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インドにおけるパナソニック
パナソニックは、数多くの販売および生産子会
社を通じてインドで事業を展開している。
ナショナル・パナソニック・インディア
ナショナル・パナソニック・インディア
(National Panasonic India Ltd.)は、洗濯
機、ホームシアター、カメラ、TVをはじめとす
るさまざまな消費財製品をパナソニック・ブラ
ンドで販売している。
パナソニック・システムズ・アジアパシフ
ィック(インディア)
パナソニック・システムズ・アジアパシフィ
ック・インディア(Panasonic Systems Asia
Pacific India)では、ファクシミリ機、コピ
ー機、ノート型パソコン、プロジェクター、携
会社概要
パナソニックは、松下電器産業株式会社
(Matsushita Electric Industrial Co.,
Ltd.― MEI; 以下「松下電器」と表記)のブラ
ンドのひとつである。総合エレクトロニクス
メーカーである同社が扱う製品は15,000種類
を超え、「パナソニック(Panasonic)」、「
ナショナル(National)」、「テクニクス(
Technics)」、「クエーザー(Quasar)」のブ
ランドで生産・販売を行っている。
松下電器(MEI)の設立は1918年で、現在、同
社の関係会社は600社を超え、グループ全体で
約33万4,752人の従業員を擁する。2004年-
2005年度の売上高は814億ドルである。
パナソニック
松下電器
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生産している。前身は、松下テレビジョン&オ
ーディオ・インディアであった。同社が生産す
るテレビは、ナショナル・ブランドで販売され
ており、生産工場はノイダにある。
インド松下洗濯機
インド松下洗濯機(Matsushita Washing
Machine India Pvt. Ltd.)は、インド国内に
おける洗濯機の生産に特化した松下電器の子会
社である。設立は1999年で、インドのビデオコ
ンと技術提携を行っている。同社の工場は、マ
ハラシュトラ州プネ近郊に位置するランジャン
ガオンにある。
インド松下エアコン
インド松下エアコン(Matsushita Air-
Conditioning India Pvt., Ltd.)は、松下電
器70%、ビデオコン30%の出資比率で設立され
た松下電器とビデオコンの合併会社である。現
在は松下電器の100%子会社となっている。
同社では、ナショナル・ブランドでエアコンの
生産をしている。工場はチェンナイから約55
km離れたイルンガトゥコタイにあり、生産能力
10万台を備えている。
パナソニック・バッテリー・インディア パナソニック・バッテリー・インディア(
Panasonic Battery India Company Limited)
は1972年に設立され、乾電池や応用製品を生産
している。現在の従業員数は約973人。生産工
場はグジャラート州のバドダラ、マディヤ・プ
帯電話などをインドで販売している。同社の設
立は2005年5月である。
パナソニック・カーボン・インディア
パナソニック・カーボン・インディア(
Panasonic Carbon India Co., Ltd.)は、アン
ドラプラデシュの工場でカーボンロッドを製造
している。同社の2005年-2006年度の売上高は
760万ドルである。
パナソニック・ホームアプライアンシーズ
・インディア
パナソニック・ホームアプライアンシーズ・イ
ンディア(Panasonic Home Appliances India
Co., Ltd.)の前身は、インド松下電化機器
で、炊飯器やその他台所家電製品を生産してい
る。同社の事業開始は1990年で、チェンナイ
に本社を置く。ISO 14001の認証を取得してお
り、販売会社としての側面も持つ。
同社の2004年-2005年度の売上高は1,200万ド
ルで、前年度は1,100万ドルであった。国内市
場向けだけでなく、国外市場向け製品も生産し
海外に輸出している。2004年-2005年度の輸出
高は250万ドル、前年度は240万ドルであった。
パナソニックAVC ネットワークス・インデ
ィア
パナソニックAVCネットワークス・インディア
(Panasonic AVC Networks India Co., Ltd.)
は、テレビ、オーディオシステム、プラズマ
TV、ホームシアターといったビデオ関連製品を
営業
収益(百万ドル)
パナソニック・バッテリー・インディアの売上高 (百万ドル): 2003年-2005年
出所:www.myiris.com
2003 2004 20050
10
20
30
4032
28
37
出所:www.myiris.com
営業収益(百万ドル)
2003-2004 2004-2005 2005-20060
2
4
6
8
10
8.1 8.47.6
パナソニック・カーボン・インディアの売上高 (百万ドル):2004年-2006年
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今後の計画
インドには、2億800万という莫大な消費者世
帯が存在する。つまり、この莫大な世帯数が、
コンシューマエレクトロニクス事業を展開する
企業に、未開拓の大きな潜在需要を提供してい
るのである。
パナソニックは、テレビ部門で新商品を導入す
るなど市場シェアの一層の向上を図り、インド
での影響力をさらに高めようとしている。プラ
ズマテレビといった高性能テレビに焦点をあ
て、今後2、3年でインドのハイビジョンテレビ
市場で15%の成長率を目指すとしている。
さらに、家電製品やバッテリー部門でも、新製
品の投入でシェア拡大を図る構えである。
パナソニックでは、インドを同社のグローバル
な生産拠点と位置づけ、インドで生産したテレ
ビを海外市場に投入したいと考えている。
ラデシュ州のピタンプールにある。同社の製品
は「ノビノ(Novino)」ブランドで販売されて
いる。
成功の要因
顧客ニーズの理解
インド市場への参入に遅れをとりながらも、松
下電器は効果的に顧客ターゲットの絞り込みを
行ってきた。特定の顧客層向けにリーズナブル
な価格の商品を提供するという、同社のターゲ
ット戦略が成功につながったといえよう。松下
電器は市場のトレンドに対応した、マーケット
ニーズに基づく新製品を導入している。
ブランド力
「パナソニック」は、世界最強のブランドのひ
とつである。そこで松下電器は、インドにおい
てもこの圧倒的なブランド力を武器に事業を展
開してきた。「ナショナル」「ニッポン」「パ
ナソニック」が、同社で最も成功を収めたブラ
ンドである。これらはインド市場の家電ブラン
ドとして、好調な市場シェアを維持している。