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14.生合成反応:一次代謝と二次代謝

14.1 一次代謝と二次代謝一次代謝(primary metabolism)全ての生物にとって原理的には同一・エネルギー獲得系・炭水化物、タンパク質、脂肪、核酸合成系二次代謝(secondary metabolism)主要過程からはずれて生命に必ずしも絶対に必要だとはいえない反応例) 動物のホルモン生合成←他の生物にとっては生理的意味が無く、二次代謝といえる植物では特に発達している←非常に多種多様・種によって異なることが多い・一般に特定の器官や成長段階で合成される・生理的意義が不明のものも多い

フェノール性化合物

芳香族アミノ酸

解糖系ペントースリン酸回路

TCA回路

シキミ酸経路

メバロン酸経路MEP経路

アセチルCoA

ピルビン酸 フェニルアラニン

トリプトファン

チロシン

PEP

PGA

CO2光合成

E4P

マロニルCoA

非芳香族アミノ酸

フェニルプロパノイド

テルペノイド フラボノイド

アルカロイド

岡山理科大学・生物化学科植物科学Ⅰ講義資料

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14.2 シキミ酸経路-芳香族化合物の生合成芳香族化合物を作れるのは、植物と微生物のみ主要経路:E4P(C4)+PEP(C3)→DAHP(C7)→シキミ酸→コリスミン酸

図14.2 シキミ酸経路(主要経路)

芳香族アミノ酸の生合成1) コリスミン酸→プレフェン酸→フェニルアラニン、チロシン

図14.3 フェニルアラニン・チロシンの生合成

2) コリスミン酸→アントアラニル酸→トリプトファン

図14.4 トリプトファンの生合成

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14.3 主な二次代謝経路ほとんどの二次代謝産物は、アセチルCoAかアミノ酸を出発物質としている アセチルCoA →テルペノイド アミノ酸 →フェノール性化合物、アルカロイド14.3.1 テルペノイドの生合成1)酢酸-メバロン酸経路:アセチルCoA→メバロン酸→IPP2)メチルエリスリトールリン酸(MEP)経路:PGA+ピルビン酸→MEP→IPP

図14.5 酢酸-メバロン酸経路 図14.6 メチルエリスリトールリン酸経路

CH3 C CO

OH

O

PGA

ピルビン酸

MEP IPP

CC

O H

CH2OOHHP PC

OH

CH2

CH3

CHOH OH

CH2OCH2O P P

イソプレン単位(C5H8)×nC10=モノテルペン(monoterpene)C15=セスキテルペン(sesqui-)→アブシジン酸C20=ジテルペン(di-)→ジベレリンC30=トリテルペン(tri-)→ステロイド(steroid)C40=テトラテルペン(tetra-)→カロテノイド(carotenoid)

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図14.8 様々なテルペノイド

図14.7 テルペノイドの生合成

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14.3.2 フェノール性化合物の生合成フェニルプロパノイド(phenylpropanoid)フェニルプロパン=C6-C3型化合物フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)フェニルアラニンを脱アミノ→トランスケイヒ酸 →クマリン、タンニン、リグニン

フラボノイド(flavonoid)C6-C3-C6型骨格カルコン合成酵素(CHS)p-クマロイルCoAと3分子のマロニルCoAを縮合 →フラボン、フラボノール、アントシアニジン

14.3.3 アルカロイドの生合成アルカロイド(alkaloid)窒素原子を含む塩基性の天然有機化合物で、動物の中枢神経に多少とも作用し、毒性を示す物質を指す慣用的用語1)真性アルカロイド前駆物質となるアミノ酸からその窒素原子を保持したまま生成され、含窒素複素環をもつ2)プロトアルカロイド複素環構造を欠くもの3)擬アルカロイドイソプレノイドの炭素骨格に窒素原子が導入された塩基性化合物

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図14.9 フェニルプロパノイドの生成

図14.10 フラボノイドの生成

表14.1 各種アルカロイドの例とその前駆物質


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