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1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省

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Page 1: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

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鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に)

平成27年4月21日

経済産業省

Page 2: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー 3.世界的な過剰供給構造と通商摩擦 4.過剰供給構造下における事業展開 5.海外企業の動向 6.環境の変化(技術・データ素材、安全、環境) 7.電炉業(普通鋼、特殊鋼) 8.政策的対応 9.論点

2

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1.鉄鋼業の現状

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産業機械産業 3.1兆円、9.4万人

自動車製造業 56兆円、95万人

情報通信機器産業 11兆円、24万人

川下

産業規模

鉄鋼業(製造業)の国内総出荷額は18兆円(2012年)。従業員数は22万人。 鉄鋼業(製造業)の製造業全体のGDPに占める割合は、7.2%(6.4兆円) 鉄鋼は、産業機械、自動車、情報通信機器等の他産業の基盤となる産業。

鉄鋼卸売業 販売額:24兆円、従業員数:9万人

川上 川中 圧延、加工、鋳鍛造等

高炉、電炉

鉄鋼業 総出荷額:18兆円、従業員数:22万人

(出所)経済産業省工業統計調査、商業統計調査 4

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鉄鋼は日本の基幹輸出品目

順位 1990年 2000年 2005年 2014年

輸出総額:41兆4569億円 輸出総額:51兆6542億円 輸出総額:65兆6565億円 輸出総額:73兆1052億円

1 自動車 17.8% 自動車 13.4% 自動車 15.1% 自動車 14.9%

2 事務用機器 7.2% 半導体等電子部品 8.9% 半導体等電子部

品 6.7% 鉄鋼(3.96兆円) 5.4%

3 半導体等電子部品 4.7% 事務用機器 6.0% 鉄鋼 4.6% 半導体等電子部品 5.0%

4 映像機器 4.5% 科学光学機器 5.1% 自動車部品 4.3% 自動車部品 4.8%

5 鉄鋼 4.4% 自動車部品 3.6% 科学光学機器 3.8% 有機的化合物 3.3%

6 科学光学機器 4.0% 原動機 3.2% 原動機 3.3% 原動機 3.5%

7 自動車部品 3.8% 鉄鋼 3.1% 有機的化合物 2.9% プラスチック 3.3%

8 原動機 2.7% 映像機器 2.7% 映像機器 2.7% 科学光学機器 3.3%

9 音響機器 2.3% 有機化合物 2.3% プラスチック 2.6% 電機回路等の機器 2.5%

10 通信機 2.1% プラスチック 2.0% 電機回路等の機器 2.6% 非鉄金属 2.0%

電子部品等の輸出が伸び悩む中、輸出総額に占める鉄鋼の割合は増加傾向。 近年、日系自動車組立拠点向けの鋼板等の輸出が拡大。巨額の外貨を獲得する産業。 粗鋼生産量1億1000万トンのうち、約4割(4200万トン)が輸出向け。

(出所)財務省貿易統計 5

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鉄鋼業による付加価値 鉄鋼輸出額の約4兆円に対し、主原料である鉄鉱石・原料炭の輸入額(輸出鋼材用)は約1兆円。(2014年) 鋼材1㌧当たりでは、平均販売価格の約8万2千円に対し、原料価格は約3万4千円。(2014年度見通し)

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

2.50

3.00

3.50

4.00

4.50

5.00

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

スプレッド

鉄鋼輸出額

鉄鉱石輸入額*

原料炭輸入額*

鉄鋼輸出額と原料輸入額(輸出鋼材用)の推移

※ 鉄鉱石輸入額及び原料炭輸入額の全体に、鋼材輸出比率を掛け合わせた金額を使用。

兆円

23420

51030

86000

75700

80200

33604

0

20000

40000

60000

80000

100000

120000

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

■ 新日鐵住金 ■ JFEスチール ■ 神戸製鋼所 ■原料費 ■スプレッド

※鋼材1トン当たりの原料費は次の仮定を置いて計算。 ・銑鉄1トンを製造するために用いる鉄鉱石は1.5トン、石炭は0.5トン。 ・銑鉄1トンから製造される鋼材は0.87トン。 ・鉄鉱石と石炭の単価は、3社のHPの数値の平均を使用。為替レートはブ ルームバーグから。 ※スプレッドは、3社の平均鋼材単価から原料費を引いたもの。3社の鋼材価格 は、それぞれ3社のHPの数値。

円 各社の鋼材単価と原料費の推移

※ 鉄鋼輸出額には電炉材も含まれ、また、原料炭輸入額には鉄鋼業

向け以外のものも含まれるなど、あくまで付加価値額の概数を把握するための数字として参照されたい。 6

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神戸製鋼所

高炉メーカー 4社 2014年度(見込み) 粗鋼生産量 (2013年度)

2014年度(見込み) 売上高

(2013年度)

2014年度(見込み) 経常利益 (2013年度)

新日鐵住金 47.6百万t (48.2百万t)

5.65兆円 (5.52兆円)

4100億円 (3610億円)

JFEHD 31.3百万t (31.6百万t)

3.84兆円 (3.67兆円)

2100億円 (1737億円)

神戸製鋼所 7.6百万t (7.0百万t)

1.91兆円 (1.82兆円)

900億円 (850億円)

日新製鋼 3.93百万t (3.92百万t)

0.62兆円 (0.57兆円)

200億円 (166億円)

特殊鋼専業メーカー 10社 普通鋼電炉メーカー 32社

上位5社 2014年度 生産量

(見込み) (2013年度)

2014年度 売上高

(見込み) (2013年度)

2014年度 経常利益 (見込み)

(2013年度)

大同特殊鋼 1.5百万t (1.5百万t)

4900億円 (4577億円)

220億円 (203億円)

山陽特殊製鋼 1.2百万t (1.1百万t)

1700億円 (1616億円)

80億円 (67億円)

愛知製鋼 1.0百万t (0.9百万t)

2395億円 (2374億円)

90億円 (98億円)

三菱製鋼 0.5百万t (0.7百万t)

1168億円 (1116億円)

53億円 (59億円)

新日鐵住金 ステンレス

(2147億円)

(72億円)

上位5社 2014年度 生産量

(見込み) (2013年度)

2014年度 売上高

(見込み) (2013年度)

2014年度 経常利益 (見込み)

(2013年度)

JFE条鋼 2.9百万t (2.7百万t)

(2037億円)

(46億円)

東京製鐵 2.2百万t (2.4百万t)

1620億円 (1390億円)

125億円 (32億円)

共英製鋼 1.7百万t (1.6百万t)

1850億円 (1747億円)

125億円 (31億円)

合同製鉄 1.2百万t (1.2百万t)

1300億円 (1310億円)

40億円 (-18億円)

大阪製鉄 0.8百万t (0.8百万t)

680億円 (690億円)

90億円 (52億円)

電気炉を用いて、鉄スクラップと、レアメタル等の副原料を用いて、硬さ、耐摩性等の 特殊な機能を持たせた高級鋼を製造。自動車部品等に用いられる。 電気炉を用いて、鉄スクラップ等から普通鋼を製造。中小企業比率が高い。

鉄鉱石と原料炭を用いた製鉄法(高炉法)により鋼材を製造。

我が国鉄鋼メーカーの概要

(出所)各社IR資料

7

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44%

5% 16%

8% 2%

4%

18% 3%

鉄鋼 溶接

アルミ・銅 機械

エンジニアリング 神鋼環境ソリューション

コベルコ建機 コベルコクレーン

売上高 1兆8247億円

57%

6%

37%

鉄鋼

エンジニアリング

商社

売上高 3兆6669億円

86%

6% 4% 1%

3%

製鉄 エンジニアリング 化学 新素材 システムソリューション

売上高 5兆5,516億円

売上高

経常利益

89%

5% 3% 3%

製鉄 エンジニアリング 化学 システムソリューション

経常利益 3,611億円

76%

11%

13%

鉄鋼

エンジニアリング

商社

経常利益 1737億円

39%

8% 17%

7% 5%

3%

17% 4%

鉄鋼 溶接

アルミ・銅 機械

エンジニアリング 神鋼環境ソリューション

コベルコ建機 コベルコクレーン

経常利益 850億円

JFEHD 神戸製鋼所 新日鉄住金 日新製鋼

100%

鉄鋼

売上高 5764億円

100%

鉄鋼

経常利益 166億円

主要企業の売上高と経常利益の比較(2013年度)

(出所)各社IR資料

60% 27% 13%

0% 50% 100%

日本 アジア その他

66 34

0% 50% 100%

日本 その他

65% 10% 25%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

日本 中国 その他

81% 8% 7% 4%

0% 50% 100%

日本 東アジア 北米 その他

※鋼材輸出比率(金額ベース)は、新日鉄住金47%、JFEスチール48%、神戸製鋼所31%、日新製鋼16%。 神戸製鋼所の鉄鋼事業の経常利益335億円のうち、約160億円は140万kW級IPP事業に拠るもの。

国別 割合

8

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新日鐵住金室蘭製鉄所

新日鐵住金君津製鉄所

新日鐵住金名古屋製鉄所

新日鐵住金大分製鉄所

新日鐵住金八幡製鉄所

JFEスチール西日本製鉄所(倉敷地区)

JFEスチール西日本製鉄所(福山地区)

JFEスチール東日本製鉄所(千葉地区)

JFEスチール東日本製鉄所(京浜地区)

新日鐵住金鹿島製鉄所

新日鐵住金和歌山製鉄所

日新製鋼呉製鉄所

神戸製鋼所加古川製鉄所

神戸製鋼所神戸製鉄所

■ 新日鐵住金 ■ JFEスチール ■ 神戸製鋼所 ■ 日新製鋼

凡例

高炉メーカー製鉄所分布図 日本国内における粗鋼生産量(高炉、電炉)は、年間約1億1000万㌧。 高炉製鉄所の数は、新日鐵住金7、JFEスチール4、神戸製鋼所2、日新製鋼1。 国内の高炉は全部で28基。

国内高炉における 粗鋼生産量シェア

(2013年度)

(出所)各社IR資料

新日鐵住金 53%

JFEHD 35%

神戸製鋼所 8%

日新製鋼 4%

9

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粗鋼生産の4分の3を高炉メーカーが占める。

その他、電炉・単圧等様々なメーカーが存在。

需要先は、国内:海外が概ね6:4。

鉄鉱石

原料炭

スクラップ

高炉メーカー 4社

(77%)

新日鐵住金 JFEスチール 神戸製鋼所 日新製鋼

普通鋼電炉32社 (16%)

特殊鋼電炉10社 (7%)

加工業者 約2600社

海外需要家(41%)

韓国 18% 中国 15% ASEAN 31% 米国 6% その他 30%

国内需要家(59%)

土木 9% 建築 30% 造船 7% 自動車29% 産機 9% 電機 4% その他 12%

単圧メーカー 熔協メーカー

など

【鉄鋼メーカー】 【鉄鋼流通】 【需要分野】

(普通鋼+特殊鋼)

鋳鍛鋼メーカー等

日本鉄鋼業の業界構造・流通販売構造(2013年度)

鉄鋼流通は、多くが一次問屋経由。複雑な販売形態。

販売形態は、「ひも付き」が主流。「店売り」は約4分の1。

「ひも付き」では「高級鋼」、「店売り」では汎用鋼が主体。

(出所)鉄鋼連盟資料

一次 問屋

(商社含む)

約60社 二次問屋 (特約店) 約1,400社

直売(約5%)

ひも付き(約70%)

店売り (約25%)

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鋼材

電車 船舶

自動車 建設物 ビル鉄骨と

クレーン

産業機械

線材 厚板 薄板 形鋼

家庭電気用品

鋼材フローチャートとグレード

用途

フローチャート グレード

ミドルグレード スペック売りではあるが

技術的にやや高度な鉄鋼製品

ローグレード スペック売りの汎用規格品

高級鋼(ハイエンド) 需要家のニーズに即して開発・製造する 用途に適した機能を持たせた鉄鋼製品

11

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超ハイテン材(980、1180、1470MPa)

特殊鋼(線材)

無方向性電磁鋼板

機械構造用鋼 (重要保安部品向け)

(出所)新日鐵住金HPの図使用、各社ヒアリング

自動車用部材における技術優位性

12

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(出所)法人企業統計

11.1

-2

0

2

4

6

8

10

12

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

全産業

製造業

鉄鋼業

輸送用機械

建設業

我が国の鉄鋼業における営業利益率は、中国の需要拡大により2005年度には他産業を大きく上回る水準にあったものの、リーマンショックの影響で大きく下落。

2013年には、主要需要産業である輸送用機械業や建設業の利益率がリーマン前を上回る中、鉄鋼業はリーマン前の3分の1以下。

背景にあると考えられるのが、中国・韓国企業の生産能力増強による世界鉄鋼市況の悪化。

我が国における産業別の売上高営業利益率推移

売上高営業利益率の推移

13

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4897

2570

2896

1757 1506

914 1014

211

4187

3310

1813

1287

828

221 0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

5000

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

新日鐵住金

JFEHD

神戸製鋼所

日新製鋼

設備投資額 減価償却費

設備投資額・減価償却費推移 高炉各社の設備投資額は2007年・2008年をピークに減少傾向にある。

億円

2013年度 (単位:億円)

設備投資額 (売上割合) 売上

新日鐵住金 2570(4.7%) 55162

JFEHD 1757(4.8%) 36669

神戸製鋼所 1014(5.6%) 18247

日新製鋼 211(3.7%) 5764

2013年度 (単位:億円)

設備投資額 (売上割合) 売上

トヨタ 10200(4.0%) 256919

パナソニック 2170(2.8%) 77365

三菱重工 1370(4.1%) 33496

コマツ 1791(9.2%) 19537

東レ 1139(6.2%) 18378

(出所)各社IR資料 14

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原料価格推移

原料炭及び鉄鉱石の価格は、近年下落傾向。 しかし、この影響で競争力の低い炭鉱や鉱山が閉鎖に追い込まれた場合は、大手サプライヤー

による市場の寡占化が更に進む可能性。

Vale 24%

Rio Tinto 21% BHP

Biliton 19%

その他 35%

鉄鉱石の海上貿易量シェア (2014年/速報)

主要3社シェア 65%

BHP

24% Anglo

7% Xstrata 4%

Rio Tinto 5%

その他豪

州15% 米国 18%

カナダ 11%

ロシア 8% その他

10%

主要4社シェア 39% 出所:大和証券キャピタル・マーケッツ

原料炭の海上貿易量シェア

62.00

117.00

0.00

50.00

100.00

150.00

200.00

250.00

300.00

350.00

11.1

Q

11.3

Q

12.1

Q

12.3

Q

13.1

Q

13.3

Q

14.1

Q

14.3

Q

15.1

Q 鉄鉱石

原料炭

7351

13960

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

11.1

Q

11.3

Q

12.1

Q

12.3

Q

13.1

Q

13.3

Q

14.1

Q

14.3

Q

15.1

Q

ドル

四半期の鉄鉱石と原料炭の価格推移 (ドルベース・円ベース)

300.00

119.00

162.75

93.00

0.00

50.00

100.00

150.00

200.00

250.00

300.00

原料炭

鉄鉱石

ドル

年間の鉄鉱石と原料炭の価格推移 (ドルベース)

※四半期価格を平均

(出所)各社IR資料 15

Page 16: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

2.国内外の主要高炉メーカー

16

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世界の主要鉄鋼メーカー

順位 1970年 1980年 1990年 2000年 2013年

世界生産量(上位10位) 5.95億㌧(1.73億㌧)

7.16億㌧(1.51億㌧)

7.70億㌧(1.51億㌧)

8.50億㌧(2.11億㌧)

16.49億㌧(4.45億㌧)

1 新日本製鉄 (日本) 34.6 新日本製鉄

(日本) 32.9 新日本製鉄 (日本) 28.8 新日本製鐵

(日本) 28.4 Arcelor Mittal(欧州) 96.1

2 US Steel (米国) 28.5 US Steel

(米国) 21.1 Usinor (欧州) 23.3 POSCO

(韓国) 27.7 新日鐵住金 (日本) 50.1

3 British Steel (欧州) 25.6 日本鋼管

(日本) 14.0 POSCO (韓国) 16.2

Arbed (欧州) 24.1 河北鋼鉄

(中国) 45.8

4 Bethlehem Steel (米国) 18.7 Finsider

(欧州) 13.7 British Steel (欧州) 13.8

LNM (欧州) 22.4 宝山鋼鉄

(中国) 43.9

5 日本鋼管 (日本) 12.9 Bethlehem Steel

(米国) 13.6 USX (米国)

12.4 Usinor (欧州) 21.0 武漢鋼鉄

(中国) 39.3

6 Thyssen (欧州) 12.2 住友金属

(日本) 12.7 日本鋼管 (日本) 12.1

Corus (欧州) 20.0 POSCO

(韓国) 38.4

7 住友金属 (日本) 11.2 川崎製鉄

(日本) 12.7 ILVA (欧州) 11.5

ThyssenKrupp (欧州) 17.7 江蘇鋼鉄

(中国) 35.1

8 川崎製鉄 (日本) 11.0

Thyssen (欧州)

12.4 Thyssen (欧州) 11.1 宝山鋼鉄

(中国) 17.7 鞍山鋼鉄 (中国) 33.7

9 Finsider (欧州) 9.7 Usinor

(欧州) 9.2 住友金属 (日本) 11.1 日本鋼管

(日本) 16.0 首都鋼鉄 (中国) 31.5

10 Republic Steel (米国) 8.7 J&L

(米国) 8.8 川崎製鉄 (日本) 11.1 Riva

(欧州) 15.6 JFEスチール(日本) 31.2

17 (単位)各社数値の単位は百万トン、(出所)World Steel Association

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※日本企業は全て年度、宝山鋼鉄、ポスコ、アルセロール・ミタル、タタスチールは年、 ティッセンクルップは10/1~9/30決算に依る ※ブルームバーグより引用、日本企業は2014年度は見込み、1㌦=105.9円換算 ※新日鐵住金の2014年度営業利益見込みは未公表、ティッセンクルップは売上高、営業利益 率共に未公表 ※次スライドも同様

ムーディーズ格付け推移(Long-Term Rating) 注)神戸製鋼・日新製鋼の格付けは行われていない。

ムーディーズ

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

新日鐵住金 A1 A2 A3

(12年4/23)

A3 A3

JFEスチール A2 A3 Baa1 (12年5/23)

Baa1 Baa1

ポスコ A2 A3 Baa1 Baa2 (13年11/25)

Baa2

アルセロール ミッタル

Baa3 Baa3 Ba1

(12年6/11)

Ba1 Ba1

ティッセンクルップ

Baa3 Baa3 Baa3 Ba1

(13年1/24)

Ba1

国内外主要企業の収益状況

高炉各社の売上高・営業利益率

1.94 1.41

3.25

1.26

5.74

-3.14

-1.84

5.41

4.18

6.28

2.88

4.84

1.51

2.7

5.47 6.02

3.58

4.94 5.04

-4

-2

0

2

4

6

0

10000

20000

30000

40000

50000

60000

70000

80000

90000 営業利益率(2013年)

営業利益率(2012年)

売上高(2012年) 売上高

(2013年)

売上高 (2014年)

営業利益率(2014年)

百万㌦ %

(出所)各社IR資料、ブルームバーグ 18

Page 19: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

国内外主要企業のROEと自己資本比率

ROE(%) 2012 2013 2014 自己資本比率(%) 2012 2013 2014

新日鐵住金 (年度) -6 10 8 新日鐵住金 41 46 未公表 JFEHD (年度) 3 6 8 JFEHD 39 41 未公表 神戸製鋼所 (年度) -5 10 10 神戸製鋼所 26 32 未公表

日新製鋼(年度) -21 9 7 日新製鋼 26 29 未公表

宝山鋼鉄(年) 9 5 6 宝山鋼鉄 54 53 未公表 ポスコ(年) 6 3 1 ポスコ 54 54 53 アルセロール・ミタル(年) -6 -5 -2 アルセロール・ミタ

ル 44 47 46 ティッセン クルップ (10/1~9/30)

-46 8 未公表 ティッセン クルップ 7 9 未公表

タタスチール(年) -15 9 6 タタスチール 24 25 未公表

(出所)ブルームバーグ(3月末時点) 19

Page 20: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

新日鐵住金、

各国での鋼材市況の悪化等により、ドル建ての平均輸出価格は日中韓ともに近年下落傾向。 ただし、日本については、円建てでは、円高修正の影響により、2013,14年と価格が上昇。 各社の増益要因となった。

日本の平均鉄鋼輸出価格(ドル)

日本の平均鉄鋼輸出価格(円) 中国の平均鉄鋼輸出価格(ドル)

韓国の平均鉄鋼輸出価格(ドル)

平均輸出価格の推移

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

EU

米国

インド

韓国

中国

世界計

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

EU

米国

インド

韓国

中国

世界計

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

米国

日本

EU

インド

世界計

韓国

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

EU

中国

米国

世界計

インド

日本

(出所)鉄鋼連盟

20

Page 21: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

各国での鋼材市況の悪化等により、ドル建ての平均輸出価格は日中韓ともに近年下落傾向。 ただし、日本については、円建てでは、円高修正の影響により、2013,14年と価格が上昇。 各社の増益要因となった。

日本の平均鉄鋼輸出価格(ドル)

日本の平均鉄鋼輸出価格(円)

鋼種別平均輸出価格の推移

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

継目無鋼管

棒鋼

線材

亜鉛めっき鋼板

形鋼

熱延薄板類

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

継目無鋼管

棒鋼

線材

亜鉛めっき鋼板

形鋼

熱延薄板類

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

継目無鋼管

棒鋼

亜鉛めっき鋼板

線材

形鋼

熱延薄板類

韓国の平均鉄鋼輸出価格(ドル)

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

継目無鋼管

熱延薄板類

亜鉛めっき鋼板

形鋼

棒鋼

線材

中国の平均鉄鋼輸出価格(ドル)

(出所)鉄鋼連盟 21

Page 22: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

韓国ポスコの研究開発費は増加傾向。中国メーカーによる技術面での追い上げも加速。 鉄鋼業は他産業と比較して、研究開発費の売上に占める割合が低い。

研究開発費動向

ポスコのキム・ジェヨル・マーケティング戦略室長は「最近自動車用鋼板分野で韓国と中国の技術格差が3年から1年に縮小した。中国の追撃が予想よりも早い」と話した。価格競争力で優位に立つ中国が技術力でも韓国に迫り、ポスコは危機感を高めている。 (朝鮮日報14年2月3日) 「日本の技術は中国に徹底的に研究され、模倣され、そして分野によっては超えられつつあるというのが現実である」。宗岡正二・新日鉄住金会長は、3日に経団連会館で開催された日本鉄鋼協会創立100周年記念式典で記念講演を行い、中国鉄鋼業の技術キャッチアップに対して危機意識を強く持つべきだと提言した。(日刊産業新聞15年2月5日)

中国メーカーの技術力追い上げ

ポスコは、「鉄鋼本源競争力の強化」を目標に掲げて、2014年のR&D投資額を前年比20%以上増額した。 (鉄鋼新聞15年2月5日)

韓国メーカーの研究開発費増額

研究開発費 (売上割合) 売上高

新日鐵住金 644(1.2%) 55162

JFEHD 312(0.9%) 36669

神戸製鋼所 285(1.6%) 18247

日新製鋼 37(0.6%) 5764

ポスコ 522(0.9%) 55188

トヨタ 9105(3.5%) 256919

パナソニック 4788(6.2%) 77365

三菱重工 1385(4.1%) 33496

コマツ 644(3.3%) 19537

東レ 555(3.0%) 18378

22

研究開発費 2011 単体 /連結

2012 単体 /連結

2013 単体 /連結

2014 単体 /連結

新日鐵住金 (年度)

319/481 331/601 244/644 NA

JFEHD (年度) NA/319 NA/337 NA/312 NA

神戸製鋼所 (年度)

221/314 213/308 NA/285 NA

日新製鋼所 (年度)

NA NA/45 NA/37 NA

ポスコ(年) 370/438 364/438 NA/522 NA/698 宝山鋼鉄(年)

NA/625 NA/481 NA/540 NA

河北鋼鉄(年)

NA/300 NA/268 NA/282 NA

武漢鋼鉄(年)

NA/27 NA/28 NA/100 NA

アルセロール・ミタル(年)

NA/244 NA/227 NA/264 NA/274

各社の研究開発費

※ ブルームバーグから引用 ※ 宝山鋼鉄に関しては、平成26年度製造基盤技術実

態等調査事業(アジア主要鉄鋼企業の市場戦略調査)から引用

(単位:億円)

※ 研究開発費の売上高比率 (他産業との比較)

(2013年度) (単位:億円)

Page 23: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

3.世界的な過剰供給構造と通商摩擦

23

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0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

中国

EU

日本

アメリカ

インド

韓国

中国:8億2100万㌧ (14年)

(百万トン)

(年)

日本:1億1100百㌧ (14年)

【各国粗鋼生産量の推移】

1000

1200

1400

1600

1800

2000

2200

2400

粗鋼生産能力

粗鋼生産量

見掛消費量

(百万トン)

世界的な過剰供給構造(需給ギャップ)

世界の鉄鋼需要は、景気後退を受けて2009年に大幅減となったが、2010年以降回復。中長期的には、先進国が伸び悩む中で、新興国への需要シフトが一段と進展。

しかし、需要を上回る急激な粗鋼生産能力の向上により、世界の鉄鋼市場は、需給ギャップが生じており、過剰供給構造となっている。

【世界の鉄鋼市場におけるギャップ】

(出所)World Steel Association「 Crude steel production 」

15年粗鋼生産能力(予測): 23億1000万㌧

15年粗鋼生産量(予測): 16億5600万㌧

約6億5000万㌧

出典:OECD鉄鋼委員会統計、オーストラリア資源・エネルギー経済局統計より経済産業省作成

※13年の生産能力は推計値、14,15年の全データは予測値 24

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アジア地域での鉄鋼業の事業展開

アジアの成長マーケットでの鉄鋼需要を直接取り込むため、近年、各国鉄鋼メーカーが、 各地で高炉を建設。 日本の鉄鋼メーカーは、現在のところ、アジアでの粗鋼生産は行っていない.

(出所)報道より作成

POSCO(尼・バンテン州チレゴン) 1期300万トン(2013年稼働) 2期300万トン (計画)

POSCO(印・オディシャ州)

1200万トン (計画)

現代製鉄(韓・唐津)

1期400万トン(2010年稼働) 2期400万トン(2010年稼働) 3期400万トン(2013年稼働)

中国鋼鉄(台・高雄) 250万トン(2010年稼働)

タタスチール(越・ハティン省) 450万トン (計画)

台湾プラスチック(越・ハティン省) 2250万トン(2020年までの2期合計) (計画) (1期710万トンが2016年稼働予定)

首鋼集団(馬・トレンガヌ州) 1期70万トン(2015年稼働)

ライオングループ(馬・スランゴール州) 200万トン(2015~2016年稼働予定)

JFE(越・ダナン) 350万トン(FS中止)

宝鋼集団(中・広東省湛江) 893万トン (2015年9月稼働予定)

武漢鋼鉄(中・防城港市) 920万トン(2016年稼働予定)

山東鉄鋼集団(中・山東省日照市) 810万トン (2016年稼働予定)

25

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中国企業の粗鋼生産能力は、 2008年から2014年の間に約1.6倍となる見込み。更に2016年には、宝鋼等の複数の大型高炉一貫製鉄所の操業開始が予定されている。

韓国企業の粗鋼生産能力は、2008年から2014年の間に約1.5倍となる見込み。2015年半ばには、ポスコがインドネシアにおける高炉増設の是非を決定するとも言われている。

他方、中国の鋼材見掛消費量は、2014年に減少に転じた。(前年比▲3.8%)

※GDPは、約11兆7千億元(2008)から 約19兆2千億元(2014)へ約1.6倍に増加

※GDPは、約1180兆ウォン(2008)から 約1433兆ウォン(2014)へ約1.2倍に増加

中国・韓国企業の生産能力向上

(出所)IMF

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

110

120

2008 2009 2010 2011 2012 ※2013 ※2014

韓国企業の生産能力と国内消費

国外能力

国内能力

見掛消費

(百万トン)

※2013年は見込み値、14年は予測値 出典:OECD(生産能力)

1.5倍

0.9倍

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

2008 2009 2010 2011 2012 ※2013 ※2014

中国企業の生産能力と国内消費 国内能力

見掛消費 1.6倍

※2013年は見込み値、14年は予測値 出典:OECD(生産能力)

(百万トン)

1.6倍

26

Page 27: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

韓国 20,165 19,994 24,332 28,472 29,821 28,536 31,579

0

5

10

15

20

25

30

35

輸出量(百万トン)

韓国鋼材輸出量

2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年

中国 59,270 24,590 42,560 48,910 55,800 62,340 93,780

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

輸出量(百万トン)

中国鋼材輸出量

約1.6倍

約1.5倍

中国の鋼材輸出量は、リーマンショックの影響で一旦落ち込んだものの、生産能力の増強、内需の減少、増値税の輸出時の還付措置により、2014年に急増。

韓国の鋼材輸出量は、リーマンショック後も落ち込まず、2008年から2014年の間で、約1.6倍に増加。

約1.6倍

(出所)中国海関総暑 (出所)韓国政府通関統計

中国・韓国からの輸出の増加

27

Page 28: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

(出所)韓国鉄鋼新聞、中国物資価格信息、鉄鋼新聞

日本は、 2011年4月の75000円から、 一旦は2012年12月に57000円になったが、国内景気回復等に伴って上昇に転じ、2015年3月は66000円。

中国と韓国では、2011年以降下がり基調。 中国 2011年4月 5060元 → 2015年3月 2790元 ▲約45% 韓国 2011年4月 1010ウォン →2015年3月 750ウォン ▲約27%

ASEANでは、設備稼働率が下落を続け、近年は50%を大きく下回っている状況。

鋼材市況と設備稼働率

(日本:百円、韓国:千ウォン、中国:十元)

28 (出所)日本鉄鋼連盟資料

ASEAN6ヵ国の粗鋼生産と 生産能力および稼働率の推移

熱延鋼板の価格推移 (日本、韓国、中国)

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注) セーフガード調査の対象は全地域

AD調査国 被調査国(アジア)

中国 7件、 台湾 3件

韓国 2件、 越 1件中国、韓国 4件尼 2件、 台湾 1件中国 4件、韓国、台湾 3件日本、越、タイ、馬 1件

ベトナム 中国、台湾、尼、馬 1件インド 中国、韓国 3件、馬 1件中国 日本 1件台湾 中国、韓国 1件

中国 5件、韓国 4件、台湾3件印、日本 2件、 タイ 1件韓国 5件中国、印 4件、泰、尼 3件台湾、比、越 2件、日本 1件

メキシコ 中国 6件、 韓国 1件コロンビア 中国 2件

ペルー 中国 1件中国 7件韓国、台湾 3件、 越 1件中国、韓国、台湾 6件日本、タイ 4件馬 3件、尼 2件印、越 1件中国 6件、印 4件台湾 2件、韓国、日本 1件

ロシア 中国 3件トルコ 中国、台湾、馬、越 1件

豪州

EU

タイ

マレーシア

インドネシア

米国

カナダ

ブラジル

インドネシア 5件

インド 2件タイ 2件

コロンビア 2件マレーシア 1件フィリピン 1件エジプト 1件ヨルダン 1件モロッコ 1件

セーフガード調査国

AD/CVD SG

2011年 14件 2件

2014年 28件 8件

2011年から2014年にかけて、鉄鋼製品を対象とした貿易救済措置(注)の調査開始件数は倍以上に増加。

全世界で取られる貿易救済措置のうち、約2~4割が鉄鋼製品を対象としている。

全措置に占める鉄鋼関係の比率

AD 24.5%

CVD 41%

SG 17%

(参考)2011年以降に調査開始されたAD、SG ※シロ認定以外

注) 2015年3月末時点

通商摩擦の増加

(出所)OECD資料

AD: アンチ・ダンピング措置(特定国対象) CVD: 補助金相殺関税措置(特定国対象) SG: セーフガード措置 (全地域対象)

(注)輸入国における特別関税の賦課

29

(出所)日本鉄鋼連盟資料より 経済産業省作成

Page 30: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

米州諸国の懸念

30

米国、カナダ、メキシコ政府

連名ステートメント (2014年6月)

世界の鉄鋼生産能力の伸びが鉄

鋼需要を上回る場合、世界の企業は今後何年にもわたって著しい過剰供給問題に直面することに。

新たな能力増強や非効率設備の維持のための支援は、各市場におけるもっとも効率的な鉄鋼生産者をリスクに晒す。

過剰能力は世界的な問題である。過剰能力問題による影響を緩和又は最小化するために輸出を行う企業は、他の国における市場環境を破壊。

米Economic Policy Institute報告書

(2014年5月) 世界の過剰生産能力は5億トン

を超え、アジア金融危機後の2倍以上の水準。

不公正な輸入の急増は、米国鉄鋼生産者から市場と生産を収奪。

(特に中国、韓国、インド、他の鉄鋼輸出国における)国際的な過剰生産能力の急速な伸びは、世界の鉄鋼市場を不安定化。

米国鉄鋼業界の危機により、2013-2014年に貿易救済措置の

申請の波が押し寄せ、これは通常の水準を遥かに上回る。

貿易救済措置法の執行は、米国鉄鋼業界の生存に不可欠。

中南米鉄鋼協会ステートメント

(2013年12月) この地域は鋼材の輸出者か

ら輸入者に転じた。安価で大量の輸入は、不公正貿易課税措置に繋がる。

アジア(特に中国)からの輸入の伸びは、地域内の貿易に損害をもたらす。

大量の輸入によって雇用問題が発生。対処が必要。

輸入を監視し、不公正な貿易慣行を特定する必要。政府に産業空洞化対策の警鐘を鳴らす必要。

30

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尼クラカタウ・ポスコの稼働と通商摩擦 2013年12月、インドネシアにおいて、韓国ポスコと尼クラカタウの合弁会社による高炉が稼働

し、厚板、半製品等の出荷を開始。(投資額は約4000億円) インドネシア国内での販売先が得られなかった結果、高炉の稼働率が8割に達した2014年第2

四半期以降、台湾、マレーシアへの厚板輸出を急増させるとともに、タイ、韓国等への半製品の輸出を開始。

この影響等により、マレーシアで厚板に対するセーフガード調査が開始されたほか、台湾でも厚板に対するアンチ・ダンピング調査開始申請の可能性(※)が報じられるなど、新たな通商摩擦の引き金となっている。

(※)台湾向けの輸出が大きく伸びているインドネシアと韓国のみならず、大幅に減少している日本も対象との報道。日本が巻き添えを受けている事例。

31

Page 32: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

4.過剰供給構造下における事業展開

32

Page 33: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

生産拠点集約による競争力強化

高炉各社は、価格競争力強化のため、生産拠点を集約するとともに、集約先の設備の強化を実施中。

新日鐵住金

・君津製鉄所の第3高炉を休止。 他方、第2、第4高炉の出銑比の向上を予定。(2015年度末目途)

・八幡製鉄所小倉地区の第2高炉を休止。 他方、同製鉄所戸畑地区の第4高炉の出銑比向上等を予定。 (2018年度末目途)

<主な集約化の動き>

加古川製鉄所 (加古川市)

高炉2基 生産能力:約700万トン

神戸製鉄所 (神戸市) 高炉1基

生産能力:約100万トン →休止へ

神戸製鋼所

・神戸製鉄所の高炉を休止。(2017年度目途)

・他方、ブルーム連続鋳造設備の新設、溶銑予備処理設備の導入等、加古川製鉄所を強化。(総額500億円)

日新製鋼

周南製鋼所 (周南市、旧日新製鋼)

衣浦製造所 (碧南市、旧日本金属工業)

製鋼工程増強 製鋼工程休止へ

呉製鉄所

・衣浦製造所の製鋼工程を休止。(2015年末予定)

・他方、転炉設備の増強、連続鋳造設備の新設等、周南製鋼所を強化。(総額270億円)

八幡製鉄所小倉地区 (旧住友金属工業)

第2高炉休止へ

八幡製鉄所戸畑地区 (旧新日本製鐵)

出銑比向上

(出所)各社HP

33

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海外生産拠点設立の動き

高炉各社は、粗鋼生産ではなく、最終製品に近い鋼材を現地ユーザーにタイムリー、低コストで供給すること等を目的に、下工程(冷延、めっき等)を拡充。アジア中心に、下工程で外需取込み。

新日鐵住金

神戸製鋼所

・冷間圧造用鋼線製造・販売の合弁会社(メキシコ) 主要製品:冷間圧造用鋼線(CHワイヤー) 総投資額:43億円 出資比率:神鋼商事40%、メタルワン25%、神戸製鋼所10%、 大阪精工10%、 Simec10%・O&k American5% 稼働予定:2015年末

・鞍山鋼鉄集団公司との合弁会社設立(中国) 主要製品: 自動車用鋼板 総投資額: 290億円 出資比率: 神戸製鋼所49%、鞍鋼51% 稼働予定: 2016年

・特殊鋼圧延の合弁会社設立(中国) 主要製品: 自動車部品用特殊鋼 総投資額: 1億2400万ドル 出資比率: 日新製鋼55%、伊藤忠丸紅鉄鋼35%、 米ワージントン社10% 稼働予定: 2015年末

・アルセロールミタル(AM)との合弁会社設立(米国) 主要製品: 熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板 買収総額: 15.5億ドル 出資比率: 新日鐵住金50%、AM社50% 買収完了: 2014年2月

・クラカタウ(KS)との合弁会社設立(インドネシア) 主要製品: 自動車用鋼板 設備投資額: 3億ドル 出資比率: 新日鐵住金80%、KS社20% 稼働予定: 2017年半ば

JFEスチール

日新製鋼

・自動車用溶融亜鉛鍍金ラインの建設(インドネシア) 主要製品: 自動車用鋼板 総投資額: 3億ドル 出資比率: JFEスチール100% 稼働予定: 2016年3月

・大径溶接鋼管の合弁会社設立(UAE) 主要製品:パイプライン用大径溶接鋼管 総投資額:3億ドル 出資比率:JFE27%、SENAAT51%、MISI22% 稼働予定:2018年10月

(出所)各社HP

34

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35

【日韓5社の主な自動車用鋼板生産拠点】 国名 (2013年自動車生産台数 (万台))

新日鐵住金 JFEスチール 神戸製鋼所 日新製鋼 POSCO

中国(2212) BNA(50%) GJSS(50%) KAA (49%) (2016稼働)

Nisshin Steel (Nantong) High-Tech Sheet(90%) NBSS (20%)

POSCO(広東、重慶) (100%)

タイ(253) SUS(52.2%) NSGT(100%)

TCR(35%) TCS(81%) JSGT(100%)

POSCO-COATED STEEL (100%)

(2016稼働) インドネシア (121)

KNSS (80%) (2017稼働)

JSGI (100%) (2016稼働) 検討中(報道)

ベトナム(4) CSVC(30%) 検討中

マレーシア(60) BAHRU STAINLESS SDN. BHD. (30%)

インド(388) JCAPCPL(49%) JSW(15%) POSCO Maharashtra (100%)

米国(1105) AM/NS Calvert (50%) I/N TeK(40%) I/N Kote(50%)

PRO-TEC Coating (50%)

Wheeling-Nisshin (100%)

メキシコ(305) TENIGAL(49%) POSCO MEXICO (100%)

ブラジル(374) UNIGAL (30%)

欧州(1618) ArcelorMittal (技術提携) ThyssenKrupp (技術提携)

voestalpine Stahl (技術提携)

voestalpine Stahl (技術提携)

海外事業展開 ~自動車用鋼板~

自動車用鋼板の生産拠点は海外勢より進んでおり、近年は韓国メーカーも新興国への積極的な進出を図っている。

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海外事業展開 ~自動車用鋼管・棒線 / エネルギー用鋼管~

【日韓5社の主な自動車用鋼管・棒線生産拠点】 【日韓5社の主なエネルギー用鋼管生産拠点】

(出所)各社HP

36

新日鐵住金 JFEスチール 神戸製鋼所 日新製鋼 POSCO

中国

無錫NSP(60%) GYA(66%) 広州旭(20%)

嘉興JFE(51%)

KWP F(60%) KSW (50%) JYSF (60%) KSP (47%)

POS-SEAH STEEL WIRE (南通、天津)(25%)

タイ SNP (61%) TSP (55%)

Kobe CH Wire (30%) Mahajak Kyodo(28%)

検討中?

インドネシア 検討中?

ベトナム VSP (60%)

インド NPI (70%) ANS Steel Tubes (25%)

米国 Seymour Tubing

(80%)

Grand Blanc Processing

(20%)

Nisshin Automotive Tubing (89%)

メキシコ

Nippon Steel Pipe Mexico

(55%)

KCHM (50%) (2015稼働)

※神鋼商事40%、神戸製鋼所10%

POSCO MVWPC (67%)

(2015稼働)

欧州 Ascometal (技術提携)

ACERINOX (15%)

Ascometal (技術提携)

新日鐵住金 JFEスチール 神戸製鋼所 日新製鋼 POSCO

中国

Baoji-SMI Petroleum Steel Pipe

(25%)

BHNK (26% ) PYP(24%)

インド

サウジアラビア NPC (33%)

UAE

AL GHARBIA PIPE(27%) (2018稼働)

米国 Southern Tube (100%)

(2015稼働)

California Steel(50%)

USP (35%)

ブラジル VSB (40%)

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生産拠点の先行整備(自動車用鋼板)

○タイ

自動車生産台数は253万台(2013年)。 JFEスチール及び新日鐵住金が2013年に各1ライン稼働させており、新たにポスコが1ラインを着工。(計3ライン)

・JSGT 生産能力:40万トン/年 総投資額:3億ドル 出資比率:JFEスチール100% 稼 働:2013年4月

・NSGT 生産能力:36万トン/年 投資額 :3億ドル 出資比率:新日鐵住金100% 稼 働:2013年10月

・ポスコ(タイ) 生産能力:45万トン/年 稼働予定:2016年6月(予定)

○インドネシア

自動車生産台数は121万台(2013年)。 JFEスチール及び新日鐵住金が2016~2017年に各1ラインの稼働を予定。(計2ライン)

・JSGI 生産能力:40万トン/年 総投資額:3億ドル 出資比率:JFEスチール100% 稼働予定:2016年3月

・KNSS 生産能力:48万トン/年 設備投資額: 3億ドル 出資比率: 新日鐵住金80%、KS社20% 稼働予定: 2017年半ば

※ ポスコが新規立ち上げを検討中 仮に立ち上がった場合には、自動車用鋼板の現地生産能力が“過剰”となるおそれ。

自動車用の溶融亜鉛めっき設備は、1ラインで年間40万トン前後の鋼板処理が可能。自動車換算で80~100万台程度。1ラインにつき300~400億円程度の投資が必要。

タイ及びインドネシアでは、日韓企業が拠点を構築し飽和状態にあり、新たに参入しようとしても売り先が見つからないおそれ。

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日系企業と海外企業の加工流通拠点(例:タイ) 日系企業は、商社も含めて多くの加工流通拠点を現地に設置し、きめ細かい販売網を構築して

いる。他方、海外企業で現地に加工流通拠点を設けている例は少ない。

日系企業

海外企業

(出所)平成25年度アジア産業基盤強化等事業(アジア地域における鉄鋼産業基盤戦略調査)報告書

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機密性○ 機密性○

各国政府の保護主義的措置が特に多く見受けられる業界であり、「現地で生産 → 周辺国に輸出」というビジネスモデルが容易に成立しない。(通商摩擦のリスク)

投資先の国における確実な需要が見込まれるかどうかの見極めが肝要。(特に高炉については、減産が容易ではない。)

特に、大規模製鉄所の建設に当たっては、人権侵害・環境破壊を理由とした反対運動に直面も。

【ポスコのインド事業】

(人権問題)

ポスコは、年産1200万トンの高炉をインド・オディシャ州に建設する事業を計画する。

しかし、2013年10月、地元住民への影響等を理由に、国連人権高等弁務官事務所専門委員会が中止を勧告。

国連の同委員会が個別企業の事業に対して勧告を行うことは、極めて珍しい。

計画は現在も進行中。

海外事業に伴うリスク

【ティッセンクルップの米州事業】

(不十分な国内需要) (稼働率の低迷)

ティッセンクルップは、鉄鉱石産

地で半製品を製造、需要地近くで自動車向け高級鋼板に加工するサプライチェーンを想定して、ブラジルに高炉、米国には熱延工場(年産500万トン)等を設置。 しかし、十分な需要を開拓できず、

多額の赤字を計上した結果、米国工場を2013年に売却。

【ポスコのインドネシア事業】

(不十分な国内需要) (通商摩擦の発生)

ポスコは、約4000億円を投じ、

インドネシアに高炉・厚板製造ライン(年産300万トン)を設置。

しかし、インドネシア国内での十

分な需要がないため、周辺国へ大量に輸出。通商摩擦に発展。 同様の理由により、半製品を韓

国で引き取らざるを得ない状況も発生。

(出所)報道情報、各社HP

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(参考)ポスコ海外子会社の業績

(出所)ポスコFinancial Statementsから作成

ポスコは、韓国国内の需要鈍化を想定し、海外生産拠点を多数設立。 しかし、まだ殆ど利益を上げることができていない状況。

Zhangjiagang Pohang Stainless Steel

Qingdao Pohang Stainless Steel

POSCO-Thainox Public Company Ltd

POSCO-VST

POSCO-Vietnam

PT Krakatau POSCO

POSCO-Malaysia

POSCO-India Private

POSCO Maharashtra Steel

POSCO Electrical Steel India

POSCO ASSAN TST STEEL Industry

POSCO-Mexico

その他の海外子会社:計

合計

2014年損益(100万ウォン)

2014年損益(100万米ドル)

所在国 業種稼働年

(設立年)

7,336 7 中国 ステンレス製造・販売 (1997年)

-7,313 -7 中国 ステンレス製造・販売 2004年

3,799 3 タイ ステンレス冷延製造・販売 1993年

-4,416 -4 ベトナム ステンレス冷延製造・販売 2009年

-6,334 -6 ベトナム 冷延鋼板製造・販売 2009年

-250,848 -229 インドネシア スラブ・厚板の製造・販売 2013年

-5,933 -5 マレーシア 電気メッキ鋼板の製造・販売 2006年

71 0 インド 一貫製鉄所建設に向けた会社 (2005年)

-26,742 -24 インド亜鉛メッキ、冷延鋼板等の製造・販売(自動車、家電、建設向け)

2012年

189 0 インド 電磁鋼板(無方向性)の製造・販売 2013年

-14,543 -13 トルコ ステンレス製造・販売2013年

(2011年)

168 0 メキシコ 自動車用鋼板の製造・販売 2009年

101,676 93

-202,890 -185 40

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5.海外企業の動向

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【韓国における鋼材価格】

(出所)韓国鉄鋼新聞

(月)

【韓国2社の国内販売量・輸出量の変化】

※単位:千㌧ 2010 2014

ポスコ 国内

販売量 20383 18368 0.90倍

輸出量 11082 15969 1.44倍 ※2014年の国内販売量・輸出 量は非公表。 生産量は13年 比20%増。10年比70%増。

2010 2013

現代製鉄 国内

販売量 7805 13101 1.68倍

輸出量 3349 3316 0.99倍 (出所)2社IR資料

現代製鉄は、2010年~2013年にかけて高炉3基(1200万トン)を建設。

その影響等により、韓国国内の鋼材価格は下落傾向。

ポスコは、国内で現代自動車等向けのシェアを失い、輸出を拡大。海外での能力拡大も追求。

その間、ポスコの営業利益率は大幅に低下。(2010年:11.6% → 2014年:4.9%)

※ 2005年は27.2%

韓国メーカーの能力増強

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

6 8 10 12 2 4 6 8 10 12 2 4 6 8 10 12 2 4 6 8 10 12

2012 2013 2014

熱延鋼板

(高炉)

厚板

(一般)

亜鉛メッキ

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河北鋼鉄:欧州鉄鋼流通企業買収 2014年11月、鉄鋼商社であるデュフェルコ社(スイス)の子会社の株式51%を取得。

首鋼集団:マレーシアミニ高炉稼働 現地企業との合弁で南部ケママン地区に建設した年産70万トンの製鉄所の営業生産を2月に開始。

宝鋼集団:東南アジア下工程 (検討中) タイに鋼管工場、ベトナムで製缶工場を稼働。現在、自動車用鋼板の海外工場建設を検討中。

青山鋼鉄:東南アジア下工程 (計画) インドネシアにニッケル銑鉄工場、ステンレス製鋼工場を建設予定。

南京鋼鉄:インドネシア一貫製鉄所 (計画) 現地企業との合弁で、年産100万トンの一貫製鉄所を建設予定。

中国メーカーの海外進出

【2013年~】

新シルクロード(一帯一路)構想 中央・東南アジア、欧州・アフリカを取り込む開発戦略。アジアインフラ投資銀行(AIIB)が資金面のサポートを実施。(自国の過剰生産能力解消を狙ったものとの見方も。)

【2014年】

鉄鋼業規範条件適合企業リスト (工信部) 鉄鋼など企業再編・統合市場環境の更なる最適化に向けた意見 (国務院) 14~15年の省エネ・排出削減及び低炭素発展に向けた行動プラン (国務院) 生産能力を淘汰する企業リスト (工信部)

【2015年】

生産能力の海外進出推進(走出去)方針 (国務院)

鉄鋼、非鉄、建材、紡績などの産業が、国内設備を利用して海外で川上・川下に至るま

での関連生産ラインを建設し、製品・技術などの海外進出を実現するよう支援。

鉄鋼産業調整政策(素案) (工信部) 生産設備の稼働率を2017年までに8割に引き上げ。2025年までに世界で競争力を持つ大手鉄鋼グループを3~5社に集約。 (出所)各種報道

中国政府は、過剰生産能力を内政上の課題として問題視しており、過当競争防止、環境汚染防止の観点から様々な施策を実施。しかしながら、一連の施策で淘汰された設備は一部に止まる。

無秩序な能力増強は抑制する方針を示しているが、依然として多くの製鉄所建設・拡張を予定。 最近の施策では、「海外需要の創出・取り込み」、「生産能力の海外進出」を掲げており、中国企業

は海外市場開拓を模索。 今般、「鉄鋼産業調整政策」素案を公表。設備稼働率を2017年までに8割へ引き上げるとしている。

【中国政府の主な取組】 【中国企業の主な海外展開】

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東アジア企業が実施・検討中の設備投資

○高炉建設 (オディシャ州) 年産1200万トンの製鉄所建設を計画。2013年10月、地元住民への影響等を理由に国連人権高等

弁務官事務所専門委員会が中止を勧告するも、2014年1月、印韓首脳会談を機に計画前進。モディ印首相は計画継続の意向。

○高炉建設 (ジャークハンド州) インド鉄鋼公社(Sail)によれば、同公社が進める年産300万トンの一貫製鉄所建設に関心を表明。

○鉄鋼加工工場建設 (グジャラート州) 2014年12月、年産11万トンの鉄鋼加工工場新設を決定。

○溶融亜鉛めっき鋼板工場建設 (ラヨーン県) 年産45万トン規模の工場が2016年6月に竣工予定。 日系自動車メーカー向けのシェア拡大を狙う。

○ファイネックス建設 (重慶) 重慶鋼鉄との合弁により、年産300万トン規模の製鉄所を本年に着工予定。

○鋼板加工工場増設 (重慶) 2014年12月には、年産14万トン規模の第2工場新設のための増資を決定。

【インド】

○製鉄所拡張 高炉増設により、クラカタウ・ポスコの生産能力を年産300万トンから年産600万トンに拡張する計画

の実施の有無について、本年6月までの意思決定を予定。 高炉増設を見送る場合でも、自動車用鋼板工場等の新設を検討中。

【インドネシア】

【中国】

【タイ】

ポスコ :アジア各地で粗鋼生産能力の増強を計画。

(出所)各種報道 44

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東アジア企業が実施・検討中の設備投資

○特殊鋼工場建設 年産100万トンの特殊鋼工場が2016年2月に稼働予定。

○東部特殊鋼買収 東部特殊鋼(年産30万トン)の買収を計画。

【韓国】

現代製鉄 :高炉増設が完了し、韓国国内での特殊鋼向け投資を本格化。

宝山鋼鉄 :大規模製鉄所が本年9月に稼働予定。

○高炉建設 (広東省湛江) 年産893万トンの高炉一貫製鉄所の建設が進行中。本年9月に第1高炉、2016年に第2高炉、熱

延工場、冷延工場が稼働予定。

【中国】

中国鋼鉄 :ベトナムの大型製鉄所計画への増資を予定。

○高炉建設 台湾プラスチックの高炉一貫製鉄所計画(年産2250万トン。2016年から稼働予定。)への出資比率

を5%から25%に拡大予定。

【ベトナム】

○原料会社増資 2014年、鉄鉱石・原料炭採掘会社Aquilaの株式保有率を15%から85%に拡大。

【豪州】

○電磁鋼板工場建設 本年1月、電磁鋼板工場の稼働を開始。拡張計画は、内需の成長鈍化により当面見送りの模様。

【インド】

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6.環境の変化 (素材、設備、安全、環境、データ)

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素材間競争

これまでも、鉄道車両、航空機等に使用される素材が、鋼材からアルミ、炭素繊維強化樹脂等に置き換わってきた。

今後、鋼材の主要需要分野である自動車向けについても、軽量化ニーズに応えるため、同様の素材間競争が本格化する見込み。

【将来的な材料選択の例】

(出所)技術研究組合 47

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自動車用鋼板(ホットスタンプ材)

日本の鉄鋼メーカーが冷間加工用の高張力鋼板(ハイテン)に強みを有する一方、欧米自動車メーカーは、超高強度の鋼板に熱間加工用のホットスタンプ材を用いる傾向。

日本の自動車メーカーの間でも、ホットスタンプ材の使用を拡大する動きが出つつある。

ホットスタンプ工程(新日鐵住金HPより)

ホットスタンプ材の最近の動き

中国における自動車販売台数推移

■韓国ポスコのホットスタンプが、ルノーのコンセプトカー「イオラブ」に採用。 (鉄鋼新聞2015年2月5日)

■「新日鉄住金はマツダ(株)、アイシン高丘(株)と共 同で、2011年、世

界最高強度の引張強さ1800 メガパスカル級ホットスタンプ用鋼板を

使用したバンパービームを開発し、マツダのクロスオーバーSUV「CX―5」に世界で初めて採用され、「アテンザ」、「アクセラ」、「デミオ」などにも採用が拡大しています。」 (季刊新日鉄住金 Vol8)

■「ハイテン材を積極的に取り入れてきたトヨタ自動車でも、ホットスタンプ

の採用を拡大しようという動きが出始めている。15 年度に生産を開始

する次期「プリウス」に照準を合わせ、系列の部品メーカーがホットスタンプ材の供給に向けて準備を開始した。」 (2014年自動車年鑑)

(出所)戦略研レポート 2014.8.12(三井物産戦略研究所) 48

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49

設備老朽化対策、安全対策

高度成長期に建設された設備が老朽化。各地の多くのコークス炉は今後10年以内に改修時期を迎え、大規模な投資が必要となる見込み。

産業事故も近年多発。労働者の安全確保、重要産業への悪影響回避の観点から、対策の強化が求められている。

【鉄鋼業界における死亡者数の推移】

(出所)日本鉄鋼連盟「労働災害統計調査」

15

○新日鐵住金

・君津製鉄所 稼働時期: 2016年12月 投資額: 290億円

・鹿島製鉄所 稼働時期: 2016年8月 投資額: 180億円

○JFEスチール

・東日本製鉄所(千葉地区) ・西日本製鉄所(倉敷地区)

※稼働時期・投資額は非公表。

【実施中のコークス炉改修】

【設備トラブル数の推移】

1件

2015年 3月現在

2015年 3月現在

4名

49

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CO2削減対策 日本の鉄鋼業は、世界で最も高いエネルギー効率を実現。 更なる省エネ・CO₂排出削減を進めるため、省エネ補助金による設備投資支援、環境調和型製鉄

プロセス技術開発(コース50)の革新的技術開発等を実施。 鉄鋼業のエネルギー効率国際比較(2010年時点)

(出所)省エネ小委事務局資料「産業部門の省エネルギー対策について」より (出所)RITE『2010年時点のエネルギー原単位の推計』(指数化は日本鉄鋼連盟)

製造業のエネルギー消費原単位の推移

業種別温室効果 ガス排出量

鉄 鋼

29.7%

化 学

36.9%

製造業・業種別 エネルギー消費

素材系 77.3%

(出所)資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」を基に作成

非素形材

22.7%

紙・パルプ 5.4%

窯業土石 5.3%

2012年度

5,774(PJ)

(出所)環境省・経済産業省「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度による「平成22(2010)年度温室効果ガス排出量の集計結果」

50

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データの更なる活用

品質改善、生産効率改善、事故・設備トラブル防止、技能伝承、省エネルギー促進の観点から、製造業でも、データの取得、ビッグデータの活用に向けた検討が進みつつある。

鉄鋼業界でも、将来の企業競争力を左右する可能性がある課題。

(1)製造物にセンサー等をつけることでデータを取得 ⚪商品にセンサー等をつけて稼働状況管理・予防保

全サービス提供へ コマツ(KOMTRAX)、DMG森精機(MORI-NET) ⚪プラントにセンサーを張り巡らせて事故を予防 中国電力(島根原発) (2)生産工程にセンサー等を張り巡らせて生産工程を

見える化 オムロン(富士通)、東芝機械(NEC) (3)暗黙知の形式知化等その他の取組 ⚪熟練者のノウハウを見える化

ダイセル(ダイセル式生産方式) ※化学品製造過程の温度管理、異常発生

時対応等の職人技をITマニュアル化

他業界における取組の例

(図の出所)JFEスチールHP

鉄鋼業界における可能性

(例) 熱間圧延プロセス 加熱炉から巻取り機に至る長い工程の操業条件データを集約し、個別製品の品質データと照合して分析を行うことで、品質に合わせた最適な操業条件を自動的に特定(更には最適条件による各工程の自動制御)を実現できないか。

51

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7.電炉業(普通鋼、特殊鋼)

52

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電炉の生産能力と生産量(千トン) 棒鋼と鉄スクラップの価格推移(円) 注)緑線は棒鋼価格、スクラップ価格の価格差

粗鋼生産に占める普通鋼電炉メーカーの割合は約2割。 普通鋼電炉製品は殆どが建設資材用であり、約5割が鉄筋用の小型棒鋼(年産約900万トン)。 建設需要が中長期的に減少傾向にある中、 生産能力が過剰との見方も。 生産コストの4~6割を占める原料(鉄スクラップ)価格の上昇に加え、建設需要の減少、電気料金の値上げ

等の影響により、昨年2,3月に東京、埼玉、北海道の3社が事業撤退(現在は全32社)。 2014年度は、原料価格の下落、製品価格の安定により、上場メーカーの多くは増収増益見込み。

(出所)経済産業省「生産動態統計」 ※生産能力は、基数・容量に、一定の係数等を乗じて算出されたもの (出所)日本経済新聞

普通鋼電炉メーカーの特徴

77.2

51.3

59.7

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

50,000 生産能力(千トン)

生産実績(千トン)

設備稼働率(%)

53

112,000

51,000

61,000 68,000

12,000

23,500

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

2002

年1月

2003

年1月

2004

年1月

2005

年1月

2006

年1月

2007

年1月

2008

年1月

2009

年1月

2010

年1月

2011

年1月

2012

年1月

2013

年1月

2014

年1月

7月

20

15年

1月

差額

棒鋼価格(円)

スクラップ価格

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(出所)各企業のIR情報

社名

売上高 営業損益 経常損益 当期損益

金額 (百万円)

前年同期比(%)

金額 (百万円)

前年同期比(%)

金額 (百万円)

前年同期比(%)

金額 (百万円)

前年同期比(%)

共英製鋼

4~12月 135,785 5.9 8,290 806 8,819 678 5,245 -

通期予想 185,000 5.9 12,000 420 12,500 400 7,000 -

東京製鉄

4~12月 124,367 26.8 9,135 593.3 9,626 395.3 5,784 305.5

通期予想 162,000 16.5 12,500 413.5 12,500 294.2 10,000 331.9

合同製鐵

4~12月 97,300 ▲0.4 2,381 - 3,014 - 2,120 -

通期予想 130,000 ▲0.8 3,500 - 4,000 - 2,600 -

大阪製鐵

4~12月 51,501 2.2 6,562 141 6,703 127.8 4,379 153.9

通期予想 68,000 ▲1.4 8,800 79.4 9,000 74.7 5,900 329.0

普通鋼電炉メーカーの業績(2014年度)

※JFE条鋼は非上場企業のため記載せず 54

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○大同特殊鋼 ・知多工場に高機能新鍛造機を導入。(2015年)

(総額16億円) ・渋川工場に真空誘導溶解炉(22㌧VIM)を導入、 特殊二次溶解炉を増強。(2014-15年度)(総額60億円) ○日立金属 ・安来工場に大型真空誘導溶解炉(20㌧VIM)を導入。

(2015年)(総額70億円) ・日立金属MMC スーパーアロイ(2014年7月に子会社化)

に大型リングミルを導入。(2016年)

特殊鋼電炉メーカーの国内設備投資

航空機、自動車、エネルギープラント向け高級特殊鋼の需要を満たすべく、特殊鋼各社は国内での設備投資を積極的に実施。

最近の設備投資事例

※大同特殊鋼HPより

2530

1000

1500

2000

2500

3000

特殊鋼生産量推移 万トン

7,664

14,036

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

特殊鋼輸出額推移 億円

(出所)各企業のHP

55

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(出所)各企業のIR情報

社名

売上高 営業損益 経常損益 当期損益

金額 (百万円)

前年同期比(%)

金額 (百万円)

前年同期比(%)

金額 (百万円)

前年同期比(%)

金額 (百万円)

前年同期比(%)

日立金属

4~12月 716,750 24.3 54,013 31.2 54,722 28.5 43.317 87.9

通期予想 990,000 22.5 77,000 29.3 72,500 19.1 46,000 16.7

大同特殊鋼

4~12月 361,285 7.5 14,063 ▲4.8 16,340 2.2 9,301 ▲5.3

通期予想 490,000 7.0 20,000 5.4 22,000 8.4 10,000 ▲20.7

山陽特殊鋼

4~12月 128,191 8.3 6,159 10.1 6,806 20.6 4,795 36.9

通期予想 170,000 5.2 8,300 20.6 8,000 18.5 5,500 35.3

三菱製鋼

4~12月 89,339 7.9 3,690 ▲5.8 4,744 ▲7.4 2,873 ▲16.3

通期予想 116,800 4.7 5,300 11.6 5,400 ▲8.7 3,200 ▲5.1

特殊鋼電炉メーカーの業績(2014年度)

56

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事業所間連携・集約による競争力強化

特殊鋼・普通鋼電炉メーカーの中には、価格競争力強化、技術力強化、販路拡大のため、国内で事業者間連携、生産拠点集約等を実施する事業者も。

日立金属(島根県)

・MMCスーパーアロイ(埼玉県)の発行済株式の51%を取得。(2014年7月)

<近年の主な動き> (都道府県名は工場所在地)

新関西製鐵(大阪府)

・星田工場(大阪府交野市)の製鋼工程を休止し、同工程を堺工場(大阪府堺市)に集約。(2015年4月)

王子製鉄(群馬県)

・中央圧延(2014年3月に事業撤退した普通鋼電炉メーカー)の圧延工場(埼玉県)を譲り受け、王鉄圧延株式会社を設立。(2014年4月)

東京鉄鋼(栃木県)

・拓南製鐵(沖縄県)(2008年)に続き、新関西製鐵(2013年)(大阪府)、伊藤製鐵所(茨城県)(2014年)との間で、製造委託契約を締結。清水鋼鐵(北海道)とは技術提携委員会を発足。(2013年)

東京製鉄(岡山県)

・岡山工場の製鋼工程を一部休止し、同工程を田原工場(愛知県)に集約。(2015年4月)

中山製鋼所(大阪府)

・厚板工場の休止等、不採算製品・事業から撤退。(2012年~)(地域経済活性化支援機構による再生支援)

(出所)各企業HP、プレスリリース 57

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8.政策的対応

58

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革新的構造材料開発への支援

自動車用パネルにおける燃費改善に向けた更なる軽量化への要請に応えるため、鋼板、アルミ、チタン、マグネシウム、炭素繊維複合材料等を適材適所に使うための技術開発を、ナショナル・プロジェクトとして支援。

本技術開発を通じ、我が国鉄鋼メーカー及びユーザー産業の産業競争力強化を図る。

【経済産業省】 ナショナル・プロジェクトを通じた支援

【鉄鋼の場合】 素材間競争・軽量化に向けた技術開発の実施

技術開発の方向性 【革新鋼板の開発】 【接合技術の開発】

我が国(鉄鋼メーカー・ユーザー)の産業競争力の強化 59

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原料コスト削減・環境対策への支援

事業の内容 事業イメージ

目的:高効率コークス炉開発、低品位原料の利用幅拡大

日本の鉄鋼業を根幹で支える高炉製鉄法にとって、コークスは必要不可欠な原料との位置づけ。資源対応により低品位の材料を使用せざるを得ない。

このコークスを製造するためのコークス炉は、巨大な煉瓦構造物で、設備の老朽化が進み、石炭資源問題、環境問題など多くの課題に直面している。更新に際しては高効率のコークス炉建設が必要。

SCOPE21開発効果 ⇒ コークス製造コスト△18%

事業概要

導 入 実 績

イメージ図

石炭資源有効活用 低品位炭使用比率を20%から50%に増配

生産性拡大 現状設備に対してパイロットプラントでは2.4倍に拡大→設備費△16%削減

環境改善 乾留炉Noxを30%削減、発煙・発塵の防止

省エネルギー コークス製造所要エネルギー△21%削減

新日鉄住金大分製鉄所(平成20年~) 新日鉄住金名古屋製鉄所(平成25年~)

※導入後生産性:1.7倍に向上

稼働後50年経過するコークス炉数の分布

60

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CO2排出削減対策への支援

事業の内容 事業イメージ 目的:CO2発生量の約3割削減の技術開発

コークス製造時に発生する高温の副生ガスに含まれる水素を増幅し、一部コークスの代替として当該水素を用いて鉄鉱石を還元する技術の開発。

低炭素社会の実現に向けて、CO2濃度が高い高炉ガスからCO2を分離するため、製鉄所内の未利用低温排熱を利用した、新たなCO2分離・回収技術の開発。鉄鉱石還元の技術開発を合わせCO2発生量の約3割削減を目指す。

平成27年度には、水素還元技術の開発を行うため、ミニ試験高炉の建設・試運転や、コークス炉ガスから取り出した水素を安定的に増幅するためのベンチプラントの建設等を行う。

事業目的・概要

COURSE50 を支える技術 コークス改良

COURSE50 を支える技術

改質による水素増幅

新技術1

CO2水素還元

CO2を減らす技術

現行の製鉄プロセス

高炉ガス (BFG)

溶銑

新技術2

COURSE50 を支える技術 未利用排熱回収

焼結鉱

コークス

コークス炉ガス (COG) 高炉

焼結工場

コークス工場 その他 スラグ

未利用排熱

CO2 分離 装置

CO2 回収

CO2 を含まない 高炉ガス

他工程使用

CO2を分離・回収する技術

CO2分離・回収

開発ロードマップ 2008 2012 2013 2015 2017 2020 2030 2040 2050

フェーズ1 Step1(5ヶ年)

要素技術開発

水素による鉄鉱石還元と高炉ガスからのCO2分離回収 等の「要素技術開発」事業費:103億円

フェーズ1 Step2(5ヶ年)

総合技術開発

ミニ試験高炉を主体とした水素還元とCO2分離 回収を統合した「総合技術開発」

実用化開発

フェーズ゙2

2030年頃までに 1号機の実機化(予定)

高炉関連設備の更新タイミングを踏まえ、2050年頃までに普及を目指す

実用化・普及

61

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通商問題への対応

貿易救済措置(アンチ・ダンピング、セーフガード)への対応

貿易相手国による貿易救済措置の調査・発動に際して、我が国鉄鋼業への影響の大きい案件については、政府間協議や官民対話の場を通じて働きかけを実施。

WTO紛争解決機関の活用

政府間協議や官民対話によっても改善が図られず、その影響が特に大きい案件については、WTO紛争解決機関による調停を実施。

2012年12月、中国によるステンレスシームレスAD措置についてWTO紛争解決機関へ協議要請を行い、2013年にパネルが設置。2015年2月、我が国の主張を概ね認めるパネル報告書が配布。

強制規格等への対応

他国の強制規格及び適合性評価手続きの策定にあたり、日本の試験機関の活用等による運用改善や、特定用途等の強制規格対象の除外の働きかけを実施。

関税減免のための取組

無税枠設定の交渉や、免税制度の改善、関税評価問題への対応を実施。 EPA交渉への対応

関税交渉における、相手国の関税削減、無税枠制度設定等の交渉のほか、原産地規則、強制規格、 貿易救済措置等の各交渉項目において、貿易障壁の解消に対応。

62

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国際的な過剰能力削減に向けた取組

リーマンショック後、世界的な(特にアジア地域における)供給過剰状況が年々深刻化し、世界各国の鉄鋼メーカーの経営を圧迫。

そのため、OECD鉄鋼委員会(※)は、2012年から、過剰生産能力問題への対応について議論を開始。

(※) 中国、ブラジル、ロシア、マレーシア、南アフリカ等の非OECD加盟国も出席。

我が国が議長を務めたOECD閣僚理事会(2014年5月)でも問題提起があり、議長サマリにおいて「鉄鋼業等における過剰能力問題への対応の必要性」に言及。

これを受けて、鉄鋼委員会(同年6月、12月)では、生産能力増強や非効率設備維持に資する

政府補助金、水際措置の濫用、政府系金融機関の支援等について懸念が提起。

これらを牽制する観点から、まずは各国・地域の製鉄所新設・拡張プロジェクト、その背景にある政府支援措置について調査・情報共有を進めることに合意。

63

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過剰能力問題に関するOECD報告書(2015年2月)

OECDは、2015年2月、「Excess Capacity in the Global Steel Industry and the Implications of New Investment Projects」と題 する報告書を公表。主なポイントは、以下のとおり。

鋼材消費の伸びが緩やかな一方、多くの国で投資が予定されており、産業界と政府が協調

した対応をとらない限り、生産能力と需要の国際的不均衡が産業界の将来にとってのリスクとなる。(能力の拡大はアジアが最大である。)

過剰能力の背景には、補助金、貿易関連措置、政府系金融機関の活動等、政府による市

場への介入がある。

ある地域の過剰能力は別の地域の生産を置き換えるため、自国産業を保護しようとする政府との間での通商摩擦の増加が顕著である。

政府の役割は、市場を適切に機能させ、人為的な生産能力維持を回避することである。政府は、新規能力の拡大を促進し、不採算企業の退出を遅らせるような市場歪曲的措置の除去等に向けて、取り組む必要がある。

OECDは、2015年以降も、政府施策が過剰能力に及ぼす影響の分析、 新規投資案件のデータベース整備(資金供給源や政府支援措置を含む) 、過剰能力問題に関する政治レベルでの議論等、取組を継続する予定。 64

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POSCOインドネシア高炉一貫製鉄所の資金源

保証提供先 保証金額 (百万ドル)

ANZ 74

BOA 35

三菱東京UFJ 119

Credit Suisse AG 91

HSBC 91

Export-Import Bank of Korea 567

みずほ 105

SCB 108

三井住友 140

東京スター銀行 21

(出所)POSCO 2014年第3四半期会計報告書(2014年12月公表)

韓国POSCOが2013年12月にインドネシアで高炉一貫製鉄所(第1期:年産300万トン)を建設。現在、POSCOは能力増強を検討中(第2期:年産300万トン)。

供給過剰状況の下、インドネシア国内での販売先確保が難航。その結果、同国からマレーシア・台湾への輸出が急増し、通商摩擦に発展。

第1期の総投資額30億ドル超のうち、韓国輸出入銀行の融資総額は12億ドルとの報道も。 投資採算性を疑問視する声があった中、政府の支援を受けて成立した事業。

【POSCOが支払保証を行っている融資】 (インドネシア高炉事業関連)(公表分のみ)

65

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エネルギー使用合理化事業者支援補助金(省エネ補助金)は、工場、事務所等における省エネ設備導入(既存設備の置換え)や省エネ改修に要する費用を補助する事業。平成26年度までの17年間で約7000件の支援を実施。

近年、省エネ投資意欲の高まり等を背景として、省エネ補助金の申請件数は急増傾向。鉄鋼業は活用件数が多い業種の一つであり、投資の費用対効果も高い。工場間で一体となった省エネの取組の支援(複数工場にまたがる生産ラインの集約、コンビナート内連携)も今後進める予定。

(出典)平成26年10月1日 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会(第5回) 資料2より引用(全図)。

(平成26年度)

(平成26年度)

省エネ投資の支援

A工場

B工場

上行程 下行程

A製品出荷

B製品出荷

存続 廃止

集約 新設

工場間で一体となった省エネの取組事例

66

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平成25年度 ・日本の防災鉄鋼技術の導入に向けたインドネシア側のニーズ、関連産業の成熟度等の調査を実施。 ・日本の防災鉄鋼技術の現地化シーズ技術の調査を実施。カスタマイズド・リストを作成。

防災鉄鋼技術の海外普及支援

インドネシアにおいて、日本の優れた防災鉄鋼技術を普及させることにより、現地の防災事業に貢献。あわせて、日本からの鋼材輸出市場を開拓。

平成26年度

・専門家派遣、受入研修により、インドネシア側の政府関係者、技術者、大学関係者等に対して日本の鋼構造、防災鉄鋼技術について啓蒙。

平成27年度以降も継続し、日本方式の浸透を目指す。

67

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東京鉄鋼(株) (東京都千代田区)

資本金:58億3,900万円 従業員:463名

建設用の鉄筋である「ネジテツコン」を開発。鉄筋の表面にネジ状の節を持つ高強度の異形鉄筋。世界シェアは50%。

従来の鉄筋であれば、ガスで加熱して溶接

する必要があるが、同製品は手動でネジ締めによる接合ができる。そのため、大型機械や熟練した職人が不要であり、雨天でも作業が可能になったため、建設コストの大幅な削減と品質向上に繋がった。

(株)シルド (東京都中央区)

資本金:4,000万円 従業員:126名

鉄・ステンレスを塑性加工により異形断面にした「異形引抜製品」を製造。多くの機械の心臓部の部品として使用されている。海外で高いシェアを占める。

原子炉制御棒の構造用部材の製造で培われ

た製造技術により、核熱融合炉のトロイダイルコイルのカバープレート、発電機回転子の楔等に生かされ、その多くが輸出されている。

販路拡大支援(GNT企業の選定) グローバル展開に優秀と認められる実績がある企業を「グローバルニッチトップ企業(GNT)100選」

として選定。 ブランド力の向上を通して、海外販路拡大を支援。

68 (出所)各社HP

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平成26年2月:

- 消費税の円滑な転嫁のため、「鉄鋼産業取引適正化ガイドライン」を改訂。

平成26年10月:

- 原材料・エネルギーコストの増加を受け、適正な価格転嫁を要請する文書を、経済産業大臣名で発出。

- 適正な価格転嫁、年末の資金繰りへの配慮を要請する文書を、公正取引委員会との連名で発出。

平成27年4月:

- ガイドラインに関するアンケート調査(日本鉄鋼連盟と協力して実施。21団体1600社、高炉下請事業者2000社が対象。)の結果を踏まえ、ガイドラインを再改訂・公表。

- 価格転嫁の実施状況に関するアンケート調査の結果を公表。

価格転嫁対策(サプライチェーン強靭化) 鉄鋼業(川上)と自動車等のユーザー産業(川下)の間には、圧延、加工、鋳鍛造等の産業群(川中)が存在。 鉄鋼業とユーザー産業の競争力の維持・強化には、強靭なサプライチェーン(川中産業、関係会社)が不可欠。 サプライチェーン強化のため、消費税の円滑な転嫁等を目的として、昨年2月に「鉄鋼産業取引適正化ガイドラ

イン」を改訂。本年3月には、原材料・エネルギーコストの円滑な転嫁等のため、同ガイドラインを再改訂。 鉄鋼業では1年前と比較して転嫁が進みつつあるが、着実な転嫁の実施に向けて引き続き取り組む予定。

(無理な条件での取引を受け入れたことがあるか) 当省の取り組み 2014年12月~2015年2月実施アンケート結果

2014年1月実施アンケート結果

ある ない そもそも問題となる取引慣行はない

21件 304件 579社

883社 (2.3%) (33.6%) (64.1%)

コスト増加分を製品価格に

反映できない

支払期間 の長期化

一方的な原価低減率の

提示

発注書面 の不交付

一方的な予算単価・価格の提示の要求、指値発注

11件 6件 4件 3件 3件

ある ない 64件 728件

(8.1%) (91.9%)

コスト増加分を製品価格に

反映できない

支払期間 の長期化

一 方 的 な 予算単価・価格の 提 示 の 要求、指値発注

発注書面 の不交付

分割納品の支払に係る問

35件 24件 14件 13件 13件

1年前と比較して改善

69

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【漏えい】方向性電磁鋼板の製造プロセスおよび製造設備に関する情報(設計図等)

【現状】賠償請求(約1000億円)・差止め請求(日本、米国、韓国で係争中)

元社員

元社員がポスコと共謀して漏えい

(報酬:数億円)

情報の再漏えい

社員

営業秘密保護の強化

電磁鋼板は日本で開発された技術水準の極めて高い製品。しかし、①韓国ポスコへの技術流出、②韓国ポスコからの中国企業への(再)技術流出により価格が大幅に下落。技術管理が重要。

営業秘密保護強化のため、不正競争防止法の改正案を本年の通常国会に提出。

情報の漏洩の実態 (従業員や取引先など人材を経由したもの)

※括弧内は従業員数3001人以上の企業における割合

漏えいはない 70.3%

その他 16.2%

明らかに漏えい事例があった 6.6%(23.7%)

おそらく情報 流出があった 6.9%(16.2%)

(出典) ・経済産業省『平成24年度人材を通じた技術流出に関する調査研究』アンケート調査より(回答約3000社) ・帝国DB 営業秘密に関する企業の意識調査(平成26年9月11日:回答約11.000社)

技術流出の結果としての価格下落 (方向性電磁鋼板)

050

100150200250300350400450

輸出単価の推移

電磁鋼板

溶融亜鉛めっき鋼板

継目無鋼管

溶鍛接鋼管

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

輸出金額の推移

電磁鋼板

溶融亜鉛めっき鋼板

継目無鋼管

溶鍛接鋼管

千円

億円

70

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安全対策

昨年の一連の鉄鋼各社の事故を踏まえ、以下の取り組みを実施。 ①3省庁連絡会議と連携し、鉄鋼業の「防災自主行動計画」を策定。 ②過去10年間程度の官民の取組状況の検証を実施中。

①平成15年の鉄鋼、化学等の事故を受け、経産省がアンケート調査を実施。その結果をもとに、同年12月、産業事故の発生要因を分析。対応の方向として、(ア)経営トップの役割、(イ)保安技能の伝承・教育の充実、(ウ)設備のリスク管理、(エ)事故情報の共有等の4点を提示。

②平成18年7月、死亡事故の急増を受け、経産省から日本鉄鋼連盟・鉄

鋼各社に対し、鉄連における安全衛生推進本部の新設、事故原因の抽出、会員各社間での情報共有等を要請。同年9月、日本鉄鋼連盟・高炉5社(当時)は、各々が取り組む事故対策や活動内容を提示。

③平成24年の死亡事故急増を受けて、同年11~12月、経産省がアン

ケート調査とヒアリングを実施。その結果をもとに、平成25年2月、(ア)設備老朽化、(イ)体制・基準等の不備、(ウ)従業員の知識・認識・経験不足の3点を課題として挙げ、業界が取り組むべき対策を提示。

④上記3つを含む過去10年間程度における官民の取組の効果検証等を

目的に、平成27年2月より、経産省が鉄鋼各社・鉄連に対しアンケート調査とヒアリングを実施中。

石油コンビナート等における災害防止に向けた自主行動計画

はじめに 1.日本鉄鋼連盟のこれまでの活動状況 2.事故の発生状況と課題について 3.報告書で示された業界団体が取り組む

べき事項 4.当連盟の具体的な取り組み 5.当業界における喫緊の課題 6.喫緊の課題に対する取り組み 7.本行動計画の取り扱い

産業事故防止に向けた取組の例

71

(平成27年2月公表)

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金属素材は、自動車や航空機などの需要分野向けに、一段の高機能化と素材間の垣根を越えた組合せが求められ、また、中国・韓国の厳しいキャッチアップにも直面。

こうした状況の下、金属産業の競争力を将来にわたって維持・強化するためには、①需要家目線で素材トータルのベストソリューションを提案するための技術開発の加速、②国内製造基盤の強化、③グローバルな事業環境の整備 等が必要。

今後、新たに研究会を開催し、2030年以降も見据えた中期的視点で「金属素材競争力強化プラン(仮称)」を策定する予定。

①技術開発戦略 ・対象領域の特定 ・技術開発プロジェクトの立案 ②国内製造基盤強化戦略 ・デジタルデータの活用による競争力強化 ・産業事故の防止 ・事業再編 ・サプライチェーンの強化 ・環境問題への対応 ③グローバル戦略 ・技術流出の防止 ・資源活用

研究会テーマ(案)

・高炉 ・特殊鋼専業 ・普通鋼専業 ・非鉄金属 ・ユーザー企業団体

参加企業

研究会体制(仮)

金属素材競争力強化プラン(仮称)の策定

72

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9.論点

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・国内において、生産・雇用を維持しつつ、更なる収益力向上を図るための課題・方策。

・「成功する海外投資」 v. 「過剰能力・通商摩擦助長に終わる海外投資」の見極め方。

・国際的な過剰能力構造を緩和するための方策。 ・今後目指すべき技術開発の方向性。

74

Page 75: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

(参考)

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日中韓の輸入比率(2014年)

○中国の見掛け消費量に対する輸入比率

○韓国の見掛け消費量に対する輸入比率 出典:国家統計局(生産)、税関総署(輸出、輸入)

出典:韓国鉄鋼協会(生産)、韓国政府通関統計(輸出、輸入)

※中国の厚中板、熱延広幅帯鋼の生産量は特殊鋼を含み、輸入量、輸出量は普通鋼のみのため、輸入比率が実態以上に低くなっている。

○日本の見掛け消費量に対する輸入比率

(出所)経済産業省、日本鉄鋼連盟(生産)、財務省(輸出、輸入)

※韓国の熱延広幅帯鋼の生産量は、狭幅も含むみ、輸入量、輸出量は含まないため、輸入比率が実態よりも低くなっている。

生産量(千トン) 輸入量(千トン) 輸出量(千トン) 国内消費(千トン) 輸入比率(%)

形鋼 4,523 1,699 1,469 4,753 35.75%

棒鋼 611 1,927 737 1,801 107.00%

線材 13,170 1,504 952 13,722 10.96%

厚中板 9,385 2,609 2,982 9,012 28.95%

熱延広幅帯鋼 10,749 4,831 6,108 9,472 51.00%

冷延鋼板類 7,760 722 4,577 3,905 18.49%

生産量(千トン) 輸入量(千トン) 輸出量(千トン) 国内消費(千トン) 輸入比率(%)

形鋼 6,702 106 867 5,941 1.79%

棒鋼 10,025 43 299 9,768 0.44%

線材 1,939 479 711 1,706 28.06%

厚中板 10,571 947 2,818 8,700 10.88%

熱延帯鋼 17,530 1,722 11,368 7,885 21.84%

冷延鋼板類 6,397 1,005 2,837 4,564 22.01%

生産量(千トン) 輸入量(千トン) 輸出量(千トン) 国内消費(千トン) 輸入比率(%)

形鋼 69,695 306 4,443 65,558 0.47%

棒鋼 294,697 566 19,434 275,829 0.21%

線材 153,834 638 11,434 143,038 0.45%

厚中板 73,664 963 178 74,449 1.29%

熱延広幅帯鋼 175,973 1,825 86 177,712 1.03%

※日本の線材・厚中板の輸入量には、中国からの合金鋼輸入を含む。

76

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高炉、特殊鋼電炉、普通鋼電炉の市場規模

新日鐵住金 5.52

神戸製鋼 1.82

JFEスチール 3.67

1.1 1.1

高炉4社 (2013年度)

特殊鋼専業10社 (2013年度)

普通鋼電炉32社 (2013年度)

日新製鋼 0.57

市場規模(売上合計)は、高炉11.6兆円、特殊鋼電炉1.1兆円、普通鋼電炉1.1兆円。

新日鐵+ 住友金属

4.63

神戸製鋼 1.44

JFEスチール 2.8

高炉 (2004年度)

日新製鋼 0.65

9.5兆円 11.6兆円

※特殊鋼専業市場規模は、鉄鋼年鑑より引用(単独決算) ※非上場企業の存在により売上高の積み上げができないため、普通鋼 電炉は、異形棒鋼価格×普通鋼電炉の粗鋼生産量で推計 ※普通鋼電炉市場は価格の変動が激しいため、市場規模も大きく変動 2003年度:41292円×2149万㌧=0.887兆円 2004年度:59750円×2170万㌧=1.297兆円 2012年度:56417円×1762万㌧=0.994兆円 2013年度:62920円×1753万㌧=1.1兆円

1.1

特殊鋼専業10社 (2004年度)

1.3

普通鋼電炉45社 (2004年度) (出所)各社IR資料

77

Page 78: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

エネルギー効率

100 104

112 117

123 124 132

136

60

80

100

120

140

日本 韓国 ドイツ 中国 英国 インド 米国 ロシア

世界一のエネルギー効率

(日本のエネルギー原単位を100とした指数)

軽量化・高張力化

00 強度

伸び

自動車等の軽量化、燃費向上に役立つハイテン(高張力綱)は、強度に優れ、延性も優れる

(= 軽くて丈夫で加工もしやすい)

9%

超ハイテン 比率25%

13年度

17年度目標

日産は車体の超ハイテン率2.8倍を目標に

特性付与

磁気特性 :電磁鋼板 等

耐食性 :ステンレス鋼等

(出所)新日鐵住金HP・IR資料、日産IR資料、鉄鋼連盟資料、鉄鋼連盟HP等

日本の高炉・転炉法の効率は世界一であり、軽量化・高張力化等の技術においても、高い技術力を保持。

技術動向

78

Page 79: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

2011年をピークに日本高炉の売上が下落基調。(ドルベース) 営業利益率は、下落基調にあったが2013年に大きく回復。

百万 of USD 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

新日鐵住金 31,562 34,550 36,805 42,381 47,659 37,607 48,089 51,848 53,128 55,081

JFEHD 26,108 27,404 27,893 31,080 39,051 30,670 37,392 40,132 38,596 36,615

神戸製鋼 13,444 14,747 16,342 18,723 21,755 18,018 21,748 23,633 20,399 18,220

売上合計 71,114 76,700 81,040 92,184 108,465 86,296 107,229 115,612 112,123 109,915

新日鐵住金 4,004 5,097 4,963 4,790 3,426 345 1,938 1,006 243 2,980

JFEHD 4,351 4,574 4,311 4,482 4,075 957 2,139 568 483 1,531

神戸製鋼 1,551 1,949 1,785 1,777 1,168 496 1,457 767 136 1,144 営業利益合計 9,906 11,621 11,059 11,050 8,670 1,799 5,534 2,341 862 5,654

百万 of USD

日本高炉の業績推移

(出所)ブルームバーグ

31,562 34,550 36,805 42,381

47,659 37,607

48,089 51,848 53,128 55,081

26,108 27,404 27,893

31,080

39,051

30,670

37,392 40,132 38,596 36,615

13,444 14,747

16,342

18,723

21,755

18,018

21,748

23,633 20,399 18,220

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

神戸製鋼

JFEHD

新日鐵住金

新日鐵住金

JFEHD

神戸製鋼

営業利益率(%)

79

Page 80: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

百万 of USD 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 ポスコ 20,964 25,687 27,075 34,016 38,669 29,045 41,433 62,287 56,493 56,545 現代製鉄 5,000 5,522 6,441 8,862 10,423 6,773 8,856 13,787 13,228 12,369 売上合計 25,964 31,209 33,516 42,878 49,092 35,818 50,289 76,074 69,722 68,914 ポスコ 4,652 5,941 4,598 5,295 6,646 3,048 4,797 4,928 3,245 2,738 現代製鉄 592 506 676 769 1,226 482 915 1,152 790 697 営業利益合計 5,244 6,447 5,275 6,064 7,872 3,530 5,712 6,080 4,035 3,436

2011年をピークに韓国高炉の売上が下落基調。(ドルベース) 営業利益率は一貫して下落基調であり、日本より落ち込みが激しい。 日本高炉売上合計に占める韓国高炉売上合計は、2004年には37%、2013年には63%まで上昇。

百万 of USD

韓国高炉の業績推移

(出所)ブルームバーグ

20,964 25,687 27,075

34,016 38,669

29,045

41,433

62,287 56,493 56,545

5,000

5,522 6,441

8,862

10,423

6,773

8,856

13,787

13,228 12,369

0

5

10

15

20

25

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

現代製鉄

ポスコ

ポスコ

現代製鉄

営業利益率(%)

80

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中国は売上と比較して、営業利益が低く、資産形成出来ていない可能性が高い。 唯一、宝山鋼鉄は営業利益率が3~4%。

百万 of USD

百万 of USD 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

宝山鋼鉄 7,034 15,371 20,252 25,026 28,705 21,657 29,832 34,418 30,304 30,843

河北鋼鉄 2,628 2,951 3,767 5,477 16,260 12,732 18,412 20,604 17,664 17,915

武漢鋼鉄 2,901 4,950 5,350 7,075 10,501 7,839 12,809 15,602 14,469 14,538

馬鞍山鉄鋼 3,234 3,917 4,411 6,581 10,145 7,379 9,563 13,405 11,767 11,976

山東鋼鉄 2,308 2,921 3,323 4,618 6,134 3,710 4,539 12,905 11,593 11,436

江蘇沙鋼 168 236 384 411 202 1,845 1,849 2,314 1,919 1,750

北京首鋼 2,540 2,581 3,073 3,580 3,518 3,325 4,121 1,936 1,599 1,504

売上合計 20,813 32,927 40,560 52,768 75,464 58,489 81,124 101,185 89,314 89,962

宝山鋼鉄 1,688 2,362 2,474 2,479 1,399 1,186 2,454 1,287 830 1,314

河北鋼鉄 277 239 289 463 659 316 528 600 436 507

武漢鋼鉄 594 851 762 1,265 960 285 481 362 191 238

馬鞍山鉄鋼 539 433 377 493 298 166 318 155 -483 50

山東鋼鉄 186 180 199 410 208 66 91 260 -379 162

江蘇沙鋼 9 10 13 -17 -43 67 158 146 30 26

北京首鋼 210 164 105 127 111 53 33 -88 -100 -56 営業利益合計 3,503 4,238 4,219 5,221 3,593 2,139 4,064 2,723 525 2,241

中国高炉の業績推移(2千万㌧超の7社)

(出所)ブルームバーグ

7,034 15,371 20,252 25,026 28,705

21,657 29,832 34,418 30,304 30,843

2,628

2,951 3,767

5,477

16,260

12,732

18,412 20,604

17,664 17,915

2,901

4,950 5,350

7,075

10,501

7,839

12,809

15,602

14,469 14,538

3,234

3,917 4,411

6,581

10,145

7,379

9,563

13,405

11,767 11,976

2,308

2,921 3,323

4,618

6,134

3,710

4,539

12,905

11,593 11,436

-30

-20

-10

0

10

20

30

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

北京首鋼

江蘇沙鋼

山東鋼鉄

馬鞍山鉄鋼

武漢鋼鉄

河北鋼鉄

宝山鋼鉄

宝山鋼鉄

河北鋼鉄

武漢鋼鉄

馬鞍山鉄鋼

山東鋼鉄

江蘇沙鋼

北京首鋼

営業利益率(%)

81

Page 82: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

東アジアの競合他社の経営環境

主要財務項目・指標 韓国 中国 (単体)

POSCO 現代製鉄 宝山鋼鉄 POSCO

P/L項目

売上 59,510 15,323 30,261 26,711

営業利益 2,938 1,363 1,226 2,148

税引後純利益 572 699 935 719 B/S項目 手元資金(*1) 4,821 801 2,999 2,227

総資産(期末) 77,934 26,450 n.a. 48,082

有利子負債(期末) 25,117 11,198 n.a. -

自己資本(期末) 38,018 12,454 18,234 38,829 C/F項目

営業キャッシュフロー 3,119 1,770 n.a. 3,806

収益性指標

営業利益率(*2) 4.9% 8.9% 4.8% 8.0%

ROE (*3) 1.5% 5.6% 5.3% 1.9%

安全性指標

D/Eレシオ(*4) 66% 90% n.a. -

自己資本比率(*5) 49% 47% n.a. -

債務償還年数 (*6) 8.1 20.2 n.a. -

DEBIT/EBITDA (*7) 5.0 8.3 n.a. -

財務指標要約(各社連結ベース)(2014年末) (単位:100万米ドル)

(*1) 期末現預金、短期投資 (*2) 営業利益/売上 (*3) 税引後純利益/自己資本(期末) (*4) 有利子負債/自己資本 (*5) 自己資本(期末)/総資産(期末) (*6) 有利子負債/営業キャッシュフロー (*7) 有利子負債/利払い前・ 税引き前・償却前利益

(出所)POSCO公表財務諸表(確報)、現代製鉄・宝山鋼鉄 (財務速報、ブルームバーグまとめ)を基に作成(ドル換算レートは2014年末)

参考

Arcelor Mittal

新日鉄住金

79,440 53,644

2,547 2,902

-2,545 2,361

6,072 1,102

112,308 68,874

22,378 22,310

49,793 26,098

4,296 5,589

3.1% 5.4%

-5.1% 9.0%

45% 85%

44% 38%

5.2 4.0

3.8 3.2

82

Page 83: 鉄鋼業の現状と課題...1 鉄鋼業の現状と課題 (高炉を中心に) 平成27年4月21日 経済産業省 1.鉄鋼業の現状 2.国内外の主要高炉メーカー

社名 鉱物 国名 JV名 2012年生産量

(万t) 出資額

アルセロール・ミッタル

鉄鉱石

カザフスタン

Lisakovski 230 ー

Kentube 70 ー

Atasu 60 ー

Atansore 40 ー

ウクライナ Kryviy Rih 980 ー

Kryviy Rih 90 ー

アルジェリア Ouenza ー ー

Boukhadra ー ー

ボスニア Omarska ー ー

Buvac ー ー

メキシコ

Pena Colorada 230 ー

Las Truchas 290 ー

Volcan 220 ー

カナダ QCM 1,500 ー

Wabush ー ー

米国 Hibbing 500 ー

Minorca 290 ー

ブラジル Serra Azul 170 ー

Andrade 230 ー

(出所)輸入鉄鉱石年鑑2012

社名 鉱物 国名 案件名/JV名 生産能力(万t) 保有権益 備考

新日鐵住金

鉄鉱石

豪州 ローブリバー 6,000 14.00%

ビーズリーリバー ー 37.60% 計画中

ブラジル

ニブラスコ 900~1,000 31.40%

MBR 6,500 2.40%

ウジミナス・マイニング 1,200 約20%

石炭

ワークワース 700 9.50%

ヘイルクリーク 800 8.00%

モランバノース 500 5.00%

カーボロ・ダウンズ 400 5.00%

インテグラ 500 6.00%

バルガ 1000 12.50%

エルクビュ 700 2.50%

Foxleigh ー 10.00%

Revuboe ー 23.30%

JFEスチール

鉄鉱石

豪州 ウェスターン4 鉄鉱床 1,600 20.00%

ブラジル

MSG 5,200 50.00%

ニブラスコ 800 12.00%

MBR 4,000 1.70%

NAMISA 1,000~1,500 8.64%

フィリピン フィリピン・シンター

(PSC) 500 100.00%

オマーン ペレット製造・販売会社 700 40.00%

石炭 豪州

カーボロ・ダウンズ 960 2.50%

グレニス・クリーク 760 5.00%

Integra/Coal (グレニスクリーク)

ー 1.80%

バイヤウェン 100 20.00%

神戸製鋼 鉄鉱石

ブラジル

ニブラスコ 800 3.00%

MBR 4,000 0.10% 撤退

NAMISA 1,000~1,500 1.23%

豪州 サウス・ダウン・プロジェ

クト 1,000 9.90%

日新製鋼

鉄鉱石 ブラジル

ニブラスコ 800 1.60%

MBR 4,000 0.10%

NAMISA 1,000~1,500 0.70%

石炭 日本 日本コークス工業 ー 1.45%

社名 鉱物 国名 JV名 年間調達量

(万t) 出資額

POSCO

鉄鉱石

豪州

MAC 300 20.00%

ジュピター・マインズ ー 12.99%

ハンコック プロスペクティング

5,500 12.50%

API 鉱山全体で30百万トン生産

24.50%

ブラジル Kobrasco

NAMISA 220 6.48%

石炭

豪州

Mt Thorley 160 20.00%

CarboroughDowns Glennies Creek

80 60

5.00%

Macarthur Coal 60 10.00%

Sutton Forest Mine ー 70.00%

カナダ

Greenhills 270 20.00%

Foxleigh 150 20.00%

Elkview mine 70 2.50%

宝綱集団 鉄鉱石 豪州

Bao-HIレンジス ー 46.00%

FMGアイアン・ブリッジ ー 12.00%

アクィラ・リソーシズ ー 15.00%

ブラジル Baovaleミネラソン ー 50.00%

鉄鋼メーカーが保有する主な資源権益

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