花粉症はアレルギー - hop.fukuoka-u.ac.jp · スギ花粉情報について③...
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アレルギー性鼻炎の場合
たとえば粉(抗原)が鼻に入ると、鼻に入った粉を外に出すために、無意識のうちに、ヒトのからだは、その粉を
①くしゃみで吹き飛ばそうとする ②鼻水で洗い流そうとする ③鼻の中を狭くしてこれ以上粉が鼻に入りにくくする
こうした働きが過剰に起こりすぎるのが
アレルギー性鼻炎
花粉症としての症状 ①アレルギー性鼻炎:くしゃみ、鼻水、鼻づまり
②アレルギー性結膜炎:眼のかゆみ、流涙、眼の充血
③アレルギー性咽喉頭炎:のどのいがいが、かゆみ、咳
④喘息:ブタクサなど。
⑤花粉症皮膚炎:顔、首などかさかさ、かゆみ、赤み
⑥全身症状:食欲減退、悪心などの胃腸症状、頭重感、
全身倦怠感、微熱など
花粉症?風邪? くしゃみ、水性鼻汁、のどがイガイガする、
軽い咳、微熱、頭痛・・・
→同じ症状が3日以上続いたら花粉症か。
→2~3日後に、膿性鼻汁(膿のような鼻汁)になれば
風邪?
(喉の強い痛み、高熱などがあれば、もちろん風邪。
ただし、花粉症と風邪の合併も考える)
どんな花粉が原因? スギ(2~3月):年によっては, 11月を中心に10月-12月 にかけてわずかなスギ花粉が観測される
ヒノキ(3月後半~4月):6月まで飛ぶことも
イネ科(3~6月):8月後半~10月前半も
キク科(8~10月):秋の雑草、ヨモギ、ブタクサなど
雑草花粉症 イネ科花粉症の人はどのイネ科花粉でも発症する
カモガヤ(5~7月上旬)が主な原因だが、
イネ科の他の雑草、特に外来種のホソムギ、
ハルガヤなど初夏の花粉でも発症する。
秋のイネ科在来種(アシ、ススキなど)でも発症する
が、症状は軽いことが多いと言われる。
キク科では、
ヨモギとブタクサ花粉症は必ずしも合併しない
イネ科花粉症の問題点
イネ科の食品、とくに小麦が症状を悪化させることがある。
①小麦製品を食べた数時間以内に、
②イネ科花粉が多い場所で、 ③激しい運動をすると、
↓
強いアレルギー反応が出現することがある。
→アナフィラキシー: 喘息症状、呼吸困難、蕁麻疹、
低血圧など。
スギ花粉情報について②
飛散開始とは、1月以降に、ダーラム法による観測方法で、1日あたり1個/cm2以上の花粉が連続2日以上観測される場合。
(また、飛散開始日とはこの2日のうち最初の日を言います)。
飛散終息とは飛散終了近くの初めて連続3日間0個/cm2が続く場合。
(飛散終息日とは最初の日の前日を示します)。
スギ花粉情報について③ “飛散開始日”より前に症状が出る場合もあります。
(理由)
①年によっては, 11月を中心に10月-12月にかけてわず かなスギ花粉が観測される。
②ダーラム型花粉捕集器では、1平方センチあたりの花粉数を調べるので、かなり増えないと計測されない。
③風向きや地形により、花粉量が違うので、居住場所と観測点で花粉数が同じとは限らない。
飛散距離 気候(風向き、湿度など)、地形などの影響を受ける。
スギ:200km飛ぶこともある
イネ科:数10m~数km
虫媒花はあまり花粉を飛ばさない
キク科:タンポポ、マーガレット、ひまわり、
コスモス、ガーベラ、セイタカアワダチソウ
花粉症と果物アレルギー シラカバ、ハンノキ:バラ科(リンゴ、サクランボ、モモ、ナシなど)→シラカバ花粉症患者さんの40-50%
ブタクサ:ウリ科(メロン、スイカ、カボチャ)、バナナ、
ヨモギ:セリ科(セロリ、ニンジン、パセリ)、リンゴ
カモガヤ:イネ科(小麦、トウモロコシ、アワ)、ジャガイモ
スギ:トマト?
口腔アレルギー症候群:口の中やのどが痒くなったり、ヒリヒリする、口の中の粘膜や口唇がはれる。下痢、腹痛といった胃腸症状、咳、呼吸苦など呼吸器症状、さらにショックの発現も報告されています
その他のアレルギー
Ⅰ型アレルギー(アレルギー性鼻炎の即時型反応、アレルギー性結膜炎、喘息、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシー)
Ⅱ型アレルギー(重症筋無力症、橋本病、悪性貧血)
Ⅲ型アレルギー(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス)
Ⅳ型アレルギー(接触性皮膚炎、ツベルクリン反応、アレルギー性鼻炎の遅延型反応)
Ⅴ型アレルギー(バセドウ病)
花粉症が起こるまでのしくみ ①花粉が鼻に入る。
②ある種の細胞が花粉を異物(抗原)として認識し、免疫機能が働いて“IgE抗体”が産生。
毎年花粉を吸いこむたびにIgE抗体は体内で増加し、鼻の粘膜の肥満細胞上に集まり付着。
③IgE抗体(が付着した肥満細胞数)があるラインを超えると、感作が成立(発症の準備完了)。
④ここに花粉が侵入すると、花粉とIgE抗体が結合。肥満
細胞からヒスタミンなどが放出され、アレルギー反応が起こる。
(即時型アレルギー=Ⅰ型アレルギーの説明)
アレルギー性鼻炎はどんな風にして起る? 《遅延型》
①即時型に遅れること6~10時間後に起こる、鼻閉を中心とした反応。
②花粉やハウスダストなどによる刺激で、
↓(リンパ球が働きIL4などが放出されることで)
好酸球などの炎症細胞が集まり、
↓(炎症細胞からLT、TXA2、PAFなどが放出されて)
鼻閉が起こる
花粉症患者さんは増えている ①昭和30年代に拡大造林政策で、スギを植林→
スギは樹齢30年ほどで花粉をつけ出すため、1980年代から花粉症が増加 (ヒノキも同様)
②舗装された地面では花粉が長く
残り、舞い上がり続ける
③排気ガスが抗体を作りやすくする
といわれる
花粉症患者さんは増えている ④食生活・住環境の変化
⑤衛生仮説(反論もあり、まだ確実とはいえない)
アレルギーになり易い ・新生児期に抗菌剤投与
アレルギーになり難い ・兄弟が多い、生まれ順が遅い
・エンドトキシン(細菌成分)がホコリの中に多い
・はしか(麻疹)にかかる
・絞りたてミルクを飲む
PM2.5 どんなもの? 直径2.5㎛以下の粒子(1 ㎛=1000分の1mm)。
肺の奥深くまで入りやすく、呼吸系への影響に加え、循環器系への影響が心配されている。
工場の排煙、粉塵やディーゼル車の排気ガスに由来するものなどが主成分といわれる。土壌、海洋、火山等の自然起源のものもある。
PM2.5と花粉症 Q. PM2.5 と花粉の関係はどのようですか。
A. 花粉の大きさは30μm 程度で、PM2.5 よりもかなり大きく
、アレルギー疾患の一つである花粉症の原因となることが知られています。
花粉とPM2.5 の複合影響については、現時点で明確な
知見は得られていませんが、過去の動物実験ではPM2.5 の一部であるディーゼル排気粒子が鼻アレルギ
ー及びアレルギー性結膜炎様病態を悪化させるとの報告もありますので、PM2.5 濃度が高いときには注意して下さい。(環境省 HP Q&Aより)