褥瘡発生の警戒要因としての栄養アセスメント 血清...
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可動性の低下
活動性の低下
知 覚 障 害
過度の湿潤
摩擦とずれ
栄養不良
加 齢
低 血 圧
低酸素分圧
その他(臓器障害など)
圧迫の程度と持続期間
外因性要因
内因性要因
組 織 の耐 久 性
褥瘡発生要因
伊藤彰博 日病薬第46-5 (2010)
褥瘡発生
栄養素 1日の必要量 主な所在
カルシウム 600mg 牛乳、乳製品、小魚、大豆
ビタミンA 2,000IUレバー、黄緑色野菜、うなぎ、乳製品(チーズ、バター)、卵黄、肝油
ビタミンC 150~500mg 果実類、いも類、黄緑色野菜、
亜鉛 15mg 肉類、大豆、玄米
銅
成人男性 :1.8mg成人女性 :1.6mg
牛レバー、牡蠣(生)70歳以上男性 :1.6mg70歳以上女性 :1.4mg
鉄 15mgレバー、貝類、卵黄、肉類、大豆、緑黄色野菜
褥瘡の予防治療に必要な栄養素と必要量
参考資料:ビジュアルワイド食品成分表
受傷・炎症期 滲出期 肉芽形成期 収縮・成熟期 再発予防期
■ 褥瘡ができてから回復するまでの栄養素との関係
エネルギーたんぱく質の十分な補給
鉄 ・ 銅ビタミンC・E(アルギニン) 亜 鉛
(アルギニン) カルシウムビタミンA
バランスのよい食事摂取アルギニン、微量元素不足
に注意
受傷 回復
褥瘡発生の警戒要因としての栄養アセスメント
● 血清アルブミン 3.0g/dL未満● ヘモグロビン 11.0g/dL未満● 血清コレステロール 160mg/dL未満
■ 血清アルブミン、ヘモグロビン、総コレステロールの基準値
大浦武彦: 褥瘡予防治療ガイド、照林社2002
褥瘡になりかけの状態
持続性の圧迫が加わった部分が輪郭不鮮明で赤くなりその中心部を指で押さえてみると白く退色し、離すと再び赤くなる状態。 これを紅斑状変化といい、血液循環がまだ保たれている反応性充血である。ベビーオイルやオリーブオイルのマッサージ、蒸しタオルの温シップで改善する。 除圧やスキンケアが一番大切になる。
目標これ以上悪化させないために予防対策を徹底する。
薬剤炎症を抑える非ステロイド性外用薬やリフラップ軟膏、血行を促すモビラート、ヒルドイドを使用する。皮膚を保護するためフィルムドレッシング材の被覆のみでもよい。
浅い褥瘡の場合
StageⅠの状態
赤くなった部分は輪郭が鮮明で、指で押しても白く退色しない状態。 これを発赤という。 毛細血管が破壊され血行障害を起こしているため、マッサージやタッピングを行うと炎症が進行し褥瘡は悪化する。
StageⅠの目標
これ以上悪化させない。
StageⅠの薬剤
リフラップ軟膏 + テラジアパスタ(3:7)を塗り、フィルムドレッシング剤で被覆する。
浅い褥瘡の場合
StageⅡの状態
皮膚に水疱や表皮剥離やびらんがみられる状態。
StageⅡの目標
水疱は天然のフィルムドレッシング材なので、なるべく破らないようにして再吸収させる。 湿潤環境を作りながら、浸出液の多少、壊死組織の有無を考えて取り組む。
StageⅡの薬剤
1)水疱の場合はStageⅠに準じる。2)水疱が破れた場合、表皮剥離の場合
アクトシン軟膏やリフラップ軟膏 + テラジアパスタ(3:7)など
3)もう少し進んでびらん形成までいった場合リフラップ軟膏 + テラジアパスタ(3:7)など
■ 壊死組織付着期 (黒色期)
治療目標
硬い壊死組織の除去
薬剤
黒W(70%以上)デブリサンペースト、ブロメライン軟膏、ユーパスタ など
黒G(60~70%)ゲーベンクリーム、カデックス軟膏 など
黒D(60%以下)ゲーベンクリーム
深い褥瘡の場合
深い褥瘡の場合
■ 壊死組織付着期 (黄色期)
状態
硬い壊死組織が取り除かれ、やわらかい黄色の壊死組織が創面に付着した状態、または肉芽形成期に起こった状態。この時期は感染に配慮して処置しなければならない。
治療目標
浸出液のコントロールを行い適正な湿潤環境のもとで壊死組織を除去し、肉芽形成を促す。
薬剤
黄W(70%以上)カデックス軟膏 など
● 壊死組織が少ない場合(移行期)黄W(70%以上)・・・ユーパスタ + ガーゼ など
■ 肉芽形成期 (赤色期)
状態
壊死組織が除去され、鮮紅色の肉芽が現れた状態。
治療目標
良性の肉芽を形成させ、表皮形成へ移行させる。
薬剤
赤W(70%以上)オルセノン軟膏 + テラジアパスタ(3:7) など
深い褥瘡の場合
■ 表皮形成期 (白色期)
状態
表皮形成期は創の収縮と創の周囲からの表皮化が起こる。
治療目標
表皮化を促し、創が閉鎖されること。
薬剤
白W(70%以上) ・・・・・・ アクトシン軟膏 など白G(60~70%)、白D(60%以下)
アクトシン軟膏 + オルセノン軟膏 +テラジアパスタ(又はマクロゴール軟膏) (3:3:4)
深い褥瘡の場合
ブレンド軟膏の組み合わせ例 水分含有率
生理食塩水 100%
オルセノン軟膏 70%
オルセノン軟膏 + ゲーベンクリーム(1:1) 65%
ゲーベンクリーム 60%
オルセノン軟膏 + リフラップ軟膏(2:1) 55%
オルセノン軟膏 + リフラップ軟膏(1:1) 45%
オルセノン軟膏 + ユーパスタ(1:3) 35%
ソルコセリル軟膏 25%
リフラップ軟膏 23%
オルセノン軟膏 + テラジアパスタ(3:7) 21%
テラジアパスタ + リフラップ軟膏(7:3) 6.9%
アクトシン軟膏 -
ブレンド軟膏の組み合わせ例 水分吸収率
ブロメライン軟膏 -
オルセノン軟膏 + デブリサン(4:1) 24%
ユーパスタ 76%
ユーパスタ + 10~30%デブリサン 105~171%
デブリサン + マクロゴール600(1:1) 200%
カデックス軟膏 370%
湿潤環境
Dry
Wet
薬が及ぼす食事への影響について
胃障害
うつ
おいしくない、味がおかしい
口が渇く、のどが渇く、入れ歯が入りにくい
歯茎が腫れる、入れ歯が合わない
食欲が出すぎる、薬を飲み出してから太った
飲み込めない、むせこむ
胃が痛くて食べられない、口が苦くなる酸っぱいものがこみ上げてくる、
吐き気がする、ムカムカする
気持ちがのらない、外へ出たくない、食欲がわかない、楽しみがない、人と関わりたくない
ACE阻害剤、グリチルリチン他
抗コリン、抗うつ剤 他
ジヒドロピリジン系Ca拮抗剤、フェニトイン 他
ステロイド、スルピリド 他
抗コリン剤、向精神薬、筋弛緩剤 他
ステロイド、解熱鎮痛剤 他
抗がん剤、ピル、抗うつ剤 他
ステロイド他
味覚、口周囲の状況
あなたの体質や現在お罹りの疾患、
以前使用して副作用が出たお薬、アレルギーの出る食べ物なども記入しておくと
安心です。
次回診察時に聞いてみたいことなどちょっとメモしておくと相談するときにとても便利ですよ。