150212 学習デザイン工房・シム学習デザイン

48
JSISH インストラクショナル・シミュレーション 医療学習の原理と実践 オーバービュー 池上敬一 獨協医科大学越谷病院救急医療科 150212@学習デザイン工房

Upload: ikegami-keiichi

Post on 14-Jul-2015

471 views

Category:

Education


0 download

TRANSCRIPT

JSISH

インストラクショナル・シミュレーション医療学習の原理と実践

オーバービュー

池上敬一獨協医科大学越谷病院救急医療科

150212@学習デザイン工房

前提

     インスパイアされたプレゼンテーション・・・理解     このプレゼンテーションにID理論を追加・・・デザイン

学習目標

● インストラクショナル・シミュレーション(I-Sim)医療学習の

ゴールについて理解する○ インストラクショナル・シミュレーションの目的と方法

● ゴールを達成する考え方・方法論について理解する○ インストラクショナル・デザイン

○ パフォーマンス・テクノロジー

○ インストラクショナル・デザイン・テクノロジー

● I-Simの基盤となる3つの学習原理について理解する

● I-Simのデザインに3つの学習理論を活用する方法につい

て説明できる

● 学習理論を用いることでI-Simの学習成果が向上する理由

を説明できる

インストラクショナル・シミュレーションの目的と方法

● 目的○ できる医療者に育つ・育てるための基本的な学習環境

○ 「できる」

✓ 卒前教育:医師臨床研修・新人看護師研修のコンピテンシーの基盤と

なるインストラクショナル・ゴールを達成する(レベル2)

✓ 卒後研修・医療機関のミッション遂行に貢献するパフォーマンス・ゴー

ルを達成する(レベル3)

● 方法 Defining Instructional Simulation (I-Sim)○ 状態が(医療システム的に)動的に変化するモデル

○ 学習者がモデルに作用するとその状態は変化する

○ 変化は非線型である

○ 学習者とモデルの相互作用がIDにより増強されている

○ 1つ以上のインストラクショナル・ゴールが設定されている

インストラクショナル・デザイン・テクノロジー(IDT)

● インストラクショナル・デザイン○ 行動主義からスタート

○ 学校教育からスタート

○ 諸科学の進歩に従い成長

● パフォーマンス・テクノロジー○ 組織のパフォーマンスを向上する実学としてスタート

○ 研修・研修以外を区別する

○ 研修が必要と判断すればID

● IDとPTが融合・・・IDT○ インストラクショナル・デザインとパフォーマンス・テクノロジーを応用して組

織のパフォーマンスを向上するサイエンスと方法論

クエスチョン

● シミュレーション医療教育って、どうやるんですか?

● 教育、学習、成長についてはいろんな理論がありますが、そ

れらをどのように利用すればよいのですか?

● シミュレーション医療教育に理論を利用していますか?

● そもそも従来の医療教育に理論を利用していますか?

● 教科のコンテンツ、学習者とその達成度、教授者と教授方

法の関係をどのようにとらえていますか?

● 教育・トレーニングの精度を向上するために、どのような方

法がありますか?

学習理論はなぜ必要か?

● 従来の教育のやり方をシミュレーションに持ち込むと、「学習

が成功する確率」がバラついたり偶然に左右される

● 学習が成功する確率を高いレベルで確実に達成するために

理論を利用する

シミュレーション学習の理論?

● シミュレーション学習理論は存在しない

● 既存の学習理論を応用する

● 学習ゴールを達成するために、

● 変数(学習者特性、学習の構造などのデザイン)に合わせ

て学習法を最適化する必要がある

● 変数に関連する理論を用いることで学習の成功率を安定的

に高めることが可能

あなたの場合は?

3つの学習理論のブレンド

成人学習理論

経験学習理論

脳科学理論

経験学習理論

● シミュレーション学習の中核的理論

観察

現場での応用               振り返り

概念化(こうすればこうなる)

一般化

● 経験学習理論を完結するにはシミュレーションでの学習成

果を現場で使ってみることが必要(コーチング)

カークパトリックの4つのレベル

レベル 評価項目 データ収集ツール

1.反応参加者は教育に対してどのような

反応を示したか?・ 受講者アンケート

2.学習どのような知識とスキルが身につ

いたか?

・ 事後テスト(筆記テスト)

・ スキルチェック、OSCE

3.行動どのように知識とスキルを仕事に

生かしたか?

・ フォローアップ調査

・ 上長アンケート

4.結果組織と組織の目標にどのような効

果をもたらしたか?

・ 効果測定チェックリスト

・ 投資対効果(ROI)指標

作業記憶短期記憶

見える見る(*)

聞こえる

聴く(*)

感覚情報貯蔵器

見たこと(*)聴いたこと(*)

長期記憶

TellAskShowDoExperiment

TellAskShowDoExperiment

シミュレーションにおける学習モデルペダゴジーの場合

● 事前学習

● 学習者の注意を獲得する

● 学習目標を知らせる

● 前提となる知識・スキルを知らせる

● 学習成果(最終テスト)の評価基準と方法を示す

● シミュレーションの方法を知らせる

● 学習者の注意を獲得する

● 経験する

● フィードバックする

● 振り返り

● アクションプラン

シミュレーションにおける学習モデルアンドラゴジーの場合

● 事前学習

● 学習者の注意を獲得する

● 学習者との契約○ 学習目標を設定する

○ 学習成果(最終テスト)の評価基準と方法を示す

○ シミュレーションの方法(目標を達成する経路)を知らせる

● 学習者の注意を獲得する

● 経験する

● フィードバックする

● 振り返り

● アクションプラン

シミュレーションにおける学習モデルアンドラゴジーの場合

● 成人学習者同士の経験・学びの共有・トレード

● 現場での仕事に還元できる個人的な経験

● 学習者をコントロールするのは学習者

● インストラクターの役割○ 学習環境を整える

○ タイムキーパー

○ 学習者同士のディスカッションを促す

○ ガイド

認知心理学

レベル3を達成するためのインストラクショナル・シミュレーションのデザイン原理

● beyond 認知科学

● Neuro-education, Brain-based learning● 学習は学習者の内部で起こる知識の組み換え

● デザインのスタートは「メリルのID第一原理」

学習者の情動・心理的な状態・・・動機付け

思わず学習に没入する、集中する、努力する

インストラクショナル・シミュレーション

● チャレンジするステージ

● シナリオ・場面に学習目標が埋め込まれている

● 学習環境と対話する中で、こうすればこうなる、そうなるため

にはこうする、を経験的に学習する

● インストラクターは舞台には現れない

学習者の経験のレベルは?

レベルの高い学習

● 忘れない

● 思い出す

● なんども思い出す

● 何年たっても思い出す

● 自分の一部になっている

レベル2の学習とレベル3の行動変容

レベル2がレベル3に転移する条件

● シナリオ

● 学習成果の分類○ 言語情報

○ 知的技能✓ 弁別

✓ 概念

✓ ルール・原理

✓ 問題解決

○ 態度技能

○ 運動技能

○ メタ認知技能

○ エンタープライズ

インストラクショナル・シミュレーションの原理と実践

現状での応用

インストラクターへのガイダンス

経験学習理論 ● 学習者の現実的課題を用いる● 「原因ー結果」装置とのインターアクションの機会を増やす● 自己振り返りを促す→メタ認知技能

成人学習理論 ● ガイド役に徹する● 学習者が学習のスタイル・系列をコントロールする● 学習者の経験を尊重し活用する● 学習者の既有知識を引き出し、新しい知識を構成する活動を支援する

脳科学理論 ● 心理的な不安を取り除く● 学習は学習者の内部で起こる →「ああでもない、こうでもない」という試

行錯誤を促す● より深いレベルの学習を促す● 学習課題への関心・興味を引き出す● 学習疲労を最小限にとどめるために、没入度・集中力を高める

学習者へのガイダンス

経験学習理論 ● 能動的に経験することが学習につながる● 「できるようになったこと」「まだできていないこと」を振り返りで自己申告

する● いま学習していることがどのように応用できるかを考える● 機会を見つけて学習成果を試してみること

成人学習理論 ● 学習ゴールの到達に焦点を当てる● 複雑な問題解決ができるようになろう● 学習活動に自分の課題を見出そう● 自分の学習は自分でコントロールしよう● いままでに獲得した知識・技能を応用しよう

脳科学理論 ● 他の学習者を尊重する● 皆んなで協力すれば成功する● 学習者が不安になるような態度・言動は慎む● 守秘義務● 失敗は学習のチャンスであり、恥ずかしいことではない

カリキュラムへのガイダンス

経験学習理論 ● インストラクショナル・ゴールの振り返りを現場実践(パフォーマンス・ゴール)と連携する

成人学習理論 ● 学習者のパフォーマンスに関連性がある● 問題解決型● 学習成果を現場で応用することで患者アウトカムが改善する

脳科学理論 ● 脳内での学習プロセスと科学的に整合している● 適度に複雑な課題に挑戦する● 学習者特性に配慮する

インターアクションへのガイダンス(教授活動)

経験学習理論 ● 没入する・集中する・楽しい● 振り返りを促す● 試行・実験を推奨する

成人学習理論 ● ZPD・認知的徒弟・足場かけ・コーチング、協調学習● 知識・できることの範囲を拡大する

脳科学理論 ● 心理的な不安がない学習環境をデザインし維持する● 振り返りを促す

学習者

学習環境、インストラクター

シナリオ

パフォーマンスモデル↓

パフォーマンス・ゴール↓

インストラクショナル・ゴール

simulationparticipant

学習システム全体のマネジメント・インストラクター

データ・マネジメント

学習コンテンツ

インストラクショナル・デザイン・モデル、教授方略

メッセージ

学習者インターフェイス

コントロール

表現・描写・会話

フェーズ3:教授システムのレイヤー機能記述

フェーズ3:教授システムのレイヤー機能記述

学習システム全体のマネジメント・インストラクター

データ・マネジメント

学習コンテンツ

インストラクショナル・デザイン・モデル、教授方略

メッセージ

学習者インターフェイス

コントロール

表現・描写・会話

インストラクションで使用する「知識カード」

学習システム全体のマネジメント・インストラクター

データ・マネジメント

学習コンテンツ

インストラクショナル・デザイン・モデル、教授方略

メッセージ

学習者インターフェイス

コントロール

表現・描写・会話

フェーズ3:教授システムのレイヤー機能記述学習者に適用する教授方略の選択・実行

学習システム全体のマネジメント・インストラクター

データ・マネジメント

学習コンテンツ

インストラクショナル・デザイン・モデル、教授方略

メッセージ

学習者インターフェイス

コントロール

表現・描写・会話

フェーズ3:教授システムのレイヤー機能記述選択した教授方略に基づく対話・インストラクション

学習システム全体のマネジメント・インストラクター

データ・マネジメント

学習コンテンツ

インストラクショナル・デザイン・モデル、教授方略

メッセージ

学習者インターフェイス

コントロール

表現・描写・会話

フェーズ3:教授システムのレイヤー機能記述学習者が発する対話・会話・操作

学習システム全体のマネジメント・インストラクター

データ・マネジメント

学習コンテンツ

インストラクショナル・デザイン・モデル、教授方略

メッセージ

学習者インターフェイス

コントロール

表現・描写・会話

フェーズ3:教授システムのレイヤー機能記述情報を学習者の感覚器に伝えるメディア・装置

学習システム全体のマネジメント・インストラクター

データ・マネジメント

学習コンテンツ

インストラクショナル・デザイン・モデル、教授方略

メッセージ

学習者インターフェイス

コントロール

表現・描写・会話

フェーズ3:教授システムのレイヤー機能記述学習成果に関する記録・分析・フィードバック

学習システム全体のマネジメント・インストラクター

データ・マネジメント

学習コンテンツ

インストラクショナル・デザイン・モデル、教授方略

メッセージ

学習者インターフェイス

コントロール

表現・描写・会話

フェーズ3:教授システムのレイヤー機能記述学習システム全体のマネジメント・インストラクター

まとめ

● 「シミュレーション」は方法論である

● インストラクショナル・シミュレーション(I-Sim)のフレームを

理論的に示した

● I-Simはテクノロジーでありテクニックではない

● I-Simを学習するためのID理論○ 学習成果としてのエンタープライズ

○ エラボレーション理論

○ メリルのID第一原理

○ ARCSモデル

● I-Simにより教育・トレーニングの効果・効率・魅力は向上

し、その結果、精度が改善する