維持透析患者における骨格筋量 および脂肪量の臨床...
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維持透析患者における骨格筋量
および脂肪量の臨床的意義
(医)大田姫野クリニック1),姫野クリニック2),島根大学医学部臨床検査医学3)
○小原一晃1),小林幸造1),坂本純平1),福村 宏1),岡田理江1),角 昌晃1),滋野和志1),秋國意知子2),高野有紀美2),姫野安敏2),矢野彰三3)
背景
近年、透析患者の低栄養や筋萎縮が注目
される一方,メタボリック症候群の合併例も
存在する.そこで,今回,当院維持血液透
析患者において,体組成と栄養,透析指標
や背景因子との関連を検討した.
対象と方法
対象:外来通院する維持血液透析患者(191名).
方法:体組成は治療後にBIA法(InBodys10)による測定を
行い,骨格筋量指標(BaumgartnerによるSMI; 体肢
骨格筋量/身長2),体脂肪率,下肢phase angle(PA)
を算出した.透析前後の採血から透析指標(nPCR,
Kt/V)を求めた.統計解析はStatviewを用いp<0.05を
統計学的有意とした.
患者背景・透析指標・体組成の結果全体 男性 女性
N 191 124 67
年齢(才) 67.3±11.8 67.0±12.4 67.8±10.7
透析期間(月) 117±106 103±96 142±117*
BMI(kg/m2) 21.1±3.1 21.6±3.2 20.2±2.8**
SMI(kg/m2) 6.05±1.14 6.56±1.01 5.11±0.68**
下肢PA(˚) 4.76±1.21 4.93±1.21 4.45±1.13**
血清Alb(g/dL) 3.59±0.25 3.58±0.24 3.59±0.28
nPCR(g/kg/day) 0.88±0.16 0.86±0.14 0.92±0.17*
%CGR(%) 102±24 102±24 103±24
Kt/V 2.00±0.32 1.91±0.29 2.16±0.31**
体脂肪率(%) 27.4±8.6 25.8±8.4 30.5±8.2**
(平均±標準偏差) *; p<0.05, **; p<0.01 vs 男性
SMI, 体脂肪率と年齢との単相関
SMI 体脂肪率
年齢
P<0.001R=-0.37
P<0.001R=0.24
年齢
0
2
4
6
8
10
12
20 30 40 50 60 70 80 90 1000
10
20
30
40
50
20 30 40 50 60 70 80 90 100
(kg/m2) (%)
(才)(才)
SMI, 体脂肪率と透析期間との単相関
SMI 体脂肪率
透析期間
N.S.P<0.05R=-0.17
透析期間
0
10
20
30
40
50
0 100 200 300 400 5000
2
4
6
8
10
12
0 100 200 300 400 500
(kg/m2) (%)
(月)(月)
SMI,体脂肪率と血清Albとの単相関
SMI 体脂肪率
血清Alb
N.S.
血清Alb
0
2
4
6
8
10
12
2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
P=0.09R=0.12
0
10
20
30
40
50
2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
(kg/m2) (%)
( g/dL ) ( g/dL )
SMI, 体脂肪率とKt/Vとの単相関
SMI 体脂肪率
Kt/V
P<0.001R=-0.39
N.S.
Kt/V
0
10
20
30
40
50
0 .5 1 1.5 2 2.5 30
2
4
6
8
10
12
0 .5 1 1.5 2 2.5 3
(kg/m2) (%)
下肢Phase Angleと年齢・透析期間との単相関
PA PA
年齢 透析期間
N.S.
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
20 30 40 50 60 70 80 90 100
P<0.001R=-0.46
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
0 100 200 300 400 500
(˚) (˚)
(月)(才)
下肢Phase Angleと血清Alb・nPCRとの単相関
PA PA
nPCR
P<0.01R=0.21
血清Alb
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2 2.5 3 3.5 4 4.5 5
P<0.01R=0.19
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
0 .5 1 1.5
( g/dL ) ( g/kg/day )
(˚) (˚)
下肢Phase AngleとSMI・体脂肪率との単相関
SMI
PA PA
体脂肪率
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
0 2 4 6 8 10 120
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
0 10 20 30 40 50
P<0.001R=-0.27
P<0.0001R=0.44
(kg/m2) (%)
(˚) (˚)
体脂肪率とSMIの単相関体脂肪率
SMI
0
10
20
30
40
50
0 2 4 6 8 10 12
P<0.0001R=-0.29
(kg/m2)
(%)
まとめ
SMIは年齢と強い負の相関を認めたが,透析期間とは相関を
認めなかった.
体脂肪率は年齢と弱い正相関,透析期間とSMIとは負の相関
を認めた.
nPCRは体脂肪率,SMIと相関なく,PAとのみ正相関を認めた.
Albは体脂肪率と相関なく,SMI,PAと弱い相関を認めた
Kt/Vは体脂肪率,PAと相関なく,SMIとのみ負の相関を認めた.
PAは年齢,体脂肪率と負の相関, SMIと強い正相関を認めた.
結語
加齢により骨格筋量は減少し,相対的に体脂肪率が増加する.
透析期間とSMIおよびPAとの相関を認めないため,透析患者
の長期生存には骨格筋量維持の重要性が示唆される.
一方,体脂肪率は透析期間やSMIと負の相関を認めたことから,
透析治療によるwastingの結果,長期透析患者における体脂肪
率が減少していく可能性および相対的に体脂肪率の高い高齢
者が長期生存できずに淘汰される可能性などが考えられた.
日本透析医学会学術集会・総会
COI開示
筆頭発表者名 小原 一晃
演題発表に関連し、開示すべきCOI関係にある企業などはありません。