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不安の医学第 14回都民講演会 「パニック障害」
患者・家族ができる認知行動療法
鈴 木 伸 一早稲田大学人間科学学術院
パニック障害を取り巻く悪循環
不安症状の悪循環
生活パターンの悪循環
対人関係の悪循環
パニック障害
「にげる,さける,やめる」 の繰り返しの生活身体症状への
過敏性が増大
苦手な場所が 増えてしまういろいろなことが できなくなる
予期不安また発作がおきるのでは?症状がひどくなるのでは ?
いつでも発作のこと ばかり考える
不安症状の悪循環
苦手な場所身体症状の変化
不安がエスカレート
身体症状が悪化
身体感覚への過剰な注目
ごろごろ過ごす引きこもる
そんな生活に落ち込む改善しないことにイライラする
いろいろしたくなる無理してしまう
調子がよい気分がよい
興奮する疲れる
倦怠感情緒不安定症状の悪化
生活パターンの悪循環
調子が悪い気分がすぐれない
つらさや苦しみを わかってほしいよくならない生活に イライラしてしまう
感情をぶつけてしまう相手を責めてしまう
わかってもらえない傷つくことを言われ
る
落ち込む,孤独他人の言動に過敏になる
マイナス思考
対人関係の悪循環
患者と家族で取り組む認知行動療法
・不安や症状をコントロールする方法を身に付ける・自分の不安の特徴を知る・「大丈夫だ」という経験を積み重ねる・「自分を苦しめる考え方」を退治する・「体調ありき」の生活から抜け出す・「やさしく伝える」工夫を考える
不安や症状をコントロールする方法を身に付け
る発作が起きたときの対応 日常でのリラクセーション
腹式呼吸(ゆっくり,深く)慌てず落ち着くのを待つ「大丈夫」と声をかける安心できる人と話をする
画像:パニック障害の理解と看護(医薬ジャーナル)
静かな場所で,楽な姿勢腹式呼吸(ゆったり,大きく)音楽などをかけてリラックス1日2~3回程度
自分の不安の特徴を知るどうしよう どうしよう
こうなるから大丈夫こう対処しよう
不安日記(不安のセルフモニタリング)
・いつ,どんな状況で・どんな不安が・どのように生じたか・どのように対処したか・その後どうなったか
時々,家族と一緒に振り返りをして自分のパターンを理解しましょう
ステップ・バイ・ステップで活動範囲を広げていく
ポイント ・事前に不安の内容と対処法をシュミレーション ・その場所(行為)に挑戦してみる ・不安が生じても,慌てずしばらく落ち着くまでそこにとどまる(逃げない,やめない) ・不安の変化に目を向ける ・最初は,家族と一緒でも OK,徐々に1人で! ・あせって先に進むのではなく,「もう大丈夫」と思えるように繰り返し練習 ・記録をとって家族で振り返る(できたことに注目する!)
駅まで行くホームに上がる
1 駅乗ってみる(夫と一緒)1 駅乗ってみる(1人で)
ステップ1:具体的な目標を決める(デパートで買い物をするステップ2:苦手な場所と怖さの程度をリスト化するステップ3:練習計画を作成 (やさしい所から )ステップ4:苦手な場所になれる練習をする(エクスポージャー)
パニック障害患者さんによく見られる考え方の特徴
・身体感覚に過度に注目してしまう ・・・・・・でも身体のことばかりいつも考えてしまう
・身体感覚への誤った理解や破局的な予測 ・・・・・・少しの変化でも発作と結びつけて考えてしまう
・自分の対処能力を低く評価している ・・・・・・自分には対処できないと思ってしまう
・回避行動への誤った過信 ・・・・・自分なりの対処法が実行できないととても不安
「コワ(怖)虫」「ヨワ(弱)虫」
「ヨワ(弱)虫」「コワ(怖)虫」をやっつける!
「自分のクセ」をよく知る →どんな時に「ヨワ虫,コワ虫」が出てくるのか → 「ヨワ虫,コワ虫」が言っていることが 本当に正しいかを改めて考えてみる 不安や症状のコントロール法を学んで自信を付ける エクスポージャーを通して,「大丈夫」であることを学ぶ →挑戦前に不安を趣味レーションする →経験前と経験後の印象の違いを確認する →うまくいった体験の振り返り
どのような対処が効果的だったか次回のときに工夫する点は何か
「体調ありき」の生活から抜け出す
体 調一見,よさそうだが・・・・・生活の自律性が失われていく(症状に振り回されてしまう)・全か無か的な生活になってしまう・体調(症状)のことばかり気になるようになる ⇒気分も体調も不安定になりやすくなる
・生活のリズム(基本的な生活パターン)をある程度決める・「やるか」,「やらないか」ではなく,できるところまでやる・「体調がよいからできた」ではなく, 「体調が悪くてもここまでできた」という体験を積み重ねる・できなかった部分よりも,できた部分を評価する(家族も!)
「やさしく伝える」工夫を考える
何でわかって くれないの!!
困った顔
悲しい顔
怒った顔
わかってもらえない悲しさや孤独感後悔,自分を責める
自分の気持ちがいいずらくなる
伝えたいことは,落ち着いているときに冷静に伝える (自分の気持ち,どうしてほしいか,など)
「ありがとう」の一言を忘れずに!
わかってくれないことを嘆くのではなく, わかってもらえるように,丁寧に話をする
・病気に振り回されているという生活から 自分でコントロールできているという感覚を持つ・「練習する」「身に付ける」という気持ち (自然にはできるようにはならない)・不安のない生活を目指すのではなく 不安があっても自分なりに対処できる生活を目指す・調子を崩すことにビクビクするのではなく 「下げ止まる」こと「早めにリカバリする」ことを大切にする
患者さんへのメッセージ
・「引っ張り役」,「励まし役」というよりは, 「大きくどっしりとした受け皿」のイメージで・いつもどうり,普段どうりを大切にしましょう・良い所,できている所を見てあげてください・おおらかに,ゆったりと,マイペースで
ご家族へのメッセージ
まとめ