新規研究開発事業 「次世代照明等の実現に向けた窒化半導体等 ... · 2018....

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新規研究開発事業 「次世代照明等の実現に向けた窒化半導体等 基盤技術開発」 に関する事前評価報告書 平成22年7月 産業構造審議会産業技術分科会

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新規研究開発事業

「次世代照明等の実現に向けた窒化半導体等

基盤技術開発」

に関する事前評価報告書

平成22年7月

産業構造審議会産業技術分科会

評 価 小 委 員 会

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はじめに

研究開発の評価は、研究開発活動の効率化・活性化、優れた成果の獲得や社会・経済

への還元等を図るとともに、国民に対して説明責任を果たすために、極めて重要な活動

であり、このため、経済産業省では、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成

20年10月31日、内閣総理大臣決定)等に沿った適切な評価を実施すべく「経済産

業省技術評価指針」(平成21年3月31日改正)を定め、これに基づいて研究開発の

評価を実施している。

今回の評価は、この「次世代照明等の実現に向けた窒化半導体等基盤技術開発」の事前

評価であり、実際の評価に際しては、省外の有識者からなる、情報政策関連事業に係る

事前評価検討会委員(座長:藤村 修三 東京工業大学イノベーションマネジメント研

究科教授)が事前評価を実施した。

今般、当該検討会における検討結果が評価報告書の原案として産業構造審議会産業技

術分科会評価小委員会(小委員長:平澤 泠 東京大学名誉教授)に付議され、内容を審

議し、了承された。

本書は、これらの評価結果を取りまとめたものである。

平成22年7月産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会

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目 次

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会委員名簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

情報政策関連事業に係る事前評価検討会委員名簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

新規研究開発事業「次世代照明等の実現に向けた窒化半導体等基盤技術開発」

に関する事前評価審議経過 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

事前評価報告書概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

第1章 技術に関する施策及び新規研究開発事業の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・ 7

第2章 評価結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

第3章 評価小委員会委員からのコメント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12

(参考)

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産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会

委員名簿

委員長 平 澤 泠 東京大学名誉教授

池 村 淑 道 長浜バイオ大学バイオサイエンス学部教授

大 島 ま り 東京大学大学院情報学環教授

東京大学生産技術研究所教授

太 田 健一郎 横浜国立大学大学院工学研究院教授

菊 池 純 一 青山学院大学法学部長・大学院法学研究科長

小 林 直 人 早稲田大学研究戦略センター教授

鈴 木 潤 政策研究大学院大学教授

冨 田 房 男 北海道大学名誉教授

中小路 久美代 株式会社SRA先端技術研究所

リサーチディレクター

森 俊 介 東京理科大学理工学部経営工学科教授

吉 本 陽 子 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

経済・社会政策部主任研究員

(委員敬称略、委員長除き五十音順)

事務局:経済産業省産業技術環境局技術評価室

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情報政策関連事業に係る事前評価検討会

委員名簿

座長 藤村 修三 東京工業大学 イノベーションマネジメント研究科 教授

加藤 和彦 筑波大学大学院システム情報工学研究科 教授

新 誠一 電気通信機器大学電気通信学部システム工学科 教授

舘 暲 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授

廣瀬 通孝 東京大学情報工学研究科 教授

前口 賢二 (社)半導体産業研究所 所長

望月 洋介 (株)日経BP クリーンテック研究所長

(敬称略、五十音順)

事務局:経済産業省商務情報政策局情報政策課

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新規研究開発事業「次世代照明等の実現に向けた窒化半導体等基盤技術開発」

に関する事前評価

審 議 経 過

○事前評価検討会(平成22年5月10日)

・評価の方法等について

・技術に関する施策及び新規研究開発事業の概要並びに創設の妥当性について

・評価の進め方について

※会議終了後、メールレビューにて評価報告書(案)の審議

○産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会(平成22年7月7日)

・事前評価報告書(案)について(個別審議)

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事前評価報告書概要

新規研究開発

テーマ 次世代照明等の実現に向けた窒化半導体等基盤技術開発

技術に関する

施策名 デバイスの革新による低炭素社会の実現と社会的課題の解決

事業担当課 情報通信機器課

技術に関する施策及び新規研究開発テーマの概要

○新成長戦略(基本方針)において、2020年に「LED や有機 ELなどの次世代照明の 100%化」

が掲げられており、「資源エネルギー政策の見直しの基本方針」(案)においても、高効率

照明(LED照明、有機 EL照明)について、研究開発の加速、導入支援策、省エネ基準の強

化等を通じて、普及拡大を図ることが明記されている。

○これらを踏まえ、高効率・高品質かつ低コストを両立する LED等の次世代照明を実現する

ための基盤技術を早期に実用化し、次世代照明の早期普及を図ることで、照明からの CO2

排出量削減に貢献するとともに、我が国の次世代照明産業の国際競争力強化を図る。

○具体的には、蛍光灯と比較して消費電力を半分にする発光効率の高さと自然光に限りなく

近い演色性を両立しつつ、蛍光灯並のコストで量産可能な次世代照明の実現を目指すため、

以下の技術を開発する。

1)LED 照明の高効率・高品質化に係る基盤技術開発

・窒化物等の照明用基板の生産性向上を目的とした結晶成長技術

・LED素子構成構造の最適化等デバイスの高度化についての技術

2)有機 EL照明の高効率・高品質化に係る基盤技術開発

・光学干渉の影響を抑制して効率を向上させる光取り出し技術

・製造工程の高速化を図るプロセス制御技術

・有機ELを構成する基板・透明電極・有機層等を高効率・高品質化かつ低コスト化する材

料開発

評価概要

1.新規研究開発テーマの創設の妥当性

LEDや有機 EL照明への予算の配分は、短期的な経済効果と長期的な将来産業育成の両方に

効果を有するものとして評価できる。また、LEDや有機 EL照明のプロジェクトとしては、材

料開発が重要であり、GaN 基板等の高品質・価格低化を含めた開発を加速することは、通信

素子、パワーデバイスなどの分野の研究開発促進に寄与することからも、高く評価できる。

一方、LEDと有機ELを同列に併記しているが、国が行うべき内容、他の事業との関係も含め

た検討が必要。

2.今後の新規研究開発テーマの方向等に関する提言

国として取り組むべき研究開発課題について、戦略性や将来見通しをもって、国民目線で

説明できるようにすることが重要。また、実用化に向けた課題も意識した研究開発を期待し

たい。

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第1章 施策及び新規研究開発テーマの概要

1.技術に関する施策の概要

「科学技術で世界をリード」(総理所信)し、環境と経済が両立した持続可能な成長に貢献

するべく、グリーンイノベーションを推進する研究開発、国際競争力の強化を実現することが

必要。情報通信機器分野においては、我が国の主力産業の一つであり、国際的な技術開発競争

が最も激しい分野の一つでもある IT・エレクトロニクス産業の競争力強化と「グリーン IT」

による低消費電力化への貢献を目的に、各種デバイスやネットワーク関連機器等の開発に取り

組む。

2.新規研究開発テーマの概要

事業の内容 事業イメージ

事業の概要・目的

【目的】○蛍光灯の2倍の発光効率(消費電力半分で同じ明るさを実現)の可能性を有するLED照明等の次世代照明について、自然光に限りなく近い高い演色性と既存照明並の低コストを同時に実現するための基盤技術を研究開発し、本来の可能性を最大限発揮させた高品質・高効率照明として早期実用化を図ることで、照明からのCO2排出量削減に貢献する。【課題】○蛍光灯を大幅に上回る発光効率と高い演色性(Ra80以上)を両立するブレークスルーとしてGaN基板等が期待されているが、現時点では、相当高価(既存基板の500倍)であり、品質にもバラツキがある。そのため、高品質化、低コスト化に向けた基盤技術の研究開発が急務。

蛍光灯やサファイア基板を用いたLEDを大幅に上回る性能の次世代高品質・高効率照明の早期実用化

高品質化均質な結晶成長技術結晶加工技術

低コスト化大型結晶成長技術高速結晶成長技術

GaN基板等のデバイスの高品質・低コスト化技術開発

次世代高品質・高効率照明高品質GaN基板等

次世代照明等の実現に向けた窒化半導体等基盤技術開発 商務情報政策局 情報通信機器課03-3501-6944

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3.新規研究開発テーマの創設について

○照明の消費電力量は、エアコン、冷蔵庫に次いで、家庭全体の2割近くを占める。照明の省エ

ネ性能の向上は、家庭部門の CO2排出量削減において、極めて重要。

○LEDの発光効率は、近年、飛躍的に向上しており、将来的には蛍光灯の2倍以上も可能。つま

り、高効率 LED照明により、消費電力量を現在の半分以下に抑えることができる。

○こうしたことから、新成長戦略(基本方針)において、2020 年に「LEDや有機 ELなどの次世

代照明の 100%化の実現」が掲げられており、「資源エネルギー政策の見直しの基本方針」

(案)においても、高効率照明(LED 照明、有機 EL照明)について、研究開発の加速、導入

支援策、省エネ基準の強化等を通じて、普及拡大を図ることが明記された。

○新成長戦略(基本方針)に掲げた、2020 年に「LEDや有機 ELなどの次世代照明の 100%化」

という政策目標実現のためには、2015 年までには高効率な次世代照明の本格普及に入る必要

があり、そのためには、研究開発を大幅に加速し、2013 年までには、蛍光灯と比較して消費

電力を半分にする発光効率の高さと自然光に限りなく近い演色性を両立しつつ、蛍光灯並のコ

ストで量産可能な次世代照明を実現するための基盤技術を実用化することが不可欠。

○蛍光灯を大幅に上回る発光効率と高い演色性(Ra80 以上)を両立するブレークスルーとして

GaN基板等が期待されているが、民間だけでの研究開発には限界があり、現時点では、相当高

価(既存基板の 500倍)かつ品質にもバラツキがある。そのため、国のイニシアティブの下、

こうした高効率・高品質かつ低コストを両立する LED 等の次世代照明を実現するための基盤技

術を加速することが急務。

○本事業で高効率・高品質かつ低コストを両立する LED 等の次世代照明を実用化した後は、こう

した次世代照明について導入支援策や省エネ基準の強化等を通じて、2020 年までにフローで

100%を実現し、照明からの CO2排出量の削減を目指す。

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4.技術施策体系図

次世代高効率エネルギー利用宅システム技術開発・

実証事業(H21~H22)

ボトムアップ

事業事業目標 概要

技術(Technology )

トップダウン

必要とされる施策(Market)

市場ニーズ

実現上の課題(Function)

施策 目標

環境と経済が両立した持続的な経済成長に貢献する先進的情報通信技術の開発・普及 低コスト化

高性能化

非IT機器の省エネの実現家電の改良

直流系システムの実現

照明の改良

IT機器の省エネの実現

交流系システムの改良

処理系の省エネ化

インタフェース系の省エネ化

要素デバイスで改良

全体設計で改良

通信系の省エネ化

表示系の省エネ化

事前対応の工夫

不良頻度の減尐

不良自体への対応

事後対応の工夫フィードバック機構の活用

監視手法の工夫

安定に作動する材料の開発

製造での歩留まり向上

誤作動要因を排除する

設計での歩留まり向上

高信頼化

省エネの達成

欠陥・ミスをなくす

環境負荷の低減に貢献する

先進性を向上し競争力を確保する

発光機構導入による改良

高速化の達成

大容量化の達成(小型化)

機能性・拡張性の向上

送電における

省エネの実現

(別の課の担当領域)

使用における

省エネの実現

機器使用における信頼性向上

住宅での省エネ効果10%以上を実証直流配線と情報NW融合の価値の提示直流システムの20%省エネ効果の提示

住宅導入時の安全性基準の提案直流システムの技術開発と、省エネルギー効果

の実証を実施

低損失オプティカル新機能部材技術開発

(H18~H22)

高分解能二次元プラズモン評価技術実現

近接場光信号キャリアナノ構造新機能部材へ応用・機能確認

透過率~75%偏光制御部材の試作・実証

動作原理に近接場光を用いる新機能部材の基盤技術、材料・加工技術、光学特性評価技術開発

次世代高効率ネットワークデバイス

技術開発(H19~H23)

光通信個別デバイス集積化対応特性実現

省エネ単一磁束量子ネットワーク技術の実現

機器内光通信サブシステムとのシステム化実証

超高速光LAN-SANシステム用光NICに関し省電力効果を実証

次世代高効率ネットワーク実現に向けたデバイス基盤技術の確立およびシステム化の検証

スピントロニクス不揮発性機能材料

技術開発(H18~H22)

スピンRAM動作実証

新ストレージ・メモリデバイス設計技術の実証

(1 0 ps幅)不揮発性光メモリ機能実証

スピン能動素子の実用可能性を実証

情報通信分野での革新的諸機能を実現するための基盤技術の確立、スピン不揮発性デバイス技

術の研究開発

次世代大型低消費電力ディスプレイ基盤技術開発

(H19~H23)

高精細高画質な従来比1/2以下の低消費電力型液晶ディスプレイの実現

高効率部材等の開発を行うことにより、大画面かつ高精細・高画質でありながら電力消費の尐ない次世代液晶ディスプレイとしての基盤技術を確立

グリーンITプロジェクト(H20~H24) 将来のネットワークシス

テムに使われるLSIの低消費電力化に貢献する極低電力回路・システム

技術を開発

次世代半導体材料・プロセス基盤プロジェクト

(MIRAI)(H13~H22)

hp32nm~hp22nmCMOSトランジスタの技術選択肢提示と確立

新材料ビア特性実証(hp32nm技術領域

新配線技術の指針提示

標準TEGの設計手法確立

特性ばらつき高耐性デバイス構造の提案

EUVLマスク製作~露光工程基盤技術確立

高機能LSIの実現に不可欠な半導体構造の微細化に対応できる半導体デバイス・プロセス基盤

技術の確立

次世代プロセスフレンドリー設計技術開発

(H18~H22)hp45nm領域高生産性の実現・実証

高機能システムLSIの実現に不可欠な製造性を考慮したLSI設計技術を開発し、国際競争力強化

周波数特性可変のMCM 小型化実証

三次元回路再構成可能デバイスのアーキテクチャ・プロセスフローの実証

ナノエレクトロニクス半導体新材料・新構造ナノ電子

デバイス技術開発(H19~H23)

低欠陥高品質GaN、混晶エピ層実現

有/無極性単結晶基板上FETの差違提示

3~4インチ無極性単結晶基板の実現

ハイパワー・超高効率の電力素子などの作製に必要な窒化物半導体結晶成長技術の確立

次世代回路アーキテクチャ技術開発事業

(H20~H24)

産学連携による回路アーキテクチャの開発高機能システムLSIの開発

次世代低消費電力半導体基盤技術開発(MIRAI)(H16~H22)

EUV露光における環境クリーン化技術の開発

高精度なEUV露光技術の実現

最大反射率低下が10%以下汚染量明示

アーキテクチャで実現

デパプロで実現配線方法の改良

材料・構造の改良

冗長性を持たせる

並列化(マルチコア/メニコア)半導体による実現

設計・製造コストの削減

生産性向上 スループットを上げるコストへの間接的

アプローチ

コストへの直接的

アプローチ

面積の減尐(微細化)

高さの低減個別チップの小型化

空間利用効率の向上

計算処理機能の拡張性向上

新原理の活用

駆動部・センサ等の追加(MEMS等)

リコンフィギュラブルデバイスの利用

チップへの記録手法の変更

チップの集積度の向上

新手法の改良

チップに計算以外の機能付加

チップ配置の工夫

出所:イノベーションプログラム基本計画、実施計画、技術戦略マップ2009、IT新改革戦略H18

グリーンクラウドコンピューティング技術開発次世代パワーデバイス開発

超高密度ナノビット磁気記録技術

次世代大型有機ELディスプレイ基盤技術開発

サーバ抜熱およびストレージシステム技術開発

省エネ型ネットワーク技術

革新的省エネデバイス開発

50型フルHDパネルでの年間電力消費量が現在の2/3以下のPDPの実現

立体構造新機能集積回路(ドリームチップ)技術開発

(H20~H24)多機能高密度3D集積化設計技術と評価

解析技術の有効性実証周波数特性可変のMCM 小型化実証

三次元回路再構成可能デバイスのアーキテクチャ・プロセスフローの実証

積層技術等を利用した新三次元化技術により、新たな機能の発揮と飛躍的な性能向上を実現する立体構造新機能集積回

路技術を確立

ナノワイヤFETやシリコンナノワイヤの物性探求

シリコンプラットフォーム上のⅢーⅤ族半導体チャネルトランジスタ等新材料探索

情報通信機器技術分野

エネルギー使用量の急激な

増加ライススタイルの変化に伴い増加したエネルギー消費は今後も継

続傾向

エネルギー資源の不足

エネルギー資源に乏しい日本は、利用面においても革新的な変革で難局を乗り切る必要がある

2030年までに最終エネルギー消費効率を30%以上改善

継続的な産業競争力の強化・確保

ITの利活用の深化・拡大を図り、より豊かな国民生活を実現するとともに、我が国の経済活力の向

上を図る

次世代半導体の国際競争を勝ち抜く超微細化・低消費電力及び設計・製造

技術

ユニバーサルデザイン化による社会の改

革高齢化、国際化の進展等により、年齢、性別、障害の有無、国籍等にかかわらず多様な人々の安心な生活を目指

デバイスの革新による低炭素社会の実現と社会的課題の解決

電池の改良 用途に応じた改良

脱化石燃料のためのリチウムイオン電池の価格低減に向けた

用途多様化応用技術開発

対象分野毎の蓄電池の技術上の課題解決

次世代半導体微細加工評価基盤技術開発

EUV露光のための評価技術の開発

EUV露光用マスク検査技術の確立

超低消費電力型光電子ハイブリッド回路

技術開発事業光配線とCMOS-LSIのハイブリッド集積

光電子ハイブリッドによる省エネ型配線基板の

開発

次世代照明等の実現に向けた窒化物半導体等

基盤技術開発

蛍光灯の2倍の発光効率を有するLED・有機EL

照明の開発

次世代印刷エレクトロニクス材料・

プロセス基盤技術開発

印刷技術によるエレクトロニクスデバイスの高速生産技術の開発

脱真空、脱フォトリソ、脱高温の生産プロセスの開発

高容量化

高出力化

長寿命化

有機発光機構を用いた高効率照明の開発

(H19~H21)

有機EL照明光源の高演色性化技術実現

有機ELの寿命支配要因の解明

低コスト化促進製造プロセス技術の確立

高効率・低コスト化を踏まえた有機EL照明光源の高演色化技術を確立

有機ELの青色燐光体の開発

LEDのGaN基板等のデバイス開発

EUVレジスト材料開発

高速不揮発メモリ機能技術開発(H18~H22)

待機電力ゼロを実現する不揮発メモリ機能の実現

不揮発メモリ機能材料開発

ノーマリーオフコンピューティング基盤技術開発

不揮発性素子を前提としたノーマリーオフコン

ピューティング技術開発

新規不揮発性素子開発

メモリ構造の微細化・集積化

不揮発アーキテクチャ開発

不揮発性素子基盤OS開発

製造における

省エネの実現

省資源の達成

製造工程の簡略化

使用材料の削減製造における

省資源の実現

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第2章 評価結果

1.事業の目的・政策的位置付け(新規研究開発事業の創設)の妥当性

LED や有機 EL 照明への予算の配分は、短期的な経済効果と長期的な将来産業育成の両方に効

果を有するものとして評価できる。また、LED や有機 EL 照明のプロジェクトとしては、材料開

発が重要であり、GaN基板等の高品質・価格低化を含めた開発を加速することは、通信素子、パ

ワーデバイスなどの分野の研究開発促進に寄与することからも、高く評価できる。

一方、LED と有機 EL を同列に併記しているが、国が行うべき内容、他の事業との関係も含め

た検討が必要。

【肯定的意見】

・世の中では新エネルギーに目が行きがちであるが、低炭素社会の実現は、省エネを実現できる

かどうかが成否のカギを握っている。また、省エネの技術を体系化できれば、新しい輸出産業と

して確立できる可能性もある。その点で、LEDや有機 EL 照明への予算の配分は妥当である。

・LED や有機 EL 照明のプロジェクトとして材料開発が重要であり、基板開発を急務としている

点は高く評価できる。

・省エネ技術として、照明の LED化はわかりやすいソリューションである。

・GaN はワイドギャップ半導体として、発光素子のみならず、高速通信素子、パワーデバイス、

に対しても魅力的な材料である。しかし、現在はまだ GaN基板が高価であるために、応用研究が

十分に進められない状況にある。商用材料として GaN基板が最も普及しているのは青色発光ダイ

オードに代表される発光素子としての利用である。従って、照明用デバイスとして GaN基板の価

格低下が実現されれば、単に省エネを実現するだけでなく、通信素子、パワーデバイスなどの分

野の研究・開発の促進に大きく寄与する。

これも短期的な経済効果と長期的な将来産業育成の両方に効果を有するプロジェクトである。

・環境・省エネという社会ニーズに押されて、台湾・韓国なども国をあげて支援している戦略的

な産業となっています。その領域で国がイニシアテイブを取って新材料LEDや有機EL照明の

開発を加速することは大変重要と思います。特に、GaN基板の高品質・低コスト化技術開発の

加速は実用化に向けた重要な施策と考えます。大口径化含めた結晶成長技術の日本の優位性を何

としてもキープして省エネ社会の実現をリードして欲しい。

【問題点・改善すべき点】

・重要であるが,目新しさを感じない.

・ややもすれば、民間で開発競争が進んでいる分野と思われがちである。民間にまかせず国が開

発すべきとの論点が、希薄であるように見受けられる。その論点を充実されたい。

・LED化が進まないのは、コストの問題ではないのか。

・国がやるべき仕事か。

・GaNが最善の方法論なのか。門外漢としては心配になる。

・事前評価報告書概要には有機 ELの開発も含まれることになっている。しかし、GaN 基板や LED

素子構造の検討に比べ、有機 EL照明の低コスト化のための製造技術開発は短期的な企業向け補

助の色彩が強いように思われる。LED のケースと有機 EL を同列に併記し助成するのはあまり好

ましくないのではないか。

・国が助成して行うプロジェクトとしては GaN 結晶成長技術に注力した方が良い。有機 ELに関

しての材料開発は基盤技術としての意味があり、国が助成するにふさわしいと思うが、それを目

的としたプロジェクトは有機 ELディスプレイの開発としてすでに存在しているのではないか。

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2.今後の新規研究開発事業の実施に向けての提言

国として取り組むべき研究開発課題について、戦略性や将来見通しをもって、国民目線で説明

できるようにすることが重要。また、実用化に向けた課題も意識した研究開発を期待したい。

【各委員の提言】

・この課題に限らず「資料6」で提案されている技術は重要だけと目新しさがない.素材技術な

ので息の長い開発が必要なことは分かるが,それだけに歴史も含めて戦略性や将来見通しが必要.

昨年と今年は何が違うかを技術者目線ではなく,国民目線で説明できるかが重要.

・LED照明の実用化に向けた他の課題(コスト、演色性、熱など)も意識した開発を期待しま

す。

【その他】

・LEDや有機 EL照明の利用技術に対しても検討する必要がある。

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第3章評価小委員会委員からのコメント

評価小委員会委員から本研究開発事業に対して頂いたコメントは以下のとおり。

・高効率照明に関して、GaNの長寿命化・低価格化は重要な課題であり、応用範囲も広いため

国家プロジェクトとしての意義は認められる。

・本事業の目的を省エネタイプ次世代照明のための「競争前段階」基盤技術開発に置くのであれ

ば意味がある。

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「次世代照明等の実現に向けた窒化半導体等基盤技術開発」プロジェクト事前評価

新規研究開発事業の実施に向けての評価検討会等からの提言に対する対処方針

提 言 対 処 方 針

・高効率照明に関して、GaN(チッ化ガリウム)の

長寿命化・低価格化は重要な課題であり、応用範囲

も広いため国家プロジェクトとしての意義は認めら

れる。

・本事業の目的を省エネタイプ次世代照明のための

「競争前段階」基盤技術開発に置くのであれば意味

がある。

・現在の次世代照明(LED照明・有機EL照明)の省エネ性能

は、蛍光灯と同程度だが、将来的にはこの2倍の発光効率も可

能とされている。本プロジェクトでは、蛍光灯並のコストで量

産可能な高効率・高品質次世代照明を実現するため、「競争前段

階」基盤技術開発として、GaN基板等の結晶成長技術開発や

有機ELのプロセス技術の確立を行う。

(参考)