中小企業中高年層の...

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中小企業中高年層の 「学びほぐし学習」 2017113日本みらいキャピタル 安嶋 経済産業省 4次産業革命 クリエイティブ研究会 資料 資料2

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Page 1: 中小企業中高年層の 「学びほぐし学習」...「アンラーニング」:「学習棄却」 (Hedberg, 1981) 「アンラーニング」と「学びほぐし」 「学習棄却」=

中小企業中高年層の

「学びほぐし学習」

2017年1月13日

日本みらいキャピタル 安嶋 明

経済産業省 第4次産業革命 クリエイティブ研究会 資料 資料2

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日本みらいキャピタル(NMC)について

バイアウトファンドの運営会社として

主に、 ノンコア事業の切出し 事業承継 事業再生 地域創生

を対象に、組織改革、成長戦略の実行支援にフォーカス

過去15年間で13社を完了

現在4社を支援中 2

Produced by NMC 2017

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なぜ中小企業、中高年社員なのか

• 対象会社の約7割が中堅中小企業

• 3分の2が製造業

• 製造業・非製造業を問わず、成熟産業群が中心

⇒ 中高年社員(男性)が多い

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なぜ中小企業、中高年社員なのか

・ 日本企業総数約400万社のうち99%以上が 中小企業(2015年「中小企業白書」)

・ 雇用の7割も中小企業に支えられている (2015年「中小企業白書」)

・ 総雇用人口の約半数が45歳以上、 75%が35歳以上 (総務省統計局「労働力調査」2015年)

⇒ 比率は更に上昇

cf.

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組織風土変革

無意識のうちに個人、組織に根付いている

「思考の枠」(メンタルモデル)

メンタルモデル:主に「経験」によって形成

される仮説、思い込み、

固定観念

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遅れ

マッチ

ミスマッチ

予期する

結果

シングルループ

表れ

メンタル モデル

人生 経験 問題 解決策

ダブルループ

組織風土変革

cf. 「ダブルループ ラーニング」 (Argyris & Schön,1978)

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「アンラーニング」:「学習棄却」

(Hedberg, 1981)

「アンラーニング」と「学びほぐし」

「学習棄却」= 環境変化によって時代遅れ

となり,有効性を失った知識,規範,価値観などを主体的に

捨て去ること(長岡,2015)

ところで、そう簡単に捨てられるのか? 7

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「アンラーニング」と「学びほぐし」

「学びほぐし」= 組織において「ほぐし」の対象となっている様々な「凝り」 つまり「学びの型」を把握し、働きかける(Lave, 1991).(高木,2012)

⇒ 職場横断のワークショップ

:「ファシリテーション」 = 異なる職場の人々の間の対話により 新たな「気づき」⇒ 新たな「行動」 を促す活動

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事 例

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3社による合同ファシリテーション

全員男性、平均年齢48才

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対象会社(3社)

★A社 B社 C社

事業

プラスチック成型業、製造、開発、販売

電源、情報通信機器の製造、開発、販売

産業用プリント基盤 開発、設計、製造、販売

拠点数

国内4 海外3 国内4 国内4 海外1

売上

350億円 48億円 52億円

従業員数

国内 約300人 約270人 国内 約220人

取組期間

3年(6年) 1.5年 1.5年

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• ローカル下請(2次、3次)製造業

3社の共通点

• 国内需要の低下(成熟産業)、競争激化

• 縦割組織

⇒ 新しい顧客の創造(マーケティング、

イノベーション)が求められるが、

既存の制約条件(コンフリクト)が根強い

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合同ファシリテーションと分析シート

A,B,C, 3社60人(各社20人)による

合同ファシリテーションを実施

(2015年5月、7月にそれぞれ終日)

その際、対話のツール(媒体)として

A社のインタビューに基く分析シート

( M-GTA (木下,2003) )を活用

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A社

B社

C社

第1課程 第2課程 第3課程 第4課程

振り返り

未来

振り返り

3年

1年

• 異なる空間軸、時間軸 • 共通言語、共通体験(未経験)

ローカルからインターローカルへ

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根拠なき 楽観

成功体験のワナ

あえて言わ ない文化

ドンブリ 勘定

[現実からの逃避(危機感の欠如)]

〈「ユデガエル」状態ですよ〉

判断しない 管理職

やると かえって 否定される

指示待ち 文化

[もたれ合いによる共存

(受身体質)]

〈割り切ってしまえば居心地がいい〉

上意下達 文化

技(ワザ)は 見て盗め

気づかいしないものづくり

教育の仕方が教育されていない

〈どう教えていいか分からない〉

[経験による熟達

(伝承の難しさ)]

技能は教え られない

村社会の馴れあい所帯

保守的風土

組織で 仕事をして いない

個人プレー

[縦割り組織・タコツボ文化]

〈あうんの呼吸がある〉

不信感

今更感

受 身

頭の切り換えの難しさ

[職場横断の空間(場)の設定]

〈何が始まるのかな〉

新体制 ファシリテーション開始 2012/11 ・ ・ ・

かつての?状況

楽しかった

勉強になる

セレモニー では困る

継続の 重要性

[受けとめ方の変化]

〈気づきの場〉

第1課程スタート

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• 経営としてコミットする

• 継続的に行う(3年~)

ファシリテーション活動(ワークショップ)のポイント

• 組織の中の関係性(結び目)に働きかける

⇒ 継続的プロセスにより、新たな 「結び目」を生成することで、 組織・個人の学びの「凝り」の ほぐしが進行

• 職場のヒエラルキー(上下関係)を極力廃除

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• これまで「あたりまえ」としてきた

前提条件(メンタルモデル)の見直し

• 自律分散型協働の動き

何が起こったか

⇒ 共同提案

経営会議への相互出席

• 自分たちの活動の意味を再構成

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職場・組織の境界を越えた境界横断的な場をデザインし、「異質な知」の出合いにより

相互の気づきを引き出す(ファシリテート)ことで生まれる新たな創発活動、変革活動

まとめ

cf.(Engeström, 2008)(Gergen, 1999)

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Argyris, C., & Schön, D. (1978). Organizational learning: A theory of action perspective. Addison-Wesley

Engeström, Y. (2008). From teams to knots: Activity-theoretical studies of collaboration and learning at work. New York: Cambridge University Press. (エンゲストローム, Y. 山住勝広・山住勝利・蓮見二郎(訳) (2013). ノットワークする活動理論―チームから結び目へ 新曜社)

Gergen, K. J. (1999). An invitation to social construction. SAGE. (ガーゲン, K. J.東村知子(訳) (2004). あなたへの社会構成主義 ナカニシヤ出版)

Hedberg, B.L.T. (1981). How organizations learn and unlearn. Nystrom, P. C. & Starbuck, W. H. (eds.) Handbook of organizational design. Oxford University Press. pp.3-27.

参考文献

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苅宿俊文・佐伯胖・高木光太郎(編) (2012). ワークショップと学び〈1〉まなびを学ぶ 東京大学出版会

木下康仁 (2003). グラウンデッド・セオリー・アプローチの実践―質的研究への誘い 弘文堂

Lave, J.,& Wenger, E. (1991). Situated learning: Legitimate peripheral participation. Cambridge: Cambridge University Press.

(レイヴ, J.・ウェンガー, E. 佐伯胖(訳) (1993).状況に埋め込まれた学習―正統的周辺参加 産業図書)

長岡健 (2015). 経営組織における水平的学習への越境論アプローチ 香川秀太・青山征彦(編)越境する対話と学び―異質な人・組織・コミュニティをつなぐ 新曜社 pp.65-81.

参考文献

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