血液透析用グラフトにおける 過剰血流に対する対処法...2014/10/18 · 1100 760...
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第52回日本人工臓器学会大会 2014年10月18日(土) 15:50~17:20
京王プラザホテル札幌2F エミネンスホールB
血液透析用グラフトの問題点と今後の期待
池田バスキュラーアクセス・透析・内科クリニック
池田 潔
血液透析用グラフトにおける 過剰血流に対する対処法
血液透析用グラフトの問題点
① 易感染性
→ 対策 グラフト管理で感染率はカテーテルと同等の報告あり。
② 過剰血流による以下の症状 1)スチール症候群 2)心負荷による動悸等の心不全症状 3)drainage vein の短期再狭窄 → 対策 グラフトの部分縫縮、部分結紮、部分置換
③ Seroma の形成 → 対策 PUグラフトによる置換術
④ 穿刺部位の部分破裂、グラフトの荒廃による閉塞、 遺残グラフト感染
② 過剰血流による以下の症状 1)スチール症候群 2)心負荷による動悸等の心不全症状 3)drainage vein の短期再狭窄 → 対策 グラフトの部分縫縮、部分結紮、部分置換,,
Case 性別 年齢 手術日 手術理由 術後症状 の有無 (+/-)
1927 男 69 2012/07/17 過剰血流によるシャント肢の
腫脹 ―
1460 女 77 2012/07/19 瘤の増大と過剰血流 ―
1587 男 51 2012/10/15 スチール症候群による冷感・
疼痛 ―
1382 男 41 2013/10/29 瘤の短期間の増大 ―
1868 女 75 2014/05/27 過剰血流による動悸・
倦怠感 ―
1317 男 72 2014/07/11 過剰血流による下肢の
倦怠感 ―
#1 過剰血流による手術症例
Case 性別 年齢 手術日 手術方法 人工血管 術前 血流量
1927 男 69 2012/07/17 graft部分置換 INTERING 4mmx4cm
3300
1460 女 77 2012/07/19 瘤除去・graft 部分置換
INTERING 4mmx3cm
1150
1587 男 51 2012/10/15 graftの一部切除
縫縮 ATRIUM
6mm 1100
1382 男 41 2013/10/29 瘤除去部graft置換 動脈部分縫縮
INTERING 4mmx3cm
2200
1868 女 75 2014/05/27 ナイロン糸による
graft縫縮2cm ? 1550
1317 男 72 2014/07/11 ナイロン糸による
graft縫縮4cm ATRIUM 1650
#2 過剰血流graftの血流量コントロール術
① 術式の有効性の判断をBモードによる上腕動脈の血流測定に よって、術前、術中、術直後と長期間の経過観察を行った。 ② 症状の消失の有無で実効性を判定した。
方法
R.I.=PSV-EDV/PSV P.I.=PSV-EDV/TAMV
R.I.・ P.I.の計算式
PSV:収縮期最大速度 EDV:拡張期最大速度 TAMV:平均血流速度
PSV EDV TAMV
Case 1927 : 69才・男
DSA所見
手術理由:
過剰血流によるシャント肢の腫脹
手術方法:
graft部分置換
Case 1927 : 69才・男
オペ前
RI 0.35
PI 0.45
血流量 3300
Case 1927 : 69才・男
オペ後
RI 0.48
PI 0.70
血流量 1000
Case 1460 : 77才・女 手術理由:瘤の増大と過剰血流
手術方法:瘤除去・graft部分置換
Case 1460 : 77才・女
オペ前
RI 0.48
PI 0.73
血流量 1150
Case 1460 : 77才・女
オペ後
RI 0.50
PI 0.75
血流量 600
Case 1587 : 51才・男 手術理由:スチール症候群による冷感・疼痛
手術方法:graftの一部切除・縫縮
Case 1587 : 51才・男
オペ前
RI 0.38
PI 0.50
血流量 1100
Case 1587 : 51才・男
オペ後
RI 0.36
PI 0.45
血流量 760
Case 1382 : 41才・男
DSA所見
手術理由:
瘤の短期間の増大
手術方法:
瘤除去部graft置換・動脈部縫縮
Case 1382 : 41才・男
オペ前
RI 0.40
PI 0.57
血流量 2200
Case 1382 : 41才・男
オペ後
RI 069
PI 1.46
血流量 980
Case 1868 : 72才・女 手術理由:過剰血流による動悸・倦怠感
手術方法:ナイロン糸によるgraft縫縮2cm
Case 1868 : 72才・女
オペ前
RI 0.42
PI 0.54
血流量 1550
Case 1868 : 72才・女
オペ後
RI 0.54
PI 0.80
血流量 560
年齢 性別 透析歴 原疾患 シャント
75 男 5年1か月 慢性糸球体腎炎 左前腕 AVG
Case 1317 :
DSA所見
Case 1317 : 75才・男 手術理由:過剰血流による下肢の倦怠感
手術方法:ナイロン糸によるgraft縫縮4cm
Case 1317 : 75才・男 バンディング(2014.7.11)
Case 1317 : 75才・男
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
1.2
1.4
1.6
1.8
2
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
1600
1800
02
:25
:51
02
:26
:39
02
:27
:44
02
:46
:10
02
:46
:52
02
:47
:20
02
:48
:04
02
:48
:21
02
:48
:53
02
:49
:56
02
:50
:05
02
:50
:23
02
:50
:42
02
:51
:08
02
:51
:38
02
:52
:03
02
:52
:29
02
:52
:45
00
:53
:32
02
:53
:53
02
:54
:10
02
:54
:33
02
:54
:51
03
:04
:36
03
:04
:47
03
:05
:10
03
:05
:25
血管エコーの経過
血流量 RI PI
バンディング(2014.7.11)
流量 PI・RI
Case 1317 : 75才・男 経過(2014.10.4)
0
500
1000
1500
2000
2500
3000
3500
オペ前 オペ後 経過
血流量の経過 1317 1868 1927 1460 1382 1587
ml/分
Case 性別 年齢 手術日 手術方法 術前 血流量
術後 血流量
最新 血流量
1927 男 69 2012/07/17 graft部分置換 3300 1000 1700( 2カ月後)
1460 女 77 2012/07/19 瘤除去・graft 部分置換
1150 600 980(26カ月後)
1587 男 51 2012/10/15 graftの一部切除
縫縮 1100 760 1040(22カ月後)
1382 男 41 2013/10/29 瘤除去部graft置換 動脈部縫縮
2200 980 1300(12カ月後)
1868 女 75 2014/05/27 ナイロン糸による
graft縫縮2cm 1550 560 1100( 3カ月後)
1317 男 72 2014/07/11 ナイロン糸による
graft縫縮4cm 1650 540 560( 3カ月後)
結果
#1 グラフトを6mmから部分的に4cmx径4mmに置 換変更した症例では、短期に血流量が術前の血流 量に戻った。 #2 血流量を術中にモニターしながらグラフトを4cm に渡ってナイロン糸で縫縮を行った症例では、血流 が維持された。
まとめ
過剰血流対策には、グラフトの4cm以上に対して縫縮することで、問題が解決できた症例を経験した。
今後はグラフト移植後の血流量をモニタリングし、早期に対策を実行することも透析維持に重要と考えられた。