色は光でできている - nhk第13回 光はバラバラに分解できる...

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科学と人間生活 − 27 − 高校講座・学習メモ テレビ学習メモ 今回学ぶこと 色は光でできている 第 13 回 光はバラバラに分解できる 太陽の光を白色光というが、太陽の光は本当に白色なのだろうか。太陽の光をプリズムに通し て見てみると、光は赤、橙、黄、緑、青、紫に連続的に分かれて見える。太陽の光には、これら すべての色の光が含まれているということだ。では、光がプリズムによって色ごとに分かれたの はなぜだろうか。光の色の違いは、光の波長の違いである。光は電磁波と呼ばれる波の一種で、 波の山から山までの長さが波長である。 光はプリズムに入ったり、プリズムから出てきたりする際に屈折をする。そのときの屈折率は、 “ 色 ” つまり波長によってわずかに異なるのである。したがって、屈折して光が進むとき、色(波 長)ごとに進む向きがずれる。このようにして、きれいな虹色に分かれて見える。また、太陽の 光が色々な虹色の光からできていることは、空の色を見てもわかる。晴れた日の昼間、空は真っ 青に見えるが、早朝や夕方には空の色は黄色や橙色、時には真っ赤に見える。つまり、太陽の光 にはこれらすべての色の光が含まれているということである。 物理編 科学と人間生活監修・執筆 加藤義道 調べておこう・覚えておこう 私たちは、毎日色彩豊かなものに囲まれて生活している。オムレツが黄 色く、トマトが赤く見えるのはなぜ? どんなに色とりどりに部屋を装 飾していても、部屋の明かりを消して暗くしてしまうときれいには見えないのはなぜ? そ の答えは、光にある。また、太陽からやってくる光は白いのに、雨上がりにできる美しい七 色の虹も不思議な現象である。今回は、色と光の謎を解明する。 太陽や電灯の白色光はプリズムを通ると赤、橙、黄、緑、青、紫に分かれる。これを光の分散という。 どんな色でも、赤・青・緑、3色の光を混ぜて作ることができる。この3色を「光の三原色」という。 目に見える光を可視光線といい、電磁波の一種である。電磁波には赤外線、紫外線、電波、X 線 などがあり、身の回りでもさまざまな分野で利用されている。

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Page 1: 色は光でできている - NHK第13回 光はバラバラに分解できる 太陽の光を白色光というが、太陽の光は本当に白色なのだろうか。太陽の光をプリズムに通し

科学と人間生活

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高校講座・学習メモ

第 25 回

テレビ学習メモ

今回学ぶこと

 色は光でできている

第13回

光はバラバラに分解できる

太陽の光を白色光というが、太陽の光は本当に白色なのだろうか。太陽の光をプリズムに通して見てみると、光は赤、橙、黄、緑、青、紫に連続的に分かれて見える。太陽の光には、これらすべての色の光が含まれているということだ。では、光がプリズムによって色ごとに分かれたのはなぜだろうか。光の色の違いは、光の波長の違いである。光は電磁波と呼ばれる波の一種で、波の山から山までの長さが波長である。光はプリズムに入ったり、プリズムから出てきたりする際に屈折をする。そのときの屈折率は、

“色 ” つまり波長によってわずかに異なるのである。したがって、屈折して光が進むとき、色(波長)ごとに進む向きがずれる。このようにして、きれいな虹色に分かれて見える。また、太陽の光が色々な虹色の光からできていることは、空の色を見てもわかる。晴れた日の昼間、空は真っ青に見えるが、早朝や夕方には空の色は黄色や橙色、時には真っ赤に見える。つまり、太陽の光にはこれらすべての色の光が含まれているということである。

物理編

科学と人間生活監修・執筆 加藤義道

調べておこう・覚えておこう

私たちは、毎日色彩豊かなものに囲まれて生活している。オムレツが黄色く、トマトが赤く見えるのはなぜ? どんなに色とりどりに部屋を装

飾していても、部屋の明かりを消して暗くしてしまうときれいには見えないのはなぜ? その答えは、光にある。また、太陽からやってくる光は白いのに、雨上がりにできる美しい七色の虹も不思議な現象である。今回は、色と光の謎を解明する。

◦太陽や電灯の白色光はプリズムを通ると赤、橙、黄、緑、青、紫に分かれる。これを光の分散という。◦どんな色でも、赤・青・緑、3色の光を混ぜて作ることができる。この 3色を「光の三原色」という。◦目に見える光を可視光線といい、電磁波の一種である。電磁波には赤外線、紫外線、電波、X線 などがあり、身の回りでもさまざまな分野で利用されている。

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高校講座・学習メモ

科学と人間生活 � 色は光でできている

光を混ぜて色を作る

太陽の光(白色光)には、さまざまな色の光が含まれていることがわかったが、逆にさまざまな色の光を混ぜ合わせると、どんな色の光でも作れるだろうか。ヒトの目には、赤、青、緑の3種類の色の光それぞれに反応する3種類の細胞がある。光が目に入り3種類の細胞が刺激を受けると、刺激の強弱の組み合わせでさまざまな色に感じるのである。つまり、赤、青、緑の光の強弱の組み合わせを変えれば、3種類の細胞の刺激の組み合わせを調整することができるということだ。したがって、この3色を組み合わせれば、ヒトの目にみえるさまざまな色を作ることができる。そこで、この3色を、光の三原色という。

光の仲間たち

光は電磁波の一種であった。電磁波は波長ごとに分類され呼び方が決まっている。波長の長い電磁波から順に紹介していくと、テレビやラジオ放送の通信に利用されている電波。家電製品のリモコン、自動ドアやトイレなどのセンサー、サーモグラフィーなどに利用されている赤外線。次にくるのが可視光線。続いて、日光消毒の役割を果たしている、太陽の光に含まれる紫外線。消毒をするために人工的に紫外線を出しているのが殺菌灯である。さらに、波長が短いものをX線という。波長が短いほど物体を通り抜けてしまう性質があり、

X線は金属など重い原子以外では通り抜けてしまう。この性質を利用したのがレントゲンで、骨など金属原子からできている部分だけ通り抜けずに陰になって映る。このように、電磁波は身の回りのさまざまな分野で利用されている。