

阿蘇の自然と動植物の観察

押し花体験

44

31 阿蘇の自然(草原)を体感し、 阿蘇の草原ファンになってもらう

●実施主体 (公財)阿蘇グリーンストック

●実施場所 阿蘇郡市内

●実施期間 平成 27年4月~平成 28年3月

◇背景・ねらい

旅行者に、阿蘇の自然と文化について知ってもらい、興味を持ってもらうことで、阿蘇の草

原を守りたいという意識を持ってもらう。

阿蘇の自然の多様性、草原と人との関わりと、その関わりによって育まれた豊かな文化を体

験してもらい、阿蘇への愛着を抱いてもらいたい。

その事により、阿蘇へのファンを増やし、再訪問による観光振興や、将来の担い手づくりに

繋がることをねらいとする。

◆実施概要

受入全体では「草原と人々の暮らしの関わり」に関するお話を

していただき、有畜農家では「あか牛の世話体験」「草原でのあ

か牛放牧見学」、畜産農家以外では農作業を通して阿蘇の魅力を

体感していただいた。

また、食事においても地元産(自宅で収穫した)の野菜やお米、

あか牛肉などを提供していただいた。

◆実施体制

・阿蘇地域の受入農家(南小国町、南阿蘇村)

◆成 果

(1)阿蘇へのリピーターとして、平成 26 年度に体験に来た学

校・団体のうち、平成 27年度に8校が再び阿蘇を選択して来

てくれた。

(2)受入れ実績:全 18校(中学校 16校、高校2校)

合計 2,458名

◆実施者の感想

参加した生徒たちに話を聞くと、一様に「食事がおいしかった」

「体験が楽しかった」「もう1泊したい」等、目的である阿蘇の

自然(草原)を体感し、阿蘇のファンになっていただいたのでは

ないかと実感した。

また、近年はリピートの学校だけでなく、関西方面の新規の学

校(京都や岡山など)からの予約や問い合わせも増えてきている。

課題としては受け入れる農家の数が不足しており、受入農家の

拡大が必要である。

感動のお別れ

田植え体験

あか牛の世話体験

45

32 阿蘇の草原を撮影しながら 様々な旅を構築する事業

●実施主体 長野良市(阿蘇トラベルデスク etc)

●実施場所 押戸石周辺、瀬の本周辺

●実施期間 平成 27年4月~平成 28年3月

◇背景・ねらい

世界ジオパークと世界農業遺産の二つの世界の冠をいただいたので、世界へ情報発信をする

絶好の機会だと考える。具体的な旅程を組み、その中に阿蘇の草原に関わる人やものや事柄を

入れ込み、さらなる阿蘇の理解を深める交流の場を作り上げていく。

屋外撮影会を実施するにあたっては、写真撮影者に対して撮影の際のマナーなど、地域にお

ける草原利用のルールの指導を行う。また、地域の関係者、組織からそのアドバイスを受けた

上で活動する。

◆実施概要

・熊日写真教室の生徒役 70名に阿蘇の草原を撮影してもらうために、南小国の押戸石周辺、瀬の

本高原周辺で屋外撮影会を実施した。

・熊本市内から大型バス2台で約 70名を、押戸石では牧野組合の協力を得てボックスカーで現地

まで往復搬送した。

・瀬の本高原では組合員の許可を得て、草原内に入り、阿蘇五岳などを撮影した。

・地域のレストランの協力を得て食事会を実施。

◆実施体制

・熊日生涯学習プラザ、熊日写真教室、押戸石、牧野組合、八菜家

◆成 果

・阿蘇の草原は地域の牧野組合等の管理によって維持されていること、許可を得て草原に入るこ

と等について学習することができた。

◆実施者の感想

・熊日が主催する写真教室の会員だけでも、阿蘇の草原がどのように管理されているかを体験さ

せたいと思った。その効果はあったと思う。

熊本地震による被災、復興の記録を残す

平成 28 年4月の熊本地震発生以降、写真家・長

野良市氏は、阿蘇の現状を伝える記録として、報道

としての写真を撮り続けています。

写真は「阿蘇復興支援写真集-ゼロの阿蘇」と題

して出版されており、売上の一部(1冊 500円のう

ち 200円)が復興支援に充てられます。